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**彼岸花(PS2版)
【ひがんばな】
|ジャンル|サウンドノベル|&amazon(B00006L902)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売元|サミー|~|
|発売日|2002年12月26日|~|
|定価|6800円|~|
|分類|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|
|ポイント|エンディング水増し&br()気色の悪い顔グラフィック&br()史上最悪の主人公|~|
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#contents(fromhere)
----
*概要
有名サウンドノベル『[[弟切草>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/259.html]]』『[[街>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/57.html]]』と同じ、長坂秀佳氏が製作総指揮を執った作品。~
PS版弟切草([[弟切草 蘇生編]])の発売に合わせて小説版が書かれたが、この小説版には『彼岸花』『寄生木』という続編が存在し、3部作となっていた。~
そのうち『彼岸花』は、ゲームボーイアドバンスとPS2でそれぞれゲーム化されている((内容はそれぞれ異なる。))が、本項はその後者の方である。
京都を舞台としたホラーもので、何者かによって京都に招き寄せられた3人の女子大生に次々と怪奇現象が襲いかかるという内容である。
*特徴
-まず3人の女子大生(お嬢様、美大生、ボク女)の中から主人公を1人選び、その主人公の1人称視点のシナリオをプレイする。
--ストーリーは新幹線で京都に着くまで・京都散策・ある寺に到着する・謎の旅館に辿り着く・事件の黒幕との対決という5つの章から成る。
--3人は5章の終盤近くまで、ほぼ1組で行動する。時折他の2人の視点にザッピングできるが、「他の主人公は内心どう思っているか」を垣間見ることができるだけで、すぐに元の主人公の視点に戻る。
-『弟切草 蘇生編』同様、「どんでん返しシステム」が使われている。これは1度見たエンディングにもう1度辿り着くと、その続きである新たなエンディングが出現するというもの。
--エンディングは主人公3人の合計で187種類(+隠しが4種類)存在する。
-エンディングリスト、既読文章スキップ、ムービースキップ機能は存在する。
*問題点
**システム面
-総指揮の長坂氏は「エンディングの数はギネスもの」「どのエンディングも会心の作」と攻略本で豪語しているが、実際は露骨な数合わせのものばかり。''エンディングの水増しぶりと酷さに限って言えば、かの『[[四八(仮)]]』より上''。
--最初に見る事のできるエンディングは主人公ごとに各3種類で、どれも一応は「事件解決」と言えるオチである。しかし''それを台無しにするのが、上記の「どんでん返しシステム」なのである''。
---「犯人は無事逮捕された。終わり」というエンドを見た後、もう一度そのエンドに辿り着くとその続きとして「犯人が脱走した。終わり」というエンドになり、更にもう一度辿り着くと「その犯人を追って行ったら幽霊が現れた。終わり」「その幽霊は幻だった。終わり」「''全てはUFOの仕業だった。終わり''」と言ったように、''綺麗に終わった話に無理矢理後日談を作り、更にその後日談をいくつも細切れにして「エンディングは191種類もある」と言い張っているのである''。
---特に酷いケースは「''旅館の女将に『電話貸して』と頼んだら、突然女将が鬼に変身した。終わり''」というもの。このエンドの後には''「もう一度女将に同じことを頼んだらやっぱり鬼に変身した。終わり」というエンドが4回ほど続く''。
--エンディングを埋める為には、「もうすぐ終わりそうだと思ったらセーブする→エンドを見た後そのセーブ地点からやり直す」というやり方が1番効率が良いのだが、1つのセーブデータに付き5箇所までしかセーブできない。はっきり言って足りなすぎ。
---因みに''画面に選択肢が出ている間はセーブできない''。
-ザッピングで他の主人公の内心を垣間見ても、その主人公のシナリオのテキストを流用しているだけ。しかも「3人の中に犯人がいる」というエンドに辿り着いた場合に矛盾が発生してしまう。このザッピング機能自体いらなかったのでは?
