バトルロワイアル - Invented Hell - @ ウィキ

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kyogokurowa

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(チッ、くだらねえ真似を)

畳の敷かれた部屋の中。
特徴的な前髪の男、神隼人は舌打ちと共に先の惨劇に毒を吐く。
殺し合いという異様な状況ではあるが、そんなものに彼は恐怖を抱いていない。
当然だ。
もとより殺し殺されが付きまとうテロリスト、加えて、鬼との闘いは文字通り死闘の連続。
ゲッターロボに乗っていようが乗っていまいがそこに変わりはない。
殺し合いを強要されたとて、枷の有無があるだけでさほど変わらない。
彼は如何な状況に陥っても冷静な思考で最適なパフォーマンスを発揮できる。
もしもこの殺し合いが金持ちの道楽であれば、選ぶ人種としてはこれ以上なく正しい選択であろう。
彼がこの催しに興味を持っていれば、だが。

(殺し合いだのなんだのは好きにやればいい。だが、ゲッターから離されたのは気に食わん)

いま、彼が求めるものはゲッターの真理。
それを解き明かすことだけが、彼の目的であり生き甲斐だ。ゲッターロボに乗り鬼と戦うのもそれが目的に過ぎない。
人間には寿命という枷がある。参加者が何人死のうがどうでもいいことだが、ここで拘束されそのぶんの時間を無為にされるのは非常に腹立たしい。
優勝の褒美になんでも叶えると言っていたが、それも興味はない。
主催が何者かは知らないが、あんな女にゲッターを解き明かせるものならとうに自分が解き明かしている。
それに、殺し合いに乗ってあんな連中の掌で転がされるのも気に食わないし、殺しても死なない奴らも巻き込まれている。
だったら、せめていい気になってる奴の鼻を明かしてやる方がまだ面白そうだ。

(その為にも首輪のサンプルは必要か)

いま現在、参加者を縛っているのは首輪に他ならない。
首輪は晴明が使う陰陽師の類ではなく、れっきとした機械仕掛けのものだ。構造さえわかれば外すこともできるだろう。
その為にはやはりサンプルが要る。つまり、誰かしらの犠牲者は必要なのだ。

(狙うなら晴明か...いや、あいつは確かに殺しても問題ない奴だが、身体の構造が俺たちとは違う。首輪の構造も異なっているかもしれん)

晴明のような人外を巻き込んでいる以上、人間とそうでないものの首輪の違いはあるかもしれない。
無論、晴明の首輪のサンプルはあるにこしたことはないが、やはり人間のものも必要だ。
となれば、殺し合いに乗った者か、首輪を外し主催を潰す時に役に立たない一般人辺りが妥当だろう。

(俺がいるのは産屋敷邸...早乙女研究所に向かう通り道にあるのは学校と病院か)

一般人が心の平穏を求めて訪れやすい場所は学校や警察署、病院といった日常にある建物だ。
まかり間違っても早乙女研究所や黒平安京、コロッセオにピラミッドのような非日常的な場所ではあるまい。

早乙女研究所に関しては、ゲッター線を殺し合いに巻き込むとは思えないためそれらしいレプリカなのだろうとは思っているが、竜馬や弁慶、ひいては晴明も目印にするだろうし、万が一のことを考え寄っておきたい場所ではある。
その通り道にあるのは学校と病院。負傷者を狙う者が来ることをや一般人が来ることを考えると医療道具が手に入るかもしれない病院の方が実りがありそうだ。

ある程度の方針を固めた隼人は、荷物を纏めて部屋を後にしようとする。

―――ジャリ

庭から砂利石を踏む音が鳴る。隼人は咄嗟に臨戦態勢を取り、その気配を探る。

―――ザッ ザッ ザッ

足音は警戒心など感じられぬほどに警戒に砂利を踏みしめていく。
それほど腕に覚えがある者なのか。いや、それにしては足音が大雑把すぎる。
達人であればあるほど、足音は統一されやすい。ならばこれはよほど能天気な一般人か。
隼人は襖に小さく穴をあけ、庭の様子を覗き見る。

庭を歩いているのは金髪の少年だった。その手には大きめのハンマーが握られている。

(殺し合いに乗った奴か?それにしては隙だらけな奴だ。覇気も殺気も感じられん)

