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ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period - (2012/02/11 (土) 21:43:33) のソース

*ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period
【げーむぶっくでぃーえす あくえりあんえいじ ぱーぺちゅあるぴりおど】
|ジャンル|ゲームブック型アドベンチャー|&amazon(B002V91LS8)|
|対応機種|ニンテンドーDS|~|
|発売元|ブロッコリー|~|
|開発元|日本アートメディア|~|
|発売日|2010年2月25日|~|
|定価|5,040円(税込)|~|
|分類|&bold(){クソゲー判定}|~|
|ポイント|普通のアドベンチャーゲームをあくまで「ゲームブック」と主張&br()携帯アプリにも劣る快適さ、その癖選択肢の難易度が高め&br()進行に問題を生ずるバグの存在、その他多量に存在する表示バグ&br()ぶっちゃけカードのおまけでゲームが付いてきたようなもの&br()|~|
|>|>|CENTER:&color(red){クソゲーオブザイヤー2010携帯機/ノミネート作品(携帯版七英雄)}&br()&color(black){&bold(){ゲームブックDS アクエリアンエイジ Perpetual Period}}/現代大戦略DS~一触即発・軍事バランス崩壊~/&br()大戦略PERFECT ~戦場の覇者~/[[ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!]]/&br()天下一★戦国LOVERS DS/[[どんだけスポーツ101]]/プーペガールDS2|
//手持ちのバージョン(NTR-P-BA9J)で、「ギャラリー起動後セーブロード不可能バグ」「セリフずれバグ」「立ち絵バグ」「BADエンディング絵がギャラリーに登録されない」は全て修正されていることを確認しました。
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#contents(fromhere)
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**概要
ブロッコリーの『ゲームブックDS』シリーズ第三弾。萌え系トレーディングカードゲームの先駆者((販売開始は『遊☆戯☆王 オフィシャルカードゲーム』と同年で、国産トレーディングカードゲームとしてもかなり古い方である。))『アクエリアンエイジ』(通称:アクエリ)のキャラ設定を下敷きにしたゲーム。
-なお、タイトルの「Perpetual Period」は直訳すると「果てしない時代」という意味。

**ストーリー
主人公・鳴神恭は、幼馴染である神社の娘・鳴神美琴の元に養子に入った孤児の高校生。
生活は怠惰で、朝起きるのを渋っては美琴に叩き起こされるのが日常茶飯事、授業中は専ら教室や屋上で寝ている。
そんな中恭が住む紅月市では、今月になって原因不明の発火による死亡事件が相次いで発生。
「発火」というキーワードが、恭と美琴が幼いころに体験した謎の火災事件を思い出させる。
美琴は、恭に事件について調べたいと提案するのだった。

**システム
-6人のメインヒロイン(美琴・ここな・ルゥリィ・優芽・リディア・アィ)がおり、それぞれにシナリオ・エンディングが1つずつ存在する。
--メインヒロインはボイス付きで、堀江由衣、沢城みゆき、田村ゆかり、榎本温子、榊原ゆい、高垣彩陽とそこそこ名の知られた声優も多い。ただし、DSの容量の都合か作業量の関係か、ボイスが付いている部分はキャラクター登場時と終盤の重要シーン、分量にして全体の10~15%程度に限られる。
-全シナリオに共通して、物語は4月21日から27日までの7日間が描かれる。
--ただし、初めに選べるのは美琴・ここな・ルゥリィのルートのみ。22日に複数ある選択肢次第で、残り5日間誰のルートになるか決まる仕組み。
--上記3人を全てクリアすると、優芽→リディア→アィとルート固定で話が進み(分岐するわけではないので、21日からそれぞれ独自のストーリー展開になる)、都合7周目で初めて解決編に移行する。

