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真・聖刻 - (2011/11/15 (火) 16:03:40) のソース

**真・聖刻 [#n6617346]
【ら・わーす】
|ジャンル|RPG|&amazon(B00006LJS8)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|発売元|ユタカ|~|
|開発元|Jフォース|~|
|発売日|1995年4月21日|~|
|定価|9800円|~|
|分類|&bold(){クソゲー判定}|~|
|ポイント|フルプライスで売ってほしくないボリューム&br()原作的に黒歴史&br()''レベルを上げて物理で蹴る「しかない」''|~|

**概要
TRPGや小説で展開している『ワースブレイド』シリーズのゲーム化で、[[TRPG冬の時代>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AFRPG%E5%86%AC%E3%81%AE%E6%99%82%E4%BB%A3]]初期にこのソフトを中心として小説(全3巻)とドラマCDと平行する形で世に出た。~
つまりキャラゲーなのだが、パッケージも説明書も関連作品についてはまったく触れておらず、そもそもキャラゲーだと気付かなかった人も少なくない。

キャラデザにTVアニメ『美少女戦士セーラームーン』の只野和子を、メカデザインには『[[エルド>絶対無敵ライジンオー]][[ラン>元気爆発ガンバルガー]]』シリーズのやまだたかひろを起用するという、鳴り物入りの企画であった。

小説のあとがきで、作者は「ゲームもこの本と同時期に出ているはずなので、早く遊んでみたい」と語っていたが、現在、この企画の存在自体がシリーズの黒歴史となっているらしい。~
全てこのソフトが尋常ではないクソゲーだったからである。

-なお、物語の舞台である''「アハーン大陸」''という名前を嘲笑っているレビューもあるが、この点は原作からしてそうなので仕方ないのである…。
--正確には''「ア・ハーン」''と中黒点が入る。

**評価点
-敵キャラ及び攻撃アニメのグラフィック。迫力はある。
--尤も、それ以外のグラフィックは全てダメなのだが。

**問題点
***シナリオ面
-ストーリーは小説版のそれを端折っただけ(''膨らませたのではない'')で、ゲームならではのアレンジは無い。
--本筋に関係ないイベントやダンジョンも1つも無い。ただ小説の物語を追いかけているだけ。ミニゲームなども無い。
--町の住人達の台詞は、殆どがゲームに関係ない世間話。そういうのこそ削れよ。
--小説またはTRPG版を知らないと理解できないような展開や専門用語などがドカドカ出てくるが、ゲーム中にも説明書にも解説などは一切ない。
---例えば「聖刻石」が散りばめられた「仮面」は「操兵」の動力部なのだが、そういった説明が無い。
--最初の町の酒場で、パーティが客の1人を見て驚くというシーンがあるが、その客が何者なのかはまったく明かされない。
--仲間の1人は、実はヒロインの生き別れの姉であり、敵のスパイでもあるのだが、''この設定は説明書の登場人物紹介でバラされている''。
---「陽気で享楽的な21歳」という記述もあるが、まったくそんな性格ではなく、むしろ陰のある女性である。~
またゲーム本編や小説版では16歳となっているが…?
---因みにこのキャラは巨乳のエロキャラなのだが、ゲーム中のグラフィックはへしゃげた顔で、えらいブス顔にされている。~
主人公のグラフィックは無駄にクオリティ高いのに。
--なお原作絡みの情報について[[こちら>http://www.geocities.jp/master_thedarkness/la-wares.htm]]を参照。
-誤字脱字の山。
--町の人のセリフは殆ど句読点が無い。改行位置の調整なども無い。
--ヒロインの名前は「ミシェルダ」だが、頻繁に「ミシ''ュ''ルダ」と表記される。イベントに関係ない町の人の台詞では殆どそう。
--''「教」という字のフォントが無いらしく、「救」という漢字で代用されている''。~
''そのため「救会」「救えてはくれない」という意味不明なセリフが出来上がる''。
---''更に「青」と「育」という漢字が入れ替わって使われており、「育ざめた」「青てる」という単語まで出てくる''。~
''そのくせ「あおい玉」という言葉はなぜか平仮名表記''。
--支配する事を「統べる(すべる)」と言うが、本作ではなぜか''「のべる」''と表記されている。~
複数回登場する表現なので、スタッフが本気でそう思い込んでいたらしい。
--「なんだこの''光り''は!?」「不思議な''話し''ね」そこは「光」「話」だろ。~
「仮面の''変りに''新たな仮面が…」そこは「代わりに」だ。
--「ひと人」と書いて「ひとり」と読ませる。
--ラストバトルのイベント中、「!」を「?」と3回も誤植している。~
「洗脳は解けない…って?」「私が真の契約者だ?」「ここは危険だわ?」。~
''ここまでくるとわざとか!?''

