【どらっけん】
ジャンル | RPG |
対応機種 | スーパーファミコン |
発売元 | ケムコ(コトブキシステム) |
発売日 | 1991年5月24日 |
分類 | スルメゲー判定 |
ポイント | ハックハック ドラッケン! |
ドラゴンが滅びる時、新世界が誕生し人間は滅ぶ。 ある時、突然魔法がこの世界から消えてしまった。神の忠告を聞かずに、人間はドラゴンを絶滅させてしまったからだ。 神はドラゴン人間、ドラッケンによる新世界を作った。その舞台、ドラッケン島では人型ドラゴンであるドラッケンと、人間が暮らしている事が明らかになった。またドラッケン島は徐々に大きくなっていき、いずれは世界中を食いつぶし、人間を滅亡させてしまうことが明らかになってきていた。 ドラッケン島は空、水、大地、炎の4つの地域に分けられた。 それぞれの地域は、2匹のドラッケンが支配していた。 このままでは人間の世界は、ドラッケンによって滅ぼされてしまう。 しかし神は人間に最後のチャンスを与えた。 ドラッケン島にある「8つの涙」を手に入れる事が出来れば、滅ぼさないと約束したのだ。 世界の危機を救うため、4人の英雄(プレイヤー達)がこの島に旅立つことになった。4人の英雄は、この危機を乗り切るために、ドラッケン達の内乱を鎮め、9つのジェムを集めなくてはならないのであった。
もともとは1989年にInfogrames社から発売されていた、フランス製の疑似3Dロールプレイングゲーム。本作は1991年にケムコによって移植されたSFC版に関して述べる。
本作は初めにプレイヤーとなる4人のメイキングを行う。職業はアマゾン(アマゾネス)、スカウト、マジシャン、プリースト(プリーステス)の4種あるが、各職業について1人づつ、名前や初期能力値を決めていく。
プレイヤーはフィールドを360度自由に移動する事が出来、非常に開放的である。またこのゲームには時間の概念があり、現実の時間で約10分経過すると一昼夜となる。夕暮れになると徐々に空が赤く染まり、夜になると空には星が現れ、画面も夜が更けるにつれて暗くなっていく。この演出は当時としてはかなりのものである。
フィールドではスタートボタンを押すと全体マップ、現在位置、方角が表示されるので基本的に迷う事はない。
アイテムの売買はフィールド上ではランダムに出現する「さすらいの商人」によって行う。また、草原地帯のとある場所には「さすらいの商人」が常駐している場所がある(近くにはその存在について言及する老人も出現する)。
BGMの曲数は25曲程度とかなり多い。フィールドは草原、湿地、雪原、砂漠の4種類あるが、それぞれにつき昼のBGM、夜のBGMが専用に用意されている。プレイヤーが立ち入る事の出来るダンジョン(城)は6つあるが、これもそれぞれ異なるBGMが用意されている。
画面下にはプレイヤーの状態を現すスペースがあり、プレイヤーが装備している武器や防具の様子が示されており、装備を変えるとちゃんとグラフィックが変わる。強力な防具を装備するとどんどんグラフィックがゴツくなっていく。
敵をエンカウントするとプレイヤー達が画面上に現れ、オートで敵キャラを攻撃する。が、この時のBGMは大抵が無音。剣をぶつける「カンカン」、何かを殴る「ボスッ」、ダメージ音の「バシィッ」、後は敵の「ウェア!ウェア!」(このバリエーションはいくつかある)、という効果音だけであり、何ともシュールな光景が展開される。
夜間、外を歩いていると大抵1夜に1回、空に浮かぶ星座がモンスターに変化して襲いかかってくる。どういう訳か説明書はこの敵の存在について触れていない。
ホドケン城の堀にはある時期から何故か人食い鮫が棲み着いている。城に入るタイミングが悪いと一瞬で喰われて死んでしまう。喰われるとBGMが途端に無音になる演出も不気味さを増している。おそらくは外敵を防ぐためのものだろうが、その辺りの説明はゲーム中では何も無い。
グラフィックはフィールドは美しいが、反面ダンジョン内はかなり粗く、何がどこにあるのか非常に分かりづらい。ダンジョンではプレイヤーキャラを操作して隣接する部屋のドアへと移動するのだが、この動きもかなりカクカクしている。
戦闘バランスは大味。敵、味方とも攻撃が命中するかどうかはステータスにもよるがランダムであり、ダメージ量も非常にバラツキがある。特に開始直後は勝てる時はあっさり勝てる、死ぬ時はあっという間に1人死ぬ、という事も起こりがちである。また「ゆみ・や」という飛び道具である武器が異様に強力で、これさえあれば他の武器(接近戦用)は全くと言っていいほど必要が無くなるという難点もある。
「すぐに死ぬから」「何をしたらいいか分からないから」という理由でクソゲー扱いされがちな本作ではあるが、ドラッケン島に4つある教会では無償で全キャラの蘇生&回復が可能である。ゲーム直後は装備が貧弱だが、最初のダンジョンで装備を調え、教会付近でレベルを上げればすぐに死ぬ事も無くなる。
上述の「ジャイアント」「イリュージョン」「マッドドッグ」、また空を飛ぶため攻撃が当てづらい星座が変化した敵は、レーザーで攻撃してくるので攻撃力、命中率とも高く、低レベル時は一撃で殺される事もある。しかしこれらの敵も全てLRボタンの連打で逃げる事が可能である。
また、ストーリーは良くも悪くも「お使いゲー」。「~したから~に行ってくれ」というものばかりである。一部多少分かりづらい謎解きがあるが、行く先々の話を聞けば詰まるような事はない。ちなみに、原作はもっととんでもない謎解きがあり、敵モンスターもSFC版とは比較にならないほど強かった。これでも大幅に難易度を低下させて移植しているのである。
洋ゲーの移植作という事で悪く見られがちだが、フィールドを自由に歩く感覚、刻々と切り替わる空の様子など、じっくりプレイすると独特の世界観に浸れる「味」のあるゲームである。