「もうううぅううぅうう!! 何なのよそれえぇええええぇえ!!」
そう言って、紺のジーンズに桜色をした長袖の上着を身に纏った、パーマヘアのケツでかおばさん。
野原みさえは、二十九年の人生の中でこれ以上とないヒステリーを爆発させた。今にも地団駄を踏みだしかねない勢い――訂正しよう、もう踏み出した。
野原みさえは、二十九年の人生の中でこれ以上とないヒステリーを爆発させた。今にも地団駄を踏みだしかねない勢い――訂正しよう、もう踏み出した。
此処は彩の国さいたまの一都市である、埼玉県は春日部市……『ではない』。
みさえが今怒りを爆発させている場所は、みさえの人生の中で一度だって聞いた事もない場所に存在する都市、冬木市。その街の新都に存在する、一ビジネスホテルの一室だった。
今この冬木市へは、夫のひろしが長期休暇に入った為に、旅行で来た訳ではなかった。その証拠に、この冬木の街には、ひろしや、息子のしんのすけ、娘のひまわりだって存在しない。
――いや、より正確に言うなれば、今この惑星上に、埼玉県春日部市に住んでいる中流家庭の野原家の一員は、野原みさえ以外に存在しないのである。
みさえが今怒りを爆発させている場所は、みさえの人生の中で一度だって聞いた事もない場所に存在する都市、冬木市。その街の新都に存在する、一ビジネスホテルの一室だった。
今この冬木市へは、夫のひろしが長期休暇に入った為に、旅行で来た訳ではなかった。その証拠に、この冬木の街には、ひろしや、息子のしんのすけ、娘のひまわりだって存在しない。
――いや、より正確に言うなれば、今この惑星上に、埼玉県春日部市に住んでいる中流家庭の野原家の一員は、野原みさえ以外に存在しないのである。
まさかこの街が、みさえ達が生活していた世界とは全く異なる世界に存在する街であった、と言う現実は到底みさえには許容出来ない事だった。
そう、彼女は導かれてしまったのだ。英霊と呼ばれる、諸人の信仰と想いで成り立つ神秘的な存在を駆り、如何なる願いをも叶えて見せる聖杯をその手に勝ち取らんとする戦い。聖杯戦争に、である。
そう、彼女は導かれてしまったのだ。英霊と呼ばれる、諸人の信仰と想いで成り立つ神秘的な存在を駆り、如何なる願いをも叶えて見せる聖杯をその手に勝ち取らんとする戦い。聖杯戦争に、である。
「ちょっとアンタ!! アンタ私のサバ、えと、なんだっけ……そう、サーヴァントなんでしょう!? 今すぐ埼玉県春日部市に戻しなさいよ!!」
グワッ、とみさえは、ひろしが他の女に鼻を伸ばしてる時に見せる表情よりも、鬼気に満ちた顔つきで一点を睨んだ。
――常人が目にしたら目を瞠るだろう。みさえが睨んでいる地点には、形容し難い、まさしく怪物的な姿をした異形の者が風船のように浮かんでいるからである。
――常人が目にしたら目を瞠るだろう。みさえが睨んでいる地点には、形容し難い、まさしく怪物的な姿をした異形の者が風船のように浮かんでいるからである。
「同ジ世界ノ中デ、人間ヲ任意ノ場所ニ送ル事ハ、十全ノ状態ノワタシナラ可能ダ。ダガ、世界ノ壁ヲ超エテ人間ヲ転送サセル事ハ、完全ナ状態ノワタシデモ不可能ダ」
みさえの脳内に、男の声を編集し、甲高くした様な声が響く。
キャスターなるクラスを割り当てられた、みさえのサーヴァント、『ギーグ』が、申し出をそげなく斬り捨てたとみさえが理解するのに、二秒程掛かった。
脳内に声が響いた時、彼女は顔を顰めていた。この感覚には、慣れない。ギーグは常に、テレパシー――聖杯戦争の参加者は念話と呼んでいると言っていたが、全くみさえは意味をわかっていない――という手段で、彼女に語りかけているのである。
キャスターなるクラスを割り当てられた、みさえのサーヴァント、『ギーグ』が、申し出をそげなく斬り捨てたとみさえが理解するのに、二秒程掛かった。
脳内に声が響いた時、彼女は顔を顰めていた。この感覚には、慣れない。ギーグは常に、テレパシー――聖杯戦争の参加者は念話と呼んでいると言っていたが、全くみさえは意味をわかっていない――という手段で、彼女に語りかけているのである。
その怪物は、みさえから見れば、もやしに似た存在だった。
奇妙な体躯であった。みさえの脚と同じ位の太さ、或いはそれよりも細い、華奢と呼べる次元ではない程弱々しい胴体。
