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ペーパーマリオ スーパーシール - (2013/04/05 (金) 20:02:11) の1つ前との変更点

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//追記があればお願いします *ペーパーマリオ スーパーシール 【ぺーぱーまりお すーぱーしーる】 |ジャンル|シールバトルアドベンチャー|&amazon(B009LUDMJQ)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|任天堂&br()インテリジェントシステムズ|~| |発売日|2012年12月6日|~| |定価|4,800円(税込)|~| |プレイ人数|1人|~| |分類|''黒歴史ゲー''|~| |ポイント|悪い意味でタイトル通りのペーパーボリューム&br()前作までにあった好評な要素の削除&br()従来ファンの期待を完全に裏切った&br()|~| |>|>|CENTER:''[[マリオシリーズ関連リンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/342.html]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ペーパーマリオシリーズ第4作。シリーズ初の携帯機向けゲームソフトとなる。~ 初報から3年近く待たされ、5年ぶりの新作となるタイトル。しかし、いざ発売してみると…。 **あらすじ シールの街、ラベルンタウンで年に一回開催される「シールフェスタ」。今回はゲストとしてピーチ姫とマリオもやってきた。~ フェスタも佳境に差し掛かった中、願いをかなえるという「ロイヤルシール」が降ってきた。~ するとロイヤルシールを我が物にせんと大魔王クッパとクッパ軍団がシールフェスタに乱入してきた。キノピオ達の制止を振り切りクッパはロイヤルシールを入手する。~ しかしクッパの様子がおかしい。ロイヤルシールの魔力に憑かれ、「ギラギラ」しはじめ、会場で散々暴れた末にキノコ王国のあちこちでシールを使ったいたずらを始めだした。~ マリオはシール星からやってきたという「ルーシー」と共に各地に散らばったロイヤルシールを集め、クッパの暴走を止める新たな冒険に出た。 **システム -ぱっと見は従来のペーパーマリオに近いRPGだが、ジャンルにもあるとおり、謎解き、バトルはすべてシールで行う仕様。 --だが、この新しいシステムが''ありとあらゆる面でこれまでのシリーズには無い不親切・理不尽さを付き纏わせている。''詳細は後述する。 -前作『スーパーペーパーマリオ』に引き続き、今回も用意されたコースを順にクリアしていく、アクションゲーム寄りの構造になっている。 --今作では新たに2Dマリオシリーズで見られるようなワールドマップ制が採用され、コース間の移動も簡素でスムーズなものとなった。 -今回は登場人物全てが紙やシールで出来ているという設定。各々のコースも本当に紙やダンボールで作られているかに見えるように設計されており、そういった材質の特徴を取り入れた演出やギミックがこれまでのシリーズ作より更に増えている。 **新要素 ''ぺパライズ''~ -コース上においてマリオが使用できる能力。 -使用すると画面上のコースが1枚の紙に変化し、紙にカーソルが表示されている場所に、持っているシールや「マップピース」を貼ることができる。 -正しいシールやマップピースを貼ったりはがしたりすることで仕掛けが動いたり、さまざまな変化を起こすことができる。 -今作の肝となるシステムであり、謎解きの中心になる。 ''バトルシール''~ -今作では、基本攻撃やFP((従来のペーパーマリオにおいて、技を使う際に消費するポイント。))の概念が存在せず、手持ちのバトルシールや後述の「モノシール」を消費してハンマーやジャンプ、特殊攻撃を行う。 -つまり、''通常攻撃ですら消耗品''というシステムなのである。ただし入手量は多く、無駄遣いしなければ完全に底をつくということは少ない。 -バトルシールはコース上で拾ったり、ショップで買ったりして集めることができる。 -今作ではマリオのRPGシリーズではお馴染みのアクションコマンドシステム((攻撃するときに指示された通りの操作をする(タイミングよくボタンを押す、スティックを回すなど)と攻撃力アップ、攻撃をガードなどの恩恵が得られるシステム。))を再び採用した、のだが……(後述)。 ''バトルスロット''~ -今作のサポートキャラ「ルーシー」によって使用できる能力。 -バトルにおいて、マリオの毎ターン開始時にコインを消費することで使用するか決めることが出来る。 -基本的に普通のスロットと同じ内容であり、絵柄が揃うことでその数だけ行動回数が増える(2つ絵柄揃ったらこのターン2回行動できる)。 --また絵柄が3つ揃った場合、その絵柄に応じて効果も得られる。 --スロット回転中にさらにコインを消費することで、回転が遅くなったり、すでに絵柄が2つ揃った状態で始めることができる。 -スロットシステム自体は過去作『ペーパーマリオRPG』にも存在した。 ''モノシール''~ -「バトルシール」同様に「ぺパライズ」やバトルで使用することの出来るシール。 -コース上に唯一立体で存在し手に入れることができる「モノ」と呼ばれるものを、「モノなげや」にもって行くことでシールとして入手できる。 --「モノ」にはさまざまな種類があり、「せんぷうき」や「はさみ」、はたまた「まねきねこ」などすべて現実世界に実際に存在するものである。 -「ぺパライズ」で貼り付けて使用することでコースのギミックを動かしたり、~ バトルで使用することで敵に大ダメージを与えたり、攻撃力が2倍になったり、相手の技を跳ね返すといった様々なアクションが起こる。 **問題点 -全体的に、本作は過去作とはシステム面で大きく毛色が違う。戦闘・育成より収集・探索・謎解きに重点が置かれており、どちらかといえば「ゼルダの伝説」を思いださせるようなゲーム性である。 ''バトルシステムについて''~ -前述した「バトルシール」を使ってバトルを行うのだが、このシステム、裏を返すと''シールがすべて無くなれば「逃げる」以外に何も出来なくなる''。 --以前にあった「アピール」「ぼうぎょ」といったコマンドが消滅し、''「何もしない」といった行動が出来ない''ため、シール消費は必ず行うことになる。 ---状態異常・もしくは相手の属性・行動のせいで攻撃が殆ど当たらないという状況下であっても、何らかのシールを無駄に消費する必要がある。 --一応バトル中でもアクションコマンドを成功させることで補給できる時があるが、入手タイミングも入手出来るシールもランダムである為、シールが尽きかけている状況ではどの道ジリ貧に陥ってしまう。 -また、アクションコマンドについても以前までは、「スティックをタイミングよくはじく」、「コマンドを正しい順に押す」といったものがあったが、~ 今作はすべてのアクションをAボタンで行うため、アクションに味がなくなってしまっている。 --そのアクションにも、ただAボタンをタイミングよく押せ!と説明に書いてあるばかりで詳しいタイミングは表示されないので、シールのアクションに慣れるまで時間がかかる。 --今までは各アクションごとに説明文がついていたのだが、今回は説明どころかチュートリアルらしいチュートリアルもない。 --その上アクションの練習をしようにも、どんなアクションでも毎回必ずシールを消費してしまうので気軽に行えない。まさに初心者に鞭を打つかのような仕様。 -ペーパーマリオRPGで搭載されていたカウンター技であるスーパーガードも削除されている。 --一応特定のシールを使うことで、アクションコマンドによって攻撃を回避したりすることはできる。しかしマリオは一回行動なのでそのターンはそれ以外の行動ができない。 //-バトルスロットについても使用しないとまずまともに戦えない。 //--使用キャラがマリオ一人だけなのに対し、敵は複数出たりする。そのため、ほぼ毎ターン使用しなければ体力が持たない。 //--ルーレットを回す動作や行動枠が増える演出を毎ターン見る羽目になるので、テンポの悪化に拍車を掛けている。 //全体攻撃などのシールが充実しているので、ボス戦はともかく雑魚でまで使わなきゃいけないなんてことはない。 -さらに今作では''経験値という概念が存在しない''。 --これまではスターポイントを集めることでHP、FP、BPのいずれかを任意で強化できたが、今作ではコース内に落ちている「体力UPハート」と呼ばれるアイテムを拾うことでHPのみが上昇していく。 -雑魚戦のメリットは、コースクリア後に手に入るコインの数が増える、ノーダメージでパーフェクトボーナスのコインがもらえる、など。どっちにしたってコインの入手くらいである。 --しかしコインは、コース上などでたくさん手に入り、消費数も少ないため、簡単に溜まる。 --一応特定の雑魚はそれに応じたシールを落とす(ノコノコなら甲羅、ハックンなら手裏剣、などといった具合)のだが、そこまで強力でもないし、戦闘でこちらの時間とシールも消費してしまうので割に合わない。 -バトルではシールの消費が多いこともあり、イベント戦を除き、''雑魚敵と戦う利点がまったくない''。シール消費を避けるため、ひたすら雑魚を回避する場面が多い。 --今作では逃げる事によってフィールド上からシンボルが消滅するため、手持ちのシールによっては逃げる方が効率よく戦闘を処理できる場合が多い(''後半は特に'')。 ---おまけに今作の雑魚敵は全体的に攻撃力が高く、しかも一回の戦闘で戦う敵の数までが多い。そのためまともに相手をしていても何も良いことが無い。 --上記に加えて雑魚敵はシリーズお馴染みのシンボルエンカウント形式。ある程度体力が上がるとジャンプ一発で倒せる様になっているが、マリオに向かって追いかけるタイプが多く上記の仕様から作業感を感じさせる。 -冒頭で本作は「ゼルダの伝説」に近いと評したが、「''敵に触れるたびRPG的な戦闘が挿入され、そのたびに矢やバクダンを消費して戦うゼルダの伝説''」をイメージして貰えれば本作の戦闘の問題点がわかってもらえるだろう。同作にも経験値の概念はなく、アイテムの収集によってのみ自己強化がなされる。しかしゼルダの戦闘はシームレスの上、ほぼ無制限で使える剣で斬るだけで大抵の敵はすぐ倒せる。そのテンポは雲泥の差である。 -総じて今作の戦闘はメリットよりデメリットの方が多く、極力避けるべき代物になってしまった。戦闘するにしても回避するにしても探索のテンポを悪化させてしまっている。 --これならいっそ前作のように、RPG的戦闘を完全に廃したアクションアドベンチャーにした方がまだマシである。 ''ぺパライズについて''~ -今回の謎解きにおいて重要な役割を持つが、これがとにかく''面倒くさい''。 --使用頻度の割に演出・操作不能時間が長い。ほとんどのコースで使う上、「とにかく怪しい所でペパライズ」という謎解きが多い今作では「行き詰まったらそこかしこでペパライズ連打」という行動を強要される場面が少なくない。 --シールを貼ったり剥がしたりするにしても、毎回マリオをチマチマと動かしてシールを貼る/剥がす操作が入る。テンポ悪すぎ。 --貼る方は視覚的に判りやすくなっているのだが、剥がす方はペパライズモードを呼び出さないとめくれかかっている部分が表示されず気付きにくい。 -貼り付けたシールは基本的になくなってしまう。これが当たり前のように見えて地味にいやらしい仕様。 --特定のシールを貼り付けないと先に進めないという場面が少なからずあるのだが、ここで不正解のシールを貼り付けてしまうと当然のようにそのシールが無駄になってしまう。 -何らかのシールを貼ると新しいシール入りのブロックが出る→適当にキラシールを張ってみる→コモンシールが手に入る、という明らかにバランスを間違えたような設計のギミックが存在したりする。 ''シールについて''~ -シールは持ち物のシールブックに張って持ち歩くことになるが、''シールの持ち数に上限が存在する''。 --シールごとに持ち物欄を占有する範囲が異なっており、基本的に強力なシールやモノシールは大きい。 --そのためコースのギミックを解く鍵である「モノシール」にシールブックが占有され、必然的にバトルシールの持ち数が制限されてしまう。 -何も考えずにバトルシールを使うとすぐになくなってしまい、ショップかコース内で収集することとなる。 --幸いシールはそこらに大量に貼られており、回収を怠らず、無駄な戦闘を極力行わなければそうそう底をつかない。 ---……のだが、貼られているシールはAを一秒ほど長押ししていちいち剥がさねばならない。一枚二枚ならともかく、十数枚集めようと思うと地味に面倒。 ---剥がそうとしている間に敵に接触され、温存しようとしていたシールを消費するなんていう本末転倒な事も起こり得る。 -バトルシールについても、アクションの単調化も含めもっさりしたものが多い。 --モノシールについてはバリエーションの豊富さもあって視覚的にも楽しい攻撃となる。だが当然使い捨てであり、入手方法が限られているうえ謎解きにも使うのであまり乱用はできない。 ---モノシールのもととなるモノは、コースの特定の場所で拾うか街で大量のコインを出して買うかして入手し、逐一シールに変換しなくてはならない。 ---しかも同じモノは2つ以上持てない。たとえばモノとしてでもシールとしてでも「せんぷうき」を持っていると、新たに「せんぷうき」は入手できない。 --補助アイテムなどは存在せず、体力回復もバトルシールで行うことになるのだが、なんと''非戦闘時には体力回復シールが使えない''。 ---今作は状態異常がかなり厄介(攻撃が殆ど当たらなくなる、全く動けなくなる上に被ダメージ率二倍等)なのだが、その''状態異常に至っては回復手段が一切無く''自然回復を待つしか無い。ひとたび状態異常にされたらそのままはめ殺しにされることもしばしば。 --ちなみに本作においてHPを回復する手段は、街やコースの各地に設置されている回復ブロックを叩くか、戦闘中にキノコのシールを使うのみ。 --前述の通り移動中にはキノコシールを使うことができないので、周辺に回復ブロックも無く、残りHPが僅かという状態に追いやられようものなら、その状態のまま自分から敵と戦いに行く必要がある。なんだそりゃ。 ''バトルのバランスについて''~ -このシリーズは伝統的に、HPなどの数字がかなりのデフレを起こしている((例を挙げれば過去作の初期HPはいずれも10、初代ラスボスのHPが99+回復技二回(30×2)。2作目では多少インフレを起こしたがそれでも一部のボスが三桁とやはり低め。))。本作も例外でなく、雑魚のHPは高くてもだいたい二桁で収まっている。 --のだが、その割にこちらの攻撃力がかなり高い。最初の雑魚であるクリボーなど基本のジャンプに成功しただけで倒れる。マリオとしては正しいがRPGとしては問題な脆さである。 --その傾向は終盤まで続く。むしろ全体攻撃などが充実してくるため、シール一枚で敵を一掃する単調な戦闘が続く。敵の攻撃力も高いので、そのぐらいのペースで殲滅しないと逆にこちらがピンチに陥ってしまう。 ---ゲームの性質上、戦闘がスムーズに終わるのは良いことかもしれないが、スムーズすぎてただの作業に成り下がっている。 --しかもこれは普通に手に入るシールで事足りる。終盤の雑魚敵でさえ中盤以降簡単に手に入るキラ(下から二番目)のシール一撃で倒せる。そのため雑魚戦ではレアな高威力シールは用なしである。 ---キラ以上のシールの威力はボス戦くらいでしか役に立つことは無いのだが、よっぽどのごり押しでも無い限り基本的に雑魚戦で用いるシールで間に合ってしまう。 ---更に言ってしまうと、今作はボス戦そのものがかなり少ないため、苦労して貴重なシールを手に入れたところで結局は持て余してしまうことが多い。 --メガキラ(最高ランク)クラスのシールはほとんどがコースの奥の方に隠されているため、ボス戦用に強力なシールを複数手に入れるためには、謎解きを済ませてあるとはいえ決して短いと言えないコースを何度もやり直す必要がある。 ---といってもデカキラ(上から二番目)クラスのシールは市販されているため、ロマン火力を求めでもしない限り必須事項というわけでもない。だが逆に言えば使い捨てシステムとレアリティのシステムがまるで噛み合っていないともいえる。 -また、今作のボスは雑魚敵の脆さに反して硬い。ワールド1からHPが90もある。ワールド3など300もある((過去作ならラスボス並の数字。前の注釈の通り、初代との比較ならワールド1ですらラスボス級である。こちらの攻撃力が上がっていることを差し引いてもそうとう硬い)) --これはそれぞれボスに弱点が存在し、それに適した「モノシール」を使うことで大ダメージを与えることが出来るシステムによる。 --しかし、ボスの弱点は戦う前にこれといったヒントも存在せず、場合によっては手探りで探すハメになる。 ---一応ルーシーが教えてくれる事もあるのだが、それは''数ターン後か、1回ボス戦で負けた後''である。事前にモノシールを用意する必要があるというのにこれは遅すぎる。 --もし、弱点の「モノシール」を持ち合わせていなければ、こちらがシール切れになるかボスを倒すまでジリ貧の戦いが繰りひろげられる。 ---しかもそれで倒しても、「シールを使いすぎ」とルーシーに文句を言われる。どうしろと。 --弱点が分かりやすいワールド4のボスならまだしも、他のワールドのボスや形態によって弱点が変わるラスボスは初見での突破は難しい。しかもただ使うだけでは駄目で、特定のタイミングで使わなくてはいけないシールもある。 --一応これらの対応策なのか、今作ではなんと、''ボス戦でも逃走が可能''。 ---とはいえモノはラベルンタウンや以前攻略したコースをいちいち回って集めなくてはならない。弱点を総当りしようとすると凄まじく面倒な作業となる。 ''仲間について''~ -今作では、シリーズおなじみの要素であった''共に戦ってくれる仲間は一切登場しない''。 --その為、ほとんどの戦闘において一対多の戦いを強いられる。 -また、前作まであった敵のステータスや情報を知る「ものしり」も完全に撤廃されてしまっている((HPだけは雑魚、ボスともに初めから表示されているが、攻撃力防御力及び弱点は不明。もちろん解説もなし))。 -そのため、前述したバトルシステムに加え、謎解きにもマンネリ化が進む。 -一応サポートキャラの「ルーシー」が登場するが、戦闘には参加せずフィールド上でアドバイスをくれるのみである。 ''各ワールドやコースについて''~ -1つの町を拠点として、いろいろな町やワールドに行くのがペーパーマリオシリーズ伝統であったが…。 -前述した通り、今作では2Dマリオシリーズと同じくワールドマップ制になった。 --そのため拠点となる町の存在意義や、この町のどこから次の場所にいけるかといった楽しみがなくなってしまった。 -従来の作品まではワールドおよび章は全部で8つあったが、今作ではワールドが6つしかない。 -コースの数についても、最高がワールド3の12コースであるのに対し、''なぜかワールド4以降、コースの数がやたら減る''。 -最終章であるワールド6では、なんと''たったの3コースしかない。'' --しかもその内6-1はただの門、くぐるだけで次コースに進める上に、6-3は実質中ボス、ラスボス戦のみなので''実際にじっくり攻略するコースは6-2だけ''である。 ---ではやり応えのある難易度や今までのギミックの集大成なのかというと、そんなことはなく、むしろ今までのコースよりやや短め。 ---実質クッパ戦しか存在しないクッパ城である6-3など拍子抜けも良いところである。 -コース自体も、''ショップがあるだけで終わるコース''など、まるで分ける意味の無いものも存在する。 ''キャラクターについて''~ -世界観の都合上なのか、''味方のモブキャラはキノピオ以外登場しない''。 --そのため、どのコースに行ってもキノピオだらけで、新鮮味が全く無い。過去作では、マリオシリーズの雑魚キャラが善良な一般市民として登場したりしていたのだが…… --オリキャラをあまり出さなかった初代でもキノピオ以外のモブはそれなりに登場していた。なぜ今作ではキノピオばかりになってしまったのだろうか…。 -敵側に関しても、クッパ軍お馴染みの敵しか存在せず、新しく登場した主要な敵キャラは「クッパJr.」ぐらいである。 --また、前々作までクッパの右腕だった「カメックババ」は登場せず、ただのカメックに差し替えられた。 ---カメックはワールド2-2で戦うことになるが手持ちのシールがどういうわけかカメックの魔法によって全て''サンダル''に変えられてしまう。元のシールが何なのか判り辛くなり気づかぬ間に貴重なシールを使ってしまうことも。 -新キャラクターである「ルーシー」だが… --マリオのサポートキャラとして登場するが、とにかく性格が荒く、何事にも文句が多いという棘の多いキャラである。 --ストーリー中でもこのキャラに対する深い説明がないため、あまり存在意義が無いキャラになってしまっている((一応あるボス戦については彼女がいないせいで一部の能力が制限される。))。無言主人公のマリオの代わりにぺらぺら喋る為だけにいるようなキャラと言ってしまってもいい。 --一応シリーズ恒例のヒントを出してくれるキャラなのだが、そのヒントが凄まじく役に立たない(だいたいペパライズのことのみ)。ただでさえ説明不足な謎解きが多いのに、行き詰まった時の助けにすらならない場面が多い。 ---しかも話す内容の殆どが世間話レベル。バリエーションも異様に少なく台詞も短い。旧作のヒント担当キャラであったクリオとクリスチーヌはワンフロアごとに様々なメッセージを出しており、前作のアンナもフロアごととはいかないがそれなりに話してくれたのだが…。 -また、ピーチ姫、クッパ、ルイージとシリーズ皆勤賞のキャラも登場するが……。 --今作のピーチ姫とクッパは、''全ストーリーの最初と最後にしか登場しない''。 ---ピーチ姫は今回もいつも通りさらわれる訳だが、町のキノピオ達は誰一人としてピーチ姫の安否を気にも留めていない。なんなんだお前ら。 ---その上、何故かラスボス撃破後のピーチの口調が終始敬語。いつもの様な顔見知りの会話は一切無く、''お前ら初対面なの?''と訊きたくなる位である。 ---クッパも敵として登場するのだが、今作では笑い声のSEをあげるだけで、なんと''一言も喋らない''。 --ピーチにしろクッパにしろこれまでのシリーズのような操作パートは無いばかりか、オープニング後は最終面に辿り着くまで一切登場しない為、致命的に存在感が無い。 --ルイージに至っては、クッパ同様一言も喋らないどころかマリオと直接絡む場面さえ無い。''収集要素の一つとして登場するだけ''である。 ---特定のコースの背景に脈絡なく登場し、ペパライズではがせる。しかしやはり無言であり、はがすと何処かへ走り去ってしまう。 -主人公であるマリオは、ただルーシーに従いロイヤルシールを集めさせられるだけ。彼が冒険に出る動機はピーチ姫救出くらいのはずなので、今作の彼は殆ど''ルーシーのパシリ同然の扱い''。 -またワールドボスについても、ワールド1のボス「ボスクリボー」はやけにハイテンションで喋るが、それ以降のボスは台詞を一切喋らない。 --前作までのボスはそれぞれ意思を持っていたが、今作は登場するなり突然戦う。前振りも会話もない。 --過去作では性格面でも個性あるボスが多く、決戦前に顔見せするボスも多かったため印象に残りやすいが、今作はほとんどがぽっと出かつ無言である。 -そして、以前のシリーズで活躍したゲストキャラの登場もない。 --これまでシリーズ皆勤だった、たんこぶでお馴染みの「コブロン」も、もちろん居ない。 --過去作のキャラについてのネタは皆無ではないのだが、そのほとんどが''ゴミ捨て場に捨てられたメモ''の中に出てくるのみである。 ''シナリオについて''~ -今作のストーリーはなんといっても''薄い''。 -町で起こる重大な事件や、サブイベントといったものも全く''存在しない''。 --一応ハナチャンの身体の捜索やクイズ番組などイベントがないわけではないが、結局やることは単なるコース攻略である。 -特に重要なキャラクターが少ないせいもあってか、キャラクター同士が絡んだ面白い会話も少ない。 -また、以前の作品で特定の章をクリア後に発生していたピーチ姫操作パート、クッパ操作パートが存在しないこともあり、それぞれのキャラクターに感情移入できないといったマイナス要素が多い。 -そもそも今回のマリオの目的が、''ロイヤルシールを持つボスを倒してシールを集めるだけ''。第3勢力や敵側の思想・目的((一部のボスは一応それなりの目的はあったが、それでもただボスに仕えたいといった単純なもの))といったものが無いので、ストーリーもへったくれもない。一応(ペーパーでない本編の)マリオらしいといえばらしいのだが…… --''「ペーパーマリオ」シリーズらしくない''、というのに尽きる。マリオのゲームとしては特に問題ではないが、見た目に似つかないシリアス&ダーク&カオスな重厚ストーリーで人気を集めてきたペーパーマリオシリーズとしては期待はずれと言わざるを得ない。 ---更に言ってしまえば今作が、重厚ストーリーを抜きにしても良くできたゲーム性で魅せてきたマリオシリーズらしい作品と言えるかというと首をかしげたくなる。前述の通り今作ではシステムやゲームバランスの調整等の、ゲーム性が『良くできている』とは言い難い。 ---要するに従来のマリオシリーズとペーパーマリオシリーズの悪いとこ取りとなってしまっている。 #region(ラストバトルについて(ネタバレ注意)) -今作のラスボスは「クッパ」である。 -サポートキャラであるルーシーが、最後ラスボスを倒すため犠牲になるが…。 --前述のとおり、ルーシー自体賛否の別れるキャラであり、見ようによってはほぼ形だけの御涙頂戴な展開になってしまっている。 --その際のイベントも冗談抜きで長さ的に一分もなく、あまりにも唐突な展開で感情移入しづらいことこの上無い。 ---シリーズ恒例の「この旅で得た力、出会った人々の思いががマリオの元に~」的な盛り上がる演出は皆無。 --その上、最後に''これといった説明もなく復活する''。本当になんだったのか。 #endregion -従来のシリーズでは任天堂らしからぬほどの難解で重厚なストーリーかつ質も十分によく好評であったため、それを望んでいたプレイヤーはとんだ肩透かしを喰らうことになった。 --ちなみにこのようなストーリーになった原因として、スタッフインタビューでは「クラブニンテンドーのインタビューで前作のストーリーが良かったと答える人が極端に少なかったため」と語っている。 ---尻すぼみに短くなっていくコースも相まり、ボリュームまで紙のようにペラペラなってしまった等と揶揄されるハメに。 ''クリア後、おまけ要素について''~ -今作はバッジや料理、ほしのかけらといった収集要素が無くなってしまった。 --100階ダンジョンや依頼も廃止。これらは存在自体が賛否両論あったのだが。 -その代わりにシールを収集できる博物館が存在する。 --が、いちいちシールを消費する。入手場所が限られているキラシールであろうが、コース中で必要なモノシールであろうが。 ---そのため、集めるつもりならそれらのシールは最低二回は回収しまくてはならない。 --しかも隠されているモノシールの大部分は「ひみつドア」という高額なシールを用いて入手する。そのため、コンプリートを目指すなら必然的に金稼ぎが要求される。 #region(そして、苦労してシール博物館コンプ後…等。一応、ネタバレ注意) --しかもその博物館でシールをコンプして出来る要素というのが、''いわゆるサウンドテスト(今まで聞いてきたBGMを聞けるようになるだけ)と下記のスーパーフラッグとザコ敵の攻撃アクションの閲覧ができるようになるだけである''。((しかしこのサウンドテストには収録されていない曲が多い。)) --サウンドテストは下記の賛否があるが良曲があるからまだいいとしても、ザコ敵の攻撃アクションは普通にバトルして見ればいいだけの話。誰得。 #endregion -他にスーパーフラッグというものがあるが、簡単に言えば実績システム。 --条件が厳しく、達成しようとすると作業を強いられる。やらされている感が強い。 --コンプリートしても特にメリットはない。やらなくてもいいと見るべきか、やりがいがないと見るべきか……。 -クリア後に追加される要素はなんと''スタッフロール観賞のみ''。 -これにより、クリア後も楽しむといったことがほとんど出来なくなった。 ''その他の問題点''~ -フィールド上におけるアクションがジャンプ・ハンマー・ペパライズの三種だけなので、謎解きが単調になりがち。 --今までのシリーズで冒険が進むごとに新しい仲間や新しいアクションを習得し、その度に謎解きのバリエーションが増えていったのだが、今作は本当にペパライズくらいしかやることがない。 --前述の通り謎解きがゼルダシリーズに似ていることは確かなのだが、あちらと違って弓矢、爆弾、フック(クロー)ショット等々の様々な行動が取れるわけでは無く「この場面ではどの能力・アクションを使えば良いのだろうか」など考えたり、それを実行するような楽しみは皆無。 ---近しいものとしては「ここにはどのモノシールをペパライズで貼り付ければ良いのだろうか」という場面には何度も出くわすが、やることは結局「行き詰まったらペパライズ」である。 ---そして使うべきモノシールが分かったら分かったで「モノ入手」→「シール化」の工程を一々挟むこととなる。 **賛否両論点 ''BGMについて'' -今作のBGMは、今までのペーパーマリオシリーズとは異色である、ジャズがメインとなっている。 --場に合わない曲調も合わせて、今までのシリーズと雰囲気が異なるといった意見も少なくは無い。(あながち間違ってはないが) -一応評価の高いBGMもある(ボスゲッソー戦、ラスボス戦の最終局面など)。 ''難易度について'' -謎解き・戦闘そのものの難易度は旧作に比べて高めで、歯ごたえそのものは十分。HPもシールも少ないジリ貧状態で奥に奥にとコースを進んでいくハラハラ感は人を選びつつも中々楽しめる。 --ただコースを出入りする度にオートセーブが行われるため、負けたところで大した損失はない。そこを評価点と呼べるかは何とも言い難い所だが。 --一部のヒントが不親切な謎解きやボスの弱点探しはむしろ批判点として挙げられる事の方が多い。 --- **評価点 -シールを使ったギミックは評価が高い。 -今作は今まで以上に「紙」を意識した構造になっており、''それを生かした変化やアクションは見ていて爽快である''。 --また、バトル中に使う「モノシール」も見ていて面白いものや、ちょっとしたファンサービスもある。 --「モノシール」に関しては、説明までも同じく見ていて面白いものもある。 ただし、そのおかげで「モノシール」の効果がわからないという欠点を持つものもあるが。 -ペーパーマリオシリーズ伝統のブラックユーモアも健在。 -全体的に高い難易度でまとまっているものの、何度やってもダメなどと言った理不尽な点はなく、死に覚えで十分進めるほどよい歯ごたえである。 **総評 ゲームそのものはバグや不具合などもなく、全体的に丁寧に作られている。各コースのギミックや演出も紙やダンボールである事に拘った斬新なものが多い。~ しかし前作まで評価されていた部分の大半は消滅・改悪し、シールに依存した新しいシステムはプレイヤーへの配慮が行き届いておらず明らかに問題だらけである。~ 見返りが殆ど無く探索の邪魔にしかならない戦闘、多用する割に演出の長いペパライズなど、今作はテンポ面での短所が目立ち、~ さらに理不尽な仕様の謎解き・ボス戦の存在や、シールアクションに関する説明・チュートリアルが皆無であるといった事が余計にとっつきにくくさせている。~ 何より、個性的なキャラクター達が織り成すドラマや感動的なシナリオなど前作までのペーパーマリオシリーズの魅力の大部分を殺してしまった事が非難の的となっている。~ 一応好セールスを記録したものの、前作から5年の年月を掛けてやっと世に出た今作は往来のファンに対して大きな失望を与えてしまった。~ **余談 このゲームの開発中に任天堂の情報開発本部長である宮本氏が口出し、所謂「ちゃぶ台返し」が行われたと社長に訊くにある。~ この口出しにより1度は完成に近づいていたこの作品の作り直しが行われた。~ 他にも、宮本氏からは「ストーリーは必要最小限でいい」、「可能な限り『マリオ』の世界のキャラだけで完結してほしい」という要望があったと答えている。~ この要望が今作の悪評の原因にもなっていることは残念である。プレイしていて目につくバランスの悪さ等もちゃぶ台返しが起きたことによる開発期間の収縮からきているものと思われる。マリオシリーズにおける宮本氏の存在の大きさをうかがわせるとともに、これらの要望をスタッフ陣は「縛りのような物」と例えているなどから、今作の制作にはとても難儀した様子を思わせるインタビューであった。~ しかし、マリオストーリーもほぼマリオの世界のキャラだけで完結していたことを考えると、少なくとも原点に返ることぐらいはできたのではないだろうか。 そのマリオストーリーと比較すると、本作のストーリーは「必要最小限」すら下回るレベルの薄さであるが。
