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ラサール石井のチャイルズクエスト - (2012/09/14 (金) 23:47:00) の編集履歴(バックアップ)


ラサール石井のチャイルズクエスト

【らさーるいしいのちゃいるずくえすと】

ジャンル RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売・開発元 ナムコ
発売日 1989年6月23日
価格 5,500円(税別)
分類 バカゲー判定
ポイント 変な敵キャラが盛りだくさん


概要

  • 実在したお笑いアイドルグループ「チャイルズ」とのタイアップで生まれた、若干誰得なタレントRPG。
  • プレイヤーはチャイルズのマネージャーとなって地方回りでファンを獲得し、コンサートを行って金と人気(経験値)を稼いでいく。
    • 現実でのチャイルズもあまり人気のないマイナーなアイドルグループだったが、ゲーム内でも売れないグループということになっており、プレイヤーは大抜擢と称して体よくお荷物を押し付けられる羽目になる。
  • 最終的な目的はときお公会堂でのコンサートを成功させること。そのためには全国各地でのコンサートを成功させ、チャイルズをスターの装備で固めねばならない。

特徴

  • FC時代には珍しい、近代風の世界観を持っている。さしずめ日本版『MOTHER』といった感じ。
    • 舞台のほとんどは日本であり、「なむこしデパート」や「ふにふにテレビ」、果ては「ニャムコ本社*1」など、実在する社名や地名のパロディが続々登場する。

ゲームシステム

本作では、チャイルズを売り込んでファンを増やすことが目的であるため、一般的なRPGにおける文法やコマンドの名称は独特なものに置き換えられている他、本作独自のシステムも多々ある。

営業/よいしょ画面

本作では戦闘画面のことをよいしょ画面という。遭遇する敵は全て一般人*2であり、道端でバッタリ鉢合わせしたチャイルズ一行に向かって罵詈雑言の限りを尽くしてくる。これにマネージャーが立ち向かい、うまく立ち回りつつ彼らをよいしょして持ち上げていい気にさせ、チャイルズのファンに引き込むという按配。このシステム設定に合わせ、戦闘時のコマンド名称は独自のものに置き換えられている。

よいしょ 攻撃。相手におべっかを使ってダメージを与える。
たえる 防御。相手の罵詈雑言に耐える。
マ法 魔法。MPを消費してマ法*3を使う。毒状態だと使えない。

…他「どうぐ」「にげる」コマンドは従来と同じ。

  • 本作独自の要素として、相手の攻撃を耐えるだけでも戦闘に勝利できる点がある。
    • 敵が襲い掛かってくるのはストレスを溜め込んでいるからであり、罵詈雑言をひたすら聞き続けて相手のストレスを解消してあげることで、ルンルン気分でチャイルズのファンになってもらえるという寸法である。
    • 登場する敵にはHPと防御力の他に、ストレス度、エッチ度、毒攻撃の確率がA~Eの5段階でマスク設定されておりEに近付くほど値が高くなる。
      • ストレス度……敵のストレスの度合いを示し、高いほど耐えるだけでは勝ちにくい。
      • エッチ度……セクハラ攻撃でチャイルズのメンバー1人のフマンドを上昇させる確率の高さを示す。
      • 毒攻撃率……毒のある言葉で毒状態にしてくる確率の高さを示す。
  • 戦闘が勝利するとおかねとにんき(経験値)がもらえ、一定値に達するとレベルアップしてチャイルズの「みりょく」値が上がる。
    • ちなみにマネージャーの基礎パラメーターは「マネージャー度」、チャイルズのパラメーターは「スター度」として別個のものとして扱われているが、チャイルズの「みりょく」値はチャイルズのコンサートイベント(後述)の成功率に関わる他、マネージャー自身のよいしょ力(攻撃力)に直結するなど、不可分のものとして成立している。
      • なお、ゲーム中の装備品は全てチャイルズのステータスを上げるためのもので、マネージャーの装備は存在しない……というか、一応存在はするが何かと馬鹿げた理由をつけられて結局入手できない。*4
  • ちなみに営業の矢面に立つのはマネージャー1人であり、DQI形式のタイマンバトルで敵と戦う。
    • チャイルズは戦闘に参加することもサポートすらもしてくれることはなく、ひたすらお荷物扱い。しかも戦闘中はHP回復以外の補助マ法は使えないため、エッチ攻撃でフマンドを上げられると非常に厄介である。

マ法一覧

かんちょ 回復マ法。
でかんちょ かんちょの上位マ法。
どでかんちょ かんちょ系の最上位マ法。
ぺこ 攻撃マ法。通常よりも強めのよいしょをぶちかます。
ぺこらま ぺこよりも更に強めのよいしょをぶちかます。
しいここ 補助マ法。チャイルズの尿意を3人一度に消し去る。
でふまん 補助マ法。3人のフマンドをまとめて0%にする。
わあぷ 補助マ法一度いったことのある場所へワープ。いけない場所もあり。

