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ムーンライトシンドローム - (2012/05/28 (月) 23:44:20) のソース

*ムーンライトシンドローム
【むーんらいとしんどろーむ】
|ジャンル|アドベンチャー|&amazon(B000069SUV)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|ヒューマン|~|
|発売日|1997年10月9日|~|
|定価|6200円|~|
|分類|''&bold()賛否両論ゲー&br特定ファンにとって黒歴史''&br|~|
|ポイント|レギュラー皆殺し&br()全体的に電波&br()全体的に意味不明|~|

**概要
名作ホラーアドベンチャー『トワイライトシンドローム 探索編』『同・究明編』の後に発売された外伝的作品…~
なのだが、前作とジャンルが変わったために戸惑った前作のファンがアンチと化し、クソゲー扱いされている不遇な作品である。

-登場人物は引き継がれているものの主人公が異なる。その上キャラの性格が、どうしたことか全員かなりイヤな方向にねじ曲がっている。
--悪質な噂を流すことを躊躇しないミカ、クール通り越して人形のようなユカリ、路上で詩集を売ってたりする電波系のチサト。~
特にチサトは、霊感少女から超能力少女にクラスチェンジしている。それも人間を瞬間移動させられるほどの。
--舞台となる町の漢字表記が違うことから、トワイライトシンドロームのパラレルワールドと解釈されることが多い。
---前作でキーとなった旧校舎が解体されるシーンから始まるというのも、前作ファンにしてみれば複雑だろう。
--トワイライトが怪談系ホラーなら、こちらはサイコホラー(いわゆる電波系)ストーリー。~
なお、パッケージは前作トワイライトについて一切触れていない。

**問題点
-&bold(){真っ当なゲームとは言い難いシステム}
--前作に引き続き自由にセーブできない。シナリオを読み終わった時点のみ。
---一応途中でのセーブも可能。ただし、シナリオをクリアするとそのセーブは消える。要するにクイックセーブである。
--説明書で堂々と「展開は1本道」と宣言。移動して会話するだけなのでプレイヤーが介入できる部分がほぼ無い。~
一本道なので、当然会話中の選択肢はストーリーに影響しない。ゲームオーバーも無い。ED評価があるわけでもない。ボタン押して見てるだけ。
---その割に道に迷いやすい。
---一応ある選択肢を選んだ場合にしか見れないCGや展開なども存在する。本筋には全く影響しないが。
---「分岐に期待しすぎだよ」というセリフがゲーム内に実際にある。皮肉か、それは皮肉なのか。
---なぜか攻略本が7社もの出版社から発売されている。内容は攻略記事よりもストーリーの考察や設定資料などがほとんど。~
一本道のゲームとしては異例といえよう。
--やたらとボイスが豊富。選択肢がワープトラップになっていたりするので、偏執的なキモオタや電波おばさんと壊れたお喋りを、強制的に、しかも繰り返し聞くハメになる。
---ちなみにキャラクター達の日常会話はかなりリアル…が、話の本筋とは全然関係が無い。
--特定のエピソードで操作することになるキャラクターが、「歩く」しかできない。しかもやたらと遅い。
---一応、スタッフロールで「初めて走ることになる」という伏線ではある。

-&bold(){不可解極まりないシナリオ}
--操作キャラの独り言がやたらと多い(ボイス付き)。夜道でぶつぶつ言ったり、鏡の前でぶつぶつ言ったりする。カクカクポリゴンの顔で。