この細長い胴体に輪をかけて細いのが、ギーグの手足。最愛の我が娘ひまわりのそれよりも小さく細いその手足に、果たして骨格が入っているのか。ゆらゆらと、触手のようにそれは揺れていた。
胴体と同じ位長い、鞭のような尻尾はうねうねと左右に蠕動しており、人の目を引く。尻尾と同じ程に人の目を引くのが、角の生えた頭部であろうか。
みさえが平手打ちをかましてしまえば圧し折れてしまいかねない程か弱い細首で支えられたその頭部には、よく見ると口がない。
この怪物が常にテレパシーで会話する訳は、ひとえに彼に口と呼べる器官がないからだった。嵌めこまれた眼球には生気と呼べるものがまるで感じられず、感情を読み取るのもみさえには一苦労だった。
極め付けが、その肌の色。長年洞窟で生活を続け、日光を浴びる事無く育ち、進化していった両生類のような、白くて冷たい、不気味な体色。みさえがもやしのようだと思ったワケが、この体色と全体的に細長いフォルム、と言う訳だ。
奇妙な体躯であった。みさえの脚と同じ位の太さ、或いはそれよりも細い、華奢と呼べる次元ではない程弱々しい胴体。
この細長い胴体に輪をかけて細いのが、ギーグの手足。最愛の我が娘ひまわりのそれよりも小さく細いその手足に、果たして骨格が入っているのか。ゆらゆらと、触手のようにそれは揺れていた。
胴体と同じ位長い、鞭のような尻尾はうねうねと左右に蠕動しており、人の目を引く。尻尾と同じ程に人の目を引くのが、角の生えた頭部であろうか。
みさえが平手打ちをかましてしまえば圧し折れてしまいかねない程か弱い細首で支えられたその頭部には、よく見ると口がない。
この怪物が常にテレパシーで会話する訳は、ひとえに彼に口と呼べる器官がないからだった。嵌めこまれた眼球には生気と呼べるものがまるで感じられず、感情を読み取るのもみさえには一苦労だった。
極め付けが、その肌の色。長年洞窟で生活を続け、日光を浴びる事無く育ち、進化していった両生類のような、白くて冷たい、不気味な体色。みさえがもやしのようだと思ったワケが、この体色と全体的に細長いフォルム、と言う訳だ。
「人間。本当ハオ前ダッテ理解シテイルダロウ。聖杯戦争ノ知識ハ脳ニ刻イ込マレテイル筈ナノダカラナ。コノ戦争ハ、最後ノ一組ニナルマデ戦ウ以外ニ、元ノ世界ニ帰ル方法ナドナイト」
「でもあんたはキャスター何でしょ!? 魔法使いならそれくらい――」
「不可能ダ。ソモソモ世界ヲ超エテ人間ヲ転送サセル事自体ガ、ワタシ……、イヤ、ワタシノ母星ノ技術ヲ以テシテモ不可能ナノダ。ソレニ、人間、オ前ハ勘違イシテイル。
ワタシハ今デコソキャスターノクラスヲ与エラレテイルガ、本来ワタシハ魔術ヲ使エナイ。ワタシガ操ルノハ、『PSI』ダ。シカモソノPSIデサエ、サーヴァントトシテノ今ノワタシハ制限サレテイル。
人間、オ前ガ元ノ世界ニ帰リタイノナラ、コノ戦イヲ最後マデ勝チ残ルシカナイ」
ワタシハ今デコソキャスターノクラスヲ与エラレテイルガ、本来ワタシハ魔術ヲ使エナイ。ワタシガ操ルノハ、『PSI』ダ。シカモソノPSIデサエ、サーヴァントトシテノ今ノワタシハ制限サレテイル。
人間、オ前ガ元ノ世界ニ帰リタイノナラ、コノ戦イヲ最後マデ勝チ残ルシカナイ」
みさえは言葉に詰まった。実を言うとみさえは、ギーグに言われるまでもなく、聖杯戦争の概略を、理解していた。
理解していながら、敢えて問うたのだ。ひょっとしたら、他の抜け道があるのではないか、と。一縷の望みにかけて聞いては見たが、ギーグは呆気なく、縋るみさえを斬り捨てた。
何かしら望みを見せてくれたっていいじゃない、宇宙人はこれだから……。みさえは沈み切った顔つきで、心中で愚痴を零した。
理解していながら、敢えて問うたのだ。ひょっとしたら、他の抜け道があるのではないか、と。一縷の望みにかけて聞いては見たが、ギーグは呆気なく、縋るみさえを斬り捨てた。
何かしら望みを見せてくれたっていいじゃない、宇宙人はこれだから……。みさえは沈み切った顔つきで、心中で愚痴を零した。
何でこんな事になってしまったのだろう。
アクション幼稚園の送迎バスに乗ったしんのすけを見送りした後、卒園した後のしんのすけと、ひまわりの今後を考えていた時の事だった。
しんのすけは塾に行かせても良いのだろうか、いやでもあいつの性格じゃ美人の家庭教師の方が……、でもでもお月謝がかかりそうだし、そう言えばしんのすけは大学に行くのだろうか? 行けるのだろうか?