**問題点
-「ゲームブック」と名乗ってはいるが、内容は普通のアドベンチャーゲームそのものである。
--選択肢の中では選ぶと一発でゲームオーバーになるものもあるが、それだけでは「ゲームブック」にはならない。
--そもそも、説明書にゲームブックに付き物の戦闘のルールなどが書かれていない点で「怪しい」と感じられるのだが。
--限定版についてくるドラマCDでも突っ込まれている始末。
-ルート分岐についても問題がある。
--シナリオ上の必然とはいえ、自由にルートを選べないのは恋愛シミュレーション的に本作を見た場合不満が残る。
--ヒント機能などの洒落た物もなく攻略サイトも見当たらないため、ルートに入るための条件が分かり辛い。
--後述のセーブ面の問題もあって、特定のシーンやシナリオを再プレイする場合は最初からもう一度プレイすることを強いられる場合が多い。
//またシナリオの都合で27日(最終日)で強制的に最初に戻されるのがストレスを増させる。
//ループはシナリオ上の必然だった筈なので修正。事実誤認でしたら修正をお願いします……にしても他に見せ方無かったのか
//ループ構造自体に問題がある訳ではないので、ループ関連の記述は問題点から外しました。
-システム周りは2010年のゲームでなくともかなり酷いレベル。恐らく十年は遅れている。
--ルート分岐やゲームオーバー直行の選択肢などがあるにも関わらず、セーブデータはたったの3つしかない。もう1度見たいシーンやシナリオのセーブデータを取っておくなどということは難しく、やるにしてもせいぜい1つで妥協することになる。
--セーブ・ロード画面で確認できるセーブデータの説明に「現在の(ゲーム内の)日付」「現在のルート」しか書いておらず、セーブ地点の状況が碌に把握できない。
--既読部分のスキップ機能ぐらいはあるが、右ボタンを押しっぱなしでないと機能しないという本体に優しくない仕様。
-シナリオ自体も見るに堪えないという程ではなく「見どころ」と言えるものはあるが、全体には凡作かそれ以下の出来。
--色々と事件は起こり、その過程でヒロインと仲良くなっていく描写はそれなりなのだが、結局物語が前に進むイベントがあまり多くないので全体に引き延ばし感が漂う。
--都合7周も引っ張った割に、ラスボスとの決戦やエンディングは至極あっさりと終わる。
---ラスボスの部下は非常に強く、こちらがもっと力をつけないと全く歯が立たないとされる描写が何度もある。色々あったものの目に見える形での成長は最後まで殆どなかったのだが、結局最後は土壇場で「主人公の想いの強さ」によってあっさり倒してしまう。
---エンディングについては、ラスボスを倒した後の余韻に浸ったりこれまでの道のりを振り返ったりなどは一切なく、単にヒロインとイチャイチャしたり「これからも共に歩んでゆく」みたいなセリフが入ってすぐ終わる。その量たるや、''ボイスやメッセージ送りを一切スキップせずに進めても3~4分で終わる''ほどで、''ライターが力尽きたんじゃないかと疑うくらい短い''。
---先に若干述べた通り、メインヒロイン6人それぞれに対して最終盤のシナリオやエンディングが変わる。最終日前日に選んだメインヒロイン1人と共にラスボス戦を戦い、エンディングを迎えることになるのだが、それまで仲間全員で戦っていたシナリオが急にヒロインと2人っきりのシナリオになるため大きな違和感が残る。強大なラスボス相手にヒロイン全員で戦うのは至極当然なはずなのだが、選ばれなかったメインヒロイン5人は''何の説明もないまま''ラスボス戦には全く登場せず、そのまま''エンディングまで出番は一切ない''。
