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ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争 - (2013/05/30 (木) 13:11:07) の編集履歴(バックアップ)


ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争

【ふぁいなるふぁんたじーたくてぃくす ししせんそう】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 トーセ
発売日 2007年5月10日
定価 4,800円
iOS版Android版/1,800円
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
廉価版 アルティメットヒッツ:2009年7月30日/2,940円
分類 劣化移植
ポイント 激しい処理落ち
追加ジョブが極端&エフェクト使いまわし
他作キャラの過剰なまでの優遇
細かい改善点やイベント増加、新規ムービーは好評
ファイナルファンタジーシリーズ関連作品リンク

概要

1997年発売の『ファイナルファンタジータクティクス』に追加要素を加え、PSPに移植した作品。


評価点

  • 新規追加されたムービーが秀逸。
    • 特徴ある本作の絵や雰囲気を、トゥーンシェードで違和感なく表現している上に迫力がある。
    • 特にPS版に愛着がある人たちに高評価を得た。
  • 「通信対戦」「共同戦線」の追加
    • 自己満足だけで終わっていたキャラの育成も、他プレイヤーとの対戦or協力という別の形で生かせるようになった。
    • 共同戦線については、本編ではありえなかった敵軍団が登場する、戦闘前に会話がある、勝利条件が独特など、本作品が好きな人にとっては非常に楽しいものとなっている。
      • ただし、友人らとの通信を行う都合上、途中セーブができないという難点がある。オリジナル版にはそのようなものがなかったので仕方ないと言えば仕方ないのだが、10連続バトルのようなおよそ通信要素には似つかわしくないものまで存在しているのでややきついかもしれない。
      • また、本作で追加された新アイテムは通信を使わないと入手できない。また、1人でのやりこみにはあくまで対応していないのも不満要素として挙がっていた。
  • 新規イベントの追加
    • PS版で印象が薄かったキャラの掘り下げや、人気キャラ用のサブイベントの追加など。
    • 元のストーリーを大きく変えてしまうようなイベントはない。
  • 新規ジョブの追加
    • 「暗黒騎士」「たまねぎ剣士」の2ジョブが追加された。
    • 暗黒騎士はPS版で一部の固有キャラしか使えなかった剣技と同等の技を習得できる。これにより、CHAPTER 4以降に続々と登場するバランスブレイカー級のユニットの影に埋もれていく主人公ラムザや汎用キャラの使い勝手が広がっている。
      また、女性ユニットも暗黒騎士のアビリティで「Move+3」を取得できるようになった。
    • たまねぎ剣士は初期状態では非常に弱いが、ジョブのレベルを最大まで上げると最高クラスのパラメータを持つようになる。
  • 他、PS版の不満点や不具合の解消
    • ユニット制限人数が、16人から24人に増加。
    • これによってユニークキャラクターを除名せずにキャラを育成できるようになった。
    • 装備破壊しないとダメージを与えられない仕様だった「剛剣」が、装備破壊しなくてもダメージを与えられる仕様に変更。
      • 他にも多数の剣技を使えるバランスブレイカーとして名高いオルランドゥはともかく、彼の後に加入する挙句にボスであるルカヴィには一切効かなかったことでベンチキャラの烙印を押されていたメリアドールの価値が上昇。元々基礎ステータスが高いこともあり、この仕様変更はかなり上方修正となった。
      • ただし、当然ながら「メンテナンス」持ちのユニットには通用せず、敵の剛剣使いも同じ仕様になっているため注意が必要。
    • 「真言」などの、指定範囲内をランダムに複数回、複数個所を攻撃するアビリティの攻撃回数が増え、中心に当たりやすくなった。
      • このおかげで全然使えない、仲間になっても即除名候補などと長年散々ネタにもされ続けていたマラーク及びラファの価値が上がった。
    • 試着室での装備増殖バグや密猟バグ(本来個数限定の(PS版)最強の防具PS版では敵専用の源氏装備などが複数個入手できる)など、ゲームバランスに大きく影響を与えるバグが修正されている。
    • クラウドを仲間にできる時期がPS版に比べ早くなっている。