-バッドエンドも酷い。選択肢はどれも3択なのだが、''3番目の選択肢は9割りがたバッドエンドに繋がる''。
--しかも内容は基本的に「突然子供の鬼が現れて襲ってきた」「突然幽霊が現れて襲ってきた」「''突然鬼の生首が降ってきて爆発した''」の3パターンである。意味不明。
-更に厄介なのがランダム分岐。本作は基本的に「選択肢を選んでから次の選択肢に辿り着くまで」を1節としており、''最終章以外の各節はランダムで組み合わさっている''。
--「バッド以外の選択肢を選ぶ→次の節(複数ある)のどれかがランダムで始まる→そこでバッド以外を選ぶ→また次の節のどれかに繋がる」。これの繰り返しである。攻略本にも「''ランダム分岐の為に展開が混沌''」と書かれており、''ぶっちゃけ攻略になっていない(というかしようがない)''。
-4章の冒頭である選択肢を選ぶと''そのまま4章を丸ごとすっ飛ばし、5章にジャンプしてしまう''。初プレイで選んでしまったらポルナレフでは済まなかろう。
**史上最悪の主人公
メイン主人公であるお嬢様の性格が異常なまでに悪い。「正義感が強く人当たりが良いため、一行のリーダー的存在となる」と紹介されているが、実際は''度を越した押し付けがましいだけの独善者''である。
-とにかく自分の意見を他人に押し付けないと気が済まない。「幽霊なんて非科学的だからこの世にはいない」と公言しており、幽霊を信じている・幽霊を見たと主張する他2人を''「いない。非科学的だ」とひたすらゴリ押しして言い負かそうとし、相手が折れるまで無言の圧力をかけ、「ここで目を反らしたら負けだ」と意味もなく勝敗に拘る''。
--因みに幽霊を否定する理由は''単に自分が怖がりだから''。つまり自分が怖がりたくないというだけの理由で、他人に同意を強要するのである。他2人とは''ついさっき知り合ったばかり''だというのに。
---そして相手が折れれば「良かった。これで私達、楽しく旅を続けられるわね」と発言。''楽しいのはお前だけだ''。
---それでも幽霊の存在を信じ続けるボク女の事は''露骨に無視したり冷たくあしらったりする''。
--更に強引かつ一方的な推理を進めて仲間内の雰囲気を自ら悪化させておきながら''「ああ、私達の信頼が壊れていく。皆気が立っているのだ」と人事の様に嘆く''。
-自分の知識をひけらかし、周りが感心したり自分の意見を引っ込めたりすると機嫌良く飲み物を奢り始める。
-普段から身勝手な言動で周囲を振り回しておきながら、他の2人が少しでも勝手な行動を取ると「まるでガキ大将だ」と呆れたり、''「人の意見も聞いたら?身勝手は良くないわ」と説教を垂れたりする''。
-この様に、明らかに「イヤな奴」なのだが、どうした事か他の2人は「彼女はオトナだ」「いつも正しい」と服従する。
--普段は他の2人を振り回し、そのくせ急な事態が起こると真っ先に取り乱すというのに、「あんたは私達のリーダーなんだから」「あんたに頼るしかないんだよ」と持ち上げられる。
--そして本人も、他2人にフォローされているというのに「私がしっかりしないと終わりだ」と内心呟く。''はっきり言ってボク女が一番しっかり者で役立っているんだが''。
--因みに他の2人が彼女に反発するシーンも少しはあるのだが、なぜか逆らう方が悪いかのような描かれ方をする。つまりこの作品世界には''「彼女のする事は何が何でも正しい」という謎のベクトルが働いているのである''。
--かの[[ミストさん>スーパーロボット大戦K]]ですら、その言動の問題ぶりは他の登場人物から批判されたり呆れられたりしていたというのに…。
*総評
「(ゲームを制作するに当たって)必ず''世界初''という仕掛けを組み込むように心掛けている」とは本作制作時の長坂氏のコメントだが、ユーザーは純粋な物語の面白さや何度も繰り返して遊びたくなるようなプレイバリューを求めているのであって、ぶっちゃっけ「世界初」云々は''わりとどうでもいいのである''。~
この「世界初」に拘るあまり、本作における''ナガサカ節''は嘗て手掛けたTVドラマ群や『街』のような冴えを失う結果となってしまった。
後に長坂氏は、著書『長坂秀佳術』にて、&bold(){彼岸花は大失敗だった}と語っている。
**彼岸花(PS2版)
【ひがんばな】
|ジャンル|サウンドノベル|&amazon(B00006L902)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売元|サミー|~|
