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色に出でにけり わが恋は - (2013/06/03 (月) 12:25:02) のソース

*色に出でにけり わが恋は 
【いろにいでにけりわがこいは】
|ジャンル|恋愛アドベンチャー|CENTER:&amazon(B003FSBLC0)&br※初回限定版|
|対応機種|Windows 2000~7|~|
|メディア|DVD-ROM 1枚|~|
|発売・開発元|ういんどみる|~|
|発売日|2010年4月29日|~|
|価格|9,240円(税込)|~|
|レーティング|CSA:&color(crimson){''18歳未満禁止''}|~|
|分類|''クソゲー判定''&brういんどみるファンにとっては''黒歴史''・''ガッカリゲー''|~|
|ポイント|&color(red){''2010年クソゲーオブザイヤーエロゲー部門大賞''}&br主人公がかつてない変態&br無駄に多い選択肢&brシナリオ空っぽ、設定は投げっぱなし&br一部のバカゲー好きには堪らない…らしい&br''前後おおおおおおん!''|~|
|>|>|CENTER:''[[クソゲーオブザイヤー関連作品一覧>KOTYゲーム一覧2]]''|
|>|>|CENTER:''[[ういんどみる作品リンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/930.html]]''|
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#center{&size(35){''WARNING!!!!!!!''}&br&size(20){''本作は18歳以上かつ前後不覚者のみ対象のアダルトゲームです。''}}
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#contents(fromhere)
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**概要
有限会社アレスのブランド「ういんどみる」の作品。通称「でにけり((色に出「でにけり」~。))」「前後」(詳細は後述)。~
当ブランドは、『[[はぴねす!>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/879.html]]』のヒットで萌えゲーマーの間で一躍トップブランドとしての地位を確立したブランドである。~
その後、姉妹ブランド「ういんどみるOasis」が制作した『[[祝福のカンパネラ>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/582.html]]』でも大きな成功を収め、エロゲ界隈では信頼のおけるブランドという評価を得ていた。~
元々は萌えだけの作品を作っていた訳ではないとはいえ、直近の作品の実績から誰もが萌えゲーブランドとしてのういんどみるクオリティを期待して本作を購入したに違いない。しかし…。
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**ストーリー
時は現代。夏が過ぎ去り、秋の盛りを迎えようとしている季節。~
所は日本。山間に広がる高原の街、天神市。~
整備された洒落た町並みと、自然豊かな田舎の景観とが共存する街で、主人公『神木 悠人』が所属していた、~
ごくごく普通の一般的な学園が、格式高き名門女学園である『嶺鳴館学園』に吸収合併されることとなった。~

元々、全国津々浦々からあつまった最上級の令嬢が集うとされ、「荘厳優美、華麗で厳粛なる、神秘的な乙女の花園」であった学園に、~
時代の荒波を受けて経済的に立ち行かなくなった地元学園が吸収されたことで、~
純和風を好む、やや時代遅れな感性を持つ悠人は、大変居心地の悪さを感じてしまっていた。~
そんな折、彼の実家である神社が先祖代々持つ役割 ――~
『天城家』の跡継ぎを決めるという『決闘の儀』を見届けるという役目が突然舞い込んだ。~

かつて天神市一帯を治めていた領主の末裔である『天城家』。~
その令嬢である二人、『天城 梨桜』と『天城 桔梗』は、互いの剣に誇りを賭け、文字通りの真剣勝負を繰り広げる。~
だが、その『決闘の儀』の際に発生した運命的なハプニングにより、~
『スーパーかつスペシャルなお嬢様』である梨桜と悠人が、何故か一緒に住むことになってしまう!~

素敵でゴージャスな和洋のお嬢様たちや、のんきで至ってノーマルな幼馴染みたちと繰り広げる学園痛快賑やか恋愛浪漫譚が、~
今、開幕する!!~

※amazonの商品ページ(amazon限定特典付)より転載。
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**キャラクター紹介
#region(クリックで開閉)
-神木 悠人(かみき ゆうと)
--''本作の元凶''。言うなれば''変態野郎''・''スケベ親父''。ヒロインがキャラ崩壊したのはだいたいコイツのせい。
--台詞の1つ1つが下品で低俗なので、知性の欠片も感じられない。
--梨桜に「修行」という免罪符の名の下セクハラ行為に及ぶ。
---例えば、風呂場に何故か制服姿で侵入してきた梨桜に「クラスの男子はあなたをオカズに毎日『禁則事項』してるんですよ」と発言。
--ヒロインに変態的なシチュエーションを見せる能力がある。
---室内和姦なのに、校門前で堂々と青姦している幻影を見せる。
---普段着を着ているヒロインを下着姿にする。無論下着にはなってないのだが、ヒロインも騙されてしまう。
--剣道の腕前は素人だが、構えが堂に入ってて達人並のヒロインが勝手に恐れてしまう。
---良くあるラブコメ限定の厨ニ設定だが、それに関して特に理由は説明されない。