賛否両論点

  • 新規イベントの内容
    • これは本作における人気女性キャラ、アグリアスに関わる追加イベントについて。原作ではラムザに同行はしているが特に接点の無かった青年ムスタディオとの色恋沙汰を匂わせる要素があり、これが両キャラクターのファンから賛否が分かれている。
      + 参考動画(4:00辺りから)
      • このイベント、一見ムスタディオとアグリアスのいい話のようになっているが、内容は「ムスタディオが部隊の軍資金でプレゼントを買った」というもの。イベント内の会話によりラムザは容認していることが伺えるが、プレイヤーに選択の余地はなく、事実上、プレゼント代5万ギルの横領である。もっとも終盤まで来ると一回の戦闘で数万単位の収入があり、装備品も一通り揃っているので他にギルの使い道がなかったりするのだが。
      • またFFTファンの間では、アグリアスはラムザに対してかなり印象的なセリフを言うなどの理由から、彼とのカップリングを推す意見が非常に根強い。そんな中で何故別の相手とのイベントにしたのか?という批判意見も多い。
      • ただ、補足しておくと、このイベントは発生条件がやや凝ったものであり、強制的に発生するものではない。(「50万ギル所持」「アグリアス、ムスタディオ、アグリアスの部下という設定の汎用ユニット二名の四名が全員自軍にいる」「アグリアスの誕生日に街に立ち寄る」と言う条件を満たす必要がある)このイベント以降の、二人の関係の進展の描写もない。あくまで、CHAPTER4に多く設定されている、本編とは無関係の、お遊び要素を盛り込んだ寄り道の一つである。
  • FFTAの反省からか、海外版でもエルムドアから装備を盗む・破壊することが出来なくなった。
    • ただし、PS版では密猟バグか特殊なデータが必須だった源氏装備も共同戦線などで入手できるようになった。
    • 国内ではおおむね評価されているが、海外では賛否両論になった。
    • 噂によると海外PS版FFTの特殊なデータは販売されておらず、またアイテム発見移動では源氏装備は見つからず源氏装備を装備しているものはエルムドアしかいないためジョブ特性からメンテナンスが外されていたらしい。

問題点

  • 戦闘中に何らかの行動(移動・攻撃・魔法・補助など)を取った際、エフェクトに処理落ち・フレーム落ち・SEずれが発生する。(参考動画
    • 回転や拡大縮小など特に複雑な処理をしていないエフェクトでも発生し、演出の長さがPS版の1.5~2.0倍となったことで、結果としてゲームプレイのテンポが落ちた。
      • PS版に触れたことのない人ほど「気にならない」傾向が強い模様。ただし雨が降ってる時や算術ホーリーなどは初見の人でもわかるほど処理落ちが酷い。トイレに余裕で行けます。
    • このような劣化が生じたのは、通信対戦の導入が主因ともいわれている(ただし、あくまで噂なので真偽は不明)。
  • PSP版の追加要素の、他作品からのゲストキャラの1人(FFXIIよりバルフレア)が異常に強い
    • PS版でバランスブレイカーとして未だに語り継がれている固有ジョブ、「剣聖」に並ぶほどの性能。
      しかもPS版では最後まで使える固有キャラの一人、ムスタディオの完全な上位互換(困ったことにムスタディオが勝る面が一つもない)であり、専用の強力な攻撃技を持ち、なおかつ基本ステータスが非常に高い。それだけではなくバルフレアは初期装備が超貴重かつ強力な装備であり、初期装備で最後までいけてしまう。
    • 他作品のキャラでありながら、既存キャラであるムスタディオを完全に上回ってしまっていることで、ムスタディオファンはもちろん、キャラファンで無いプレイヤーからも否定的意見が多い。
    • なお、PS版でもゲストキャラとしてFFVIIよりクラウドが参戦していたが、かなり癖が強く、きちんと育成しなければ使いづらい能力だったため、主役を食うまでには至っていない。プレイヤーの愛がないと汎用以下・即除名候補、とまで言われるほどだった。
    • ただ強制加入ではないので、気に入らなければ仲間にせずにスルーすることも出来る。
      • 上記のように性能の高い装備を多数装備しているので「仲間にしてレア装備を剥いで除名・使用しないor殺害でアビリティ継承」という人もいる。
  • 新規追加ジョブにも一部批判がある。
    • 「暗黒騎士」のアビリティのエフェクトが、他ジョブのアビリティからの使いまわし。PS版はほぼ全ての技が固有エフェクトである事を考えると、手を抜いたと言われても仕方がない。
    • 一方の「たまねぎ剣士」は、強さが育成の労力に見合っていない。
      • 能力値・成長率が全てにおいて低レベルで、性能が極めて低い。条件を満たすと大幅に改善されて申し分のない性能になるのだが、そのためには「ほぼ全てのジョブをマスター」という非常に重い条件が必要。その中にはマスターするにはラーニングorクリスタル継承(召喚士のゾディアーク)や実用性の薄いアビリティ(取得に必要なJPが5000で事実上取得不可能な飛行移動など)の取得が必須であるジョブも含まれており、苦痛でしかない。
        一応メリットとしては、男性ユニットに「リボン」や香水類などの強力な女性専用アイテムを装備させられることなどがあるが、その反面「アビリティを一切セットできず、通常攻撃しか実行できない」というあまりに重すぎるデメリットを負うことになる。
  • 他、以下の細かな問題点が散見される。
    • ソフトリセット機能の削除。
    • 「リミット」や弓使いの「チャージ」など、一部の使い勝手の悪いアビリティ*1は改善されなかった。
    • 開始時ムービーでは物語のキーアイテムでもある12種の「聖石」が登場するのだが、二度ヴァルゴが登場してスコーピオは登場しない。
    • ムービーでラムザの名前を変えてもラムザのまま。
    • もう1人のゲストキャラ(『FFTA2』の主人公「ルッソ」)の能力が主人公とほぼ同一で、固有ジョブ「モブハンター」の習得アビリティはラムザの「見習い戦士」に「密漁」のアビリティを加えただけで工夫がない。
      • 「モブ(使いまわし)のハンター」と揶揄されても仕方ないほどの手抜きである。
    • 新規追加装備は、基本的に通信しないと手に入らない。暗黒騎士の専用装備である暗黒剣も通信しないと入手できない。
      • 一応その入手の面倒さに見合う性能ではあるのだが、逆に強すぎるとの批判もある。
    • SEがPS版と比べて大幅劣化している。全体的に低音が消されており、PS版にあった攻撃の重みが感じられなくなっている。特に雷属性魔法とルガヴィ降臨のSEはファミコン音源のような電子音に改悪されている。
    • PS版で問題となっていた、終盤のゲームバランス崩壊が改善されていない。悪化しているのではとの声もある。
    • PS版のバグ・ミス(ミルウーダが本編で戦闘するとき乙女座になっているなど)や誤記(ムスタディオのヘルプメッセージなど実際の仕様と異なる内容が書かれている物など)の一部は、修正されず残っている。
    • ゲーム起動時の、メーカーロゴの表示時間がやたらと長い。