ひまわりの事も気になる。私に似て美人に育つんだろうなやだ私ったら、私は短大卒だったけれどひまわりはどうなるんだろう、高校を卒業したら働くのかな、幼稚園に入ったらピアノとかの習い事をさせてみようか、でも音楽はお金が……。
アクション幼稚園の送迎バスに乗ったしんのすけを見送りした後、卒園した後のしんのすけと、ひまわりの今後を考えていた時の事だった。
しんのすけは塾に行かせても良いのだろうか、いやでもあいつの性格じゃ美人の家庭教師の方が……、でもでもお月謝がかかりそうだし、そう言えばしんのすけは大学に行くのだろうか? 行けるのだろうか?
ひまわりの事も気になる。私に似て美人に育つんだろうなやだ私ったら、私は短大卒だったけれどひまわりはどうなるんだろう、高校を卒業したら働くのかな、幼稚園に入ったらピアノとかの習い事をさせてみようか、でも音楽はお金が……。
一家の稼ぎ柱のひろしの年収は悪くはない。彼が出世すれば、『出世』すれば、『 出 世 』すれば、なお良いのだが。
だが彼の収入と言う問題を抜きにして、子育てと言う行為はそれ自体に多大な金が掛かる。しんのすけ達が自立出来るよう支援しようとすればする程、金が入用になる。
家計簿は赤くなりつつある一方だと言うのに、それに反比例するように、みさえの体重は黒字に近付いて行く。やだやだと嫌気のさすみさえ。
だが彼の収入と言う問題を抜きにして、子育てと言う行為はそれ自体に多大な金が掛かる。しんのすけ達が自立出来るよう支援しようとすればする程、金が入用になる。
家計簿は赤くなりつつある一方だと言うのに、それに反比例するように、みさえの体重は黒字に近付いて行く。やだやだと嫌気のさすみさえ。
――なーんかドカッと、せめてしんのすけとひまわりの養育費だけでも口座に振り込まれてればなぁ――
そう考えた瞬間みさえは、埼玉県春日部市から――元いた地球上からその姿を消し、遥かな遠い、冬木の地へと降り立った。
まさに着の身着のまま。大切なものの全てを、元いた世界に残したまま、である。
まさに着の身着のまま。大切なものの全てを、元いた世界に残したまま、である。
突如としてビジネスホテルの一室に飛ばされ、訳もわからず戸惑っているみさえの前に現れたのが、彼女のサーヴァントであるキャスター、ギーグ。
当初はその異様過ぎる姿に悲鳴を上げたが、自らを宇宙からの来訪者――宇宙人だと解釈するのに十分程も待たねばならなかった――だとなのるそのサーヴァントの、根気のある説得で、みさえは漸く我を取り戻した。
そして何故ギーグとみさえは此処にいるのか、そしてこの世界で何をしなければならないのか、それをギーグから細やかに補足された時、みさえは激怒した。
初めてギーグを見た時のような、恐怖から来る感情でもなければ混乱状態でもなかった。純粋に、憤慨していたのである。
当初はその異様過ぎる姿に悲鳴を上げたが、自らを宇宙からの来訪者――宇宙人だと解釈するのに十分程も待たねばならなかった――だとなのるそのサーヴァントの、根気のある説得で、みさえは漸く我を取り戻した。
そして何故ギーグとみさえは此処にいるのか、そしてこの世界で何をしなければならないのか、それをギーグから細やかに補足された時、みさえは激怒した。
初めてギーグを見た時のような、恐怖から来る感情でもなければ混乱状態でもなかった。純粋に、憤慨していたのである。
教えられた事柄は、以下の通り。
自分が息子達の将来の為の貯えが欲しいと思ったから、此処に転送された事。
聖杯と呼ばれる万能の願望器――アラジンの魔法のランプみたいだとみさえは思った――を求めて、或いは意に反して、此処へとやって来るものが無数にいると言う事。
そして、この聖杯を入手する為には、聖杯戦争に参加する全てのマスターとサーヴァントを殺害するしか方法がなく、この瞬間からもう中途退場が認められないと言う事。
