「ペーパーマリオ スーパーシール」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

ペーパーマリオ スーパーシール - (2013/03/20 (水) 23:15:49) の編集履歴(バックアップ)


ペーパーマリオ スーパーシール

【ぺーぱーまりお すーぱーしーる】

ジャンル シールバトルアドベンチャー
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 任天堂
開発元 任天堂
インテリジェントシステムズ
発売日 2012年12月6日
定価 4,800円(税込)
プレイ人数 1人
分類 黒歴史ゲー
ポイント 悪い意味でタイトル通りのペーパーボリューム
前作までにあった好評な要素の削除
従来ファンの期待を完全に裏切った
マリオシリーズ関連リンク


概要

ペーパーマリオシリーズ第4作。シリーズ初の携帯機向けゲームソフトとなる。
初報から3年近く待たされ、5年ぶりの新作となるタイトル。しかし、いざ発売してみると…。

あらすじ

シールの街、ラベルンタウンで年に一回開催される「シールフェスタ」。今回はゲストとしてピーチ姫とマリオもやってきた。
フェスタも佳境に差し掛かった中、願いをかなえるという「ロイヤルシール」が降ってきた。
するとロイヤルシールを我が物にせんと大魔王クッパとクッパ軍団がシールフェスタに乱入してきた。キノピオ達の制止を振り切りクッパはロイヤルシールを入手する。
しかしクッパの様子がおかしい。ロイヤルシールの魔力に憑かれ、「ギラギラ」しはじめ、会場で散々暴れた末にキノコ王国のあちこちでシールを使ったいたずらを始めだした。
マリオはシール星からやってきたという「ルーシー」と共に各地に散らばったロイヤルシールを集め、クッパの暴走を止める新たな冒険に出た。

システム

  • ぱっと見は従来のペーパーマリオに近いRPG。ジャンルにもあるとおり、謎解き、バトルをすべてシールで行う。
    • だが実際のシステムはかなり違う。詳細は後述するが、ゲーム性は「ゼルダの伝説」シリーズに近いとしたほうがしっくりくる。
  • 世界観もすべての登場人物がシールとなっており、ステージも従来のシリーズと同じく、紙をメインとした構造となっている。
    • 一見真新しいシステムだが、これが悲劇を呼ぶことになる…。

新要素

ぺパライズ

  • コース上においてマリオが使用できる能力。
  • 使用すると画面上のステージが1枚の紙に変化し、紙にカーソルが表示されている場所に、持っているシールや「マップピース」を貼ることができる。
  • 正しいシールやマップピースを貼ったりはがしたりすることで仕掛けが動いたり、さまざまな変化を起こすことができる。
  • 今作の肝となるシステムであり、謎解きの中心になる。

バトルシール

  • 今作では、基本攻撃やFP*1の概念が存在せず、手持ちのバトルシールや後述の「モノシール」を消費してハンマーやジャンプ、特殊攻撃を行う。
  • つまり、通常攻撃ですら消耗品というシステムなのである。ただし入手量は多く、無駄遣いしなければ完全に底をつくということは少ない。
  • バトルシールはコース上で拾ったり、ショップで買ったりして集めることができる。
  • 今作では初代やマリオRPG時代から存在したアクションコマンドシステム*2を再び採用した、のだが……(後述)。

バトルスロット

  • 今作のサポートキャラ「ルーシー」によって使用できる能力。
  • バトルにおいて、マリオの毎ターン開始時にコインを消費することで使用するか決めることが出来る。
  • 基本的に普通のスロットと同じ内容であり、絵柄が揃うことでその数だけ行動回数が増える(2つ絵柄揃ったらこのターン2回行動できる)。
    • また絵柄が3つ揃った場合、その絵柄に応じて効果も得られる。
    • スロット回転中にさらにコインを消費することで、回転が遅くなったり、すでに絵柄が2つ揃った状態で始めることができる。
  • スロットシステム自体は過去作『ペーパーマリオRPG』にも存在した。

