「機動戦士ガンダム 一年戦争」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
機動戦士ガンダム 一年戦争 - (2012/03/01 (木) 15:37:49) の編集履歴(バックアップ)
機動戦士ガンダム 一年戦争
【きどうせんしがんだむ いちねんせんそう】
ジャンル
|
3Dアクションゲーム ※メーカー公称:一年戦争体感アクション
|
|
対応機種
|
プレイステーション2
|
メディア
|
DVD-ROM 1枚
|
発売元
|
バンダイ
|
開発元
|
ナムコ
|
発売日
|
2005年4月7日
|
定価
|
7,140円(税込)
|
プレイ人数
|
1人
|
セーブデータ
|
82KB以上
|
レーティング
|
CERO:全年齢対象
|
分類
|
クソゲー判定
|
ポイント
|
クソゲーオブザイヤー'05ノミネート作品 価格の暴落で小売店のいくつかを葬り去った逸話も… 大規模な広報活動の割に今までのガンダム作品と代わり映えのしない内容 値段に見合わない内容の薄さ ほとんどの一般ユーザーからは操作性が最悪として猛烈な批判 本作をきっかけに『株式会社バンダイナムコホールディングス』が誕生することに ミリオン!ミリオン!ミリオン! 連ジとは違うのだよ!連ジとは!(by開発スタッフ)
|
ガンダムゲームリンク
|
クソゲーオブザイヤー2005/ノミネート作品
ラジアータストーリーズ/戦闘国家-改- NEW OPERATIONS/
機動戦士ガンダム 一年戦争
/天外魔境III NAMIDA/ ドラッグ オン ドラグーン2 封印の紅、背徳の黒/絢爛舞踏祭/SIMPLE2000シリーズ Vol.82 THE カンフー/グランディアIII/ コード・エイジ コマンダーズ ~継ぐ者 継がれる者~/高速機動隊/ソウルキャリバーIII/ローグギャラクシー
|
概要
ガンダムシリーズの版権を持つバンダイが商品開発力に定評があるとされるナムコと手を組み、売上100万本以上のミリオンヒットを目指して立ち上げた商品開発プロジェクト、『プロジェクトペガサス』の最初にして最後の作品。
テレビアニメ『機動戦士ガンダム』の第1話から最終話までを1本のタイトルで追体験出来るのが特徴であった。
本作品はプロジェクト立ち上げの由来が由来であったために販売元のバンダイも宣伝にも非常に力を入れており、また過去の実績としてPS2向けに発売されていたガンダムゲームの売上が50万本を軒並み超えていたこともあり、ユーザーだけでなく、小売店サイドもまたこの作品に期待を寄せていたのだが…。
評価点
-
3Dグラフィックはかなり美麗なものであり、PS2のガンダム作品の中では最高レベルとまで評されることもある。
-
ただ、OPムービーに出てくる無駄にリアルなカーネルサンダースもどきの美麗レビル将軍はコメントに困るが。
-
特定条件をミッション中で満たすと見られる「メモリアルアクション」(原作のシーンを再現出来るシステム)もこのグラフィックが後押しして好意的に見ている意見もある。
-
しかし、軽快に後ろ歩きするガンダムの動きが「キモい」と言う声もある。
-
ジャブローで掛かる「哀・戦士」などコンセプトからは外れるものの、劇場版で評価の高いBGMがかかる点は演出面として好印象な意見が多い。
-
従来のガンダム作品では中々取り上げられる機会が少なかった白兵戦やホワイトベースの機銃を用いた銃撃戦がある点も、実際の内容はともかくとしてアイデアとしては悪くない。
-
ただし、あくまでアイデアとしては悪くないだけで、実際の中身が良かったかどうかはまた別問題である。
-
ゲーム内容とは直接関係ないが、『プロジェクトペガサス』の副産物として生まれたガンプラ「MGガンダム ver.One Year War 0079」は本作のグラフィックを元にしたもので、こちらの完成度は非常に高く好評を得ている。
-
今となってはそれも旧キットなのが悲しいところだが…。
問題点
歴代の作品とあまりにも代わり映えのしない作品内容
-
大々的な宣伝とその内容の割に、実際に出てきた内容は今までの作品とやっていることにほとんど大差がないとして批判が集まった。
-
評価点で挙げた白兵戦や銃撃戦も実際は内容があまりにも中途半端だったために「こんなミッションよりもモビルスーツ(以下MSと表記)での戦闘ミッションを多くしろ」という批判意見の方が多く上がることに。
-
おまけに本作はコンセプト上からか、ホワイトベース隊(と言うよりもアムロ・レイ)視点しかプレイ出来ず、ジオンサイドでプレイ出来ると言ったようなおまけ要素がないため、ボリューム不足という意見も強い。
-
