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学園ヘタリア Portable - (2012/06/25 (月) 20:12:24) のソース

*学園ヘタリア Portable
【がくえんへたりあ ぽーたぶる】
|ジャンル|交流アドベンチャー|&amazon(B004HEXWBE)|&amazon(B006B2DR2Y)|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル、ニンテンドーDS|~|~|
|発売・開発元|オトメイト(アイディアファクトリー)|~|~|
|発売日|【PSP】2011年3月24日&br()【DS】2012年3月8日|~|~|
|定価|【PSP】通常版:6,090円/限定版:8,190円&br()【DS】通常版:5,040円/限定版:7,140円|~|~|
|分類|''クソゲー判定''|~|~|
|ポイント|キャラゲーとしてはありえないキャラ崩壊&br()二次創作参考疑惑&br()オトメイト作品としてはありえないCGのクオリティ&br()一部ファンには待望の作品|~|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
第一・二次世界大戦下の各国を擬人化し、アニメにもなった人気webコミック『Axis Powers ヘタリア』のゲーム版。もとはLiveMakerを用いて原作者自らが制作したPC向けシミュレーションゲームであった。~
ちなみに「ヘタリア」とは「ヘタレなイタリア」の略であり、元々は歴史上におけるイタリア軍の頼りない面を揶揄する際に使われる軍オタ用語である。~
いわゆる「乙女作品」であり、コアなファンを数多く持っている。それがコンシューマ向けタイトルになるというので、各層から期待されたのだが…。

**ストーリー
世界のどこかにあるという「W学園」。
ひと癖もふた癖もあるという様々なキャラが通っているこの学園に転入することになった女の子のセーシェル((一見するとヘタリアと関係無さそうな名前だが、「セーシェル共和国」という国家が実在する。インド洋に浮かぶ島国で、イギリス連邦加盟国であり、首都はヴィクトリア。))。~
セーシェルはそれまで、小さな島で暮らしてきたため、はじめて見る外の世界にドギマギ。でも、学園生活の中でイタリアやドイツといった学園の友人たちと交流を深めていきます。~

さらに、転校早々セーシェルは「クロスナショナル・パーティー」の実行委員に選ばれてしまいます。~
このパーティーは年に一度学園で行われるパーティーで、学園のみんなが交流を深める大事なパーティーです。~
パーティーの実行委員はアメリカ、イギリス、フランス、日本といった学園の中心人物たち。~
しかし、実行委員のメンバーの思惑はみんなバラバラ。なかなか思うようにパーティの準備は進みません。~

そんな最中に重要な役に就いてしまったセーシェル。~
果たしてセーシェルは学園の友人たちと交流を深め、無事にパーティーを成功させることができるのでしょうか!?~
(公式サイトより引用)

**主な登場人物
セーシェル(CV:無し)~
本作の主人公で天真爛漫な女の子。~
やや世間知らず。フランスとイギリスとは小さい頃からの知り合い。~
興奮すると変な喋り方になる。

イタリア(CV:浪川大輔)~
タイトルの「ヘタリア」を象徴するパスタとピザと女の子が大好きな青年。~
ドイツと仲が良く、フランスを兄のように慕う。~

フランス(CV:小野坂昌也)~
美しいものなら何でも好きな博愛主義者。~
イタリアと同じくらいに女の子が好きで口説くのを嗜みとしている。~

イギリス(CV:杉山紀彰)~
マナーを重んじる紳士(自称)。~
幼い頃のセーシェルを知る兄貴分でフランスとは喧嘩仲間。~

ドイツ(CV:安元洋貴)~
几帳面で綺麗好きな青年。~
規律に厳しく、規則やマニュアルにこだわる。~

リヒテンシュタイン(CV:釘宮理恵)~
見た目は小さいが礼儀正しく、自分の意見ははっきり言う女の子。~
本作では数少ない女性キャラの1人。

**システム
-パーティシステム
--実行委員8人の中から「司会」「料理」「音楽」「外装」の責任者を決める。
--パーティ当日は、会場内を歩いて参加者の感想を聞くことができ、最後にはパーティーの評価が発表される。
---「誰に」「どんな仕事を」任せたかで会場の内装やBGMなどパーティに変化が現れるが、各キャラクターには苦手分野が設定されており、最高ランク(S)を取るためには適切な役割分担が必要となる。
---ただし、攻略対象キャラクターの個別ルートでは、好感度を上げてエンディング条件を満たすと対象のキャラクターが全ての分野を担当することとなる(ランクはAで固定)。

