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METAL WOLF CHAOS - (2010/08/01 (日) 22:37:57) のソース

**METAL WOLF CHAOS【めたる うるふ かおす】

|ジャンル|破壊戦闘アクション|~|
|対応機種|xbox|~|
|発売・開発元|フロム・ソフトウェア|~|
|発売日|2004年12月22日|~|
|定価|6800円|~|
|判定|''バカゲー判定''|~|
|ポイント|フロム渾身の確信犯バカゲー&br()史上最も破天荒な合衆国大統領&br()ありとあらゆるオブジェクトを破壊する爽快感|~|

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*なぜなら私は、アメリカ合衆国大統領だからだ!
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*概要
-史上最もアクティブな大統領が活躍した映画『エアフォース・ワン』から10年経った。アメリカは9.11テロやアフガン出兵、イラク戦争という暗い時代を迎えており、もはや大統領をネタにする余裕など失っていた。この時を狙ってか狙わずか、再び大統領が帰ってくることなどアメリカ市民は想像できたのだろうか……。

-史上最も変態な企業集団フロム・ソフトウェアが送る、史上最も破天荒なアメリカ合衆国大統領が活躍する''ロボットアクション''。日本で爆死、そして次世代機のxbox360の発売を控えていた''xboxで出した''だけでもうネタになりそうなのに、フロム・スピリッツがとにかく注入された本作は、もう全てがネタと言っても差し支えないほどのバカゲーになった。~
後に触れるが、本作はゲームとしても非常に優秀で、''フロムのロボットアクション作品の中でも間違いなく名作レベルである。''だが、そこに付随する''バカ要素がとにかく超越しまくっており、ちょっと宇宙まで行ってくる勢いなのだ。''ゲームとしてつまらないものではないので、そこは最初に断わっておく。

*特徴
-合衆国副大統領リチャード・ホークによるクーデターにより、政府の中枢機関は完全に掌握されてしまった。合衆国は死んだかのように見えた。だが、クーデター軍に対抗する唯一の希望があった。''合衆国大統領である。''

-プレイヤーは合衆国大統領マイケル・ウィルソンを操作して、クーデター軍と戦う。もちろん、生身で戦うわけではなく、彼が搭乗する特殊機動重装甲(本編ではMobile Armorと称される)「メタルウルフ」を操作する。
-本作のアクション部分における特徴は、このメタルウルフの異常な強さである。大きさ自体は5m程度と小さく、人によってはリアルロボットの傑作「装甲騎兵ボトムス」をイメージするかもしれない。だが、この大統領が乗るメカがそんなリアルな設定であるはずがないので、それは気のせいだろう。とにかくめちゃくちゃな量の弾薬を搭載し、めちゃくちゃな装甲を誇る。プレイしていて、まずゲームオーバーになることは少ない。同社の「アーマード・コア」と違い、設定上の問題から機体はメタルウルフ一択でカスタマイズの楽しみは無いが、武器の選択と強化は出来る。また、一人プレイを前提としているので、思う存分、めちゃくちゃな機体設定と武器強化で無双プレイを楽しめる。対戦バランスのくびきから解放された結果の作品だと言えよう。
--もちろん、難易度を上げればフロムお得意の超絶難易度にもなり、マゾプレイヤーも満足できる。
-「アーマード・コア」同様のTPS視点で、やはり画面真ん中のターゲットサイトで照準を合わせる。だが、正確に狙おうとする必要は全くない。なぜなら、その弾薬数に物を言わせて、弾幕を張るのがセオリーだからである。とにかく弾数が多く、スナイパーライフル以外気にする必要は無い。
-そして、本作のジャンル名に表れている「破壊」。さすがに建物は無理だが、''とにかくなんでも壊せる。''車や戦車、ヘリコプターなど敵ユニットはもちろん、コンテナや看板など、建物以外なら目に映るもの全てが破壊出来ると言っても過言ではない。怪獣になった気分で破壊の限りを尽くせる。だがこの大統領、こんなことをしてたら、作中でテロリスト呼ばわりされても全く文句は言えまい。
-暗い作風が特徴のフロム作品だが、ここまで見て明らかなように本作はそれが鳴りを潜め、豪快なB級映画のノリの明るい作風である。いや、置かれている状況や、やっていること自体は相当危ないのだが、下記のバカ要素から、そんなことは微塵も感じさせない。

