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新約聖剣伝説 - (2013/05/28 (火) 19:47:27) の編集履歴(バックアップ)
新約聖剣伝説
【しんやくせいけんでんせつ】
ジャンル
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アクションRPG
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対応機種
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ゲームボーイアドバンス
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発売元
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スクウェア・エニックス
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開発元
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ブラウニーブラウン
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発売日
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2003年8月29日
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価格
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5,800円(税別)
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分類
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劣化移植
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ポイント
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原作レイプ 原作のストーリー改悪・設定矛盾 単体で見てもシステムが微妙 ファンによってはクソゲー扱い
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聖剣伝説シリーズリンク
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概要
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1991年に発売されたゲームボーイ作品『聖剣伝説 ファイナルファンタジー外伝』のリメイク。
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開発はブラウニーブラウン。同社は元々聖剣伝説開発チームがスクウェアの意向に反発、独立して興された会社であり、本作は言わば「仲直り」の出発点となる作品だった。
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タイトルから「ファイナルファンタジー(FF)外伝」を外してFF色を減らし、後期の聖剣伝説シリーズの要素を取り入れて作り直した作品。
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原作には登場しなかった、他の聖剣シリーズからのゲストも多く登場する。
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主人公としてヒロインを選択できるようになり、ヒロインの視点で描かれるストーリーが新たに追加されている。
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BGMはGB版同様、伊藤賢治氏が担当したので当作品では比較的評価されている要素。
ストーリー
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ヒーロー(以下主人公)はグランス公国大臣の一人息子だが、同国の公子でありマナの一族の殲滅を行っているシャドウナイトにより両親を殺され(マナの一族であるヒロインを庇ったという理由)、自身は捕らわれて奴隷剣士として生きながらえていたが数年後に逃げ出すことに成功、その後にヒロインとの再開を果たしマナの樹を巡る戦いに巻き込まれていく。
問題点
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原作であるGB版のシナリオ・キャラ設定は大幅に改変されている(概要のリンク先に記載しているストーリーとの比較を推奨)。かつて名シーンであったところがカットされていたりもするため、改悪とみなす人も多い。
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GB版ではウィリーという奴隷仲間の死をきっかけに国を抜け出すのだが、当作品での彼は死なないうえにヒロインと同じ村の出身(マナの一族)という設定も加わった事で、ED直前のヒロインの悲劇を回避できた可能性が出てきたため矛盾を増やす結果になった。
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レスターという青年を助けるために、主人公の元奴隷仲間でレスターの姉でもあるアマンダと一緒にメデューサの血を手に入れるため戦うのだが、その際にメデューサに噛まれてしまって魔物化する彼女をやむを得ず殺すシーンが手動から半手動に。
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また、竪琴を奏でるレスターがいないから、と言う理由で原作ではレスター救出まで完全無音となっていたジャドの街が救出前からBGMを流すように。この点にも不評の声は少なからずある。
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主人公が立ち直るきっかけとなるボガードとの口論やチョコボのサイボーグ化がイベントごと削除
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尤もチョコボは登場自体しなくなってしまったので仕方がないとも言えるが、不必要にシリーズ色をつけてまでチョコボを消す必要があったのかは疑問。シリーズ作である聖剣LOMにもチョコボは出ていたのだが…。
