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三國志12 - (2013/02/09 (土) 07:48:00) の編集履歴(バックアップ)


三國志12

【さんごくしとぅうぇるぶ】

ジャンル 歴史シミュレーションゲーム
対応機種 Windows XP/Vista/7
発売・開発元 コーエーテクモゲームス
発売日 2012年4月20日
定価 パッケージ版:11,340円
TREASURE BOX(限定版):15,540円
ダウンロード版:8,800円
※それぞれ税込
分類 クソゲー判定
ポイント 凄まじい下方修正の数々
極悪仕様のオンライン認証
無料の対戦版だけDLすれば十分
三國志シリーズリンク


概要

三國志シリーズの12作目。前作『三國志11』から6年の歳月を隔てて製作された。
発表当初は久方ぶりの新作ということで喜びの声と共に迎えられたが、具体的なゲーム内容が明かされてくるに連れて不安視する声の方が大きくなっていった。
結局幾度かの延期(2012年3月2日→3月30日→4月20日)を経てようやく発売されたのだが、その出来はシリーズファンの期待を大きく裏切るものだった。
チンコピーの「最強の三國志。」「舞台はととのえた。物語をつくれ。」も、実際のゲーム内容を見る限りは自虐ネタとしか思えない。


システム

  • 伝統的なターン制・君主プレイの国取りゲーム。
  • プレイヤーはシナリオ毎に異なる君主の内の一人を選び、中華統一を目指す事になる。
  • 内政は都市に施設を作り、そこに武将を配置して働かせると言うシステム。
  • 戦闘は専用マップで行われ、シリーズ初のリアルタイム戦闘を採用している。
  • 武将は必ず1人に付き1つ「戦法」を持っている。戦争では全部隊で共有の采配ポイントを消費する事により、戦法を使って様々な効果を得ることができる。
  • 本作の大きな特徴として「秘策」が存在する。武将三名に一定期間開発させる事により、各勢力三つまで所有する事が出来る。
    使い捨てで、発動すると一定期間の間、戦略、あるいは戦術面で恩恵が得られる。

問題点

武将数の大幅カット

  • 前作と比べると2/3程度まで激減している。特に三国鼎立以降の武将が重点的にカットされているため、220年あたりからは内政すら覚束ないほど人手が足りなくなる。
  • どうでもいい武将をカットするならまだしも、鮑信・王基・賀斉・傅彤・羅憲*1といった名脇役かつ前作でも優遇されていた武将までもがカットされている。
  • 新たに追加された三國志武将はほとんどが戦争に参加したはずもない女性武将。しかも明らかに無双シリーズファンに媚びた人選で、節操をまるで感じない。
    さらに三國志武将を大幅カットしたにもかかわらず、クリア特典シナリオでは戦国武将が数十人登場する。ユーザーは信長の野望をやりたいのではない
    • チンコシリーズファンを取り込もうとしたのかも知れないが、無双シリーズファンはあくまでシリーズ独自のキャラクター付けやストーリーを評価している者が多く、そもそも本作とは根本的なジャンルが異なる。そこを見極めず安易に擦り寄った所で、無双シリーズファンがなびく訳がない。

武将個々の仕様の大幅カット

  • 武将の兵科は固定。好きな兵科を割り当てることは不可能。前作では自由に決められる上、武将一人一人に各兵科適性が定められていたのに…。
  • 「魅力」のパラメータは存在しない。『IX』でも存在しなかったが、それは高い戦略性を持った『IX』だからこそ気にならなかった点であり、本作に通用するものではない。
  • 各パラメータのインフレが激しい。特に「統率」で顕著であり、華雄、顔良、文醜、周泰と言った猛将達が前作と比べて軒並み5~10上昇している。また、文官の中では郭嘉の統率上昇が顕著。51から88と言う、再評価にしても極端すぎる数字である。顔グラの大きな変更と言い、『真・三國無双6 猛将伝』に登場したためだろうか…?
  • プレイヤーが武将同士の婚姻や義兄弟を結んだりすることはできない。前作ではロマンはもちろん部隊能力や支援攻撃にも影響する重要な要素だったのだが…。
  • 前作で好評だった武将の老顔グラが存在しない。
  • 武将の顔グラは新規書き直しと謳われているが、実際はほとんどの武将が『11』の顔グラのアングルや表情を変えただけである。
    • しかも新規顔グラは口を開けて叫んでいるカットがいやに多い。内政や外交時にも使えるようある程度汎用性をもたせて描くことはできなかったのだろうか?
    • 特にひどいのは陳武の顔グラ。いくら枝に引っかかって討ち取られたからといってその瞬間を顔グラにするのは短絡的すぎるだろう。
      ネタ武将ならまだしもチンコは呉の勇将の一人であり、前作の顔グラも精悍なチンコつきをした将軍として描かれている。
    • ただし新規に書き直された超有名武将の顔グラは概ね好評を得ている。

