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*幻想水滸伝 紡がれし百年の時 【げんそうすいこでん つむがれしひゃくねんのとき】 |ジャンル|ロールプレイング|&amazon(B006D7LIL4)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル |~| |発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~| |開発元|GAE(グローバル・A・エンタテインメント)|~| |発売日|2012年2月9日|~| |定価|UMD版:5,980円&br()ダウンロード版:5,480円(税込)|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |分類|''黒歴史ゲー判定''|~| |ポイント|''幻想水滸伝の名を騙った別ゲーム''&br()RPGというよりもADV&br()練り込まれていないストーリー&br()仲間という名のわざマシン|~| |>|>|CENTER:[[''幻想水滸伝シリーズリンク''>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1136.html]]| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -『幻想水滸伝』シリーズの最新作。移植を除けば初のPSP専用の幻想水滸伝として話題を誘った作品。 -「百万世界」の内の一つで繰り広げられるストーリー。 --舞台は結界で閉ざされた小国アイオニア。この国では100年毎に一度、「100年目の怪物」と称される化け物が結界を破って侵入してくる問題があった。怪物に対抗するため、主人公は謎の少年ゼフォンの導くままに過去へと遡り…。 --今回の話は「時代樹」という木の力により100年前へ遡り、過去を改変したり古人の技を伝承して強くなる。タイムパラドックスものの色が強いストーリーになっている。 --なお「百万世界」には従来シリーズの紋章世界や、[[ティアクライス>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/522.html]]の世界観も内包されている。ただしあくまでも「無数にある平行世界の中の一つ」としてであり、実質的な接点は存在しないと言っていい。 ---- **問題点 ***タイトル詐欺 -『幻想水滸伝』と名前がついているだけで、シリーズとはかけ離れた全く別のゲームと化している。新機軸の幻想水滸伝とみるにはあまりにも要素が薄く、名前だけを借用したかのような印象を受ける。 --紋章が存在せず、魔石を用いて魔法を発動する(これは世界が違うので仕方ないが…)。 --骨董品や交易品の取引、風呂イベントや料理対決イベント、さらには『2』におけるクライブイベント((一定のプレイ時間までに遭遇しなければならない一種の時限イベント。通常のプレイではメインストーリーのグッドエンドを諦めなければならないほどシビアな時間制限がくまれており、話としても人気が高いサブイベントとなっている。))のような、サブイベントも存在しない。 --本拠地の進化はなく、仲間を集めると施設が開放されるだけ。 --探偵・目安箱・本拠地での会話といった要素は未搭載。 --そもそも主人公たちは戦争をしていない。 --シリーズおなじみのレックナート、ジーン、ビッキー、ユーバーといった特別な人物がいない。世界が違うといっても、こいつらは時空転移や特別な能力をもっているため出ても不思議ではなかった。((前作(ティアクライス)の時点で既に出ていなかったのではあるが。)) ---という具合に、幻想水滸伝シリーズお馴染みの要素が全くと言っていいほど存在しない。 -シリーズ従来作どころか、「水滸伝」の面影すらもほとんど感じられない。仮にも水滸伝の名が冠されている手前、そこはどうなのか。 --「108星の英雄が本拠地に集う」だけでも最低限の面目は立つというのに、それすら達成できていないという惨状(後述)。もちろんのこと、それ以外の要素によって水滸伝らしさが織り込まれているわけでもない。辛うじて、宿星の名を冠した登場人物が108人登場するという意味でだけなら、かすかに面影が残されていると言える。 --水滸伝の水滸とは水の滸(ほとり)を表す言葉であり、シリーズでは本拠地は水に関係する場所に存在していたが、この作品ではただの城が本拠地となっている。