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GOD EATER - (2013/06/30 (日) 12:29:04) のソース

*GOD EATER
【ごっどいーたー】
|ジャンル|チーム連携型ハイスピードハンティング|&amazon(B002FU7826)|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|
|発売元|バンダイナムコゲームス|~|
|開発元|シフト|~|
|発売日|2010年2月4日|~|
|定価|4,980円(税別)|~|
|分類|BGCOLOR(lightsteelblue):''改善''|~|
|~|BGCOLOR(lightsteelblue):''ゲームバランスが不安定''|~|
|ポイント|''アラガミが神速、アラガミが連撃、アラガミ連携型ゴッドイーターハンティングゲーム''&br()主人公が空気&br()BGM・オープニング・(難易度以外の)システムは高評価|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
 『[[モンスターハンター>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/900.html]]』シリーズ(以下『モンハン』と略)の大成功によってアクションの一大ジャンルとなったハンティングアクション、いわゆる「狩りゲー」の一つ。タイトルのイニシャルを取って「GE」、後発の「BURST」発売以降は「無印」とも略される。~
 ''「狩りは進化した!」''のキャッチコピーが示すように、モンハンを意識しつつもモンハンとは違った方向性を目指しており、様々な点で差別化が図られている。~
 なお、バンナムのモンハンフォロワー作としては、本作の三ヶ月前に「怪獣バスターズ」がリリースされている。
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**ストーリー
 西暦2050年頃、地球上である生命体が発見された。当初はアメーバ状に過ぎなかったそれは生物・非生物を問わずあらゆるものを「捕喰」することで、驚異的な速度で多種多様に変化し、爆発的に増殖していった。~
 東方の八百万の神々になぞらえ「アラガミ」と名付けられたその生命体によって都市は荒廃し、人命は1日に約10万人の規模で失われていった。アラガミに近代兵器は殆ど通用せず、遂には核爆発すら「捕喰」するアラガミまで出現した。もはや人類に対抗手段は無いかと思われた。~

 世界中で対アラガミ研究が急ピッチで進む中、北欧の生化学企業「フェンリル」はアラガミを構成する「オラクル細胞」の一部解析に成功する。オラクル細胞の研究は進み、そして遂にフェンリルは、アラガミの偏食傾向を利用した防御細胞板「アラガミ装甲」と、唯一アラガミを殺し得る兵器「神機(じんき)」を完成させたのだった。~
 フェンリルはオラクル細胞の技術を独占して莫大な利益を上げ、荒廃した世界の統制組織へとその姿を変えていく。残り僅かな人類の居住区は偏食細胞を用いた防御板で囲まれるようになるが、日々変化していくアラガミの嗜好に対応するために新たな偏食因子=アラガミのコアの捕獲が求められていた。フェンリルは神機の適合者を探し、破格の待遇・報酬を与えてアラガミを討伐させるようになった。~
 神機を操るため自らの肉体にオラクル細胞を投与し、神を喰らう戦士「ゴッドイーター」。彼らの活躍と犠牲によって、人類はかろうじてその種を存続させていたのである……。~

 そして西暦2071年。フェンリル極東支部、かつて日本と呼ばれていた地域に1人の新たなゴッドイーターが誕生した所から、物語は動き始める。~

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**評価点
''ストーリー''
-「アラガミ」と呼ばれる存在によって文明が崩壊した世紀末的な世界で、主人公(プレイヤー)と仲間達との交流や支部内で蠢く陰謀を描いている。ただミッションをクリアするだけで話が進むのではなく要所要所でムービーが挿入されるため、より深くストーリーを楽しむことができる。
--初見では軟派な「厨二」ストーリーかと思わされるが、実体はよく練り込まれた世界観設定が光る重いシナリオである。専門用語は説明がましくならないレベルでシナリオ中できちんと説明され、データベース(用語辞典)にもかなり詳しく載っているため、すんなり理解できる。
-主人公の所属する第一部隊のメンバーや別の部隊のメンバー等、多くのキャラクターが登場しストーリーを彩る。特に第一部隊のメンバーは話に深く関わるメインキャラクターと言えるだろう。彼らのC.V.は坂本真綾氏や阪口大助氏、中井和哉氏といった実力派の声優陣が担当、ストーリーをおおいに盛り上げてくれる。