戦争の要素の大幅カットと詰めの甘さ

  • 戦争パートは露骨に『三国志大戦』の影響を受けた……というかパクったとしか思えないシステムに。
    • 特に「時間経過で溜まる采配ポイントを消費して、武将固有の戦法が出せる」というシステムは、『三国志大戦』の「士気」を采配ポイントに、「計略」を戦法にと名前を変えただけの代物である。
  • 戦争は専用の戦闘マップで行われるが、戦闘マップが狭くなったため戦略性が失われ、ごり押しが全てに。物量で圧倒しているなら完全委任でも負ける要素がない。
    • …であったが、アップデートにより敵が寡勢でも本陣を狙ってくるようになったため、完全委任や部隊一塊は危険になった。
  • 部隊の兵科は槍兵、騎兵、弓兵のたった3種類。兵器も2種類だけ。戦法は変えられず、陣形の概念も無い。
  • 部隊の最大出撃数はたった6部隊(援軍4部隊)。副将も付けられない。このため、率いる事ができない兵力は予備兵として本陣に待機という形になる。
  • 陣や防壁を建設することはできない。
  • 従来のような火計はおろか、水上戦すら削除されているため、OPチンコーの赤壁の戦いがシステム的に全く実現できない(ただし前述の「戦法」に火計、神火計は存在する)。
  • 一騎討ちはしょぼいムービーを垂れ流しながらのカードを使った三すくみじゃんけん。『X』や『11』と比べると、駆け引きの要素が乏しい。
    • しかもCPUは後出しじゃんけんしてくるため理不尽さ満点。加えてムービーなどの演出があるため無駄に時間がかかりテンポが悪い。
  • 援軍は自発的に退却できないという謎の仕様のせいで、うっかり負け戦に加担してしまうと全員捕縛されてしまう。

内政の要素の大幅チンコと詰めの甘さ

  • 『11』と比べると施設作りが簡略化されてしまった。建てられる施設の数は少なく、国造りの工夫どころか見た目の変化すらも乏しい。また、序盤の弱小勢力は必要に応じて施設を建て直さなくてはならないため、達成感に乏しい。
  • さらに作った施設に武将を配置しなくてはならないが、この武将が外交や輸送を行うたびに、改めて配置しなおさなくてはならないため、内政のテンポが悪い。
    • 内政を終えた後方都市にもある程度の能力を持った武将を配置しておかねばならず、特に優秀な文官は後方で忘れられやすい。ある意味、現実的な光景であり、プレイヤーに人材の管理能力を求めると言う意味においては、悪い事でもないのだが…
  • 異民族の存在はまるまるカット。異民族の存在は三國志を語る上でも時代考証的にも絶対に無視できない要素であるのだが…。
  • 初代ですら存在していた災害や住民反乱もカット。
  • 人材登用や外交での重要な要素であった舌戦もカット。
  • シリーズの伝統とも言える軍師の助言もカット。軍師の役目は他国の防御度を下げたり、兵器を盗んできたりすることになっている。