それっておかしくないかな。 ***108人の仲間 -大半が名前だけでの出演 --「既に亡くなっている」「いるのに登場しない」「遺物だけ」という扱い。中には砂礫に埋もれたガラクタを調べただけで108星に登録される者もいる。エンディングでは仲間たちのその後が表示されるが、大半が誰だこいつ状態。仲間? 何それ? --戦闘に参加出来るのは25人余り、最終的に組めるメンバーは18人。過去の人物は全て一時的な仲間に過ぎず、基本的に現代の仲間でしかパーティを組むことができない。 ---戦闘技以外の技伝承は、条件が揃った状態で過去の宿星に話しかけると、謎の光によって現代の宿星へ伝承されたことになる。これだけで技伝承が済んでしまうため面白みもあったものではい。しかも大抵の宿星はそれで用無しになってしまう。ポケモンのわざマシンと変わらない。 ---やたら「剣の達人」「魔術の達人」「薬のエキスパート」「弓の達人」「格闘術の達人」…と達人が多いのが特徴。その達人ぶりは戦闘やストーリーでは垣間見える事はほとんどなく死に設定になっている。それでいて、遊び人やギャンブラー、探偵、発明家、学生といった一般市民からの仲間がほとんどいない。 -108人集めるというより登録するだけ --仲間は現代、100年前、200年前に散らばっているが、本拠地に集まる事が出来るのは現代の仲間だけで、あとは一時的にパーティに加わるか技を教えてくれるだけの存在になっている。 --過去へさかのぼることができるのは現代のメンバーだけで、過去の108星を連れてきて仲間にするということはできない。200年前と100年前の宿星同士の交流や伝承も無いため、実質的な仲間は現代のメンバーのみ。 --108人全員登録した所でエンディングが少し分岐するだけでストーリーには深く関与せず、どちらのエンディングもグッドエンディング的な終わり方であるため、仲間を集める必要性自体感じられない。 ---強制加入の仲間以外を無視してストーリーを進める事も出来るが、最終決戦の際に初見の人物が何食わぬ顔で戦闘に参加することになる。己はカブトボーグのマンソンか。 -プレイヤーを置いてぼり --仲間の中にはモブと見分けが付かないものや、「老人だから頑固臭い」「女騎士だから堅物」など、ありふれたステレオタイプな性格付けをされており魅力的な人物が少ない。出るたびに面白くもない常套ギャクをいう老人や筋肉バカな肉体派村長など、個性を出そうとするあまり逆にうっとしい人物も…。 --「やぁ、ひさしぶり! 前の戦いは激しかったね」「そうだな! お前もかわってないな! HAHAHA!」…といった感じにプレイヤーを置いてけぼりにして中の人物が勝手に盛り上がる光景が多い。特に過去の宿星は主人公すら放って勝手に盛り上がる始末。まるで同人誌のよう。 -宿星以外の仲間や一般兵士は存在しない。ストーリーで戦争が起こっても主人公達は「遊軍(一種のゲリラ)」という名目により、パーティメンバーだけで散発的な戦闘をするのみ。 ***ストーリー -イベント --ほとんどのイベントは会話シーンで済まされる。RPGというよりADVに近い。 --人物はポリゴンモデルで表現されているが、会話の場面ではキャラクターイラストによる表現が用いられる。キャラクターイラストのバリエーションは豊富でボイス量も多いのだが、延々と会話シーンでイベントがこなされるため、ユーザーによってはボイスが要らないと感じる事もある。 ---そのポリゴンもイラストとの落差が激しく、女性キャラに至っては目が大きすぎて気持ち悪い者も。人外系のキャラは再限度が高いのだが… --所々に選択肢が発生するが、仲間の好感度がかわるだけでストーリーは何もかわらない。 -「時代を変える」ことへの希薄さ。 --タイムパラドックスを起こすことに対し問題意識や疑問を抱くのは主人公ぐらいなもので、時代改変自体がただの便利手段にしかなっていない。題材はいいのに調理が勿体無い。 --結局の所、主人公たちは自分達の都合で好き勝手に歴史を変えるだけの存在になってしまっている。 -戦争要素が希薄。 --プレイヤー自身が軍を指揮して敵軍とぶつかるということがない。戦が終わって廃墟になった町がある他は、文章中で表現されるだけに留まっている。このため軍師キャラも軍師じゃなくて隠密のような役割になっている。 --主人公たちは軍と形容するには規模も設備も乏しく、贔屓めに見ても村の青年団レベル。それなのにやたら危険視される。 --敵も味方も戦略が皆無。 -群像劇ではない --シリーズでは敵にも戦う理由、信念があったが、今作では主人公と相対した時に場当たり的な理由が説明される敵ばかり。キャラクターがストーリーを説明するだけの傀儡になっているという声もある。 --主人公も、復讐の動機があるのに最初から「復讐なんてだめだよ」と達観しているため人間的に成長する場面が無い。それでいて最初から他の仲間や要人から「さすが」「たいしたヤツだ」とほめられっぱなし。 ***戦闘 -単調な戦闘 --幻想水滸伝シリーズでは、コマンド入力後に素早さの速い順で敵味方が行動する独自のターン制コマンドバトルであったが、このゲームの敵は一体ずつ行動を起こすようになっているため、やたら時間がかかる。『1』よりも劣化している有様。 --動きがもっさりとして鈍い。モーション自体がゆっくりめかつテンポが悪い。 --「協力攻撃が復活した!」という触れ込みだったが、「テルベの里魂」とか「仲良し2人組」といった表示がでるだけの一斉攻撃であり、専用モーションもない。バリエーションもかなり少ない上、秀でた威力や効果ももっていないためわざわざ使う必要自体ない。 ---そもそも協力攻撃は、直近かつ直系の前作ティアクライスにだって導入されている。あちらは使い回しこそ多いがちゃんと専用のモーションが入るし、独自の攻撃範囲やユニークな効果を持つものも多かった。 -編成 --隊列も設定できるが意味は無い。前衛や後衛の概念が無く、どこに配置してもからない。しかもパーティメンバーを一人でも変えるだけで全員の隊列がリセットされ、またセットし直さなければならない。地味に鬱陶しい仕様。 --だれでも扱える回復アイテムが削除。「くすり」は薬剤師専用にしか扱えなくなったため、どうしても回復タイプのメンバーに頼らなければならない。 --シリーズでは紋章により魔法が使えるようになっていたが、紋章は「二回攻撃」「ステータス変更」といった攻撃補助の効果をもつものもあった。今作では魔法は魔石による魔術に置き換わっているが、攻撃補助の紋章の代替は一切存在していないためプレイヤー自身ができることがすくない。 --魔法の効果をもつ札アイテムも存在しない。 ***フィールド、ダンジョン -自由に歩き回れない町やフィールド --町は一枚絵で、ポイントをカーソルで選んで移動するサモンナイト方式であり、町中を探索する事が出来ない。 ---一つだけ動き回れる村があるが、村というより山中の休憩所にしかみえないほど寂れている。そこでは人と会話できるだけで、アイテム屋や宿屋もない。ラストリベリオンに出てきた町に近い。 --フィールドも一枚絵で、話が進む程進行出来るルートが増えていくシステム。こちらもカーソルで移動するタイプのため、自由に動き回ることができない。 --本拠地はポリゴンで作られているものの、移動システムは変わらず選択肢式なので一枚絵と同じ。せめてカメラを回すとかして、立体モデルを活用すればいいのに。 ---特定の仲間をあつめることで武器屋や防具屋などが開店するようになっているが、本拠地自体の変化や仲間以外の人物が増える事は一切ない。 ---本拠地に一度入ると休憩しなければ外に出られない謎仕様のため、本拠地に戻る度に余計な時間消費を強いられることになる。 --ただし選択肢式の移動システムそのものは、無駄に歩き回らされるよりユーザーフレンドリーであると擁護できなくもない。 -とても歩きにくいダンジョン --カメラが人物に近く、周りの状況が分かりにくい。 --カメラの操作方式は何故かモンスターハンターのように十字キーで行う仕様のため、慣れない人にはとことん辛い。 --L+□で左、L+○で右にカメラが回る不思議な設定。LRボタンだけでカメラ回転できてもよかったろうに、どうして無駄な手間をかけさせるのか。なお単独のLRボタンには、なんの機能も割り当てられていない。 --狭いステージは非常に狭く、長いステージは非常に長いと両極端。通路がせまくカメラワークも悪いため、敵シンボルを回避しづらい。 --人物のポリゴンより大きく当たり判定が設定されているため、壁にひっかかったり避けた敵て捕まることがよくおこる。 ***その他 -セーブ画面 --デフォルトで既存のセーブデータの一つ下が選択されているため、誤って無駄な新規データを作ってしまう恐れがある。なんでこんな仕様にしたんだ。 -システム面の進歩が無い --シリーズおなじみの要素は悉く削除されているのに追加されたシステムは技伝承システムぐらいなもので、端的にいえば『1』よりもシステムが簡略化されている。