''BGM・オープニング''
-テーマソング以外の作曲は『[[テイルズ オブ レジェンディア>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/407.html]]』でも良曲を輩出した椎名豪氏が担当している。コーラスを多用し、壮大さの中に悲壮感と緊張感が漂うBGMは本作の雰囲気にマッチしており評価は高い。
--ボーカル曲もメインテーマをロック調にアレンジした「No Way Back」((この曲は人気が高かったため、後に『太鼓の達人』にも収録された。))など名曲揃い。中盤の山場で流れる「神と人と(Vocal Ver.)」は日本のメディアとしては唯一、Hollywood Music in Media Awards 2010にノミネートされた。
---余談だが、「神と人と」オフボーカルバージョンは2010年に開催された第63回全日本新体操選手権大会、青森大学男子新体操部のBGMとしても使用された((ちなみに青森大学男子新体操部はこの演技で優勝を果たした。))。
-alanが歌うテーマソング「Over the clouds」が流れるオープニングアニメも評判となった。ちなみに製作は高品質なアニメを数多く輩出する製作スタジオ「ufotable(ユーフォーテーブル)」が担当。

''ハイスピードバトル''
-攻撃速度や移動速度、アイテムの使用速度等が全体的に速く、爽快なアクションが楽しめる。攻撃後にステップやガードをすることで攻撃後の硬直をキャンセルでき、それと同時に攻撃回数がリセットされるためスタミナが続く限り『攻撃→硬直キャンセル→攻撃』のループコンボが可能。また、敵は複数同時出現するため混戦、乱戦になりやすい。そのため戦闘のスピード感とテンションの高さはかなりのもの。
-武器は''剣と銃の二形態をいつでも切り替えることが可能。''状況に応じて接近戦と遠距離戦の両方をこなせる。
--剣形態では□・△ボタンとジャンプを組み合わせることで様々なコンボ攻撃が可能であり、神機の刀身を換装すれば殆ど別物のアクション性を楽しめる。シールドを展開してガードも可能。剣の種類は連撃によるスピード感がウリの「ショート」、仕込み銃を使ったキャンセル技が光る「ロング」、高威力の溜め斬りと攻撃の隙をガードでキャンセルできる「バスター」の3種。
--本作のタイトルでもある「ゴッドイーター」を体現したシステムである「''バースト''」の存在。剣形態から移行する「捕喰形態」で敵を「捕喰」する事で武器が活性化し、一定時間パワーアップできる。バースト状態のキャラは攻撃力やスピードが上昇し、敵の能力を模した「アラガミバレット」と呼ばれる特殊な弾丸を入手できる。これで敵を攻撃できるほか、仲間に受け渡すこともできる。アラガミバレットを受け渡されたキャラはより強力な「リンクバースト」状態に突入し、受け渡されたアラガミバレットは性能が強化されたうえで使用可能となる。
--銃攻撃では弾丸を撃って攻撃するのだが、この弾丸は「''バレットエディット''」と呼ばれる機能でカスタマイズすることができる。基本的な能力の弾も市販されているが、すぐに物足りなくなるのでバレットエディットは必須。
---普通の弾丸、レーザー、爆発する弾、相手に貼り付く弾など多種多様なパーツを組み合わせ、オリジナルのバレットを作成する。実用性重視の強力なバレットから、見た目は綺麗だが実用性皆無のネタバレットまで様々なバレットがプレイヤーによって考案されており、非常に好評。攻略サイトなどでも数多くのレシピが公開されている。
---特に「ないぞうはかいだん」「のうてんちょくげきだん」((それぞれ「内臓破壊弾」「脳天直撃弾」。本作ではバレット名に漢字が使えなかった。))と呼ばれるバレットは後述の「トリアン」戦法と合わせ、多くのゴッドイーターをクリアまで導いた。
--これらの武器には「破砕」「貫通」「切断」の物理ダメージと「炎」「氷」などの攻撃属性がそれぞれ設定されている。当然敵アラガミにも弱点となる攻撃属性が設定されており、ここを如何にして突くかが攻略のポイントなる。隠れた評価点として、これら武器には属性ごとの相互互換関係があるものの、例えば「貫通武器だけ持ってりゃ余裕余裕」と言われるようなカテゴリ毎の上位・下位互換が存在せず、自在に使い分けを楽しめるという事が挙げられる。
-NPCを最大3人までミッションに連れて行くことができるため、ソロプレイでも仲間との共闘気分が味わえる。

