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ダライアスR - (2011/04/18 (月) 02:53:27) のソース

*ダライアスR
【だらいあすあーる】
|ジャンル|横シューティング|&amazon(B00006WLI9)|
|対応機種|ゲームボーイアドバンス|~|
|発売元|パシフィック・センチュリー・サイバーワークス・ジャパン|~|
|企画元|ライドオン|~|
|開発元|ラディック|~|
|発売日|2002年12月13日|~|
|価格|4,800円|~|
|分類|&bold(){劣化移植では済まないクソゲー判定}|~|
|ポイント|過去シリーズの名曲全方位改悪&br()別会社のBGMを無断で使用&br()ダライアスR(レイプ)&br()ゲーム自体の出来も駄ゲー未満|~|
|>|>|CENTER:''[[ダライアスシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/225.html]]''|

**概要
-タイトーの名作STG『[[ダライアス>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/139.html]]』のGBA移植版。元祖であるアーケード版一作目の移植である。
--ただし一部のボスはPCエンジン版『スーパーダライアス』よりの孫移植。ステージ数の減少(後述)に伴い、ステージ配置やボス配置は大幅な変更がされている。
-同ハードの数少ないシューティング、そして、2000年代のダライアス移植新作として期待されたのだが…。

**問題点
-ステージ数は5ステージまで、分岐を含めても全15ゾーンと大幅に少なくなっている(原作は全7ステージ、26ゾーン)。
--もっとも家庭用版でゾーン数が減少するのは、ダライアスでは珍しくない話なのだが……。
//ちなみに良作と名高いPSPソフト[[ダライアスバースト>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/343.html]]は全11ゾーン+3(ミッションモード専用ステージ)である。
//--バーストにおいてもボリュームの少なさは問題点として指摘されているため擁護とはなりえない。またバーストは一部難点を持って余るほどの長所や魅力を持ち合わせた作品でありそれ故に良作と評価されている作品なのである。
//バーストの評価はこの記事の目的から外れている。また本作とバーストのクオリティを比較することには意味がない(お話にもならない)ので、バースト話のキッカケとなった記述とあわせて、まとめてCO.
-横視点STGなのに&bold(){上下にもスクロールする}ため、画面外から敵や敵弾が降ってくることがある。
--自機移動に合わせて上下(左右)にわずかにスクロールする横(縦)STGは決して珍しくないが、たいてい画面外から弾を撃たないなどの配慮をしているものである。本作にそのような配慮はない。
--加えて、自機シルバーホークやザコ敵のサイズが妙に大きい。おそらく、GBAの解像度に合わせてグラフィックを描き直さなかったと思われる。
-全体的に1ステージがやたら長く、単調。
--もっともステージ道中の長さと単調さは、アーケード版でも指摘されていた。
---だが、これほど好き放題に弄っておいて、15年以上前から指摘されてきた欠点だけはそのまま放置するという所業は、断じて擁護できるものではない。どうせ完全移植の意志など最初からないのだから、ステージの尺を短くするなり敵の配置を工夫するなり、いろいろと手段はあったはずである。
-不安定で脈絡のないボスの強さ。
--''ステージ1(ZONE A)のボスが一番強い''と言われるが、これはこちらの装備が整ってない事と、画面が狭い(自機が大きい)せいで弾を避けづらくなってる事が大きい。
--ボスと緊張感ある戦いができるのは、おおむねステージ2~3まで。
--ステージ5(最終面)のボスともなると、わずか10秒ほどで沈んでいく。
-避けにくい敵と地形。
--背景にまぎれて敵弾が見にくい。
--前述のように自機が大きい。
--元々原作でも、最強状態のハイパーアーム(シールド)を持たなければ地形に触れただけで即ミスになるのだが、本作では画面が上下スクロールするため、どんな状況からでも即死がありうる。
---安心して動けるのは地形のないゾーンだけである。
--原作では、地対空レーザーを撃つ砲台だけはアームがあっても触れたら即死だったのだが、本作では一部のボスも即死攻撃を撃ってくる。
---わかっていれば避ければいいだけの話だが、初めてやられた時は理不尽感と不快感だけが残る。