-天城 梨桜(てんじょう りお)
--金髪でややツンデレ。凛とした洋風剣士娘で文武両道の優等生の超お嬢様……なのは序盤だけ。それ以降は悠人の魔の手により変態にされる。
---後半はキャラに突っ込まれて「く~んく~ん」と犬のような鳴き声で愚図りだす。
--「前後」「ボッ○ン☆ボ○キン☆スティック」等の発言者。「お前は何を言ってるんだ」と別のヒロインに言わせた。
--修行とあらば男と混浴もする。しかも都合4回。そもそも修行の内容に疑問を持て。

-天城 桔梗(てんじょう ききょう)
--梨桜のイトコ。こちらは和風剣士娘。本作では珍しいことに割とまともな性格。共通ルートで出番が少ないため表に出ていないだけともとれるが。
--しかし、メイドや他のヒロインのおっぱいを揉んでいないと気が済まないあたり、やっぱり本作のヒロインである。
---これは主人公にキスされたショックで幼児退行したからであるが、プレイヤーからはメンタルが弱すぎると批判されている((キャラクターに対してと言うよりは、「そういう設定しか作れないライターの稚拙さ」の方がウェイトは強いようだ。))。
---メイドのおっぱいを揉みしだくためという理由で、気配と姿を消す能力がある。

-鈴枝 小町(すずえだ こまち)
--主人公の幼馴染。
--多分、攻略ヒロインの中では一番真人間。ただし、乳首攻めを「ムスメさん」と呼んだりするなど、やっぱりどこか変な節はある。主人公に悪ノリするため日常シーンでも悪ふざけが目立つ。
--巨乳キャラだが、本人はそれを好いていない。この件は悠人も知っているのか、あまり言及しない。
--パン屋を切り盛りする若き担い手だが、それが活かされる場面はない。


-御園 美苑(みその みその)
--桔梗のメイド。よくいるミリタリー臭のする危険なメイドさん。
--個別ルートは「酔ってエッチしたら子どもができちゃった」という顛末のみ。シナリオはないに等しい。

-楓 柚菜(かえで ゆずな)
--ちび後輩。
--よく吐血するが、特に理由は説明されず、シナリオでは特に活かされない。
--ペンギンにやたらこだわるが、特に理由は説明されない。
--個別ルートはただ単にエッチするだけ。シナリオはないに等しい。

-春風 朋音(はるかぜ ともね)
--ちびを介抱する係。男前。
--個別ルート(厳密には全キャラ攻略後の後日談)は何の脈絡もなくエッチ。シナリオはないに等しい。

-鳥羽 綾媛(とば あやめ)
--非攻略キャラ。「説明しよう!」(後述)のためだけの存在。
--割と空気なので、あえて攻略したかったというファンもいるらしい。

-大原 九郎(おおはら くろう)
--オヤジギャグをかますイケメンスケベ。エロ本マニア。これでも御曹司で婚約者がいる。
--無論、それだけの存在。これ以上の見せ場もないし説明もいらない。まさに居なくてもいい完全背景キャラ。
#endregion
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**問題点
''タイトル''
-タイトルの元ネタは、平安時代中期を代表する歌人である平兼盛が詠んだ「''忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで''」という句。~
「自分では思いを隠していたつもりだったが、それでも他人に気づかれてしまうくらいの、赤面物の恋をしてしまった」という意味。
--エロゲーのタイトルには作品のテーマや内容などを反映させることが多いが、本作はドタバタ寸劇のなり損ないといった風情のため、一寸足りとも合っていない。このタイトルの理由は後述。

''OPムービー''
-主題歌である「色に出でにけり わが恋は」の歌手には片霧烈火氏を起用し、ムービー製作は神月社氏が担当している。エロゲー界隈では知らぬものはいないと言われる両氏が関わっただけにクオリティは高く、とてもシリアスかつ重厚な曲調と演出となっている。どこか悲恋を感じさせる歌詞や場面の使い方もあって、何の予備知識もない人が見たら大抵は「シリアスな恋愛ものなのかな?」と思うだろう。
--しかし、実際の内容とはあまりにかけ離れている。単体の出来は良くても作品を構成する要素としては問題があると言わざるを得ない。作品の内容を知ってから見てみると「よくぞここまで偽装したな」と思うだろう。

