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アルゴスの戦士 (PS2) - (2013/03/01 (金) 10:42:57) の編集履歴(バックアップ)


アルゴスの戦士

【あるごすのせんし】

ジャンル アクション
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 テクモ
発売日 2002年12月5日
定価 6,800円(税抜)
分類 クソゲー判定
ポイント ボリューム極薄で陳腐きわまりないストーリー
一応アクションとしてはそれなり
クリア後のお楽しみ

概要

  • テクモのアーケードの名作アクション、『アルゴスの戦士』。そのPS2版である。
    • 原作については、Xbox用の『テクモクラシックアーケード』またはWiiバーチャルコンソールでプレイ可能。
  • ゲームシステム、ストーリー共に大幅な改変が加えられており、「盾を使って戦う」という部分以外に原作との共通点はあまりない。

システム

  • 原作の象徴とも言えるアクションが神具「ディスカーマー」を用いたチェーンアクション。本作でもその要素は受け継がれている。
    • ディスカーマーは円形盾の形状をしている。鎖が付いており、戦闘時はこれを伸ばして戦う。
      • 主人公はこれ以外の武器は一切持っていない。数あるゲーム作品の主人公でもかなり珍しい「盾しか持っていない主人公」である。
  • 見た目通り伸ばして広範囲を攻撃したり、遠くの敵を引き寄せたりできる。
    • また、新アクションを習得すると、特定のポイントに引っかけて上ったり崖を渡ったりできるようになる。
      • まぁ全体的な雰囲気としては『ゼルダの伝説』辺りをイメージしてもらえれば、大体合っている。
    • 「イコル」というゲージを消費して召喚獣を呼び出すこともできる。なにを召喚するかは現在装備しているディスカーマーによって異なる。

問題点

  • ボリュームが恐ろしく薄い。
    • 普通にプレイして10時間かかることはまずないと思われる。アクションに慣れている人なら余裕で5時間切れるレベル。
      • 秘石(ディスカーマーに装備する装飾品)集めに拘らなければ3時間以下も可能。いくらなんでもこの時代にこれは…。
    • 一応4段階の難易度調整など、繰り返しプレイを前提にさせている部分はある。それを込みにしても薄すぎるが。
      • また、この難易度にも問題がある。何度も死んだとき、EASYでプレイできるようにさせてくれるのはいいのだが、以降そのデータではNORMALに戻せなくなる
      • 一度クリアしてから再びNORMALで始める必要がある。なぜこのような面倒な仕様にしたのか…。
  • ストーリーが陳腐・ありきたりというレベルではない。
    • 簡単に言うと、『悪の魔神クロノスの復活を目論む魔族「ティターン」にアルゴス王国の姫「ハルモニア」がさらわれた。勇者ゼーンよ、助け出せ!』。
      • …ほとんどこれだけである。まさかのPS2で『スーパーマリオブラザーズ』。終盤にはそれなりのどんでん返しがあるが、これも簡単に予想が付く程度。
    • あと、登場人物もかなり少ない。以下登場人物紹介。ほぼ必要ないが一応ネタバレ含むので収納。
      + 登場人物。少ないとか言うな。これでほぼ全部なんだ。
      • ゼーン
        • 記憶喪失の主人公。戦うことしか知らない。
          • 「剣術に関しては並ぶものなし」らしいが、本編では盾しか使わない。まぁ強いから別に構わないが。
          • 実はエキドナの息子。過去に行方不明になってアルゴ王国に流れ着いた…らしい。
      • ハルモニア
        • 一応ヒロイン。アルゴ王国創始者、「アルゴ」の子孫である。
          • ほぼ常に捕まっており、特に抵抗したり演説したりする場面もない。終盤ではヒロインの座を主人公の母親に奪われてしまう。
      • エキドナ
        • ティターンの魔女。その正体は「クレオパトラ*1」。
          • 前述の通り実はゼーンの母親。実に都合良くゼーンの手の甲に残っていた王家の紋章でそれを確信する。
          • 「クロノスに肉体を乗っ取られて涙ながらに実の息子に殺してくれと頼む」というヒロインポジションをハルモニアから奪った張本人。その意味では間違いなく魔女である。
      • イカロス
        • 漆黒の翼と青い肌を持った異形の魔人。ちなみにティターンの幹部はこの二人だけである。後は自意識があるかも怪しい魔獣ぐらいしかいないので、多分ゲーム史上最弱クラスの悪の組織である。
          • その正体は「アリストテレス」。アレクサンダー大王の侵攻に対し、アルゴ王国の軍師として戦ったが、裏切りに会いティターンに魂を売り渡した…世界史ファンの人、ついてこれてます?
        • 不死の身を嘆き主人公に自分を殺すように頼む。その頼みを受け地下洞窟まで追いかけると5本の首に胎児の頭がついた不気味なドラゴンと戦う羽目になる。そして倒すと彼の黒い羽が…どうも彼のなれの果てだったらしいが、それらしい演出が皆無なので全く意味が分からない。
      • クロノス
        • 一応ラスボス。序盤からその存在は明示されているが、別にゼーンに追っ手を放ってくるわけではなく、ひたすら影が薄い。
          • 過去に封印されたコイツの復活が本作のキーワードである。…が、復活したらどうなるかも特に語られない。
  • その存在が語られるだけの歴史上の人物なども含めればもう少し多くなるが、明確にストーリーに関わってくるのは上の5人でほぼ全部である。
  • また、基本のストーリーが異常に駆け足であり、展開が非常に早い。
    • 例を挙げると「この神殿の奥から敵の本拠地に行けます→神殿のボス撃破→流されて意識失う→たどり着いた先の迷宮を探索→なぜか敵の本拠地到着」…全くもって意味が分からない。
  • さらに本編を追うだけでは語られない設定があり、それらについては随所に落ちている石版や手紙で補完する必要がある。
    • これ自体は『キングダムハーツ』などでも例のある手法なので特に問題はないが、問題はこの「語られない設定」がやけに多く、本編だけでは意味不明になる可能性が高いこと。
    • こういう表現方法はまずストーリーの骨格を「見せて」から裏設定を「読ませる」から面白いのであって、ほとんどを「読ませる」のでは面倒なだけである。
  • カメラワークが異常に悪い。
    • 本作のアクションとしての問題点はほぼここに集約される。なぜか全編固定視点であり、自分でカメラを動かせる場面が全くない。
      • 想像してもらいたい。全て固定視点の『ゼルダの伝説』や『キングダムハーツ』を。…想像してもらえただろうか?大体その想像を10倍ぐらい面倒にすると本作になる。
      • 特に最悪なのが空中ステージのアルカディア。「先の見えない狭い足場をギリギリまで移動してジャンプする」という操作が要求される。
      • また、視点切り替えの境界線近くで戦うと頻繁に視点が切り替わり、まともに戦えなくなる。
  • パッケージ裏には『あらゆるものを破壊 魂を揺さぶる 「超破壊」 *2』というロマンあふれる文章があるが、大嘘
    • 実際には壊せるオブジェクトが普通より若干多いか、といったレベル。壊せないものは何をどうやっても駄目なのは他のゲームと同じ。
      • むしろ、このせいで全てのアイテムを回収するために、しらみつぶしに壊して回る必要があり、かえって手間を増やしている。
  • 敵の種類がすさまじく少ない。
    • 雑魚はたった5種類。しかも、蜘蛛は1ステージしか登場せず、サイクロプスは登場ポイントが限られる中ボスに近い扱いなので、実質3種類を使い回している。
      • 一番弱い芋虫(ロルファ)が最終ステージまで登場する有様。一応色違いで能力が強化されたり、飛び道具が追加されたりするが、根本的な解決にはなっていない。