*バカゲーたる所以
ストーリー
-上記に書いたように、ストーリーが色々突っ込みどころ満載。副大統領がクーデターを起こすやら大統領が最後の砦やら……そもそも、主人公が大統領の時点で何か勘違いをしている。
--典型的なアメリカ映画のノリを踏襲しつつしっかりとした骨組みを持っているため、矛盾点や破綻は無い。また、フロム作品には珍しく、はっきりしたストーリーが語られている作品でもある。ただし、アメリカ映画のノリが好きではない場合、拒否反応を示すかもしれない。
突き抜けた演出
-ホワイトハウスを破壊して飛び出すメタルウルフに多くの人は唖然とするがまだまだ序の口で、''ホワイトハウスの地下から現れモグラの如く飛び立つ「エアフォース・ワン(大統領専用機)」''、''超巨大戦車を手で押さえ、あまつさえローリングプレスを決めるメタルウルフ(大統領)''、ロケットに掴まり「''ちょっと宇宙に行ってくる''」、大気圏に突入して帰還する大統領……枚挙に暇がない。
個性的過ぎてむしろ変人なキャラクター
-メインキャラは主に大統領マイケル・ウィルソン、副大統領リチャード・ホーク、秘書兼オペレーターのジョディ・クロフォードとごく僅かしかいないが、''彼らだけで十分過ぎる個性を発揮している。''
--マイケルはお茶目な言動が多いが、とにかく熱い。「Let's Party」が口癖で、ことあるごとに叫んでくれる。メタルウルフで起こす数々の所業は、まさに彼の性格の為すところである。諸事情により海外で発売されなかった本作だが、これらの活躍ぶりから、こともあろうに海外サイトが選ぶ''「もっとも投票したいゲームの政治家」の一位に輝いてしまった。''
--リチャードはクーデターの首謀者で、自分を「ラストアメリカンヒーロー」と信じて疑わない。典型的過ぎる卑劣漢で、毒をばら撒いたりとんでもない悪行を果たす。そして、クーデター軍の合言葉は「''ウィ ラブ リチャード''」。この古典的だが見事な悪役っぷりは、マイケルとの対比が非常に明らか。また、どこぞのFO○ HOUN○工作員のやり取りを意識した''「マイケェェル」「リチャァァァード!」''は熱すぎて、もはやギャグの領域。
--ジョディは典型的なブロンド美女だが、そのセリフは非常に辛辣で毒がある。サラッと空恐ろしいことを言うため、「本作で一番怖いのはこいつ」と言われることもある。

*問題点
-戦闘がかなり大味。爽快感を重視した結果の設計だが、「アーマード・コア」のような戦闘を意識すると肩すかしを食らう。
-雰囲気やゲーム性など、それまでの(そして現在でも)フロム作品の中ではかなりの異色作である。大味な戦闘、フロム脳を介在させる余地の無いストーリー、カスタマイズの楽しみが薄いなど、コアなファンは首を傾げるかもしれない。

*総評
-xbox屈指のバカゲーにして良作。斜め上な方向へ力を入れ過ぎ「変態企業フロム」の名を欲しいままにしていたフロムだが、本作は彼らのゲームに対する''斜め上の''情熱が注ぎ込まれた作品だと言えよう。
-海外では9.11事件の影響から発売されることはなかった。街を破壊し尽くす、というコンセプトは、当時のアメリカの世相ではさすがにシャレにならないからだろう。かといって、日本でのxbox普及率はたかが知れているため、海外版も無し、日本でも少数生産と、現在では入手する方法が非常に限られている。ゆえに、360への移植が渇望されている作品である。

*その他
-xbox360で、本作の前日譚に当たる「NINJA BLADE」が発売されている。本作スタッフによる製作なので、''当然バカゲー''(にして良作)である。