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聖刻1092 操兵伝 - (2013/01/14 (月) 12:47:08) のソース

*聖刻1092 操兵伝
【わーす1092 そうへいでん】
|ジャンル|RPG|&amazon(B00006LJS9)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|ユタカ|~|
|開発元|?|~|
|発売日|1997年11月6日|~|
|定価|通常版:5,800円&br()初回限定生産版:''9,800円''|~|
|分類|&bold(){クソゲー判定}|~|
|ポイント|原作無視&矛盾の塊な仮面システム&br()金溜め辛過ぎ&br()過剰な演出|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
千葉暁氏の小説『聖刻1092』を原作とするRPG。原作小説の第1・2巻をほぼ忠実にゲーム化している。~
つまりキャラゲーなのだが、『[[真・聖刻]]』同様、なぜかパッケージも説明書も、原作の存在に付いてまったく触れていない。

**特徴
-まず原作の主要キャラであるフェン、クリシュナ、ガルンの3人の中から1人を選び、そのキャラを主人公としたシナリオをプレイする。
--一部のイベントは、フルボイスで行われる。

-戦闘は、常に巨大ロボットである「操兵」に乗った状態で行われる。
--最高3人パーティだが、コマンド入力できるのは主人公のみで、他2人は常にオートである。
--『[[ライブ・ア・ライブ>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/281.html]]』の様に、敵との距離の概念がある戦闘システム。1ターンごとに行動できる回数が決まっており、それに応じて移動・攻撃を行う。

**評価点
-OPや、一部のイベントで流れるデモはフルCGで、当時としてはそのレベルは高い。操兵の動きもスムーズである。

-グラフィックやBGMは、原作小説の雰囲気にマッチしている。
--ボス級の操兵とのバトルの前には、その操兵のCGの1枚絵が入る。

-町の中のみだがダッシュを行う事ができる。町での移動速度は元々速いのだが、文字通り疾風の如く駆け回る事ができる。
--一方フィールドやダンジョンでの移動速度は並みである。

**問題点
***戦闘関連
本作の成長システムは、「経験値によるパイロットのレベルアップ」「鍛冶屋で武器・パーツを交換して強化」「操兵の『仮面』に『聖刻石』を埋め込む」の3種類から成り立っているが、これが問題だらけ。

-仮面には「聖刻石」という石が64個埋め込まれており、この埋め込む場所と石の種類の組み合わせによって様々な特殊能力が得られる。組み合わせによって得られる特殊能力は、属性攻撃無効やHP自動再生など強力なものから、''逃走不可能''や''入手経験値半減''といったとんでもないマイナス能力まで様々存在する。
-一見すると自由度の高い育成要素に見えるが、''石には寿命があり、戦闘中に何か行動するだけで消耗して仮面の性能が勝手に劣化する''。タチの悪いことに''通常攻撃や退却といった基本行動''でも消耗するため、安定して能力を維持することが出来ない。
--64箇所中特定の8箇所に置かれた石は寿命を回復できるが、回復速度は遅い((回復方法は他に無い。))。しかも、1度寿命の尽きた石は灰色((説明書に「灰色」と書かれているが、実際にはどう見ても黒である。))になって回復も復活も不可能になる。
--新たな石は、特定のイベントをこなすか、敵が戦闘後にランダムで落とす仮面から埋め替えることでしか手に入らない。仮面のドロップ率自体はそれほど低くはないのだが、入手できる石の色や寿命はバラバラで、やはり安定しない。
-そもそも''64個所も置き場所のある石の組み合わせなど、とても覚えていられるものではない''((厳密には消費しない代わりに外せない石も何箇所かあるが、それでも50箇所以上はプレイヤーが決めなければならない。))。
--石の寿命一覧リストなどといった気の効いた機能は存在しないので、いちいちカーソルを動かして寿命の少ない石をしらみつぶしに探さなくてはならない。
--戦闘中に石の状態を表示する機能はないため、どの行動でどれくらい石が消耗するかは殆ど分からない。
--一度獲得した特殊能力の付加方法を確認できる機能が付いている…''はずもなく''、いちいち64個分メモ等に残しておかなければ即劣化して消滅してしまう((恐らく後述の特典を活用しろという事なのだろうが、これも使い辛く…。))。
--石の配列を保存する機能など、当然のごとく付いていない。
-尚、原作では仮面の寿命は100年程度はあり、そんなにすぐに石が消耗したりはしない。そもそも仮面から聖刻石を取り外したならその時点で仮面は「死んで」しまい、一度死んだ仮面は復活する事は決してない。つまり''完全に原作を無視した''システムなのである。
--説明書には「石は仮面から外すと効力を失うので、石だけアイテムとして持っていく事はできない」とある。つまり予備として持ち歩いたり、敵に応じて付け替えたりはできないのである。''なぜ余計な所だけ原作に合わせるのだろうか''?
--というか「外すと効力を失う」物をそもそもどうやって交換しているんだ?

