いま、神隼人たちの手元には五つの首輪がある。
夾竹桃から貰い受けた浜面仕上と錆兎の首輪。
埋葬する際に回収したビルドとマロロの首輪。
病院で遺体を見つけた際に、身体がほぼ炭化していたこともあり回収が容易だった霊夢の首輪。
夾竹桃から貰い受けた浜面仕上と錆兎の首輪。
埋葬する際に回収したビルドとマロロの首輪。
病院で遺体を見つけた際に、身体がほぼ炭化していたこともあり回収が容易だった霊夢の首輪。
研究所に着くなり、隼人は早速備え付けの工具を使い、錆兎の首輪を分解し中身を検めていた。
分解作業そのものはさして難しくなく、一般の工具でも可能な代物であった。
それ自体には拍子抜けではあったものの、そこに書かれている内容には隼人のみならず、九朗とアリアも眉を潜めずにはいられない。
分解作業そのものはさして難しくなく、一般の工具でも可能な代物であった。
それ自体には拍子抜けではあったものの、そこに書かれている内容には隼人のみならず、九朗とアリアも眉を潜めずにはいられない。
μ特製!! 参加者用特殊首輪。
この首輪はメビウスをベースとした世界で生み出された存在を消去するために存在する、緊急手段です。
これにより、仮想世界での作られた存在である彼らのデータそのものを強制的に【消去】することが可能となります。
また、削除対象に『死』を認識させるため、削除と同時に爆発が発生します。危険なので、首輪の削除機能を始動させてからは、対象から離れるようにしてください。起爆までは十秒ほどの猶予時間があります。
また、首輪には緊急解除コードが存在します。
もしもの場合は、緊急解除コードを利用して首輪を外すなりしてください。
これにより、仮想世界での作られた存在である彼らのデータそのものを強制的に【消去】することが可能となります。
また、削除対象に『死』を認識させるため、削除と同時に爆発が発生します。危険なので、首輪の削除機能を始動させてからは、対象から離れるようにしてください。起爆までは十秒ほどの猶予時間があります。
また、首輪には緊急解除コードが存在します。
もしもの場合は、緊急解除コードを利用して首輪を外すなりしてください。
「緊急解除コード?」
アリアが思わず呟く。
自分たちがメビウス世界で創られた存在であるかもしれないという考えは共有されている。
だから、その説がほぼ確定されたことに多少のショックはあれど、さしたる問題ではない。
問題はこの緊急解除コードだ。
自分たちがメビウス世界で創られた存在であるかもしれないという考えは共有されている。
だから、その説がほぼ確定されたことに多少のショックはあれど、さしたる問題ではない。
問題はこの緊急解除コードだ。
「隼人さん、なにか心当たりはありますか?」
「いや。生憎、施設を多く見て回れたわけじゃないからな。それよりもアリア、お前たちの知るメビウスにもこんな首輪かそれに類する措置はあったのか?」
「ううん。μがメビウスに取り込んでからは、直接干渉がないと削除なんてできなかったし、自力で帰る術もなかったよ」
「だろうな」
「いや。生憎、施設を多く見て回れたわけじゃないからな。それよりもアリア、お前たちの知るメビウスにもこんな首輪かそれに類する措置はあったのか?」
「ううん。μがメビウスに取り込んでからは、直接干渉がないと削除なんてできなかったし、自力で帰る術もなかったよ」
「だろうな」
もしも本来のメビウスでこんな装置を身に着けていれば、帰宅部と楽士の戦いなど起こるはずもない。
首輪を外せば現実へ帰れるというなら、楽士をどうこうするよりも首輪を外そうと躍起になるはずだし、楽士側からしても、わざわざ洗脳しなおすよりも帰宅部の首輪をさっさと爆破してしまえばそれでおしまい。殺し合いのセレモニーで、テミスとμが遠隔で首輪を爆破したことから、できないはずがない。
故に、本来のメビウスではこんな装置は生まれるはずがないのだ。
首輪を外せば現実へ帰れるというなら、楽士をどうこうするよりも首輪を外そうと躍起になるはずだし、楽士側からしても、わざわざ洗脳しなおすよりも帰宅部の首輪をさっさと爆破してしまえばそれでおしまい。殺し合いのセレモニーで、テミスとμが遠隔で首輪を爆破したことから、できないはずがない。
故に、本来のメビウスではこんな装置は生まれるはずがないのだ。
「目的の違いによって後から生まれた措置かもしれません」
