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クルーズ チェイサー ブラスティー - (2012/08/15 (水) 19:51:02) の編集履歴(バックアップ)


CRUISE CHASER BLASSTY

【くるーず ちぇいさー ぶらすてぃー】

ジャンル RPG
対応機種 PC-8801mkIISR以降、PC-9801VM/UM以降、X1
発売・開発元 スクウェア
発売日 1986年4月26日
定価 7,800円
分類 クソゲー判定
ポイント ロボットアニメを詰め込むには容量と気配りが足らなかった
宇宙で現在位置が分からなければ当然迷子

概要

スクウェアが独立以前に出した変形ロボットRPG。RPGでは、稀なロボットと宇宙を舞台としたゲーム。
アニメをふんだんに使った演出。「戦闘が全てアニメーションする」という当時には全くなかった演出がされている。
日本サンライズ(現・サンライズ)が製作に協力している。

ストーリー

反物質で囲まれた階差閉宇宙。人類のほとんどはその狭い宇宙で、「コミューン」と呼ばれる中枢統括局に管理され生きていた。一方、そのコミューンに対する反乱分子「インバース」と呼ばれる勢力がいた。コミューンは、一定年齢に達した男子を賞金稼ぎ「インカー・マース」に割り当てる事で、インバースに対抗する。そんな中、インカー・マースに与えられる試作のマシン「クルーズ・チェイサー・ブラスティー」が完成した。

特徴とシステム

  • 宇宙を舞台にしたゲームなのだが、実はウィザードリィタイプの3DダンジョンRPG。本作の宇宙には端があって、壁や通路があるのである。一応設定上は、宇宙の端を閉宇宙とし、壁をアステロイドベルトが原因としている。しかし移動は前後左右のみで、上下には行けない。*1
    • マップはいくつかの閉宇宙空間からなり、ゲートを経由して他の閉宇宙空間へ向かう。つまりゲートは、ウィザードリィでの階段と同じ。
    • ブラスティーはエネルギー「POWER」が必要で、動いたり戦闘すると徐々に減っていく。ゼロになるとゲームオーバー。
    • ブラスティーには変形機能があり、GUNNERとSHOOTERの二種類の形態が取れる。GUNNERは武装が豊富だが、POWER消費が多い。SHOOTERは武装が後半にならないと手に入らないが、POWER消費は少ない。戦闘ではGUNNER,移動ではSHOOTERの形態を取るのが基本。
  • 戦闘は1vs1。システムはコマンド選択式。
    • 基本的にはよくあるコマンド選択式だが、一風変わっているのが3ターン分のコマンドを先に入力する点。コマンドは攻撃と防御の二種類しかなく、魔法に相当するものやアイテム使ったりなどはない。逃げる事もできない。
    • 被害を受けると、戦闘能力が落ちていく。被害箇所によっては経験値が削られていく事もある。
    • 武器は「バルカン」「ミサイル」「キャノン」「ソード」の各系統があり、敵にはそれらに対応した弱点がある。弱点を突いた武器を選択すると、大ダメージを与えられる。一方で距離の概念はない。防御の武装はシールドがあるが、これはコマンド選択の一つとてして使わないと防御の効果を発揮しない。
  • 経験値に応じて、徐々に成長するシステム。
    • 戦闘データーをコンピューターが蓄積し成長するという設定になっている。経験値はメモリがある分だけ蓄積できる。つまりメモリを増設していかないと、経験値に天井が来てしまうようになっているのだ。レベル相当するものは一応あるが、クリティカルヒット率が増加するのみ。
  • 武装強化は購入で。
    • 武装の強化は人間が住んでいる巨大母船でできる。そこの装備売買所で売られているものを購入するのだ。またLABOでは新たな武装を開発している。時間が経てばやがて店頭に並ぶのだが、投資する事により店頭に並ぶのをかなり早める事ができる。

評価点

  • フルアニメーションの戦闘シーン。
    • 当時はゲームの一部がアニメーションするだけでも注目されたが、それを戦闘シーン全てやっている。その衝撃はかなりのものだった。主役機ブラスティーの変形も当然フルアニメ。ロボットアニメのロマン満載である。
    • アニメ部分を担当したのは、起動戦士ガンダムなどを製作するあのサンライズ。メリハリのついた動きのよさは流石。
    • デザインもなかなかいい。ただ、SFテイストの高い非人間タイプが半数以上いるのは人型タイプのロボットが好まれる昨今的に少々残念。*2
  • 終盤、一変するストーリーは好評だった。

