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割れ厨 - (2012/07/18 (水) 12:52:21) の編集履歴(バックアップ)


割れ厨



概要

海外ではインターネット上で不法取引されているデータを、Warez(ウェアーズ)と呼ぶ。それをローマ字読みしたネットスラングが「割れ(ず)」であり、それを入手する者に対して「~厨」という別のネットスラングを付け足したのが「割れ厨」である。
「割れ」にはいくつかの種類があり、例えばPC用ソフトの違法コピーやPC上の家庭用ハード・エミュレーターも大きな問題となっているが、本項目では主に家庭用ゲームのデータをコピーしたソフトを実機に導入する通称「マジコン*1」、特にいま現在「割れ」行為の象徴となっているニンテンドーDSにおけるそれを問題としたい。

なお、PSP・PS3・WiiでCFW*2を導入*3し、違法DLしたゲームを遊ぶ者などももちろん割れ厨に含まれる。

「割れ厨」の多くは、インターネットなどを介して不法に、即ち金銭など正当な対価を払わずソフトを入手している。つまり「割れ」が蔓延すればゲームの売上は下がり、ゲームの売上が下がればメーカーに金が入らず、開発力低下・クソゲー率上昇・倒産という流れになる。対策としてメーカー側も「マジコン」筆頭に「割れ」対策をしているものの、ソレを潜り抜けるパッチが開発されたりと、いたちごっこが現状である。

勘違いしてはいけないのが、自身が所有しているゲームをバックアップすることは私的利用の範疇で認められており*4、それを諸々のエミュレーター*5で起動すること自体も違法ではない。前述した通り違法DLによる入手(ソフトを所有していてもバックアップの方法がわからないからとネットからDLするのもNG)や、バックアップ後、ソフトを手放したにも関わらずデータを消去しないのが違法データの所持に当たるのである。
実機、ソフト共に所持していてもロード時間が短くなるなどの利点があるため、持ち運びなどはできなくなるものの、あえてPC上のエミュレーターでゲームをするユーザーも少なからず存在する。所持していればとりあえず法律上シロな行為であり、違法性はゼロなので正当な手段でエミュレーターを使用している人を叩くことのないようにしよう。
また、この辺りを勘違いして人を叩いたりしていると「無知乙w」「情弱じゃないのwww」と、逆に叩かれて傷ついてしまうこともあるので気をつけよう。

メーカーの対策法や割れ厨の実態

有名なマジコン対策の例として、DS版『ドラゴンクエストV』でのものがある。本作は冒頭で船に乗るイベントがあるが、マジコンで本作を起動した場合いつまで経っても港に着かないという対策が立てられていたのだ。兼ねてからの割れ厨に対する厳しいムードもあってか、一種のジョークとしてwebで話題になった*6
ちなみにそこから波及して、発売当初に掲示板などで「イベントが発生しません」などの書き込みと、それが対策であると分かると「マジコンを客として見ていないなんて信じられない」と憤りを露わにした件もあった。いやコピー品ユーザーは最初から客じゃないし。
また『ひぐらしのなく頃に祭』の割れ対策*7に対して「商品として欠陥がある」なるスレッドを掲示板に立て、すぐに割れと看破されると「購入厨(後述)どもは黙ってろ」と罵倒するという事件も。
このほか、ソフトに同梱されている本『マジックマスター』がないと詰む仕様になっている『二ノ国』のようにマニュアルプロテクト*8を導入した例もある。
ちなみに「『マジックマスター』を紛失したのでルーン*9が掲載されているサイトを教えて欲しい。」との質問がYahoo知恵袋になされたこともあったが、正規購入者と思しきユーザーから「メーカーに禁じられているのでそのようなサイトはない。『マジックマスター』は説明書に付属している購入券と本の代金(3,500円)をメーカーに送れば再購入できる」と返されると、質問者はしどろもどろの返事をして回答を打ち切った(参考)。おそらく割れでプレイしていたのであろう。
当然ながらレベルファイブは『マジックマスター』の内容の転載を禁じている上、ルールを破って載せても得をするのは割れ厨だけなので真っ当な攻略サイトでは内容を載せないようにしているし、ネット上にはスキャンしたものも流出しているようだが、この本自体が500ページ近い本格的な作りであるためデータの参照にはかなりの労力を要し、遊ぶ意欲は大幅に削ぎ落とされる。
また、メーカー側の発言ではチュンソフトの『428 ~封鎖された渋谷で~』総監督であるイシイジロウ氏がTwitterで割れ厨についてつぶやくこともあった。

