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ビヨンド・ザ・ビヨンド 遙かなるカナーンへ - (2012/05/05 (土) 22:57:36) のソース

*ビヨンド・ザ・ビヨンド 遙かなるカナーンへ
【びよんど ざ びよんど はるかなるかなーんへ】
|ジャンル|ロールプレイングゲーム|&amazon(B00005OVMB)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~|
|開発元|キャメロット|~|
|発売日|1995年11月3日|~|
|価格|5,800円|~|
|分類|''クソゲー判定''|~|
|ポイント|''連打''&br()連射機お断りの漢仕様&br()''中古価格1円(+送料)''|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
-プレイステーション発売1周年を記念して発売されたRPG。略称は『ビヨビヨ』。
-キャラクターデザインは漫画家の柴田亜美氏。
--当時、柴田氏が月刊誌『ファミ通ブロス』(現在は廃刊)で連載していたエッセイマンガ『Gセン場のアーミン。』では、本作の逸話や本作を題材とした4コママンガが描かれていた。
-音楽は、現在はトライエース作品やテイルズオブシリーズで名高い桜庭統氏が担当。

**問題点
***グラフィックの面
-''キャラデザ・柴田亜美氏の原画に対し、イマイチ顔グラが似ていない''。
--最初のうちは年齢が十代のキャラの顔グラ(主人公((デフォルトネームは「フィン」)。)、アニー、エドワードの3人)だけが、その対象となる。
--どういうわけか、アニーの兄である騎士「ベルーシ」と渋めのおっさんキャラはかなり似ている。
--''問題はレベルが一定以上になるとできる、クラスチェンジ後に起こる(深刻化する)。''
---そうなるとほぼ全てのプレイヤーキャラの顔グラは、柴田氏の画風からかけ離れたものになってしまう。
---あえて他の作品で例えるなら、『[[ゼノサーガ エピソードI>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/970.html]]』から『[[エピソードII>ゼノサーガ エピソードII 善悪の彼岸]]』くらいの変貌があると言っても過言ではない。

