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ラブクエスト - (2010/01/06 (水) 14:54:26) の編集履歴(バックアップ)


ラブクエスト

【らぶくえすと】

ジャンル パロディRPG
対応機種 スーパーファミコン
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発売元 徳間書店インターメディア
開発元 徳間書店インターメディア(元版)、シーラボ(SFC版)
発売日 1995年3月17日
分類 バカゲー・奇ゲー
ポイント キャラクターデザインに弓月光が関わっている

概要

徳間インターメディアが突然出した、恋愛をテーマにした現代RPG。2010年現在も活躍する青年漫画家の弓月光氏がキャラクターデザインに関わっている。
結婚式の途中で煙のように消えてしまったフィアンセを追い、マザコン青年な主人公が東京中を駆けずり回るというあらすじである。
フィールドが存在せず、実在する日本の都市(下北沢、新宿など)を中心にゲームが進行していく体裁をとっており、若干マザー2に近いが、寄り道スポットは殆ど存在しない。

元はファミコン用で社内開発をしていたが、ファミコン末期にまで制作がズレ込んだことなどを理由にマスターロムまで上がりながら開発打ち切りが決まり、元開発チームの解散後どこかの下請けに丸投げにされる形でスーパーファミコンに移植された、という経緯がある。参考証言
結果『クロノ・トリガー』(1995年3月11日)と同年同月に発売されたが、明らかに怪しいこのタイトルが売れるわけもなく見事に爆死した。

下請けに相当やる気がなかったようで、グラフィックはファミコンのマリオ3並の時代遅れっぷりを発揮している。またRPGとしてみれば戦闘バランスは大崩れしておらず意味不明な謎解きもない。
操作性がやや悪めの凡作以上にならない存在である…のだが。

特徴

しかし、システム、セリフ、シナリオの全てから漂う、狂気にまで踏み込んだバカさ加減により、後年「がっぷ獅子丸の悪趣味ゲーム紀行」などゲーム雑誌のバカゲーコーナーにて紹介され、その価格がプレミア並に跳ね上がったという経緯を持つ。

システム

  • 何と敵は「欲求不満の女の子」であり、ランダムエンカウントでいきなり(複数で)絡んできては誘惑したり愚痴ったりして主人公のHPを削っていく。
    • そんな女の子たちから身を守るために、主人公は口説いたりおさわりしたりして彼女らの不満を解消しなくてはならない。
  • そんな戦闘なので、防具は街のブティックで買える服や靴だが、武器は女の子を口説くための「クチ」である。
    • もちろんそんな物を扱う店など存在しないのだが、何故かイベントでNPCがくれる。どうやって持ち運んだり装備しているのかは全くの謎。イベントに合わせて口説きのテクが巧くなる、ということなのだろうか。
  • 直接女の子を口説くのは主人公だけだが、頼めば仲間の女の子が代わりに敵のアプローチを受けたり、主人公を応援してHPを回復させたりしてくれる。ただし戦闘に参加するたびに機嫌が悪くなるが。
    • ちなみに、仲間の女の子はイベントなどで会話するたびに約2画面分の全身ビジュアルが表示される。 これが本作の戦闘システム、「ラブアタック」である。ただし見てくれこそぶっ飛んでいるがやってることはただの戦闘であり、属性とかマスクパラメータとかの複雑な内部データがどうこうするような代物ではない。
      ある意味『ラサール石井のチャイルズクエスト』での戦闘に当たる「営業」と似たようなもの。孤独な戦いではない分チャイルズよりマシと言えるが。
      また、エンカウント率は気持ち高いようだが、気にするほどではない。

ちなみに、このゲームにおける通貨は「円」なのだが、ゲーム中の最小単位は「1万円」であり、貨幣価値が暴落しすぎている。ゲームとしてみても物価のバランスは少しおかしく、回復アイテムのコストパフォーマンスは上位のものになるほど極端に悪くなる傾向がある。あと不用品を買い取ってくれる人はいない。

セリフ・テキスト

はっきり言うが、戦闘システムが普通に見えるくらい狂気度が振り切れている。

  • 子供曰く「昨日パパとママが合体した」とか、妙齢のOLがいかがわしい悲鳴をあげながら肩もみを要求するとか普通に出て来る。
  • 「ここでのレベル上げは禁止になりました」と語る下北沢の住人。実際最初の街である下北沢に通常ザコはいない。
  • 同じ下北沢で主人公に、「キミどこかで村人Aとして出てなかった?」と問いかける人。メタな会話をするのは止めて。
  • 「このセリフは非常にワイセツなものなのでカットになりました」「このセリフは警察の方に注意されました」と、中の人のお詫び文だけを話すNPCがいる。
    • 本当に用意していたブラックネタの半分以上が任天堂からNGを出されたらしい(『悪趣味ゲーム紀行』単行本より)。
  • そしてひたすら自分『ラブクエスト』を卑下する奴ら。
    • 駅前にいるオタクの口を借り、自分で自分の戦闘システムを「結局ただの戦闘じゃん、つまんないの」
    • 占い師の呪文が「ラブラブーーっ、クエストーーーーっ、クソゲーーーーっ!!」
    • あるイベントの後「シナリオライターのせいでこのゲームがつまらなくなってごめんなさい」とテロップ。
    • 某ゲーム雑誌のレビュー風に本作を批評し、2点とか1点とか非現実的な点をつけていく雑誌編集員たち。 もう全編こんな感じである。