ちょっと前に面と向かって、「すいません428やったことないんですよ」「原則ゲームはマジコンでしかしないんで」「428もDSかPSPに移植してくれたらDL出来るんですけど」てなことを冗談まじりに言ったことがある*10。ホント冗談でもやめてください。面白くもなんともない。

ポケモンの大会で、マジコンの使用がばれて参加できなかった子供の親が逆ギレしたというバカ話もある。

以上、全てが全てではもちろんないが、「買う方が損をしている」というマジコンユーザー=割れ厨が一定数いるのは、さすがに否定できないのではないだろうか。
さらにごく少数ではあるが、「金を払う価値のないものに対価を支払うのは、メーカーに不当利益を与え業界全体を腐敗させる行為」とし、逆に言うなら「割れ」の蔓延の責任はメーカー側の怠慢である、とする言説も存在する。勿論「価値の無いゲームなら最初からやらなければ良い」だけで、割ってまで遊んでいる時点で言い訳にもならない。体験版が配られ、インターネットで情報が溢れかえる時代であり、割れ厨は大概「情報強者」を名乗っているはずだが?
また、上記の意見を持つ者(割れ厨)は「金を払う必要のないものに対価を支払う人」を「購入厨」*11と馬鹿にすることも多い。が、当然そんな理論は通じないため論破されて終わるのがオチである。それに加えて、購入厨と罵る人間は「金を払って買う(購入する)のは馬鹿」言い換えると「俺は万引き大好き」と言っているようなものなので人間性や品格が疑われてしまう。

マジコンと世相

以上の違法コピーとメーカーの対応とのいたちごっこは、例えばPCゲーム業界では昔から存在する病理であり、それほど目新しいものはない。が、「マジコン」が少年少女にも広く普及したニンテンドーDS上で広く出回った結果、新たなる問題が近年発生している。即ち、保護者が子供にマジコンを買い与え、何も知らないまま割れ厨になってしまっているケースの存在である。
例えば、あるセガ社員がtwitterにて「周辺で聞く限り小学6年生のマジコン普及率はたぶん90%以上……。」と発言したことや、Yahoo知恵袋上で「生活保護ではあまり子供にゲームソフトを買い与えられないのでマジコンを合法化して欲しい*12」という(念のため注釈を入れると、これが本当に「マジコンを子どもに買い与える親」による発言かは確かめる術がない)質問があったことなどは記憶に新しい。

もちろん、マジコンを買い与える親にとっては財布に優しく、子どもにとっては多くのゲームを遊べる、夢のような話である。が、前述した通り正当な対価が製作者に支払われない状況は、いつか破綻が生じるのだ。
前述のイシイ氏の話に出てくるように、マジコンの蔓延は少年少女の間に限定されず、立派に収入のある社会人であっても同様である……。

放流厨の存在

さて、その上でここまで読んできて御仁ならば疑問に思ったであろう。そもそも、“なんでゲームのデータがネットに落ちているのか”と。
そう、ソフトのデータを違法アップロードをする「放流厨」なる連中が存在するのだ。一部のコミュニティでは、彼らを「神」というネットスラングで呼ぶ風潮などもあり、違法アップロードによって称賛を浴びることができるのである。
ゲームの歴史をさかのぼっても放流厨は存在し、かつて国内でもファミコン決死隊を始めとするROMサイトが見られたが、警察による摘発により全滅。
それでも違法アップロードが止まらないため最近ではさらに警察の目は厳しくなっておりMediaFireYoutubeなどの海外サイト・WinnyやTorrentなどのP2Pに違法アップロードした者が相次いで逮捕されている。

ただし逮捕に追い込むことができるのは国内のみで、海外では依然野放しなのが現状である。
ただ最近、海外サイト「MEGAUPLOAD」の運営者がFBIにより逮捕され閉鎖に追い込まれた(画像警告文の日本語訳)*13ため、今後国内はもちろん海外でも厳しい取締りが行われる可能性がある。
とはいえ、それによって違法DLユーザーが地下へもぐり、当局の目の届かない場所で好き勝手に活動しだすという懸念もある*14
事実、クラッカー集団「アノニマス」が報復としてFBIを攻撃したり「MEGAUPLOAD」の運営陣の残党らしき者が「MEGAUPLOAD」の復活を宣言するなど早くも予断を許さない状況になりつつある。