クリア後のオマケ要素として、ガンダムの代わりにガンダム系のバリエーションMSでフリーモードのみプレイすることができるが、ほとんどがガンダムより弱いGM系であり、ガンダムの代わりに使ったからと言ってやることは全く同じで、特に面白いものではない。GMトレーナー使えても誰得。
再現度が中途半端
-
一応アニメの本編をなぞってはいるものの、所々端折られていたりするために中途半端。
-
元作品を知りつくしていれば脳内で補完も出来るだろうが、そうでもない者からすれば意味不明なことになりかねない。ただし、これはこの手合いのキャラゲーにはつきものな現象ではある。
-
また、ソロモンでの階段登りや飛んでくるメガ粒子砲を回避する場面なども、原作再現という意味からも大きく逸脱している上に、難易度も異常に高いために純粋にMS戦闘を楽しみたいというファンからは批判が集中した。
個性的すぎる操作性
-
本作が非難される要因で大きな要素を占めるのがこの操作性で、このゲームにおいて○ボタンと□ボタンはプレイ中一切用いない。
×ボタンは視点を元の位置に戻すのに用い、△ボタンは一部機体の追加武装での攻撃に用いるのみで、主な操作はL1~L3・R1~R3ボタンに集約されている。
一般的なゲームの操作体系に慣れたプレイヤーからはそのあまりに独特な操作体系故に「操作性が最悪だ」として猛烈な批判を浴びた。
また、このゲームが出る前に可能な限り操作を簡略化しつつもMSを動かして戦う楽しみを十二分に引き出していた『機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオン DX』がPS2に発売されていたために、そちらと比較しての形で非難されることもあった。
-
ただし、この手の操作性は所謂FPSなどで多く採用されており、これらのゲームに馴染みのあるプレイヤーからはこれといって不満意見は出ていない。
-
実際に当初は批判的な意見も多かったが、慣れればむしろ良好であるという評価は多い。
-
だが、当時FPSといえばPCでのオンラインゲームがメインで、PS2においてこの手合いのゲームがあまりにも少なくメインターゲットとなり得るガンダムファンにも馴染みが非常に薄いジャンルであったこと、FPSというジャンル自体好みが分かれやすいということもあり、結果として劣悪な操作性として本作が強く非難される大きな原因になったとも言われる。
-
というか全く畑違いなジャンルに全く異なる操作形態を持ち込むこと自体大きな間違いだろう。
-
しかも説明書には「操作性は独特だけれども、慣れてください」的なことが書かれている。分かってんなら直せ!
-
そもそも何を意図してFPS操作を採用したのか、そこからして意味が全くもってわからない。
+
|
本作における基本操作一覧
|
L1ボタン
|
ダッシュ
|
L2ボタン
|
ジャンプ
|
R1ボタン
|
射撃攻撃
|
R2ボタン
|
近接攻撃
|
×ボタン
|
視点戻し
|
△ボタン
|
第三武装攻撃
|
アナログスティック押し込み
|
バルカン
|
左スティック
|
移動
|
右スティック
|
視点・照準移動
|
|
システム周り
ここでは『機動戦士ガンダム 連邦VS.ジオン』(以下連ジ)と比較して書いてみる事とする。
-
ビームライフルでの射撃攻撃を行っている所に接近され、ビームサーベルで迎撃しようとした。
-
連ジ
(ガンダム):抜刀し、そのまま対象に斬りかかる。
-
一年戦争:抜刀する…だけ。もう一度近接攻撃ボタンを押してはじめて攻撃に移行するため、前もってビームサーベルで攻撃しようとしておかなければならず、今回のようなシチュエーションではまず対応出来ない。
-
接近した敵を撃破し、再びビームライフルでの攻撃に移行。
-
連ジ
(ガンダム):敵をロックオンしていない場合はビームライフルへの持ち替え動作、敵をロックオンしていれば持ち替えた直後に射撃攻撃。
-
一年戦争:敵をロックオンしていようがしていまいがビームライフルに持ち替える…だけ。もう一度射撃攻撃ボタンを押してはじめて攻撃。
-
ロックオンシステム
-
連ジ
:サーチボタンでサーチ可能範囲にいる敵を自動的にロックオン、対象の敵を中心として移動を行う。
一度ロックオンした敵は相当距離が離れるか急速に裏に回られたりしない限りは外れず、相手への攻撃もしやすい。
-
一年戦争:右スティックで敵を索敵、ロックオンサイトに敵が収まればロックオン。しかし少し相手がずれただけでロックオンが解除されてしまう。移動はロックオンに左右されず、自由に移動可能。
オプションでロックオンそのものを無しにすることも出来、プレイヤーが操作するMSの旋回速度の異常な遅さなども手伝ったロックオンシステムの勝手の悪さ故に「無い方がやりやすい」とまで言われてしまう程。
-
戦艦の主砲級(と言う設定が公式にある)のガンダムのビームライフルでザクを攻撃!