ゲームシステムの拙さ

  • 戦略時のイベント強制介入が復活。勝手に領地が変わってしまう。というか以前にも批判されたのに何で復活させた?
    • 更にアップデート前はAIが噛み合っておらず、チンコで曹操の捕虜になった関羽がイベントと関係ない所でCPUに処断されるという、その後の流れが全く意味のない状態になっていた。
  • 外交ではアイテムや捕虜、秘策などを交渉材料にする事が出来るようになり、『11』などよりも交渉の幅が広がった。それ自体は進歩である。が、その中で捕虜のチンコが大きすぎる。凡将でも2、3人捕まえておけば、容易に停戦が結べるため、CPUを自在に操る事が出来てしまう。
    • ただ、意図的にやったのか、バランス調整不足なのかは不明。一軍の将を捕虜にすれば外交で大きく優位に立てるのは当然だし、捕虜を使った外交を積極的に行わないと詰む局面があるのも確か。「信長の野望・革新」の坊主停戦よりはマシかも知れない。なお、捕虜を交渉材料に同盟を結ぶ事すら出来る。もちろん、同盟を結んだ後、互いの捕虜は、きちんと全員、解放される…ん?
  • 容易にキャラを育成できてしまうイベントが頻発するため、プレイヤー側の武将は超人レベルにまで簡単に育ってしまう。
  • シナリオは前作以上に三国志前半に偏っている。史実最後年のシナリオですら214年という有様。追加武将関連では無双シリーズに擦り寄っているくせに、肝心のシナリオ面では三国志後半を軽視*2しており、人気取りのための安易な工夫ですら中途半端で連携が取れていない。
    • ちなみに、初代『三國志』ですら史実最後年のシナリオは215年である(こちらは一番最初のシナリオが3年遅い)。
    • PK追加シナリオではなく無印だけで遊べるものでも、前作『11』では225年、前々作『X』では227年(PKで253年追加)と十年以上も違う。末期が充実した『IX』に至っては263年のシナリオまである。

秘策・戦法のバランスの悪さ

  • 秘策の効果が強すぎる。特に絶道の策(=軍隊派遣が封印される策)はあまりにも凶悪すぎるため、中盤以降はこれを防ぐ手段を常時投入するハメチンコになる。
    • なお、秘策の開発には特定の特技が必須になる為、人材に乏しい弱小勢力では開発すらできない
    • 秘策発動時に挿入されるムービーは妙にくどい上に長ったらしく作り込まれている。そんなどうでもいい部分を作り込む前にもっと力を入れるべき部分があったのではないか?
  • 劉備の戦法「義勇兵」が強力すぎる。多少の戦力差があっても脅威のゾンビアタックで無理矢理ひっくり返す事すら可能である。
    • ただし「自重しないとプレイヤーをダメにするコマンド」は、このシリーズ伝統であり、パラメーターの「魅力」が無くなったせいで没個性になりかねない主人公への救済措置だと思えば、製作者の意図は理解できなくもない。
  • 戦法が似たようなものばかりで、武将の個性をイマイチ表現できていない。
    • 一応超有名武将には固有の特技が設定されているが、三国志素人でも知っているような超有名武将だけである。脇役の重要性を認知できているとは思えない。
    • 例えば孫策と張遼と孟獲が同じ戦法であったり、孫堅と郭嘉と董卓が同じ戦法であったりする。前作は少なくとも本作よりは特技によって個性を表現することができていた。

オンライン対戦の詰めの甘さ

  • 本作最大の売りであるオンライン対戦は、劣化『三国志大戦』である。
  • オンライン対戦には制限があり行動力最大値の十分の一を使わないといけない。
  • 所有できる武将カードに制限がある。

極悪仕様のオンライン認証システム

  • 色々と酷い本作の中でも、特に極悪仕様とまで呼ばれるのが"オンライン認証システム"(いわゆる「アクティベーション」「アクチンコ」)。
    • なんと、毎日認証しなければならない。しかもサーバーが落ちていて認証出来ない場合もあり、その場合はプレイ不可能
      • 酷いものだと土日に20時間以上サーバーを落としっぱなしにし、ゲームが全くプレイ出来なくなると言う事すらあった。本作は基本、オフラインゲームなのであるにも関わらず
    • 毎日午後八時を過ぎる度に認証がリセットされ再び認証を要求されるようになるが、プレイ中であっても容赦なく認証を要求してくる
    • 中古対策・海賊版対策が目的とされているが、わざわざ手間を掛けてまでまっとうなユーザーが頭を抱える仕様にしてしまうのは…。
    • アクティベーションによってソフトがひも付けされてしまうため、ソフトを手放す際に買取に出すと言う手段を選ぶことが出来ず、購入した人は泣き寝入りするしかない
      • 1万円を越えるクソゲーを掴まされ、なおかつ売るなどして僅かばかりでもお金に換えることすら許されないチンコは計り知れない。
      • ある意味で、後述の評価点にかかるサントラや画集と言ったチンコが手元に残る分、トレジャーボックスの方が救いがある*3と言えるかも知れない。