フマンドシステム

フマンドとは不満度、つまりチャイルズの機嫌を表わすバロメーターである。*5初期値は0%から始まり、特定の要因によって上昇。誰か1人でも100%に達すると営業失敗となり、スタート地点の三井光三オフィスに強制送還されてしまう。しかも、100%になったキャラは激怒してオフィス地下のダンジョンにある無数の部屋の内のどれか1つに引きこもってしまい、探し当てないと営業の旅に復帰できない。非常に厄介なシステムである。

  • フマンド上昇の要因
    • レベルの高さに見合わない安さのホテルの部屋、レストランのメニューを選択。一定以上のレベルでデパートのトイレを借りる。
      • 無条件で100%に到達。
    • 尿意を催したキャラを放置したまま歩く(歩くごとに1%ずつ上昇)
      • デパートでトイレを借りるか、アイテム『かみおむつ』またマ法『しいここ』を使う*6
    • 敵のセクハラ攻撃を受ける(上昇の割合が最も高い)
      • フマンドの解消のためにはレストランで食事を取るか、マ法『でふまん』を使う。でふまんを覚えてない内はレストランを利用することになるが、前述のようにくれぐれも安すぎるメニューを選ばないよう注意が必要である。

営業/コンサート&キャンペーン

ゲームの最終目標はときお公会堂でのコンサートを成功に導くことである。その際に挑むことになるのがライブイベントであり、ときおホールでのライブの前に日本各地の全6ヶ所の公会堂でのコンサートを制覇しなくてはならない。その道中でときお公会堂でのライブに必要な「スターの装備」を揃える事で、ときお公会堂でのライブに挑めるようになる。開催には会場の使用料を払わなくてはならない。
また、デパートで屋上でのキャンペーンを開催することも可能。いわばコンサートに向けた予行演習の場であり、会場の使用料も無料で難易度も低い分、持ち時間は短く設定されている。

コンサートやキャンペーンではコマンド選択によってチャイルズに指示を出して持ちネタをうまく組み合わせて演じさせ、聴衆の受けを取らなくてはならない。拍手喝采させれば成功とみなされ、コンサートではチャイルズのレベルがアップしキャンペーンではおひねり(お金)がもらえる。聴衆を満足させられないまま時間切れになると失敗と見なされ、石井オフィスに強制送還される羽目になる。

  • 3つのコマンド
    トーク 当たれば大ウケな反面、全くウケない上に時間の大幅なロスに繋がる「つうこんのどっちらけ」を出す確率も高く、賭けの要素が強い。
    コント・うた 安定してウケを取れるが、何度も同じネタを選択するとすぐに飽きられる。歌に関してはレベルアップによって持ち歌が増えていくが、イベントで登場する作曲家「つづみぎんぺい」から提供されるようにもなる。

長所

  • 現代日本版『MOTHER』的な世界観にくだらないセンスのギャグと既存RPGへのパロディをちりばめた独特な世界観、そして後にも先にもないであろう、独創的な育成システム。
  • BGMも何気にいい。スタート地点であるトキオ周辺のテーマ曲とそのロング版となるエンディングテーマは特に必聴。
    • ちなみに本作のBGMのボーカルアレンジ曲「花のチャイクエ音頭」と『レベルアップ!ときめいて』が、ナムコゲームミュージックのアレンジアルバムに収録された。歌はもちろんチャイルズの3人。
  • 所々に芸の細かい設定がなされている。
    • 「はわい」での営業(戦闘)の際、外国人が相手だと英語が話せないのでよいしょでダメージが与えられず*7、英語が理解できないので相手の罵詈雑言でダメージを受けないというバカバカしい展開に。
    • アイドル水泳大会に優勝して重要アイテムを手に入れるイベントがあるが、レベルが低い時に優勝すると「(人気の無い)君達が勝っちゃってどーすんの」と怒られ失敗扱いになる(ペナルティは無く、再チャレンジも可能)。