//追記があればお願いします *ペーパーマリオ スーパーシール 【ぺーぱーまりお すーぱーしーる】 |ジャンル|シールバトルアドベンチャー|&amazon(B009LUDMJQ)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|任天堂&br()インテリジェントシステムズ|~| |発売日|2012年12月6日|~| |定価|4,800円(税込)|~| |プレイ人数|1人|~| |分類|''黒歴史ゲー''|~| |ポイント|悪い意味でタイトル通りのペーパーボリューム&br()前作までにあった好評な要素の削除&br()従来ファンの期待を完全に裏切った&br()|~| |>|>|CENTER:''[[マリオシリーズ関連リンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/342.html]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ペーパーマリオシリーズ第4作。シリーズ初の携帯機向けゲームソフトとなる。~ 初報から3年近く待たされ、5年ぶりの新作となるタイトル。しかし、いざ発売してみると…。 **あらすじ シールの街、ラベルンタウンで年に一回開催される「シールフェスタ」。今回はゲストとしてピーチ姫とマリオもやってきた。~ フェスタも佳境に差し掛かった中、願いをかなえるという「ロイヤルシール」が降ってきた。~ するとロイヤルシールを我が物にせんと大魔王クッパとクッパ軍団がシールフェスタに乱入してきた。キノピオ達の制止を振り切りクッパはロイヤルシールを入手する。~ しかしクッパの様子がおかしい。ロイヤルシールの魔力に憑かれ、「ギラギラ」しはじめ、会場で散々暴れた末にキノコ王国のあちこちでシールを使ったいたずらを始めだした。~ マリオはシール星からやってきたという「ルーシー」と共に各地に散らばったロイヤルシールを集め、クッパの暴走を止める新たな冒険に出た。 **システム -ぱっと見は従来のペーパーマリオに近いRPGだが、ジャンルにもあるとおり、謎解き、バトルはすべてシールで行う仕様。 --だが、この新しいシステムが''ありとあらゆる面でこれまでのシリーズには無い不親切・理不尽さを付き纏わせている。''詳細は後述する。 -前作『スーパーペーパーマリオ』に引き続き、今回も用意されたコースを順にクリアしていく、アクションゲーム寄りの構造になっている。 --今作では新たに2Dマリオシリーズで見られるようなワールドマップ制が採用され、コース間の移動も簡素でスムーズなものとなった。 -今回は登場人物全てが紙やシールで出来ているという設定。各々のコースも本当に紙やダンボールで作られているかに見えるように設計されており、そういった材質の特徴を取り入れた演出やギミックがこれまでのシリーズ作より更に増えている。 **新要素 ''ぺパライズ''~ コース上においてマリオが使用できる能力。~ 使用すると画面上のコースが1枚の紙に変化し、紙にカーソルが表示されている場所に、持っているシールや「マップピース」を貼ることができる。~ 正しいシールやマップピースを貼ったりはがしたりすることで仕掛けが動いたり、さまざまな変化を起こすことができる。~ 今作の肝となるシステムであり、謎解きの中心になる。~ ''バトルシール''~ 今作では、基本攻撃やFP((従来のペーパーマリオにおいて、技を使う際に消費するポイント。))の概念が存在せず、手持ちのバトルシールや後述の「モノシール」を消費してハンマーやジャンプ、特殊攻撃を行う。~ つまり、''通常攻撃ですら消耗品''というシステムなのである。ただし入手量は多く、無駄遣いしなければ完全に底をつくということは少ない。~ バトルシールはコース上で拾ったり、ショップで買ったりして集めることができる。~ 今作ではマリオのRPGシリーズではお馴染みのアクションコマンドシステム((攻撃するときに指示された通りの操作をする(タイミングよくボタンを押す、スティックを回すなど)と攻撃力アップ、攻撃をガードなどの恩恵が得られるシステム。))を再び採用した、のだが……(後述)。~ ''バトルスロット''~ 今作のサポートキャラ「ルーシー」によって使用できる能力。バトルにおいて、マリオの毎ターン開始時にコインを消費することで使用するか決めることが出来る。~ 基本的に普通のスロットと同じ内容であり、絵柄が揃うことでその数だけ行動回数が増える(2つ絵柄が揃ったらこのターン2回行動できる)。~ 絵柄が3つ揃った場合、その絵柄に応じて効果も得られる。~ スロット回転中にさらにコインを消費することで、回転が遅くなったり、すでに絵柄が2つ揃った状態で始めることができる。~ スロットシステム自体は過去作『ペーパーマリオRPG』にも存在した。~ ''モノシール''~ 「バトルシール」同様に「ぺパライズ」やバトルで使用することの出来るシール。~ コース上に唯一立体で存在し手に入れることができる「モノ」と呼ばれるものを、「モノなげや」にもって行くことでシールとして入手できる。~ 「モノ」にはさまざまな種類があり、「せんぷうき」や「はさみ」、はたまた「まねきねこ」などすべて現実世界に実際に存在するものである。~ 「ぺパライズ」で貼り付けて使用することでコースのギミックを動かしたり、~ バトルで使用することで敵に大ダメージを与えたり、攻撃力が2倍になったり、相手の技を跳ね返すといった様々なアクションが起こる。 **問題点 全体的に、本作は過去作とはシステム面で大きく毛色が違う。戦闘・育成より収集・探索・謎解きに重点が置かれており、どちらかといえば「ゼルダの伝説」を思いださせるようなゲーム性である。 ''バトルシステムについて''~ -前述した「バトルシール」を使ってバトルを行うのだが、このシステム、裏を返すと''シールがすべて無くなれば「逃げる」以外に何も出来なくなる''。 --以前にあった「アピール」「ぼうぎょ」といったコマンドが消滅し、''「何もしない」といった行動が出来ない''ため、シール消費は必ず行うことになる。 ---状態異常・もしくは相手の属性・行動のせいで攻撃が殆ど当たらないという状況下であっても、何らかのシールを無駄に消費する必要がある。 --一応バトル中でもアクションコマンドを成功させることで補給できる時があるが、入手タイミングも入手出来るシールもランダムである為、シールが尽きかけている状況ではどの道ジリ貧に陥ってしまう。 -また、アクションコマンドについても以前までは、「スティックをタイミングよくはじく」、「コマンドを正しい順に押す」といったものがあったが、~ 今作はすべてのアクションをAボタンで行うため、アクションに味がなくなってしまっている。 --そのアクションにも、ただAボタンをタイミングよく押せ!と説明に書いてあるばかりで詳しいタイミングは表示されないので、シールのアクションに慣れるまで時間がかかる。 --今までは各アクションごとに説明文がついていたのだが、今回は説明どころかチュートリアルらしいチュートリアルもない。 --その上アクションの練習をしようにも、どんなアクションでも毎回必ずシールを消費してしまうので気軽に行えない。まさに初心者に鞭を打つかのような仕様。 -ペーパーマリオRPGで搭載されていたカウンター技であるスーパーガードも削除されている。 --一応特定のシールを使うことで、アクションコマンドによって攻撃を回避したりすることはできる。しかしマリオは一回行動なのでそのターンはそれ以外の行動ができない。 //-バトルスロットについても使用しないとまずまともに戦えない。 //--使用キャラがマリオ一人だけなのに対し、敵は複数出たりする。そのため、ほぼ毎ターン使用しなければ体力が持たない。 //--ルーレットを回す動作や行動枠が増える演出を毎ターン見る羽目になるので、テンポの悪化に拍車を掛けている。 //全体攻撃などのシールが充実しているので、ボス戦はともかく雑魚でまで使わなきゃいけないなんてことはない。 -さらに今作では''経験値という概念が存在しない''。 --これまではスターポイントを集めることでHP、FP、BPのいずれかを任意で強化できたが、今作ではコース内に落ちている「体力UPハート」と呼ばれるアイテムを拾うことでHPのみが上昇していく。 -雑魚戦によって得られる恩恵は、コースクリア後に手に入るコインの数が増える、ノーダメージでパーフェクトボーナスのコインがもらえる、など。 --しかしコインは、コース上などでたくさん手に入り、消費数も少ないため、簡単に溜まる。