***システムの面
-''エンカウント率が高い''。
--数歩移動するだけで敵と出会うことがかなり多い。
--エンカウント率を低下させるアイテムはあるが、一度エンカウントしたら効果が切れる。アイテムは個人個人で管理する方式なので、持っていてもアイテム枠の圧迫になるだけの物に成り下がっている。
--また、後述のAPSの隠し要素としてマップ移動中にボタンを連打するとエンカウント率が下がるという要素があるが、効果が薄く実感できない。
-''ダンジョンの多くにはパズル的な仕掛けが施されている''。
--仕掛けには面白いものもあるのだが、前述のエンカウント率の高さが災いして素直に楽しめない。
--後半は落とし穴などの陰湿なワナが多く、仕舞いには『[[ドラゴンクエストII>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/135.html]]』の「ロンダルキアへの洞窟」を意識したと思われる難易度と仕掛けのあるダンジョンが出てくる。
#region(''その名も・・・・・・'')
-「カナーンへの洞窟」
--カナーンへの洞窟にはロンダルキア同様の落とし穴が存在する。穴は見えず、一度落ちても穴が見えない状態で復活する。マッピングしてみて分かるのだが、落とし穴の位置は壁際である場合は少ない。壁際に沿って歩けば何とやら…
--そこに登場する敵の強さもかなりのもので、普通にプレイしてきた場合、敵より素早く行動できるキャラが育っているプレイヤーはいるのだろうか? それほどまでに全体的に能力値が高い。また2回行動をしながら全体攻撃魔法や全体即死魔法を放つ凶悪な敵が存在する。
#endregion
-''レベルアップによるステータスの上昇量が1~4と低い''。
--4上がることは本当に稀で、通常は1~2しか上がらないことが多く、それなりにレベルを上げないと強くなったことを実感しにくい(必要経験値も高めに設定されている)。
--また上昇するパラメーターはキャラの成長率に沿ってランダムで上昇することから、ほとんど上がらない場合も多々ある。
--特に戦闘の行動順に関わる「素早さ」の基礎値となる「みのこなし」は上がりにくく、ある程度レベルが上がると上がらない場合がほとんど。普通にプレイした場合、中盤からの敵の行動のほうが早くなり、難易度がとても高くなる問題がある(理由は後述:戦闘の面)。
---なお、この仕様を逆手に取り、レベルが上がりそうになったらセーブしレベルアップ。納得のいく上昇具合であれば再びセーブ。そうでなければリセットしてやり直すという、いわゆる''吟味''が可能。
---これにより「みのこなし」の高い魔法使いキャラを作り出すことで、後々の雑魚戦を楽に切り抜けることができるようになる((戦闘の作業化とも言う))。もっともソフトリセットなどはないので、ロードに耐えなければならない根気のいる作業になる。
-''持ちきれないアイテムやお金を保管できる「ストックボックス」が序盤終了~終盤突入時まで使えなくなる''。
--ストックボックスは主人公の生家にあるのだが、とある事情で家に帰れなくなってしまい使用できなくなる。その間も結構な数の(使ってもなくならず捨てられない)イベントアイテムを入手するため、それらがアイテム欄を圧迫する。
--また、終盤に突入しイベントが起こるとイベント終了まで家に帰れなくなり、またしても使用不可の期間が発生する。
-''終盤以降、新たに到着できる町にMP回復アイテムが売っていない''(雑魚戦で全体攻撃魔法を多用するにも関わらず)。
--マップ西側を中心に冒険を進めることになるのだが、MP回復アイテムが売っているのは序盤~中盤にかけて冒険するマップ東側。それも3つの村だけである。
--ストックボックス同様、終盤のイベントが起こると東側へ行く道がふさがれてしまい、イベントを終わらせるまで買いに行くことはできなくなる。
-''隠しキャラを最低1人でも仲間にしていない場合、町や村への瞬間移動手段が行えない''。
--まずこのゲームは5パーティ制であり、隠しキャラを含めない場合の最終的な仲間の数は5人である。
--それなのに何故か中盤終了付近で仲間入れ替えが可能となるアイテム(捨てられない)が、各キャラに1個ずつ手に入る。
--それを使うことでパーティから外れ、指定した町で待機している仲間のもとへと瞬間移動できるのだが、隠しキャラを仲間にしていない場合、待機するキャラクターがおらず、結果として町へ瞬時にアクセスできないばかりか用途のないアイテムが各キャラのアイテム欄を圧迫することになる。
-''バグが多い''。
--店で道具を売ると売値を貰ったにもかかわらず、売却したはずのアイテムが持ち物からなくならない。つまり、薬草1つでお金が無尽蔵に増やせる。
--仲間のアニーをパーティから外すと、''二度と仲間にできない''。
--他にもフリーズバグがいくつかある。