|発売日|2002年12月26日|~|
|定価|6800円|~|
|分類|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|
|ポイント|エンディング水増し&br()気色の悪い顔グラフィック&br()史上最悪の主人公|~|
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#contents(fromhere)
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*概要
有名サウンドノベル『[[弟切草>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/259.html]]』『[[街>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/57.html]]』と同じ、長坂秀佳氏が製作総指揮を執った作品。~
PS版弟切草([[弟切草 蘇生編]])の発売に合わせて小説版が書かれたが、この小説版には『彼岸花』『寄生木』という続編が存在し、3部作となっていた。~
そのうち『彼岸花』は、ゲームボーイアドバンスとPS2でそれぞれゲーム化されている((内容はそれぞれ異なる。))が、本項はその後者の方である。
京都を舞台としたホラーもので、何者かによって京都に招き寄せられた3人の女子大生に次々と怪奇現象が襲いかかるという内容である。
*特徴
-まず3人の女子大生(お嬢様、美大生、ボク女)の中から主人公を1人選び、その主人公の1人称視点のシナリオをプレイする。
--ストーリーは新幹線で京都に着くまで・京都散策・ある寺に到着する・謎の旅館に辿り着く・事件の黒幕との対決という5つの章から成る。
--3人は5章の終盤近くまで、ほぼ1組で行動する。時折他の2人の視点にザッピングできるが、「他の主人公は内心どう思っているか」を垣間見ることができるだけで、すぐに元の主人公の視点に戻る。
-『弟切草 蘇生編』同様、「どんでん返しシステム」が使われている。これは1度見たエンディングにもう1度辿り着くと、その続きである新たなエンディングが出現するというもの。
--エンディングは主人公3人の合計で187種類(+隠しが4種類)存在する。
-エンディングリスト、既読文章スキップ、ムービースキップ機能は存在する。
*問題点
**システム面
-総指揮の長坂氏は「エンディングの数はギネスもの」「どのエンディングも会心の作」と攻略本で豪語しているが、実際は露骨な数合わせのものばかり。''エンディングの水増しぶりと酷さに限って言えば、かの『[[四八(仮)]]』より上''。
--最初に見る事のできるエンディングは主人公ごとに各4種類で、大体は「事件解決」と言えるオチである。しかし''それを台無しにするのが、上記の「どんでん返しシステム」なのである''。
---「犯人は無事逮捕された。終わり」というエンドを見た後、もう一度そのエンドに辿り着くとその続きとして「犯人が脱走した。終わり」というエンドになり、更にその次の結末に辿り着く度に「その犯人を追って行ったら幽霊が現れた。終わり」「その幽霊は幻だった。終わり」''「なんか知らないけどロボットが出てきた。終わり」「全てはUFOの仕業だった。終わり」''と言ったように、''綺麗に終わった話に無理矢理後日談を作り、更にその後日談をいくつも細切れにして「エンディングは191種類もある」と言い張っているのである''。
---特に酷いケースは「''旅館の女将に『電話貸して』と頼んだら、突然女将が鬼に変身した。終わり''」というもの。このエンドの後には''「もう一度女将に同じことを頼んだらやっぱり鬼に変身した。終わり」というエンドが4回ほど続く''。
--エンディングを埋める為には、「もうすぐ終わりそうだと思ったらセーブする→エンドを見た後そのセーブ地点からやり直す」というやり方が1番効率が良いのだが、1つのセーブデータに付き5箇所までしかセーブできない。はっきり言って足りなすぎ。
---因みに''画面に選択肢が出ている間はセーブできない''。
-ザッピングで他の主人公の内心を垣間見ても、その主人公のシナリオのテキストを流用しているだけ。しかも「3人の中に犯人がいる」というエンドに辿り着いた場合に矛盾が発生してしまう。このザッピング機能自体いらなかったのでは?