「もともとメビウスは自分の好きな姿になって、一旦でもいいから現実の辛いことを忘れようってコンセプトで生まれた感じだからね。だから即死しない限りは怪我だってすぐに治っちゃうし、カタルシスエフェクトだって見た目ほどの破壊力はないし。死んじゃう人が出るのは誤算も誤算なわけよ」
「現実からの逃走保護と管理・殺害という目的の差異か。確かに保護だけしたいという幼稚な発想しかなかったなら殺害用の措置など思いつくはずもないか」
「...逆に言えば、μに変なことを吹き込んだらこういうのも創られちゃうって訳だよね」
「もともとメビウスは自分の好きな姿になって、一旦でもいいから現実の辛いことを忘れようってコンセプトで生まれた感じだからね。だから即死しない限りは怪我だってすぐに治っちゃうし、カタルシスエフェクトだって見た目ほどの破壊力はないし。死んじゃう人が出るのは誤算も誤算なわけよ」
「現実からの逃走保護と管理・殺害という目的の差異か。確かに保護だけしたいという幼稚な発想しかなかったなら殺害用の措置など思いつくはずもないか」
「...逆に言えば、μに変なことを吹き込んだらこういうのも創られちゃうって訳だよね」
殊更にアリアの声のトーンが落ちる。
アリアは今でこそμと敵対する立ち位置にあるが、もともとは二人でこのメビウスを作っていたのだ。
辛く悲しい気持ちやドス黒い感情を解消させてあげるために。また前を向いてハッピーにしてあげられるように。
μの『幸せ』の基準が高すぎるために道を違えてしまったが、しかし、それでもその気持ちだけは否定していなかった。
μを否定するだけでなく、妥協案があるならそっちを取れてもいいくらい、μのことは変わらず大好きだった。
それがなにをまかり間違ってこんな死と憎悪を撒き散らすような催しを生み出すに至ってしまったのか。
アリアは今でこそμと敵対する立ち位置にあるが、もともとは二人でこのメビウスを作っていたのだ。
辛く悲しい気持ちやドス黒い感情を解消させてあげるために。また前を向いてハッピーにしてあげられるように。
μの『幸せ』の基準が高すぎるために道を違えてしまったが、しかし、それでもその気持ちだけは否定していなかった。
μを否定するだけでなく、妥協案があるならそっちを取れてもいいくらい、μのことは変わらず大好きだった。
それがなにをまかり間違ってこんな死と憎悪を撒き散らすような催しを生み出すに至ってしまったのか。
目の前で死んでいったビルドの、マロロの、弁慶の、志乃の、みぞれの。
目の前でドス黒い感情に支配されてしまったジオルドの、シドーの姿を思えば、猶更、μに余計な入れ知恵をした主催たちに怒りが湧いてくる。
目の前でドス黒い感情に支配されてしまったジオルドの、シドーの姿を思えば、猶更、μに余計な入れ知恵をした主催たちに怒りが湧いてくる。
「あの、ちょっといいですか?」
そんなアリアを見かねるように、九朗が小さく挙手をして口を開く。
「爆薬が入っていなかったということは、爆破はたぶんμの能力ということでいいんですよね」
「恐らくだがな。だから不死であるはずのお前や、とうてい爆弾で殺せないやつらも消せるんだろう」
「恐らくだがな。だから不死であるはずのお前や、とうてい爆弾で殺せないやつらも消せるんだろう」
返事と共に、隼人は傍に置いてあったメモ用紙の束をペンと共に渡す。
『首輪の解除に関することならソイツで書いて伝えろ』。そういったニュアンスであることを察し、九朗はペンを奔らせ二人に書いた内容を示す。
『首輪の解除に関することならソイツで書いて伝えろ』。そういったニュアンスであることを察し、九朗はペンを奔らせ二人に書いた内容を示す。
『爆破がμの認識によるものなら、彼女の認識を変えてしまえば無効化できるんじゃないでしょうか。たとえば、爆発は誰も殺せないほど弱くなるとか、いっそのことμを此方の側に引き入れてしまうとか』
九朗が考えたのは、解除コードとやらを探すよりも、爆破そのものを無害化する案だ。
現状、解除コードへ繫がる手がかりは無に等しく、それならいっそ爆破そのものを弱体化させてしまえば、殺し合いを強制する力は一気に弱くなる。
それに加えてμの殺し合いへの認識を変え、こちらの味方に加えてしまえば、アリアにとってもベストな形に落ち着けるだろう。
そんな、現状とアリアの心境を擦り合わせた結果により生まれた案だった。
現状、解除コードへ繫がる手がかりは無に等しく、それならいっそ爆破そのものを弱体化させてしまえば、殺し合いを強制する力は一気に弱くなる。
それに加えてμの殺し合いへの認識を変え、こちらの味方に加えてしまえば、アリアにとってもベストな形に落ち着けるだろう。