技伝承システム自体、仲間をわざマシン扱いにしているだけのシステムとなっているため評価出来ない。 ---- **評価点 -人物一人一人の表情パターンが豊富。 -有名声優が多数参加している。 -主題歌である『The Giving Tree』は名曲。本当に名曲。 --ただ曲が良いというだけではない。きちんと本作の%%目指したかったのかもしれない%%テーマが、実際に表現されているモノよりよほど深く歌いこまれている。%%ぶっちゃけCD買えばいいだけ。iTunesやレコチョクのDL配信版は更にお得。%% --もしかしたらこの歌の方が本体で、本作は出来の悪いプロモーション作品だったのかもしれない。いっそそう思ってしまいたい。 ---- **総評 最大の問題点は『幻想水滸伝』の名を騙ったことだろう。一つのゲームとしてみればありふれた凡作にすぎないが、幻想水滸伝シリーズのファンからみれば期待はずれの愚作であったと思われる。~ 過去の名作にあやかるという手法は『[[ヌギャー>神代學園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア]]』を髣髴させる販売戦略だが、信用を失ってまでシリーズファンの失望をかった今作はシリーズそのものの終焉を暗示させている。~ 『ティアクライス』から導入された「百万世界」の概念自体、従来作とまるで接点のない世界観を、片端から『幻想水滸伝』扱いするための布石だったのではないかとも懸念される。~ 無数に存在している平行世界の一つとさえ言い張れば、それ以上の共通点は一切要求されないからだ。次回作では108星の概念すら消滅しているかもしれない。 ----
*幻想水滸伝 紡がれし百年の時 【げんそうすいこでん つむがれしひゃくねんのとき】 |ジャンル|ロールプレイング|&amazon(B006D7LIL4)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル |~| |発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~| |開発元|GAE(グローバル・A・エンタテインメント)|~| |発売日|2012年2月9日|~| |定価|UMD版:5,980円&br()ダウンロード版:5,480円(税込)|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |分類|''黒歴史ゲー判定''|~| |ポイント|''幻想水滸伝の名を騙った別ゲーム''&br()RPGというよりもADV&br()練り込まれていないストーリー&br()仲間という名のわざマシン|~| |>|>|CENTER:[[''幻想水滸伝シリーズリンク''>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1136.html]]| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -『幻想水滸伝』シリーズの最新作。移植を除けば初のPSP専用の幻想水滸伝として話題を誘った作品。 -「百万世界」の内の一つで繰り広げられるストーリー。 --舞台は結界で閉ざされた小国アイオニア。この国では100年毎に一度、「100年目の怪物」と称される化け物が結界を破って侵入してくる問題があった。怪物に対抗するため、主人公は謎の少年ゼフォンの導くままに過去へと遡り…。 --今回の話は「時代樹」という木の力により100年前へ遡り、過去を改変したり古人の技を伝承して強くなる。タイムパラドックスものの色が強いストーリーになっている。 --なお「百万世界」には従来シリーズの紋章世界や、[[ティアクライス>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/522.html]]の世界観も内包されている。ただしあくまでも「無数にある平行世界の中の一つ」としてであり、実質的な接点は存在しないと言っていい。 ---- **問題点 ***タイトル詐欺 -『幻想水滸伝』と名前がついているだけで、シリーズとはかけ離れた全く別のゲームと化している。新機軸の幻想水滸伝とみるにはあまりにも要素が薄く、名前だけを借用したかのような印象を受ける。 --紋章が存在せず、魔石を用いて魔法を発動する(これは世界が違うので仕方ないが…)。 --骨董品や交易品の取引、風呂イベントや料理対決イベント、さらには『2』におけるクライブイベント((一定のプレイ時間までに遭遇しなければならない一種の時限イベント。通常のプレイではメインストーリーのグッドエンドを諦めなければならないほどシビアな時間制限がくまれており、話としても人気が高いサブイベントとなっている。))のような、サブイベントも存在しない。 --本拠地の進化はなく、仲間を集めると施設が開放されるだけ。 --探偵・目安箱・本拠地での会話といった要素は未搭載。 --そもそも主人公たちは戦争をしていない。 --シリーズおなじみのレックナート、ジーン、ビッキー、ユーバーといった特別な人物がいない。世界が違うといっても、こいつらは時空転移や特別な能力をもっているため出ても不思議ではなかった。((前作(ティアクライス)の時点で既に出ていなかったのではあるが。)) ---という具合に、幻想水滸伝シリーズお馴染みの要素が全くと言っていいほど存在しない。 -シリーズ従来作どころか、「水滸伝」の面影すらもほとんど感じられない。仮にも水滸伝の名が冠されている手前、そこはどうなのか。 --「108星の英雄が本拠地に集う」だけでも最低限の面目は立つというのに、それすら達成できていないという惨状(後述)。もちろんのこと、それ以外の要素によって水滸伝らしさが織り込まれているわけでもない。辛うじて、宿星の名を冠した登場人物が108人登場するという意味でだけなら、かすかに面影が残されていると言える。 --水滸伝の水滸とは水の滸(ほとり)を表す言葉であり、シリーズでは本拠地は水に関係する場所に存在していたが、この作品ではただの城が本拠地となっている。それっておかしくないかな。 ***108人の仲間 -大半が名前だけでの出演 --「既に亡くなっている」「いるのに登場しない」「遺物だけ」という扱い。中には砂礫に埋もれたガラクタを調べただけで108星に登録される者もいる。エンディングでは仲間たちのその後が表示されるが、大半が誰だこいつ状態。仲間? 何それ? --戦闘に参加出来るのは25人余り、最終的に組めるメンバーは18人。過去の人物は全て一時的な仲間に過ぎず、基本的に現代の仲間でしかパーティを組むことができない。 ---戦闘技以外の技伝承は、条件が揃った状態で過去の宿星に話しかけると、謎の光によって現代の宿星へ伝承されたことになる。これだけで技伝承が済んでしまうため面白みもあったものではい。しかも大抵の宿星はそれで用無しになってしまう。ポケモンのわざマシンと変わらない。 ---やたら「剣の達人」「魔術の達人」「薬のエキスパート」「弓の達人」「格闘術の達人」…と達人が多いのが特徴。その達人ぶりは戦闘やストーリーでは垣間見える事はほとんどなく死に設定になっている。それでいて、遊び人やギャンブラー、探偵、発明家、学生といった一般市民からの仲間がほとんどいない。 -108人集めるというより登録するだけ --仲間は現代、100年前、200年前に散らばっているが、本拠地に集まる事が出来るのは現代の仲間だけで、あとは一時的にパーティに加わるか技を教えてくれるだけの存在になっている。 --過去へさかのぼることができるのは現代のメンバーだけで、過去の108星を連れてきて仲間にするということはできない。200年前と100年前の宿星同士の交流や伝承も無いため、実質的な仲間は現代のメンバーのみ。 --108人全員登録した所でエンディングが少し分岐するだけでストーリーには深く関与せず、どちらのエンディングもグッドエンディング的な終わり方であるため、仲間を集める必要性自体感じられない。 ---強制加入の仲間以外を無視してストーリーを進める事も出来るが、最終決戦の際に初見の人物が何食わぬ顔で戦闘に参加することになる。己はカブトボーグのマンソンか。 -プレイヤーを置いてぼり --仲間の中にはモブと見分けが付かないものや、「老人だから頑固臭い」「女騎士だから堅物」など、ありふれたステレオタイプな性格付けをされており魅力的な人物が少ない。出るたびに面白くもない常套ギャクをいう老人や筋肉バカな肉体派村長など、個性を出そうとするあまり逆にうっとしい人物も…。 --「やぁ、ひさしぶり! 前の戦いは激しかったね」「そうだな! お前もかわってないな! HAHAHA!」…といった感じにプレイヤーを置いてけぼりにして中の人物が勝手に盛り上がる光景が多い。特に過去の宿星は主人公すら放って勝手に盛り上がる始末。まるで同人誌のよう。 -宿星以外の仲間や一般兵士は存在しない。