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サブキャラクター「マミーシーカー」関連のシーンも改変されてしまった。
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原作のシーンを解説しておくと、ロボットであるマミーシーカーはダンジョン「ダイムの塔」で仲間として暫く行動するが、塔が崩壊する際に『自分はジャンプできるから』と主人公を塔の対岸まで投げ飛ばして脱出させる。しかし本当はジャンプ機能など無く、主人公に別れを告げて塔と共に沈んでいく・・・という名シーンであった。
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しかし、リメイクに伴ってフィールド上で障害物・段差を回避するためのジャンプ機能が追加され、主人公だけでなくマミーシーカーも躊躇なくジャンプできるようになったためストーリーに変更を迫られる羽目に。
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結果として本作でどうなったかというと、マミーシーカーは「ダイムの塔でしか動けない」という設定に変えられてしまった。原作では印象的なシーンであったため、これについては「『改悪』という言葉すら生ぬるい」と評する人もいる。
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段差のないフィールドにする、かつジャンプ機能を省いておくなどの配慮があれば解決できた問題だと思われるのだが。
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そもそもジャンプ機能自体に意味が薄く蛇足だという評価が強いため、「こんなどうでもいい追加要素のためにストーリーが変更されたのか」との批判は大きい。
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追加のヒロイン視点も、予め原作かヒーロー視点をやっていないと人物や状況が意味不明だったり無理のある展開も多い。しかもヒロイン視点と言える展開はほぼわずか。この程度なら分ける必要などなく、一方その頃…的演出で両方1プレイで見せても十分だったはずである。
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シナリオ担当の生田美和(しょうだ みわ)氏はGB版をプレイしていない事を公言していた(しかも公式のイベントの場で)。
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これは元々「原作のイメージに捉われない」でシナリオを作るというコンセプトからだったようだが、完全新作ならともかく、ファンの多かった作品のリメイクで行われたために不評の声は多かった。
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「リングコマンド」システムの使い辛さ
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元々は次作『2』や『3』でアイテムや魔法の選択に採用されていたシステムを逆輸入したものだが、使い勝手は悪い。元のGB版のコマンドの方がマシとまで言われる。
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『2』『3』のリングコマンドでは開いた最初のページが回復などの道具で、十字ボタン上下でカテゴリ選択を行っていたが、本作では最初のページがカテゴリ選択で十字ボタン上下は使用されていない。そのため、回復アイテムを使うにもリングコマンドを回してカテゴリを選択しなければならず面倒。
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武器や精霊の装備変更もここで行うのだが、本作では頻繁に行う動作であるこれをリングコマンドに含めてしまったため非常に操作が煩雑。
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選択動作の感度が良すぎて、カーソルが行きすぎてしまう場合も。
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武器や魔法に使う精霊の種類は多数あるが、武器は剣(ヒロインは杖)と弓以外は殆ど使わず、魔法も光だけ鍛えれば他は全く鍛える必要がない。
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それ以外の武器の使い勝手が悪いため、比較的普通に扱える剣又は距離を置いて攻撃できる弓しか使わなくなってしまう。
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魔法は最終形として、かなり派手な演出の全体攻撃魔法というものもある。見た目はかなり綺麗で、発売当時はTVCMでもこの演出を売りにするかのように数種の映像を見せ付ける構成だったのだが…
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8匹揃えるまでの作業量が途方もないこと、使えるようになる段階では正直全然恩恵はないこと、さらには8種類あるくせに1プレイで習得できる全体魔法は1種のみ(クラス変更不可なため)というあまりに酷い仕様。演出全て見たければ8周プレイしろ、と言われているようなものである。
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攻撃のテンポが悪い
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ボタンを押して武器が突き出されるのがワンテンポ遅く、オノやモーニングスターとなれば顕著。中でもくさりがまに関しては周囲に振り回して攻撃できるが、ほとんど密接していなければ当たらないほどリーチも短いうえに出も遅いため使い物にならない。
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普通、オノ等の重い武器は基本的に出が遅くて当然なのだが、それに反して威力が高めに設定されている、異様に広範囲に攻撃、敵を怯ませやすい等の利点が備わっていたりするものである。
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が、このゲームではそういった事はなく単に「斬・突・打」の属性の違いのみなので、例えばオノならば同じ属性である「斬」であり扱いやすい剣を使っていればよい。それ以外の武器は障害物の撤去や仕掛けの起動ぐらいにしか使わなくてもよい。