-パイロットの能力は、1ターンにおける行動回数と、操兵の能力に対する「補正値」のみ。従って行動回数が増えない限りは、レベルを上げてもそれ程強さは変わらない。
--しかもレベルアップの必要経験値がやたらと高く、なかなか上がらない。
--魔法や必殺技は、イベントや宝箱から入手する為、新しい場所へ行かない限りはまったく増えない。

-装備品の交換は、あくまで「交換」なので、余った装備品を仲間に渡す事もできない。それどころか買い替えるとそれまで装備していたものは下取りではなく、ただ失われるだけ。その上どれもこれも値段が高い。
--敵を倒しても、仮面以外のアイテムや金は落とさない。金はイベントや宝箱からも入手できるが、それ以外で稼ぐには道具屋で売られている「交易品」と呼ばれるアイテムを利用するしかない。
---これは売る以外に使い道が無いアイテムだが、買値と売値が町毎に違う為、差額で儲ける事ができる。しかし、''どの町で何が高く売れるかなどという情報は滅多に無い''ので、博打で買うしかない。『[[ドラクエ>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/269.html]]』のルーラやリレミトに当たる手段は存在しない為、高く売りたければ長いダンジョンを抜けた先の町に行かなければならない…なんて事まである。
---しかも余計な事に、アイテムは1種類に付き9個までしか持てないので、1度に稼げる額にも制限が付いてしまう。
--敵の仮面は、石を交換せずにアイテムとして拾えば売る事はできる…という触れ込みだが、''1度交換画面を開いた途端、石をまったく交換していなくても、アイテムとしては持っていけなくなってしまう''。前述の通り石は消耗が激し過ぎる上に何が手に入るか判らないものだから、交換画面を開かずにはいられない存在だというのに…。

-武器は鍛冶屋で鍛えられるが、鍛えられる回数が決まっている上に、費用の割にあまり強くならない。しかもゲームが進むと武器は自動的に新しいものに交換されるため、''下手に初期の武器を改造すると大損に終わる''。

-敵の強さもメチャクチャ。HPが3500しかない時期に''1ターンに4回も5回も行動し、1700ぐらいダメージを与えてくるザコ''が当たり前の様に出てくる。HPは店で売られている装備品によって決まるので、「その時点でのHP」はどうしても決まり切ってしまう。
--仮面の特殊能力次第では、どうにかなるかもしれない。結局本作における戦力とは常に仮面ありきであり、レベルや装備品は補助的なものに過ぎない。''しかしその仮面がよりによって1番不安定なので…''。
--そしてエンカウント率もやたらと高い。しかし逃げても石は消耗する…。

-メインの主人公たるフェンのシナリオが最悪で、''行けども行けども装備品屋が出てこない''。武器を鍛える事ならできるが、前述の通り高い・鍛えてもあまり強くならない・いずれ上位の武器に交換されると3拍子揃っている。故に当分仮面の特殊能力に頼るしかないのである。
--一方ガルン編は、最初から仲間が2人おり、その2人と別れてからもイベントで大金が手に入るため、序盤はサクサク進む。しかし''上記の極端に強いザコが突然出現するようになり、いきなり勝てなくなる''。

-石の組み合わせによって「剣質」という特殊能力も変化するのだが、これの効果説明は説明書を含めてどこにも無い。
--強力な攻撃を使うには、MPに当たる「冷却水ポイント」を消費するのだが、必要消費ポイントも表示されない。
--「戦闘での行動に応じてどの石を消費するかが違う」との事だが、どの行動がどの石に対応しているかはやはり説明が無い。

-仲間のAIが''とにかくバカ''。仲間は元々装備交換や仮面のカスタマイズが効かない上、作戦などの指示も一切できず、ザコ相手に必殺技を撃ちまくり、ずぐガス欠になる。
--主人公が回復アイテムを使ってあげる事は出来るのだが、''ボス戦に限って技を使わない''。通常攻撃ではボスには大したダメージを与えられないので、せいぜい弾避けぐらいにしかならない。
--そもそも''ステータス画面では主人公の能力値しか見る事はできない''。

***それ以外
-メッセージの句読点や改行の位置がおかしく、読み辛い文章が多い。
--町の住民の台詞に、無駄なものが多い。''「こんにちは」としか言わない住民が10人近くいる町まである''。
--イベントでも、画面が光ったり揺れたり効果音が鳴ったりといった演出があまりなく、上記の悪文ぶりも相まって''[[シリアスなイベントのはずが棒読みコントに見えてしまったりする>SIMPLE2000シリーズ Vol.19 THE 恋愛シミュレーション 私におまカフェ]]''。