#region(参考:公式オープニングムービー)
#video(http://www.youtube.com/watch?v=zFTL_3ErE1A)
#endregion

''キャラクター''
-ドタバタ学園系と捉えれば特筆するほどキャラが悪いわけではないが、その個性を活かす場面が皆無という素材の無駄遣い。
--気になる設定等はあるものの、ほとんどは掘り下げたり説明されたりしない。
--また、ヒロインも本質的には「''変態''」と「''電波''」しかいない上に、主人公のせいでそれが悪化しているという点が問題に拍車をかけている。
--作中では何かと梨桜と桔梗をお嬢様扱いしている割に、言葉遣い(誰にでも敬語で語尾が「~ですわ」)くらいしかそれに相応しい描写がほとんど見られない。~
せめて大きなお屋敷があるとか、一般人では分からない教養やスキルを持っているとか、お嬢様っぽい威厳を見せつけるイベントなどがあればユーザーを納得させられるのだが…。
---恐らくは「やや高飛車なお嬢様」と「和を重んじる大和撫子なお嬢様」と対比させたかったのだろうが、結局双方共まともなキャラではないので、やればやるほどお嬢様設定というメッキが剥がれていく。
--サブキャラもほとんどシナリオに絡まず、正にいるだけの存在。主人公に助言を与えたりという要素もほぼ皆無。そもそも主人公に葛藤するシーンがない。

''シナリオ''
-基本的に起承しかなく、とにかく見せ場がない。下記の2大イベントはあっさり終わる上、あとは成年シーンと低俗なシモネタ日常シーンしかない。

-共通ルートから全てのキャラの個別ルートまでずっと同じようなノリで低俗なギャグが延々と続く。「中身が無い」としか言いようがなく具体的に悪い点を挙げようにもそもそもどんなストーリーなのかを説明するのが難しいほどである。キャラの低俗な発言を書こうにもここには書けないような言動のため本当に説明に困る。
--学園祭イベントがあるが、手抜きである。「学園祭用にコスプレをする→途中で抜け出す」というプロットを使い回し、特定ルートだとそれすらなく1ワードで終了する。
--「互いの剣に誇りを賭け、文字通りの真剣勝負」とまで緊迫するはずの「決闘の儀」も、緊張感の欠片も感じられず徹頭徹尾内容がない。

-''一応''恋愛ADVでありながら、主人公・ヒロインともに相手を好きになるきっかけや過程の描写がかなり少ない。プレイした者からは「なんでヒロインが主人公を好きになったのかが全く理解出来ない」という意見や、極めつけには何となくくっついたとも取れるような作中の描写不足のせいで「''主人公が浮気しない未来を想像出来ない''」等という感想があった。酷い時にはヒロインへすら浮気の可能性が指摘されてしまう。
--ういんどみるは元々抜きゲーですらヒロインが主人公一直線なブランドであり、主人公もオマケシナリオの範囲ではふらふらすることがあるものの本編では一本気が主流であった。それだけにこうした意見が聞かれることは前代未聞と言えた。

''無駄に多い選択肢''
-個別ルートに行き着くまで実に''100を超える''選択を余儀無くされる。しかも大半はフラグに意味のないものが多い。多分イメージが湧かないと思うので、詳細は[[こちら>http://seiya-saiga.com/game/windmill/denikeri.html]](※攻略サイトなのでネタばれ注意)。
--参考までに『[[Fate/stay night>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/146.html]]』の選択肢数が1ルート30~40である。

-この選択肢が凄まじいストレス要素となっている。あまりにも数が多すぎる上に数クリック間隔で選択肢が表示されるシーンも珍しくない。次の選択肢へ進む機能もあるのだが、それを使ってもストレスを拭うことはできない。

-しかも選択肢は''三択、四択が普通で五択、六択まである''という仕様。
--ただでさえフラグ管理が煩雑過ぎるのに、シナリオを読み飛ばそうにも選択肢がスキップを止めてしまうので、二重の意味で周回プレイが億劫となる。


