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元祖西遊記スーパーモンキー大冒険 - (2013/07/06 (土) 16:13:43) の編集履歴(バックアップ)
元祖西遊記スーパーモンキー大冒険
【がんそさいゆうき すーぱーもんきーだいぼうけん】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売元
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バップ
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発売日
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1986年11月21日
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価格
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4,900円(税抜)
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分類
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クソゲー
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ポイント
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究極の(クソ)ロールプレイングアドベンチャー 猛烈な原作レイプ なか゛いたひ゛か゛はし゛まる‥ 役立たずすぎる豚と河童 総じて不親切なスカスカの内容 アレな隠しメッセージ キャンペーンだけは充実
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概要
日本テレビ系列のレコード会社・ビジュアルソフトメーカーである株式会社バップのファミコン参入ゲーム第1弾。「歴史的ソフト…ってなわけだ」「パノラミックな大冒険だゾ!」といった宣伝文句が躍る自称「究極のロールプレイングアドベンチャー」だが、実際はスケールだけが壮大で他がどうしようもなくスカスカな代物であった。
問題点
システム上の問題
タイトルの通り『西遊記』をモチーフにしているのだが、「孫悟空たちが天竺にお経を取りに行く」こと以外に物語性は一切なく、天竺に向けてひたすらフィールドマップを歩き続けるだけという、RPGのアの字もない内容である。しかもフィールドマップは約700画面と大陸の縮尺を再現したんじゃないかと思うほど広大で、移動速度は1秒間に2マス程度ととんでもなく遅い。ゲーム開始時に表示される「なか゛いたひ゛か゛はし゛まる‥」というメッセージは、悪い意味で本作を象徴するものである。
さらに本作ではゲームシステムや攻略のヒントといった重要な情報がゲーム中で一切説明されない。これだけならファミコン初期のゲームにありがちな話で済むのだが、ゲームシステムがお粗末すぎるせいで説明書なしではその大半が理解できず、最初から最後まで何をやっているのか分からないのである。
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別の土地へ移動するためにはワープポイントを見つける必要があるのだが、ワープポイントは画面上に表示されず、広大なマップをしらみつぶしに探さなければならない。しかも、やっと見つけたワープポイントが進行に無関係な偽ワープになっていることがある。
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歩くと水と食糧を消費するという仕様があり、すべてなくなると餓死してゲームオーバーになる。同じ仕様が後に『ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート』などに採用されており、それ自体に問題があるわけではないが、ノーヒントでマップをしらみつぶしに探さなければならないこのゲームとの相性は最悪である。ゲームオーバー時の「ああ しんし゛ゃった!」というメッセージも腹立たしい。
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フィールドを歩いていると突然戦闘モードに変わることがある。戦闘中は横スクロール画面になり敵をすべて倒すまで終わらないが、戦略性は皆無でとりあえずAボタンを連打していれば勝手に相手が突っ込んできて死んでくれる。問題は戦闘中にあらわれる仲間の方で、はじめは猪八戒、猪八戒が死ぬと沙悟浄、沙悟浄が死ぬと龍馬太子、龍馬太子が死ぬとなんと三蔵法師が戦闘に参加するのだが、どいつもこいつも敵と一緒に周りをうろちょろするだけで全く役に立たず、勝手にHPを減らして勝手に死んでいく。なお、全員が死んでもゲームオーバーになる。
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死んだ仲間を復活させるには「不死鳥鳳凰」というキャラクターに会わなければならないが、ゲームの進行とは正反対の方向にいるうえに目印がなく、ノーヒントで見つけるのはほぼ不可能である。
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都を訪れたときやボスを倒したときなどに突然、「A」とか「AB」といった文字列が表示されることがある。これはコンティニューコマンドなのだが、入力数が少ないことからも分かるように進行状況以外は保存されないようで、コンティニューすると仲間は全員揃っていて水や食料も最大の状態でその場から再開できる。
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ちなみにこのコンティニューコマンド、「A」は「タイトル画面でAボタンを押す」という意味だが、「AB」はAボタンとBボタンの同時押し…ではなく「Bボタンを押しながらAボタンを押す」という意味。分かるかそんなもん!
