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エネミー・ゼロ - (2010/01/05 (火) 00:47:30) のソース

**エネミー・ゼロ
【えねみー・ぜろ】
|ジャンル|インタラクティブ・ムービー|~|
|対応機種|セガサターン|~|
|発売・開発元|ワープ|~|
|発売日|1996年12月13日|~|
|分類| ''賛否両論判定''&br()特殊なゲーム性で高難度|~|

*ストーリー
-貨物宇宙船ヴィークル・ジ・アキの女性乗組員ローラが主人公。ローラの乗る宇宙船は地球への帰途にあり、航海は長年に渡るため乗組員はコールドスリープされていたが、宇宙船に非常事態が発生し、ローラは目覚める。非常事態の原因は、生物兵器として利用するために乗組員にも知らされず輸送されていた「エネミー」と呼ばれる宇宙生物が、檻から脱走したためであった。次々とエネミーに殺されてゆく乗組員たち。プレイヤーは、透明で目に見えない「エネミー」と戦いながら宇宙船内を探索し、脱出するのが目的。
--エネミー・ゼロのテーマとして「デジタルの悲しみ」という宣伝文句が連発されていたが、実はこれ自体がある重要な設定のネタバレとも言える。

*インタラクティブ・ムービー
-当時ゲームにムービーを挿入することは一般的になっていたが、エネミーゼロではDの食卓を踏襲し、室内を探索するシーンを全て3DCGのムービーで構成している。一歩歩く度にムービー再生。物を取ったり調べる度にまたムービー再生という具合。ある意味進化したLDゲームみたいなもの。
--実質的にはアクションアドベンチャーゲーム。しらみつぶしに探索する必要があるにも関わらず、かなりだるい。
-移動・戦闘は3DRPGの迷宮とFPSの動きを合わせたような感覚。

*高い難易度
-前述の通り、エネミーは透明で目に見えない。生体反応を感知し音で知らせるVPSによって、プレイヤーは音でエネミーの前後左右の位置、距離を探知する。エネミーが複数いる場合はそれぞれ同時に音が出るので聞き分けることが必要。
-プレイヤーの武器はエネルギー銃。ボタン長押しで貯めて、離すと撃つ。極端に射程が短く、エネミーをギリギリまで真正面に引きつけて撃つ必要がある。溜めが長すぎても短すぎても不発になるので溜め始めるタイミングも見計らう必要がある。
--成功すれば一撃でエネミーを倒すことができるが、こちらもエネミーに攻撃されれば即死する。一度外してしまえば2発目を撃つか逃げることは初心者には難しい。まさに生きるか死ぬかのやりとりである。死亡すればゲームオーバー。
-初期のエネルギー銃は撃つたびにエネルギーを消費し、エネルギーが無くなると特定の場所で充電する必要がある(エネルギー銃の弾数は最多でも5、ハードモードだとさらに''入手時は残弾ゼロ、さらに全ての銃の最大弾数が少なくなると、高難易度に追い討ちをかける'')。エネミーはマップを切り替えるたびに無限に出現するので、いちいち倒しているとすぐ切れる。敵を倒すだけでなく、戦闘を回避するスキルも求められる。
--後半はマップが狭くほぼ''「戦闘を回避できなくなる」。''そのためか、救済措置として終盤にはチャージの必要がない無限の弾数の銃が手に入る。
-セーブはボイスレコーダーにローラが録音するという設定で行われるのだが、セーブまたはロードするたびにバッテリーを消費し、バッテリーが尽きるとセーブもロードもできなくなる。ゲームオーバーまたはリセットしてロードするだけでも消費するので、何度もやり直すということはできない。
--このようにプレイヤーをさんざんバッテリー切れの恐怖に怯えさせた上で、ストーリー上終盤で命綱のVPSのバッテリーが尽き、絶望することに…という演出もある。
-難易度が高すぎるため、ストーリーの核心を見ることができなかったプレイヤーにクソゲーの烙印を押されることに。
-サタコレ版、PC版では難易度を下げたモードもある。

*良い点
-戦闘の緊張感。たった一体の敵と戦うだけでプレイヤーがこれほど心臓バクバクさせるゲームは他に無い。
--日常生活でも「耳元で電子音が聞こえてくる」という重病プレイヤーも出た。
-戦闘だけではなく音にはこだわっていて、室内のノイズまで再現している。基本的にゲーム中のBGMはないが、マイケル・ナイマンのピアノがイベント要所を盛り上げてくれる。
-「エヴァンゲリオンのように世界観を作り込みたかった」という細かい設定。ゲーム内の端末に表示される情報などかなり作りこまれている。
--それだけに要所要所の作り込みのあらは惜しまれる。
-ナイマンのBGMは間違いなく名曲。

*悪い点
-一部の微妙な演出。
--悲しみに暮れたり、ショックを受けたりするシーンがいちいちくどいので、見ていてウンザリしてしまう。
--終盤の自分も寄生されていたことが発覚するシーンがいろいろ不自然(前述したくどいシーンの一つでもある)。
--ムービーのテンポが一部悪いところがある。
--ラストの小型艇で脱出するムービー。カタパルトを疾走するわけだが、やたら長い上に曲がりくねっていてあまりに不自然。ジェットコースターじゃあるまいし。
---しかも船の外観からして、あのクソ長く蛇行ばかりの通路が収まりきれるわけがない。

-室内では移動、調べる、全ての行為がムービーとなり、スキップする事は出来ない。テンポが悪く、イライラを感じる場面も少なくない。
-やや超展開な場面もある。
--主人公が無口でキャラが掴みにくく感情移入もしにくいため、理解に手間取る。

-しかしこのゲーム最大の問題は、''あまりにも既存の作品に酷似している部分があるところであろう。''
--「謎の生物を捕獲し地球に持ち帰ろうとするものの、生物は恐ろしい力で乗組員たちに牙を剥き、乗組員と謎の生物の戦いが始まる…」もろにストーリーはかの有名なリドリー・スコットの『エイリアン』である。
--ネタバレになるが、乗組員の中に混じった人型のアンドロイド、船を自爆させ脱出艇で生還など、無印エイリアンとの類似点は多い。
--「ステルスを用いるエイリアン」という設定は『プレデター』を思い起こさせる。もっともエネミーは狩猟民族ではないが。
--↑むしろ「禁断の惑星」が近いかもしれない。
---そしてもっとも驚くべきは…''飯野賢治がこの指摘に対し、「パクリではない」「『エイリアン』や『プレデター』を知らなかった」という稚拙な弁解をしている事である。''
---この飯野の言動によりそれまで飯野側についていたファンを多く失う結果となってしまった。

*その他
-作品の良し悪しよりワープ社長[[飯野賢治>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/307.html#id_a4d28b5d]]氏の言動で有名になってしまった。
--『Dの食卓』の出荷数が予定より大幅に少なかったことでSCEに不信感を持ち、当初はPSで発売する予定だったがSSに変更。しかもそれをPSのイベントで発表。
--飯野氏もコラムを書いていた「ゲーム批評」の誌上で本作が酷評され、飯野氏は連載を取りやめた。
-1997年7月18日には映像の無い音だけの作品『リアルサウンド ~風のリグレット~』を発売したが、「10点満点か評価不能か」発言とともにさらに物議をかもすことに。
-ムービーのキャラの口ぱくがアヒル口に見えるのがネタにされる。
-クリーチャーデザインは「牙狼-GARO-」「仮面ライダー電王」で有名な韮沢靖…''ナイマンといい、無駄に豪華スタッフ。'' エネミーの全体像なんてちょっとしか見る機会がないのに…。