これこそが、みさえを絶望に叩き落とし、ギーグに対して烈火の如き怒気を浴びせかけた事柄であった。冒頭の場面は、そのやり取りを映していたのである。
自分が息子達の将来の為の貯えが欲しいと思ったから、此処に転送された事。
聖杯と呼ばれる万能の願望器――アラジンの魔法のランプみたいだとみさえは思った――を求めて、或いは意に反して、此処へとやって来るものが無数にいると言う事。
そして、この聖杯を入手する為には、聖杯戦争に参加する全てのマスターとサーヴァントを殺害するしか方法がなく、この瞬間からもう中途退場が認められないと言う事。
これこそが、みさえを絶望に叩き落とし、ギーグに対して烈火の如き怒気を浴びせかけた事柄であった。冒頭の場面は、そのやり取りを映していたのである。
「ねぇ、もやし……あっ、と。ギーグ?」
「ソノ名前デ呼ブナ。聖杯戦争デ本来ノ名前、真名デサーヴァントヲ呼ブ事ハワタシノ弱点ノ露呈ニ直結スル。今ハ構ワナイガ、ワタシ以外ノサーヴァントト出クワシタラ、クラス名デ呼ベ」
「え? わ、わかったわよ。……で、聞きたい事あるんだけれど……」
「何ダ」
「あなたは、この戦いで、人を殺す事は平気なの?」
「地球ノムシケラヲ殺ス事ニ躊躇イハナイ」
みさえがある程度は予想出来ていた答えではある。
ギーグが自分が宇宙人であるとカミングアウトした時は、みさえはその事をすんなりと受け入れられた。何分ギーグのこの容姿だ。宇宙人であっても不思議でない。
だがギーグの言葉と態度からは、地球人に対する強い侮蔑が現れていた。進んだ文明の星の住人からしてみれば、地球人など猿も同然、と言う事なのだろうか。本意は、ギーグにしかわからない。
ギーグが自分が宇宙人であるとカミングアウトした時は、みさえはその事をすんなりと受け入れられた。何分ギーグのこの容姿だ。宇宙人であっても不思議でない。
だがギーグの言葉と態度からは、地球人に対する強い侮蔑が現れていた。進んだ文明の星の住人からしてみれば、地球人など猿も同然、と言う事なのだろうか。本意は、ギーグにしかわからない。
「私には、人を殺す事なんて無理よ……」
結局、みさえがギーグに対し怒っていた訳は、これに尽きる。
すぐに手が出る程気が短くて、節制を通り越してケチそのもので、見栄っ張りの目立ちたがりで、ダイエット何て全く続かない程の飽きっぽさだが、みさえは皆が認める良識人であり、子供思いの良い母親なのである。
例え元の世界に戻る為とは言え、その目的の為に人を殺すと言う事は、みさえには出来なかった。道徳的に、常識的に、許される事ではない。
それに、人を殺して元の世界に戻った所で、夫のひろしは、最愛の子供達であるしんのすけは、ひまわりは。自分を受け入れてくれるだろうか。
無理に決まっている。人殺しの母親など、絶対に彼らは認めてくれないだろう。その拒絶が、みさえには怖かった。
他の聖杯戦争の参加者にしたら、みさえの抱える悩みなど並一通りのチープなそれなのかも知れない。
しかし、家族を持ち、子供を持つ母親であるみさえにとってこの悩みは何よりも深刻で、至急解決したい出来事なのである。
すぐに手が出る程気が短くて、節制を通り越してケチそのもので、見栄っ張りの目立ちたがりで、ダイエット何て全く続かない程の飽きっぽさだが、みさえは皆が認める良識人であり、子供思いの良い母親なのである。
例え元の世界に戻る為とは言え、その目的の為に人を殺すと言う事は、みさえには出来なかった。道徳的に、常識的に、許される事ではない。
それに、人を殺して元の世界に戻った所で、夫のひろしは、最愛の子供達であるしんのすけは、ひまわりは。自分を受け入れてくれるだろうか。