''手早く終わるミッション''
-スピード感を重視したゲーム性ということもあり、ミッションの所要時間は短い。''速ければ5分程度、長くても10~20分あればたいてい終わる''。3~40分もかかるようなミッションはクリア後の「チャレンジミッション」以外には無いため、短い時間でパッと遊ぶのに向いている(無論「中身がスカスカ」な訳ではない。念のため)。
--フィールドはシームレスとなっており、エリア移動による戦闘中のロードは全く発生しない。フィールドの形状も比較的単純なので敵を見つけやすく、見失う事も少ない。
-ミッションでは3回リスポーンするか制限時間をオーバーすると失敗となる。この辺りはモンハンと同じだが、本作には''「リンクエイド」''と呼ばれるシステムが存在し、体力が0になってから30秒以内に仲間から体力を分け与えてもらえればリスポーンを回避できる。「ある程度のミスなら仲間とカバーしあえる」ということでもあり、後述の問題点と合わせて本作の生命線とも言えるシステムである。

''マイキャラのカスタマイズ''
-ゲーム開始時にキャラメイクを行う。名前や性別だけでなく、髪型やボイスなども選択可能。
-マイキャラのステータスは「神機」と呼ばれる武装で決まり、服装は能力値には一切影響を与えない。そして服装のバリエーションは非常に豊富((特殊部隊の制服に始まり、パーカーやスーツ、学生服、水着、NPCとお揃いの服などよりどりみどり。))で、自由に変更できるため個性を出しやすい。
--ただし、その外観はムービーにもしっかり反映される。あまりネタに走るとシリアスなムービーが台無しになるので注意。

''快適なロード''
-メディアインストール機能はないが、それでもミッション開始/終了時以外ではロード周りのストレスはほとんど感じない。
-戦闘中もロードや処理落ちがほとんど発生しないので、ゲームのスピード感を損なうことはない。

