「宇宙刑事魂」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

宇宙刑事魂 - (2012/12/28 (金) 21:47:56) のソース

*宇宙刑事魂
【うちゅうけいじだましい】
|ジャンル|魂アクション|&amazon(B000EXGGQU)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売元|バンダイナムコゲームス|~|
|開発元|デジフロイド、キャトルコール|~|
|発売日|2006年5月25日|~|
|定価|7,140円|~|
|分類|''クソゲー判定''|~|
|ポイント|ハンターキラー万歳&br()シャリバン・シャイダーおまけ&br()曽我さんに謝れ|~|
//|>|>|CENTER:&color(red){クソゲーオブザイヤー2006/ノミネート作品}&br()[[ガンパレードオーケストラ(三部作)>ガンパレードオーケストラ]]/[[ダージュオブケルベロス ファイナルファンタジーVII]]/''&color(black){宇宙刑事魂}''/[[THE 男たちの機銃砲座>SIMPLE2000シリーズ Vol.100 THE 男たちの機銃砲座]]/&br()[[ファンタシースターユニバース(PS2/Win)>ファンタシースターユニバース]]/[[カルドセプトサーガ]]/[[縁日の達人]]/[[聖剣伝説4]]|
|>|>|CENTER:''[[クソゲーオブザイヤー関連作品一覧>KOTYゲーム一覧]]''|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
80年代の特撮ヒーロー番組の金字塔・宇宙刑事3部作を原作としたゲームソフト。~
数年前から発売する発売すると言ってはいたのだが、06年にようやく詳細が発表された((発表自体は4年前から、画像公開は2年半前から。恐らく原作のDVDと同時期に出す予定だった模様。))。

2012年現在、メタルヒーローシリーズ単独のゲームソフトは、ファミコンソフト『特救指令ソルブレイン』を除けば本作のみとなっている。

**特徴
-以下のキャラクターは、原作通りのキャストが声を演じている。
--ギャバン、シャリバン、アラン、コム長官、ボイサー((但し1言のみ。恐らくライブラリ出演。))、大山小次郎、ナレーター((『シャリバン』までの担当だった正宗一成氏。))、~
ハンターキラー、サンドルバ、魔女キバ、原作の3大首領((ドン・ホラーは前半の担当者である飯塚昭三氏。サイコ、クビライと3役でもある。))

-シャイダーとサイダブラー(&サイミンダブラー)は故人なので代役。またミミーとアニーも代役である。

-宇宙刑事シリーズはその人気とは裏腹に、『[[スーパーヒーロー作戦]]』で所属組織を悪者にされたり、『[[同・ダイダルの野望>スーパーヒーロー作戦 ダイダルの野望]]』では脇役扱いだったり、''『[[スーパー特撮大戦2001]]』は単純にクソゲーだったり''と、ゲーム界では不遇な扱いを受けていた。それがようやく単独でゲーム化されると話題になった。雑誌『ハイパーホビー』は、わざわざ特集の別冊付録を付けた程である。
--更にオリジナルシナリオのボス「暗黒銀河女王」を、『電子戦隊デンジマン』や『[[恐竜戦隊ジュウレンジャー>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/884.html]]』で敵ボスを演じた特撮界の人気女優・曽我町子氏が担当した((宇宙刑事シリーズでは『ギャバン』のミツバチダブラー・『シャリバン』のシニガミビーストを、他のメタルヒーローでは『時空戦士スピルバン』で女王パンドラや『世界忍者戦ジライヤ』でクモ御前を演じる等シリーズと縁が深い女優である。))。しかも発売直前に急逝した為、「曽我さんの為にも必ず買う」と、多くのファンに決意をさせた。
--製作元のデジフロイドとは、[[『仮面ライダー』の格闘ゲーム>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/350.html]]を02年から毎年開発している会社。どれもゲーム的には大味だが、細かいセリフなどのネタ面は秀逸であり、あくまで番組のファンディスクとしては重宝されていた((会社のはす向かいに曽我氏の経営するアンティークショップがあり、社長は前々から知り合いだったとのこと。))。
---製作元が発表された時は、ファンに一抹の不安を感じさせたものの、ライダーゲーとは対象年齢が違うのだし、それほど問題視はされていなかった。
…と、この様に特撮ファンは期待を煽られて行ったという経緯がある。さてその出来はというと…。

**問題点
***各モード
-「ギャバンモード」は、『ギャバン』の原作に沿ったストーリーモードなのだが、7面しかない。
--1面と2面は怪人から子供を逃がさなくてはならないのだが、この子供がバカで、わざわざ敵の方に走って行ったり、ただウロウロしていたりする。
--5面は''怪人を操作して寿司の取り合いをするという謎のミニゲームだけで片付けられている''。
---原作では怪人は寿司を1人でたいらげている。なぜこんなミニゲームを思い付いたのかは不明。また''誰と寿司を取り合っているのかも謎''である。
--敵の戦闘機が飛んでくると、ただ逃げ回るしかなくなる。サポートメカを呼んで対処するなどということはできない。サイバリアンと電子星獣ドルはデモに少々出てくるだけ。ギャビオンは未登場。