~ 要するに今作では''雑魚敵との戦闘をこなすことで得られるメリットが殆ど無い。''~ バトルでは当然HPを消耗する危険性が伴う上、攻撃手段であるシールを必ず消費するという事もあり、進行の上で攻略必須なイベント以外で雑魚敵と戦う場合、''むしろデメリットの方が格段に多い''。効率良く進めようとするなら、必然的に雑魚敵を回避しながら進まなくてはならなくなる。 ---一応特定の雑魚敵はそれに応じたシールを落とす(ノコノコなら甲羅、ハックンなら手裏剣、などといった具合)のだが、そこまで強力でもないし、バトルでこちらの時間とシールも消費してしまうので割に合わない。 ---今作では「逃げる」コマンドが成功するとフィールド上からシンボルが消滅するため、逆に''逃げる方が効率よく戦闘を処理出来てしまうケースが多い(後半は特に)。'' --おまけに今作の雑魚敵は全体的に攻撃力が高く、しかも一回のバトルで戦う敵の数までが多い。これらの点から、まともに相手をしていても何も良いことが無い。 ---雑魚敵とのバトルはシリーズお馴染みのシンボルエンカウント形式で、ある程度体力が上がるとフィールド上でのジャンプ攻撃で倒せる様になっているが、マリオに向かって追いかけるタイプが多く上記の仕様から作業感を感じさせる。 -冒頭で本作は「ゼルダの伝説」に近いと評したが、「''敵に触れるたびRPG的な戦闘が挿入され、そのたびに矢やバクダンを消費して戦うゼルダの伝説''」をイメージして貰えれば本作の戦闘の問題点がわかってもらえるだろう。同作にも経験値の概念はなく、アイテムの収集によってのみ自己強化がなされる。しかしゼルダの戦闘はシームレスの上、ほぼ無制限で使える剣で斬るだけで大抵の敵はすぐ倒せる。そのテンポは雲泥の差である。 -総じて今作の雑魚敵との戦闘はメリットよりデメリットの方が多く、極力避けるべき代物になってしまった。戦闘するにしても回避するにしても探索のテンポを悪化させている。 --これならいっそ前作のように、RPG的戦闘を完全に廃したアクションアドベンチャーにした方がまだマシである。 ''ぺパライズについて''~ -今回の謎解きにおいて重要な役割を持つが、これがとにかく''面倒くさい''。 --使用頻度の割に演出・操作不能時間が長い。ほぼ全てのコースで使う上、「とにかく怪しい所でペパライズ」という謎解きが多い今作では「行き詰まったらそこかしこでペパライズ連打」という行動を強要される場面が少なくない。 --シールを貼ったり剥がしたりするにしても、毎回マリオをチマチマと動かしてシールを貼る/剥がす操作が入る。テンポ悪すぎ。 --貼る方は視覚的に判りやすくなっているのだが、剥がす方はペパライズモードを呼び出さないとめくれかかっている部分が表示されず気付きにくい。 -貼り付けたシールは基本的になくなってしまう。これが当たり前のように見えて地味にいやらしい仕様。 --特定のシールを貼り付けないと先に進めないという場面が少なからずあるのだが、ここで不正解のシールを貼り付けてしまうと当然のようにそのシールが無駄になってしまう。 -何らかのシールを貼ると新しいシール入りのブロックが出る→適当にキラシールを張ってみる→コモンシールが手に入る、という明らかにバランスを間違えたような設計のギミックが存在したりする。 ''シールについて''~ -シールは持ち物のシールブックに張って持ち歩くことになるが、''シールの持ち数に上限が存在する''。 --シールごとに持ち物欄を占有する範囲が異なっており、基本的に強力なシールやモノシールは大きい。 --その為コースのギミックを解く鍵である「モノシール」にシールブックが占有され、必然的にバトルシールの持ち数が制限されてしまう。 -何も考えずにバトルシールを使うとすぐに無くなってしまい、ショップかコース内で収集することとなる。 --幸いシールはそこらに大量に貼られており、回収を怠らず、無駄なバトルを極力行わなければそうそう底をつかない。 ---……のだが、貼られているシールはAを一秒ほど長押ししていちいち剥がさねばならない。一枚二枚ならともかく、十数枚集めようと思うと地味に面倒。 ---剥がそうとしている間に敵に接触され、温存しようとしていたシールを消費するなんていう本末転倒な事も起こり得る。 -バトルシールについても、アクションの単調化も含めもっさりしたものが多い。 --モノシールについてはバリエーションの豊富さもあって視覚的にも楽しい攻撃となる。だが当然使い捨てであり、入手方法が限られているうえ謎解きにも使うのであまり乱用はできない。 ---モノシールのもととなるモノは、コースの特定の場所で拾うか街で大量のコインを出して買うかして入手し、逐一シールに変換しなくてはならない。 ---しかもどういうわけか同じモノは2つ以上持てない。たとえばモノとしてでもシールとしてでも「せんぷうき」を持っていると、新たに「せんぷうき」は入手できない。 --補助アイテムなどは存在せず、体力回復もバトルシールで行うことになるのだが、なんと''非戦闘時には体力回復シールが使えない''。 ---今作は状態異常がかなり厄介(攻撃が殆ど当たらなくなる、全く動けなくなる上に被ダメージ率二倍等)なのだが、その''状態異常に至っては回復手段が一切無く自然回復を待つしか無い。''ひとたび状態異常にされたらそのままはめ殺しにされることもしばしば。 --ちなみに本作においてHPを回復する手段は、街やコースの各地に設置されている回復ブロックを叩くか、バトル中にキノコのシールを使うのみ。 ---前述の通り移動中にはキノコシールを使うことができないので、周辺に回復ブロックも無く、残りHPが僅かという状態に追いやられようものなら、その状態のまま自分から敵と戦いに行く必要がある。なんだそりゃ。 ''バトルのバランスについて''~ -このシリーズは伝統的に、HPなどの数字がかなりのデフレを起こしている((例を挙げれば過去作の初期HPはいずれも10、初代ラスボスのHPが99+回復技二回(30×2)。2作目では多少インフレを起こしたがそれでも一部のボスが三桁とやはり低め。))。本作も例外でなく、雑魚のHPは高くてもだいたい二桁で収まっている。 -そして今作では一般的なRPGと違い、共にバトルに参加してくれる味方キャラクターが一切登場しない為、''序盤からラスボス戦に至るまで常に一対多の戦いを強いられる事になる。'' --その為かこちら側の攻撃の威力がシール1枚だけでもかなり高い。行動回数を増やせるバトルスロットの存在に加え、ゲームを進めていくにつれ強力な全体攻撃なども充実してくる為、1ターンで敵を一掃する単調でアッサリな戦闘が終盤まで続く。前述した通り敵の攻撃力も高く、一度に戦う敵の数も多いので、そのぐらいのペースで殲滅しないと逆にこちらがピンチに陥ってしまう。 ---ゲームの性質上、戦闘がスムーズに終わるのは良いことかもしれないが、スムーズすぎてただの作業に成り下がっている。 --しかもこれは普通に手に入るシールで事足りる。終盤の雑魚敵でさえ中盤以降簡単に手に入るキラ(下から二番目)のシール一撃で倒せる。そのため雑魚戦ではレアな高威力シールは用なしである。 ---キラ以上のシールの威力はボス戦くらいでしか役に立つことは無いのだが、よっぽどのごり押しでも無い限り基本的に雑魚戦で用いるシールで間に合ってしまう。 ---更に言ってしまうと、今作はボス戦そのものがかなり少ないため、苦労して貴重なシールを手に入れたところで結局は持て余してしまうことが多い。 --メガキラ(最高ランク)クラスのシールはほとんどがコースの奥の方に隠されているため、ボス戦用に強力なシールを複数手に入れるためには、謎解きを済ませてあるとはいえ決して短いと言えないコースを何度もやり直す必要がある。 ---といってもデカキラ(上から二番目)クラスのシールは市販されているため、ロマン火力を求めでもしない限り必須事項というわけでもない。だが逆に言えば使い捨てシステムとレアリティのシステムがまるで噛み合っていないともいえる。 -また、今作のボスは雑魚敵の脆さに反して硬い。ワールド1からHPが90もある。ワールド3など300もある((過去作ならラスボス並の数字。前の注釈の通り、初代との比較ならワールド1ですらラスボス級である。こちらの攻撃力が上がっていることを差し引いてもそうとう硬い)) --これはそれぞれボスに弱点が存在し、それに適した「モノシール」を使うことで大ダメージを与えることが出来るシステムによる。 --しかし、ボスの弱点は戦う前にこれといったヒントも存在せず、場合によっては手探りで探すハメになる。 ---一応ルーシーが教えてくれる事もあるのだが、それは''数ターン後か、1回ボス戦で負けた後''である。事前にモノシールを用意する必要があるというのにこれは遅すぎる。 --もし、弱点の「モノシール」を持ち合わせていなければ、こちらがシール切れになるかボスを倒すまでジリ貧の戦いが繰りひろげられる。 ---しかもそれで倒しても、「シールを使いすぎ」とルーシーに文句を言われる。どうしろと。 --弱点が分かりやすいワールド4のボスならまだしも、他のワールドのボスや形態によって弱点が変わるラスボスは初見での突破は難しい。しかもただ使うだけでは駄目で、特定のタイミングで使わなくてはいけないシールもある。 --一応これらの対応策なのか、今作ではなんと、''ボス戦でも逃走が可能''。 ---とはいえモノはラベルンタウンや以前攻略したコースをいちいち回って集めなくてはならない。弱点を総当りしようとすると凄まじく面倒な作業となる。 ''各ワールドやコースについて''~ -1つの町を拠点として、いろいろな町やワールドに行くのがペーパーマリオシリーズ伝統であったが…。 -前述した通り、今作では2Dマリオシリーズと同じくワールドマップ制になった。 --そのため拠点となる町の存在意義や、この町のどこから次の場所にいけるかといった楽しみがなくなってしまった。 -従来の作品まではワールドおよび章は全部で8つあったが、今作ではワールドが6つしかない。 -コースの数についても、最高がワールド3の12コースであるのに対し、''なぜかワールド4以降、コースの数がやたら減る''。 -最終章であるワールド6では、なんと''たったの3コースしかない。'' --しかもその内6-1はただの門、くぐるだけで次コースに進める上に、6-3は実質中ボス、ラスボス戦のみなので''実際にじっくり攻略するコースは6-2だけ''である。 ---ではやり応えのある難易度や今までのギミックの集大成なのかというと、そんなことはなく、むしろ今までのコースよりやや短め。 ---実質クッパ戦しか存在しないクッパ城である6-3など拍子抜けも良いところである。 -コース自体も、''ショップがあるだけで終わるコース''など、まるで分ける意味の無いものも存在する。 ''シナリオについて''~ -今作のストーリーはなんといっても''薄い''。 -町で起こる重大な事件や、サブイベントといったものも全く''存在しない''。 --一応ハナチャンの身体の捜索やクイズ番組などイベントがないわけではないが、結局やることは単なるコース攻略である。 -特にマリオに深く関わってくるキャラクターが少ないせいもあってか、キャラクター同士が絡んだ面白い会話も少ない。 -また、以前の作品で特定の章をクリア後に発生していたピーチ姫操作パート、クッパ操作パートが存在しないこともあり、それぞれのキャラクターに感情移入できないといったマイナス要素が多い。 -そもそも今回のマリオの目的が、''ロイヤルシールを持つボスを倒してシールを集めるだけ''。第3勢力や敵側の思想・目的((一部のボスは一応それなりの目的はあったが、それでもただボスに仕えたいといった単純なもの))といったものが無いので、ストーリーもへったくれもない。一応(ペーパーでない本編の)マリオらしいといえばらしいのだが…… --''「ペーパーマリオ」シリーズらしくない''、というのに尽きる。マリオのゲームとしては特に問題ではないが、見た目に似つかないシリアス&ダーク&カオスな重厚ストーリーで人気を集めてきたペーパーマリオシリーズとしては期待はずれと言わざるを得ない。 ---更に言ってしまえば今作が、重厚ストーリーを抜きにしても良くできたゲーム性で魅せてきたマリオシリーズらしい作品と言えるかというと首をかしげたくなる。前述の通り今作ではシステムやゲームバランスの調整等の、ゲーム性が『良くできている』とは言い難い。 ---要するに従来のマリオシリーズとペーパーマリオシリーズの悪いとこ取りとなってしまっている。 ''仲間について''~ -今作では、シリーズおなじみの要素であった''共に戦ってくれる仲間は一切登場しない''。 --一応サポートキャラの「ルーシー」が登場するが、バトルには参加せずフィールド上でアドバイスをくれるのみである。 --先述した通りこれがバトルの単調化に繋がっており、旅先でマリオの冒険を支える新しい人物が全く出てこない事によってストーリーの面白さ・起伏までもが失われている。 -また、前作まであった敵のステータスや情報を知る「ものしり」も完全に撤廃されてしまった((HPだけは雑魚、ボスともに初めから表示されているが、攻撃力防御力及び弱点は不明。もちろん解説もなし))。 ''キャラクターについて''~ -世界観の都合上なのか、今作では味方・敵問わず''本家マリオシリーズでお馴染みのキャラとその派生キャラしか登場しない。'' --その為、どのコースに行っても味方サイドのモブキャラはキノピオだらけだし、敵側としてもクッパ軍団の有名な敵キャラクターしか出てこず、新鮮味が全く無い。~ 過去作では、元々敵に当たるキャラクター・種族が善良な一般市民として登場したりもしていたし、シリーズ独自のオリジナルキャラクターも豊富に存在した。 --シリーズにおいて今作が初登場となった主要格キャラは「ルーシー」「ハナチャン」「クッパJr.」ぐらいである。 --また、前々作までクッパの右腕だった「カメックババ」は何故か登場せず、ただのカメックに差し替えられた。 ---カメックは旅先で何度か戦うことになるが、''手持ちのシールを全て「サンダル」に変える''というプレイヤーに対する嫌がらせ以外の何物でもない魔法を使う。元のシールが何なのか判り辛くなり気づかぬ間に貴重なシールを使ってしまうことも。 -以前のシリーズで活躍したゲストキャラの登場も無い。 --これまでシリーズ皆勤だった、たんこぶでお馴染みの「コブロン」も、もちろん居ない。 --過去作にいたオリジナルのキャラについてのネタは皆無ではないのだが、その全部が''ゴミ捨て場に捨てられたメモを読むとテキストで出てくる''のみである。 -新キャラクターである「ルーシー」だが… --マリオのサポートキャラとして登場するが、とにかく性格が荒く、何事にも文句が多いという棘の多いキャラである。 --ストーリー中でもこのキャラに対する深い説明がないため、あまり存在意義が無いキャラになってしまっている((一応あるボス戦については彼女がいないせいで一部の能力が制限される。))。無言主人公のマリオの代わりにぺらぺら喋る為だけにいるようなキャラと言ってしまってもいい。 --一応シリーズ恒例のヒントを出してくれるキャラなのだが、''そのヒントが凄まじく役に立たない。''ただでさえプレイヤーに優しくない謎解きが多いのに、行き詰まった時の助けにすらならない事が殆ど。 ---しかも話す内容の殆どが世間話レベル。バリエーションも異様に少なく台詞も短い。旧作のヒント担当キャラであったクリオとクリスチーヌはワンフロアごとに様々なメッセージを出しており、前作のアンナもフロアごととはいかないがそれなりに話してくれたのだが…。 -また、ピーチ姫、クッパ、ルイージとシリーズ皆勤のキャラも一応登場するが… --今作のピーチ姫とクッパは、''全ストーリーの最初と最後にしか登場しない''。 ---ピーチ姫は今回もいつも通りさらわれる訳だが、町のキノピオ達は誰一人としてピーチ姫の安否を気にも留めていない。なんなんだお前ら。 ---その上、何故かラスボス撃破後のピーチの口調が終始敬語。いつもの様な顔見知りの会話は一切無く、''お前ら初対面なの?''と訊きたくなる位である。 ---クッパも敵として登場するのだが、今作では笑い声のSEをあげるだけで、なんと''一言も喋らない''。 --ピーチにしろクッパにしろこれまでのシリーズのような操作パートは無いばかりか、オープニング後は最終面に辿り着くまで一切登場しない為、致命的に存在感が無い。 --ルイージに至っては、クッパ同様一言も喋らないどころかマリオと直接絡む場面さえ無い。''収集要素の一つとして登場するだけ''である。 ---特定のコースの背景に脈絡なく登場し、ペパライズではがせる。しかしやはり無言であり、はがすと何処かへ走り去ってしまう。 -主人公であるマリオは、ただルーシーに従いロイヤルシールを集めさせられるだけ。