夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

比良平ちさき&キャスター

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海と陸。
海中で暮らす人々と陸で暮らす人々。
それぞれがお互いいがみ合い、わかりあえない過去があった。
どうせ、溝は埋まらないし、住んでいる世界も違う。
そう、思っていた。
けれど、状況が変わったのだ。
海中に暮らす人々の人口減少、学校の廃校といった様々な要因が重なって、地上に出ることになってしまった。
比良平ちさきもその煽りを受けた一人だった。
それは、良くも悪くも――今までではいられない変化の兆しだ。

「陸に出なければ、私達はそのままでいられたのに」

もっとも、それも今は過去の話。
過去に思いを馳せても意味が無いことに、ちさきは気づいてた。
所詮は弱々しい戯言のようなもの。考えた所で、現状が打開されるはずもない。

(ねぇ、光。私は、どうしたらいいのかな?)

視界の先にある蒼海は、元いた世界と変わらず青く輝いている。
聞こえてくる呪いのさざなみが、比良平ちさきの表情を強張らせた。
おふねひきの日。
帰る場所がなくなったあの日。
自分以外の海の住民が【冬眠】してしまった孤独の始まり。
海流の異常現象が原因で故郷に帰ることすら敵わず、ちさきは地上で暮らさなくてはいけなかった。
残された自分は前に進まなければならない。
彼らを置き去りにして、【一人】で歳を取らなければならない。
これを絶望と呼ばずして何と言う。

「要、まなか、光ぃ……」

幼馴染達が、【冬眠】してしまった時からちさきは一歩も進めていない。
身体ばかりが成長し、心は今もあの日のまま――立ち止まっている。
たった一人だけ、【日常】を享受している。
見ている世界は、夢か。それとも現か。
ちさきには、もう何もわからなかった。

「――おい、小娘」

背後からかけられた声に、ちさきはゆっくりと振り返る。

「雪姫さん」
「……ちゃんとキャスターと呼べ」

欠伸を噛み殺しながら、ゆったりとした姿勢で肩を回す妙齢の女性がそっと横に並ぶ。
長い手足に豊満な胸。きりっとした碧眼にサラサラの白金色の長髪。
同性であるちさきから見ても見惚れる容姿だ。

「ふん、その様子だと相変わらず覚悟が定まらんようだな」
「ごめんなさい……」
「別に謝ることではないさ。ただ、。覚悟は早めにしておいた方がいい。私が言いたいのはそれだけさ」

シニカルに笑う彼女は、これから始まる戦争を前にしても冷静そのもので。
同年代とは思えない悠然とした姿に、ちさきは目を背けることしかできなかった。

「キャスターさんは、どうしたら良いと思いますか?」
「……他者に決意を委ねるのは感心しないんだがな。まぁ、君の好きなようにすればいい。
 私は聖杯に懸ける程、強い願いを持ち合わせていないんだ」

問いかける言葉にも力はない。
彼女は決して、答えを返してくれないことも知っている。
自分と違い、確固たる意志を彼女は持っている。

「わからないんです、私には」

あやふやで今にも消えてしまいそうな決意。
そんなちっぽけなものしか持っていない自分が、嫌いだ。

「皆、海の底にいなくなっちゃって。私だけが年をとって、変わっちゃって」

自分以外の海に暮らしていた人々は全員【冬眠】してしまった。
ちさき一人が、地上に取り残され、時の流れに押し流されていく。

「そんなの、嫌だ! もう一度、やり直したい……っ、あの頃に戻って! 誰一人欠けていない日常を過ごすだけでいいから!」

ちさきは耐え切れなかった。
徐々に増していく不安に心が張り裂けそうだ。

「…………私は、ずっと一緒にいたいって思っただけなのに」

立ち止まることを許さないこの世界で、ちさきは縋れる【何か】が欲しかった。
木原紡でもいい、先島あかりでもいい。
誰か自分の知っている人がいれば、きっと――その人を護る為に戦う、と決めれたのに。

「【ずっと】なんて、この世界にはないんだよ。人との別れなど星の数だけ存在する。
 置いていかれる悲しみなど――直に慣れる」

もはや残された道は唯一つ。
比良平ちさきのエゴで、他者を蹴落とし、聖杯に頭を垂れるしか道はない。

「……雪姫さんは、変えたくないんですか。置いていかれる悲しみを消し去ろうと思ったことは?」
「最初の頃はともかく、今は思わんさ。思うはずもない」

けれど、雪姫はちさきのか細い願いを否定する。

「悲しみすらも愛おしいんだよ、小娘にはまだわからんかもしれんがな」

くつくつと笑う彼女の表情に、後悔はない。
途方も無い苦難を重ねた経験からくる余裕か、それとも虚勢を張っているだけなのか。
どちらにせよ、ちさきとは違い、真っ直ぐな思いが言葉から伝わってくる。

「……全く、問題児をこれ以上抱えるのは勘弁願いたいんだがな」
「雪姫さん、教師でもやっていたんですか?」
「まあな。長い人生だ、多種多様に経験しないと損だろう?」

自分もこんな風に真っ直ぐと生きれたらいいのに。
雪姫の目を、ちさきは真正面から見つめ返すことができなかった。



【クラス】
キャスター

【真名】
雪姫(エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル)@UQ HOLDER!

【パラメーター】
筋力D 耐久A 敏捷C 魔力A 幸運D 宝具E

【属性】
混沌・悪


【クラススキル】
陣地作成:A
「魔術師」のクラス特性。魔術師として自らに有利な陣地「工房」を作成可能。

道具作成:A
【氷】と【闇】の属性を付与した魔術的な道具を作成可能。


【保有スキル】
魔術:A

西洋魔術に精通し、特に【氷】と【闇】属性の魔術を得意とする。
他にも使用可能な魔術は多岐に渡るが、書き連ねると長くなるので割愛。

吸血鬼:A

中世生まれの吸血鬼の真祖である彼女は刺されようが焼かれようが斬られようが死なない。
だが、マスターであるちさきの魔力不足によりこのスキルは十全には発揮しない。

体術:B
合気柔術と合気鉄扇術を極め、達人級。
純粋な技術からなるスキル。

女子供不殺:C

彼女のポリシーである。上記の相手が立ち塞がると、パラメーターが下がる。

【宝具】

『年齢詐称薬』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人

その名の通り、年齢を詐称できる薬。
中学生の姿や、二十代半ばの姿だったりと年齢操作はこれでバッチリ。

【weapon】
なし。

【人物背景】
とある村の学校の一教師、【雪姫】が表の顔ではあるが、その正体は不老不死の吸血鬼の真祖「エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル」。
性格は豪胆で、常に余裕ありげな態度を取っている。
私生活はずぼらであり、とある事件がきっかけで、一緒に暮らすことになった少年に任せっきりである。
作者の別作品、【魔法先生ネギま!】にも出演している。

【サーヴァントとしての願い】
表面上では、叶えたい願いはないと語ってはいるが――。

【マスター】
比良平ちさき@凪のあすから

【マスターとしての願い】
【冬眠】した彼らとの日常をやり直し、永遠にしたい。

【能力・技能】
水中内を息継ぎなしで潜り続けることができる。

【人物背景】
比良平ちさきは海の村に住む少女だった。
幼馴染グループの姉的存在であり、先島光が好き【だった】。
最初こそ、普段とは違う陸の生活に戸惑っていたが、徐々に慣れていく。
そして、幼馴染と一緒に日常を謳歌し、大人になっていくはずだったが――。

【方針】
願いはあるが、戦う覚悟は定まらない。

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