この時点で、甘く見ても駄ゲーレベルの劣化移植と言ってもいいレベルであるのだが、BGM等の音楽があまりにも酷く、それがクソゲーと評価される決め手となる。
**史上稀に見る最低BGM
-そもそもダライアスシリーズのBGMはタイトーのサウンドチーム「ZUNTATA」が担当しており、非常に評価の高いものなのだが…。
-本作は初代『ダライアス』(と『スーパーダライアス』のボス)の移植作品のはずなのに、BGMは『ダライアス』『ダライアスII』『ダライアス外伝』『Gダライアス』4作品のごちゃ混ぜである。
--中でも『ダライアス外伝』の出現頻度が高い。初代『ダライアス』は少ない部類である。
-全体的にアレンジがひどすぎる。
--全曲の全ての部分にわたって音割れを起こしている。GBAは元々音割れを起こしやすいハードではあるが、ここまでの音割れは前代未聞である。
--&bold(){サビ前でループ}する。逆に途中から始まったりすることもある。
---わずか30秒ほどの曲(ゾーンクリア時BGM)ですら最後まで収録しておらず、前半部分が延々とループする。
--各旋律を演奏する音色の選定がおかしい。主旋律がこもって聞こえづらかったり、逆に異常にキンキンしてうるさいこともある。
---ひどい場合は、主旋律が全部オケヒットで演奏されていたりもする。
--和音とコードという概念を、十分に理解できていない様子がうかがえる。特にベースラインは完全に不協和音のオンパレードである。
--他にも素人が聞いても分かるほどに音が外れている、特徴的な数秒ほどのフレーズのみを延々繰り返し流し続ける、曲に妙なエコーをかけるなど。
-…とまあ書くだけでうんざりしてくるが、アレンジの方向性だけはやたらとバラエティに富んでいる。しかもそのすべてがBGMの劣化に繋がっている。
--もし仮に音楽作成者が、これに気付かないほどの奇特な人間であったとしても、他のスタッフが聞いたら絶対におかしいとわかるはずである。
-めちゃくちゃにシャッフルされている曲順。
--ステージ1(ZONE A)のBGMに原作ではステージ3(ZONE D)の「COSMIC AIR WAY」が使われている。
//---余談だが、ゲームボーイ版『サーガイア(ダライアスのタイトル変更移植)』も、何故かステージ1の曲はCOSMIC~である。しかし出来の差は一目瞭然。
//---初代ダライアスのBGMは「どのタイプのステージ」であるかでBGMが設定されており、例えば宇宙洞窟ステージのZONE A,H,N,P,Wでは「CAPTAIN NEO」となる。ゲームボーイ版『サーガイア』の1面はもともと「Cosmic Air Way」が流れるステージ。一方今作のものはZONE Aが宇宙ステージであるにもかかわらず「Cosmic Air Way」になっているために批判されている。
//サーガイアの音楽についての記述は話の流れを断ち切っており、また「曲順シャッフルには前例もある」と本作擁護と解釈される恐れもあるので恐縮だがCO。どうしても書いておきたいのなら末尾の「余談」に移動させてはどうか?
//話がそれるが、サーガイアは「ゲームカタログ(仮)」で一項目とするに値する作品だと思う。ハードウェアの低性能ぶりを思えば「名作・良作」でもいいくらい。問題は現在プレイ環境を持つ人間が少ないことか。
--それどころか道中ステージの曲はステージに、ボスの曲はボスに、というレベルの配慮すらしていない。
--本来のステージ1BGM「Captain Neo」は&bold(){ラスボス戦で}流れる。
--と思ったらステージ1BOSS戦になると&bold(){続編の}『Gダライアス』のラスボス戦BGM「Adam」が流れる。何故?しかも原曲の後半部分は''全カット''。
--ステージ2以降は、これまた続編の『ダライアス外伝』から、ブツ切り状態で収録された「VISONNERZ~幻視人~」((本当は1面から2面ボス前まで続けて演奏されているのに、Rでは1面部分と2面部分とで2分割されている))やら、特徴的なイントロが激しくスポイルされた「FAKE」やらもうわけが分からないことになる。
--『ダライアスII』を代表する最終面BGM「SayPaPa」も登場。言うまでもなく無残なアレンジを施された上で。皮肉を込めて「SayBaKa」と揶揄される事もあった。
--最終ボスを撃沈したプレイヤーを祝福するのはエンディングクレジットと、なぜか『ダライアス外伝』のED曲「SELF」。しかも''音頭''調にアレンジされている。
-とどのつまり''初代・II・外伝・Gと万遍なく(しかも1面・最終面・ラスボス戦といったファンの印象に残るBGMばかり)踏みにじった''事で、シリーズのファンに叩かれているのである。
-なぜかオリジナル曲らしき曲も流れる(ステージ2ボス)。
--本当にオリジナル曲なのか、アレンジしすぎで原曲が判別不能になったものなのかは、わからない。
-そして本作最大の話題、極めつけは&color(red){''他のゲームからの無断盗曲。''}
//「無断盗曲疑惑」ではなく、誰の目(耳)にも明白な「無断盗曲」なので修正
--ステージ4のタフスプリングというイセエビ型ボス(初出は『スーパーダライアス』)のBGMとして、セガの名作STG『ファンタジーゾーン』のラスボス曲「YA-DA-YO」が流れる。
---念のため書いておくが「YA-DA-YO」そっくりな曲''ではない''。
---オリジナル曲の盗作であれば、期日までに作曲できずに魔が差して……という可能性もあるだろう。しかし、今回の場合は原作におけるタフスプリングのBGMをそのままGBA音源に移植すれば良いだけの話である。それがやりたくないのなら、ダライアスシリーズからどれでも好きな曲を適当に選べば良いのだし、もはやそれすらも面倒だと言うのならば、本作の他の部分のBGMを使いまわせば良いはずである(どうせ本作のBGMは、ステージ曲もボス曲も滅茶苦茶にシャッフルされているのだから)。なぜわざわざ『ファンタジーゾーン』の曲を選んだのか。本当に不可解である。
---というかそれ以前の話として、原作開発元のタイトーから一作目の譜面を借りて、これをそのままステージ順に打ち込めばそれですむ話なのである。なぜ大幅なアレンジに挑んだのだろうか? また、収録する必要がない他のシリーズ作品のBGMにまで手を伸ばし、特にGや外伝は音色が独特でGBAで再現するのは無茶だとわかりきった物なのに、どうして無理やり詰め込んだろうか。''どれほど考えても、一向に謎は尽きない。''