~ 彼が冒険に出る動機はピーチ姫救出くらいのはずなので、''今作の彼は殆どルーシーのパシリ同然の扱い。'' -ワールドボスについても、ワールド1、ワールド4のボスには台詞が用意されているが、それ以外のボスは奇声や叫び声を発するだけで台詞を一切喋らない。 --前作までのボスは戦闘時以外でもそれぞれ意思を持って動いていたが、今作は登場するなり突然襲ってくる。前振りも会話もない。 --過去作では性格面でも個性あるボスが多く、決戦前に顔見せするボスも多かったため印象に残りやすいが、今作は大半がぽっと出かつ無言である。 #region(ラストバトルについて(ネタバレ注意)) -今作のラスボスは「クッパ」である。 -サポートキャラであるルーシーが、最後ラスボスを倒すため犠牲になるが…。 --前述のとおり、ルーシー自体賛否の別れるキャラであり、見ようによってはほぼ形だけの御涙頂戴な展開になってしまっている。 --その際のイベントも冗談抜きで長さ的に一分もなく、あまりにも唐突な展開で感情移入しづらいことこの上無い。 ---シリーズ恒例の「この旅で得た力、出会った人々の思いががマリオの元に~」的な盛り上がる演出は皆無。 --その上、最後に''これといった説明もなく復活する''。本当になんだったのか。 #endregion -従来のシリーズでは任天堂らしからぬほどの難解で重厚なストーリーかつ質も十分によく好評であったため、それを望んでいたプレイヤーはとんだ肩透かしを喰らうことになった。 --ちなみにこのようなストーリーになった原因として、スタッフインタビューでは「クラブニンテンドーのインタビューで前作のストーリーが良かったと答える人が極端に少なかったため」と語っている。 ---尻すぼみに短くなっていくコースも相まり、ボリュームまで紙のようにペラペラなってしまった等と揶揄されるハメに。 ''クリア後、おまけ要素について''~ -今作はバッジや料理、ほしのかけらといった収集要素が無くなってしまった。 --100階ダンジョンや依頼も廃止。これらは存在自体が賛否両論あったのだが。 -その代わりにシールを収集できる博物館が存在する。 --が、いちいちシールを消費する。入手場所が限られているキラシールであろうが、コース中で必要なモノシールであろうが。 ---そのため、集めるつもりならそれらのシールは最低二回は回収しまくてはならない。 --しかも隠されているモノシールの大部分は「ひみつドア」という高額なシールを用いて入手する。そのため、コンプリートを目指すなら必然的に金稼ぎが要求される。 #region(そして、苦労してシール博物館コンプ後…等。一応、ネタバレ注意) --しかもその博物館でシールをコンプして出来る要素というのが、''いわゆるサウンドテスト(今まで聞いてきたBGMを聞けるようになるだけ)と下記のスーパーフラッグとザコ敵の攻撃アクションの閲覧ができるようになるだけである''。((しかしこのサウンドテストには収録されていない曲が多い。)) --サウンドテストは下記の賛否があるが良曲があるからまだいいとしても、ザコ敵の攻撃アクションは普通にバトルして見ればいいだけの話。誰得。 #endregion -他にスーパーフラッグというものがあるが、簡単に言えば実績システム。 --条件が厳しく、達成しようとすると作業を強いられる。やらされている感が強い。 --コンプリートしても特にメリットはない。やらなくてもいいと見るべきか、やりがいがないと見るべきか……。 -クリア後に追加される要素はなんと''スタッフロール観賞のみ''。 -これにより、クリア後も楽しむといったことがほとんど出来なくなった。 ''その他の問題点''~ -フィールド上におけるアクションがジャンプ・ハンマー・ペパライズの三種だけなので、謎解きが単調になりがち。 --今までのシリーズで冒険が進むごとに新しい仲間や新しいアクションを習得し、その度に謎解きのバリエーションが増えていったのだが、今作は本当にペパライズくらいしかやることがない。 --前述の通り謎解きがゼルダシリーズに似ていることは確かなのだが、あちらと違って弓矢、爆弾、フック(クロー)ショット等々の様々な行動が取れるわけでは無く「この場面ではどの能力・アクションを使えば良いのだろうか」など考えたり、それを実行するような楽しみは皆無。 ---近しいものとしては「ここにはどのモノシールをペパライズで貼り付ければ良いのだろうか」という場面には何度も出くわすが、やることは結局「行き詰まったらペパライズ」である。 ---そして使うべきモノシールが分かったら分かったで「モノ入手」→「シール化」の工程を一々挟むことになり非常に面倒臭い。 **賛否両論点 ''BGMについて'' -今作のBGMは、今までのペーパーマリオシリーズとは異色である、ジャズがメインとなっている。 --場に合わない曲調も合わせて、今までのシリーズと雰囲気が異なるといった意見も少なくは無い。(あながち間違ってはないが) -一応評価の高いBGMもある(ボスゲッソー戦、ラスボス戦の最終局面など)。 ''難易度について'' -謎解き・戦闘そのものの難易度は旧作に比べて高めで、歯ごたえそのものは十分。HPもシールも少ないジリ貧状態で奥に奥にとコースを進んでいくハラハラ感は人を選びつつも中々楽しめる。 --ただコースを出入りする度にオートセーブが行われるため、負けたところで大した損失はない。そこを評価点と呼べるかは何とも言い難い所だが。 --一部のヒントが不親切な謎解きやボスの弱点探しはむしろ批判点として挙げられる事の方が多い。 --- **評価点 -シールを使ったギミックは評価が高い。 -今作は今まで以上に「紙」を意識した構造になっており、''それを生かした変化やアクションは見ていて爽快である''。 --また、バトル中に使う「モノシール」も見ていて面白いものや、ちょっとしたファンサービスもある。 --「モノシール」に関しては、説明までも同じく見ていて面白いものもある。 ただし、そのおかげで「モノシール」の効果がわからないという欠点を持つものもあるが。 -ペーパーマリオシリーズ伝統のブラックユーモアも健在。 -全体的に高い難易度でまとまっているものの、何度やってもダメなどと言った理不尽な点はなく、死に覚えで十分進めるほどよい歯ごたえである。 **総評 ゲームそのものはバグや不具合などもなく、全体的に丁寧に作られている。各コースのギミックや演出も紙やダンボールである事に拘った斬新なものが多い。~ しかし前作まで評価されていた部分の大半は消滅・改悪し、シールに依存した新しいシステムはプレイヤーへの配慮が行き届いておらず明らかに問題だらけである。~ 見返りが殆ど無く探索の邪魔にしかならない戦闘、多用する割に演出の長いペパライズなど、今作はテンポ面での短所が目立ち、~ さらに理不尽な仕様の謎解き・ボス戦の存在や、シールアクションに関する説明・チュートリアルが皆無であるといった事が余計にとっつきにくくさせている。~ 何より、個性的なキャラクター達が織り成すドラマや感動的なシナリオなど前作までのペーパーマリオシリーズの魅力の大部分を殺してしまった事が非難の的となっている。~ 一応好セールスを記録したものの、前作から5年の年月を掛けてやっと世に出た今作は往来のファンに対して大きな失望を与えてしまった。~ **余談 このゲームの開発中に任天堂の情報開発本部長である宮本氏が口出し、所謂「ちゃぶ台返し」が行われたと社長に訊くにある。~ この口出しにより1度は完成に近づいていたこの作品の作り直しが行われた。~ 他にも、宮本氏からは「ストーリーは必要最小限でいい」、「可能な限り『マリオ』の世界のキャラだけで完結してほしい」という要望があったと答えている。~ この要望が今作の悪評の原因にもなっていることは残念である。プレイしていて目につくバランスの悪さ等もちゃぶ台返しが起きたことによる開発期間の収縮からきているものと思われる。マリオシリーズにおける宮本氏の存在の大きさをうかがわせるとともに、これらの要望をスタッフ陣は「縛りのような物」と例えているなどから、今作の制作にはとても難儀した様子を思わせるインタビューであった。~ しかし、マリオストーリーもほぼマリオの世界のキャラだけで完結していたことを考えると、少なくとも原点に返ることぐらいはできたのではないだろうか。 そのマリオストーリーと比較すると、本作のストーリーは「必要最小限」すら下回るレベルの薄さであるが。

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