…などなど、評価できる点はかなり多いといえる。では何が問題視されたかというと…。

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**問題点・賛否両論点
''敵が異常に強い''
-ミッション進行度に合わせて装甲(防具)を強化していても、一発攻撃を喰らうだけで普通に体力の1/3~1/2を奪われる。高難度ミッションにて活性化状態の敵の攻撃なんぞ喰らった日には、体力満タンから瀕死に、場合によっては即死することもザラ。そのためキャラの死亡率が半端ではなく、''リンクエイドがなかったら間違いなく無理ゲー''と化していただろう。一撃死を防ぐスキルもあるが、使用するのとしないのでは難易度が段違いである。
-他にも、多段ヒット技をガード→体力とスタミナがごっそり削られた挙げ句スタミナ切れでガードが解除され直撃→死亡するパターンがあったり、攻撃範囲・誘導性が異常に広い&強いヴァジュラ系の突進や飛びかかり、出が早く予備動作もほとんどないクアドリガ系のステップ(ミサイル付き)やシユウ系の手刀(ステップから繰り出される上に堕天種以上はスタンのおまけ付き)といった回避自体が困難な攻撃も多い。
--たまに使ってくる程度ならいいのだが、当たり前のように使ってくるので余計タチが悪いとも言える。
-そして中盤以降は同時討伐ミッションが多くなり、''多い時にはこのような化け物共を3~4体同時に相手しなければならない''。
-特定の難易度では一部のアラガミが同時討伐でしか出てこないことも多く、素材集めを難しくしている。ただし、この問題は後にDLCでほぼ全てのアラガミの単体討伐ミッションが配信された事で緩和された。
-また、一度敵に捕捉されたら向こうから逃げない限り捕捉状態が解除されることはなく、執拗にキャラを追ってくる。フィールドの狭さもマイナスに働き、いつの間にか合流されて大乱戦になっていることも多い。
--「1体だけにわざと見つかって隅のエリアまで誘導し、ほかの敵に見つからないうちにフルボッコ」が本作におけるセオリー。「敵の分力をこちらの総力で討つ」といえば聞こえはいいが…。それでも敵が鋭敏な聴覚を持っていると戦闘の物音を聞きつけて向こうから集まってくるうえ、合流されると分断はほぼ不可能となる((特にミッション「ピルグリム」に登場する敵は耳が良くすぐ合流されてしまうため、狭いフィールドにプレイヤー含む味方4人と敵4体が入り乱れる阿鼻叫喚の地獄絵図が展開される。))。フィールドがシームレスなので、エリアチェンジして体勢を立て直すこともできない。
-使用アイテムの現地調合や現地での入手、さらに無料回復ポイントも一切無い。回復アイテムが尽きたら、あとは相手が死ぬかこちらが死ぬかのガチンコ生存競争となる。
--ストイックなゲーム性にマッチしているとも言えるが、敵の強さを考えたら現地調合か現地調達くらいはできるようにして欲しかったところ。
-後に「トリアン」と呼ばれる戦法((スキル「トリガーハッピー(銃攻撃のエネルギー消費を減らすスキル)」とアイテム「Oアンプル(銃攻撃のエネルギーを回復する)」を併用し、「遠距離から強力なバレットを撃ちまくり、敵を近寄らせずに(敵に近寄らずに)倒す」戦法のこと。))が確立され、これを用いてなんとかクリアまでこぎ着けたプレイヤーも多い。他のゲームならいわゆる「ハメ」と捉えられかねない戦法だが、こうでもしないと一人でのクリアは不可能、とまで言われていたのだ。実際に動画サイトに公開されているソロプレイ動画も、この戦法を用いてクリアしている例が多い。
--このトリアン戦法で用いられるバレットも前述の「ないぞうはかいだん」「のうてんちょくげきだん」の2種類でほぼ固定されており、「ないぞう~」「のうてん~」で使われるモジュール(弾の種類。ないぞうのうてんの場合レーザーが使用される)以外の、特にDPO(1のエネルギー消費に対するダメージ効率)に劣る爆発、放射系モジュールは殆ど用いられず(放射モジュールを用いた瞬間最高ダメージを叩き出すバレットも生み出されたが)、またそれらを得意とするブラストという銃種は必然的に存在が空気となった。
-難関ミッションをモンハンで例えるとすれば「ドドブランゴ4体同時討伐」「テオ・テスカトルとラージャン同時討伐」といった感じであろうか。しかもそれらはストーリーミッション、つまり「''クリアしないと話が先に進まないミッション''」であり、多くのプレイヤーがクリアできずに脱落した。クリア後のスペシャルミッションでは「ラージャン4体同時討伐」と例えられる超難関ミッションも。
-「難ゲー」「マゾゲー」を好むゲームラボをして「''ちょっぴり理不尽''」と言わしめたその難易度は、キャッチコピーをもじって「''(アラガミが)神速、(アラガミが)連撃、(アラガミ)チーム連携型(ゴッドイーター)ハンティングゲーム''」と揶揄されたことも。
//--モンハンと同様に攻撃らしい攻撃をされるよりも攻撃判定付きで走ったり跳ねたりされた方が対処しづらい。本作の敵は動きが激しいので尚更である。
//---ほとんどのアラガミが間合いに関係なく体当たり系を多用するという点まで似てしまっている。中でもヴァジュラ系は一度走りだすと「助走>跳躍>着地>方向転換>以下ループ」を頻繁に繰り返すので非常につまらない。
//---その他、シユウ系ならバックステップやサイドステップからの手刀((モーションこそ手刀だが実際は全身に攻撃判定があり、その発生タイミングもサイドステップ開始と同時という色々おかしい技。おまけに堕天種以降は前者共々スタン効果が付加される。))、クアドリガ系なら前後ステップと言った具合に発生が早い・攻撃範囲が広い等の理由で避けにくいにも関わらず使用頻度が高い技が存在する。
//記述を丸ごと削除するなら編集意図ぐらい残しておいてください。
//上の「回避困難な攻撃」の項目に組み込んだだけですが。意図を書かなかったことについては謝るけど。
//そういうことですか…以前この部分が削除されていたケースがあったので神経質になっていました。それなら問題ないです。
-アルダノーヴァやツクヨミの光柱など、一部の攻撃のエフェクトで一時的に周囲の状況が確認しづらくなることがある。
--アルダノーヴァは単独でしか出現せずツクヨミも複数討伐で登場するミッションは限られるので実害はそれほどでもない。おそらく一番実害があるのはサリエル系だろう。
-怒り状態でもヘイトが蓄積されるので怒り解除直後に怒る事がよくある。
-本作では体力低下時にのみ逃亡するようになっているが、モンハンと違って振り向いた後即座に走り出す為先読みでもしない限り足止めできない。
--その仕様の影響で場合によっては「逃げられる>見つけて2、3回攻撃>また逃げられる」という事も起きる。
--行き先そのものは容易に予測できるので、すぐに追いかければ見失うことはまずない。