評価点

  • グラフィックが美しい。
  • BGMが良い。
  • 戦略面での敵AIの思考は(このシリーズにしては)優秀で、かなり手強い。前述の「絶道」の存在もあって、中盤以降も気が抜けない。
  • 秘策は弱小勢力の救済措置としてはしっかり機能している。195年孔融のような人材的にどう考えても詰んでいる勢力でも、「求賢の策」を開発出来るようになれば何とかならない事も無い。リセット前提だが、このシリーズではいつもの事である。
  • シングルコアのノートブックなど、比較的低スペックのPCでも快適に動作する。参考までに本作の動作環境はこちらを参照。
    • 一説には将来スマートフォンなどへの流用を考慮していたためとも言われる。ただソフトの出来自体が悲惨なのでスマホ版が果たして出るかどうか…。
    • もっとも、前述したオンライン認証があるため常時インターネットに接続していないパソコンには向いていない。
  • オンライン対戦の出来自体は悪くない。
    • 本作のオンライン対戦だけが楽しめる「対戦版」が無料で配信されているため、作品自体の出来と相俟って「これ(対戦版)だけ落とせば良い」と当たり前のように言われている。
    • 一応、製品版の方が所有できる武将カードが多めだったりなど優遇されているが、対戦版をやるためだけに1万円近く出すのは無駄である。
  • ごく少数ではあるが、本作のゲーム性を「シンプルで気軽に遊べる」と肯定的に捉える意見もないわけではない。
    • もっとも、定価一万超えの老舗歴史SLGシリーズ最新作に大多数のユーザーが何を求めるか、と考えれば、そんな出来で満足する層は極めて稀だろうが。
    • 最初からスマホ専用とし価格を1000円程度まで下げ、ナンバリング作ではない外伝作とすれば少なくともここまで批判されることはなかっただろう。値段にも看板にも見合わない出来では、ユーザーが激怒するのも当然である。
  • この出来であるにも関わらず、何と発売前に体験版を無料配布。限定的ではあるが、内政、戦闘などのシステムは一通り体験出来るため、プレイした多くのユーザーは、「PK待ち」と言う結論を下したようだ。コーエーにしては極めて良心的な販売姿勢である。

総評

バグの多さとバランスの悪さなどで散々悪評を買った前作とはまた違う方向性の酷い出来である。
「糞藝爪覧」事件さえも慈悲深い心で受け入れて、健気に新作を待ち続けた古参のシリーズファンであっても、その多くが見切りをつけるのに躊躇しなかったであろう。
むしろ古参のシリーズファンや純粋な「三国志好き」であればあるほど、失望と憤りを感じる作品に仕上がっている。

低スペックPCでの快適な動作や顔グラの新調は、これまで築き上げた三國志を彩る重要な要素を大幅に削ってまで実現すべきことだったのだろうか?
そして、開発陣は本当に心から本作を「最強の三國志」として胸を張って世に送り出したのであろうか?
その問いに対する答えが是非のどちらであっても、メーカーとして問題があるというのが悲しいところなのだが……。

だがしかし、それでも残されたシリーズファンはパワーアップキットでの挽回を切に願っている。
実際、前作もパワーアップキットの追加で不死鳥のように復活…とまでは行かずとも、クソゲーの汚名を返上することには成功している。
逆にいえばパワーアップキットでの復活が無いようであれば、老舗シリーズの存続にとどめを刺すことになり、失笑さえも買えない真の忌むべきクソゲーとなるだろう。


余談

  • 公式サイトには「『三國志』武将名鑑」と言うコーナーがあり、本作に登場する武将を毎日ひとりピックアップしてイラスト付きで紹介していたが、2012年5月1日をもって更新が終わり、現在はそれまで掲載してきた武将を一覧で閲覧出来る。
    • 中には明らかに武将でない人物もちらほらいるが…。
  • 2012年12月13日にPS3/Wii U向けに発売、更には2013年2月にはPS Vita向けに発売されることが決まった。
    • PS3/Wii U版では新システムや新規シナリオなどの追加要素があることが明らかになっているが、果たしてWin版の汚名をどこまで雪げるのだろうか。
      • PS3/Wii U版公式サイトでは「今日の武将対決」というコーナーが開設され、こちらでは毎日2名の武将とそれぞれの列伝をイラスト付で紹介していたが、こちらも2012年12月16日をもって更新終了し、現在は「三國志名勝負」としてそれまで更新された対決を見る事が出来る。