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オリビアのミステリー - (2010/07/02 (金) 01:59:13) の編集履歴(バックアップ)


オリビアのミステリー

【おりびあのみすてりー】

ジャンル パズル
対応機種 スーパーファミコン
発売元 アルトロン
発売日 1994年2月4日
定価 9800円
分類 バカゲー判定

概要

  • アルトロンから販売された「うごく絵」シリーズのVer1.0。後に1.1(PC98『オリビアのミステリー』)や2.0(SFC『アリョール』)が販売された。
  • 往年の名作、「キネティックコネクション」(ディスクシステム版のタイトルは「きね子」)と類似した、絵が動くジグソーパズル。
    • 操作やピースの数などは「きね子」を踏まえているようだが、幾何学模様が多かった同作と違い、ストーリー性のある一枚絵を組み立てる。
    • アニメは一定パターンを繰り返すだけなので、きね子ほど難易度は高くないが、本作はクリア時間によってエンディングが分岐する。

シナリオ

  • 説明書に載っている世界観説明が、なんとも日本語的に錯綜している。
    • “「皇帝の娘を助けなければならない」そう、勝手に信じ込んだ男が、世界の果てへと旅に出る。”
      これだけだと「何だ、ギャグのつもりか」と言うだけの序文だが、その次に冗長な本文(プレイヤーが男と共に冒険する、と言う意味合いの文章が言い回しを変えて連続する)が続き、最後は何の脈絡も無く、“すべては、あの夏の日のやっかいな事件から始まったのです。”と妙に丁寧に閉じられる。
  • ゲーム中に出るストーリーはそれ以上に錯綜している。
    • 例えば水道管が破損したくだりでは「とてもたいへんなことだから、だれかがなんとかするだろうと思った」と言う平易さ。
      子供向けに易しくしているのか?と思いきや「したがって」「~である」のように堅い文体が混ざり合い、更に(上記のストーリーにも見られる)「含みを持たせた煽り文」がいい具合に挿入される。
      加えて漢字と平仮名のバランスが異常に悪く、どんなストーリーなのか理解しにくい。
  • さらにテキストの数割が冗語表現や反復法(のようなもの)を用いている。以下は2面のテキストの引用である。なお漢字・ひらがなはゲーム画面に即している。
    だれもが「なんとかしなければならない」と思った。
    しかし、だれもが「なんとかなるだろう」とも思った。
    ほうっておけばたいへんなことになるかもしれないが、
    どうしていいかわからないし、だいいちなんとかするにしてもめんどうだ。
    とてもたいへんなことだから、だれかがなんとかするだろうと思った。
    しかしそんなことをかんがえている間にも水はなくなっていってしまう。
    私はついにビルのカベを登ってパイプのバルブをしめにいくことにした。
    
  • もうひとつ、以下にゲーム中実際登場するテキストの一部を引用する。
    あるステージでは倒れた皇帝の娘のために、大陸を駆け抜け薬を取って来るのだが…
しかし、やっとかえっておどろいた。
人々は娘が死んだはなしをしているではないか。
あわててちかくの人にきいてみると、
皇帝の娘はもうきょういっぱいもたないだろうということであった。
こまった。

やむをえず、うまを1ぴきかりて研究都市へはしることにする。
むりにたのんで、いちばんはやいうまをかりた。
が、さすが、いちばんはやいうまである。
のるまえにはしっていってしまった。
  • 「こまった」なんて場合では無い。
    更に次のステージに至っては、最早ゲームのテキストとして崩壊している。
なんてことだ。おいかけてるうちに研究都市についてしまった。
なんのためにうまをかりたんか、ようわからん。
  • あえてよく言えば平易で分かりやすいと言うべきか、ようわからん。
  • また、これら文章が画面いっぱいにノンストップに表示され、流れきらないうちに消えるため、ますます読みにくさに拍車をかけている。
  • ただ、文体はヘンテコだが、話の筋じたいは奇想天外かつ、どこか牧歌的でもあり、中々楽しめる。バッドエンドは悲しい…
  • ちなみに、オリビアという名前は作中では登場せず、説明書に(なぜか)存在する英文版部分で「Princess Olivia.」と書かれていることにより、これで初めてパッケージなどの女性がオリビアなのだとわかる。 普通は読まない。
  • パッケージ裏で、エンディングステージのひとつが堂々とネタバレ掲載されている。

内容

ではゲーム性はどうかと言うと、こちらも崩壊している…むしろこちらの方がこのゲームの醍醐味と言える。

  • 背景の画像が動いているのがこのゲームの特徴だが、ハードの都合か作風なのか、似たような色のピースが非常に多く、なかなかの難易度を誇る。
    • 「きね子」同様にピースの上下左右はランダムで反転しているし、ステージ2のように同じ窓が並ぶ絵など、基本的なステージでも慣れを要する。
    • そして絵がヘタ。特に人物の顔の線は歪んでいて、無駄に難易度を上げる要素となっている。
    • しかも絵自体も前述のストーリーのせいで難解というか……完成しても何だかわからず、絵を完成させるというゲームの目的が根底から揺らいでいる。
      • 意味も無く傘を左右に振る男たちや「空を飛ぶ機械」ならまだしも、「アトミック水汲み機」が完成しても反応に困る。
    • 当然というか案の定お手本が無い。完成するまでどんな絵かわからない。ただでさえ完成しても理解不能なのにこれは厳しい。
      • 作中でも最高難度のステージ11と13のなかに、全体的に見ても低難易度のステージ12があるなど、バランス感覚に疑問が残る。
      • ただし、園でっリング分岐を考えなければ、制限時間はないので、いくらでも試行錯誤できる。完成画像が見れるようになった、後継作『アリョール』(後述)ステージ17よりは簡単だったりする。
    • ステージクリア後は額縁の下に「GOOD」と表示されるのだが、コマ落ちしたかのような変な動きをする。全体的な雰囲気もあって非常にシュール。
    • 操作中に流れる音楽も、特にパズル画面で流れる音楽が非常に狂っている。
  • パッケージには「皇帝の娘」の立ち絵が描かれているが、この絵も正直なところあまり上手では無く、ヘタをするとそもそも女性にも見えない。この点に於いては、かの里見の謎とも張り合えそうである。
    • パッケージイラストはこちらで、劇中テキストはこちらで見ることができる。
  • 続編「うごく絵Ver.2.0 アリョール」も日本語として変なテキストや相変わらず女性に見えないヒロインなどおかしいところはあるが、パズルゲームとしては前作より相当改善されており凡作に仕上がっている。 一方で、タイムアウトによるゲームオーバーができ、そこにピース形の変化(毎回変化する上に細かい)という要素が加わり、かえって厳しくなった部分もある。
    • このため、ステージ17は、最小ピース+ピース変化+全体的に赤く、メリハリのない色合いの殺人コンボに上記仕様が加わり、前作の鬼畜ステージ13を上回る難易度と化している。
    • プレイ前に完成図が出たり、ピースが長方形じゃなかったり対戦モードがあったりと、本作の問題点、不満点が改善されている。二人の犯罪者が主役のストーリーは一見の価値があるような、ないような。