''敵や装備の種類が少ない''
-アラガミはザコが3種、ボスクラスが9種類。それをモーション違い、攻撃属性違いの堕天種・接触禁忌種(モンハンで言う亜種)を出して増やしている。
--ただし接触禁忌種は単なる色変えではなく、外観・攻撃方法で大きく差別化を図っている点は評価できる。例えば本作の顔と言えるヴァジュラ種は「ヴァジュラ(雷)」「プリティヴィ・マータ(氷)」「ディアウス・ピター(神)」と接触禁忌種含めて3体存在しているが、基本の骨格以外はほとんど別物である。
-装備は銃身、刀身、装甲のカテゴリが3つずつ。見た目は同じで色が違うだけの装備も多い。ただ、それによっていわゆる産廃装備や武器カテゴリの完全な上位下位互換などができ難くなっているのは皮肉というべきか。
--とはいえ前述のトリアン戦法プラスないぞうのうてんの使用比率から、銃身に関しては「火・氷・神の属性特化スナイパー」と「全属性対応の銃『ファランクス真』」の4本さえあればいいという風潮であった。
---更には剣・銃・装甲・オプションの強化パーツ等装備の種類を問わず、最終段階まで強化してもメリットスキルを打ち消すようなデメリットスキルが付いている装備も多く、銃種では上記の装備以外は大抵デメリットスキルが付与されていた。
---特に元から不遇であったブラストのカテゴリに至っては、デメリットスキルがない武器が一種類しかなく、中には「属性攻撃倍率自体は高いのに、その属性の攻撃力を大幅に下げるデメリットスキルが付与されている」などと完全に長所を殺しているものまであったりする。
--刀身に関しては、敵の攻撃力、攻撃範囲から近接攻撃に行く事へのリスクが高いため、ダメージソースとしてよりはOアンプルが切れた時のOP(オラクルポイント。銃発射に消費するエネルギー)回復で使うという見方が強く、使用率はOP回収率と機動力に優れたショートカテゴリの一強だった。
--更に装甲も、「ふんばり」という一撃死を防ぐスキルを持っている「属性バックラー」系に人気が集中していた。ふんばり自体は他に2つほど付いている装備があるのだが、1つは「鈍足」という、移動速度が大幅に低下するマイナススキルが付いており、もう1つは使用頻度が極端に低い雷属性(DLCで追加されたものを除くと、序盤に出現する中型アラガミ2体以外、雷単独の弱点属性持ちが居ない)の武器に付いていたため存在が空気、結果選択肢が属性バックラー系しかなかったのである。

''シンプルなゲームシステム''
-本作は基本的に「アラガミの討伐」がメインでそれ以外の要素は極力省かれており、全体的にシステムがシンプル。ただし、この点はゲームを進めやすい反面、選択肢が限られるなど一長一短である。
--スキルは各刀身や銃身、装甲に加え「強化パーツ」と呼ばれる「スキルを発動させるためのパーツ」を装備するだけで発動する。
---裏を返せばスキルは完全に装備に依存するため、強力なスキルを発動させるために装備が限定されてしまうという欠点も抱えている。前述のスキル「ふんばり」に関する欠点もこれによるところが大きい。
--ミッションの受注・出撃、アイテムの売買・合成、装備の作成・強化・変更、データベースの閲覧といったミッションの準備に関する全てのことがアナグラのエントランスで行えるため、いちいち他の場所に移動する必要がない。
---逆に他の場所(自室も含む)が完全に「ストーリーを進めるために行く場所」と化しており、存在意義がほとんどと言っていいほどにない。しかもストーリーの進行によって入れなくなる部屋もある。

