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ウルトラマン倶楽部3 またまた出撃!!ウルトラ兄弟 - (2013/02/13 (水) 02:29:12) の編集履歴(バックアップ)


ウルトラマン倶楽部3 またまた出撃!!ウルトラ兄弟

【うるとらまんくらぶすりーまたまたしゅつげきうるとらきょうだい】

ジャンル RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 バンダイ
ユタカ
開発元 インターリンク
発売日 1991年12月29日
定価 7,800円
分類 クソゲー判定
前の基準なら微妙ゲー・ガッカリゲー判定
ポイント 微妙な戦闘システム
微妙なストーリー
微妙なキャラクターチョイス
心折設計なラストダンジョン
ウルトラの母は強し
ウルトラマンゲーム・リンク


概要

SDキャラクター全盛期のSDウルトラマン『ウルトラマン倶楽部』の第3作目。
前作『ウルトラマン倶楽部2』が良作と謳われる出来だったため、それなりに期待は大きかったと思われる。
しかしそんな期待とは裏腹に、子供たちはこのゲームを遊ぶことによって、多大な絶望と精神的苦痛を味わうことになるのである

ストーリー

宇宙警備隊員のウルトラマン(通称・マン)は村長の願いを受け、キングマイマイの捜索に向かう。それを発端として明らかとなる敵の侵略計画にウルトラ兄弟は立ち向かっていくことになる。
エリアは主に3つに別れ、その現場を担当するウルトラ兄弟が、それぞれで発生する事件を解決していく。

システム

  • セーブデータがパスワード形式からバッテリーバックアップに変化。
  • 移動時のスピードがアップ。またフィールドでBボタンを押すことでいつでも空ぶことができるようになった。
  • 攻撃コマンドが「そっこう」と「たたかう」の2種類に分離。前者は必ず先制できる弱攻撃。後者は外れやすいがダメージの大きい強攻撃となっている。
  • 必殺システムの仕様が変更。ウルトラ兄弟のHPが4分の1以下になると、カラータイマーが青から赤に変わって攻撃力が上がり、同時に必殺技のコマンドが解禁される。また前作ではランダムに表示されたものから選ぶ形式だったが、今回は全ての技リストから任意で選べるようになっている。
  • カプセル怪獣は全てのウルトラ兄弟で共有して使うようになった。
  • 新しく装備品の概念が登場。戦闘中に装備することで能力が上がる。
  • 全体命令コマンドの追加。パーティ全員に一括で同じ行動を指示できるようになった。
  • 各種ウルトラ兄弟に「特性」のパラメータが設定された。これは戦闘時に関係し、相性の良い怪獣と有利に戦うことができる。
    • たとえばウルトラマンの特性は「ちから」で、同じく「ちから」特性を持っている敵に高いダメージを与えられる。
  • 経験値システムが消失。ウルトラ戦士のレベルは「怪獣を20匹倒すごとに上がる」という仕様に変更された。
    • ただしこのレベルアップではステータスはほとんど上がらない。ストーリーのイベントをクリアしていくことでフラグが立ち、そこで初めて基本ステータスが大きく伸びるようになっている。
  • 野球板のようなミニゲームが登場。うまくヒットが打てればカプセル怪獣を入手できる。