#region(参考動画「ダライアスR」 全曲集)
&nicovideo2(http://www.nicovideo.jp/watch/sm3428346)
#endregion

-ファンの悲痛な叫びが聞こえてくるようである。過去シリーズの作曲を担当した、小倉久佳をはじめとするZUNTATAメンバー(および『ファンタジーゾーン』音楽担当者)に謝れ。

**評価点
-自機シルバーホークや一部ザコ敵のグラフィック、そして特徴的な文字フォントが、原作のグラフィックデータそのままであり、GBAにあわせた解像度処理すらされていない。そのためカッコいいデザインを存分に堪能できる。しかも解像度の関係で''原作より大きく見える''というオマケまでついてくる。シルバーホークのファンにはたまらない一品と言える。
-ステージ道中のセンスある美しいグラフィックも、約半数のステージにおいて、そのまま再現されている。
--しかし残り半数は見るも無残に改悪されているか、あるいは特に見所のない凡庸なオリジナルステージに差し替えられているため、差し引きではゼロどころかむしろマイナスである。
-序盤ではすぐ死ぬが、中盤以降(主にウェーブ取得後)はゲームバランスが逆転。無抵抗同然の敵を一方的に虐殺する快感が味わえる。
-総プレイ時間は短く、携帯機にふさわしいと言える。