-このギャバンモードをクリアすると、ゲームオリジナルの「魂モード」が出現する。このモードは本ソフト最大の売りとされており、雑誌でも詳しく紹介されていたが、実はその紹介記事の内容がほぼ全てであり、非常にペラい出来であった。
--「シャリバンが洗脳されて敵に!」…1面で確かに敵として登場するが、あっさり正気に戻って仲間に。
--「銀河警察最大の危機!シャイダーやコム長官が人質に…」…シャイダーは2面で勝手に脱出している。コムも3面をクリアすればあっさり助かる。
---更に''「変身したら人質を殺すぞ!」と脅されているのに、あっさり変身して助けてしまうシャイダー''。脳みそを使わず脚本を書いているとしか思えない。
--「プレイヤーの選択で結末が変わる!」…''4面で2つのルートに分岐するだけ。エンディングもたった2種類''。
--「禁断のコンバットスーツ・バリオゼクター出現!」…4面で突然出てきて、倒したらあっさり死ぬ。デザインはかっこいいのにもったいない。それどころか''別ルートだと影も形も登場しない''。
--「3大刑事が倒した組織のボスが復活!」…復活が不完全だったと言い訳しながら3体揃って生首だけで登場する。他の2体はともかく''サイコまで首だけ''である。しかも3体とも動きは全く同じ。例によって''1面で倒されてあっさり全滅''。
---なおパッケージイラストのサイコをよく見てみると、''首から下がスパッと断ち切られている事がわかる''。確かに嘘はついていなかったという事だが…。
--登場する敵キャラは、基本的にギャバンモードからの使いまわし。色を変えただけの「暗黒ダブラー」というのも申し訳程度に2匹いるが。
-…と、この様に、ネタ自体はおいしいのに1面だけで片付けられてそこまでという例ばかりである。
--ラスボスの暗黒銀河女王も、曽我氏の怪演により活き活きしたキャラになってはいるものの、性格は「只の悪い奴」であり、かつて彼女が演じたヘドリアン女王や魔女バンドーラの様な魅力的な悪役とは言いがたい。
---むしろ勝手にスペースカノンを撃とうとしたからと部下を処刑する、小物である((どの道撃つつもりだったはずなのだが、自分のタイミングで発射したかったのだろうか?))。
---というかそもそもこの女王、''要するにどういう存在なのか説明が全く無い''。説明書にも人物紹介は無く、ゲーム中でも初登場シーンでギャバンから「待て!暗黒銀河女王!」と当たり前の様に呼ばれている。部下も3刑事に倒された面々を蘇らせた者ばかりで、自前の部下は誰1人登場しない。
--ところでこの2モード、''説明書にラスボスの倒し方が明記されている。写真入りで''。

-そして何よりもわからないのは、『ギャバン』の敵幹部だったハンターキラーが異様に持ち上げられているということである。彼は原作では保身の為に仲間を殺すなど、救い様の無い悪人だったのだが、本作では終盤で唐突に改心し「もう1人の宇宙刑事」「ハンターキラーの犠牲によって平和が訪れる」などと称えられるのだ。あまりにも改心が唐突なので「何か裏があるのでは?」と思えてしまうほどだが、''何も無い''。
--原作でもギャバンを(間接的に)助けた事はあるのだが、新幹部の台頭で自分の地位が失われる事に危機感を感じての行為であり、決して「正義の心に目覚めた」というカッコいい動機によるものではない。
--選択肢次第では敵のまま倒されて死ぬのだが、その場合もギャバンは「可哀想な奴だったのかもしれない」と呟く。''あなたのお父さんが殺された元凶なんですが''。
--バンダイの上部にファンでもいたか、よりにもよって''『スーパーヒーロー作戦』を開発の参考にされてしまった可能性すら否定できない''。…宇宙刑事ファンにとっては苦い作品である代物だというのに((そちらでもハンターキラーは「敵になりたくもなる事情」があったとフォローされている。))。

-ストーリーモードはこの2種類だけで、『シャリバン』と『シャイダー』のモードは無い。敵キャラも前述のボスの生首以外は、戦闘員が魂モードに1面ずつ出てくるだけ。更に変身ナレーションまで無い。完全にギャバンのオマケである。
--PVでは、3刑事がそれぞれ自身の番組の戦闘員をなぎ倒しながら変身するという映像があった。確かに魂モードではその組み合わせで戦う事になる為、やはり嘘をついたわけではないのだが…。
--この2モードには、面ごとに倒した戦闘員数が発表されるリザルト機能があり、新記録を出すと知らせてくれるのだが、記録の一覧表を見ることはできないのでこれまでの記録を確かめる術は無い。

-アニーも使用できるが、まったく魅力が無い。
--変身できないのは原作通りだから仕方ないが、ダッシュもできず、''ロボットの様にテコテコ歩く''。
--回転キックのモーションも異様にもっさりしている。
--壊れた機械の様に「負けないわよ!」というセリフばかり連発する。

-かなりプレイしないと出現しない「アニーとミミーの大冒険」という隠しモードがあるが、これも脱力モノ。
--ミミーはやはり壊れた機械の様に「私達も戦いましょう」と言いながら付いて来るだけで、何の役にも立たない。
--しかもミミーの''夢オチだった''というふざけたエンディング。
---因みに『シャリバン』のリリーは''名前すら登場せず''。