-わざととしか思えないほど難解、且つ説明不足な会話が頻出。いつの間にか結論が出てエピソードが終わる。補足説明などない。

-画面にまったくテキストが表示されないまま延々と長台詞を続ける事も。しかもそういう時に限って独白調で、まったく聞き取れない。
-ゲームスタート時からプレイヤーは話についていけなくなる。
--話が難解なゲームなら他にいくらでもあるが、本作はそれ以前の問題。
--&bold(){「私がシンボルからサブスタンスになる瞬間、リアルを取り戻すの!」 }…お前は何を言っているんだ。
---和訳すると&bold(){「私が象徴から実体になる瞬間、現実性を取り戻すの!」}
//---とりあえずの意味的には&bold(){「私が象徴から物質になる瞬間、現実を取り戻すの!」}…やはり意味不明である。
//substance(サブスタンス)はsub(下に)+stance(立っているもの)=「万物の下にしっかり存在しているもの」の意味。物質・物・実質・内容・中身・(哲学用語で)本質・実体。「物質」と訳すと、前半のシンボル(=偶像)⇔後半のリアル(=実像)という対比が分かりづらくなる。
---上記セリフを言ったキャラは、子供たちの連続投身自殺「ダイブ」を指揮している…と思われていた人物。~
「しかしあくまで「象徴」であり、ダイブを止める権限はなかった。自分自身がダイブすることでそれを否定し、異常な現象であるダイブを沈静化させた」~
一応はこういうことなのだが、よくよく考えないと意味がわからない。
--目の前で焼死したキャラから電話がかかってきて「俺は君に執着することにしたよ。これは形を変えた愛なんだ」
--前作から引き続いて登場のオカルトライター「アラマタ」が「ゲームの登場人物」であることを自覚しているかのようなことを話す。~
ほかにもそんなメタな話をするキャラが……。
---ミカはミカで、セーブポイント役になったアラマタに「今回はちゃんと役に立つんだね」と言ったりする。
--加えて終盤ではレギュラーメンバーが次々と惨殺死体と化し、前2作に愛着のあるプレイヤーを激怒させた。
--極めつけは夢オチとも取れるエンディング。~
「これはゲームじゃない」「わけがわからない」と言われ、シリーズのファンからも黒歴史とされた。
---「第二話でリョウが気絶するところからエンディングまで、すべてリョウが見た悪夢」という見方もあるようだ。~
時系列や服装などの矛盾を考えると、それでもおかしくないから恐ろしい。
-2008年のスパイクによる完全新作『トワイライトシンドローム 禁じられた都市伝説』のサイトに載った「トワイライトシンドローム」の歴史に記されていない。~
このソフトは「トワイライト」シリーズから完全に黒歴史とされてしまった。
--ただし一部のキャラクターは新作でも死んだままであったり…

**評価された点
-と、問題点を挙げてきたが、実はこれこそがサイコホラーというジャンルの&bold(){演出}なのである。
--明かされない謎や理解できないナンセンスな部分は、人間の不安感を煽る。サイコホラーとは、その人間の不安感につけ込む演出をするものであり、今作は操作性、システムなども含めて、サイコホラーゲームとしてはかなり完成されたものと言える。

-特にBGMの使い方は絶妙。
--このゲームはノイズが多用されているが、これはジャパニーズホラーの生みの親である脚本家小中千昭もよく使う演出である。この手法は映画『リング』で有名になった手法だが、今作がそれ以前に発売されていることからも、ホラーについてよく研究されていることがうかがえる。
---またシナリオ中の、クラブやエヴァやいじめや団地の問題など当時の文化をそのまま描写した部分は、当時の資料になるだけでなく、リアルさを演出するものであり、これもジャパニーズホラーの演出としてよく知られている。

-PS2ゲーム『SIREN』の主人公須田恭也の名前は、ムーンライトシンドロームに共感したシナリオライターの佐藤直子が、監督の須田剛一から取ったものらしい。
--『SIREN』や『零』シリーズといった人気ホラーゲームも操作性の悪さを指摘されることがあるが、もちろんこれは演出である。日本のホラーゲームの伝統となりつつあるこの操作性の悪さの原点も、今作のうちに見ることができる。
---また、須田剛一が参加した『零 月蝕の仮面』でもノイズが効果的な演出として使われていた。

-監督・脚本は『トワイライトシンドローム』の監督も務めた『シルバー事件』『killer7』等で知られる須田剛一。~
&br()『シルバー事件』の最初のエピソードには本作のキャラクターが登場するので、そう言う意味ではプレイする価値はあるかもしれない。
--なんだかんだでセールスは前2作以上に好調であり、このゲームの強烈なインパクトは、賛否ありながらも普通に遊べる出来であった「ファイヤープロレスリング」シリーズや「トワイライトシンドローム」シリーズよりも須田剛一の名を広めた。

-そしてエンディングテーマ桃乃未琴(現・平岡恵子)「あなたは海の底」は評価が高い。(http://www.youtube.com/watch?v=MM3Am9rbf0s)

**総評
-以上のことから、サイコホラーとして評価すると、演出その他は申し分ないものであり、このゲームは&bold(){良ゲー}であるといえる。
--このゲームをクソゲーにしたいアンチ(トワイライト好き)や、理解のないプレイヤーによってクソゲー扱いされてしまっているが、そのほとんどは主観的、感情的な意見であり、正当な評価とは言い難い。

-ただサイコホラー作品は、心理的な嫌悪感を起こさせる演出を多く含むため、それを望まない人々から敬遠され、批判されやすいものである。今作をトワイライトの続編として売り出したことは、やはり問題点として批判されるべき点である。
--よって本来巻き込むべきでなかった人々に与えた影響を考慮し、このゲームは賛否両論ゲームとする。

//良ゲー言いたいならページ全体的に推敲しなよ…。どう見てもそう見えないのに唐突に良ゲー言われても説得力皆無だわ。
//わかりました。文句は言わないでくださいよ

-『SIREN』に対する影響(後世への影響)は素直に褒めてもいいと思われる。