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アンリミテッド:サガ - (2012/07/20 (金) 19:50:07) の編集履歴(バックアップ)


アンリミテッド:サガ

【あんりみてっど さが】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション2
発売元 スクウェア
発売日 2002年12月19日 / 2003年03月
定価 6,800円(税抜) + 1,800円(税抜)
分類 スルメゲー
ポイント 説明書は別売り
普通のRPGですらない
人によって名作orクソゲーで分かれる衝撃的な内容
発売からほどなくして価格980円以下
現在は再評価の動きあり
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サガシリーズリンク


概要

  • スクウェア(現スクウェア・エニックス)の看板RPGのひとつ、『サガ』シリーズ9作目の作品。プレイステーション2初のサガシリーズということで、プレイステーション時代の『サガ フロンティア』シリーズから一新された部分も多い。
  • 今までのサガシリーズと同じく、人を選ぶ内容ではあるが、TRPGをベースにしたゲームシステム・独自の世界観など、やはりサガシリーズらしい意欲的な内容にはコアなファンが多い。
    • 前年にワンダースワンカラーで河津秋敏など同主要スタッフが製作した『ワイルドカード』というやや無名ながら評価の高い作品があり、システムにいくらか類似性が見られることからこのゲームは同作の発展形だと見る考え方もある。

システム(というか賛否両論点)

