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たけしの挑戦状 - (2013/04/06 (土) 15:05:47) の編集履歴(バックアップ)


たけしの挑戦状

【たけしのちょうせんじょう】

ジャンル アクションADV
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 タイトー
開発元 不明
発売日 1986年12月10日
価格 5,300円(税抜)
レーティング 【VC】CERO:B(12歳以上対象)
コンテンツアイコン 暴力・犯罪
配信 バーチャルコンソール:2009年3月31日/500Wiiポイント
分類 クソゲー・バカゲー判定
※一覧では任天堂据置機のクソゲーに指定
ポイント あまりにクソ過ぎて伝説化
人類には早すぎる(難易度的な意味で)
全体的に不条理・理不尽な高難易度
始める前からGAMEOVER
なぞのくうちゅうばくはつ
へたくそ やめて かえれ
クリアできた人は「えらいっ
ある意味「北野武」の原点
バカゲー度、死にゲー度もトップクラス
こんなげーむにまじになっちゃってどうするの
ビートたけし
たけしの挑戦状 /たけしの戦国風雲児/突撃! 風雲たけし城
10年に一度のクソゲー
たけしの挑戦状 /デスクリムゾン/四八(仮)
『伝説のクソゲーども』
トランスフォーマー コンボイの謎/ たけしの挑戦状 /燃えろ!!プロ野球/星をみるひと/爆伝 アンバランスゾーン/
ソード・オブ・ソダン/摩訶摩訶/デスクリムゾン/里見の謎/ファイナルファンタジーIVアドバンス


概要

お笑いタレントのビートたけし(北野武)氏が開発に深く関わった伝説の作品。通称『たけ挑』。キャッチコピーは「謎を解けるか。一億人」。
パッケージの裏にはビートたけし氏本人によるプレイヤーへ向けてのメッセージが書かれ、「まず、今までのファミコンソフトと同じレベルで、この作品を考えないようにして欲しい」といったコメントが載っているのだが、実際にプレイしてみると、それが如何にジョークでなく本気の言葉であるかを思い知らされる。
特に「プレイヤーを苦しませる事が目的なのでは?」と思わせるほどの理不尽な難易度と不条理な内容はプレイヤーを混乱に陥れ、中には「町の人に喧嘩を売り、攻撃してきた人に襲われてゲームオーバーになるだけのゲーム」と誤解してしまった者もいたようだ。そういうプレイヤーはその後、このゲームの正しい目的を知って唖然としたらしい。

問題点

このゲームの目的は?

主人公は「薄汚れた町並みの中に住む所帯持ちのしがないサラリーマンで、台詞は罵言暴言など汚い言葉遣いが多い」という設定。そんな主人公がふとした事から財宝の在処が示された地図を手に入れ、それを探しに旅立つという冒険物語…らしい。「らしい」というのは、そのことに対する説明がゲーム中では一切語られないからである。

  • 見た目からはあまりそういう感じはしないが、ヤクザや警察官が攻撃してきたり自宅でも妻や子供が敵として登場したりするなど非常に退廃的でバイオレンスな世界観であり、登場するキャラクターは敵・味方関係なく全て攻撃可能。
  • 会話コマンドにも「おやじをなぐる」「しゃちょうをなぐる」という選択肢が出てくることがある。更にはパスワード画面の受付を殴り殺すことさえできる *1。後年、北野氏がバイオレンス映画で名を上げることになったのも頷ける…かもしれない。
  • それなのに、BGMは狂気を感じるほどに明るい。何とゲームスタートからエンディングまで通して、マイナーコード*2が一度も出てこない


理不尽・不条理なゲーム内容

さて、ここからが本題である。このゲームは一応、プレイヤーを操作して謎解きをしていくアクションアドベンチャーゲームなのだが、行動の自由度が高いにも関わらず攻略方法はどれもこれもノーヒント。当然、自分で答えを予想して行動しなければならないのだが、その答えはあまりにも奇想天外なものばかりであり、絶対に解るはずがない。これこそがこのゲームがクソゲー呼ばわりされている最大の理由であり、当時の多くのプレイヤーを地獄に叩き落とした。一応取説にヒントがあるにはあるのだが…