-
連ジ
:一発では破壊出来ないが、これは対戦アクションゲームである以上致し方のない処置。ただし、対戦アクションの面が薄くなるPS2版『連ジDX』の追加要素である「ミッションモード」であればザククラスは一撃で撃破も可能。
-
一年戦争:対戦アクションでもないのにザクすら一撃で破壊不可、しかも数発当てただけですぐにダウンしてしまって追撃も出来なくなる。
-
戦闘中に入るカットイン。
-
連ジ
:操作する際に影響を及ぼさないタイミング、位置にカットインが入る。
-
一年戦争:こちらの状況もお構いなしのタイミング、位置に無駄にでかいカットインが入るのでかなり邪魔。最悪の場合、これが被弾する原因になることさえある。
-
敵に格闘攻撃を当てた。
-
連ジ
:当たった敵は怯むので格闘攻撃のセットを出し切ることが出来る。
-
一年戦争:斬っても敵はザクですら耐える(ハイパーアーマー?)上にこちらの追撃よりも早く反撃が出来るため、容易く斬り返される。おまけにこちらは簡単に怯むのでそのまま追撃を喰らうハメに。
-
シールド。
-
連ジ
:任意で防ぐことは出来ないが、盾のある方向から来た攻撃は盾で防ぐことが出来る。
-
一年戦争:盾など飾りです。偉い人にはそれが解らんのですよ。…つまり、持っているには持っているが攻撃を防ぐと言ったことは一切出来ない。
総じて連ジは前述の「個性的すぎる操作性」の所で書いたことの繰り返しになるが、初心者でもMSを動かしている感覚を味わえるように操作を可能な限り簡略化しており、一年戦争はロックオンシステムなどを見る限り、ある意味ではマシンを動かしている感覚をリアルに体感出来るようにする事にコンセプトを置いているとも言える。
ただし、一年戦争のそれが果たしてゲーム的な面白さに昇華出来ているのか否か、と言えばゲーム中のそれ以外の要素が互いを見事に殺し合っているために間違いなく否なのである。
さて、なぜここで唐突に連ジを比較に持ち出したのかというのは後述、スタッフの言動上こう言う比較をせざるを得ない所があるのだ。
その他
-
ミッション構成にも問題あり。
-
劣化タイムクライシスな白兵戦や砲撃面は置いといて、ランバ・ラル隊との最後の戦闘である「ギャロップ特攻阻止」に1面分使っていたりする。
-
こう言った部分が結果としてボリュームの薄さに拍車をかけてしまっている。
-
バーニア一瞬でオーバーヒートする(ゲージが一瞬で振り切れる様はある意味シュールとしか)。
-
一応ゲージはすぐ回復するが、原作のガンダムの戦いぶりと言う意味で言えばどのみち不自然としか言い様がないのである。
-
中途半端な新作アニメーション。
-
これも宣伝でかなりの売り文句としていたのだが、実際はアニメーションでもなんでもなく、原作における場面の一部分を切り抜いたものの羅列という、誇張抜きに紙芝居レベルのものであった。
-
全体的なボリューム不足。
-
前述の通り、ジオンサイドでのプレイが出来ないこともさることながら、おまけ要素もMS数体が追加されるだけな為、何度もやり込むにはあまりにも淡泊すぎる。
-
また、追体験の面でも物語を端折っていたり等の影響で量もお世辞にも多いとは言えず、この手のゲームにある程度慣れている者ならば、それこそ2時間でハードモードもクリア出来た、なんて言う事も。
-
特定条件で見られるメモリアルアクションだが、場面の都合上仕方ないとは言え、条件がほぼ全て「敵をビームサーベルで倒す」で占められているのもあまりにもワンパターンすぎるとして不満が上がった。
-
擁護意見もあるにはあるが、どれも論外すぎてまったくアテにならない為、余計にクソゲーとしての評価が上がって行った。
-
「980円のわりに楽しめた」と言う様な(皮肉込みの)まともな感想もあるにはある。
スタッフの珍言・暴言
本作を語る上ではこれを外すことは出来ない。
有名な所では本作の制作発表会の最後を飾った「ミリオン!ミリオン!ミリオン!」というかけ声がある。