問題点

  • 戦闘部分の出来が悪い。本作最大最悪の問題点である。
    • 必殺技を使える機会がほとんどない。
      • 体力が減ってカラータイマーが光らないと必殺技が使えないという仕様になったため、必殺攻撃を使用できる機会が著しく減少。これによりウルトラマン特有の必殺技を放つ爽快感が消失。大半の戦闘がひたすら通常攻撃を繰り返すだけという、非常に地味でグダグダな戦いになってしまった。原作らしさを再現したつもりが、逆にウルトラマンとしての面白みがなくなったという、キャラゲーとして本末転倒な有様になっている。
    • ボス戦において必殺技とカプセル怪獣が使えなくなった
      • 前作では普通に使用可能で、それがきちんと面白さにつながっていたのに、なぜわざわざ制限をかけてしまったのか謎である。こういうコマンドこそ本来、ボスキャラのような強力な敵に対して使うものではないか。というより結構強いボスが多く、カラータイマーが赤になるのは頻繁なので本気で使いたい。遊んだ誰しもが「必殺使わせろ!」と思う瞬間である。
    • それなら必殺技はボス戦で禁止になるほど強力なのかというとそうでもなく、全然あてにならない
      • 理由は命中率の低さにある。とにかく光線技が当たりにくく、全体攻撃を放って全ての敵にかわされるのはザラ。これなら期待値的に命中重視で普通に殴りかかった方がマシである。
      • また道中でタイマーが変化するような場面があればそれは命の危機であり、数発攻撃されれば死亡する状況である。大抵はのんきに必殺を撃っている余裕などなく、すぐに回復カプセルを使うことになりがち。
      • よって積極的に必殺技を用いる場面があるとすれば、それは復活がしやすい町付近での戦いに限定される。敵が弱ければタイマーが赤でも長時間居座ることができ、また全体攻撃はレベルアップに便利なので重宝するのである。このように本来はピンチからの逆転技になるはずの必殺攻撃が、実際の用途ではザコをなぎ払うための弱いものいじめな技と化しているのである。
    • そもそも必殺技のバリエーションがいろいろとおかしい。
      • 全体に即死技を放つことができるキャラがいる一方、単体攻撃しか持たないキャラクタがいたりとバランスが悪い。またどの技が全体で単体なのかも取りとめがなく、適当に決めたとしか思えない。
      • 各ウルトラ戦士の必殺の仕様もゲーム的に疑問が湧く。「全体攻撃技のスペシウム光線、単体即死技の八つ裂き光輪を持ちながら、全体即死技のスプリング光線も扱えるウルトラマン」「八つ裂き光輪、流星キックという、2つの単体即死技を使う新マン」など、ゲーム性を無視したラインナップばかり。
      • 前作のようにランダムでどれか1つを選択するならこれでも良かっただろう。しかし今回は全ての技の中から任意で選べるのである。明らかに調整不足が伺える。
    • 他のコマンドにも不便な要素が多い。たとえば「逃げる」コマンドは「怖くなった→逃げ出した」という2回の手順を踏む必要があり、無駄に時間がかかる。また「攻撃」コマンドでターゲットを指定したとき、その敵がすでに倒されていると行動を中断してしまう。
      • この問題点は全体命令コマンドを使えば解消できる。「全体逃げる」はきちんと1ターンで逃げることができ、「全体攻撃」は自動で別のターゲットに切り替わってくれる。だったら初めからそうしろと(ry
  • レベルアップの仕様がイマイチ。
    • どの怪獣を倒すかに関わらず20匹倒せばレベルが上がるという仕様のため、強い怪獣と戦う利点がない。よってレベル上げはひたすら序盤のザコを狩り続ける作業になる。もちろんすぐに飽きる。
    • ただしレベル上げはすればその分楽になるが、ゲーム上で必須というわけではない。イベントで基礎ステータスが伸びていくので、何度か挑戦すればレベル0でもクリアは可能。
  • ダンジョンの難易度が全体的に理不尽。
    • どのダンジョンも作りが広大な迷路(比喩ではなく本当に迷路)になっており、複雑な分かれ道や長く進んだ先にある行き止まりなど、プレイヤーの精神力を削ぎ落とすような作りになっている。このゲームには宝箱のような収集要素もないため、本当にただの無駄骨なのである。
    • またダンジョン内では移動力が半減する。さらにエンカウント率も高く、強い敵もわんさか出てくる。前述のように戦闘はやれることが非常に少なく終始地味な小競り合いが続く。一言で表すなら「だるい」
    • 特にこの傾向が顕著なのがラストダンジョン。
      • これまでのダンジョンの2倍くらいの広さを持つ迷路が、複雑な階層に合わせて存在し、さらに鬼のエンカウント率で最強のザコ敵が次々に襲い掛かってくる。カプセル怪獣の数が万全でなければ全滅は免れないだろう。そして長かった道のりの果てに待ち受けるもの、それこそがエースロボットバグなのである…。
  • 最低最悪の鬼畜トラウマ・エースロボットバグ
    • ラストダンジョン後半において、今までに倒したボスとの再戦になるボスラッシュ展開が起こる。この時にエースロボットを倒すと、戦闘終了後に画面がひどくバグった謎の空間に飛ばされる。そしてその場から1歩でも動くと、「エリア1」の洞窟の奥深くにある四次元空間にワープしてしまう。しかもこれは回避方法がなく、確実に発生するのである