  • 実はIIコンのマイクを使って「もしもし」と話すと町の人からヒントが聞けるらしいのだが、「きみ 5ふんがしょうぶだ」「しんだら3かい」というような恐ろしく断片的なものが大半である。前者は宝の地図を出す方法、後者はヤクザなどに撲殺された時に復活する方法のヒント。
+ ...
  • ゲームを始めると、主人公がいきなり社長に怒られている場面からスタートする。このあと社長に話しかけて辞表を提出しなければいけないのだが、このことについてのヒントはない。
  • 自宅に戻ったあと妻と離婚しなければいけないのだが、このことについてのヒントもない*3
  • とあるイベントでIIコンのマイクを使ってカラオケを歌わなければならない。ただし、ボタン入力による救済*4があり、そもそもファミコンのマイク端子は音声認識などしない(音のON/OFFのみを判定する)ため、実は息を吹きつけるだけでも大丈夫。
    • クリアするには三連続で「うまい」と言われなければならないのだが、一度でも失敗すると「へたくそ やめて かえれ」と罵られ、フラグを立てるところからやり直し。ファミコンのマイク機能は個体差が激しく、一部の機種では音のON/OFFがあべこべに認識されるということもあったらしく、「『たけしの挑戦状』最初の難関」と呼ばれている。
    • カラオケのレパートリーの一つである「あめのしんかいち(雨の新開地)」はこのゲームを象徴する一曲であり、発売当時の広告などでも大々的に取り上げられていた。


  • 最重要アイテム「宝の地図」の謎を解くには「にっこうにさらす」を選んだ上で、リアルに1時間待たなくてはいけない。その間、ボタンには一切触れてはいけない
    • 一応5分で済む救済策もあるのだが、やはりボタン操作はNGなので退屈。ヒントも無くは無いのだがわかりづらい。ミスるとカラオケからやり直しになる。
    • ちなみに、不正解の選択肢には合計5時間も使った小ネタが用意されているものがある。
      • 後にたけしがレギュラー出演する「世界まる見えテレビ特捜部」でこのゲームが紹介された際にもこの部分が特に紹介された。
    • 詳細についてはこちらも参照。
  • 道中に色々な資格を入手できる「カルチャーセンターBG」という場所が登場する。ここで特定の資格を手に入れておかないと後で詰む。ちなみに何故か受付に誰も居ないにも関わらず会話が可能。
  • ある重要アイテム(必須ではない)がパチンコの景品になっており、実際ゲーム内でパチンコができるのだが、普通にパチンコをするだけでは入手できない
    • ではどうやるのかというと、玉を全部使い果たしたあと、IIコンのマイクで「出ねえぞ!!」と叫び、出てきたヤクザを倒して玉を手に入れる*5という、いくらなんでもな方法。
    • しかも景品の中には偽のアイテムが大量に紛れ込んでいる。
  • 「本物の宝の地図」を持っていなかったり、行き先を間違えたりすると、飛行機が「なぞのくうちゅうばくはつ(謎の空中爆発)」を遂げてゲームオーバー。ここで散っていったプレイヤーは数知れず。
    • パッケージ裏のコメントにある「ゲーム中盤で南の島に宝探しに出るのだが、そこまで何人がたどりつけるか」という挑戦的な文面はこの事を指しているのだと思われる。
  • このあとたどり着く「ひんたぼ島」の銀行ではお金を預けることができても引き出すことができない*6。このゲームにはこういった罠が無数に仕掛けられており、ひどい時には完全にハマることもある。
  • 「ひんたぼ島」からは宝の島を目指してハンググライダーで移動する。横シューティングゲームになっているのだが、画面上に弾は1発しか出せず、下降はできるが風に触れないと上昇できないなど非常に難しく、また攻撃に当たると即ゲームオーバー。またハローパックマンにも似たようなシーンがある。
    • 本作最大の難関」と呼ばれている。「もう少し簡単にすればよかった」とたけしも攻略本でぼやいた有様である。
    • しかもその1発の弾も、ある場所で「拳銃」を入手してないと使用できない。これもまったくのノーヒントである。一応島で入手できるものなのが救いか。
    • 通常敵にあたると弾は消えるため、すぐに次の弾が発射できるが、たまに弾が敵を貫通するバグがあり、こうなると画面から弾が飛び去るまで次が撃てない。
    • 資格があれば他の乗り物も利用可能。セスナなどなら上昇も自由だが、そもそもハンググライダー以外では着陸が出来ずゲームオーバー確定なので全く意味が無い
    • ちなみに、目的地の「ちょばりん島」から先に飛んでいくことができるのだが、その向こうに待っているのはどこかの大国っぽい雰囲気の「赤い国」。ただし、そこには着地できない。
    • さいごまで飛んでいくと画面最上部まで達する山がある。もちろんゲームオーバーになるしかない。
    • ていうか大抵のプレイヤーはそこに達する前にスクランブル発進してきたMIGに撃墜される。拳銃とハングライダーでどうやって戦闘機に立ち向かえと。
    • なお、目的地の「ちょばりん島」に着陸すると本作のサブタイトルが表示される。
  • ラストダンジョンである洞窟は全4フロアで構成されるが、次のフロアに行く為の穴や階段と言った入り口の類は一切無い。実は特定のポイントでしゃがむのだが、やはり判りづらい。
    • よりによって、第3フロアの特定のポイントだけ「ある場所の」「あることをしないと出てこない」人物が教えてくれる。
  • 無事に宝にたどり着いても、ある条件を満たしていないと最後の最後でとんでもないどんでん返しが待っている。これを回避するには最序盤にあることをしていないといけないので、やり直すにしてもものすごい時間がかかる羽目に。
  • 『グランドセフトオート』や『龍が如く』よりよっぽど理不尽なバイオレンスと理不尽な謎解きの果てにようやく現れるエンディングは、ビートたけしの顔と「えらいっ」のセリフだけというあまりにシンプルなもの。
    • それでもめげずに更に5分間待つと、「こんなげーむにまじになっちゃってどうするの(こんなゲームにマジになっちゃってどうするの)」というメッセージが表示される。