達人であればそれなりの佇まいになるだろうし、かといって気の触れた一般人にしては緊張や動揺も感じられない。
奇妙な奴だと隼人は思った。

少年はその手のハンマーで辺りの木々や草、石を砕いてはデイバックに詰め込んでいく。

「......?」

ますます隼人の頭に疑問符が浮かぶ。
この殺し合いという状況下で、なぜ彼はあそこまで物質に対して武器を振るっているのか。

やがて、少年は和風の庭には場違いにもほどがある木製の台の上に砕いた石を乗せ、手でこね始める。
するどどうだろうか。その石は瞬く間に形を変え石製の炉に形を変えていくではないか。

「...!」

隼人は思わず絶句する。
確かにあれくらいの炉ならば、材料さえあれば隼人も作れる。
しかし、いくら彼といえども、あんな大きなものを5分とかからず加工しモノにするのは不可能だ。
それをやってのけるあの少年は一体何者だ。晴明のような陰陽師に類する者か?

隼人が考えを巡らせている間にも、少年は石や草木を素材にした道具を次々と、短時間で作成していく。
武器や家具、人形のような実用性のわからないものを含めてごちゃ混ぜな有様だった。

(...面白い)

隼人は笑みを浮かべ、襖を勢いよく開け、少年へと駆けだす。
少年は驚き身を強張らせるも、すぐにハンマーを構え臨戦態勢に入る。
振るわれるハンマーを、隼人は右手で軽く受け止め、少年が回避行動へと移る前に首根っこを掴み、ハンマーを投げ捨て背後をとるように抱え込んだ。
もがこうとする少年の抵抗を防ぐ意味を込めて、右手の爪を首元に突き付けつつ耳元で囁いた。

「自衛の心得程度はあるようだな」

隼人は少年を解放すると同時に突き飛ばし、よろめく少年を足で払い転ばせた。

「俺の名は神...神隼人。これから先、奴らに地獄を見せる男だ!」



屋敷の台所を拝借した二人は、ひとまずの食事を兼ねた情報交換の場を設けていた。
少年は最初のやり取りこそは面食らっていたものの、隼人が他者に危害を加えるわけではないのを知ると彼の要求にも不満を漏らさず応じていた。
少年はシドーという友達を探しているということ、隼人は仲間に流竜馬と武蔵坊弁慶という男がいるのを伝え、互いにこの会場で会ったのが初めての相手だということを知った。

「ビルド。お前にはやってもらうことがある」

少年―――ビルドは『作った』パンを頬張りながら首を傾げた。

「お前のそのモノづくりの腕を見込んでだ」

隼人は切られたキャベツをかじりながら、紙を机に置きペンを走らせた。

「お前にはコイツのような武器を作ってもらう」
『首輪を作れ。サンプルは追って用意する』

机に置かれた拳銃と、その下に敷かれた紙に書かれた文字を見たビルドはギョッと目を見開いた。

「俺も作れんことはないが、あそこまでの速さでは無理だ。数分で作れるのはお前しかいない」
『本当に重要なことは紙に書け。奴の監視対策になるかもしれん』

数瞬間を置き、ビルドは口を開いた。

「隼人もビルダーなの?」
「ビルダー?」

聞きなれぬ単語に疑問符を浮かべる隼人。その隼人に、ビルドは己の知る『ビルダー』についてを口頭でおおまかに説明した。
ほぼ全世界に渡りモノを作らせぬハーゴン教団。彼らが危険視するモノづくりの力を持つビルダー。
それらを聞かされた隼人はポカンと呆気にとられた表情を浮かべるも、すぐに思考を復活させぶつぶつとぼやき始める。

「常識がまるで違う...いや、しかし晴明のいた平安時代も技術のズレが生じていた...ならばこのズレは...」
「隼人?」
「...ビルド。俺はそのハーゴンとやらは知らんし、モノづくりそのものが禁止されている国も知らん。世界レベルで活動している輩ならあり得ないことだ。恐らくだが、俺たちは異なる世界から集められている」

異なる世界という概念にビルドは首を傾げる。

「俺はかつて俺の知る平安時代ではない平安時代に飛ばされたことがある。そこではまだ日本に伝来していなかった銃や飛行船などが当たり前のように普及していた」
『わからなければ話半分に聞いておけ。重要なのはこっちだ』