そんな、現状とアリアの心境を擦り合わせた結果により生まれた案だった。
「そ、それよ!それだよ!冴えない顔の割にはやるじゃん九朗!そうすればμも...もがっ」
μと戦わなくてもいい。その活路を見いだせたと思い声を張り上げるアリアの口を隼人が掌で塞ぎ口頭で返す。
「いい案ではあるが、現状わかる範囲でも厳しいだろう」
それはなぜ、と目で訴えかける九朗とアリア。
「アリア。お前がμと会った時は特別洗脳されている風には見えなかったと言ったな」
「う、うん。けど、それだって誰かに唆されてるんだと思うし...」
「お前の考えが正しかったとしてだ。自分から進んでやっていることを容易く曲げる奴じゃないんだろう」
「ぅ...じゃ、じゃあ、洗脳とかされてたらそれを解いてあげれば...」
「そうだとしてもだ。目を覚ました時、自分の所為で何人も死んだと知ればどうなると思う。簡単だ。『ここで立ち止まってたら死んだ人たちが報われない』『だからせめて私がやり通さなくちゃ』だ」
「う、うん。けど、それだって誰かに唆されてるんだと思うし...」
「お前の考えが正しかったとしてだ。自分から進んでやっていることを容易く曲げる奴じゃないんだろう」
「ぅ...じゃ、じゃあ、洗脳とかされてたらそれを解いてあげれば...」
「そうだとしてもだ。目を覚ました時、自分の所為で何人も死んだと知ればどうなると思う。簡単だ。『ここで立ち止まってたら死んだ人たちが報われない』『だからせめて私がやり通さなくちゃ』だ」
隼人の反論に、アリアはぐむむと返す言葉を詰まらせる。
隼人の分析は正しい。仲のいいアリアから見ても、μが自分のやりたいことを曲げるとは到底思えない。
それほどまでに頑固な程に人の幸福を願う彼女だからこそ、着いていく人があれだけいて、自分も見捨てることができないのだから。
隼人の分析は正しい。仲のいいアリアから見ても、μが自分のやりたいことを曲げるとは到底思えない。
それほどまでに頑固な程に人の幸福を願う彼女だからこそ、着いていく人があれだけいて、自分も見捨てることができないのだから。
「となると、やはり解除コードを探すべきでしょうか」
「そうなるが...気になることがある」
「まあ、手がかりとかなーんもないからねえ」
「そこじゃない。俺が気にかかるのは、そもそもなぜ解除コードなんて機能を仕込んだかだ。俺たちを管理・殺害するだけなら必要ないだろう」
「そうなるが...気になることがある」
「まあ、手がかりとかなーんもないからねえ」
「そこじゃない。俺が気にかかるのは、そもそもなぜ解除コードなんて機能を仕込んだかだ。俺たちを管理・殺害するだけなら必要ないだろう」
言われてみれば、と九朗とアリアは思い至る。
解除コードなんてものは主催側にとっては不利でしかなく、参加者側にとってメリットにしかならない仕組みだ。
ただでさえ不確定要素の強い殺し合いを完遂させる為には不要でしかない。
ならなぜ仕込んだのか。
どう考えても殺し合いの先にあるなにかの為の措置にしか思えない。
解除コードなんてものは主催側にとっては不利でしかなく、参加者側にとってメリットにしかならない仕組みだ。
ただでさえ不確定要素の強い殺し合いを完遂させる為には不要でしかない。
ならなぜ仕込んだのか。
どう考えても殺し合いの先にあるなにかの為の措置にしか思えない。
「琴子も言ってたけど、やっぱビジネスなのかねぇ?」
「その為のテストプレイに俺たちが選ばれたなら、理屈は通るな」
「脱出コードを試させて、不具合がないかを確認するのは必要ですからね」
「その為のテストプレイに俺たちが選ばれたなら、理屈は通るな」
「脱出コードを試させて、不具合がないかを確認するのは必要ですからね」
琴子が推察したように、好きなキャラクターになりきって世界を楽しめるというようなアトラクションを開催して、いざという時に解除コードが使えなければ目も当てられない。
その為、ちゃんと解除コードが起動するためのテストプレイというなら理屈は通る。
そう。理屈だけならば。
その為、ちゃんと解除コードが起動するためのテストプレイというなら理屈は通る。
そう。理屈だけならば。
「....あのさ。すっご~く嫌な理由思いついちゃったんだけど、いい?」
「言ってみろ」
「これ、ただ参加者を馬鹿にするための嫌がらせとかってない?」
「言ってみろ」
「これ、ただ参加者を馬鹿にするための嫌がらせとかってない?」
アリアの脳裏にふと過った説は、この解除コードが理屈もなにもなく、ただの主催側からの嫌がらせでしかないというもの。