その他バカゲー要素

  • ゲームオーバー時の画面がなぜか主人公の葬式会場。この要素を搭載したゲームは世界でも数少ないと思われる。
    • そもそも、ゲームオーバーが葬式のゲームが大量にあってたまるかコノヤロー。
    • なお、この作品以外でこのような要素を搭載しているゲームにFC『鉄腕アトム』やFC『半熟英雄』がある。

  • パスワード入力時に「°」だけを入力すると「最強の状態でクリア寸前」、「すきすきすきすき……やき」と入力すると「飛行機の資格を持って南国から」始まる。しかしクリアにはハンググライダーの資格が必要なので、実質クリア不可能である。後者は裏技関連書籍にも掲載されていたため、多くの子供たちが理不尽に散っていったと思われる。
    • なお、パスワードを間違えてもゲームオーバーで葬式に。
  • エンディング直前からスタートできる裏技があるのだが、「タイトル画面でパンチを2万回出す」必要がある。

結論

「ビートたけし」のネームバリュー(話題性)のためか、たけしが暗い部屋で機械に囲まれながら大根をおろすというシュールなCM(ある意味この意味不明なCMもゲーム攻略のヒントだったと言える?)の効果か、後の『燃えプロ』には及ばないものの大ヒット*7となった。当時の小学生はこぞって購入し、そして絶望したことであろう。
ゲームの内容だけを見ると、凄まじいばかりのクソゲーだが、デス様よろしくコアなファンも少なからず存在する作品ではある。一歩間違えれば愛されることもなく寒いだけのどうしようもない代物が出来上がってしまうこともあるので、ある意味では恵まれているともいえる。
たけし自身も色々とやりたかったようで、解釈の仕方によっては氏の映画監督としての才能を垣間見れるかも知れない。ただ、技術もスペックも乏しかった当時、実験的なアイデアをそのまま具現化するような方法が無かったため、結果としてクソゲーになってしまった。
フラグ立ては異常に難しくノーヒントだと常人には攻略不可能なのは事実だが、現在ではネット上に多数の攻略サイトが存在し、攻略法やフラグ立てについても丁寧に解説されている。ハンググライダーさえ抜けてしまえばクリアするのはそう不可能ではない。