''行為シーンにおける問題''
-キャラ紹介にも一部載せているが、身体の関係に至る経緯が単純すぎる。
--例えば、あるキャラは全キャラ攻略後に何のフラグも立ってないのにその場の流れで事に及ぶ。純愛などない。
---そんなエロゲーはいくらでもあるだろうと言う人もいるだろうが、このゲームのブランドは「ういんどみる」である。下でも述べるがういんどみるは一部作品除いて純愛シナリオで構成されており、その経緯に力を入れて描写していることで評価の高いブランドなのである。なおかつ本作も事前宣伝では純愛ゲーを思わせるものであったにもかかわらず、過去作とは比較にならない貞操観念のなさだった((この様な手法が望ましくないのは純愛ゲーだけではない。抜きゲーにしても「こういう主人公orヒロインならその場のノリだけで行為に走っても仕方がない」と思わせる描写が望まれるところであり、イチャゲーであれば恋人同士であるという前提条件が必要不可欠である。というかイチャイチャも大元は純愛ゲーだから当然だが。))。これでは感情移入しようがない。

-キャラ攻略後にメニューからキャラ個別の後日談(所謂「エクストラシナリオ」)を選択できる。
--だが本編でのシナリオやシーンは決してボリュームがあるとは言えず、エンドロール後にそっくりそのままそのシナリオを組み込めば済む。

-無駄に多い選択肢といいエクストラシナリオによるシナリオ分割といい本編のボリュームの薄さを誤魔化すためにやったという推測ができる。

''「前後おおおおおん!」''
-これは、主人公が「ヒロインに精神の修行の指導をする」という名目で腰の動きを強調させたダンスをさせたシーンでヒロインが発した台詞。そのインパクトの強さゆえに本作の「変態」「電波」を象徴する台詞とされ、本作の通称としても浸透してしまった。
--ヒロインは「前後っ! 左右ぅん! もっかい前後おおおおおん!」と叫びながら一心不乱にダンス修行をする。精神の修行になぜダンスが必要なのか?
--立ち絵のアップでグリグリくねくねと動く表現はある意味、『結い橋』から売りの一つに掲げてきた「動く立ち絵」(動くと言っても横に揺れたり跳ねたり沈んだり…くらいだが)の真骨頂とも言え、単なるネタとして囃すのも勿体ない。&br()といってもこんな使い方が喜ばれるかというのも怪しい。また本来なら後の『[[ウィッチズガーデン>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/2014.html#footnote_body_3]]』にて導入された「E-mote」((立ち絵が躍動的に動くシステム。正式名称はエモーショナル・モーション・テクノロジー。開発自体は有限会社M2による。))の方が真骨頂と呼ばれるべきなのだろう。
---この「前後おおおおん!」は一回きりのネタではなくそのヒロインとのやりとりで何回も繰り返される。ルートに関わらず延々と繰り返されるためネタとしても笑えなくなってくる。結局台無しである。

-「前後」は序の口でストーリーが進みキャラ崩壊が加速していくとヒロインの口からとんでもない台詞が飛び出し始める。内容が内容なのでここでは書けないが、人によっては眩暈がし、人によっては頭が痛くなり、人によっては爆笑するような文章と表現できる。

''「説明しよう!」''
-ゲームの固有名詞などを『魁! 男塾』の雷電やヤッターマンばりにキャラがわざわざ説明してくれる。
--…と書けば聞こえはいいが、そういうストーリーテリングはいちいち説明シーンとして独立させるものではない。しかもこの演出は日常ドタバタシーンでいきなり挿入されるため、プレイヤーにとっては「廊下で何言ってんだこいつは」と思うこと請け合いである。自然に説明ができない故の誤魔化しともとれる。
---例として『[[ティンクル☆くるせいだーす>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/690.html]]』(Lillian)にも「教えて!理事長さん!」という似たようなシステムがあるが、ゲームとして問題はなかった((説明するキャラクターはその場にはいない上、そもそも説明する部分はシナリオに絡むものではなくあくまでやりこみ要素の補足説明に留まっており、ストーリーに関する説明とはまた意味が異なる。また説明するキャラクターの特徴としてこの位はやってもおかしくはない位に良くも悪くもぶっ飛んだキャラクターであるため違和感も少ない。ちなみに、シナリオ上で組み込まれている本作と異なりスキップ可能。))。

''宣伝手法''
-体験版では全キャラがまだまともな所で終わるため、電波シナリオが隠れてしまっている。
--公式サイトや事前の宣伝でもこのような内容であることを伏せたため、ユーザーからは宣伝詐欺と受け取られてしまった。