--『アクエリアンエイジ』の世界観を下敷きにしていても、その世界観を全く活かせていない。「マインドブレイカー」と呼ばれる能力者((原作のカードゲームでいうプレイヤーはこの「マインドブレイカー」であり、その能力によってキャラクター達を使役しているという設定である。))の設定は登場するが、他の要素は原作とほとんど関係ない。
---原作のTCGでは6つの「勢力」が覇権を争っているという設定であり、このゲームのヒロイン達もプロモーションカードでは全員6勢力に分類されている。しかしそういった世界観は本作ではほとんど描写されておらず、「WIZ-DOM」「極星帝国」といった原作の単語が何度か出てくるぐらいで本筋のストーリーにはごく僅かにしか関わってこない。
-立ち絵のパターンに乏しく、顔が10パターン程度変わるだけでポーズは一切変化しない。
--服装も各キャラ1~3種類(多くのキャラは2種類)しか存在しないため、例えば「制服」「巫女服」の2パターンしかない美琴(神社の娘)は、「''自宅の中でも、事件を調査しに街中を散策する際もずっと巫女服''」という事態が起こる。
---一応はキャラクター説明で「家でも巫女服でいるのが好き」とあったり、デートに巫女服で来た際も「巫女のバイトが急に入って」と言ったりとフォローはあるのだが、段々と言い訳に見えてきかねないのは否めない。
--リディアが(本人の勘違いから)体操服やスクール水着を着て授業を受けることになるという明らかにサービスシーンらしき場面があるのだが、リディアの服装は1種類しかないためその場面でリディアの立ち絵は一切現れない。1枚絵も出ない。
-ゲーム内や『アクエリアンエイジ』の重要単語を解説した辞書機能が付いており、会話中でその単語が出てきた際に見られるようになっている。しかし長くても60文字くらいの簡単な解説しかないうえ、項目数が20余りと非常に少なくほとんど用をなしていない。
--そのくせ、別に本作特有の単語でもなんでもなく、ほとんど必要のない項目もある。&br()「予知」・・・「近い未来に起こる事態を見ることのできる超能力。」''分かってるよ!''
-日常風景のシーンで流れるBGMが、ヘンデル作曲「見よ勇者は帰る」(表彰式でよく流れるあの曲)に酷似している。著作権のとうに切れたクラシックなので法的に問題はないものの、BGMを理由もなくクラシックから引用するというのはモノ作りの姿勢としてどうかという話である。引用したと断定することはできないのは確かだが。
--なお、サウンドテストで見られるこの曲のタイトルは「Aquarian Age」・・・つまり、''このゲームのタイトル(ひいては、カードゲームを中心とするメディアミックス全体のタイトル)と同名''である。故意にしろそうでないにしろ、メインテーマと思しき曲がオリジナリティの全くない曲というのはどうなのか・・・
--サウンドテストにて、曲のタイトルが特に本編とは関係ない固有名詞の物ばかりとなっている。途中で企画の変更でもあったのだろうか((モード自体に問題は無い。又、曲のタイトル関してもアクエリには関係が深い固有名詞からきている。))。
-登場キャラクターはカードゲームに既に登場していたキャラクターではなく、このゲームで初登場したキャラクターであるため、ファン向け作品としても当時としては微妙なものだった。
--このゲームの限定版特典として登場キャラクターのプロモーションカードが封入されてはいるのだが、既存キャラクターのファンへの訴求力は高くないと言わざるを得ない。