『スーパーマリオブラザーズ』の1年後に「狙って作られたバカゲー」が既に存在していた事、僅か1年間に同じゲーム機で「伝説級の名作」と「伝説級のクソゲー」が出ていたという事は、ゲーム史を振り返るに当たりとても重要な事象だといえる。

余談

  • パッケージには「ビートたけし、ファミコンソフト第1弾!」と書かれていたことから、当初はシリーズ化する予定もあったことがうかがえる。
    • たけしの名を冠した作品には他に『たけしの戦国風雲児』があるが、本人が直接関わってない説があるため言及されにくい。
  • 大田出版から攻略本が上下巻で発売されたが、当時はそれでも攻略できない人が多かった。そのため連日大田出版には抗議と質問の電話がひっきりなしにかかり、疲れ果てた担当者が「担当は死にました」と嘘をついてやり過ごしていたという伝説が近年明らかになった。
    • そもそも上下巻で出ているのも、元々は1巻だけで済ませるはずが、抗議や質問が殺到したため、下巻を出さざるを得なくなったからである。
    • というか出版社に罪はないのでは?
  • このゲームの発売前日、たけしは数名のたけし軍団(彼直属の弟子たちのこと)を率いてあの「フライデー襲撃事件」を起こして現行犯逮捕されており、半年以上芸能活動を停止することになった。ゲームは予定通り発売されたが、CMは自粛する羽目になった。
    • たけしは自らこの事件をネタにして、攻略本の後書きに「これで解けないからといって、間違っても傘と消火器を持って太田出版に殴りこまないように」と書いている。
  • 雑誌「月刊コロコロコミック」にて当時連載されていた漫画「ファミコンロッキー」には、主人公が本作を攻略するというエピソードがあった。
    • この漫画、実際のゲームでは絶対に再現不可能な実在しない裏技が多数登場する事で有名で、本作でも主人公がとあるシーンで危機を乗り越える際に作中に登場しないアイテムを使用していたのだが、それがよりにもよって傘と消火器だった。
  • 発売当時、たけし軍団の面々はよく購入者から街中で「金返せ!!」と罵倒されていたようで、このゲームのように人前で手を上げるわけにもいかず困ったという話がある。
  • CS番組「ゲームセンターCX」第1回のテーマとして取り上げられ、後のメインコーナー「有野の挑戦」の初挑戦タイトルとなった。…公開処刑も同然の企画である。この回ではタイトー、太田出版の担当者との対談が行われ、ゲームの製作に纏わる裏話(先の「担当者は死にました」など)も語られているので、興味がある人は視聴してみるのも良いだろう。
    • その後、リベンジと称してSPの挑戦タイトルに選ばれているほか、「有野の挑戦」やDSソフト『ゲームセンターCX有野の挑戦状』の名前の元ネタになるなど、なにげに深い因縁を持っている。
    • また、『有野の挑戦状』には「こんなゲームにマジになっちゃって…ホンマに嬉しいわ!」という、この作品の悪ふざけを逆手に取ったパロディが用意されている。
  • このゲームの制作に際して、Wikipedia*8では「たけしは乗り気では無く、打ち合わせの際に無茶なアイディアを次々と語り出し、ここまで無茶苦茶なことを言えばゲーム制作は頓挫するだろうと思っていたが、予想を裏切ってたけしのアイディアをほぼ取り入れるような形でゲームが製作されてしまった」(大意)と説明されている。
    一方、書籍「超クソゲー」に掲載されたスタッフインタビューでは「当初は単なる名義貸しゲームが想定されていたが、ファミコン好きのたけしが独創的アイディアを多数提供。実現困難な物も多かったが、たけし自らのアイディアを無碍にボツにはできずに可能な限り盛り込んでいった結果、異例の作品となった」(大意)と語られている。

プレイ動画

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