***システム面
-ゲームオーバー時に「はじめから」を選ぶと、[[バグ画面>http://www.nicovideo.jp/watch/sm9013936]]に飛ばされる。~
ヤルマ砦という場所の右下からも、[[バグ空間>http://www.nicovideo.jp/watch/sm9057525]]へ行ける。
-SFCソフトだというのにBGMは10曲とちょっと。OPとEDとフィールドの曲は同じ。ラスボスの曲は中ボスの曲と同じ。
--宝箱を開けると、なぜか''陰鬱なサウンド''が鳴る。
-ダンジョンにトラップは一切無い。またマップパーツは、どこのダンジョンも共通。[[RPGツクール>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/576.html]]の手抜き作品レベルである。
-普通のRPGは、ダンジョン内に立っているボスに近付いたり話したりすると戦闘になるため、戦闘前にセーブしたり回復したりと準備ができる。~
しかし本作では、ボスが出現する場所の目印が無い事が多い(只の通路を歩いていたら突然ボスが出現する・勝手にパーティが動き出し、画面外で待っていたボスの元まで歩いていく、など)。~
故に初プレイでは「セーブもできずにボス戦に入り、負けて経験値が無駄になる」という事が起こりやすい。所謂初見殺し。
-画面切り替えにいちいち時間がかかる(『[[摩訶摩訶]]』ほどではないが)。~
メニュー画面、店の買い物画面、移動先指定画面などでは、なぜか主人公の全身像が背景に表示される。また、このときのコマンドのフォントが妙に細く大きいため読み辛い。
-''「小回復」「全回復」''という、やる気のかけらも無い名前の魔法(原作の魔法とは別物)。~
なお「全回復」は、移動中は最初から使えるのだが、なぜか戦闘中はレベルを30台にしないと使えない。
-戦闘は最高3人のパーティ戦と、「操兵」というロボットに乗って行う操兵戦の2種類があるが、どちらも問題だらけ。
--どちらの戦闘も、雑魚は同時に2匹までしか出現しない。しかもどいつも通常攻撃しかしてこない。~
パーティが受けるステータス異常は、HP0の「気絶」のみ。
---雑魚は、主人公のレベルが上がるにつれて強い敵が出るようになっていく…~
のだが、''「敵Aと敵B」「敵Bと敵C」といったように、単に組み合わせが1つずつずれていくだけである''。
---しかも同じレベルでいる限り敵の出現パターンは2種類しかなく、違う場所で戦っても主人公のレベルのレベルが同じであれば同じ敵が出る。
--パーティ戦では、道具を使えない。魔法は使えるが、「霞冷気」「霞温気」は効果が不明(説明書にも書かれていない)。
---眠りや混乱の魔法はあるが、使えるキャラが途中で抜けるため一時期しか使えない。
--フィールド移動中の戦闘と殆どのボス戦は操兵戦となっているが、使えるコマンドは命中率の高い「殴る」と、殴るに比べて威力が2倍強で命中率が半分以下の「蹴る」の他は、「逃げる」「防御」のみ。~
しかし操兵戦は主人公1人で行うため、防御の使い道は無い(''しかも選んでもダメージに変化は無い'')。
---序盤で乗る操兵は殴ったり蹴ったりしか出来なさそうなデザインだが、途中で乗り換える操兵は''背中に剣を二本背負っている''。
--「殴る」は弱すぎて戦闘が長引く=ダメージが累積しやすいため、戦闘が早く終わる可能性のある「蹴る」を使わざるをえないが、7回連続でミスったりして「殴る」より長引くことも。~
ボスの攻撃はアニメーション付きだが、効果はどれも「ただのダメージ」で、しかも絶対にミスらない。
//---ヒットパターンが完全プログラム化されている(Lv:10での全部蹴るの場合、1T目ヒット 2・3・4T目 ミス 5T目ヒット lv:11だと1・2T目ヒット 3・4・5T目ミスとなる)
//---その事を書いてあったレビューサイトが無くなった為、未確定です。よってco
---例外的に中ボスのゼルウ・ゾーキ・バンギの3人のみ、ダメージ以外の行動も取る…~
のだが、''効果がまったく不明で、実質何もしないで1ターンを消費している''。
--操兵用の装備品や強化パーツなどは無く、パワーアップのためには主人公のレベルを上げるしかない。~
しかし本作では現在の経験値も次のレベルまでの必要経験値も表示されない。
---連戦があるボスでは、レベルアップによる全快を狙って事前に経験値を調節する必要がある。
---何故か人間用の装備をいいものに買い換えると操兵も強くなる。つまりデータ的には操縦者同士が直接殴り合っていることになる。何のために操兵に乗っているのかよく分からない。
--パーティ戦のザコの殆どは、倒しても金を落とさない。操兵戦のザコは落とすが、前述のシステム故に稼ぐには非常に効率が悪い。~
''そのくせラスボスは大量に金を落とす''。
--「知力」「練法力」というパラメーターが有るが、説明書によるとどちらも魔法の威力に影響するものであり、しかも常に同じ数値である。~
だったら片方だけで良くね?
-フィールド移動は、行き先を決めると勝手に歩いていくというものだが、1度歩き出すと目的地に辿り着くまで戻ることはできない。
--移動中はなぜかライフゲージが常に満タン表示になっており、正しいライフ残量を確認できない。
--メニュー画面は一応開けるが、操兵用の回復アイテムは存在しないのでセーブぐらいしかできることはない。
--エンカウント率もおかしく、戦闘終了後に1歩も歩いていないのに次の敵が出たりする。一方、パーティ戦のエンカウント率は妙に低い。
--「コクティ峠」「ヤルマ砦」というマップは、入った途端ボス戦になる。~
このボスに勝てないレベルで、これらの場所に行く道の途中でセーブをしてしまうと詰む。
--説明書には「燃料がなくなると移動できなくなる」とあるが嘘で、実際には普通に移動できる。~
ただし戦闘に入ると''自動的に逃げ出してしまう''。
---因みに燃料は水であり酒場で補給できるのだが、原作の設定では水は燃料ではなく冷却水である。~
ただし原作でも1週間程度で蒸発してしまう消耗品ではある。だとしても燃料と呼ぶのは変だが。
-装備品は武器と鎧だけ。どのキャラも全種類を装備できる。武器は装備した後も素手に戻せるが、防具は1度付けると交換しかできなくなる。
//--仲間の1人・ミシェルダは初期から長い間パーティにいるが、後半外れて戻ってこなくなるので防具を与えると損をする。他の作品でも良く在る話だが。
--最強クラスの武器が、木棍棒・二節棍(ヌンチャク)・三節棍と''棍系''。武器はナイフ系→剣系→槍系→棍系と強くなる。
---ナイフ系最弱→剣系最弱→槍系最弱→棍系最弱→ナイフ系…ではなく、ナイフ系最弱~最強→剣系最弱~最強→槍系最弱~最強→棍系最弱~最強。
---小説の基幹シリーズ『聖刻1092』の主人公が棍を使っていた為と考えられるが、1092の主人公は刃物を禁じられている修行僧であるのに対し、''この作品の主人公は盗賊である''。
//--最強クラスの防具も、ソフトレザー・ハードレザーといわゆる''「革の鎧」''。尤もそれより弱い防具は、鎧ではなく服系なのだが。
//---これも、1092の主人公が回避型の修行僧(拳法家)なのと、操手(操兵のパイロット)は衝撃吸収用の皮もしくは布の鎧を着ると言う原作再現ではある。こちらに関してはこのゲームの主人公も盗賊な為、違和感は少ないと言える。
--武器は攻撃力が上がるだけ、防具は防御力が上がるだけで、特殊効果など一切無い。~
しかも店では数値が表示されておらず、装備前後にいちいちステータス画面を見て変化を確認しなければならない。~
まあ「値段が高ければ強い」という単純なものなのだが…。
-スタッフロールのスペシャルサンクス「''OYAJI NO WAKIGA''」。
プレイ時間の半分近くがレベル上げに費やされる、という中身のなさ並びにバランス調整のダメ具合。寄り道要素もない。~
これで税別9800円ははっきり言って詐欺である。