ストーリーで戦争が起こっても主人公達は「遊軍(一種のゲリラ)」という名目により、パーティメンバーだけで散発的な戦闘をするのみ。 ***ストーリー -イベント --ほとんどのイベントは会話シーンで済まされる。RPGというよりADVに近い。 --人物はポリゴンモデルで表現されているが、会話の場面ではキャラクターイラストによる表現が用いられる。キャラクターイラストのバリエーションは豊富でボイス量も多いのだが、延々と会話シーンでイベントがこなされるため、ユーザーによってはボイスが要らないと感じる事もある。 ---そのポリゴンもイラストとの落差が激しく、女性キャラに至っては目が大きすぎて気持ち悪い者も。人外系のキャラは再限度が高いのだが… --所々に選択肢が発生するが、仲間の好感度がかわるだけでストーリーは何もかわらない。 -「時代を変える」ことへの希薄さ。 --タイムパラドックスを起こすことに対し問題意識や疑問を抱くのは主人公ぐらいなもので、時代改変自体がただの便利手段にしかなっていない。題材はいいのに調理が勿体無い。 --結局の所、主人公たちは自分達の都合で好き勝手に歴史を変えるだけの存在になってしまっている。 ---特に、ワイバーンに橋を落とされて先に進めなくなったという理由で、過去に戻り''その時点ではまだ何もしていないワイバーンを殺す''のは、あまりに安易な歴史改変だと批判も多い。 -戦争要素が希薄。 --プレイヤー自身が軍を指揮して敵軍とぶつかるということがない。戦が終わって廃墟になった町がある他は、文章中で表現されるだけに留まっている。このため軍師キャラも軍師じゃなくて隠密のような役割になっている。 --主人公たちは軍と形容するには規模も設備も乏しく、贔屓めに見ても村の青年団レベル。それなのにやたら危険視される。 --敵も味方も戦略が皆無。 -群像劇ではない --シリーズでは敵にも戦う理由、信念があったが、今作では主人公と相対した時に場当たり的な理由が説明される敵ばかり。キャラクターがストーリーを説明するだけの傀儡になっているという声もある。 --主人公も、復讐の動機があるのに最初から「復讐なんてだめだよ」と達観しているため人間的に成長する場面が無い。それでいて最初から他の仲間や要人から「さすが」「たいしたヤツだ」とほめられっぱなし。 ***戦闘 -単調な戦闘 --幻想水滸伝シリーズでは、コマンド入力後に素早さの速い順で敵味方が行動する独自のターン制コマンドバトルであったが、このゲームの敵は一体ずつ行動を起こすようになっているため、やたら時間がかかる。『1』よりも劣化している有様。 --動きがもっさりとして鈍い。モーション自体がゆっくりめかつテンポが悪い。 --「協力攻撃が復活した!」という触れ込みだったが、「テルベの里魂」とか「仲良し2人組」といった表示がでるだけの一斉攻撃であり、専用モーションもない。バリエーションもかなり少ない上、秀でた威力や効果ももっていないためわざわざ使う必要自体ない。 ---そもそも協力攻撃は、直近かつ直系の前作ティアクライスにだって導入されている。あちらは使い回しこそ多いがちゃんと専用のモーションが入るし、独自の攻撃範囲やユニークな効果を持つものも多かった。 -編成 --隊列も設定できるが意味は無い。前衛や後衛の概念が無く、どこに配置してもからない。しかもパーティメンバーを一人でも変えるだけで全員の隊列がリセットされ、またセットし直さなければならない。地味に鬱陶しい仕様。 --だれでも扱える回復アイテムが削除。「くすり」は薬剤師専用にしか扱えなくなったため、どうしても回復タイプのメンバーに頼らなければならない。 --シリーズでは紋章により魔法が使えるようになっていたが、紋章は「二回攻撃」「ステータス変更」といった攻撃補助の効果をもつものもあった。今作では魔法は魔石による魔術に置き換わっているが、攻撃補助の紋章の代替は一切存在していないためプレイヤー自身ができることがすくない。 --魔法の効果をもつ札アイテムも存在しない。 ***フィールド、ダンジョン -自由に歩き回れない町やフィールド --町は一枚絵で、ポイントをカーソルで選んで移動するサモンナイト方式であり、町中を探索する事が出来ない。 ---一つだけ動き回れる村があるが、村というより山中の休憩所にしかみえないほど寂れている。そこでは人と会話できるだけで、アイテム屋や宿屋もない。ラストリベリオンに出てきた町に近い。 --フィールドも一枚絵で、話が進む程進行出来るルートが増えていくシステム。