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最後の忍道 - (2012/01/28 (土) 23:03:46) のソース

*最後の忍道
【さいごのにんどう】
|ジャンル|アクション|~|
|対応機種|アーケード|~|
|販売・開発元|アイレム|~|
|稼働開始日|1988年|~|
|分類|''ゲームバランスが不安定''|~|
|ポイント|ひたすら殺伐とした世界観&br()上級者すら悩ますランダム要素&br()いくらなんでもやりすぎの3つの激ムズスポット|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
幕末を舞台にし、主人公である抜け忍と謎の老人率いる忍軍との死闘をテーマにしたアクションゲーム。当時としては「忍者」というモチーフを時代劇の文脈で用いるゲームは珍しいもので(むしろ現代や近未来で用いられることが多かった)、本作以前では『影の伝説』や『忍者くん』シリーズくらいであった。

主人公は、非力だが手裏剣や敵を弾く刀、非力だが連射がきく手裏剣、攻撃力が高いが単発の爆竹、刀と飛び道具の中間の性能の鎖鎌…といった4種類の武器をボタン操作で切り換えて使いこなすことが出来る。~
またこれらの武器はアイテムを取ることでことでそれぞれ防御範囲が広がる、3way手裏剣、3連射可能、レバー操作で回転させられる、という風にパワーアップするが、パワーアップするのはアイテムを取った瞬間に使用していた武器となる。~
別のアイテムを取ることによって2つまで分身をつけることが可能で、フルパワーアップ時の自機の攻撃能力は非常に高いものとなる。

この中でも特筆すべきは強化版の鎖鎌。~
ちょこんと別方向にレバーを入れるだけでブンッと背中側まで一瞬でなぎ払うのである。空中であれば一回転、自機から全方位を攻撃できる。もちろん、振り回す間にも攻撃判定は発生し、一発で倒せる雑魚忍者達や敵弾を一掃する。~
リーチも長く、自機からの攻撃だけで画面半分はカバーできる。さらに分身がつけばほぼ全画面を攻撃可能。回転させない場合は連射性能もそれなりにあり攻撃力が高い。~
これほどにまで強い武器がアクションゲームで実装された例は他に無いであろう。

が、それに負けじと敵もザコ・中堅問わずほぼ無限わきの大物量(出現タイミングはランダム)で襲い掛かってくる。先の鎖鎌があるにも関わらず、多くのプレイヤーは3面で倒されてしまう。それも耐久力の高い落ち武者や虚無僧だけでなく、一発で倒せるはずの忍者にさえ切り伏せられてしまう、と言えば激しさの一端が理解できるだろうか。~
こと中型・大型の敵はこちらがパワーアップするごとに堅くなる厄介な特徴があり、中途半端な力では逆に押し切られることに。また一撃死ではあるが、得物を構えていない敵や飛び道具しか撃たない敵などには重なっても影響を受けないという画期的な特徴がある。

そんな、超攻撃的な自機VS大物量の敵キャラ群という一見派手なゲーム性ではあるが、主な舞台は廃寺、無人の峠道、枯野原、カラクリ屋敷など退廃的な雰囲気を持っている。~
またアイレムらしくボス敵及び自分の断末魔はいやに大音量かつ男らしく「ぐおぉぉぉぉああ…」なものとなっており、女っ気もゼロで血生臭く硬派な作品となっている。~
そのイメージは白土三平の忍者モノに近いといわれることがある。

**やり過ぎ
殺伐とした世界観に合わせてか本作の難易度は総じて高いのだが、特に下記に挙げる3つのポイントは一際シビアであり語り草となっていた。

***6面全般
-迂闊に近づくと居合いでバッサリやってくる侍が絶えず2人ほど画面内を走り回り、杖を振り回しているせいで触ったらほぼミスである僧侶が2人で跳ね回ったり杖を投げつけたりしてきて、そこへ空から忍犬が降ってくる手裏剣が飛んで来るの混乱状態。
-後半は犬(というか、オオカミ)がいなくなる代わりに侍が空中でも容赦なく斬ってくるようになり、デカキャラである落ち武者の亡霊がのそのそ歩き回っていて、相変わらず手裏剣が画面を飛び交う。どちらも、半ば運ゲーというほど敵の攻撃が苛烈となっている。