  • システム的にかなり特殊。これまでのシリーズと違いすぎて投げた人・クソゲーと判断した人も多いと思われる。
    • まずフィールド上ではボードゲームやTRPGのようだ、と評される。1ターンに1行動(マス移動や周囲を調べる・仕掛けの操作など)。それとともに敵キャラも動く。ロマサガ以後のサガシリーズでは自由に歩き回って敵シンボルを回避したりできたので、それを想像していたプレイヤーは呆気にとられただろう。
    • 戦闘・フィールドともに「リール」というシステムを採用。要は、ルーレットを目押しで止めて成功判定をするもの。
      • フィールドではトラップ回避や宝箱を開けたりするのに多用。しかし、ランダムでずれるため100%成功させるのは不可能。貴重なアイテムや魔道板入りの宝箱が爆弾で吹っ飛ぶなんていうのはザラ。
      • 宝箱を発見した場合、まずは(スキルを使用した場合)罠を見破るためのリールがあり、次に解除するためのリールがあり、そして箱を開けるためのリールがある。すなわち終始リール尽くしであり、その展開の遅いゲーム性に音を上げたプレイヤーは多かった。
  • 戦闘では、止めた場所に応じて技ならそのレベルの技が、術なら止めた属性が術と一致すれば若干強力になる。これまでと違って強力な技や術が高コストというわけではない(そもそも本作では技ポイント・術ポイント自体が存在せず全てHP消費)ので、閃きで上位の技を習得したなら、下位の技はまず使わない。しかし、リールをうまく止められないと、狙った技を出せないという問題もある。慣れが必要。
    • 戦闘時の連携システムは健在。なんと敵味方ほとんど全ての行動を連携可能。むやみに連携を狙うと、敵に割り込まれて逆に大打撃を受けることになる。また、連携時もリールは全攻撃に対して個別に回り続けているため、全ての攻撃を上位技で止めるのは難しい。
      • そのリール配列も、実はGBソフトの『Sa・Ga3 時空の覇者』の乱数配列からほぼ流用したもの。なおアンサガの発表会でGB版サガ3だけが、「プロデューサー違いによる権利問題」を理由に存在自体を紹介されなかった。
    • 味方のステータスは、本人の固定された「資質」(基本ステータス)と、シナリオクリア時に一つ選んで入手できる「スキルパネル」によって決まる。
      • 戦闘内の行動内容によって戦闘終了後に主な成長が行われた以前のシリーズと異なり、シナリオ内の行動内容によってシナリオ終了後に成長が行われるため、戦闘以外にもトラップを回避したり宝箱を開けたりといった要素がそのシナリオ終了時の成長に関わり、戦略が必要になる。
      • スキルパネルは余っている枠がない場合でも強制付け替えなので、ほぼ完璧な配置にしていても、次のシナリオクリアでは付け替えねばならない。よって、極めようと思ったら、どこか必ずどうでもいいスキルパネルを置く場所(もしくは別の同系統のパネルに置き換えても主要ステータスに影響のない場所)を用意しておくことになる。
      • 一部のパネルは入手が非常に困難であり、狙ったキャラに狙ったパネルを引かせるためにはメモリーカードを複数用意してのリセットロード作業がほぼ必須。
    • HPがゼロになっても戦闘不能にならないというあまりにも画期的なシステム。重要なのはLPであり、HPはそれを削られないための「壁」的な存在である。フィールド上のトラップでHPとLPはガンガン削られていくので、能力は低くともLPの高いキャラクターの存在価値は高い。
  • ゲームの難易度的にはかなり高いと思われている。
    • 厳密に言うと、初心者向けの主人公以外が厳しい。
      • 進行順次第ではハマりに近い状態になりやすいルビィ編、味方がひ弱なのに最終戦が全主人公中最高難易度のマイス編、プレイ時間15分ごとに強制戦闘になるキャッシュ編、イベント進行が特殊で理解しにくいアーミック編・キャッシュ編など、これらの主人公は初プレイでは厳しい(主人公選択時にそういった旨の紹介文がある)。また、キャッシュ編は実質序盤に挑むことになる「剣難峡」が多少慣れたプレイヤーでもいやになるほど極めて難易度が高い。
      • そのほか3人の主人公は比較的進めやすいのだが、そのうち最も早く記事などで公開されメインの主人公であろうと目されていたローラ編では、ストーリーの2分岐のうち一方がかなり難度が高い(これは意図的に設定されたこと)。しかも、簡単な方の分岐に進むにはある敵に負けることが条件なのだが、この敵は負ける方が難しいほど弱い。さらに、ローラ編ではサブシナリオの数が少なく、ラストダンジョンに行けるようになるとレベルアップ用サブイベント「謎の場所」にも行けなくなるためハマる可能性もある。
    • また、このゲームでは敵はだいたい戦闘回数に応じて強くなっていくのだが、味方の成長(HP上昇とスキルパネル付け替え)はシナリオクリア時のみである。サブシナリオをわざとクリアしないで宝箱や魔道板入手に力を入れるのは本作の常套手段だが、あまりやりすぎると敵だけが一方的に強くなっていく。そして、シナリオをクリアしないと成長しないということは、全てのシナリオをクリアしてしまうとそれ以上の成長ができなくなってしまうということである。一応救済措置として「謎の場所」と「テトラフォース」があるのだが、一部の主人公では使えない。
      • ただし、どの主人公でもシナリオの数は十分にあるので全シナリオをクリアしたのに能力値が低くてラスボスに勝てない、といったことはまず無い。(もちろん装備や技の関係で勝てないということはあり得るが)
    • 強いラスボスはシリーズ伝統ではあるものの、今作では特にラスボス戦の高難度さとそれ以前の戦闘難度とのギャップが激しい。

評価点

  • BGMは『サガ フロンティア2』と同じく浜渦正志氏が担当。氏の能力に違わぬ名曲揃いであり、クソゲーとの評価を多く受けた発売初期でも、唯一音楽のみは一貫して評価を受けている。
    • 中でも通常戦闘曲は大変美しく、満場一致で名曲扱いされるほどの出来で今までに浜渦氏が作曲した曲の中でも1,2を争うほどの人気を誇る。
  • グラフィックは2Dであり非常に奇麗。サガフロ2からの水彩画調のグラフィックも健在。
  • なんだかんだでOPムービーの出来が凄い。ゲームに合わない人から見たら間違いなくOP詐欺。