総評

処理落ち以外は新規追加要素の問題点がほとんどである。その追加要素もいくつかは評価されているものであり、それだけに処理落ちが惜しい、という声が大きい。

なお、PS版で評価の高かった戦闘・育成システムは特にバグ(新たなバグもない)もなく、処理落ちを除いてほぼそのまま移植されている。
処理落ちを許容できるかどうかがこのリメイク版の評価のキーポイントだが、そこまで気にならないという声も多数上がっている以上劣化移植の域は出ない。

現在ゲームアーカイブスではPS版FFTが配信されているが、本作も一概に悪い作品とは言えない。どちらを購入するかは個人の好み、プレイスタイルの問題であろう。


  • iPhone・iPod touch向けにiOSへ移植されており、こちらは処理落ちに関しては改善されたがコロシアムと共同戦線は削除されている。そのため通信限定の追加アイテムはクリア後に毛皮骨肉店に入荷されるようになった。
    • ただし、源氏装備は入手不可能となった。

余談

  • 本作でのバルフレアの扱いは本作での性能だけにとどまらず関連グッズなどでも如実に現れているほど贔屓されている。
    • 攻略本では、暗黒騎士と空賊(バルフレアの固有ジョブ)のみ2ページで紹介されている。
    • 公式サイトの壁紙(普通にDLするやつとミニゲームをクリアするともらえる物)はいずれも他作品からのゲストキャラの中で唯一バルフレアがある。一方他のゲストキャラは(FFT版の)公式イラストが公開されていないクラウドはおろか公式イラストが公開されているルッソすらない。
    • またリメイクで追加されたゲストキャラでありながらフィギュアまで作られた(FFTの服装のバルフレアで、である)。ちなみに同じくゲストのルッソ(公式サイトのキャラ紹介に載ってるキャラの中で唯一作られていない)やクラウドは作られていない。
    • そもそもなぜ当時の最新作からのゲスト出演とはいえ、ヴァンやアーシェではなく彼なのか? という疑問ももたれているが、これは家名が同じ=おそらくムスタディオの先祖であるため。前述のように、性能で子孫を完全にスポイルしている訳だが……。
      • とはいえ、「12世紀前の人間が獅子戦争時代に介入する」という矛盾を考えれば、そもそもFFXIIからゲスト出演自体がタブー。