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*冬のロンド
【ふゆのろんど】
|ジャンル|恋愛アドベンチャー|~|
|対応機種|Windows 2000/XP/Vista|~|
|発売元|DIVA|~|
|販売元|ホビボックス|~|
|発売日|2008年10月31日|~|
|価格|9,240円(税込)|~|
|レーティング|CSA:18歳未満禁止|~|
//|分類|''クソゲー判定''|~|
|ポイント|良い素材が手抜き調理の所為で台無しに&br()魅力的だがツッコミどころも満載な世界観|~|
#contents(fromhere)
----
#center{&size(35){''WARNING!!!!!!!''}&br()&size(20){''本作は18歳以上のみ対象のアダルトゲームです。''}}
**概要
大手アダルトゲーム会社F&Cの重鎮だった金杉肇氏が、同社から独立して新設したブランド「DIVA」の処女作。~
ブランド名がDIVAすなわち日本語で「歌姫」を意味する通り、本作はヴォーカリストや作曲家の豪華さをウリとしている。~
**作品概要
''ストーリー''~
~
父親の再婚によって雪降るヨーロッパの小国ルミアウラで暮らすことになった主人公。~
そこで待っていたのは再婚相手の子である美少女で優しくてなおかつ姫君という新しい姉妹たちと((ルミアウラ国王の弟と外国人女性との間に生まれた子。父親であるルミアウラ国王の弟は既に死んでいる。))、貧しいけれど純朴な人々。~
水道も電気もネットもないけれど満ち足りた日々を過ごしていくうちに、彼女たちに姉妹以上の感情を覚える主人公だったが知らなかったのである。~
姫君という立場故に課せられた定めを...。~
''舞台設定''
-ストーリーでも軽く触れた通り、本作はルミアウラを舞台に進行する。総じて中世の趣を色濃く残す小国と思えばよい。
--日本から飛行機と鉄道を乗り継いで40時間もかかる、北極圏にほど近いヨーロッパの小国。
--主産業は林業。
---それだけでは国が立ち行かないので、ありていに言えば「''王家の姫を世界各地の王家や有力者に嫁として売り飛ばす''」事で国を保ってきた。
--慢性的な電力不足のため、電気は一部公共機関のみ通っている。上流階級である主人公の家も暖炉やランプが頼りである。
--冬場は極寒のせいで凍結するため、水道や井戸水も使えず、片道徒歩一時間以上もかかる山奥まで歩いていって水を確保する。
--学校に通えるのは国民の4割ほどである。授業は午前中のみ行われ、午後は子供たちも労働に勤しむ。教師はボランティアである。
--移動手段は徒歩もしくは馬。
--固有の武力・軍事力は騎士団のみ。これが他国における警察及び軍隊に相当する。
--建国当初は国民が少なかったので、近親婚が当前のように行われていた。
---そのため、本作では、近親婚に伴うタブーは軽く触れられるのみで問題とはならない。
**評価点
''魅力的なキャラクター''
-見た目はちびっこだけどきちんと姉している長女。優等生だけどヤキモチな次女、寡黙な読書家だけど気配りの効く三女、見た目は美女だけど中身は甘えんぼな四女といった具合に定番を抑えつつも変化を加える形で、テキストだけでも魅力的に書けている。
''暖かみのある世界観''
-テキストの質は高く、異郷の描写もしっかり書けている。気温こそ低くて寒いが、人の暖かみを感じさせる居心地の良い魅力的な世界に仕上がっている。
''歌曲・BGM''
-ウリとしているだけあり、相応に高品質のものが揃っている。
**問題点
''舞台設定の稚拙さ''
-例えば、ルミアウラの日の出が日本とほぼ変わらない。
--基本的に北極に近づけば近づくほど日照時間の変動が激しくなる。夏は日照時間が長い代わりに冬場は短くなる。つまり、日本よりも日の出が遅く、日の入りが早くなければ不自然になるのだが、ゲーム中では日本と変わらないように感じる。
---このために、冬の''ロンド''というタイトルが不自然だと見る向きもある。
-現代のヨーロッパでありながら中世風の国家であるルミアウラだが、それゆえに現代的な価値観では納得しづらい描写もある。
--姫を金持ちに嫁として売り飛ばして国を保つという事実上の人身売買が(現代的・国際的な価値観では)通用するというのが、かなり無理がある。
---ヨーロッパのリヒテンシュタインのように切手を発行したり、(倫理上問題はあるが)法人税を低く設定してタックス・ヘイブンになったりすることもできただろうに。
--現実の小国の実態がかなり悲惨な事を割り引いても、ろくな財政再建もせず、国際的な支援も受けず、人身売買のみで国家を支える方針を取り続けている君主や政治家達は一体なにをしやっていたのだろうか。
