甘い匂いが辺りに漂っている
甘ったるい、香りが
甘ったるい、香りが
その、香りは
人間の、雄の脳を刺激し、誘惑し
人間の、雄の脳を刺激し、誘惑し
最後には、破壊する
「何やってるのぉン?」
「おや……シモネッタですか」
「おや……シモネッタですか」
かけられた声に、ゲルトラウデは微笑んで振り返った
そこに立つシモネッタは、辺りに漂う甘ったるい匂いに、顔をしかめている
そこに立つシモネッタは、辺りに漂う甘ったるい匂いに、顔をしかめている
「派手にやったわねン?」
「おや、これでも抑えているのですよ?」
「おや、これでも抑えているのですよ?」
長く美しい髪をかきあげてみせるゲルトラウデ
辺りに、さらに甘ったるい匂いがふりまかれる
辺りに、さらに甘ったるい匂いがふりまかれる
ゲルトラウデの、足元
そこには、数人の男が倒れていた
ゲルトラウデがふりまいた、甘い香りに引き寄せられた男達だ
全員、意識を失っている………だが、数分もたてば、意識を取り戻すだろう
ゲルトラウデの香りに引き寄せられた、と言う記憶は、表面上からは消える……表面上、からは
その代わり、この男達は、ゲルトラウデの「兵」にされる
兵であり、緊急時の「餌」とされるのだ
そこには、数人の男が倒れていた
ゲルトラウデがふりまいた、甘い香りに引き寄せられた男達だ
全員、意識を失っている………だが、数分もたてば、意識を取り戻すだろう
ゲルトラウデの香りに引き寄せられた、と言う記憶は、表面上からは消える……表面上、からは
その代わり、この男達は、ゲルトラウデの「兵」にされる
兵であり、緊急時の「餌」とされるのだ
「私の能力の痕跡は、同族の方が気づきやすいですからね……あの淫魔をおびき出す為にも、ちょうどいいでしょう?」
「…あなたの趣味と実益も兼ねてるんじゃないのン?」
「あなたには言われたくありませんね」
「…あなたの趣味と実益も兼ねてるんじゃないのン?」
「あなたには言われたくありませんね」
くすくすと微笑むゲルトラウデ
…得体のしれない威圧感に、シモネッタは少し、後ずさる
…得体のしれない威圧感に、シモネッタは少し、後ずさる
「……怖いわねン、エイブラハム様の右腕はン」
「あら、私は直接の戦闘能力を持っていないのですよ?恐ろしい訳がないでしょう?」
「あら、私は直接の戦闘能力を持っていないのですよ?恐ろしい訳がないでしょう?」
……よく言う
自分を「飲み込んだ」存在よりも、もっと恐ろしい存在の癖に
自分を「飲み込んだ」存在よりも、もっと恐ろしい存在の癖に
口には出さず、しかし、シモネッタは舌打ちした
……この女には、逆らわない方が身のためだ
カイザーやメルセデスとは、別の意味で
……この女には、逆らわない方が身のためだ
カイザーやメルセデスとは、別の意味で
「さて……私はもう少し駒を増やしてから帰ります。あなたは?」
「私は、もう帰るわン……クラリッサの事も心配だしン」
「おや……ずいぶんと、あの少女に情がわいたようですね?」
「私は、もう帰るわン……クラリッサの事も心配だしン」
「おや……ずいぶんと、あの少女に情がわいたようですね?」
ゲルトラウデの、その言葉に
……シモネッタは、くすり、笑って
……シモネッタは、くすり、笑って
「そう見えるン?」
「…少なくとも、クラリッサはそう感じているでしょうね」
「…少なくとも、クラリッサはそう感じているでしょうね」
………その、瞬間
シモネッタが浮かべた、その笑みは、ゲルトラウデだけが、確認して
シモネッタが浮かべた、その笑みは、ゲルトラウデだけが、確認して
「……それでは。私は帰りが遅くなると、エイブラハム様と…………それと、一番煩いであろう、カイザーにも伝えておいてください」
「エイブラハム様はともかく、カイザー相手は嫌ぁン。それくらいは自分でやってちょうだい?」
「仕方ありませんね。まぁ、いいでしょう」
「エイブラハム様はともかく、カイザー相手は嫌ぁン。それくらいは自分でやってちょうだい?」
「仕方ありませんね。まぁ、いいでしょう」
数歩、歩いて……一度立ち止まり
シモネッタは、やや嫌味ったらしく、告げる
シモネッタは、やや嫌味ったらしく、告げる
「…その体、使い潰さないようにねン?特に、腰を」
「あら、壊れたら、また「乗り換えれば」いいだけの事です」
「あら、壊れたら、また「乗り換えれば」いいだけの事です」
……それはそうか
この程度の嫌味も通じやしない
…これ以上、この甘ったるい匂いを嗅いでいたら…自分も、脳がおかしくなりそうだ
この程度の嫌味も通じやしない
…これ以上、この甘ったるい匂いを嗅いでいたら…自分も、脳がおかしくなりそうだ
足早に立ち去るシモネッタ
その後姿を見送って
その後姿を見送って
ゲルトラウデは、さらに、さらに
辺りに、甘ったるい匂いをまき散らしだした
辺りに、甘ったるい匂いをまき散らしだした
「……兵は、駒は、多い方が良い………妾の役に立つが良い、人間共」
妖艶な笑みと共に
ゲルトラウデは、獲物を貪り続ける
その獲物の末路に、一切の配慮もせずに、どこまでも、どこまでも
ゲルトラウデは、獲物を貪り続ける
その獲物の末路に、一切の配慮もせずに、どこまでも、どこまでも
to be … ?