    • 果てしなく長く鬼畜だったダンジョン攻略の基軸が、突然のバグによって全てが水泡に帰してしまうのだ。おそらくここまで頑張ってきた子供たちの精神もついに限界を向かえることだろう。実際にこのバグによって攻略を諦めたプレイヤーは多いようだ。
    • ただし、エリア1と最終エリアはマップが繋がっているため、一応再び同じ場所に戻ってくることはできる。とんでもなく長い道のりになるが
    • またバグの回避方法はないが、対処法はある。画面がバグったら決してその場を動かずにセレクトボタンでステータス画面を呼び出してキャンセルする。これで画面のバグが元に戻り、そのまま続きをプレイできる。
      • それだけで直るなら知っていれば問題ないと思いがちだが、当時はまだインターネットの普及していない時代である。攻略本『バンダイ完全必勝ブック ウルトラマン倶楽部3』の中でもこのバグについては一切触れられておらず、子供たちはこれが確実に発生する「仕様」であることも、またその回避方法も知る術がなかったのだ。というかラスダンの鬼畜ぷりとこのバグの存在を思うに、開発スタッフは通しでテストプレイをしていないのではないか?
  • エースロボットバグを乗り越えた先に待つ、最弱のラスボス
    • ダンジョンの最奥部にいるラスボスは何やら重たげなセリフを吐くが、いざ戦って見ると凄まじく弱い。HPは多いものの攻撃力がかなり低く、ここまでたどり着けるようなウルトラ戦士なら負ける要素がない。はっきり言って道中のザコ敵のほうが遥かに強く、拍子抜けも良いところである。
      • ただしラスボスの能力は決して低くはない。攻撃力は最大の999であるし、その他のステータスも満遍なく高い。なので、ここに来るまでにウルトラ戦士が強くなりすぎてしまったという認識が正しい。結果的には同じ事だが。
    • ラストダンジョンの道中があまりに鬼畜なので、ここにたどり着くまでの道のりこそが真のラスボスだという見方もある。
      • ちなみに音楽もザコ戦と同じ。前作のラスボスには専用BGMが作られていたのに何故…。
  • ストーリーが全体的に微妙
    • 流れを端的にまとめると、殺されてしまった人気キャラを助けるために、脇勢が力を合わせて頑張るという話である。前作でラストを飾ったウルトラマンとウルトラマンタロウは、物語序盤で敵に殺され早々に退場*1。新マンは初代マンを救うべく各地を奔走し、ウルトラの母はタロウの仇をとるために単身で敵の基地に乗り込んでいく。そして物語の最終メンバーは「セブン、ゾフィー、エース、新マン」である。…地味だ。
      • 説明書の人物紹介では、マンが「やっぱり主人公は私です」とわざわざ言っているが?
    • キャラクタの厚遇も激しい。新マンはエリア1から3までの全てにおいて仲間に加わり、ウルトラの母はエリア2序盤からエリア3後半までずっと付き従う。一方でウルトラマンレオはエリア2序盤でボスを1体倒しただけで離脱。その後はほぼイベントでしか使えない。ウルトラマンエースは敵に捕らえられていたところをラスダンに乗り込む直前のイベントでようやく救出。以降活躍の場は全くない
  • 文章表現が全体的に稚拙
    • 子供向けということも見越しても、あまりにテキストがいいかげんすぎる。エリア1の頃は文章にもそれなりに愛嬌があって楽しめるが、エリア2のゴルゴダ星あたりからシュールで狂気な電波文が多くなり、状況説明も投げやりになってくるスタッフのやばい深層心理が垣間見えるようだ。
      • 例をあげると、新マン「じゅうじかがあやしいです(一言)」。キング「テレポート(一言)」といった淡々とした様子。他にも「ヤプールプルプルー」「ウルトラのせ・ん・し・たち!」など微妙にセンスがずれている。
      • 仲間が加わる際などのナレーター表現が「・・・しんマンがなかまにくわわった・・・・・」と中点付きで表示されるのだが、これが3点リーダのように見えてしまい微妙に後味が悪い。
      • ミニ野球ゲームの文章などよく練りこまれている部分もあり、本当に同じライターが担当しているのか疑いたくなる。期間不足で推敲ができなかったのか、それとも別のチームが担当したのだろうか。
  • その他の問題点
    • エリア2中盤において、ウルトラマンレオとウルトラマンキングの2人でボスを倒すイベントがあるが、この場所には回復ポイントが一切ない。ここで回復ができるカプセル怪獣を所有していなかったり、ザコと戦って体力を消耗した状態でセーブをしてしまうと、最悪ボスが倒せなくなって詰む恐れがある。救済措置のようなものは全くない。キングの必殺技が体力を回復するリライブ光線だったり…ということはもちろんない
    • ウルトラの父が石にされて倒された経緯がゲーム中で全く不明。
    • エンディングのスタッフロールの演出が説明不足で意味不明*2
    • 殺された石にされたと大業に騒ぎ立てられるが、結局はみんなで祈れば済む話だった。もっとも、原作のウルトラマンの設定もそんなものだが。