''主人公の扱いの酷さ''
-プレイヤーの分身となる主人公はムービーシーンで一切喋らず、リアクションと表情でしか感情を表さないため完全に空気。キャラクタークリエイトの都合上仕方ないことなのだが。物語中盤からはむしろ''他の第一部隊メンバーのほうが主人公らしい働きをしている''。そしてラスボス後のEDでは……。
--上記の件からファンの間では「主人公(笑)」「モブ主人公」「スキル:空気((ちなみに実際にゲーム中に登場するスキルでもある。))」等と言われる羽目に。

''その他、細かいシステム周りでの不満点''
-ミッションのリタイアやミッション中の一時停止ができない。
--後者はPSP本体のスリープモードで代用できたが、ミッションを途中で終了したい時などはタイトル画面に戻るしか選択肢がなかった。
-NPCに対して指示が出せない。またAIも賢いとはいえず、乱戦時に敵を分散させたいのにできなかったり、プレイヤーが敵を分断しても敵を引き連れて合流しようとする。
--プレイヤーが倒れるとリンクエイド優先の思考になるのか、敵の攻撃の中を愚直なまでに近寄ってきて回復しようとするためミイラ取りがミイラになる。また、キャラによってはあっさり戦闘不能になるので、リンクエイドのために余計にアイテムを消費することになる。
-アクションの批判点もいくつかある。
--命綱とも言えるガード操作が「2ボタン同時押し」。ガードしようとして他のアクションが暴発、事故死するプレイヤーが続出した。しかもキーコンフィグ不可。
--Rを押しながら移動すると走るのだが、Rを押し続ける時間が短いと武器切り替えが暴発してしまう。そして武器切り替え受付猶予時間が微妙に長いので暴発しやすい。
--ジャンプ攻撃(空中コンボ)ができるので空中にいる敵にも対処はしやすいのだが、空中ガードがない。ジャンプ中に敵が攻撃してきたら直撃は免れない。
--ウリであるはずの捕喰は終盤になるとほぼ使わなくなる。というのも捕喰中は完全に無防備になり(捕喰のタメ~攻撃の完了まで数秒かかる。その間は移動も防御も不可)、複数の敵が入り乱れる中で行うのは自殺行為となるからである。そんなことをしているヒマがあるなら、普通に攻撃したり回避やガードをしたほうがよっぽど安全。
---バレットエディットも「ないぞうはかいだん」と「のうてんちょくげきだん」が強すぎたため、その2種類の属性違いだけ用意すればいい状況であった。アラガミバレットも1度の捕喰につき1発しか入手できず、アラガミバレットの威力もさほど高くないため、アラガミバレットを有効活用する戦術(及びバレット入手の為に捕喰をすること)など到底出来なかった。
-アイテム使用のショートカットがない。
--アイテムを使う際にはいちいち「アイテムウインドウを開く→アイテムを選ぶ→使う」という操作をしなければならず、咄嗟に使えない。
-行動の先行入力及びディレイの受付時間が極端に長い行動がある。
--ステップ>ステップ攻撃の受付とダメージを受けた後のガードなどが該当。前者は攻撃が届かなかったりするだけで大した害は無い。
---しかし後者はガードし損ねてダメージを受けた後先行入力によってガードモーションに移行するが、防げなかったからとボタンを離してしまった場合即座にガードを解除するので、その結果攻撃している敵の前で無敵もガード判定も無いただの大きな隙を晒す事になる。
-敵の弱点を狙うのが非常に難しい。
--本作の近接攻撃のヒット判定は武器の先端の物が優先的に認識されるので、特定の部位を狙う時は敵自体に当たるか当たらないかの距離で攻撃しなければならない。
---この仕様のせいでチャージクラッシュの爽快感が薄れている感は否めない。

''バグや誤植、設定ミスが多い''
-例えば、「錬金術」と呼ばれる設定ミスのせいで特定のアイテムが買値より売値の方が高い。つまりそれを買えるだけ買った後売るだけで、お金が無限に増えていく。
--もっとも、本作ではアイテムの消費が激しく、調合やバレットエディットにも金がかかる。おまけにミッションクリアの報酬金額も安いので、ミッションの失敗を繰り返すとジリ貧になる。そのため「ユーザーに有利なバグ」としてある意味救済措置になっているとも言える。
--購入できるアイテムも回復アイテムおよび便利アイテムで、装備の強化に必要なアイテム等はミッションで自ら集めなければならないのでバランス崩壊要素には成りえなかった。
//-それ以外でも、ムービー中で「2親等((本人との血縁の距離を表す言葉で、2親等だと祖父母、孫、兄弟姉妹が該当する。))」を「2等親」と言うなど誤植も多い。
//「等親」は誤植じゃないぞ。「親族の範囲の定め方には、「等親」という階級を用いて各種の親族ごとに法定する階級等親制と、世数を「親等」という単位で数えて客観的に定める世数親等制がある(wikipediaより)」