-「日本から飛行機と鉄道を乗り継いで40時間もかかる」というルミアウラという国
--一例として日本からスウェーデンまで飛行機で14時間半かかることを差し引くと、残り25時間余りを鉄道に費やすことになるが、ノルウェーの北端フィンマルク県まで首都ストックホルムから13時間で行ける。ロシアにおいて考えた場合も矛盾が生じる。つまり、''ルミアウラは地球上のどこにも条件を満たす場所がない。''
--地理の知識が少しでもあれば違和感を感じさせる設定である。
--無理矢理解釈するなら「この世界における交通機関が現実世界と比較して著しく発展が遅い」ということなのだろうか。
''シナリオ''
-実質的に個別ルートがない。シナリオの90%が共通ルートと思えば概ね合っている。
#region(シナリオの核心に関するネタバレ)
-本作は、主人公がヒロインの許婚との決闘に勝利してヒロインと結ばれるという流れなのだが、次女以外の許婚が登場しない。そのため、長女や三女らの攻略を目指しても、彼女らの許婚とは無関係な次女の許婚と戦う事になる。
--次女を攻略するのならば問題ないが、それ以外のヒロインの場合は「オレは次女を攻略しているはずだったのに、気がついたら別の女の子と結ばれていた」という展開になり、敗れた次女の許婚が身を引いてしまうため、次女の立場も不自然なものになる。
-また、そのような重たい運命を課せられた姫と結婚するためには、姫を売り飛ばさなくても生きていけるだけの道筋を主人公が提示しなければならない。しかし、主人公は提示できておらず、エンディング間近になってもなあなあで済まされている。
#endregion
**総評
グラフィック・文章力・音楽はいずれも申し分なく、世界観も魅力的である。~
しかし、シナリオ構成は手抜きと言われてもやむを得ないものであり、現代のヨーロッパでありながら中世風の国家を描写するという挑戦も成功したとは言い難い。総じて、シナリオ面はツッコミどころが多い。ただし、テキストの質は高いため、読むに堪えないという事はない。~
結論としては、シナリオはお粗末だが、クソゲーとまで言えるほどの不具合はなく、キャラクターや世界観を魅力的に描く事には成功しており、よくある凡作・駄作というのが妥当だろう。~
また、名作となれる要素が多々ありながら、それらを活かし切れなかった点に重きを置いて「設定の調理に失敗した勿体ない作品」と評する者もいる。
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*冬のロンド
【ふゆのろんど】
|ジャンル|恋愛アドベンチャー|~|
|対応機種|Windows 2000/XP/Vista|~|
|発売元|DIVA|~|
|販売元|ホビボックス|~|
|発売日|2008年10月31日|~|
|価格|9,240円(税込)|~|
|レーティング|CSA:18歳未満禁止|~|
//|分類|''クソゲー判定''|~|
|ポイント|良い素材が手抜き調理の所為で台無しに&br()魅力的だがツッコミどころも満載な世界観|~|
#contents(fromhere)
----
#center{&size(35){''WARNING!!!!!!!''}&br()&size(20){''本作は18歳以上のみ対象のアダルトゲームです。''}}
**概要
大手アダルトゲーム会社F&Cの重鎮だった金杉肇氏が、同社から独立して新設したブランド「DIVA」の処女作。~
ブランド名が日本語で「歌姫」を意味する通り、本作はヴォーカリストや作曲家の豪華さをウリとしている。~
**作品概要
''ストーリー''~
~
父親の再婚によって雪降るヨーロッパの小国ルミアウラで暮らすことになった主人公。~
そこで待っていたのは再婚相手の子である美少女で優しくてなおかつ姫君という新しい姉妹たちと((ルミアウラ国王の弟と外国人女性との間に生まれた子。父親であるルミアウラ国王の弟は既に死んでいる。))、貧しいけれど純朴な人々。~
水道も電気もネットもないけれど満ち足りた日々を過ごしていくうちに、彼女たちに姉妹以上の感情を覚える主人公だったが知らなかったのである。~
姫君という立場故に課せられた定めを...。~
''舞台設定''
-ストーリーでも軽く触れた通り、本作はルミアウラを舞台に進行する。総じて中世の趣を色濃く残す小国と思えばよい。
--日本から飛行機と鉄道を乗り継いで40時間もかかる、北極圏にほど近いヨーロッパの小国。
---日本からの所要時間に引っかかる人も居るだろうが、便数や本数が少ないため乗り継ぎに時間が掛かると解釈すれば、別に不自然な事ではない。海外では良くある事である。