-フリー対戦モードもあるが、プレイヤーは怪人キャラは使用できず、更に2人プレイもできない((CPUとしか対戦できない。))。クリアしても特典などはない。
--そのくせ本ソフトの隠し要素の殆どは「このモードで使えるキャラの出現」である。使えるようになっても、モードの出来がこれではそもそもプレイする気にならない。

***操作性関連
-3人の宇宙刑事は、全員性能が全く同じ。
--光線技は撃つのに時間がかかり、大体モーション中に阻止されるので使い道は無い。
--必殺技は任意で出せず、''ボスに止めを刺すとデモで勝手に出る''。
--飛び蹴り技は、''物理法則を無視しておかしな方向に飛んでいく''ことがある。命中率も低いので、やはり使い道に乏しい。
--通常攻撃は一応敵をある程度追尾する仕様なのだが、たまに見当違いの方向を延々殴り続けたりする。

-仲間のAI操作が''とにかくバカ''。ただひたすら敵に近付いて殴る蹴るする以外考えられないらしく、しかもプレイヤーと敵の間に平気で割り込んで邪魔をしたりする。
--仲間に指示を出す事は出来ない。最終面の1つでは''敵の必殺技にも平気で突っ込んでいって無駄死にする為、プレイヤーが1人で倒さなければならなくなる''。

-中ボスの殆どは透明化できるのだが、その能力に任せて攻めて来る奴ばかり。透明化できないサンドルバが実質最弱のボスである。原作では一応幹部なのに。

**評価点
-サバイバルモードは、唯一遊べるモードとして評価された((飽きが早いとも言われたが…。))。とはいえこれも問題だらけ。
--「NPCと共に敵を倒せばライフが回復する」というイベントが起きるが、何体倒せばいいのかはまったく表示されない。
--更に、本モードでは前述のハンターキラーまで仲間扱いで出現する。
--更にもう1人、「制限時間敵から逃げる」といったイベントで使う事になる一切戦闘能力を持たない人物まで仲間扱いで出現する、石を投げて牽制しかできない((そもそも、この牽制も操作の際に子どもが捕まったらそれを落とすために使用するだけである。))ため正直役立たずである。

-『ギャバン』にゲストで登場した宇宙刑事「アラン」を使用できる。原作通り『[[仮面ライダーV3>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/29.html]]』の宮内洋氏が声を演じている。
--原作通りコンバットスーツ姿にはならないが、ギャバン達の変身と同じ要領で宇宙服姿に変化でき、フラッシュ・イン・ゴーも発射できる。
--もっとも魂モードでは冒頭に少し登場して喋るだけだが。

-各モードでは、原作の3番組に登場したアイキャッチが挿入される。効果音を含めて原作通りの出来。
--更にアニーモードでは描き下ろしのアイキャッチが2枚用意されている。''もっと作り込むべき点があったのではなかろうか''。

-3人連続変身&名乗りシーンがある。しかも操作キャラが最初に変身でセンターに来るというちょっと嬉しい仕様である。
--ただし変身BGMは操作キャラの主題歌である。

**その他
-予約特典として「宇宙刑事手帳」という小冊子が貰えた。放送当時に児童誌『テレビマガジン』に載った記事を再録した物なのだが、文字が小さすぎて読みにくい。
--またシャイダーの漫画版も1話再録されているが、単行本に収録済みの話である((未収録の話を載せた方が良かったのではないだろうか。))。

-以上の様に、ネタ・ゲーム性共に非常に薄味であった。その事自体はキャラゲーでは珍しいことでもないのだが、曽我氏の遺作であったことが災いして「遺作を汚した!」とファンの怒りを買ってしまい、相乗効果で叩きまくられた作品である。
--今でもファンの多くから、「氏の遺作は『魔法戦隊マジレンジャー』((およびその海外版である『パワーレンジャー ミスティックフォース』。))」と呼ばれており、本ソフトは黒歴史とされている。
--しかしこの半年後、同じデジフロイドが出した『[[仮面ライダーカブト>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/18.html]]』のゲームはネタ・ゲーム性共に非常に評価が高く、更に本作の数少ない良点であったサバイバルモードやゲージシステムもフィードバックされており、「デジフロイドの奇跡」と呼ばれる程完成度の高い作品となっていた((イベントで公開された試作版は画面構成が本作とまったく同じだった。))。もしかしたら本作は、『カブト』を良作にする上での捨て石…だったのかもしれない。

-2012年、ギャバンと[[スーパー戦隊>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/959.html]]が共演する映画『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』が公開された。同映画にはギャバンの能力をコピーしたという設定の「ギャバンブートレグ」という敵怪人が登場したが、初期に発表された画像では「黒地に赤いライン」という、本ソフトに登場するバリオゼクターと似たイメージだった。とはいえ意識してデザインされたのかは不明だが。
--実際の映像に登場したブートレグは「銀地に赤ライン」で、バリオゼクターとは全く異なるイメージになっている。
----