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時空の旅人 - (2012/03/25 (日) 09:55:56) のソース

*時空の旅人 
【ときのたびびと】
|ジャンル|アドベンチャーゲーム|&image(jikuu.jpg,http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000068GZX/ksgmatome-22/ref=nosim,height=160)|
|対応機種|ファミリーコンピュータ|~|
|発売元|ケムコ(コトブキシステム)|~|
|発売日|1986年12月26日|~|
|分類|''クソゲー判定''|~|
|ポイント|もはや原作とは無関係&br()歴史上の偉人改悪&br()2択で全てが決まる世界の歴史&br()テーマだけは良い&br()''きりころされました''|~|

**概要
-1986年のアニメーション映画『時空の旅人』(原作は眉村卓のジュブナイル小説『とらえられたスクールバス』)制作に合わせ、公開から6日後に発売されたゲーム作品。
-しかし、これ以上無い原作改悪作品…と言うより、最早キャラクターの名前だけ借りてきた全く別の話である。
--主人公「クタジマ-トシト」は核戦争の起きる未来を変えるため、&bold(){「こんどこそ すばらしい れきしを つくってみせるぞ」}とタイムマシンで様々な時代を行き来する。

**特徴
-原作でのトシトは「時間航行管理局員」としてタイムトリップさせられた主人公一行を追う嫌味なキャラクター。一方映画版では、自分をアンドロイドに変えた核戦争を回避するために、時間管理局員の地位を利用して歴史を改変しようとするキャラクターである。&br本作におけるトシトは、映画版の設定に沿っている。
//-そもそも原作でのクタジマ-トシトは「時間航行管理局員」としてタイムトリップさせられた主人公一行を追う嫌味なキャラクター。お前が歴史を変えてどうする。
//--しかし、映画版のトシトは自分をアンドロイドに変えた核戦争を回避するために、時間管理局員の地位を利用して歴史を改変しようとするキャラクターである。だからトシトが歴史を改変しようとするのは映画版に忠実な設定。

-本能寺に降り立った主人公が織田信長と出会う所からゲームは始まる。各時代で歴史上の人物に会い、彼らの質問に「はい」か「いいえ」で答えるのがゲームシステムの基本。と言うか''それしか無い''。
--トシトが訪れる歴史上のポイントは「1582年 本能寺」「1592年 大阪城」「1600年 関ヶ原」など、合計10箇所。そして、二択での解答結果に従い、別の時代へワープする。この時、スタート地点である1582年より後の歴史は「正統な歴史」「金が支配する歴史」「食べ物が支配する歴史」「愛の支配する歴史」「力の支配する歴史」の5系統に価値観が移り変わっていく。
--信長は本能寺の変で誰に殺されたのか、核戦争と言う未来は変えられるのか。人類の歴史に関わる全てがクタジマ-トシトの二択に委ねられている。

-本作には唐突にして多彩なゲームオーバーパターン(後述)があるなど、バカゲーとしての要素も持つ。

**問題点
-極めて味気ない。
--トシト自身のセリフ文は用意されておらず、登場人物からの一方的な質問攻めに「はい」「いいえ」で返答するだけの簡素なやりとりが延々と続く。
--文字列の使いまわしも多い。

-ゲームオーバーになりやすい。
--相手を怒らせるような返答をすると容赦なく殺される。逆に、彼らの逆鱗に触れそうな返答パターンにワープが用意されている事もある。彼らのキレどころはいまいち判らない。
--グラフィックが横視点で描かれる時代は、十字キーの左右でトシトが横移動する。この形式の時代では、次の時代へワープする前に「勝手に動き回るタイムマシン」を追いかけて回収してもらわなければならない。乗り損ねると当然ゲームオーバー。
---ちなみに、原作にも出てくるタイムマシン「COI(Constable Official Intercepter)」をひらがなで「こい」と書いているため、そこのテキストは『クタジマ-トシトは「こい」にのりおくれワープできなくなってしまった』と、まるで失恋でもしたかのような文面になってしまっている。
--またタイムマシンには燃料が設定されており、時代を下ると回復するが選択肢の間違いなどで時代をさかのぼると減少する仕様になっている。燃料が尽きてもゲームオーバー。

-登場する歴史上の人物たちも一般的な人物イメージとかけ離れている面が多く、原作との乖離を差し引いてもテキスト面でクソゲー扱いされることが多い。シナリオによってはより情けなさに拍車をかけるものも。
--うつけ者と称されるほど破天荒なイメージがある織田信長が「わしには女房がいるんだ」と命乞いをする。
--徳川家康と石田三成が、雑煮の「みそ」と「すまし」どちらが美味いかどうでもいいことを言い合う。
--伊藤博文が妙に女好きだったり((一応、伊藤博文は存命当時から大変な女好きであるという逸話はある。))、借金して買った車を自慢したりと高飛車。
--大塩平八郎に至ってはちょっとした選択ミスで殺される程、異様に乱暴者にされている。
--借金を返済するため、新撰組局長の近藤勇が毎日池田屋で皿洗いをするというオチ。…など。
---しかし、これらはクタジマの行動によって(変わりようが極端ではあるものの)世界の価値観が大きく様変わりしてしまった結果である。&br()ただし歴史の変化が存在しない時代にいる信長と、歴史の変化では説明できないほど横暴な大塩については擁護困難でもある。
-質問の選び方によっては同じ会話がループするなど、構成としても不十分な面がある。