モノシール

  • 「バトルシール」同様に「ぺパライズ」やバトルで使用することの出来るシール。
  • コース上に唯一立体で存在し手に入れることができる「モノ」と呼ばれるものを、「モノなげや」にもって行くことでシールとして入手できる。
    • 「モノ」にはさまざまな種類があり、「せんぷうき」や「はさみ」、はたまた「まねきねこ」などすべて現実世界に実際に存在するものである。
  • 「ぺパライズ」で貼り付けて使用することでステージのギミックを動かしたり、
    バトルで使用することで敵に大ダメージを与えたり、攻撃力が2倍になったり、相手の技を跳ね返すといった様々なアクションが起こる。

問題点

  • 全体的に、本作は過去作とはシステム面で大きく毛色が違う。戦闘・育成より収集・探索・謎解きに重点が置かれており、前述したとおりどちらかといえば「ゼルダの伝説」を思いださせるようなゲーム性である。

バトルシステムについて

  • 前述した「バトルシール」を使ってバトルを行うのだが、このシステム、裏を返すとシールがすべて無くなれば逃げる以外に何も出来なくなる
    • 以前にあった「アピール」「ぼうぎょ」といったコマンドが消滅し、「何もしない」といった行動が出来ないため、シール消費は必ず行うことになる。
    • 一応バトル中でもアクションコマンドを成功させることで補給できることがあるが、入手はランダムであるためシールが尽きかけている状況ではどのみちジリ貧に陥ってしまう。
  • また、アクションコマンドについても以前までは、「スティックをタイミングよくはじく」、「コマンドを正しい順に押す」といったものがあったが、
    今作はすべてのアクションをAボタンで行うため、アクションに味がなくなってしまっている。
    • そのアクションにも、ただAボタンをタイミングよく押せ!と説明に書いてあるばかりで詳しいタイミングは表示されないので、シールのアクションに慣れるまで時間がかかる。
    • 今までは各アクションごとに説明文がついていたのだが今回は説明どころかチュートリアルらしいチュートリアルもない。
    • その上アクションの練習をしようにもシールを消費してしまうので気軽に行えない。
  • カウンター技であるスーパーガードも削除されている。
    • 一応特定のシールを使うことで、アクションコマンドによって攻撃を回避したりすることはできる。しかしマリオは一回行動なのでそのターンはそれ以外の行動ができない。
  • アクション成功SEもチープでうるさいものになっている。連続技等では少し耳障りにも感じる。
  • さらに今作では経験値という概念が存在しない
    • ステータスを上昇させるにはステージ上に落ちてある、「体力UPハート」と呼ばれるアイテムを拾うことでHPのみが上昇する。
  • 雑魚戦のメリットは、コースクリア後に手に入るコインの数が増える、ノーダメージでパーフェクトボーナスのコインがもらえる、など。どっちにしたってコインの入手くらいである。
    • しかしコインは、ステージ上などでたくさん手に入り、消費数も少ないため、簡単に溜まる。
    • 一応特定の雑魚はそれに応じたシールを落とす(ノコノコなら甲羅、ハックンなら手裏剣、などといった具合)のだが、そこまで強力でもない。
  • バトルではシールの消費が多いこともあり、イベント戦を除き、雑魚敵と戦う利点がまったくない。シール消費を避けるため、ひたすら雑魚を回避する場面が多い。
    • 今作では逃げる事によって、フィールド上からシンボルが消滅するため、手持ちのシールによっては逃げる方が効率よく戦闘を処理できる場合が多い(後半は特に)。
      • おまけに今作の雑魚敵は全体的に攻撃力が高く、しかも一回の戦闘で戦う敵の数までが多い。そのためまともに相手をしていても何も良いことが無い。
    • 上記に加えて雑魚敵はシンボルエンカウント形式。ある程度体力が上がるとジャンプ一発で倒せる様になっているが、マリオに向かって追いかけるタイプが多く上記の仕様から作業感を感じさせる。
  • 冒頭で本作は「ゼルダの伝説」に近いと評したが、「敵に触れるたびRPG的な戦闘が挿入され、そのたびに矢やバクダンを消費して戦うゼルダの伝説」をイメージして貰えれば本作の戦闘の問題点がわかってもらえるだろう。
    • 同作にも経験値の概念はなく、アイテムの収集によってのみ自己強化がなされる。しかしゼルダはアクションアドベンチャーであり、剣で斬れば即座に敵は倒れる。そのテンポは雲泥の差である。
  • 総じて今作の戦闘はデメリットばかりでメリットが薄く、極力避けるべき代物になってしまった。戦闘するにしても回避するにしても探索のテンポを悪化させてしまい、はっきり言って邪魔である。
    • これならいっそ前作のように、RPG的戦闘を完全に廃したアクションアドベンチャーにすればよかったとも言えてしまう。