**総評
-原作の古臭さだけはそのまま再現しているのに、ゲームとしての大幅劣化、ボリューム縮小、そして統一感が無い上に音痴すぎるアレンジBGMと、携帯機であることのハンデを考慮に入れてもなお、あまりにも低クオリティな酷さといえる。
--そもそも初代ダライアスは、ゲーム性それ自体以上に、ZUNTATAの担当する超クオリティのBGMを含む演出の良さが売りであるということも忘れてはならない。
--あまりの酷さに原作ファンからは''「タイトルの『R』はレイプの『R』に違いない」''と言われる有様。
-GBAの横シューティングは全部で4作存在するが、本作の完成度は他3作と比べてぶっちぎりで低いのは言うまでもないだろう。
--本作の10年程前に初代GBソフトのサーガイアが発売されたが、そのクオリティ(特にBGM関係)が本作よりも遥かに上出来であり、「旧世代機も超えられないのか」と原作ファンから失笑されている始末である。

**影響
-本作が発売されて以来、ダライアスプラス、MD版II、[[ツイン>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/682.html]]、[[フォース>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/132.html]]といった、比較的黒歴史的な扱いを受けてきた家庭用タイトル群が「Rよりマシ」という事で軒並み再評価される契機となった。
--しかし[[スーパーダライアスII]]だけはいまだにクソゲー寄りの扱いを受けている。もっとも、これの判定が''劣化移植''に留まっている事をふまえると、本作の方がより悪質なのは明白である。
--スーパーダライアスIIは、ダライアスIIの移植作として見れば''赤点再提出レベル''の再現度だが、単体のSTGとして見ればごく凡庸な作品である(別に大して面白くもないが)。しかし本作は''単体として見ても即退場レベル''である。
-これの7年後にPSPから新作[[ダライアスバースト>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/343.html]]が発表された。発表当初はその完成度が危険視されていたが、蓋を開けてみるとそつなく作られた良作だった。
--こうして「最後のダライアス」「携帯機ダライアス」といった、このゲームの唯一の特徴も失われたのである(携帯機には良移植のサーガイアがあったが)。

**ダライアスを家庭でプレイするには
-[[本物のダライアス>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/139.html]]はゲームセンター(それもごく一部の限られた店舗)でしか味わえない。だがそれに近いものを簡単にプレイできる方法がある。PCエンジン用ソフトの『[[スーパーダライアス>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/461.html]]』もしくは『ダライアスプラス』を、Wiiのバーチャルコンソール配信ソフトという形で入手する事である。
-DL料金は『スーパーダライアス』が800Wiiポイント、『ダライアスプラス』が600Wiiポイント。どこぞのGBAソフトとは比較にならないほどの安価である。
--両者共に、その高い完成度はRと比較する事すら失礼にあたるレベルだが、『スーパーダライアス』の方をお勧めする。アーケードの極めて精妙な移植((完全移植ではなく、3画面用のゲームを1画面に移植するための様々な調整が加えられている。))に、アーケードそのままのBGM、そしてアーケードを越える26体のボス((26ゾーン全てに異なるボスが存在する。))が収録されており、手軽にダライアスの雰囲気を楽しめる。
--『ダライアスプラス』はCD-ROM2ソフトであった『スーパー』をHuカードに移植した作品であり、ボスが削減((スーパーから10体削減され総勢16体。これでも十分な数である。しかしグレートシングを含むAC版ボスの一部も削減対象となっているのはとても残念。))された上に、BGMがPCエンジン内蔵音源のものとなっている。VC環境下ではわざわざこちらを遊ぶ意義は薄いが、DL料金が200Wiiポイント安く、Wii本体(SDカード)の使用容量も少ないというメリットはある。((あとは当時『プラス』をプレイした経験があり、そのBGMにノスタルジーを感じる人のための配信だろうか?))
---『プラス』は数少ないPCE-SG対応ソフトであり、SGで遊ぶとスプライト欠けやチラツキがほとんど生じないという特長があった。しかしVC環境下では『スーパー』でもスプライト欠けやチラツキが生じにくくなっているため、『プラス』の存在意義はいっそう薄いものとなっている。