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黄金の太陽 漆黒なる夜明け - (2011/08/22 (月) 14:14:11) の編集履歴(バックアップ)


黄金の太陽 漆黒なる夜明け

【おうごんのたいよう しっこくなるよあけ】

ジャンル RPG
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 任天堂
開発元 キャメロット
発売日 2010年10月28日
定価 4,800円
分類 黒歴史ゲー
ポイント 8年振りの続編。だったのだが…


概要

黄金の太陽とは、GBA初期の名作として根強い人気を誇るRPG。
参考:黄金の太陽(名作・良作まとめWiki)
その続編が8年ぶりにニンテンドーDSで登場した。

舞台は前作の30年後。ゲームの核となる「ジンシステム」、微妙な日本語(通称「高橋語」)は健在。
主な特徴やゲームシステムは上記の良作Wikiの内容を参照してほしい。

しかし、8年前のオーソドックスなRPGそのままでは時代に合致しなかったのか、本作は著しくない評価を受けている。

問題点

素人でもわかるほどのダメなシナリオ/ストーリー

  • 行き当たりばったりで話が進み、目的が二転三転する上、未完に終わる。
    • 旅に出た動機と謎の組織の暗躍が噛み合っていない
  • パーティキャラクターが8人と多い割に掘り下げはほとんどされず、シナリオ的にもいてもいなくてもいい空気キャラばかりとなっている。
    • かといって、人数が減っていたら、一度に持てるジンの数が減り、クラスチェンジの幅が前作より狭まっていた可能性はある。
  • 回りくどく、酷い台詞回し。前シリーズでも稚拙なテキストが批判されていたが、改善どころかより凄まじいものとなって帰ってきた。
    • 専門用語・固有名詞が多用され、ただでさえ読みづらいテキストがさらに難解になっている。
    • 会話中に用語が出てくる度にその場で用語辞典を参照できるようになっているが、辞書を片手に小説を読まされているようなもので、当然テンポは悪くなる。
    • さらに、辞典に丸投げする形で、作中で用語の解説がほとんど行われない。
  • 会話中、たまに主人公に問いかけられ、「喜」「怒」「哀」「楽」の4択で答えるというシステムがある。どの選択肢でどういう受け答えになるかわかりづらく、プレイヤーの思った通りの会話がされず、ストレスが溜まる。
    • 序盤の4択会話のひとつを紹介します。
      + ...

      あらすじ:
      テリーは訓練した者が扱わないと危険なグライダーウィングを勝手に持ち出し、
      今にも飛び立とうとしています。

      ロビン「ムート 来たか!」
      ジェラルド「ムート キミだけがたよりだ たのむ テリーを止めてくれ。」
      カリス「ムート ビビッてないで テリーを止めるのよ!」

      ここで選択肢 【嬉しい】【怒り】【悲しい】【楽しい】

      【嬉しい】
      カリス「ムート その嬉しそうな顔・・・今 どういう状況だと思ってるの早く テリーを止めなさいよ!」
      ※空気を読めずワクワクしたことになっていたらしく、咎められる

      【怒り】
      カリス「私 テリーのきかん坊ぶりには 本当に苦労させられたんだから おこらないでよ 失礼しちゃうわ。」
      ※「ビビってないで」と罵倒したカリスに怒ったことになっており、咎められる

      【悲しい】
      カリス「あなたたちが出かけて行ってから 私が どれだけ大変だったか・・・ 泣きたいのは こっちの方だわ。」
      ※カリスに愚痴をこぼしたことになっており、咎められる

      【楽しい】
      カリス「あなた 完全に見物客って感じね ちょっと 冗談じゃないわよ・・・ お友だちをどうにかしてちょうだい。」
      ※他人任せでいたことになっており、咎められる

低すぎる難易度

  • 通常攻撃が非常に強く、エナジー(魔法)で弱点を突いたり、相手によって戦法を変えるなどの戦略を練る必要がほとんどない。
    • 武器熟練度が設定されており、通常攻撃することで武器に経験値が溜まり、新しい必殺技を覚えたりする。つまり、通常攻撃をやればやるほど通常攻撃が強力になっていく。これはもう通常攻撃以外の戦法を採るのは縛りプレイか舐めプレイに近い。
  • 最初から使い勝手のいい全体回復技を使うことができるので負ける要素がない。
  • おそらくラスボスまでにつまずくことはないだろう。そのラスボスの前に蘇生アイテムを100%の確率でドロップする雑魚敵が配置されているという親切設計。
  • 戦闘だけでなく、謎解きの難易度も低い。仕掛けのヒントどころか解答まで確認できるという超親切設計。