短所

  • セーブがパスワード方式(年代的にバッテリーバックアップがほぼ標準な時代)。ただし、32文字とDQIIほど長くは無くフォントも判別しやすい。
    • パスワードで再開する時もなぜかいちいちネーム入力をしなくてはいけない。
  • エンカウント率が高い*8
  • 次に何をどうすればいいのかわかりづらく詰まりやすい。「奥様講座」で一応ヒントは聞ける。
    • 後述の「音感クイズ」もそうだが、物語進行に必須な情報であるにも関わらず、いったいいつどこで役に立つのかわからないヒントを話す人物が多々いる。
  • 理不尽な謎解きが存在する。
    • 「いぬもにあ」での天空の城行きのクイズは一度でも間違えるとスタート地点送りにされる。その上ワープできないので近くまで行き、歩いていかなければならない。
    • 「音感クイズ」と称し、鳴らされる電子音を聞いた後に「なんという言葉を喋ったのか当てる」というもの。もはや音感って問題じゃねえ。
      • 一応、この音感クイズは別の場所にヒントを話してくれる人が何人かいるのだが、その人についての情報提供は一切ない上にヒント自体も極めてわかりづらい。
    • 「かめのこうら」を手に入れるイベントが非常に面倒。離れ小島に住む人から「亀予想」という亀の大まかな出現位置を聞き、その地点に到着するとさらに亀はどこに浮かんでくるかを当てるミニゲームを行う、というイベントなのだがどこに浮かぶかは完全にランダムな上に外すと再び「亀予想」を聞くところからやり直しである(大まかな出現位置も毎回変わる)。運が悪いと延々とこれの繰り返しを余儀なくされてしまう。
  • アイテムが6個しかもてない*9
    • ただしチャイルズの装備品、七つのオイルは別枠に入るので圧迫しない。
  • 売却というシステムがない。装備品を購入すると古い装備は処分されてしまう。
  • 「毒」が非常に厄介。
    • 頻度の差はあれど、大半の敵が使用してくる。
    • 基本的に解毒アイテム「まんぼドリンク」を使って治すしかない。ただでさえアイテムは6個しか持てないのに解毒アイテムを数個常備しなければならないのである。
    • 「マ法が使えなくなる」という、効果が一般的なRPGのそれと異なる為*10に慣れないプレイヤーは混乱しがち。
    • ちなみに死んでも治らない
  • 全体的に投げやり感の漂うシナリオ展開。
    • 物語終盤で『実はチャイルズの3人は 生き別れた三つ子の姉妹で石井光三社長の隠し子だった 』という驚愕の真実が判明するという超展開。いくらなんでもアイドルタイアップのゲームでそれはどうなの…。

総評

当のチャイルズ自身、当時はマイナーで人気がいまいちなグループであったため、彼女らの売り込みもかねてのタイアップだったと思われるのだが、内容からしてこれである。実際のところ、現実の彼女らを知っている人はどれくらいだったのか、知らない人にとって、このゲームがいったいどういう風に映ったのか、そして彼女ら自身がこのゲームをどう思っていたのか、今となっては知る由もない。

しかし、クソゲー呼ばわりされることがほとんどのゲームではあるものの、根本的なゲームシステム面だけを見てみれば、RPGのシステムの枠組みの中でアイドルを育成するという、他に類を見ないなかなか独創的なシステムであり、既存のRPGへのパロディ要素と相まって独特な個性が光っている。難易度自体もそう難しいものではなく十分バランスが練られており、少なくとも佳作の部類には入る出来。マイナーな実在アイドルグループのタイアップという路線や、おふざけとパロディに終始したギャグコメディ的世界観とシナリオ、システム周りの独特さは人を選ぶものの、ただバカゲー・駄作と切って捨てるには惜しい作品である。キャラクターから萌えや媚びといった色を排除し、かつストイックなゲーム性を備え持った点は、ジャンルは違えどまさにTHE IDOLM@STER先駆ともいえる作品であろう。

余談

  • サブタイトルにラサール石井の名があるものの、彼自身はチャイルズをプロデュースしただけで本作の企画・開発には一切関与していないが、TVCMではマネージャー役で本人が出演している。
  • 2006年に発売された任天堂のRPG、MOTHER3のラストバトルの攻略方法が本作と殆ど同じなため、この作品がフラッシュバックしたユーザーも居たらしい。
  • 実はこのチャイルズにはタレント磯野貴理子が在籍していた(当時も現在も石井光三オフィス)。むしろ、貴理子以外のメンバーを今日のテレビで見かけることは皆無である。
  • 流石に終盤の超展開はフィクションだが、「チャイルズ」の名前の由来などOPでの紹介はいくらかは事実である。極端なものでは『「きりこ」が19歳なのに二十歳の妹がいる』も事実である。*11
  • 双葉社から出版されたゲームブック版では、ラスボス戦でのある攻略法を最初に実行すると無効化されてバッドエンドというFC版プレイヤーに対する罠が用意されていた。
  • パスワードの裏技の語呂合わせに、チャイルズ3人はかわいいという自画自賛(?)があったり、赤いきつねも消費税3%ついてるという当時としてのネタが仕込まれていたりする。赤いきつねは源平討魔伝(FC)?で緑のたぬきと共に敵キャラとしてネタにされている上に消費税に至っては当時、導入されたばかりだったのだ。
  • 一部のキャラは有名タレントのパロディー化させたものも存在するが、ナンパ野郎という敵キャラが田代まさしそっくり。確かに、あるゲームでもあんな感じだったのでうなづけるキャラクター性はあるが…。しかし、今となってはシャレにならなくなってしまった。