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グレート魔法大作戦 - (2013/05/24 (金) 11:17:11) の編集履歴(バックアップ)


グレート魔法大作戦

【ぐれーとまほうだいさくせん】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード(CPシステムII)
発売元 カプコン
開発元 ライジング、エイティング
稼働開始日 2000年
分類 ゲームバランスが不安定
ポイント 自機の攻撃力低すぎ
かなり空気な属性システム
自機性能克服のための難解な稼ぎがクリアに必須
後半ボスの弾速が凄惨

概要

『魔法大作戦』『疾風魔法大作戦』に続く、魔法大作戦シリーズ3作目の作品。
地底からの攻撃を仕掛けてきた地底ゴブリン達に多額の賞金が設定され、賞金稼ぎたちが戦いを挑むという設定の縦スクロールシューティングゲーム。

  • 本作はカプコン外注作品群「カプコンパートナーシッププロジェクト」の一環として作成された。カプコンの名基板CPSIIを使用した縦シューティングゲームである。
    • ライジング開発にもかかわらず、カプコンの隠しアイテム(ホルスタインやモビちゃん等)も登場。

システム

8方向レバー+2ボタン(ショット、超魔法ボンバー)で操作。
全6面、1周エンド。(設定によっては2周エンドやエンドレスにもできる)

  • 本作の特色はショットボタン押しっぱなしによるエレメンタルチャージ(属性変化兼「おたからゲージ」上昇)、エレメンタルバースト(溜め撃ち)の存在が挙げられる。
    • 溜め撃ちで倒された敵は、その時の「おたからゲージ」によって価値の違う「おたから」(得点アイテム)を出す。同種のアイテムを全て取得すると以後、取るアイテムの得点に倍率がかかるようになる。
      • アイテムの1カテゴリーをコンプリートすると、コンプリートを達成したカテゴリにより「攻撃力アップ」「移動速度アップ」「当たり判定」などの地味ながら莫大な恩恵が受けられる。
    • 敵によって出るアイテムの種類は異なるので、アイテムコンプリートのためにはどこの敵がどの種類のアイテムを出すか把握する必要があり、さらにエレメンタルバーストのレベルをなるべく上げて雑魚を倒す必要がある(「敵を倒した瞬間の溜め撃ちレベル」によって出るお宝のレベルも決まるため、高いレベルで解放したほうが一度の溜め撃ちで出現させられるアイテムの種類を稼ぎ易い)。
  • 全ての自機と一部の敵には属性が設定されている。属性と聞くと『斑鳩』を思い出すが、開発・稼動はこちらの方が先である。属性は赤の「クリムゾンファイア」という炎属性、青の氷属性「エメラルドアイス」の2種類。
    • 「赤属性」と「青属性」は互いに相反し、異属性同士の場合は攻撃力と入手得点が2倍、同属性同士の場合は攻撃力と入手得点が1/2となる。

内容

属性フィーチャーはあまり活かされていない。

  • インストカードに「攻めたい時は異属性、守りたい時は同属性」という趣旨の事が述べられているが、本作は『斑鳩』とは違い、同属性弾に当たるとパワーダウンしてしまう。
    • しかもパワーが最低レベルまで落ちるとサブウェポンが撃てなくなり、チャージも出来なくなる(溜め撃ちや属性変更も不可)。攻撃面で非常に苦しくなる。
    • 同属性のサブウェポンで相殺はできるとはいえ、同属性弾にも無闇に当たることは許されないことになる。むしろ異属性で攻撃力を上げてさっさと敵を片付けたほうが有効な場面のほうが多い。
  • それに、敵弾の大部分は属性弾(炎や氷)ではなく、黄色く光る「無属性弾(仮)」。自機の属性に関わらず当たるとミスとなり、属性が無いのでサブウェポンで相殺する事も不可能。
    • 雑魚敵でさえこうなのに、ボスキャラともなるとこの無属性弾を大量に撃ってくる。この事が、このゲームをクリア不可能な程ではないにしろ激ムズにしてしまった感は否めない。

ゲームの難易度はかなり高い。2面以降は、弾速や弾の量がぐっと厳しくなる。

  • 全体的に中型機、ボス敵の耐久力がかなり高く、パワー型の呪術師「グリムレン」の溜め撃ち「スカルハーケン」でないととてもじゃないが倒しきれない。
  • 5面ボス・ケルベライザーとラスボス・ガン=メンは特に弾の量も弾速度も尋常ではない。近い時期の『怒首領蜂大往生』や『ドラゴンブレイズ』の2周目と比べてもひけをとらない極悪な攻撃の前に屈したシリーズファンは多い。
    • 特にラスボス・ガン=メン最終形態における「シューティング史上最も楽しくない弾幕」と称される地味に避けさせる気ゼロな攻撃は必見。近距離からの等間隔全方位超高速弾は、全一級シューターにすら残機押しとボム押しを強いる。