システム面

  • 不便なユーザーインターフェース。
    • メニュー画面が見づらく使いづらい。
    • アイテム所持数が少なく、管理が面倒(ドラクエで言う所の「ふくろ」がない)。
    • 謎解きで複数のエナジーを使い分ける必要があるが、ショートカットが2個しかないので、使いづらいメニュー画面からいちいち選ぶ必要がある。

グラフィックス、BGMなど

  • キャメロット作品お馴染みの桜庭統氏の音楽もファンからは「印象に残らない」「期待していたのと全然違う」などあまりいい評価ではないようだ。
    • 特にラスボスの曲でガッカリしたという声が多い。激しく熱すぎる曲調であった前作までに比べ今作は重厚なオーケストラの曲である。しかしDSの音源では重厚なオーケストラの迫力を表現することは当然できないためどうしても盛り上がりに欠けることが主な批判点となっている。

続編として

  • 前作ファン的には
    • 前作の登場人物の大半は行方も語られず謎となっている。
    • エナジーを使った謎解きやジンシステムなど、要となる部分は前作からほとんど変わっておらず、新鮮味がない。

環境の変化

  • 前作はGBA黎明期に登場し、携帯機とは思えないグラフィックとBGMも評価されていた。しかし本作が出たのはDS末期で、先駆者としてのアドバンテージがなくなった。グラフィックやBGMも、DSの他作品と比較して飛び抜けているわけではない。

製作者の言動

  • 製作者のインタビューと実際の仕様が一致していない。
    • 「GBA版と違いこのゲームだけでストーリーは完結です」
      • 実際はストーリーが完結しない。黒幕は倒せなかったが、とりあえずの最初の旅の目的だけは達成したので実家に帰ろうとすると、新たな問題が発生して……と、明らかに続編に続くことを示唆した形で終了する。
    • 「いつでも前の場所に戻ることが出来ますので安心してどんどん進んでください」
      • 最終的に戻れなくなる場所が多く、時限要素も多い。

評価点

  • UIの軽快さ。
  • 戦闘中のテンポの良さと、2画面ぶち抜きで表現される召喚獣の演出。
  • ジン一体一体に、違ったデザインが出来た事。
  • 上記のように書いてはあるものの、桜庭氏のBGMはクオリティ自体は相変わらず非常に高い。ラスボス戦の曲も完成度自体はとても高い。
    • やはり音源の問題が重くのしかかっているのだろう。特別なドライバを利用してハイクオリティな音源を実現していた旧作と違い今作は内臓音源そのままであり、しかもよりによって桜庭氏の得意とするロック調の音楽には不向きな音源だったのが不幸である。
  • モブの台詞が、イベントが進むごとに細かく変化すること。
  • 謎解きの際の、オブジェクトや仕掛けの反応・演出は、やはり見ていて楽しい。
  • 各地の本棚に、ほぼ確実に世界観を説明するような情報がある事。
  • 各地の釜戸を調べると出てくる料理の説明書きが非常に細かい事。

総評

今作はあの名作『黄金の太陽』の8年ぶりの新作ということもあってか大いに期待するファンが多数だった。
しかし、いざふたを開けてみれば前作最大の長所であったシステムは低難易度化により生かしづらくなり、そこに不便なインターフェースが追い打ちをかけるという散々な結果に始まり、
ストーリーに関しても旧作をはるかに上回るお粗末極まりないものである上に前作キャラも登場しないという続編ものにはつきもののファンサービスすら物足りないものであった。
オーソドックスなRPGとは言ったが、やりごたえもなくストーリーもつまらない今作は間違いなく「王道を通り越した陳腐」である。
嘘だらけの開発者の言動もあってか、ファン離れの数は深刻な状況である。

余談

  • 海外では人気の作品であり、海外紙のレビューではなかなかの評価を得ている(参考:Wikipedia
  • 前作までの評価が高かったことと、未完のエンディングから、レビューで低評価を下しながらも続編を期待する者は多い。