-カウントダウンムービーではういんどみる恒例のネタが使われており、いつものノリといった感じ。それ故にこんな作風になるという予想がまるでつかない。

-発売前の雑誌インタビューで開発スタッフは''「色に出でにけりわが恋は、という短歌は本作が目指す純愛の王道のピッタリな歌なので拝借した」「魔法や超能力といったトンデモ要素の無い、自然で、万人に受け入れられやすいラブストーリーを丁寧に綴っています」''と述べていた。
--そんなことを言いながら、実際の主人公は決闘の儀におけるご都合主義や幻覚など謎の特殊能力を持っていた。そして「前後おおおおん!」を始めとした狂った台詞は魔法と別の意味でトンデモ要素としか言いようがない。また、皮肉なことに今後のういんどみるの作品はいずれも魔法や超能力を題材としているものとなった((ちなみに、本作の惨状を受けてか一部のブランドファンからは「ういんどみるは魔法(など)が無いとダメだ」などといった意見も上がっていたりする。トンデモ能力の有無がそのまま作品の優劣を分ける事は無論ないが、実際に本作以降の作品は程度の差はあれど、少なくともクソゲー呼ばわりからは疎遠な出来とはなっている。))。

-伝わり辛いかもしれないので重ねて述べるがこの作品の宣伝詐欺は見事とまで言えるものだった。中身の低俗なストーリーが実際に買ってプレイしてみるまでほとんど窺えず、事前に内容を察したプレイヤーは少ないだろう。
--中には体験版の内容や無名のライターに不審に思い様子見した者もいるようだが。
---平内氏が過去に脚本を手がけたドラマCDの評価を知っていれば、彼がメインを張るという時点で怪しいと思うかもしれないし、知らないとしても体験版をプレイして少し文章が変なことに気が付いた者もいるようだ。
--だがエロゲー業界では新作を買うと決めたら情報を仕入れないユーザーや動作環境が限られる要素があるゲームを除いて、体験版をやらないユーザーも少なくない。
---ういんどみるブランドに多くのプレイヤーが安心していたこと、そして上述のような背景も手伝って、結果としてかつてない規模の騙し討ちになってしまった。

-エロゲー界隈は「騙し討ち」が多いことで知られるが、ういんどみるは比較的それが少ないブランドとして有名だったため、今回の件で余計顰蹙を買ってしまった。
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**評価点
-CGは綺麗。こ~ちゃ氏及び『11eyes -罪と罰と贖いの少女-』(Lass)を担当した鳴海ゆう氏を交えた、初のカップリングデザインを採用している。

-OPやBGMには良曲が揃っている。
--通常版でもOP含めたサントラが同梱している。

-声優は非常に豪華。演技も頑張っている。
--特に梨桜役の民安ともえ氏の(梨桜のコンセプトに沿った)演技は高く評価されている。「頼むから仕事を選んでくれ」と嘆く声もあるが。
---割り切った視点になればぶっ飛んだ台詞を声優が熱演する様子は非常に面白い。人によっては爆笑するかもしれない。シルキーズ((作中の台詞とそれを演じる声優の熱演が非常にぶっ飛んでいて話題を呼び、一種のカルト的な人気を持つブランド。代表作は『姫騎士アンジェリカ』等。))の作品に近い楽しみ方もできなくもない。

-プログラムやシステム面で目立ったバグ等もなく、コンフィグ等も充実している。
--誤字もほとんど無い。丁寧なチェックをしたのだろうがそれ故に誤字よりもずっと深刻な問題である電波テキストと多すぎる選択肢についての謎が深まる。誰も疑問に思わなかったのだろうか?次作の『[[Hyper→Highspeed→Genius(ハイパー・ハイスピード・ジーニアス)>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1159.html]](通称:HHG)』ではチェックが甘く誤字が目立ったが故に余計に謎である。

-立ち絵鑑賞モードがある。背景や表情まで細かな設定が可能なのだが、肝心の立ち絵のバリエーションが乏しい。イベントCGではコスプレや水着などたくさんあるのになんとも惜しい。

-シチュエーションやシナリオがアレな出来でも、本来の需要には十分使えるクオリティ。しかし抜きゲー((ひたすら実用性重視、エロさだけを追求し力を入れたゲームのこと。))と言えるほどボリュームはなく、割高感は拭えない。現在では中古価格はかなり低いが、発売時に定価で買った人は納得がいかないだろう。