仲間について

  • 今作では、シリーズおなじみの要素であった共に戦ってくれる仲間は一切登場しない
    • そのため、ほとんどの戦闘において一対多の戦いを強いられる。
  • また、前作まであった敵のステータスや情報を知る「ものしり」も完全に撤廃されてしまっている*3
  • そのため、前述したバトルシステムに加え、謎解きにもマンネリ化が進む。
  • 一応サポートキャラの「ルーシー」が登場するが、戦闘には参加せずフィールド上でのアドバイスのみである。

ステージについて

  • 1つの町を拠点として、いろいろな町やステージに行くのがペーパーマリオシリーズ伝統であったが…。
  • 今作では2Dマリオシリーズと同じく、コース選択システムになった。
    • そのため拠点となる町の存在意義や、この町のどこから次のステージにいけるかといった楽しみがなくなってしまった。
  • 従来の作品まではステージおよび章は全部で8つあったが、今作ではステージが6つしかない。
  • コースの数についても、最高がステージ3の12コースであるのに対し、なぜかステージ3以降、コースの数が減る
  • 最終章であるステージ6では、なんとたったの3コースしかない。
    • しかもその内最初のコースはただの門、くぐるだけで次コースに進める上に、最終コースは実質中ボス、ラスボス戦のみなので実際に攻略するコースは6-2だけである。
      • ではやり応えのある難易度や今までのギミックの集大成なのかというと、そんなことはなく、むしろ今までのコースよりやや短め。
  • コース自体にも、ショップがあるだけで終わるコースなど、分ける意味の無いものも存在する。

ぺパライズについて

  • 今回の謎解きにおいて重要な役割を持つが、とにかく面倒くさい
    • 使用頻度の割に演出・操作不能時間が長い。ほとんどのステージで使う上、「とにかく怪しい所でペパライズ」という謎解きが多い今作では「行き詰まったらそこかしこでペパライズ連打」という行動を強要される場面が少なくない。
    • シールを貼ったり剥がしたりするにしても、いちいちマリオを動かしてシールを貼る/剥がす操作が入る。テンポ悪すぎ。
    • 貼る方は視覚的に判りやすくなっているのだが、剥がす方はペパライズモードを呼び出さないと表示されず気づきにくい。
  • まだ過去作の仲間を入れ替える動作のほうがマシという声も…。