-ストーリーは下手に原作に忠実なものだから、負けバトルイベントも多く、酷い時には''幹部級のボスが負けイベントの後に勝手に死ぬ''。
--勿論''負けバトルでも石は消耗する''。

-操兵で移動するフィールドやダンジョンでは、1歩歩く毎に''カーンキーン!カーンキーン!!''と甲高い足音が鳴る。聞き続けていたら耳が痛くなるだろう。

-OPデモの前半はセルアニメーションかつフルボイスによるものだが、''BGMがうるさくて声が聞き取れない''。

-世界地図を見る事ができるコマンドが存在する。町や、次に行くべき目的地は表示されているのだが、''肝心の現在位置が表示されない''。地図上では山や森の表示もアバウトなので、ダンジョンを抜けて新しい場所へ付いた時などは混乱する事もあるだろう。

-宝箱には、1度開けるとそのまま・空っぽのままだが画面切り替えで蓋だけ閉まる・''中身を取っても蓋が閉まりっぱなし''の3パターンがある。選考の基準は不明。おかげで取り忘れた箱を取りにダンジョンへ戻ると確実に混乱する。ファミコン並みである。
--というかファミコンでも大体どれか1つに統一されているだろう。

-セーブには3ブロック使用するが、1つのメモリーカードに1か所しかセーブできない。恐らく下記にある主人公を同時に進められる仕様のせいか。なお''町でしかセーブはできない''。
--長いダンジョンを苦労して抜け、そこにあった町でセーブしてみたが、石は消耗していて、店ではろくな装備が売られておらず、次の町に行こうにも敵は極端に強くなっており…なんて事も大いに起こり得る。''八方ふさがりである''。
--1つのセーブデータで、主人公3人のシナリオを別々に進められるのは美点かもしれない。とはいえ全てクリアしても隠し要素などは存在しないが。
--なおセーブは基本的に宿屋で行う。本作では鍛冶屋で回復を行うため、宿屋はセーブ専門の場所となる。しかし、無料・有料・''有料だが支払いを断ってもセーブできる''という3パターンが存在する。宝箱同様、これの選考基準も謎である。

-敵味方とも、技の演出がやたらと長い。10回近く敵を殴り付ける技なんてものまである。これを''1ターン中に何回も使われた日には…''。

**特典「仮面成長シミュレーター」
本ソフトには、通常版の他に初回生産限定版が存在しており、これには操兵の「仮面」の模型と、その裏面に配置できる聖刻石(BB弾サイズのプラ玉)が同梱されていた。

-ゲーム上における主人公の仮面と同じ様に玉を配置しておき、ゲーム中に石を入れ替えてその効果が気に入らなかったら、特典の配置を見直して元通りに並べ直しなさい…という''えらく使い道の狭そうな特典''である。
--そもそも、元の位置に戻そうにもどんな石が手に入るかはランダム(以下略)。
--玉をはめる穴自体が浅いので、ちょっとした衝撃でも玉は転がってしまう。
---玉の入っているケースはプラスチック製だが、蓋がきつくて妙に開けづらい。玉が勝手に転がり出す心配は無いが、蓋を開ける時にひっくり返しそうな構造でもある。
-この他、玉をコマにした対戦ゲームもできるという触れ込みなのだが、プレイする人がいるかどうか微妙なものである。そもそも玉は、コマにするには小さすぎて扱い辛い。
--[[なんとかゲームにも使えるようにしようと知恵を絞ったスタッフの努力を認めるべきだろうか>クロスハンター]]?

-仮面は樹脂製で、ウェザリング(汚し塗装)も入っており、質感自体は良い…というか、''まるで呪いのアイテムか何かの様に生々しい出来''となっている。原作のイメージ通りではあるのだが気持ちの悪い特典…''[[モッコス>ゼノサーガ エピソードII 善悪の彼岸]]ですか''?
--仮面の上部には小さな穴が開いている。''壁掛けにでも使えと''?
--因みにこの特典の為に''定価は4000円跳ね上がっている''。
--パッケージ裏には、特典の使い道やゲームに付いての説明も載っているのだが、原作準拠の専門用語ばかりが並んでいる為、キャラゲーだと気付かない人には意味不明の一言でしかないだろう。

**その他
-説明書に「このキャラは実はスパイだ」などといった重大なネタばらしは無い。
-ゲーム中、主要キャラの名前を何度も間違える様な重大な誤字脱字は無い。
-戦闘では技や魔法が使える為、''レベルを上げて物理で蹴るしかない''などといった事は無い。
-レベルアップに必要な経験値は、きちんと表示される。
…「そんなの当たり前じゃないか」と思った人は、『[[真・聖刻]]』の項目も読んでみよう。~
それにしても、''なぜ2作揃って原作の存在に触れようとしないのだろうか''?