2012年8月16日〆 図書紹介文
200914029平中隆義
- 図書名:パチンコの経済学 21兆円ビジネスの裏で何が起きているのか?
- 著者:佐藤仁
- 出版年:2010年12月2日
- 出版社:東洋経済新報社
- 要約
パチンコホールの経営のあり方がここ数年で大きな変化をしており、大手企業の経営戦略にも差異化が進められている。パチンコホールにとって法令による規制でパチンコ台のシステムやゲーム性での集客が厳しくなり、パチンコ台のメーカーはそのような現状を踏まえてパチンコ台に版権キャラクターを用いて顧客に興味をもってもらうという戦略に切り替えた。パチンコホールはその他にも粗利益率でその店舗の戦略が理解できたり、休眠客に帰ってきてもらう方法を模索するなどパチンコホール同士の争いは激化している。(237字)
第2章 パチンコの基礎知識
パチンコホールの利益の上げ方は知っての通り貸玉料の総額である。利益の算出方法は「稼働・玉利・玉価」の3つで大まかに割り出すことが可能である。パチンコホールに遠隔操作などの不正行為は100%とは言い切れないがまずない。また、パチンコに限らずギャンブルには強い依存症を引き起こす可能性があり、日本全国でパチンコホールでの遊技者の約70%はパチンコをやめる方法を相談しているとのことである。さらに、深刻な場合は多額の借金を抱えたり、最悪の場合はパチンコに依存しすぎるあまり命を落とすケースも存在した。上記の利益の上げ方については長くなるため本書を参照されたし。(274字)
第3章 パチンコの抱える構造的な問題
1980年代頃のパチンコ台は「普通機」と言われ、釘などの調整で出玉の良し悪しが決まっていたが、1990年代初頭に登場し現在も稼働している「CR機」は出玉を内部の機械により管理されているため釘の調整だけでは出玉の良し悪しを推測することが困難である。第2章の要約で述べた依存症により生活が困難になりパチンコホールでの不正行為ならびに窃盗や強盗などの犯罪行為を行う者も出現した。刑法185条に国が認めていない賭博を行った者を罰する法律があるがパチンコは出玉に応じてあくまでも「景品」を贈呈しているためこの法律には該当しないというグレーゾーンな立場を現在も撮り続けている。(273字)
第4章 境界なきギャンブルVS金融商品、ギャンブルVSエンターテインメント
パチンコをやめた人もしくはやっている人の多くはFX取引に挑戦するというデータがあるらしい。その理由としてFX取引会社の預り保証金の一口座あたりの平均金額がパチンコホールで遊戯する軍資金と大差ないことが挙げられる。金融商品であっても確実な利益をあげられるわけではないが高額な配当に心惹かれるらしい。また、エンターテイメントにおいてもギャンブル化が進んでおり、その一例として無料の携帯ゲームが挙げられる。携帯ゲームはゲーム内での課金アイテムなどを利用者に購入してもらうことで利益を上げるが、最近の傾向として確実に目当ての物が入手できるわけではなくランダムであり、ギャンブルには垣根がないことが立証された。(297字)
第5章 カジノビジネスの動向とパチンコ
カジノビジネスは経営が大きく法律に左右されており、アメリカなどではギャンブルを3段階でランク分けしたりしている。なお、カジノは最高ランクのランクⅢである。ギャンブルには大きく分けて「賭事」と「博戯」の二つがある。賭事は遊技者に技術による優劣がないことであり博戯はその逆である。パチンコは博戯にあたるのではないかと言われている。
カジノの顧客の中でも中国人がかなり多くどこの国のカジノでもチャイナマネーを大事にする傾向がある。その一例として、カジノの入り口に赤い提灯を飾ったり、店内で扱うフードに中華料理を用意したりという事例がある。日本にもしカジノが出来る場合は低貸玉料専門のパチンコホールのような低レートで遊べる一般階層にも有意義なものであるべきである。(327字)
第6章 パチンコとゲーミング産業との共存
日本におけるギャンブルの遊技者は言葉は悪いが搾取されているといっても過言ではない。依存している顧客を巧みに操るようにパチンコホールに誘い入れているわけである。このような経営のあり方を抜本的に変えてなおかつ利益を上げることこそ新時代のパチンコのあり方といえる。その方法として、パチンコホールにとって歓迎すべきことではないがギャンブルを合法化することで、パチンコ業界全体のやり方をリセットすることである。合法化すれば経営方針にも劇的な変化が生まれると予測される。その上で重視すべきなのは出玉の良し悪しよりもゲーム性を重視する考え方に移行することが望ましいと述べている。(281字)
- まとめ
の依存により利益を上げているのは事実だが、遊技者もただ搾取されているわけではない。合法化すれば当然多くの店舗ができることは容易に想像できる。その為多くの店舗が利益を上げるために稼働率を低く設定することも想像するに難しくない。そのような現状になった場合は遊技者はパチンコを離れてFX取引でもやっているほうが利益を上げることができると判断するはずである。結論からいうと、「勝ち目のないギャンブルに賭ける愚か者は少ない」といえるのである。
本書の述べていることは間違いではないし、内容として尊重すべき点も多く述べられている。そのかわり現在のパチンコホールの現状から少しずれている言わざるを得ない。大手のパチンコホールは合法化しても大きな損失を被ることはないだろうが中堅もしくは弱小のパチンコホールは大きな被害を被るはずである。合法化が業界にもたらすことは明らかに利点よりも欠点が目立つのである。求めるべきは現状をどのように打開していくかであり、経済的分析を用いたとしても起こるかどうかも分からない合法化を前提に論じることはナンセンスである私は考える。そのことを深く考察する一因となったことについては本書は有意義なものであったと考える。(592文字)
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