隼人の筆談を見たビルドは気を引き締めなおし、隼人の文字を目で追った。

「俺とお前の常識のズレが生じているのもその影響だろう。世界が違うから在るべき歴史も違う」
『お前に首輪を作らせる理由は二つ。一つは純粋に首輪を外す為に構造を知るため。もう一つは主催の奴に嵌めて爆殺する為だ』

「!」

ビルドが驚愕の表情を浮かべるも、隼人は構わず続ける。

「大方、あの女は文化のズレも殺し合いを促進すると考えているんだろう。実際、価値観も何もかもが違う奴らを信用して背中を預けるなんざ一朝一夕じゃできやしねえ」
『俺の知っている奴にあの程度の爆発で死ぬとは思えん奴がいる。そいつすら殺せるというのなら、まず間違いなく奴にも通用するだろう』
「文化や価値観の違いで殺しにかかってくる奴への対応を含めれば、より武器の重要性が高まる。益々、さっきの頼みが意味を帯びてきやがる」
『首輪の解析は俺の方でも進める。その為には首輪のサンプルは二つ以上必要だ。当然、脱落者は最低二人は必要だ』

「そんな、他の人を殺すなんて」

「本当にそう思うか?」

筆談が止まり、隼人の語気が強くなる。

「今さら、他人の生命がどうのこうのなんて言ってられる暇はねえのさ。これから先、弱い奴に生きる資格はねえんだ!お前が躊躇している間にも無力な奴は食い物にされ無意味に野垂れ死ぬだけだ!!」

ビルドは言葉に詰まり、俯いた。
隼人の言うことには一理ある。確かに、首輪を回収するには誰かを殺さなければならない。
自己防衛にしても、自分もハーゴン教団の魔物を殺したことはある。
だが、今回の催しに関しては他の参加者も自分と同じく巻き込まれた被害者だ。
色んな島を巡り仲間にしてきた人たちのように、共にモノづくりに励んでくれるような人たちかもしれない。
ビルダーのモノづくりは、そんな人たちを殺す為の力じゃない。

ビルドの顔に不満が浮かびつつあったのを察した隼人は、小さく息を吐くと共に彼を宥めた。

「お前に殺せと言っているわけじゃない。犠牲を減らしたいなら一刻も早くあの女を殺す為に尽力しろと言っているだけだ」

ビルドは、隼人との会話を通して、彼の言っていた価値観の違いを改めて思い知らされた。
ビルドはあくまでも殺し合いを止めることに比重を置いているが、隼人は主催を倒すことに比重を置いている。
最終的に同じ結論にたどり着いても、考え方が違えばこういうことも起こり得るのだ。
だからこそビルドは思う。
初めに会えたのが隼人でよかった。価値観が違っても目的が同じならば協力できる者もいることが知れたから。

「...わかった。これからよろしく、隼人」

だから、ビルドはちゃんとした仲間になる為に掌を差し出した。



ビルダー。それは作り生み出す者。あるいは破壊し変化させる者。
ゲッター。それは命。あるいは獲得する者。あるいは奪還者。

創造と破壊を司る意思に選ばれた二人が、この殺し合いに見出すは希望か地獄か、それとも―――。




【F-5/産屋敷邸/深夜/一日目】


【神隼人@新ゲッターロボ】
[状態]:健康
[服装]:普段着
[装備]:ミスタの拳銃@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考]
基本方針: 首輪を外して主催を潰し帰還する。
0:早乙女研究所に向かうついでに病院に寄る。
1:ビルドのものつくりの能力を利用し有利に立ち回る。現状、殺し合いに乗るつもりはない。
2:首輪のサンプルが欲しい。狙うのは晴明、殺し合いに乗った者、戦力にならない一般人(優先度は低い)。
3:竜馬と弁慶は合流できるに越したことはないが、まあ放っておいても死なんだろう。

※少なくとも平安時代に飛ばされた後からの参戦です


【ビルド(ビルダーズ主人公、性別:男)@ドラゴンクエストビルダーズ2】
[状態]:健康
[服装]:普段着
[装備]:ビルダーハンマー@ドラゴンクエストビルダーズ2
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考]
基本方針: ゲームからの脱出。殺し合いをしない。
1:シドーや隼人の仲間たちを探す。
2:モノづくりを止めない。隼人と協力しゲームから脱出する。


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