批判点

  • そんなこのゲームがクソゲー呼ばわりされる理由は合わないから? いや、もっと根本的な問題である。「説明書」が別売りなのだ。
    • 勿論これは誇張表現で、ちゃんとゲームには本来の説明書が付属している。役に立たないだけ。通称「パンフレット」「チラシ」。
      • なお、この件については、『サガフロンティア2』の10周年の際、某有名スタッフが個人サイトのインタビューにて「 取り扱い説明書は宣伝部が作っているのですが、本当は開発側で内容確認したり、必要な資料を出したりしなきゃいけないんです。でも開発にも余裕が無くて、丸投げになってしまったためにあんな出来になってしまいました。 」とコメントしている。
  • 説明書は全32ページで、うちゲーム内容の説明に割かれているのは20ページちょっと。
    • 一般的なRPGであればこれで不足することはないだろうが、なにせこのゲームは操作も進行もやや特殊でチュートリアルにあたるものもない。ボタンの振り分けやシステムの根幹など、基本の「き」となる部分については大体は書いてあるのだが、どれもこれも本当に上っ面だけの説明で、初めてプレイする人にとっては非常に分かりづらい。「改造」「能力資質」といった基本から一歩進んだシステムについては全く書かれていないものも多い。
    • おまけに、説明書の後半6ページは本作の攻略本・グッズや、本作と無関係のスクウェアのゲームの宣伝に割かれている。ゲーム説明が不十分なのにも関わらず、宣伝だけはきっちりしていたため、上記の通称で呼ばれるようになった。
    • 特にプレイヤー達を戸惑わせたのがクエスト中の移動画面で、独特の操作そのものに戸惑うプレイヤーが続出。「待機による回復方法」*1や「オブジェクトの調べ方」*2、挙句の果てに「キャラクターの移動方法」*3など、ゲームの根本的な操作さえできないプレイヤーが現れる始末で、わざわざ公式サイトに基本的な操作方法のQ&Aが載ったほど(現在は消滅)。
      • 実は回復やオブジェクトの調べ方に関しては説明書の「フリーシナリオとは?」の項に載っている(具体的に言うと13ページの右上)。ただし、それらは小さな文字でおまけ程度に載っているので、ほとんどのプレイヤーが見逃したと思われる。
    • その為、当時のユーザーは阿鼻叫喚。敵強すぎ、全身鎧バグ*4を使わないとクリアできない等、このゲームの評判を大いに落とすことになった。
  • その後、詳細なゲームの進め方や戦法なども書かれた攻略本『アンリミテッド:サガ 解体真書』(という名の「説明書」)の発売により批判は徐々に沈静化。また、それ以降ユーザーのやり込みも進み、実際は奥深い内容で、敵の強さはきちんと進行していないから、全身鎧はバグではなく仕様*5、だがこのゲームの面白さをスポイルする、飽くまで救済措置だとの見解が生まれたのだが……。
    • 時既に遅し、各小売ではアンリミテッド:サガ絶賛投げ売り中であった。新品980円は当たり前、嘘か誠か新品100円で買ったという話も。
      • 真偽は不明だが「福袋にこれが何本も入っていた」という画像が結構流行っていた。
    • 中古ゲームショップでは今や高く買う方が難しい。980円なら高価な方で、大抵500~200円ほど。缶ジュース以下、100円切りなんてことも。買い取り価格は発売から1ヶ月で50円もザラ。また、買い取りが多すぎて買い取り拒否となった店も少なくない。
    • 上記の通り攻略本は税込1890円である為、攻略本の方が高い。さらに今でも中々入手しにくい(再販自体は度々行われている)。
    • なお、ゲームをやっただけではラスボスが何者なのかはあまり分からない。攻略本を見て世界観や設定がやっと分かる(まあ、このゲームに限ったことではないが)。