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HPゲージも下の方に小さく表示されるだけで見づらく、気が付いたら「ああ しんし゛ゃった!」になっていることも多い。
原作再現率の低さ
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開始地点は唐の長安・・・ではなく、なんと孤島(おそらく台湾)である。スタッフは西遊記をなんだと思っているんだ。
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フィールドの特定の場所ではお供の猪八戒や沙悟浄に出会ったりボスが行く手を阻んだりするのだが、その場所に特に目印があるわけではなく、行くとメッセージが1行表示されるだけでいきなり戦闘が始まる。戦闘をクリアしても何かイベントがあるわけではなく、そのままフィールドマップに戻るだけである。
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ちなみに、本作に登場するボスは「金角大王」「銀角大王」「羅刹女」「混世魔王」の4体しかおらず、羅刹女の夫である牛魔王と嫡子の紅孩児がなぜか雑魚敵になっている。また、「混世魔王」は本作ではラスボスになっているが、原作の『西遊記』では孫悟空が三蔵の弟子になる前に戦った最初の敵である。
こうした数々の苦行を乗り越えた先に待つのは、青い背景につまらない(しかも歴史的に間違っている)文が数行出るだけの味気ないエンディング(文面を知りたい方はこちらまたは下のTAS動画を参照)。結局、最初から最後まで中身がないままゲームは終わってしまうのだった。
評価点
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クソゲーの法則どおりBGMだけはよい。特に悠々としたメロディーのフィールドBGMは普通に名曲である。
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「サル」繋がりなのか、「クソゲーオブザイヤー2008」の動画では『プロゴルファー猿』パートにおいて本作のフィールドBGMが使用されている。
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ドット絵の悟空、八戒、沙悟浄、三蔵などはなかなか可愛らしい出来栄え。
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当時のRPGの中では珍しく斜め移動ができる。これは同じファミコンのゲームで言えば『MOTHER』を3年先取りしたものである。また、本作はDQに対抗して作られたという話があるが、DQで初めて斜め移動が登場したのは『VII』なので、「水と食糧」の仕様と合わせてこの点だけはDQに一歩先んじていたと言えるかもしれない。
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戦闘画面がアクションであるRPGは、一応本作が日本初。テイルズオブシリーズの先駆けである。
総評
世にクソゲーと評されるソフトは数あれど、最も重要な要素にして最も高いハードルである「つまらない」ものは意外と少ない。
本作は広いだけのフィールドから見えないワープゾーンをしらみつぶしに探して先に進むだけの「作業」である。ときおり思い出したようにあらわれる戦闘はアクション風ではあるが結局は連打で押し切るだけという拙さであり、「水と食糧を消費する」という独自要素もゲームの進行をただ邪魔するものにしかなっていない。そしてそんな苦行を乗り越えたプレイヤーをあざ笑うかのような質素なED。
その「楽しくなさ・つまらなさ・腹立たしさ」はそんじょそこらの作業ゲーを軽く凌駕する。
いつ・誰が・どうやっても・常に変わらずつまらない
。本作はそんな「究極のクソロールプレイングゲーム」である。
余談
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日本テレビの系列会社であるという利点(?)を生かし、テレカのプレゼントや当時の日本テレビ系人気歌番組「歌のトップテン」の入場券プレゼント、「天竺親子ファミコンゲーム駅伝大会」と銘打った全国大会の実施、さらには本作の劇画を募集するという訳の分からないものまで、無駄にキャンペーンに力を注いでいた。
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テレカプレゼントの応募条件は「このソフトの感想を送ること」。果たしてどんな感想が届いたのやら…。
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全国大会は当時の参加者の証言によれば、地区大会を勝ち抜いた出場者が東京ヒルトンインターナショナルのディナーに招待され、主催者が呼んだアイドルが歌うなどなかなか豪華なものだったという。この模様は当時のゲーム雑誌にも掲載されている。
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本作のロムを解析すると、デザイナーの「なかじまかおる」氏が残したゲームとは無関係な下品な文章が出てくる。詳しくはこちらから。
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「なかじまかおる」氏はどこぞのスレの情報によると今もゲーム業界現役だという。現在の氏は中年の域だと思われるが、若気の至り(?)で残した隠しメッセージを今はどう思っているのか、そこに残した願望は叶ったのか…。余計なお世話ながら心配される。
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「開発者の(アレな)隠しメッセージ」という点で『えりかとさとるの夢冒険』とともによく引き合いに出される。あちらの方がどす黒さでははるかに突き抜けてしまっているが、最低具合ではこちらのが上である。まあ、こんなことを比較したところで何の意味もないのだが。
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「ゲームセンターCX」第3シーズンでよゐこの有野晋哉が本作をプレイしている。「有野の!もしもし大作戦」というミニコーナーで、視聴者に電話をかけて情報をもらいながら見事攻略。やはりと言おうかもちろんと言おうか、ゲームの内容よりも視聴者とのやり取りの方がメインになっていた。だってゲーム自体はクソつまらないし。
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空知英秋の漫画『銀魂』では、「スーパーモンチー大冒険」なる本作のパロディソフトが登場し、過激派テロ組織『攘夷党』が投擲用武器として使用していた。
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「RPG大辞典スレ」に紹介されているが、「こんな物を世に出すことを誰も疑問に思わなかったのか?」と呆れられている。本作の記事はこちらを参照。
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本作の唯一無二と言っても過言ではないBGMを、ニコニコ動画で現代風にアレンジした動画がアップされたことがある。無論、歌詞は大半が本作への苦情であった。更に、何をトチ狂ったかDNA氏(『幸せはおっくせんまん』などを手掛けた人物)によって勝手にアニメ化された。