***戦闘の面
-''APS(アクティブ・プレイング・システム)の問題''。
--プレイヤーキャラや敵キャラが行動する前にボタンを連打することで、クリティカルが発動したり敵の攻撃を回避できるなど、戦闘が有利になる独自のシステム。これにより戦闘が単調にならずプレイヤーは飽きることなく、長い冒険を続けていけると説明書にあるが…。
--連打量の目安が一切なく何も知らない場合、無駄に全力で連射するハメになる(実は1回でもボタンを押せば発動する可能性はある)。そのため、コントローラーやプレイヤーの指が破壊される事態が続出した。
--ならばと連射パッドを持ち出したなら、''速すぎる連射は入力を受け付けてくれない。つまり連射パッド使用不可''。
--また、戦闘バランスはAPSありきでバランスを取ったらしく、通常攻撃が主体の序盤は連打しないとかなり苦戦する。
-''魔法攻撃の威力が高すぎる''。
--後述の「VP」にも問題があるのかも知れないが''敵味方ともに2発も喰らうと、ほぼ全滅してしまう''((実際のところ、プレイヤーは後述の「LP」があるため、すぐには全滅しない。))。
--連打による攻撃力上昇の効果も薄く、楽なため雑魚戦闘は魔法が一番効果的だった。
-''行動順は基本「素早さ」が高い順''。
--なんと、''行動順にランダム性がない''。つまり、魔法で素早さを上下させない限り行動順が変わることはない。
--そのため中盤から全体魔法攻撃を仕掛けてくる敵がプレイヤーキャラより素早い場合、こちらが行動する前に1度や2度「VP」(HPの役割)が0になり、次ターンまで行動不能になることはザラ。
--逃げようと思っても、プレイヤーキャラに行動順が回ってくるまで逃げられない。何もできずに全滅すらあり得る。
--そうならないためには味方の素早さを上げ、敵が行動する前に全体攻撃魔法で一掃するしかないのだが、普通にゲームを進めた場合、MPが高く全体攻撃魔法を唱えやすいキャラほど素早さが低い。そのため全体攻撃魔法で一掃するのであれば、ほぼ100%ダメージを食らう。
--さらに付け加えるのであれば、2回行動を行う敵の行動順は、1度目が「素早さ」に順じた順番で行動する。2度目の行動はターンのラストに来る。そのため、倒しきれずターンをまたぐ場合、次のターンをVPを満タンにした状態のまま迎えることは非常に難しい。
--このゲームには、魔法に耐性が付く防具などという生易しいものは存在しない。魔法ダメージを半減できるアイテムは存在するが、レアアイテムであり容易に使うことはできない。
-''「VP」(ヴァイタルポイント)と「LP」(ライフポイント)の2段式でプレイヤーキャラの体力を扱う斬新なシステム。しかし調整が悪い''。
--ダメージを受けるとまず「VP」が減り、なくなると1ターン動けないグロッキー状態になる。「LP」が残っていれば、ある程度消費してVPを回復し立ち直るというシステムになっている(LPがないときにVPがなくなると死亡)。
--ちなみに、連打していればLP消費量が少なくて済み、VP回復量が多くなる。
--しかし、前述のシステムの面であるようにレベルがかなり高くなっても「VP」の伸びは悪く、雑魚の全体攻撃魔法を2発浴びると、あっさりグロッキーになる。難易度上昇とグロッキー多発によりストレスが溜まる要因となっている。
-これら仕様のおかげで、''万が一にもRPGにおける「やり込み」の定番『低レベルクリア』をしようと思ってもできないようになってしまっている''。

***キャラクターの面
-''仲間の戦士「サムソン」が異様に弱い''。
--『大陸一の力持ちで一国の英雄』という設定でありながら成長率が低く、力が僧侶アニー(13歳の女の子)以下、体力も魔法使いエドワード(病弱設定持ち)より低い。
--序盤、とある事情で凄まじく弱体化。さらに戦闘中はランダムで体が硬直し1ターン行動不可or通常攻撃が成功したときに自分の攻撃力に応じた反射ダメージを受ける、といったオマケ付きで散々足を引っ張り、プレイヤーのやる気を削ぐ原因となる(さらに終盤までパーティから''外せない'')。
--また、それが解決しても硬直やダメージ反射といったペナルティがなくなるだけでステータス自体に変化はなく、そこまで頑張ってきたプレイヤーをさらにふるいにかける。
--極めつきに、彼は''仲間の中で唯一、攻撃魔法が全く使えない''という最大の欠点がある。
--さらに最大の攻撃力を持つ武器も、戦闘で重要視される''「素早さ」が15も下がる''。どうすればいいの・・・・・・
-''最後の仲間、海賊「ドミノ」''
--魔物に妻子を殺され、その敵討ちをするために中盤から登場する海賊ドミノ。隠しキャラを見つけられない場合、彼が最後に仲間になるキャラクターとなるのだが、どうにも影が薄い。
---登場するのは中盤からだが、''出番自体はとても少なく印象に残りにくい''のがその原因。
--そんな彼が仲間になるのは終盤。海賊という特性上、『''船を持ってくる''』という最大の見せ場があるのだが、''シナリオを進めると直後に空を飛ぶ乗り物が手に入る。''
--戦闘能力は優秀。まず全体回復魔法と全体攻撃魔法が使用可能であり、仲間になった時点での「素早さ」も高く、伸びも良いので雑魚戦では全体攻撃魔法で敵を殲滅させるのにとても向いている。
---また唯一、後列から通常攻撃してもダメージが落ちないという特殊なキャラ。
--しかし「VP」がとても低いという大きな問題を抱えており、終盤の敵が放つ全体攻撃魔法1発に耐えられないことが多々ある。よって「VP」に相当なテコ入れをしないと、1ターンで倒しきれない敵やボス戦では高確率でグロッキーさせられるという問題が発生する。
---そういう意味では、まだ「VP」がありグロッキーしにくいサムソンのほうがマシと言えなくもない。
-''仲間の1人・ベルーシは序盤で敵に捕われ、終盤で洗脳された状態で襲ってくる''。
--が、10ターン内に撃破してしまうと''そのまま死んでしまう''。
--逆に殺さず10ターン粘れば再び仲間になる…が、ヒントも伏線も何もないので初見では気付きにくい。