問題点

  • 3Dダンジョンタイプなのに、マッピングそのものが厳しい。
    • ウィザードリィの3Dダンジョンと言えば、迷路が目の前にあり、目に映る左右に壁やら先の方に扉やらを元にマップの作成、マッピングしていくのが基本プレイスタイル。なのだが、本作はその基本が難しい。というのも目の前には壁も扉も見えないからだ。見えるのは彼方できらめく星々だけ。壁にあたるアステロイドベルトは目前に来たときしか見えない。しかも真正面のみ。右に壁があるかどうか確認するのに、その都度右を向かないといけないのである。ただの真っ直ぐな通路をマッピングするのに、一歩進んでは左右を向いてとなってしまうのだ。確かに宇宙は広い。見える範囲に壁であるアステロイドベルトが並んでいるのは変かもしれないが、演出でゲームの本質を失っては本末転倒である。
  • すぐ迷子になる宇宙。
    • マップは壁が見えないだけではなく、実際に壁が少ない。宇宙なのだから当然なのかもしれないが。だがそれでは、目印のない広い平原を進んでるようなもの。さらに怖いのが、現在位置を知る方法がないのだ。3Dダンジョンタイプだと、目の前に広がる迷路の構造から位置を割り出したりするのだが、本作では壁が見えないせいでそれもできない。このためあっさり迷子になる。しかもただ迷子になるだけではなく、本作は進むだけでPOWERを消費するシステム。迷子になると、本当に野垂れ死にしてしまうのである。
      • 後に現在位置を知る隠しコマンドが公開されるのだが、何故そんな大事なシステムがありながら隠しコマンドにしたのかは不明。
  • テンポを悪化させる邪魔なアニメ。
    • 最初こそ、もの珍しくかっこいいアニメも、慣れれば鬱陶しいだけとなる。しかも余計な所までアニメするのだ。移動にすらアニメがある。一歩進む度に星が流れていくのだが、そのせいで進むのがやたら遅い。確かに宇宙を移動している雰囲気は出ているが、進むだけで時間を取られるとさすがに邪魔。これがマッピングをさらに苦痛なものにしている。戦闘も、何かする度にアニメを描写するため、システム上の間が発生しテンポが悪い。一応、アニメOFFの選択ができるのだが、OFFにできるのは敵の攻撃だけでブラスティーの攻撃、移動中は変わらないのでないよりマシレベル。
  • 面白みのない戦闘。
    • 武装はいろいろあるものの、結局ただの殴り合いである。距離の要素もない、一般のRPGの魔法のような特殊効果がある攻撃もない、さらに1vs1なので、やる事自体が少ないのだ。
    • 敵の種類自体が少ない。アニメに容量を割り過ぎたのか最初期のRPGより敵が少ない。なんと一つの閉宇宙に、出る敵が二種類程度というありさま。しかもやはりアニメ化するのは厳しかったのか、敵の攻撃の種類も少なく単調。
  • リセットするしかないMISSバグ。
    • たまにだが、戦闘中お互いの攻撃が全く当たらなくなる事がある。強さに関係なく双方の攻撃がMISSを連発し、まるで当たらなくなる。こうなるともうリセットしか手はない。
  • おかしな謎のメッセージ。
    • ストーリーを形作る上でかかせないのが、耳に届く話である。本作ではその一つが、PUBで聞く話。そしてもう一つが、宇宙を移動してると突然表示されるメッセージ。脈絡なくいきなり現れるのだ。いったいどこから誰が何のために、そんなものを伝えようとしているのか全く不明。そもそもどうやって伝えたのかも分からない。内容も、奇妙な状況とは似つかわない現実的な告発じみたものやプレイアドバイスで、不自然極まりない。せめて突然の通信が入ったと一言加えれば、不自然さは大きく減ったと思うのだが…。

総評

ガンダム以降のロボットブームの流れに乗ったRPGとしては異色のSFロボットもの。しかもキャラクターの一部分がアニメするだけで注目された時代にフルアニメである。
初めて目の当たりにしたそれは確かに衝撃的だったが、プレイを続けていくと、やがてその印象も失せていく。慣れると粗ばかりが見えてくるのだ。
マッピングもままならないシステム。単調な戦闘。アニメは最初のインパクトから一転、テンポを阻害する要素となる。
結局、ロボットアニメでRPGするという上辺ばかりを気にしすぎたのか、ゲームとしては不都合ばかりのものになってしまった。

本作は、スクウェア(現スクウェア・エニックス・ホールディングス)が電友社の一部門の時代のゲーム*3。ファイナルファンタジーシリーズ等で、何かとビジュアル重視が話題になる同社だが、実は設立以前からその傾向があったのだった。

メカデザインで協力した当時のサンライズはゲーム開発に相当乗り気だったようであるが、評判の悪さからゲーム市場から足が遠のいたと噂される。

余談

  • 後に模型雑誌「ホビージャパン」で誌面連載やガレージキット化されたり小説化もされている。