***7面後半
-通称縦穴。自由落下でラスボスへ通じる深い穴を約20秒間下って行くだけ…なのだが、そこには「見た目はザコ忍者でも耐久力は侍並みで事実上倒せない奴ら」がゴマンとひしめき合っている。
-単純に縦穴エリアが長いこと、主人公の空中制御能力が低いこと、敵を倒せないことでアドリブが殆ど通用しないトンデモ地帯となっている。抜けるには試行錯誤を繰り返して突破パターンを組み上げるしかまず道がない、完全覚えゲー。ここにたどり着くまでにも苦労したであろうプレイヤーからさらに無理やりクレジットを搾り取っていく。

***最終ボス
-その場から動かず、弱点部分から緑色の閃光弾をランダムのタイミングで出し続けるだけ、という安易な攻撃パターンなのであるが、その誘導弾の軌道は何故かジグザグの気まぐれなもので非常に読みづらい。出るタイミングがランダムなので閃光の量も気まぐれ。
-長期戦になればなるほど詰みパターンで閃光が飛んでくる確率が高くなるが、よほど運がないと序盤から無理ゲー化する事もありうる。全一プレイヤーすら「駄目な時は駄目」と言うほどの運ゲー状態。
--クリアできるパターンになる可能性は低めな上、このゲームでの稼ぎプレイは残機潰しが中心((6面前半のある半安地地帯でおこなわれやすい))であり、スコアを目指す場合にはこのボスと戦えるのは一回限りと非常にスコアラー泣かせであった。

これらの死闘に打ち勝ったプレイヤーは衝撃の事実とささやかな達成感が与えられるエンディングを迎える。かくして最後の忍道は難ゲーとしてプレイヤー達にその記憶を色濃く残していった。

**評
-硬派な世界観や、攻撃的な自機を自在に操る破壊ゲーっぷりは魅力であるが、武器選択に関連するやや複雑なシステム、全体的な高難易度+上記の激ムズスポットのせいで本作は厳しくプレイヤーを選ぶ孤高のゲームとなっている。&br()ゲーメスト誌上でのハイスコア集計は、デフォルト設定と敵が軟らかくなっているイージー設定とに分かれて行われていた。
-また、慣れてくると武器が「鎖鎌」ほぼ一択になるのがやや難点。
--4,7ステージの道中と5ステージ以外のボス戦では「爆竹」がメインになる。

**移植版について
-PCエンジン版(90年)
-この時期のアイレムのアーケード作品は際立って難易度が高いものが多かったが、家庭用移植作品では一転、誰でも頑張ればクリア出来るように調整されていた。本作もその例に漏れず、いくつかの改良点がある。
--アーケード同様一撃死の「アーケードモード」と、ライフ制の「PCエンジンモード」を選択できる。
---ライフ制の場合は防御性能のある鎖鎌よりも高い火力の手裏剣や爆竹のほうが強力となっている。
---ただしPCEモードでも一撃食らっただけで死んでしまう攻撃を敵が放ってくることがある。
--全体的に難易度を落とす方向で調整されており、オリジナルに比べると多少カットされている。だがそのおかげで冗長性が薄まっており、むしろ良アレンジと言えるだろう。
---前述の7面後半の縦穴は安地が設置された。
--現在はVCでPCエンジン版が配信されている。
--ちなみに、「ゲームセンターCX」の有野の挑戦でPCエンジン版がプレイされた際には、無限コンティニューや難所を運で打開したこともあって、スタッフの力を借りずに過去最短の2時間10分でクリアされている。このゲームの難しさがことごとく裏目に出た結果と言える。
-ゲームボーイ版(93年)
--一言で言うと無茶移植であり、非常に画面が見づらい。ただ再現度はなかなか高い。
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