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我が願いに踊れ贄共・救世主候補-07c

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匿名ユーザー

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 甘い匂いが辺りに漂っている
 甘ったるい、香りが

 その、香りは
 人間の、雄の脳を刺激し、誘惑し


 最後には、破壊する


「何やってるのぉン?」
「おや……シモネッタですか」

 かけられた声に、ゲルトラウデは微笑んで振り返った
 そこに立つシモネッタは、辺りに漂う甘ったるい匂いに、顔をしかめている

「派手にやったわねン?」
「おや、これでも抑えているのですよ?」

 長く美しい髪をかきあげてみせるゲルトラウデ
 辺りに、さらに甘ったるい匂いがふりまかれる

 ゲルトラウデの、足元
 そこには、数人の男が倒れていた
 ゲルトラウデがふりまいた、甘い香りに引き寄せられた男達だ
 全員、意識を失っている………だが、数分もたてば、意識を取り戻すだろう
 ゲルトラウデの香りに引き寄せられた、と言う記憶は、表面上からは消える……表面上、からは
 その代わり、この男達は、ゲルトラウデの「兵」にされる
 兵であり、緊急時の「餌」とされるのだ

「私の能力の痕跡は、同族の方が気づきやすいですからね……あの淫魔をおびき出す為にも、ちょうどいいでしょう?」
「…あなたの趣味と実益も兼ねてるんじゃないのン?」
「あなたには言われたくありませんね」

 くすくすと微笑むゲルトラウデ
 …得体のしれない威圧感に、シモネッタは少し、後ずさる

「……怖いわねン、エイブラハム様の右腕はン」
「あら、私は直接の戦闘能力を持っていないのですよ?恐ろしい訳がないでしょう?」

 ……よく言う
 自分を「飲み込んだ」存在よりも、もっと恐ろしい存在の癖に

 口には出さず、しかし、シモネッタは舌打ちした
 ……この女には、逆らわない方が身のためだ
 カイザーやメルセデスとは、別の意味で

「さて……私はもう少し駒を増やしてから帰ります。あなたは?」
「私は、もう帰るわン……クラリッサの事も心配だしン」
「おや……ずいぶんと、あの少女に情がわいたようですね?」

 ゲルトラウデの、その言葉に
 ……シモネッタは、くすり、笑って

「そう見えるン?」
「…少なくとも、クラリッサはそう感じているでしょうね」

 ………その、瞬間
 シモネッタが浮かべた、その笑みは、ゲルトラウデだけが、確認して

「……それでは。私は帰りが遅くなると、エイブラハム様と…………それと、一番煩いであろう、カイザーにも伝えておいてください」
「エイブラハム様はともかく、カイザー相手は嫌ぁン。それくらいは自分でやってちょうだい?」
「仕方ありませんね。まぁ、いいでしょう」

 数歩、歩いて……一度立ち止まり
 シモネッタは、やや嫌味ったらしく、告げる

「…その体、使い潰さないようにねン?特に、腰を」
「あら、壊れたら、また「乗り換えれば」いいだけの事です」

 ……それはそうか
 この程度の嫌味も通じやしない
 …これ以上、この甘ったるい匂いを嗅いでいたら…自分も、脳がおかしくなりそうだ

 足早に立ち去るシモネッタ
 その後姿を見送って

 ゲルトラウデは、さらに、さらに
 辺りに、甘ったるい匂いをまき散らしだした


「……兵は、駒は、多い方が良い………妾の役に立つが良い、人間共」


 妖艶な笑みと共に
 ゲルトラウデは、獲物を貪り続ける
 その獲物の末路に、一切の配慮もせずに、どこまでも、どこまでも


to be … ?





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