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タイミングよくボタンを押せば3連続攻撃が出せるが、そのタイミングは意外とシビア。タイミングが悪ければ敵から一方的にダメージを受ける。また、連続攻撃が導入されているのも一部の武器のみである。
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草を刈ってアイテムを入手する事もできるが、攻撃のテンポが悪いため、必殺技で一気になぎ払わない事にはサクサク刈れない。
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しかもアイテムを入手して出るアイテム名のテロップも消えるのが遅い(約1秒。これが意外と長く感じる)。自然に消えるまで動く事さえ出来ないのでイライラする。
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GB版で主人公と一時的に戦ってくれたNPCの面々が、当作品では主人公と同じ操作キャラ扱い(プレイヤーが操作しないときは自動で動いて戦う)になっているのだが思考CPUが馬鹿すぎるのか、すぐに死亡する役立たず仕様にされてしまった。
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敵を倒すと宝箱が出るのだが、中盤以降は確実と言っても良い位の割合で罠が発動し、敵の攻撃よりこっちで怪我をする事が多い。
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やり込み要素が増えたのだが、終盤のストーリー仕様が変わっていないため(ラストダンジョンに入ったら今までの場所に行けなくなる)収集する気が削がれる。
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GB版はいつでもセーブ出来たが、当作品ではセーブポイントでしか出来なくなり退化している。
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セーブポイントは『聖剣伝説3』にあやかってマナの女神像にしたのだろうが、携帯機ならばせめて中断セーブかスリープモードぐらいはつけるべきだったかもしれない。
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能力に素早さが追加され、敵の攻撃を受けても確率で回避できるようになったが、こちらも素早さを上げていないと攻撃が殆ど当たらなくなってしまう。
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主人公はレベルアップ時の成長パターンに気を使うことで問題は回避できるのだが、仲間はある程度のバラつきはあるものの基本は固定成長なため、後半では存在価値がなくなってしまう。
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レベルアップした時に成長パターンを選ぶのだが、最初のレベルアップから同じパターンを選び続けることで選択したものに応じて装備品がもらえる。それ自体は問題ないのだが、50回(最高レベルは99)とかなりの回数になるため、狙う物によっては難易度に大きな影響がある。
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また、同様にパターンの選択回数でクラスが設定され、魔法や武器攻撃にボーナスが発生するのだが、装備品を狙うと一部のクラスが取得できなくなってしまう。
総評
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単体としては「劣化リメイク」の域を出ないが、無理矢理搭載したシリーズ独自仕様や、必要があったとは思えないストーリー改変など、上記の展開が災いして原作経験者からは批判が噴出、聖剣ファンに大きな不信感が出来始めてしまった。
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「新約」の名の通りリメイクではなく新作として単独で見た場合も、やはりゲーム的に粗が多く目立った出来となってしまっている。
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「原作のイメージに捉われない」という建前であるが、次作以降の聖剣シリーズのイメージには無駄に捉われており、結果、原作の持ち味は一気に失せて、新作としても中途半端すぎるという残念極まりない結果に終わっている。
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あまりにも別物になったため、「新約」と混同しないように明確に区別するため原作を「旧約」とする呼び方も広まった。
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本作の出来を反省してか、その後に原作を忠実にカラーリメイクした携帯アプリ版が配信された。
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今思うとこのソフトこそが、スクウェアの看板シリーズがわずか3年で地に落ちるという、聖剣転落シーズンの幕開けだったかもしれない。
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なお、本作のシナリオを手がけ顰蹙を買った生田美和?氏は元スクエニ社員(本作の時点で独立している)。その後小説執筆や『FFXII』『黄金の絆』のシナリオなども手がけている。
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彼女の手がけた『サガ フロンティア』や『聖剣伝説LOM』のシナリオを本作以後に叩くプレイヤーもいたが、それらは元来評価が低いわけではなく、所謂「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の類である。
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ただこの両作はゲームシステムの面白さや演出に助けられた部分も強く、シナリオ単体で見ると唐突なラスボス展開や打ち切りENDを筆頭とした消化不良も多い。新約の出来以前の問題として、好き嫌いがはっきり分かれていた部類なことに注意されたし。