解除コードを必死に探して慌てふためく参加者を主催側が見て嘲笑う。
人間の様々な負の感情に触れてきたからこそ出てきてしまった考えである。
解除コードを必死に探して慌てふためく参加者を主催側が見て嘲笑う。
人間の様々な負の感情に触れてきたからこそ出てきてしまった考えである。
「可能性はなくはない...が、低いだろうな」
「どうして?」
「この解除コードが首輪を調達しなければ、参加者に周知されないからだ。ここまで手間をかけなければたどり着けない餌を仕込むくらいなら、最初からルールに組み込んでおけばいい。『解除コードを探し出した参加者はこの殺し合いから解放してあげる』なんて謳い文句で煽り、いざ解除した途端に爆死させ、参加者たちに理不尽さと恐怖を強いる...俺ならばそうする」
「だから発想怖いってあんた...まあ、納得はできたけど」
「どうして?」
「この解除コードが首輪を調達しなければ、参加者に周知されないからだ。ここまで手間をかけなければたどり着けない餌を仕込むくらいなら、最初からルールに組み込んでおけばいい。『解除コードを探し出した参加者はこの殺し合いから解放してあげる』なんて謳い文句で煽り、いざ解除した途端に爆死させ、参加者たちに理不尽さと恐怖を強いる...俺ならばそうする」
「だから発想怖いってあんた...まあ、納得はできたけど」
如何に精密精巧な餌を作っても、それを表に出さなければ宝の持ち腐れだ。
わざわざ首輪を解除しなければ存在すら知られないモノに嫌がらせなど仕込むだろうか?と問われれば首を傾げてしまう。
しかしそうなると気になることが代わりに出てくる。
わざわざ首輪を解除しなければ存在すら知られないモノに嫌がらせなど仕込むだろうか?と問われれば首を傾げてしまう。
しかしそうなると気になることが代わりに出てくる。
「この解除コードとやらが会場内に仕込まれているとしてだ。問題はなぜそれに類するヒントすらないのかだ」
会場内にコードが隠されている。
確かにそう考えるのが自然ではある。
だが、こうも手がかり一つないとなれば、結局、参加者には見つけられないのとほぼ同じ。
そもそも。このコードが数字なのかも文字なのかもわからない。
ここまで正体不明となると、海に透明なビー玉を放り投げ、探してこいと言っているようなもの。つまり、解除コードとしての価値がなくなってしまう。
確かにそう考えるのが自然ではある。
だが、こうも手がかり一つないとなれば、結局、参加者には見つけられないのとほぼ同じ。
そもそも。このコードが数字なのかも文字なのかもわからない。
ここまで正体不明となると、海に透明なビー玉を放り投げ、探してこいと言っているようなもの。つまり、解除コードとしての価値がなくなってしまう。
「う~ん。なら、このコードを探すのは諦めた方がよさげ?」
「いえ...こうも手がかりがないなら、逆に考えてみたらどうですか?そもそも手がかりなんて必要がない、と」
「どゆことよ九朗?」
「僕たちは既に解除コードがわかる術を最初から持っているんじゃないかってことだよ。例えば、支給品に書いてあるとか」
「いやいや、そんな都合の良いことないでしょ。だってそんなもんあったら殺し合いなんて成り立たないじゃん」
「...いや、いい線を突いているかもしれん」
「いえ...こうも手がかりがないなら、逆に考えてみたらどうですか?そもそも手がかりなんて必要がない、と」
「どゆことよ九朗?」
「僕たちは既に解除コードがわかる術を最初から持っているんじゃないかってことだよ。例えば、支給品に書いてあるとか」
「いやいや、そんな都合の良いことないでしょ。だってそんなもんあったら殺し合いなんて成り立たないじゃん」
「...いや、いい線を突いているかもしれん」
殺し合いから抜け出す術である首輪の解除。
その鍵となる情報は既に配られているのではという九朗の考えに賛同したのは、意外にも隼人。
その鍵となる情報は既に配られているのではという九朗の考えに賛同したのは、意外にも隼人。
「さっきも言ったが、解除コードなんて仕込んでいる時点で、首輪は解除させることが前提になっている。なら、俺たちが殺し合いを完遂することにはさほど意味が無いのかもしれん」
「え?何言ってんの?それならこんな物騒なモン開く意味が無いじゃん」
「奴らの狙いまでは知らん。ただ、わかるのは、奴らが首輪を解除...いや、首輪の機能を止めさせようとしていることだけだ」
「???」
「え?何言ってんの?それならこんな物騒なモン開く意味が無いじゃん」