-前述の通りキャラの設定がまったくと言っていいほど活かされていない。裏を返せばお嬢様キャラにありがちな家が決めた婚約者が現れて、ヒロインもそれを仕方なく了承してしまい…といった展開や、病弱キャラにありがちな病状が悪化して…という展開にはならずにすむ。最終的にハッピーエンドになるのだとしてもこれらの展開を鬱要素、不快な要素と感じる人も多い。
--テキストがお粗末なのは事実だが終始明るいはっちゃけたストーリーだと人によっては前向きに評価できるかもしれない。

-ヒロインが恥ずかしがる描写がかなり多い。その手の趣味がある人なら楽しめるかも。
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**総評
ビジュアル等高く評価出来る面もあるにはあるが、肝心のシナリオ・テキストのお粗末さに無駄に多すぎる選択肢などの要素がそれらを殺して有り余る程の、絵に描いたような''ストロングスタイルなクソゲー''となってしまった。~
せっかく設定面は豊富なのに本作中では丁寧に描ききることが全くなく、投げっぱなしのせいで消化不良が途轍もないのも問題だろう。多少のキャラ崩壊は珍しいことでもないのだが、それを払拭するのに必須なシナリオ構成がスカスカなのが鼻につく。~

また本作がクソゲー呼ばわりされ、2010年クソゲーオブザイヤーinエロゲー板大賞に選ばれる事態にまでなったのには、中身の無さも問題だが、とにかく「''騙し討ち''」であったことも大きい。~
実際は極端に人を選ぶ内容のドタバタエロコメなのに、公式サイトの情報からも配布ムービーや体験版、パッケージの文章からもそんな雰囲気は全く漏らさず、そもそも同ブランドが基本的に純愛ゲーがメインであり((『ちょっと素直にどんぶり感情』『魔法とHのカンケイ。』というイレギュラーな作品もあるが、それに関しては発売前にそういう作品であることがちゃんと告知されており、本作のような宣伝面の問題は生じていない。また、それらの発売は『はぴねす!』よりも前であり、現在とはブランドのイメージも違った。))、極端なコメディにもシリアスにも走らないやわらかな作風で売っていた((ただし「ういんどみる」自体は元々挑戦的なブランドではあり、やわらかなイメージは「ういんどみるOasis」ブランド作品によるところが大きいことには留意したい。))ことから、ユーザーもこうなることがまず予測できず、却って反感を強めることになったと言えよう。~
ブランドとしてのマンネリを打ち破るためにこういう方向になり、一種のサプライズとしてそういった要素をプロモーションの段階では伏せたと強引ながら好意的に解釈は出来なくもないものの、結局この措置は裏目に出る結果に終わった((前述のインタビューで、今までのういんどみるらしさを残しつつ、新しいことに挑戦した意欲作、今までの作品とは違う新しいういんどみるを見せる、とも述べている。))。~
仮にバカゲーであることを全面に押しつつ、体験版の段階でその雰囲気が掴めるものであれば、まだういんどみるの別路線への挑戦作と解釈して貰えたかも知れない。~
現に、プレイしたユーザーの中には「''そういうゲームだと理解して割り切った上でプレイする分にはそれなりに楽しめる''」という意見も出ている((とは言え、大抵のういんどみるのファンからは「ういんどみるにこんな作品は望んでない」という意見の方が多く、どちらかというとブランドのファン以外からそういう意見が上がっているように見受けられる。また、先述の「それなりに楽しめる」とする意見でも「ただ、これが事前情報無しで発売直後に買っていたモノだったらさすがにキレると思う」という旨を付け加えられることも少なくない。))。~

いずれにせよ、このゲームをきっかけにういんどみるを見限ったり、金輪際新作には手を出さない(または様子見する)とする意見も少なくないため、''ういんどみるというブランドに深い傷を付けてしまったゲーム''である事だけは間違いないだろう。
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**余談
-本作のメインシナリオ担当は[[平内太兵衛>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/952.html#id_da8f359e]]氏だが、世界観設定にも関わることが多いこ~ちゃ氏はキャラデザ専任、ブランド立ち上げ期より企画やシナリオに携わっていたちゃとら氏は今回プロデュースこそしているものの、シナリオの中身に関与していないと思われる。~
平内氏があまり実績のないライターであることも併せて、ユーザーはこの時点で疑ってかかるべきだったのかもしれない。
--因みに、メインのライターは上記の通りだが、本作のシナリオ監修(シナリオ管理担当者)という形で『祝福のカンパネラ』や『HHG』等のメインシナリオを担当したサイトウケンジ氏が関わっていることがエンディングスタッフロールで明らかになっている。
---サイトウ氏も描くテキストやシナリオ等にクセが強いため賛否が大きく割れやすく、地雷呼ばわりされるケースもあるもののファンも少なくないライターであるのだが、彼のファンからも本作の贔屓目に見てもフォローしきれないこの出来故に「(サイトウ)''ケンジが監修したのにごらんの有様だよ!''」となってしまい、そのまま見限ったという者も出てきている。
---下記にあるが、『HHG』のシナリオは一定の評価は得ているので、そういう意味ではこちらもある程度は汚名返上を果たしたと言えるかも知れない。