こちらもカーソルで移動するタイプのため、自由に動き回ることができない。 --本拠地はポリゴンで作られているものの、移動システムは変わらず選択肢式なので一枚絵と同じ。せめてカメラを回すとかして、立体モデルを活用すればいいのに。 ---特定の仲間をあつめることで武器屋や防具屋などが開店するようになっているが、本拠地自体の変化や仲間以外の人物が増える事は一切ない。 ---本拠地に一度入ると休憩しなければ外に出られない謎仕様のため、本拠地に戻る度に余計な時間消費を強いられることになる。 --ただし選択肢式の移動システムそのものは、無駄に歩き回らされるよりユーザーフレンドリーであると擁護できなくもない。 -とても歩きにくいダンジョン --カメラが人物に近く、周りの状況が分かりにくい。 --カメラの操作方式は何故かモンスターハンターのように十字キーで行う仕様のため、慣れない人にはとことん辛い。 --L+□で左、L+○で右にカメラが回る不思議な設定。LRボタンだけでカメラ回転できてもよかったろうに、どうして無駄な手間をかけさせるのか。なお単独のLRボタンには、なんの機能も割り当てられていない。 --狭いステージは非常に狭く、長いステージは非常に長いと両極端。通路がせまくカメラワークも悪いため、敵シンボルを回避しづらい。 --人物のポリゴンより大きく当たり判定が設定されているため、壁にひっかかったり避けた敵て捕まることがよくおこる。 ***その他 -セーブ画面 --デフォルトで既存のセーブデータの一つ下が選択されているため、誤って無駄な新規データを作ってしまう恐れがある。なんでこんな仕様にしたんだ。 -システム面の進歩が無い --シリーズおなじみの要素は悉く削除されているのに追加されたシステムは技伝承システムぐらいなもので、端的にいえば『1』よりもシステムが簡略化されている。技伝承システム自体、仲間をわざマシン扱いにしているだけのシステムとなっているため評価出来ない。 ---- **評価点 -人物一人一人の表情パターンが豊富。 -有名声優が多数参加している。 -主題歌である『The Giving Tree』は名曲。本当に名曲。 --ただ曲が良いというだけではない。きちんと本作の%%目指したかったのかもしれない%%テーマが、実際に表現されているモノよりよほど深く歌いこまれている。%%ぶっちゃけCD買えばいいだけ。iTunesやレコチョクのDL配信版は更にお得。%% --もしかしたらこの歌の方が本体で、本作は出来の悪いプロモーション作品だったのかもしれない。いっそそう思ってしまいたい。 -終盤に世界の真実が明らかになった後のストーリー展開は盛り上がりがあり、評価する声も多い。 --ただし、中盤までの展開の几帳さや安易な歴史改変の多さなどシナリオ面の問題点が多いため、津川氏が過去に手掛けた『エターナルアルカディア』『幻想水滸伝V』『幻想水滸伝ティアクライス』などと比べるとクオリティが下がっていると言わざるを得ない。 ---- **総評 最大の問題点は『幻想水滸伝』の名を騙ったことだろう。一つのゲームとしてみればありふれた凡作にすぎないが、幻想水滸伝シリーズのファンからみれば期待はずれの愚作であったと思われる。~ 過去の名作にあやかるという手法は『[[ヌギャー>神代學園幻光録 クル・ヌ・ギ・ア]]』を髣髴させる販売戦略だが、信用を失ってまでシリーズファンの失望をかった今作はシリーズそのものの終焉を暗示させている。~ 『ティアクライス』から導入された「百万世界」((一応IIIの時点で百万世界の設定自体はあったものの、ストーリーに深く関わってくる事はなかった。))の概念自体、従来作とまるで接点のない世界観を、片端から『幻想水滸伝』扱いするための布石だったのではないかとも懸念される。~ 無数に存在している平行世界の一つとさえ言い張れば、それ以上の共通点は一切要求されないからだ。次回作では108星の概念すら消滅しているかもしれない。 ---- **余談 -本作のパーティメンバーであるデューカスは、兄貴分ポジション、声優が小西氏である事、名前など、前作で初期こそ良き兄気分であったもののあっさり敵に洗脳されて裏切ったヘタレキャラであるディルクとの共通点が多く、~ 多くのプレイヤーから裏切ると予想されていたが最後まで良き兄貴分であったため良い意味でプレイヤーの予想を裏切ったキャラクターであると言える。 ----

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