「奴らの狙いまでは知らん。ただ、わかるのは、奴らが首輪を解除...いや、首輪の機能を止めさせようとしていることだけだ」
「???」
隼人の言葉にアリアはますます首を傾げる。
首輪を解除と機能を止める。意味は同じようなものなのに、なぜ隼人は言い換えたのか。
アリアの疑問を察した隼人はメモ帳にペンを奔らせ二人に見せる。
首輪を解除と機能を止める。意味は同じようなものなのに、なぜ隼人は言い換えたのか。
アリアの疑問を察した隼人はメモ帳にペンを奔らせ二人に見せる。
『解除にしろ殺し合いでの優勝にしろ、奴らにとって重要なのはある程度時間が経過した首輪が停止することにあるのかもしれん』
隼人の考え。それは、首輪の停止こそが主催の目論見の根幹を為しているのではないかということ。
どのような形であれ首輪が停止すればいいから、こうして解除コードなんてものを用意し、それが無くとも殺し合いの優勝という形で首輪を停止させようとしている。
ならば主催側から勝手に機能を止めてしまえばいいのではないか、というのは当然の疑問だが、あくまでも参加者たちの手で首輪が止められるのが鍵なのかもしれない———そういった考察だった。
どのような形であれ首輪が停止すればいいから、こうして解除コードなんてものを用意し、それが無くとも殺し合いの優勝という形で首輪を停止させようとしている。
ならば主催側から勝手に機能を止めてしまえばいいのではないか、というのは当然の疑問だが、あくまでも参加者たちの手で首輪が止められるのが鍵なのかもしれない———そういった考察だった。
『なら、迂闊に首輪を解除をするわけにはいきませんね』
九朗の言及に、アリアはうんうんと頷く。
本当の目的はどうあれ、主催の狙いが隼人の言う通りなら、少しでも目的が達成されるのは防がなければならない。
それは主催に抗うと決めた身としては当然のことだ。
本当の目的はどうあれ、主催の狙いが隼人の言う通りなら、少しでも目的が達成されるのは防がなければならない。
それは主催に抗うと決めた身としては当然のことだ。
『逆だ。全てを外させることが目的なら、早急に外す奴と外さない奴を決める必要がある。全ての首輪を外させるのが目的ならば、誰かが残っている限りは連中の目的は達成されないということになる』
「な、なるほど...」
「———そういうわけだ。さっき九朗が言ったように、俺たちの持ち物の中で解除コードに繫がるものがあるかを探すぞ」
「わかりました」
「な、なるほど...」
「———そういうわけだ。さっき九朗が言ったように、俺たちの持ち物の中で解除コードに繫がるものがあるかを探すぞ」
「わかりました」
敢えて言葉に出すことで、首輪を外すこと自体に懐疑的になっている素振りを隠す。
その最中、隼人の頭の中では誰を残すかを選別していた。
その最中、隼人の頭の中では誰を残すかを選別していた。
(理想は殺し合いに乗り、コントロールも効かない奴らだ。奴らを残せれば一番話が早い)
隼人が見据えているのは、主催達との戦い。
夾竹桃たちのように協定を結べる相手ならば主催と戦う時も有用だろう。
しかし、話を聞く限り、歩く災害と化しているヴライのような者は論外。まずこちらの言に耳を傾けず、己の信じたものしか信じないだろう。
だが、そういった連中を生け捕りにしあまつさえ会場に放置するというのは負担もリスクも大きすぎる。
よほどのことがなければ難しいだろう。
夾竹桃たちのように協定を結べる相手ならば主催と戦う時も有用だろう。
しかし、話を聞く限り、歩く災害と化しているヴライのような者は論外。まずこちらの言に耳を傾けず、己の信じたものしか信じないだろう。
だが、そういった連中を生け捕りにしあまつさえ会場に放置するというのは負担もリスクも大きすぎる。
よほどのことがなければ難しいだろう。
となれば、いざという時の戦力にならず、最悪、言うことを聞かずともこちらの力だけでねじ伏せられる一般人を狙うべきか。
(現状、俺の知っている中での一般人は黄前久美子くらいなものだが...)
隼人が見ていた限り、久美子に特殊な能力は無かった。
ならば力でねじ伏せるのも一つの案だ。
ならば力でねじ伏せるのも一つの案だ。
———久美子ちゃん!
だが、彼女を最期まで護ろうとしていた弁慶への義理を考慮すると極力避けたい選択肢ではある。
戦友(ダチ)の護ろうとしたものに土をかけるほど隼人は冷血漢ではない。
戦友(ダチ)の護ろうとしたものに土をかけるほど隼人は冷血漢ではない。