無理に決まっている。人殺しの母親など、絶対に彼らは認めてくれないだろう。その拒絶が、みさえには怖かった。
他の聖杯戦争の参加者にしたら、みさえの抱える悩みなど並一通りのチープなそれなのかも知れない。
しかし、家族を持ち、子供を持つ母親であるみさえにとってこの悩みは何よりも深刻で、至急解決したい出来事なのである。
「ダガ、心配スルナ。人間、私ノクラスハキャスターダ。通常キャスターハ、聖杯戦争デハ弱イクラストサレテイルガ、コノクラス、人ヲ殺シタクナイト言ウ今ノオ前ニハ向イテイル」
「どう言う事?」
「キャスターハ直接的ナ戦闘……ツマリ肉弾戦ヤ接近戦ヲ苦手トスルクラスダ。ワタシモ例外デハナイ。コノクラスハ通常、自ラノ陣地を自分デ作成シ、籠城。侵入シテ来タ存在ヲ叩キ潰ス、ト言ウ待チノ戦イ方ガ定石ニナル」
「えと、つまり……?」
「他ノクラスニ比ベテ、積極的ニ人ヲ殺シニ行ク機会ハ少ナイト言ウ事ダ」
「それを先に言いなさいよ馬鹿ギーグ!!」
普段しんのすけを叱りつけるようなトーンで怒り始めるみさえだったが、ギーグの態度は冷ややかだった。
「勝手ニ解釈スルナ。キャスターハ自ラ殺シニ行ク機会ガ少ナイダケデ、ソレガゼロト言ウ事デハナイ。先程モ言ッタガ、キャスターハ弱イ部類ノクラスダ。
陣地モ定マッテナイ状態デハ単ナルカモダ。簡単ニ殺サレテシマウ。当然、ワタシモタダデハ殺サレナイ。ソウナレバ、全力デ迎エ撃ツ。
人間、キャスターデアルワタシガ、自分カラ直接戦闘ヲスル事ハナイ。戦闘スル機会ハ少ナイ、ダガ、モシモソウナッタ時ハ、オ前モ覚悟ヲ決メロ。コノ聖杯戦争、逃ゲ続ケルダケデハ、最悪ノ結果ニシカナラナイ」
陣地モ定マッテナイ状態デハ単ナルカモダ。簡単ニ殺サレテシマウ。当然、ワタシモタダデハ殺サレナイ。ソウナレバ、全力デ迎エ撃ツ。
人間、キャスターデアルワタシガ、自分カラ直接戦闘ヲスル事ハナイ。戦闘スル機会ハ少ナイ、ダガ、モシモソウナッタ時ハ、オ前モ覚悟ヲ決メロ。コノ聖杯戦争、逃ゲ続ケルダケデハ、最悪ノ結果ニシカナラナイ」
「最悪の……結果……」
それはつまり、死である。嫌だった。
家族に拒絶される事も辛いが、それに準じて、いや、同じ程に、死ぬ事は怖かった。死んだら、何もかもが無意味になる。
元の世界での、波瀾万丈だけど楽しい生活が消えてなくなる。頬杖を付きながら、煎餅を齧り昼ドラを見る気怠い一日が味わえなくなる。
しんのすけやひまわりの成長を、見る事が出来なくなる。そんな事、絶対にいやだった。だがその為には、聖杯戦争を生き残らねばならない。そしてそうする為には、ギーグが行ってくれるとは言え、殺人は不可避のものとなる。
家族に拒絶される事も辛いが、それに準じて、いや、同じ程に、死ぬ事は怖かった。死んだら、何もかもが無意味になる。
元の世界での、波瀾万丈だけど楽しい生活が消えてなくなる。頬杖を付きながら、煎餅を齧り昼ドラを見る気怠い一日が味わえなくなる。
しんのすけやひまわりの成長を、見る事が出来なくなる。そんな事、絶対にいやだった。だがその為には、聖杯戦争を生き残らねばならない。そしてそうする為には、ギーグが行ってくれるとは言え、殺人は不可避のものとなる。
「……ギーグ……いえ、キャスター」
みさえの声音が、ドスでも利かせているかの如く低くなる。
「何ダ」
「あんたに言いたい事があるわ」
ギーグは小首をかしげた。
みさえの方も言葉を選んでいるらしく、沈黙の時間が続いた。そして、深呼吸をする事、数回。みさえはカッと口を開き、捲し立てる。
みさえの方も言葉を選んでいるらしく、沈黙の時間が続いた。そして、深呼吸をする事、数回。みさえはカッと口を開き、捲し立てる。
「――ひょっとしたら、私達が知らないだけで元の世界に帰る方法があるかも知れないから、可能な限りそれを調べる事!!