評価点

  • 盾を使ったアクションの完成度が地味に高い。
    • ディスカーマーは3種類。遠距離攻撃の「冥」、中距離広範囲の「天」、近距離連続攻撃の「海」。
      • いずれも一長一短あり、使い分けが重要。戦闘中もL2R2で一発切り替えできるのもうれしい。
      • また天は攻撃速度が遅く、海は極端にリーチが短いとどちらもクセのある性能。最初から使えるのが一番オーソドックスな「冥」なのは「わかっている」感がある。
    • アイテムはどれもディスカーマーで回収できる。いちいち走る必要がないので手間がかからない。
  • グラフィックはこの時代…というよりPS2全体で見ても冗談抜きに最高クラス。
    • 特に空、水の表現は他の追随を許さないレベル。
  • 音楽も良質。古代ギリシャを意識した勇壮で幻想的な良曲揃い。
  • クリア後に追加される「ピザーマモード」が高評価。
    • 簡単に言うと「ピザ屋アルゴスの配達員ゼーンがピザが無料になる30分以内にピザを届けにいく」というカオスなストーリー。
      • 全編台詞が書き直されており、かなり笑える。まさかのパロディモード。さらにディスカーマーは全てピザになっている。ちなみに冥がマルゲリータ、天がバジル、海がシーフードである。
      • 「ピザで敵を殴っていいのか」と思えるが、その辺りはゲーム中でも突っ込まれている。

総評

一番面白いのがクリア後のオマケという悲惨な作品。
グラフィックとアクション性はそれなりに評価されているが、狂ったストーリーとボリュームの薄さは到底擁護できない。

後にWii版も発売されている(テクモ最後のWiiソフトでもある)が、PS2の操作性をWiiに合わせただけという時点で…お察しください。

余談

  • 特徴でも評価点でも問題点でもないので書かなかったが、なぜか全編英語ボイス+日本語字幕である。
    • それにしても、全編英語な事といい、極小ボリュームといい、どこか某「レベルを上げて物理で殴ればいい」を思い起こさせる特徴である。ただ、本作はあちらほど酷い完成度ではなく、英語ボイスも普通だが。
  • 海外版が発売されているが、海外版ではゼーンの名前が変わっている。もっともその程度ならよくある話なのだが、変更後の名前が問題。
    • なんと、アーケード版のラスボスと同名の「ライガー」になっているのである。
      • もしこの「ライガー」がAC版ラスボスと同一人物なら、陳腐どころか恐ろしく複雑な世界観が存在することになるのだが…。
    • というより、主人公の名前が変わっているということはせっかくの英語ボイスも新録したのだろうか?海外版で差し替えられるなら本当になんのための英語なのだろうか…。