-バッドエンドも酷い。選択肢はどれも3択なのだが、''3番目の選択肢は9割りがたバッドエンドに繋がる''。
--しかも内容は基本的に「突然子供の鬼が現れて襲ってきた」「突然幽霊が現れて襲ってきた」「''突然鬼の生首が降ってきて爆発した''」の3パターンである。意味不明。
-更に厄介なのがランダム分岐。本作は基本的に「選択肢を選んでから次の選択肢に辿り着くまで」を1節としており、''最終章以外の各節はランダムで組み合わさっている''。
--「バッド以外の選択肢を選ぶ→次の節(複数ある)のどれかがランダムで始まる→そこでバッド以外を選ぶ→また次の節のどれかに繋がる」。これの繰り返しである。攻略本にも「''ランダム分岐の為に展開が混沌''」と書かれており、''ぶっちゃけ攻略になっていない(というかしようがない)''。
-4章の冒頭である選択肢を選ぶと''そのまま4章を丸ごとすっ飛ばし、5章にジャンプしてしまう''。初プレイで選んでしまったらポルナレフでは済まなかろう。
**史上最悪の主人公
メイン主人公であるお嬢様の性格が異常なまでに悪い。「正義感が強く人当たりが良いため、一行のリーダー的存在となる」と紹介されているが、実際は''度を越した押し付けがましいだけの独善者''である。
-とにかく自分の意見を他人に押し付けないと気が済まない。「幽霊なんて非科学的だからこの世にはいない」と公言しており、幽霊を信じている・幽霊を見たと主張する他2人を''「いない。非科学的だ」とひたすらゴリ押しして言い負かそうとし、相手が折れるまで無言の圧力をかけ、「ここで目を反らしたら負けだ」と意味もなく勝敗に拘る''。
--因みに幽霊を否定する理由は''単に自分が怖がりだから''。つまり自分が怖がりたくないというだけの理由で、他人に同意を強要するのである。他2人とは''ついさっき知り合ったばかり''だというのに。
---そして相手が折れれば「良かった。これで私達、楽しく旅を続けられるわね」と発言。''楽しいのはお前だけだ''。
---それでも幽霊の存在を信じ続けるボク女の事は''露骨に無視したり冷たくあしらったりする''。
--更に強引かつ一方的な推理を進めて仲間内の雰囲気を自ら悪化させておきながら''「ああ、私達の信頼が壊れていく。皆気が立っているのだ」と人事の様に嘆く''。
-自分の知識をひけらかし、周りが感心したり自分の意見を引っ込めたりすると機嫌良く飲み物を奢り始める。
-普段から身勝手な言動で周囲を振り回しておきながら、他の2人が少しでも勝手な行動を取ると「まるでガキ大将だ」と呆れたり、''「人の意見も聞いたら?身勝手は良くないわ」と説教を垂れたりする''。
-この様に、明らかに「イヤな奴」なのだが、どうした事か他の2人は「彼女はオトナだ」「いつも正しい」と服従する。
--普段は他の2人を振り回し、そのくせ急な事態が起こると真っ先に取り乱すというのに、「あんたは私達のリーダーなんだから」「あんたに頼るしかないんだよ」と持ち上げられる。
--そして本人も、他2人にフォローされているというのに「私がしっかりしないと終わりだ」と内心呟く。''はっきり言ってボク女が一番しっかり者で役立っているんだが''。
--因みに他の2人が彼女に反発するシーンも少しはあるのだが、なぜか逆らう方が悪いかのような描かれ方をする。つまりこの作品世界には''「彼女のする事は何が何でも正しい」という謎のベクトルが働いているのである''。
--かの[[ミストさん>スーパーロボット大戦K]]ですら、その言動の問題ぶりは他の登場人物から批判されたり呆れられたりしていたというのに…。
*総評
「(ゲームを制作するに当たって)必ず''世界初''という仕掛けを組み込むように心掛けている」とは本作制作時の長坂氏のコメントだが、ユーザーは純粋な物語の面白さや何度も繰り返して遊びたくなるようなプレイバリューを求めているのであって、ぶっちゃっけ「世界初」云々は''わりとどうでもいいのである''。~
この「世界初」に拘るあまり、本作における''ナガサカ節''は嘗て手掛けたTVドラマ群や『街』のような冴えを失う結果となってしまった。
後に長坂氏は、著書『長坂秀佳術』にて、&bold(){彼岸花は大失敗だった}と語っている。