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**総評
 挙動の重さや採集などの「狩猟生活のリアルさ」を追求したモンハンに対し、明確なストーリーやサブキャラクターの存在、リンクエイドに代表される「チーム連係」の要素、高速のアクションシーンなど「漫画・アニメ的な面白さ」を追求した作品と言える。~
 体験版の配布やプロモーションにも力を入れていた((本作のプレストーリーにあたるプロモーションアニメも製作された。現在でも公式サイトなどで視聴可能。))ためかユーザーの掴みも良く、2010年に発売された完全新作タイトルの中では第2位((2010年の累計で約50万本。ファミ通調べ。なお1位は『トモダチコレクション』。))、PSPソフトの中での累計販売本数は歴代11位((約62万本。2011年10月現在までの累計。))という快挙を達成した。~
さらに付け加えるなら、PSPソフトの累計販売本数において、本作よりも上位のタイトルは『モンスターハンター』シリーズや『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』など、シリーズ物もしくはシリーズの続編が多く、事実上「''PSP史上最も売れた完全新作タイトル''」といえる((上位に食い込んでいる『ディシディア ファイナルファンタジー』の扱いをどうするかによって変わるが、FFシリーズの派生作と見れば完全新作ではないだろう。))。~

 良作となりうる素質を十分持ちながらも、調整不足としか思えない敵の強さとそれに起因するソロプレイではハメ必須という歪なゲームバランス、痒いところに微妙に手が届いていないシステム周りの不備のせいで評価を落としてしまった点が惜しまれる作品である。
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**余談・その後の展開
-完全な余談だが、無印体験版は本編よりもさらにタイトなゲームバランスであった。「体験版」ということでストーリー後半の強力な装備を作成できない他、NPCを連れて行けない(プレイヤー同士の協力プレイは可能)ため、ファンの間では「無印体験版のチャレンジミッションが一番鬼畜だった」と言われている。
-本作発売から約8ヶ月後に、アッパーバージョン『[[GOD EATER BURST>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/1066.html]]』が発売された。追加要素が豊富で、何より本作の問題点のほとんどが解消・改善されており、こちらは間違いなく良作と呼べる出来になった。
-オリジナルストーリーでのコミカライズやノベライズなども継続的に行われている。いくつかはバンナムの監修が入っており、準公式ストーリーとなっている。
-続編『GOD EATER2』が発表。2013年に発売予定。
-PSPソフト『ヴァイスシュヴァルツポータブル』においては、ゲームオリジナルの「バンダイナムコ」のカードの中に参戦している(色は緑)。『ミスタードリラー』&『ワンダーモモ』(赤)、『テイルズオブジアビス』(黄)、『ドルアーガの塔』(青)といった昔の作品が多い中では比較的新しい作品なのに起用されている。
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**特記事項
-ゲーム部分の面白さもさることながら、本作を語る上で''開発陣の真摯な姿勢''を外すことは出来ないだろう。~
事前配信された体験版から得られた意見を製品版によく反映している点に始まり(実際、無印体験版と製品版ではシステム面で改善された箇所がいくつかある)、公式サイトや開発ブログで不明な点を回答したり、後発のダウンロードコンテンツでユーザーが考案したミッションや武器、新規モンスター(「ファミ通」とのコラボレーション)を無料配信するなど、ユーザーサポートを積極的に行っている。~
『バースト』にしても、かなりのボリュームを誇る体験版の配信や、細かい所まで行きとどいたバランス修正およびシステムの改善、アペンド版という形での廉価販売も行うなどの配慮が高く評価されている。ダウンロードコンテンツも全て無料、さらに2011年12月より(有料となっていてもおかしくない)初回特典限定NPCの''無料開放''を行っており、DLC商法が横行するバンナム製ゲームの中でもいい意味で異彩を放っている。そのため「''GE開発チームはバンナム最後の良心''」とまで評するプレイヤーもいる。
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