次に殺しの事だけど、こっちを殺す意図を持った奴らだけを、何とかする事!! そして最後に、しんのすけ――じゃなかった、私の子供と大差ない年齢のマスターは、殺さない事!! サーヴァントだけを何とかしなさい、以上!!」
次に殺しの事だけど、こっちを殺す意図を持った奴らだけを、何とかする事!! そして最後に、しんのすけ――じゃなかった、私の子供と大差ない年齢のマスターは、殺さない事!! サーヴァントだけを何とかしなさい、以上!!」
ペラペラと早口で、そう告げるみさえ。
それは元いた世界で、聞き分けのないしんのすけに対して強く出る時の調子そのままだった。
人智を超越した力を持つサーヴァント、その中でも間違いなく特異な出自と種族のギーグに対し、しんのすけと同じ感覚で命令を下すなど、肝が大きいのか、馬鹿なのか。
それは元いた世界で、聞き分けのないしんのすけに対して強く出る時の調子そのままだった。
人智を超越した力を持つサーヴァント、その中でも間違いなく特異な出自と種族のギーグに対し、しんのすけと同じ感覚で命令を下すなど、肝が大きいのか、馬鹿なのか。
ギーグは、緘黙を貫いていた。
これまでのように、何処かみさえを見下したような態度で言葉を告げるかと思いきや。ギーグの沈黙の時間は、長かった。
疑問気な顔を浮かべるみさえ。「どうしたの?」と訊ねると、テレパシーが脳内に響いた。
これまでのように、何処かみさえを見下したような態度で言葉を告げるかと思いきや。ギーグの沈黙の時間は、長かった。
疑問気な顔を浮かべるみさえ。「どうしたの?」と訊ねると、テレパシーが脳内に響いた。
「……オ前ハ……、母親ナノカ……?」
ギーグの思わぬ問いかけに、面食らうみさえ。私の子供、と言う箇所から、彼はそう考えた様である。
「え、えぇ、そうよ!! 年齢は二十四歳、身長は百五十九cmで、体重は五十二kg!! バストサイズは八十五のF、ヒップは八十二で、近所の人からは広末涼子に似てると評判よ!! どう、参ったかしら!?」
相手がサーヴァント、しかも、地球の知識に疎い宇宙人である事を良い事に、ここぞとばかりに嘘八百を並べ立てる野原みさえ二十九歳。
驚いた事に、今彼女の並べた情報、一つたりとも真実がない。何処まで自分を脚色する気だ野原みさえよ。
驚いた事に、今彼女の並べた情報、一つたりとも真実がない。何処まで自分を脚色する気だ野原みさえよ。
「……ソウカ……」
それきり、ギーグは黙りこくった。ひょっとしたら、何かしら計画を立てているのかも知れない。
ギーグは人間の姿形から逸脱したサーヴァントである。何を思っているのか、推し量る事はみさえには出来ない。
ギーグは人間の姿形から逸脱したサーヴァントである。何を思っているのか、推し量る事はみさえには出来ない。
「(よし、一つたりとも情報を疑ってないわね!!)」
自分が伝えた嘘の情報を信じている事を、みさえは喜んでいた。それで良いのやら、悪いのやら。
赤い帽子を被った少年が、突然歌を歌い始めた。
それまでの敵が使って来たPSIや超能力など比にならない、正体不明の力を発揮するギーグに。その凄まじい力の差に、少年と、その二人の友達、ロイドとアナは成す術がなかった。
世界を救おうとする幼い子供達が、埋めたくても埋めがたい力量差に、傷付き疲れて行く。彼らの心が折れるのも、時間の問題。そう考えていたギーグ。
そんな中で、少年は歌い始めたのである。気でも狂ったのかと思ったギーグ。しかし、少年の行動を愚かだと馬鹿に出来なかった。
何故なら、少年の歌を聞いたその瞬間に、ギーグの心に、彼の言葉では形容し難い謎の感情が湧きあがって来たからだ。