**バグ
-とにかく''バグや不具合だらけで、一度でも通しプレイをしたならば気づいて当然レベルのものがスルーされている''。
--「ギャラリー」でCGを見た後にゲームをスタートまたはロードすると、セーブ&ロードを始めとしたコンフィグ機能が使えないためセーブすらできなくなってしまう。
---電源を切れば元に戻る性質のもので、公式サイトのほうにもそのバグについて報告されているが、アドベンチャーゲームでセーブ不能のバグとはあまりにお粗末。
--表示されている文章と台詞がずれており、既に読んだ1つ前の文章やまだ呼んでいない次の文章のボイスが再生される場合がある。
--立ち絵及び背景の指定にミスがあり、居ない筈のキャラ立ち絵が出ていたり、CGに立ち絵が重なるような場面もある。
--ゲームオーバーになった際のシーンに使われているCGが「ギャラリー」に登録されず、わざわざCGが表示されるシーンでセーブする必要がある。
--その他、誤字脱字など。
-後期出荷版では、バグは確認出来る限り全て修正されている模様。

**その他
-ゲームブックDSシリーズ第一弾の『[[ソードワールド2.0>ゲームブックDS ソード・ワールド2.0]]』の評判がよろしくなかった為、本作の出来も危ぶまれていたという。
--さらにゲームブックDSシリーズ第二弾の『[[鋼殻のレギオス>ゲームブックDS 鋼殻のレギオス]]』では「エピローグ近くで必ずフリーズする」という致命的なバグを抱えていたためその危惧に拍車がかかる事となった。本作は「それと比べれば」まだマシになっているらしい。
-イラストの担当は藤真拓哉氏。
--『ネギま!?Neo』((『魔法先生ネギま!』のアニメ2期『ネギま!?』を元にした漫画。))『アイドルマスターブレイク!』『魔法少女リリカルなのはViVid』((この作品と『魔法戦記リリカルなのはForce』を合わせて第4期シリーズとして展開している。))といった原作付き漫画の作画を担当しているが、いずれも評価が大きく分かれるものばかりである。作中のキャラクター改変の激しさや露骨なキャラクター選り好み、人によっては不快に感じる露骨なファンサービス等((ただし『ネギま!?Neo』に限って言えは原作からして露骨な作品ではある。))、同人あがりに有りがちな悪癖が垣間見えるが、筆が早いため見かける機会は増えている。
--また、『ガラクタ・パーツ』『R-15』等のライトノベル作品や本作のように、氏が絵を担当した作品は地雷率が地味に高い。
---ちなみに『ガラクタ・パーツ』は[[エンブレム オブ ガンダム]]の駄目テキストですら霞む程の駄作である。
--同氏は他にも当サイト登録作品では[[戦国絵札遊戯 不如帰-HOTOTOGISU-乱>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/575.html]]の追加カードのイラストを担当している。
--本作や上記の各漫画など、氏の手掛ける作品には所謂「限定版」が発売されることが多く、それらの特典目的で購入するファンも多い。
---もっとも、担当作がオリジナルではなくアニメやゲームなどのコミカライズばかりなので必然的にそうなるのだが。
--賛否が分かれる漫画本編に比べ、各種特典は比較的クオリティが良好なためそれぞれのファンの間では「本がオマケの漫画家」という評価を受けている。
--ネット上で本人及びアシスタントによる自作品の持ち上げ工作が露見したことがある。妙にこの本人に関する記述が豊富なのもあるいは?

**結論
-不親切かつボリュームに乏しいシステム設計と、デバッグという作業をしたのか疑わしくなるような多くのバグが評価を大きく落とした。現在一部のロムではバグは修正されておりまともに遊べるようになっているため、興味を持ったプレイヤーは買ってみるのもいいかもしれないが、一個のアドベンチャーゲームとしてもやや微妙な出来なのでお勧めはし難い。
-初回限定版にプロモーションカードやドラマCDが付いてきたため、それらの「おまけ」だと見做されているのが現状である。
--もっとも、最初のコンピューターゲーム化作品『アクエリアンエイジ~東京ウォーズ~』(PS1)の頃からアクエリアンエイジのゲーム化・映像化作品の扱いはそういうものではあった((コンピューターゲーム以外にもCDドラマ、小説、漫画(一部映画化)、OVA、テレビアニメ(のDVD)等があるが、極一部を除きいずれも「カードのおまけ」と言われている。またブロッコリー関係作品の『デ・ジ・キャラット』や『ギャラクシーエンジェル』等のDVDの付録にもなったりする。))。
--プロモカードは本家で使用可能だが強くもなく弱くもなく、「愛があれば使える」レベルのものにまとまっている。以前犯した「プロモカードが強すぎて本家TCGのバランスを崩す」という失敗は繰り返していないようだ。
---かつてはプロモカードを(デッキ制限の)4枚づつ揃える為に1万数千円するOVA限定版を4つ買う猛者も居た。DVD本体はすぐさま二束三文で中古屋行きだが。ただしTCG市場では人気カードは1枚数千円で取引される為、コアゲーマーにとっては安い買い物なのだろう((5枚+α(通常のレアカードなど)入っていた。ちなみに、このOVA付属プロモカード、まったく同じ物(絵は違うがルール上は同じカードとして扱う代物)を通常パックに封入される事が告知されており、そのパックが発売される前の全国大会一回だけの為に買い揃えたと言う凄まじさ。))。プレイヤー人口が上回る『マジック:ザ・ギャザリング』や『[[遊☆戯☆王>遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4 最強決闘者戦記 遊戯デッキ/城之内デッキ/海馬デッキ]][[デュエルモンスターズ>遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX Card ALMANAC]]』だと1枚数万円で取引されるカードも存在する。
--その後、このゲームのプロモーションカード6枚は約1年後に別のカードパックで再録された。このゲームの存在価値がますます下がってしまったと言える。
---同時に関連カードによる強化も行われており、このゲームのキャラクター(のカード)がフィーチャーされたと考えれば、悪いことではないのかもしれないが。
-それ以前に、このレベルのゲームもまともに作れなくなってしまったブロッコリーの未来が危惧されてならない。
--この作品の2ヶ月前に発売された『ダイスダイスファンタジア』も売れ行きが悲惨だったせいで目立たないものの、比較的単純なボードゲームというジャンルでありながら酷い出来であった。
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