#region(会話例)
----
「1894年 東京【食べ物の支配する歴史】」における伊藤博文との会話を例に示す(平仮名は漢字に変換)。
>初めて食べた「中華料理」は博文を虜にしました。~
博「日本の食べ物は好きか?」 →はい
>博「清国の食べ物は好きか?」 →はい
>博「お前にとってはどっちでもいいことか?」 →いいえ
>博「日本の食べ物は世界一だと思うか?」 →いいえ
>博「食べ物は清国が一番か?」 →はい
>この質問の間も博文の心は中華一色。食べ物のため清国へ行ってしまいました。~
(次の時代へワープ)

スタート地点の本能寺を除く(「正統な歴史」しかない代わりに、本能寺の内容は最も密度が濃い)とどの時代もこんな感じで、大抵は1分もかからずに次の場面に移る。~
1時代につき、質問の数は10種類くらい、3~4箇所へのワープと0~2種類ほどのバッドエンドがある。
-ちなみに、上の質問の「どっちでもいいことか?」ではいと答えると''「はっきりしろ」と殴り殺されて''バッドエンド。
-食べ物史観以外の伊藤博文がどんな風に描かれているかというと…
--正統な歴史:「朝鮮はわが国のものだろう」「日本は清国より強い。軍隊の強さを試そうか」と、日清戦争への態度がかなりロコツ。正統…なんだろうか。
--お金が支配する歴史:中国から借金して買った車を自慢する裏で、借金を踏み倒そうかどうしようか思案中。
--愛が支配する歴史:中国の女王に切ない恋をし、想いを伝えたくて悶々としている。
--力の支配する歴史:日本を東洋一強い国と信じ、勝つ気満々で大陸進出を狙っている。
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#endregion

-無限ループ構造になっていて迷いやすい。
--前述したように価値基準のよくわからない質問に答えて時代を上ったり下ったり切り殺されたり、ろくな手掛かりもなく自分がどこに向かっているのかも見失ったまま、あちこちの時代を彷徨いタイムマシンを追い掛け回す展開がゲームの大半を占める。一般的な記憶力の持ち主がまともに攻略しようと思ったら、フローチャートの自作が必要だろう。
--また、ただでさえ回避しにくいゲームオーバー時のペナルティは「最初からやり直し」である。

-原作版の主人公・早坂哲子のイラストがパッケージにでかでかと描かれているが、ゲーム中にはいっさい登場しない。

**評価
性格診断などでよく目にするYES/NOチャートそのまんまのシステム、堂々巡りをさせられるゲーム展開、シンプル過ぎるテキスト。「時間旅行」という親しみやすい題材に、力・愛・金などといった極端な世界観の変化を組み合わせたアイデアは一見良さそうに思えてしまうが、出来上がったものはただひたすらに薄味だった。~
登場人物たちの性格の変貌ぶりなどは良くも悪くも本作の見所の一つとなりえたが、主人公が喋らないなどのせいもあってかやはり面白みに欠け、バカゲー的側面からの評価も落としてしまう事となった。~
純粋にADVとしてつまらないが故に、本作はクソゲーである。そして、優れた冒険小説を原作に持つ点から言えばガッカリゲーでもある。しかし大元のアイデアがそれなりに面白い事から、意欲作と見る人もいる。~
//「良ゲー」という意見は参考サイトの方でも0人なので外しました。
-[[こちら:http://www.geocities.jp/tokitabi_mimamoru/data01.html]]のサイトには時空の旅人がクソゲーかどうかをアンケート調査した結果が載せられている。
-実は、ループを繰り返し、力、愛、金、食、正統な歴史…と全ての世界を見届けることで、真のエンディングに辿り着くことができる…という、気宇壮大なゲームであった。&br()しかしその世界観設定が「ゲームとして面白みに欠けている」という一番の欠点を補えるかというとそうでもない。

**余談
-当初は普通の横スクロールアクションゲームとして開発されており、当時のマル勝ファミコンの第一報でも製品版とは全く異なる仕様の写真が公開されている。その写真を見る限りでは、原作版の主人公達のアイコンが表示されていた。
-本作とは別に、映画版を元にしたゲームブックも出ている。そちらは、選択肢が二択じゃない、バトルシーンがあるなど、数十倍ゲーム性が高い。
-やけに多彩なゲームオーバーのパターンから、後にケムコが出した『[[シャドウゲイト]]』などに通ずるものがあると言われる事もある。あちらは元々海外から輸入したものだが、妙訳によって不思議な味わいが生まれ、単に死にまくるだけでなくテキスト自体を楽しめるバカゲーとしての評判が広がっている。
-PSで[[時をかける少女>http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/]]が発売予定だったが、このゲームの二の舞になるのを恐れてか発売中止になった。皮肉にもジャンルはこのゲームと同じAVGであった。([[参考>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/?cmd=upload&act=open&page=%E6%99%82%E7%A9%BA%E3%81%AE%E6%97%85%E4%BA%BA&file=1154339587128.jpg]])