これだけ見ればそれだけ気合いを入れて作品を作っているのだという見方も出来なくはないのだが、それに対して出来上がった本作のあんまりな内容・掲げた目標に対しての散々な売上などから、悪い意味でネタとして有名になってしまった。
また、かつてメディアでのスタッフのインタビュー等があった際の発言にこんな内容の発言があった。
カプコンのVS.シリーズのように、旧ザクが気合いを入れてから鉄山靠を放ったり、ズゴックが雷神拳を出したりすることはない。
連邦VS.ジオン(の売上)が80万本行ったのだから、一年戦争は100万本は余裕。
これらの発言が前後の流れから見れば明らかに連ジをバカにしているとしか言い様のないものであり、それ故に一部からはあまりにも非常識な発言であるとして批判された。
だが、システム周りを見てもらうと解るように、確かに旧ザクが鉄山靠を放ったり、ズゴックが雷神拳を出したりはしなかったものの、ダウン時の完全無敵やビームライフル周りの調整などは明らかに連ジを模倣しており、ゲーム全体の出来故に最近のネットスラングで用いられる用法の「(笑)」、つまり嘲りのネタとして引っ張り出されることとなった。
要は連ジに劣るゲームを作っておいて良くここまで連ジをコケに出来たな、と言う意味である。
こうしてみれば、現バンナムの看板シリーズの一つである某シリーズの非常識極まりないスタッフの態度も会社全体がこんな姿勢ならばむべなるかなとも言える。
総括
鳴り物入りで登場したタイトルであったものの、内容的にも結果的にも盛大にずっこけたと言わざるを得ないものとなってしまった。
最悪な操作性と言われた操作性周りに関しては、ユーザー層を読み違えた所もあり、この手のゲームに慣れている者からすれば違和感を覚える意見ではある。
だが、操作性に関してはともかくとしてもガンダムゲームとして、否、一つのゲームとして見ても完全に落第レベルの内容であったことは紛れもない事実であり、本作は発売してすぐに大きく値崩れを起こす結果となってしまった。
その値崩れの速さを原作に登場する「赤い彗星」ことシャア・アズナブルの駆る、シャア専用ザクの特性になぞらえて「通常の3倍の速さで値下げしている」などと言われる有様。
大量出荷と、悪評の凄まじい勢いでの広まりによる大幅な値崩れのツケは、結果として小売店に回ってくることとなってしまい、本作の大幅な値崩れ(と大量入荷)が原因としか思えないタイミングで閉店してしまったショップもあったとされ、その為にクソゲーオブザイヤー'05の総評においても「”販売目標ミリオン”を掲げ大量出荷し、そのあげく価格大暴落を引き起こし、小売店の何件かを葬り去った」と書かれてしまう事となった。
そのお粗末なゲーム内容故に一部のガンダムファンからは「一年戦争を買うぐらいならPS2ロンチのガンダムの方が余程楽しめる」とまで評されることに。
このような散々な結果となってしまった理由を考察する時、勿論本作そのものの出来がお粗末だったからと言うのは疑いようがない。
だが、バンダイの限度を超えた一年戦争(所謂ファーストガンダム)偏重の商品展開にユーザー・ファンがいい加減うんざりしてきていることも少なからず原因としてあると言えよう。
実際にユーザーレビューサイトや個人ブログなどで話題に挙げているのを見てみれば、「いい加減一年戦争関連以外のガンダムゲームを出せ」と言う意見がかなり見られるのだ。
もっとも、お粗末な出来と言うのは定価に見合わない内容と言う面もあるにはあるので、定価が2800円ぐらいなら多少は見方も変わっていたかも知れない。
とは言え、どのみちこの内容ではクソゲーの評価そのものは免れようないだろうが。
余談
このようにバンダイとナムコが組んでのプロジェクトペガサスはこの1作だけで自然消滅してしまったが、このプロジェクトがきっかけとなって両社は経営統合し、『株式会社バンダイナムコホールディングス』が設立された。