シールについて

  • シールは持ち物のシールブックに張って持ち歩くことになるが、シールの持ち数に上限が存在する
    • シールごとに持ち物欄を占有する範囲が異なっており、基本的に強力なシールやモノシールは大きい。
    • そのためステージのギミックを解く鍵である「モノシール」にシールブックが占有され、必然的にバトルシールの持ち数が制限されてしまう。
  • 何も考えずにバトルシールを使うとすぐになくなってしまい、ショップかステージ中で収集することとなる。
    • 幸いシールはそこらに大量に貼られており、回収を怠らず、無駄な戦闘を極力行わなければそうそう底をつかない。
      • ……のだが、貼られているシールはAを一秒ほど長押ししていちいち剥がさねばならない。一枚二枚ならともかく、十数枚集めようと思うと地味に面倒。
      • 剥がそうとしている間に敵に接触され、手に入れた量以上にシールを消費することも。
      • そもそもまがりなりにもRPGなのに、戦闘は極力避けるべきという時点で問題である。
  • バトルシールについても、アクションの単調化も含めもっさりしたものが多い。
    • モノシールについてはバリエーションの豊富さもあって視覚的にも楽しい攻撃となる。だが当然使い捨てであり、入手方法が限られているうえ謎解きにも使うのであまり乱用はできない。
      • モノシールのもととなるモノは、ステージの特定の場所で拾うか街で大量のコインを出して買うかして入手し、逐一シールに変換しなくてはならない。
      • しかも同じモノは2つ以上持てない。たとえばモノとしてでもシールとしてでも「せんぷうき」を持っていると、新たに「せんぷうき」は入手できない。
    • 補助アイテムなどは存在せず、体力回復もバトルシールで行うことになるのだが、なんと非戦闘時には体力回復ができない
      • 今作は状態異常がかなり厄介(攻撃が殆ど当たらなくなる、全く動けなくなる上に被ダメージ率二倍等)なのだが、その状態異常に至っては回復手段が一切無く自然回復を待つしか無い。ひとたび状態異常にされたらそのままはめ殺しにされることもしばしば。
  • また、シールの威力バランスもあまり良好とは言いがたい。
    • このシリーズは伝統的に、HPなどの数字がかなりのデフレを起こしている*4。本作も例外でなく、雑魚のHPは高くてもだいたい二桁で収まっている。
    • のだが、その割にこちらの攻撃力がかなり高い。最初の雑魚であるクリボーなど基本のジャンプに成功しただけで倒れる。マリオとしては正しいがRPGとしては問題な脆さである。
    • その傾向は終盤まで続く。むしろ全体攻撃などが充実してくるため、シール一枚で敵を一掃する単調な戦闘が続く。敵の攻撃力も高いので、そのぐらいのペースで殲滅しないと逆にこちらがピンチに陥る。
    • ゲームの性質上、戦闘がスムーズに終わるのは良いことかもしれないが、スムーズすぎて作業に成り下がっている。
    • しかもこれは普通に手に入るシールで事足りる。そのため雑魚戦ではレアな高威力シールは用なしである。
      • キラ以上のシールの威力はボス戦くらいでしか役に立つことは無いのだが、よっぽどのごり押しでも無い限り基本的に雑魚戦で用いるシールで間に合ってしまう。
      • 更に言ってしまうと、今作はボス戦そのものがかなり少ないため、結局は苦労して貴重なシールを手に入れたところでもてあましてしまうことが多い。
    • メガキラ(最高ランク)クラスのシールはほとんどがコースの奥の方に隠されているため、ボス戦用に強力なシールを複数手に入れるためには、謎解きを済ませてあるとはいえ決して短いと言えないコースを何度もやり直す必要がある。
      • といってもデカキラ(上から二番目)クラスのシールは市販されているため、ロマン火力を求めでもしない限り必須事項というわけでもない。だが逆に言えば使い捨てシステムとレアリティのシステムがまるで噛み合っていないともいえる。

ボスについて

  • 今作のボスは雑魚敵の脆さに反して硬い。1ステージ目からしてHPが90もある。ステージ3など300もある*5
    • これはそれぞれボスに弱点が存在し、それに適した「モノシール」を使うことで大ダメージを与えることが出来るシステムによる。
  • しかし、ボスの弱点は戦う前にこれといったヒントも存在せず、場合によっては手探りで探すハメになる。
    • 一応ルーシーが教えてくれる事もあるのだが、それは数ターン後か、1回ボス戦で負けた後である。事前にモノシールを用意する必要があるというのにこれは遅すぎる。
  • もし、弱点の「モノシール」を持ち合わせていなければ、こちらがシール切れになるかボスを倒すまでジリ貧の戦いが繰りひろげられる。
    • しかもそれで倒しても、「シールを使いすぎ」とルーシーに文句を言われる。
  • 弱点が分かりやすいステージ4のボスならまだしも、他のステージや形態によって弱点が変わるラスボスは初見での突破は難しい。
    • しかもただ使うだけでは駄目で、特定のタイミングで使わなくてはいけないシールもある。
  • 一応これらの対応策なのか、今作ではなんと、ボス戦でも逃走が可能
    • しかしモノシールは以前のステージを回って集めなくてはならない。弱点を総当りしようとするとすさまじく面倒な作業となる。