それまでの敵が使って来たPSIや超能力など比にならない、正体不明の力を発揮するギーグに。その凄まじい力の差に、少年と、その二人の友達、ロイドとアナは成す術がなかった。
世界を救おうとする幼い子供達が、埋めたくても埋めがたい力量差に、傷付き疲れて行く。彼らの心が折れるのも、時間の問題。そう考えていたギーグ。
そんな中で、少年は歌い始めたのである。気でも狂ったのかと思ったギーグ。しかし、少年の行動を愚かだと馬鹿に出来なかった。
何故なら、少年の歌を聞いたその瞬間に、ギーグの心に、彼の言葉では形容し難い謎の感情が湧きあがって来たからだ。
「歌うのを止めなさい」
ギーグが少年を制止させようとする。しかし少年は、歌う事を止めなかった。
赤い帽子の少年に比べて、いかにも頼りなさそうで臆病な、眼鏡をかけた少年。ロイドも歌を歌い始めた。帽子の少年と、同じものだった。
赤い帽子の少年に比べて、いかにも頼りなさそうで臆病な、眼鏡をかけた少年。ロイドも歌を歌い始めた。帽子の少年と、同じものだった。
「歌を……止めるんだ」
それまで三人の少年達――特に赤い帽子の少年に対して丁寧だった口調が、崩れ始めた。
今度は、金髪のツインテールの女の子、アナも歌に続いた。やはり、同じ曲だった。
今度は、金髪のツインテールの女の子、アナも歌に続いた。やはり、同じ曲だった。
「う、歌をやめろ!!」
ギーグに余裕が目に見えてなくなっていた。発揮するPSIの力も、歌のせいか弱まって来ている。
「地球のむしけらども!! 黙れ!! 歌うな!!」
何だ、この歌は!? 現在のギーグの胸中を占める疑問が、これだった。
聞く度に、心が掻き乱される。PSIを上手く発揮出来なくなる。だが、心から湧き上がってくる、この懐かしく暖かい感じは何なのだ。
初めて聞く、と言う感じのしない曲だった。遠い遠いその昔、まだ自我と言うものが希薄だった時に聞いたような曲。しかし、何処で聞いたのか。それが思い出せない。
聞く度に、心が掻き乱される。PSIを上手く発揮出来なくなる。だが、心から湧き上がってくる、この懐かしく暖かい感じは何なのだ。
初めて聞く、と言う感じのしない曲だった。遠い遠いその昔、まだ自我と言うものが希薄だった時に聞いたような曲。しかし、何処で聞いたのか。それが思い出せない。
少年達は歌い続ける。ギーグの余裕は、最早存在しなかった。
今ギーグは、自分でも俄かに信じ難い事に、子供達が歌っているこの曲に対して、懐かしくも良い曲だと、思い始めて来ていた。
無意識の内に湧き起って来る謎の感情と、地球の征服を行わねばならないと言う感情が、鬩ぎ合う。
今ギーグは、自分でも俄かに信じ難い事に、子供達が歌っているこの曲に対して、懐かしくも良い曲だと、思い始めて来ていた。
無意識の内に湧き起って来る謎の感情と、地球の征服を行わねばならないと言う感情が、鬩ぎ合う。
「歌を……やめろ!!」
今のギーグは、そう叫ぶ事しか出来なかった。
歌が、佳境に入る。ギーグは、意味のある声を上げる事すら出来なかった。
地球を征服しようと言う意思よりも、心の中から湧き上がる、暖かな感情が、今のギーグを支配。当初の目的と意思を、塗り潰してしまっていた。
地球を征服しようと言う意思よりも、心の中から湧き上がる、暖かな感情が、今のギーグを支配。当初の目的と意思を、塗り潰してしまっていた。
歌が、止んだ。少年達が、澄んだ目でギーグに目線を投げ掛けて来る。
長い沈黙があった。ホーリーローリーマウンテンの洞窟の中に、透明な静寂が緩やかに流れて行く。