--主産業は林業。
---それだけでは国が立ち行かないので、ありていに言えば「''王家の姫を世界各地の王家や有力者に嫁として売り飛ばす''」事で国を保ってきた。
--慢性的な電力不足のため、電気は一部公共機関のみ通っている。上流階級である主人公の家も暖炉やランプが頼りである。
--冬場は極寒のせいで凍結するため、水道や井戸水も使えず、片道徒歩一時間以上もかかる山奥まで歩いていって水を確保する。
--学校に通えるのは国民の4割ほどである。授業は午前中のみ行われ、午後は子供たちも労働に勤しむ。教師はボランティアである。
--移動手段は徒歩もしくは馬。
--騎士団が存在する。これが他国における警察及び軍隊に相当する。
--建国当初は国民が少なかったので、近親婚が当前のように行われていた。
---そのため、本作では、近親婚に伴うタブーは軽く触れられるのみで問題とはならない。
**評価点
''魅力的なキャラクター''
-見た目はちびっこだけどきちんと姉している長女。優等生だけどヤキモチな次女、寡黙な読書家だけど気配りの効く三女、見た目は美女だけど中身は甘えんぼな四女といった具合に定番を抑えつつも変化を加える形で、テキストだけでも魅力的に書けている。
''暖かみのある世界観''
-テキストの質は高く、異郷の描写もしっかり書けている。気温こそ低くて寒いが、人の暖かみを感じさせる居心地の良い魅力的な世界に仕上がっている。
''歌曲・BGM''
-ウリとしているだけあり、相応に高品質のものが揃っている。
**問題点
''舞台設定の稚拙さ''
-北極圏にほど近いヨーロッパの小国が舞台の割には、色々と詰めの甘いところが見られる。
--例えば、ルミアウラの日の出が日本とほぼ変わらない点である。基本的に北極に近づけば近づくほど日照時間の変動が激しくなる。夏は日照時間が長い代わりに冬場は短くなる。つまり、日本よりも日の出が遅く、日の入りが早くなければ不自然なのだが、ゲーム中では日本と変わらないように感じる。
---故に、『冬の''ロンド''』というタイトルが不自然だと見る向きもある。
---逆に、「架空の国家が舞台なのに、地理や自然にまでツッコミを入れ過ぎだろう」という意見もある。
-ルミアウラの価値観が現代日本の価値観では納得しづらいところが見られる。
--そもそも、シナリオの核でもある、姫を金持ちに嫁として売り飛ばして国を保つという事実上の人身売買が通用するのが無理がある。現実の小国の実態がかなり悲惨な事を割り引いても、財政再建もせず、国際的な支援も受けず、人身売買のみで国家を支える方針を取り続けている君主や政治家達は一体何をしていたのだろうか。
---ちなみに、リヒテンシュタインのように切手を発行したり、(倫理上問題はあるが)法人税を低く設定してタックス・ヘイブンになる等の方法がある。
---架空の国家が舞台なので、結局はリアリティとファンタジーのバランスの問題なのだが、「''ヒロインを売る''」という印象が強すぎ、バランスが取れていないという事だろう。
''シナリオ''
-実質的に個別ルートがない。シナリオの90%が共通ルートと思えば概ね合っている。
#region(シナリオの核心に関するネタバレ)
-本作は、主人公がヒロインの許婚との決闘に勝利してヒロインと結ばれるという流れなのだが、次女以外の許婚が登場しない。そのため、長女や三女らの攻略を目指しても、彼女らの許婚とは無関係な次女の許婚と戦う事になる。
--次女を攻略するのならば問題ないが、それ以外のヒロインの場合は「オレは次女を攻略しているはずだったのに、気がついたら別の女の子と結ばれていた」という展開になり、敗れた次女の許婚が身を引いてしまうため、次女の立場も不自然になる。
-また、そのような重たい運命を課せられた姫と結婚するためには、姫を売り飛ばさなくても生きていけるだけの道筋を主人公が提示しなければならない。しかし、主人公は提示できておらず、エンディング間近になってもなあなあで済まされている。
#endregion
**総評
グラフィック・文章力・音楽はいずれも申し分ない。現代のヨーロッパでありながら中世風の国家を描写するという挑戦が成功したかは賛否が分かれるものの、少なくとも世界観が魅力的である事は間違いない。~
しかし、シナリオ構成は手抜きと言われてもやむを得ないものであり、総じてシナリオ面はツッコミどころが多い。~
結論としては、シナリオはお粗末だが、クソゲーとまで言えるほどの不具合はなく、キャラクターや世界観を魅力的に描く事には成功しており、よくある凡作・駄作というのが妥当だろう。~
また、名作となれる要素が多々ありながら、それらを活かし切れなかった点に重きを置いて「設定の調理に失敗した勿体ない作品」と評する者もいる。