キャラクターについて

  • 世界観の都合上なのか、モブキャラはキノピオ以外登場しない
    • そのため、どのステージに行ってもキノピオだらけで、新鮮味が全く無い。
    • 過去作では、マリオシリーズの雑魚キャラが善良な一般市民として登場したりしていたのだが……
  • 雑魚敵に関しても、クッパ軍お馴染みの敵しか存在せず、新しく登場した主要な敵キャラは「クッパJr.」ぐらいである。
    • また、前々作までクッパの右腕だった「カメックババ」は登場せず、ただのカメックに差し替えられた。
      • カメックはワールド2-2で戦うことになるが手持ちのシールがどういうわけかカメックの魔法によって全てサンダルに変えられてしまう。元のシールが何なのか判り辛くなり気づかぬ間に貴重なシールを使ってしまうことも。
  • 新キャラクターである「ルーシー」だが…
    • マリオのサポートキャラとして登場するが、とにかく性格が荒く、何事にも文句が多いという棘の多いキャラである。
    • ストーリー中でもこのキャラに対する深い説明がないため、あまり存在意義が無いキャラになってしまっている*6。無言主人公のマリオの代わりにぺらぺら喋るためだけにいるようなキャラといってしまってもいい。
    • 一応シリーズ恒例のヒントを出してくれるキャラなのだが、そのヒントが凄まじく役に立たない。(だいたいペパライズのことのみ)ただでさえ説明不足な謎解きが多いのに殆どヒントになっていない。
      • しかも話す内容の殆どが世間話レベル。それもバリエーションが異様に少なくそのうえ短い。旧作のヒント担当キャラであったクリオとクリスチーヌはワンフロアごとに様々なメッセージを出しており、前作のアンナもフロアごととはいかないがそれなりに話してくれたのだが…。
  • また、ピーチ姫、クッパ、ルイージとシリーズ皆勤賞のキャラも登場するが……。
    • なんとピーチ姫とクッパは、全ストーリーの最初と最後にしか登場せず、クッパにいたっては笑い声のSEをあげるだけで、一言も喋らない
    • ルイージにいたっては、一言も喋らないどころかマリオとさえ一切絡まない。隠しキャラ的なシールとして登場するだけである。
      • 特定のステージの背景に脈絡なく登場し、ペパライズではがせる。しかしやはり無言であり、はがすと何処かへ走り去ってしまう。
  • ちなみに今回もいつも通りピーチ姫はさらわれる訳だが、町のキノピオ達はピーチ姫の安否を気にも留めていない。
    • というか最後のロイヤルシールの元にたどり着いたらたまたまさらわれていたのを発見した、というシリーズ屈指の酷い扱い。過去作でマリオの助けになろうと懸命に情報収集を行っていたのが嘘のようである。
  • 主人公であるマリオは、ただルーシーに従いロイヤルシールを集めていく。もはやパシリ
    • 生声によるボイスも削られており、主人公なのでセリフもない*7。完全ではなくとも空気感が漂う。ルーシーが事あるごとにぺらぺら喋るため、よけい意識がそっちへ引っ張られる。
  • またステージボスについても、ステージ1のボス「ボスクリボー」はやけに喋るが、それ以降のボスは人語を喋らない。
    • 前作までのボスはそれぞれ意思を持っていたが、今作は登場するなり突然戦う。前振りも会話もない。
    • 過去作では性格面でも個性あるボスが多く、決戦前に顔見せするボスも多かったため印象に残りやすいが、今作はほとんどがぽっと出かつ無言である。
  • そして、以前のシリーズで活躍したゲストキャラの登場もない。
    • これまでシリーズ皆勤だった、たんこぶでお馴染みの「コブロン」も、もちろん居ない。