**評価点
***音楽
-''桜庭氏が手がけただけあってBGMは良質。曲だけはいいという、クソゲーの法則に見事に当てはまっている''。
--各町や村のBGMには使い回しがない。
--戦闘BGMが豊富。通常戦闘だけで5つもありダンジョンやストーリー展開によって違うため、飽きにくい。

**やりこみ要素など
-''隠しキャラが3人もおり、探す楽しみがある。''
--隠しと言ってもメインキャラと同程度の能力値しかないが、そのうち一人は早くから全体攻撃を使える強力なキャラがいる。
---比較的ヒントが多く簡単に仲間にでき、冒険をとても楽に進められるようになるため、探す価値は大いにあると言える。
--もう一人は全体攻撃魔法に全体回復魔法、補助魔法が使えるほか、ドミノよりも「VP」が高く通常攻撃もでき、「素早さ」もそこそこあることから、ドミノを外しコチラを選ぶプレイヤーもいる。
-''アイテムコンプが難しくやりがいがある。''
--ドロップ限定のアイテムや、探索のみで手に入るレアアイテム。入手期間の限られる物などがあり、それら全てを入手することは困難を極める。

**余談
-大量に出荷され、そのクソゲーぶりで知られたためワゴンゲーの代表格に。
-アマゾンでは1円(送料別)の中古が100本近くもあり、『[[SDガンダム G-CENTURY]]』も真っ青の投げ売りっぷりとなっている。お手軽にクソゲーに触れてみたいという物好きは買ってみるのもありだろう。ただし''リアルで人体に支障を及ぼしかねない仕様なので購入は要注意''。
-続編も計画されていたようで、いくつか伏線を残す終わり方をする…が、こんな有様なので続編は実現しなかった。そのため、名前入力時などに出てくる女の子の正体は''未だにわからない''。
-なお、本作発売前に関連会社のソニックから連打システムを採用しているARPG『[[シャイニング・ウィズダム>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/62.html]]』がセガサターンで発売されている。こちらのほうも連打システムが枷になっている部分はあるものの、連打システムとの相性が良いARPGというゲーム性と連打したゲージの維持ができるぶん、本作よりも評価は高い。
-アイテムの「せかいちず」が、一度しか行けない場所に置いてあるが、その在り処は説明書の画面写真にコッソリあったりする。もっとも拾い損ねても、説明書にマップのイラストがあるのであまり支障はない。
-最後の決戦の際、シュタットの「[[世界の半分をやろう>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/226.html]]」という問いに「はい」と答えてしまうとフィン1人、しかもVPもMPも大幅に減らされた状況で戦う羽目になる。