法律改正

収束する兆しのまったく見えない違法アップロードとダウンロードの悪循環に対し、一石を投じる目的で著作権法が改正された。今までは「違法だとは知らなかった」で無罪放免となっていた違法コピーをダウンロードする側も、2010年1月1日より違法とされ2010年10月1日より刑罰化された(ただし対象となるのは音楽と動画のみである)。
しかし現状では強制力が弱い上、罰則の対象者が多すぎることもあってか機能していないに等しく、割れによる被害は収まっていない。事態を重く見たのか、マジコン輸入・販売業者を処罰できるように不正競争防止法が改正され、2011年12月1日より施行された。マジコンの輸入・販売に対し、権利者からの差し止め請求が無くとも最大で懲役5年または罰金500万円(またはその両方)の刑事罰が適用される。
また「マジコンは国内でも単純所持禁止」「所持者は年齢に関わらず逮捕」という法律を制定してほしいという声も多い。
もっとも前述の通り、私的利用でのゲームのコピーに違法性はいまのところなく、マジコン自体も納得のいく話ではないがメーカー非公認ツールというだけでそれ自体に違法性はないのがネックになっており、単純所持禁止の制定は難しいとみられる*15
外国では合法と開き直る者がいるが、外国でも裁判により英国やイタリア、オーストラリアのように違法とされている国もある。
日本においても2012年7月にマジコンを店頭販売した容疑で経営者が逮捕されるといった事例が出てきたので、今後マジコンに手を伸ばす事が難しくなっていく事は想像に難くない。警察の方々にはぜひとも駆逐に向けて頑張っていただきたいものである。

法的処罰以外にも、割れをやっている事実をブログなどで書いたことによりVIPPERや鬼女のような血の気の多いネットユーザーに目をつけられ、プライパシーを丸裸にされた上で自宅や学校・職場に電凸され、社会的信用を失った例もある(ニュースにもなった例だと『みんなのゲーム屋さん』など)。
この事件に関しては2chでも「やりすぎである」「自業自得だ」と賛否両論だが、割れ厨が相手だからといって何をやっても許される訳ではないのは言うまでもない、というか、 これはこれで立派な犯罪 である。

余談

ちなみに、ゲーム業界をネタにしているPS3用のゲーム『超次元ゲイム ネプテューヌ』のストーリーはこのマジコン問題が下地にされており、敵の名前も「マジェコンヌ」とまんまマジコンが元ネタとなっている。続編『mk2』にはさらに「ワレチュー」というまんま割れ厨が元ネタのザコ敵も登場しその辺のモンスターや入手アイテムも元ネタがわかるなら、その手の知識があることになる。
また、家庭用ゲーム業界の興亡史を擬人化したアナスタシア=シェスタコワ原作/クリムゾン作画*16のWeb漫画『蒼い世界の中心で』において、中盤にマジコン問題とクレイジーコング事件を取り入れた「イリーガル・パイレーツ」エピソードが存在する。

最後に

このWikiを読んでいるようなユーザーならば、実際「こんなクソゲーに金払ったなんて腹立つ!」と思うような出来事は誰しも一度は経験したことがあるだろう。言い値に値しないようなスカスカのクソゲーが存在するのは、紛れもない事実である。
しかし、そんな思いを実行に移すのは論外。個人の感情や判断が犯罪の免罪符になることは有り得ない。非常識な行為の迷惑を被るのはクソゲー製作者だけに留まらないのだ。
「たかがゲームのダウンロードで…」と割れ厨は言う。しかし製作者側からすれば、ゲームを作ってもお金を払って買ってもらえないということは死活問題と言ってもいい程に深刻なのである。
もし、あなたが身を粉にして働いていざ給料日! という段階になって雇い主に逃げられ給料がもらえなかったらブチキレたくならないだろうか? というかキレるだろう。
繰り返しそんな目にあってもゲームを作り続けているメーカーの皆様には同情を禁じ得ない*17

形のないデータのやり取りのため実感がわかない部分もあるが、要するに店頭でソフトを万引きする事やソフトの代金をコピーした偽札で払う事と何ら変わりはない行為である。

違法ダウンロードダメ、ゼッタイ