シナリオについて

  • 今作のストーリーはなんといっても薄い
  • 町で起こる重大な事件や、サブイベントといったものも全く存在しない
    • 一応ハナチャンの身体の捜索やクイズ番組などイベントがないわけではないが、結局やることはステージ攻略である。
  • 特に重要なキャラクターが少ないせいもあってか、キャラクター同士が絡んだ面白い会話も少ない。
  • また、以前の作品でステージクリア後に発生していたピーチ姫操作パート、クッパ操作パートが存在しないこともあり、それぞれのキャラクターに感情移入できないといったマイナス要素が多い。
  • そもそも今回のマリオの目的が、ロイヤルシールを持つボスを倒して集めるだけ。第3勢力や敵側の思念*8といったものが無いので、ストーリーもへったくれもない。一応(ペーパーでない本編の)マリオらしいといえばらしいのだが……
    • 「ペーパーマリオ」シリーズらしくない、というのに尽きる。マリオのゲームとしては特に問題ではないが、見た目に似つかないシリアス&ダーク&カオスな重厚ストーリーで人気を集めてきたペーパーマリオシリーズとしては期待はずれと言わざるを得ない。
+ ラストバトルについて(ネタバレ注意)
  • 今作のラスボスは「クッパ」である。
  • サポートキャラである「ルーシー」が、最後ラスボスを倒すため犠牲になるが…。
    • 前述のとおり、ルーシー自体賛否の別れるキャラであり、見ようによってはほぼ形だけの御涙頂戴な展開になってしまっている。
    • その際のイベントも冗談抜きで長さ的に一分もない。シリーズ恒例の「この旅で得た様々な力がマリオの元に~」的な演出は皆無。
    • その上、最後にこれといった説明もなく復活する。本当になんだったのか。
  • 従来のシリーズでは任天堂らしからぬほどの難解で重厚なストーリーかつ質も十分によく好評であったため、それを望んでいたプレイヤーはとんだ肩透かしを喰らうことになった。
    • ちなみにこのようなストーリーになった原因として、スタッフインタビューでは「クラブニンテンドーのインタビューで前作のストーリーが良かったと答える人が極端に少なかったため」と語っている。
      • 尻すぼみに短くなっていくステージも相合さり、ボリュームまで紙のようにペラペラなってしまった等と揶揄されるハメに。

クリア後、おまけ要素について

  • 今作はバッジや料理、ほしのかけらといった収集要素が無くなってしまった。
    • 100階ダンジョンや依頼も廃止。これらは存在自体が賛否両論あったのだが。
  • その代わりにシールを収集できる博物館が存在する。
    • が、いちいちシールを消費する。入手場所が限られているキラシールであろうが、ステージ中で必要なモノシールであろうが。
      • そのため、集めるつもりならそれらのシールは最低二回は回収しまくてはならない。
    • しかも隠されているモノシールの大部分は「ひみつドア」という高額なシールを用いて入手する。そのため、コンプリートを目指すなら必然的に金稼ぎが要求される。
+ そして、苦労してシール博物館コンプ後…等。一応、ネタバレ注意
  • しかもその博物館でシールをコンプして出来る要素というのが、いわゆるサウンドテスト(今まで聞いてきたBGMを聞けるようになるだけ)と下記のスーパーフラッグとザコ敵の攻撃アクションの閲覧ができるようになるだけである*9
  • サウンドテストは下記の賛否があるが良曲があるからまだいいとしても、ザコ敵の攻撃アクションは普通にバトルして見ればいいだけの話。誰得。
  • 他にスーパーフラッグというものがあるが、簡単に言えば実績システム。
    • 条件が厳しく、達成しようとすると作業を強いられる。やらされている感が強い。
    • コンプリートしても特にメリットはない。やらなくてもいいと見るべきか、やりがいがないと見るべきか……。
  • クリア後に追加される要素はなんとスタッフロール観賞のみ
  • これにより、クリア後も楽しむといったことがほとんど出来なくなった。