北宇治高等学校に向かわせた静雄たちが保護していれば話が早いが、頭の片隅に、もしもまた会えたら気に掛けることくらいはしてやろう。
そんなことを思いつつ、隼人は九朗たちとの考察を続けるのだった。
【D-8/夜中/早乙女研究所/一日目】
【神隼人@新ゲッターロボ】
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(絶大)、出血(大)、カタルシス・エフェクト発現
[役職]:ビルダー
[服装]:普段着
[装備]:ミスタの拳銃@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、ミスタの拳銃(ビルドの作った模造品)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、浜面仕上の首輪、錆兎の首輪(分解済み)、ビルドの支給品0~2、ビルドの首輪、霊夢の首輪、マロロの首輪
[思考]
基本方針:首輪を外して主催を潰し帰還する。
0:首輪の解除コードに繫がりそうなものを探す。
1:ものつくりの能力を利用し有利に立ち回る。現状、殺し合いに乗るつもりはない。
2:主催との対決を見据え、やはり首輪のサンプルはもっと欲しい。狙うのは殺し合いに乗った者、戦力にならない一般人(優先度は低い)。
3:竜馬と合流する。
4:無惨、ウィキッド、ヴライを見つけたら排除。
5:ベルベット、夾竹桃、麦野、ディアボロ、琵琶坂を警戒するが判断保留。
6:静雄とレインと再会したら改めて情報交換する。
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(絶大)、出血(大)、カタルシス・エフェクト発現
[役職]:ビルダー
[服装]:普段着
[装備]:ミスタの拳銃@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、ミスタの拳銃(ビルドの作った模造品)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、浜面仕上の首輪、錆兎の首輪(分解済み)、ビルドの支給品0~2、ビルドの首輪、霊夢の首輪、マロロの首輪
[思考]
基本方針:首輪を外して主催を潰し帰還する。
0:首輪の解除コードに繫がりそうなものを探す。
1:ものつくりの能力を利用し有利に立ち回る。現状、殺し合いに乗るつもりはない。
2:主催との対決を見据え、やはり首輪のサンプルはもっと欲しい。狙うのは殺し合いに乗った者、戦力にならない一般人(優先度は低い)。
3:竜馬と合流する。
4:無惨、ウィキッド、ヴライを見つけたら排除。
5:ベルベット、夾竹桃、麦野、ディアボロ、琵琶坂を警戒するが判断保留。
6:静雄とレインと再会したら改めて情報交換する。
※少なくとも平安時代に飛ばされた後からの参戦です
※幻想郷の大まかな概要を聞きました。
※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。
※夾竹桃・ビルド・琴子・リュージ・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。
※カタルシス・エフェクトに目覚めました。武器はドリルです。
※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。
※ブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子と情報交換をしました。
※幻想郷の大まかな概要を聞きました。
※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。
※夾竹桃・ビルド・琴子・リュージ・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。
※カタルシス・エフェクトに目覚めました。武器はドリルです。
※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。
※ブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子と情報交換をしました。
【桜川九郎@虚構推理】
[状態]:健康 静かに燃える決意、魔王ベルセリアに対する違和感
[服装]:ホテルの部屋着(上半身の部分はほぼ全焼)
[装備]:
[道具]:基本支給品一色、不明支給品×1~3、スパリゾート高千穂の男性ロッカーNo.53の鍵
[思考]
基本:殺し合いからの脱出
0:首輪の解除コードに繫がりそうなものを探す。
1:あの彼女(魔王ベルセリア)、何とかしかければ……。
2:岩永を探す 。少し心配。
3:人外、異能の参加者達を警戒
4:余裕があればスパリゾート高千穂を捜索
5:きっとみねうちですよ。
[備考]
※鋼人七瀬編解決後からの参戦となります
※新羅、ジオルドと知り合いの情報を交換しました。
※アリア、ブチャラティと知り合いの情報を交換しました。
※画面越しの志乃のあかりちゃん行為を確認しました。
※新羅から罪歌についての概要を知りました
※魔王ベルセリアに対し違和感を感じました。
※垣根と情報交換をしました。
※隼人、クオン、早苗らと情報交換をしました。
[状態]:健康 静かに燃える決意、魔王ベルセリアに対する違和感
[服装]:ホテルの部屋着(上半身の部分はほぼ全焼)
[装備]:
[道具]:基本支給品一色、不明支給品×1~3、スパリゾート高千穂の男性ロッカーNo.53の鍵
[思考]
基本:殺し合いからの脱出
0:首輪の解除コードに繫がりそうなものを探す。
1:あの彼女(魔王ベルセリア)、何とかしかければ……。
2:岩永を探す 。少し心配。
3:人外、異能の参加者達を警戒
4:余裕があればスパリゾート高千穂を捜索
5:きっとみねうちですよ。
[備考]
※鋼人七瀬編解決後からの参戦となります
※新羅、ジオルドと知り合いの情報を交換しました。
※アリア、ブチャラティと知り合いの情報を交換しました。
※画面越しの志乃のあかりちゃん行為を確認しました。
※新羅から罪歌についての概要を知りました
※魔王ベルセリアに対し違和感を感じました。
※垣根と情報交換をしました。
※隼人、クオン、早苗らと情報交換をしました。
【アリア@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-】
[状態]:疲労(大、フロアージャックはしばらく使用不可)、悲しみ(絶大)
[思考]
基本:μを止める、だけど……
0:首輪の解除コードに繫がりそうなものを探す。
1:永至を信じたい
[備考]
※参戦時期は少なくてもシャドウナイフ編以降。琵琶坂生存ルートです。詳しい時期はお任せします。
※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。
※夾竹桃・隼人・ビルド・琴子・リュージと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、
Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。
※フロアージャックはしばらく使えません
※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。
※ブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子と情報交換をしました。
[状態]:疲労(大、フロアージャックはしばらく使用不可)、悲しみ(絶大)
[思考]
基本:μを止める、だけど……
0:首輪の解除コードに繫がりそうなものを探す。
1:永至を信じたい
[備考]
※参戦時期は少なくてもシャドウナイフ編以降。琵琶坂生存ルートです。詳しい時期はお任せします。
※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。
※夾竹桃・隼人・ビルド・琴子・リュージと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、
Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。
※フロアージャックはしばらく使えません
※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。
※ブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子と情報交換をしました。
前話 | 次話 | |
その座標に黒を打て(後編) | 投下順 | 一虚一実 |
前話 | キャラクター | 次話 |
閉じ込められた方舟の中で | 神隼人 | 因果応報 |
閉じ込められた方舟の中で | 桜川九郎 | 因果応報 |