総評

  • 重大なバグがある、あまりにも内容が薄いといった、いわゆる「クソゲー」ではない。しかしながら「ただでさえ人を選ぶゲームなのに、説明書があまりにも説明書として機能しなかったが為に、非常にハードルの高い&独特なシステムを理解しきれなかった多くのユーザーからクソゲー扱いを受けてしまったゲーム」と言えるだろう。
    • さらに付け加えるなら「ゲーム発売から別売り説明書が出るまでの3ヶ月間の間に中古屋に売られまくってしまった為にクソゲーという認識が広まってしまった」という理由もある。近年でこそ再評価され、クソゲー扱いされる事は少なくなっているが、発売当初の評価はクソゲーというのが現実だった。
  • 今ではインターネットで攻略情報を得ることが容易であり、その安価さもあり再評価の動きが進んでいる。
    • しかし同時に、投げ売られているからといって安易に買うな、とも言われる。人を選ぶことに変わりはない。
      • あまりにも人を選ぶゲームであること、また2ちゃんねるのこのゲームのスレッドには当初は初心者を装った荒らしがよく出たことから、スレッドのテンプレ(3レス目)にはこのように書かれている。

        Q. ○○円だけど買いですか?
        A. お前は買わないほうがいい。やめとけ。

        Q. ○○円で買ってきたんですけどぉ~
        A. お前には無理だ諦めろ。

        Q. 面白くないんですけどこのゲーム糞ですか?
        A. お前には合わん諦めろ。

      • けんもほろろなQ&Aだが、内容が糞とは一言も言っていない。
      • そして、新人が来たときには古参からの「>>3」という手荒い歓迎のレスが多発する*6

その他・余談など

  • 別売り説明書にも記載されている一部アイテム(厳密にはスキルパネル)が極々低確率でしか手に入らない*7など、バグ臭い挙動もある事はある。
    • ただし、別売り説明書自体も間違った情報が載せられている事もある。出ない事がユーザーの間でネタになっている上記のアイテムに関しては、「普通に出る筈だが、2つの乱数を組み合わせたので、かなり出にくくなっている」との事。
  • 本作の説明書が不親切だったのは開発者側も認識したらしく、『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』では、ゲーム内でシステムの説明を随所に載せている(ギユウ軍や戦闘中に入るナレーション等)*8
  • なお、このゲームがスクウェアに何をもたらしたかだが、未だにベスト版に相当するアルティメットヒッツ化されていないことから察して欲しい。
  • 本作発売の2年半後、『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』が発売される。本作の不評や大幅に改編されたキャラデザもあり、発売前の評判は最悪で非常に不安視されたが、蓋を開けてみると本作よりは慣れ親しみやすいシステム、サガファンのツボを押さえた爽快な戦闘や世界観や音楽などから本作に比べて大きくユーザーに受け入れられることになった。
    • アンサガ以降のサガシリーズは『ラスト レムナント』を数えなければ全て旧作のリメイク(ミンサガ・サガ2・サガ3)であり、コンシューマー機での新作は出ていない。
  • なお、かつてある個人サイトの企画で、クソゲー?や誰もが投げだす高難度ゲーとして悪い意味で有名だったこのゲームのクリアに挑戦する人を募集するという「第一次ゆとり大戦」という企画が行われたことがある。
  • 更に余談中の余談であるが、本作発売の少し前、『ファイナルファンタジー』シリーズ初の地上波アニメ作品『FF:U~ファイナルファンタジー: アンリミテッド~』が放映されており、そのアニメの後期でこの作品のCMが流れていた。このアニメ、それなりに視聴率も稼いでおりながら当時の映画版ファイナルファンタジーの大コケの煽りで打ち切られてしまう。そこへこの作品のタイトルを見たファンが「続編か外伝作品か?」と勘違いし購入してしまったという被害報告もある。
    • 『FF:U』も本作と同様に河津秋敏が関わっており、一時はこの2作を関連させる構想もあったようで、実際「アンリミテッド」の概念などごくわずかに共通する部分もあるが、最終的にそれ以上の関係はまるでない。