賛否両論点

BGMについて

  • 今作のBGMは、今までのペーパーマリオシリーズとは異色である、ジャズがメインとなっている。
    • 場に合わない曲調も合わせて、今までのシリーズと雰囲気が異なるといった意見も少なくは無い。(あながち間違ってはないが)
  • 一応評価の高いBGMもある(雑魚敵戦、ボス戦など)。 難易度について
  • 謎解き・戦闘そのものの難易度は旧作に比べて高めで、歯ごたえそのものは十分。HPもシールも少ないジリ貧状態で奥に奥にとステージを進んでいくハラハラ感は人を選びつつも中々楽しめる。
    • しかしステージを出入りする度にオートセーブが行われるため、負けたところで大した損失はない。そこを評価点と呼べるかは何とも言い難い。

評価点

  • シールを使ったギミックは評価が高い。
  • 今作は今まで以上に「紙」を意識した構造になっており、それを生かした変化やアクションは見ていて爽快である
    • また、バトル中に使う「モノシール」も見ていて面白いものや、ちょっとしたファンサービスもある。
    • 「モノシール」に関しては、説明までも同じく見ていて面白いものもある。 ただし、そのおかげで「モノシール」の効果がわからないという欠点を持つものもあるが。
  • ペーパーマリオシリーズ伝統のブラックユーモアも健在。
  • 全体的に高い難易度でまとまっているものの、何度やってもダメなどと言った理不尽な点はなく、死に覚えで十分進めるほどよい歯ごたえである。
  • これといった重大なバグの報告もない。
    • よっぽど今作は丁寧に作られたのであろう。

総評

ゲームそのものは全体的に丁寧に作られている。バグなどもなく、ステージのギミックもよくできている。
しかし前作までの良かった部分がほとんど消滅し、改悪されたり、余計な要素が多くなってしまった今作。
何よりもストーリーやキャラクターを題材にしてきた前作までのペーパーマリオシリーズの要素をすべて殺してしまったことが問題になっている。
この結果は、従来のファンに対して大きな失望を与えてしまった。
システム面も経験値の撤廃などによる戦闘の作業化・それに伴うテンポの悪化とあまりいい出来とは言いがたい。
新規プレイヤーに対しても、ボス戦やシールアクションに対する説明も少ないため、とっつきにくくなっている。
システムやストーリーなどが荒削りではあるものの、評価点で挙げられているように、ゲームそのものの作りはかなり丁寧である。 だからこそ「なぜ路線変更をしてしまったのか」と嘆かざるを得ない問題作となってしまった。

余談

このゲームの開発中に任天堂の情報開発本部長である宮本氏が口出し、所謂「ちゃぶ台返し」が行われたと社長に訊くにある。
この口出しにより1度は完成に近づいていたこの作品の作り直しが行われた。
他にも、宮本氏からは「ストーリーは必要最小限でいい」、「可能な限り『マリオ』の世界のキャラだけで完結してほしい」という要望があったと答えている。

この要望が今作の悪評の原因にもなっていることは残念である。マリオシリーズにおける宮本氏の存在の大きさをうかがわせるとともに、これらの要望をスタッフ陣は「縛りのような物」と例えているなどから、今作の制作にはとても難儀した様子を思わせるインタビューであった。
しかし、マリオストーリーもほぼマリオの世界のキャラだけで完結していたことを考えると、少なくとも原点に返ることぐらいはできたのではないだろうか。 そのマリオストーリーと比較すると、本作のストーリーは「必要最小限」すら下回るレベルの薄さである。