また、自機の性能にも一癖あるものが多い。そして機体のバランス面の調整に関しても大いに疑問が残る。デフォルトで選択できる4機+隠しコマンド入力で選択できるようになる4機の合計8機だが…

  • スピード型の竜人「ミヤモト」は移動速度があまりに速すぎて敵弾を避けづらい。ただ、ミヤモトが速過ぎるのはシリーズの伝統でもあるため、過去作に忠実な仕様と言えなくもない。
  • 最初からカーソルが合っている魔術師「カルテ」は、「FOR BEGINNER」と書かれている割に、攻撃力があまりに低く(中盤以降のボス敵は大抵倒せずに逃げられるほど)、厳しい避けを長時間強要されるためにランクも上がりやすくクリアは難しい。何が「FOR BEGINNER」なのか全く理解出来ない性能である。
  • 一方、隠し機体の「バースディ」はエレメンタルチャージ「地獄の電ノコ!」の威力がやたら強い。はっきり言ってクリアを目指すならバースディ一択である。
  • なお、キャラごとに演出の差異は無い。
    • 『初代』、『疾風』ではステージクリア時キャラクターの台詞が入ったり、『蒼穹紅蓮隊』、『バトライダー』ではキャラごとにエンディングが違っていたが、本作では一切なくなっている。キャラやステージごとの裏設定はしっかり用意されていたのに、残念でならない。

そもそも自機の基本性能が低すぎる。自機性能は「おたからシステム」で全アイテムコンプリートが前提と言って良い。

  • 難解極まる稼ぎを強要する事には重大な問題があるし、そもそもゲーム性を根底から変えてしまうほど基本性能が下がった状態からゲームを始めさせる事にはアーケードゲームの態度としても疑問を禁じ得ないだろう。
  • また、公式サイトにおいては「稼がなくても普通に楽しいけど、稼ぐともっと楽しい」というような、初心者は適当にプレイ・上級者は神経質に稼ぎを実行…という近年のシューティングの基本を押さえたような言い回しがあったが前述の通り真っ赤なウソである。稼がないと自機の基本性能が低すぎ、初心者の腕ではまともに進めず、そもそも点数が足りずエクステンドもしてくれないためである。

初代『魔法大作戦』の本山淳弘が手がけたBGMは名曲揃い。セルピュータレーベルのサントラCDが出ている。 ただし、SEの大半は直前作品『バトルバクレイド』の流用。本作にもマッチしたSEであるため問題はないのだが、ライジング内部のゴタゴタを感じずにはいられない部分だろう。

総評

本作は溜め撃ちによって敵から様々な種類の「おたから」(得点アイテム)を出して集めまくる、炎と氷の属性を切り替えて敵に効率よくダメージを与える等の新しい試みがなされた意欲作で、稼ぎと攻略を両立させたパターンの構築は熱いものがある。但し、上述の調整不足による取っつきの悪さや、色々変な方向に走りすぎて消化不良との声もあった。 本作は結果として魔法シリーズ最後の作品となってしまった。同年リリースされた『1944 THE LOOP MASTER』も難易度の高騰、とっつきの悪さが目立ち、本作同様初心者離れなどが原因となったSTGの衰退の流れに巻き込まれていった。

  • ライジングも2000年10月1日、エイティングに吸収合併され解散した。
  • そのエイティングも現在は業務用ゲーム部門から撤退し、現在は携帯電話用コンテンツの運営・アプリケーションの開発と家庭用ゲームの請負に場を移している。

余談

かつてアルカディア誌では好意的な意味でよくネタにされていた(「ゲーム検定」と称したクイズ集ではほぼ毎問このゲームのキャラ名等が使われていた)が、何年も前のある号で「(要約)初心者を完全に排除したゲーム性の時点で商品失格だ、こんなのが受けるようではシューティングゲームに未来は無い」という、このゲームを激しく糾弾する投稿が載って以来、もう二度と同誌に記事や投稿イラスト、その他が載る事は無くなってしまった。

  • もっとも、その後もこれなんかよりずっと難しい無理シューも多数出現し、逆に初心者向けのシステムを搭載したものも多く出ているおかげで、幸いにして未だプレイヤーと開発者のシューター魂が潰える気配は無いが。
  • 皮肉にもカプコンから販売された次回作は、本作以上にクセが強く初心者排除な『マーズマトリックス』(開発:タクミコーポレーション)であった。
    • マーズマトリックスはパワーアップなしでも自機性能が非常に高いため爽快感という点では問題ない。ただし自機性能にとてもクセがある点では共通している。