シナリオ・イベント

テキストがズレているのだからゲーム展開がおかしくないはずもない。イワタカヅト氏が手がけたシナリオは無秩序、非常識な展開の連続である。

  • オープニングイベントで「婚約者を捜しに行くか」という問いかけを4回拒否すると、(ゲームオーバーではなく)スタッフロールつきのエンディングになる。類似ネタのあるギガゾンビの逆襲もびっくりである(あちらはスタッフロールが流れない)。
    • しかもその内容が「開始5分でクリアして売りに来た客が多すぎて、本作の中古価格が暴落した」という自虐極まりないもの。現在は逆に高騰しているが。
  • 最初にラブアタックする相手が、ダンナの浮気のせいで怒り心頭に発してるオバタリアン。フィアンセと同じ名前なので会いに行ったら八つ当たりされた。
  • 新宿で「ゲームの裏技を教える」と騙され、ボッタクリバーで全財産と婚約指輪を奪われた上に「返して欲しければ500万円出せ」と言われ、ラブアタックで500万貯めることを強要される。
    • しかも服も没収されてパンツ一丁のため、店が利用できない。
    • 最初に500万以上持っていても没収されてさらに500万円稼がなければならない。
    • さらに何の有益な情報も得られず今後の伏線にもなりえない(ボッタクリ店のホステスと忘れた頃に出会うぐらい)、ほぼただの足止めイベント。
  • 仲間になってくれる女の子の重い肩凝りを治すために、浪越ならぬもみこし氏に指圧の技を師事するが、もみこし氏は技を授けると力尽きて白骨化する。
    • でも白骨化したくせに後ほどカラオケ屋で見かけたりする。
  • 「月で挙式する」という無謀極まりない夢のために極端な地上げで周辺住民を苦しめる女不動産屋。
    • 最終的には紙で出来た満月を手に本当に月へと旅立ち、そして死ぬ。しかも、いよいよフィアンセのもとに乗り込むという直前のことでシラけさせてくれる。
  • 外国人と遊んだ女の子が車型の怪物「イエローキャブ」となって襲い掛かってくる狂気の六本木。
    • 当時家田荘子氏が、アメリカの日本人女子留学生を描いたルポを『イエローキャブ』と命名したことで微妙な問題が発生していた。
      だが一番マズいのは、その誤解をかなり露骨にネタ化した本作かもしれない。
    • ちなみに「イエローキャブ」というタクシー会社がアメリカに存在する。
  • 「たま」と「かぎ」を取られた江戸っ子が「やー、やー」としか言えないフヌケと化したため、花火大会が出来なくなった浅草。
    • 真面目に言うと、「たま屋」「かぎ屋」というのは花火を打ち上げる時の有名な掛け声で、それが取られたせいで掛け声を上げられなくなった、ということ。
    • 花火に反対しているのは浅草の婦人会だが、彼女たちはどうあっても花火を阻止すべく、自分の排泄物で浅草一高いビルを占拠するという最終手段に出てしまう。しかもその巨大排泄物がダンジョン化していて、主人公は人助けのため潜り込むことに…。
  • ラスボスが「本来のネタが没になったせいでポッと出キャラになってしまった」と身の上話してくる。
  • なぜ、花嫁が主人公の前から姿を消したのかと言うと、(反転)「 自分が失踪して捜してくれる前の主人公は経験値もお金もなくて、一緒にやっていけるか不安だったから 」。
    • これは膝を打つべきなのかふざけんなと言うべきなのか。

だが、一見ふざけたイベントのオンパレードに見えても、失踪した花嫁を追ううちに彼女の真意に少しずつ迫っていく、最初「好きなタレントはママ」と自己紹介するくらいマザコンだった主人公が最終的には彼女の制止を振り切って最終局面へ向かう、といったシナリオの骨組の部分は決して破綻しておらず、それなりに燃えさせてくれる(ヒドい茶々が入るが)。

自虐ネタと奇をてらい過ぎた展開に目が回りそうになるものの、グラフィックが寂しいところを除けばゲームそのものだけは無難な完成度に収まっている。
これでテキストも無難だったらスーファミの数ある凡作としてソフトカタログでしか見かけない名前になっていたところを、上記のありようのためにスーファミ製バカゲーの一等星として語り継がれる一本となった。
下請けが「やっちゃった」部分と、シナリオ担当の「やってやった」部分とが互いに殺し合うことなく妙な味を発揮している、稀なバカゲーでもある。