**結論
ショボいグラフィック、誤字脱字、説明不足なシナリオ、正気を疑う戦闘システム、おかしいゲームバランス、間違っている説明書、理解不能なバグと、クソゲーお決まりの要素の殆どを併せ持っている。~
1つ1つを見れば、これより悪いというソフトはいくらでもあるだろう。~
しかし本作の凄さはその「あらゆる分野において満遍なくクソ」というオールラウンダー振りにある。~
致命的なプログラムミスも無く、「仕様通りに作られているはずなのにクソ」だという意味では、KOTY2008年次点の『[[プロゴルファー猿]]』に近い…

のだが、実はこのゲーム、「クソゲーお決まりの要素」の中で、ただ1つだけ持っていないものがある。~
それは、「パッケージ詐欺」である。パッケージには、誇大広告や嘘は一切書かれていない。~
それもその筈、本ソフトのパッケージ裏には、簡単なストーリーと4枚の画面写真が載っているだけで、''キャッチコピーやセールスポイントはおろか、「こんなシステムがある」といった事すら一切書かれていないのだ''。~
勿論ウリとなる要素自体まったく無いのだから、書きようがなかったのだろうが。

小説版『真・聖刻』そのものが、目下ワース関連で中核となっている長編小説『聖刻1092』の前日譚というべき位置づけになっているのだが、だからと言ってこのボリュームのなさはどうかというところである。~
原作つきであることそのものが分からない人もいただけになおさら。