-この作品の出来故に平内氏は戦犯呼ばわりされることもある。特にういんどみるファンからすればこの騙し討ちは許し難いだろう。一応、平内氏をフォローしておくと彼がメインシナリオ担当とはいえ、シナリオについては前述の通りサイトウ氏((ライターとシナリオ監修を兼業している。どっちにしろこのような出来になるのは真面目に仕事をしていないとしか思えない。))やその他にも複数のライター((無名のライターもいれば、今まで多数の作品に携わったライターもいる。また、ライターとは別に進行・管理担当者がいることもスタッフロールで明かされている。ちなみにOPでは平内氏の名前しか出てこない。後述するが後の作品でも似たようなライター隠しをやっているため、平内氏一人に責任を擦り付けたという解釈も出来なくない。))が携わっている。この作品の悪い点が一部のシステム面を除けばシナリオに集中しているといっても、こういった背景を考えるとこの作品が盛大にずっこけたのは平内氏一人に全ての責任があるとは言い切れない面もある((とは言え、メインを張っている以上はシナリオに関して平内氏の責任が重大なのは言うまでもないが。そもそも大手ブランドのういんどみるが初の学園物だというのにサイトウ氏などのライターをサブにして実績の少ないライターをメインに起用したのかが不可解でもある。また平内氏はこの作品以降活動した形跡が無い。))。
--少なくとも、シナリオと共に多くのプレイヤーをうんざりさせた「多すぎる選択肢」に関しては、これだけライターとスタッフがいるにもかかわらず、誰も意見を出さずにそのまま実装されているというのは制作側の体制に問題があると言えるだろう。普通に考えれば異常であることも、プレイする側に多大なストレスを与えることもすぐに解るはずである。
---一方で宣伝面での問題については前述の雑誌インタビューで「自然で、万人に受け入れられやすいラブストーリーを丁寧に綴っています」と述べているのは''平内氏自身なので完全に擁護不可能''。このインタビューに答えた時点では制作途中の段階だがそれでも発言と内容がまったく正反対になってしまっている。本当にこの内容を純愛モノとして世に出してプレイした人が納得できると思っていたのだろうか?


-この二つのような企業問題は後の作品にも尾を引いている。詳しくは後述。

-桔梗役の声優が、製品版では[[佐本二厘氏からかわしまりの氏へ急遽変更>http://windmill.suki.gr.jp/product/denikeri/index.html]]されている((体験版では佐本二厘氏だったが、製品版同様にかわしまりの氏に変更するパッチを出した。))。
--佐本氏は『はぴねす!』の渡良瀬準役を演じて以来、ういんどみる作品ではお馴染みの声優だった。
---この業界では体調不良等の理由で担当声優が変更される事は珍しくないのだが、''本作のあまりのお粗末さに辟易した佐本氏の側から降板を願い出た''という噂がある。~
確たるソースが上がっている訳ではなく、あくまで噂話の域を出ないものだが、仮にこれが真実だったとしても英断であると言うべきだろう。
--余談になるが、この作品以降、''佐本氏は姉妹ブランドから出ている『祝祭のカンパネラ!』を最後にういんどみる系の作品には出演していない''。
---本作の件が尾を引いているのかは解らないが、ういんどみるファンからは残念がる意見も少なくない。