-友好協定
--1週目で上げた友好度を2週目にも引き継ぐシステム。
--友好協定を結んだキャラとはそのキャラクター独自のイベントが発生しなくなるので注意する必要がある。

-ヘタリア小劇場
--ゲーム中に登録したボイスを使って自分だけのイベントを作成出来るシステム。
--ボイスだけでなく、服装や表情、背景を自由に設定することが可能。
--DS版では通信機能を使い、作成したイベントを送れるようになった。

-世界の談話室
--DS版での新規要素。
--室内を歩いてキャラクター達と会話するモードで時間帯によって台詞が変わったり、後述のクイズで貯めたポイントでカスタマイズが出来る。

-Wクイズ
--談話室でスイスに話しかけると始まるミニゲーム。
--世界史や世界文化に関するクイズを4つの選択肢から選んで答える。

-ワールドクロック
--DS本体の内蔵時計とリンクした機能。
--世界各国の現在の時間を知ることが出来る……が、上述通りDS本体の時計を参照する為、設定時間が不正確だとワールドクロックの時間もリンクしなくなる。

**問題点
-''原作付なのにほぼ原作無視''
--元々『学園ヘタリア(通称学ヘタ)』の世界観自体が『ヘタリア』本編とはパラレルワールドとなっているのだが…。
---本作では、『ヘタリア』の根幹であるはずの「登場キャラクターは擬人化された『国』である」という設定がぼかされており、明言されない(原作の『学ヘタ』では、本編同様にはっきりとキャラクターを『国』として扱っている)。そのため、''「だったら『ヘタリア』じゃなくてもいいじゃないか」''と方々から文句が集中。
--キャラクター設定はゲームスタッフによって学園編向けに作り直されているのだが、これに関しても不満が大きい。
---例として、『ヘタリア』本編では「年齢(歴史)を重ねているため体の柔軟性がない」という設定の中国が、「体が柔らかい」という設定になっているなど。「中国=中国雑技団の軟体芸」という連想が元であり、「国家の擬人化」という観点から見れば間違いではないが、いくらパラレルとはいえ''原作と真逆の設定にしてしまっている''点が問題である。
--二次創作にありがちなネタがちらほら見られるため、「製作スタッフが二次創作をゲーム作りの参考にした」「参考のために同人誌を購入した」という真偽不明の情報が乱れ飛ぶ騒ぎとなった。
---日本が「薄くて高い本(=同人誌)」を校内で読むほど重度のオタクで、初対面の人間とは上手く話せないほどの人見知りだったり((『ヘタリア』本編の日本には引きこもり(鎖国)の過去があり、原作者制作のミニゲーム「おそうじプロイセンさん」でメイドカフェ訪問が判明するなど確かにオタクでもあるが、対人関係に支障をきたすほど内向的ではなく、「オタクなので自分の世界に閉じこもりがち」というのは二次創作特有の極端な誇張・捏造表現である。))、セーシェルに「~っす」という原作にはない口癖があったり((原作に「~っす」という表現が全くないわけではないが、口癖と呼べるほどの回数ではない。「~っす」という語尾を多用する話し方は、二次創作作品におけるセーシェルによく見られるもの。))など。
---しかも''あまりに基本的な部分(一人称やキャラ間の呼称など)のミスもところどころにある''。
-キャラクターの絵柄が、原作ファンからの不評が多いアニメ版をベースとしており、立ち絵・イベントCGともに''作画が非常に不安定''
--原作から入ったファンからは、アニメ版の絵柄について「原作の魅力を再現できていない」との批判が根強く((原作のカラーイラストの特徴である「ピンクがかった影の色」「円を重ねたような独特のハイライト」を再現しようとした結果、「影の色が不自然」「肌や髪と服の質感が同じように見えてしまい気持ち悪い」と批判されるなど、原作のイラストを上手くアニメ調にアレンジすることができていない。))、原作調のCGを期待した層からは不満の声が上がった。
---本作の開発を手掛けたオトメイト(アイディアファクトリー)のゲームは、「テキストやシステムには難があるがCGは高クオリティ」という評価を受けた作品が多かったため、アニメ版作画の悪い点を見事に取り入れてしまったCGを見たファンのショックと落胆は余計に大きかった。