評価点

  • 普段目立たないキャラクターが大活躍する。
    • ウルトラの母がガチの戦闘キャラとして使えるゲームはこれくらいだろう。全てのステータスが誰よりも高く、本作の最強キャラクターになっている
    • ウルトラ兄弟の中では影が薄くなりがちなゾフィーや新マンも、このゲームでは第一線で頑張ってくれる。コアなファンなら必見かもしれない。
  • 怪獣やウルトラマンのドット絵は良くできている。攻撃したり、ダメージを受けたりするアニメーションは結構頑張っている。
  • 有名な怪獣が一通り登場する。もっともこれは前作でもできていたことなので、評価点としては微妙かもしれないが。
  • 戦闘は演出部分では今一つなものの、インターフェイスの出来は悪くない。アイコンはシンプルでわかりやすく、コマンド入力も楽。
  • 隠しステータスの「特性」、全体コマンド「バランス」はなかなかゲーム性がある。
    • 戦っているうちに怪獣ごとの相性を覚え、効率よく戦闘を進めていこうと考えていく様は面白みがある。
    • 「バランス」はウルトラ兄弟同士で残りHPを割り振って、全員を同じHP値にするというシステム。体力回復に使えたり、必殺技を使うための調整に使えたりと便利。
  • BGMは良い。またそのパターンですかとか言わない。
    • ただしダンジョンの曲はかなり怖い。恐怖感を煽るというより、不安をかきたてられるような調子になっていて、これもトラウマ作りに加担している。ラストダンジョンは普通のBGMなので安心。
  • 野球のミニゲームはそれなりに良くできている。
  • 当時の子供たちにファミコンゲームの理不尽さと、苦行にも耐え忍ぶ精神力を教え込んでくれた
    • その最後にあるのがエンディングのENDの文字である。ここまで本作をプレイした少年少女は別の意味で深い感動を覚えることだろう

総評

前作から劣化したシステムや微妙な要素がそこかしこに見られ、全体的にプレイヤーの精神をじわじわと蝕んでくるような作りになっている。突出したクソ要素こそないが、総合的な「つまらないゲーム」としての完成度はなかなかのもの。
せめて「今だ必殺!」のシステムが残っていればもう少し評価が上がったかもしれないが、今更な話である。

ただ戦闘バランスはクソなりに安定しており、根気と忍耐さえあれば必ずクリアできる内容には収まっている。そう、これはあくまでゲームとプレイヤーの精神力の戦いなのだ。
今から遊ぶ価値はよほどのマゾゲー好きでもない限りはないだろうが、過去に理不尽なダンジョンやエースロボットバグで挫折した経緯のある当時のプレイヤーは、この記事をきっかけにリベンジを果たしてみてはいかがだろうか。
ストーリーはともかくとして、数年越しのエンディング画面にはいろいろとこみ上げてくるものがあるはずである。

余談

  • エースロボットバグの謎。
    • 一見するとただのバグだが、実はスタッフの仕様ではないかと勘ぐってしまいたくなる。
    • 原作でエースロボットを開発したのは「異次元人」ヤプールであり、バグって飛ばされる場所はゲーム内の「四次元空間」である。
    • 原作でヤプール人はどんな汚いことでも平気でする。特に信頼を裏切る卑劣な行為が多い。
    • ここまでのボスラッシュは会話が電波文ばかりだったが、エースロボット戦から急にセリフがまともになる。
    • 「お前達はなぜ戦う?」「お前達の努力もここまでだ」というセリフがあり「何のためにクリアを目指す?」「バグで努力を無駄にしてやった」というニュアンスにも取れる。
    • 画面がバグってもメニューを開けば元に戻る。つまり回避方法が用意されている。
    • たとえこのバグに巻き込まれてワープしたとしても、頑張って戻ってくればゲームは何事もなく続行できる。
    • バグの発生場所はラストダンジョンのかなり奥であり、体力も回復アイテムも尽きかけている。確かにそろそろ町に戻ってセーブをした方が良いタイミングである。
    • 逆説的な言い回しなるが、おそらくテストプレイをすれば確実にわかるはずのバグであり。これが修正もされずに残っているのはおかしい。つまり…。