-ノベライズされている。ノベル化で何とか悪評を和らげることができないかとプレイヤーは期待したのだが…。
#region(簡単な概要。未読な方はネタバレ注意)
-エロゲのノベライズではよくあることだが、作中で梨桜、桔梗、小町と身体の関係になる((ファンのニーズのためとはいえ、この表現は抜きゲー原作のノベライズではない限り批判の的になりやすい。前述の通り、描写不足がそう見せるものとは言え、何股でも出来そうな悠人だからこそ、不自然に見えないのが唯一の救いか。))。
-問題なのは、200頁あまりに3人のルートを強引にねじ込んだせいで元々薄いシナリオが更に薄くなったことである。
--「ボッキ○☆スティック」のくだりは健在だが、「前後」シーンや学園祭のシーンはなくなっている。
-ノベル版ではゲーム中における矛盾等の補足説明があったりするなど、ゲームよりも評価されることもある(例:[[グランディアIII(笑)>グランディアIII]])が、このノベル版では''何も変わっていない''。
--よせばいいものをご丁寧に原作リスペクト仕様にしてしまったため、ノベルのノリもゲームとほぼ変わらない。CGが少なく、声もないため原作以上に褒める点が無い。
-結局、ノベライズ化で悪評を和らげることは叶わなかった。
#endregion

-PCゲームではどうしても切っても切れない問題となってしまっている所謂「[[割れ>割れ厨]]」だが、本作はなんと発売6日前にP2Pのネットワークに流出してしまっており、有限会社アレスは管轄の警察署等と対応協議中であることを明かしている。
--約1週間前の流出というのは、フラゲ((フライングゲット。つまり発売日以前にその商品を入手すること。))にしても早すぎるため、ユーザーというよりは流通の関係者が流出させた可能性が高く、このような対応に出たと見られる。

-先に軽く触れたが、2011年6月24日にういんどみるブランドとして『Hyper→Highspeed→Genius』が発売された。~
当然と言えば当然だが、発表当初から今作のこの出来故に悲観的に見ている者も少なくはなかったものの、いざ発売されてみればプレイしたユーザーからの評判は割合良好な模様((ただし、本作の出来の悪さに加えて宣伝詐欺の件により当然警戒されてしまい、多くのユーザーから様子見または完全にスルーを決め込まれたようで、売上としては振わなかった模様。そのため、『HHG』のファンディスクを望む声もあるのだが、出る可能性はほぼゼロと言わざるを得ず、結果としてファンディスクの可能性を潰す形となった本作に対して一部の『HHG』ファンの嫌悪感はただならないものがあるようだ。))。
--因みに、発売前に行われたトークショーでは''本作がKOTY大賞を受賞したことを把握している''こと、そしてシナリオがお察しなことを散々ユーザーから批判された事を受けて、会社の体制を作り直した事を明かしていた。
---本作でファンを裏切ったとはいえ、次作でしっかり汚名返上を果たすあたり、まだまだういんどみるも捨てたものではないと言える。むしろ、「修羅の国」と呼ばれるエロゲー業界ではある種異例である。
---しかし、2012年5月25日にういんどみるブランドとして発売された『[[神がかりクロスハート!>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1762.html]]』では、内容自体は本作ほど大きな問題点は無いが、携わったライターを隠すという宣伝詐欺やスタッフの発言によりブランドに対しての不信感が再燃しつつある。この作品がやってしまった騙し討ちによる傷はやはり大きいようだ。この辺りから表面化したういんどみる内部のゴタゴタが未だに収まっていないとも言える。

-2011年夏のコミックマーケットにおけるグッズ展開やブースで行われたトークショーにおいて''本作に関しては徹底的にスルーされている。''
--ユーザーからの反発を受けて、これ以上の展開をしようがない状態にあると思われる((一部の本作ファンを除いて、ブランドのファンからすれば本作は忌むべきものであると言え、下手に触れては更なる反発を招く可能性も否定出来ない。無かったことにしたいというのもあるかも知れないが。ちなみにういんどみるHPのトップからこの『でにけり』が下げられるのが非常に早かった。))。
--グッズについてはいくつか販売されているが種類も量も同ブランドの他作品に比べてずっと少ない。
---その後の新作についての雑誌インタビュー等でもこの『でにけり』のみがまったく触れられていない((ういんどみるは十周年を迎えた大手ブランドということもあってインタビューの機会も多い。ライターや原画家が続投していることもあって話に過去作の話題が挙がることが結構あるのだが、それこそ不自然に思える程に本作の話題が無い。))。メーカーサイドもこの作品の扱いには困っているのだろう。
---ういんどみるOasisから『ウィッチズガーデン』が発売された。そちらではういんどみるとういんどみるOasisの過去作のキャラクターが背景に描かれているという一種のファンサービスがあるのだが、この『でにけり』のキャラクターもしっかり登場した。気になる人は探してみよう。
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