---ちなみに背景のクオリティは安定しており、キャラクターの立ち絵よりも背景の方に力が入っているように見えるほどである。
-''主人公「セーシェル」の言動が独特で感情移入がしにくい''
--各国の言語が混ざったしゃべり方や、他キャラの口癖や名台詞を使ったりとこれまた原作ファンを悪い意味で刺激してしまった。
--パーティを成功させようとがんばる姿には好感を持つプレイヤーもいるが、それ以上に独特な言動が目立ち、不快に感じるプレイヤーも多い。
-恋愛要素が薄く、乙女ゲーなのかBLゲーなのか判別しかねる。
--主人公自身が特定のキャラクターと親交を深めるルートは薄っすらと恋愛要素が入る程度((対象キャラクターのセーシェルに対する好意を匂わせる描写はあるが、どのキャラクターのエンディングにおいても友達以上恋人未満の関係を超えることはない。))であり、その他のルートは特定の2キャラ(男同士)が親交を深める様子を主人公が見守るような形になっている。
---ただし、恋愛要素の薄さについては原作自体が真面目な乙女ゲーではなかった((入学直後のセーシェルがイギリスにいきなり植民地宣言されるシーンから始まるなど、乙女ゲーのパロディと言った方が正しく、恋愛要素よりコメディ要素の方が強い。))ため、「恋愛要素の強い乙女ゲーじゃなくて安心した」という声もあり、一概に問題点とは言えない面もある。
--ユーザーが被りがちとはいえ、乙女ゲーとBLゲーは一緒にされることを頑なに拒む人もいるジャンルである。しかも本作のストーリーは乙女ゲーとしてもBLゲーとしてもあまりに中途半端であり、狙いをどちらかに絞るか一般ゲーにするべきだったという意見が多数出た。
-''ゲーム自体も薄い、というより自由度が低い。''
--DS版では追加要素があるが、その内容は世界の時刻を知ることができる時計や世界史クイズなどのミニゲーム・アプリケーションのみ。ベタ移植を避けたという点は評価できるにしろ、''正直言ってフリーソフトレベル''のものである。追加要素を入れるならシナリオを加筆修正した方が良かったのではないのだろうか。
**評価点
-ようやくの「完成版」
--PC版が「体験版」でストップしたまま公開停止してしまったため、「ようやく続きが見れる」という安堵の声も上がった。
---とはいえ、本作と「体験版」にはストーリーの繋がりが全くないため、原作者の制作した続きを期待する声はいまだにある。
-主人公以外はアニメ版の声優によるフルボイス
--声優によるシステムボイスも種類が豊富に用意されており、それぞれ各キャラの特徴を踏まえた言い回しになっている。
---しかしシステムボイスのオン・オフの設定はない(スキップできるのでそれほど気にはならないが)。
-シナリオ単体としての完成度は低くない
--原作を読み込んでいると違和感のある描写はあるものの、文章が読みにくかったり、シナリオが破綻していたりということはない。実力はあるのに本気を出せないイタリア、自分の意見をなかなかはっきり言えない日本など、各キャラが主人公との交流を通じてそれぞれの欠点と向き合い改善していく様子が描かれたりと、シナリオ自体は青春モノとして無難な仕上がりになっている。
---その違和感のある描写という点が大問題なわけだが。そこを改善するだけでも大分評価は変わっていただろう。
-システム面は充実している
--周回プレイに配慮したスキップ機能がきちんとあり、キャラクターごとにストーリーにおけるボイスのオン・オフを設定することができるなど、システム面には気が使われている。さらにギャラリーでは、CGを見るだけではなくエンディングやCG付きのサブイベントの内容を見返すことができるシーン再生機能もある(イベント中の選択肢による分岐も再現)。
-BGMはアニメ版のものが使用されている
--アニメから入った人には馴染みやすく、音楽に関してはそこそこの評価。
**総評
原作を知らないと分からない部分が多く、かといって原作を深く知っていると違和感があるという典型的クソキャラゲー。~
現在入手できるヘタリア関連のゲームは本作のみなので、「どうしてもヘタリアが遊びたい」という人はどうぞご購入を。~
評価点で挙げた通り、幸いなことにシナリオ自体の完成度は低くないので、違和感のある言動をパラレル設定だと割り切ることができる人ならばそれなりには楽しめるだろう。