ギーグが、赤い帽子の少年顔を向けた。真っ直ぐに、彼の顔を見つめながら、三人の子供達にテレパシーを送った。
長い沈黙があった。ホーリーローリーマウンテンの洞窟の中に、透明な静寂が緩やかに流れて行く。
ギーグが、赤い帽子の少年顔を向けた。真っ直ぐに、彼の顔を見つめながら、三人の子供達にテレパシーを送った。
「何故、私ガコンナ歌ニ敗レタノダ……。私ハ必ズオ前達ヲ……マタ……イツカ……」
ギーグが後退する。背後にあるのは、彼の身体の何百倍もある大きさの、マザーシップ。
其処へと乗り込む際にギーグが、最後のテレパシーを子供達に送った。
其処へと乗り込む際にギーグが、最後のテレパシーを子供達に送った。
「ケン!! マタ会オウ!!」
赤い帽子の少年にそう告げると、ギーグはサッと母船に乗り込む。
そして、ギーグの母星のマザーシップは、上昇を開始した。到底地球の引力を振り切れそうにない形状をしたそれが、ホーリーローリーマウンテンの頂上よりも遥か高くへと飛翔する。
そして、ギーグの母星のマザーシップは、上昇を開始した。到底地球の引力を振り切れそうにない形状をしたそれが、ホーリーローリーマウンテンの頂上よりも遥か高くへと飛翔する。
ギーグの育ての親であるクイーンマリーこと、マリア。そしてギーグ達の星に刃向おうとしたマリアの夫、ジョージ。
二人の曾孫であるケンは、暗黒の大海へと飛び立ったギーグの宇宙船を、ただジッと見つめ続けているのだった。
ケンの口の中には、先程歌った、幼かった頃のギーグをあやす為にマリアが歌った子守唄の名残が、まだ残っている。
二人の曾孫であるケンは、暗黒の大海へと飛び立ったギーグの宇宙船を、ただジッと見つめ続けているのだった。
ケンの口の中には、先程歌った、幼かった頃のギーグをあやす為にマリアが歌った子守唄の名残が、まだ残っている。
ギーグには、理解出来なかった。
何故あの歌に心を乱されたのか? 結局あの歌は何だったのか? あの時自分の心に湧いてきた感情は、何と言うものなのか?
わからない。地球人類を遥かに超える知的水準を持ったギーグ、彼の優れた知性を以ってしても、あの時の出来事と情動が、結局なんだったのか、わからずにいた。
何故あの歌に心を乱されたのか? 結局あの歌は何だったのか? あの時自分の心に湧いてきた感情は、何と言うものなのか?
わからない。地球人類を遥かに超える知的水準を持ったギーグ、彼の優れた知性を以ってしても、あの時の出来事と情動が、結局なんだったのか、わからずにいた。
あの時心に浮かんだ、名状し難い感情の正体を探る。
聖杯なる代物が、本当に願いを叶える奇跡の道具であるなどとは微塵も思っていないギーグだったが、もしもこの胡散臭いものに願う事があるとすれば、これだった。
聖杯に疑問を解消して貰うのだ。あの時の感情の正体を、答えよと。
聖杯なる代物が、本当に願いを叶える奇跡の道具であるなどとは微塵も思っていないギーグだったが、もしもこの胡散臭いものに願う事があるとすれば、これだった。
聖杯に疑問を解消して貰うのだ。あの時の感情の正体を、答えよと。
ケン達が歌を歌っていたあの時、地球征服をすると言う感情と湧き上がって来た名状し難い感情が葛藤を起こしている最中、自分の育ての親であるマリアの顔が浮かび上がった。
彼女が――もう一人の母が関係しているのか、とギーグは考えもした。実際のところ、ギーグには良く解らない。
だからこそ、ひょっとしたら聖杯ではなく、髪の色も肌の色も体格も違うが、同じ『母』である野原みさえが、この戦争の中で自分の疑問に何らかの形で答えてくれるかもしれない。
ギーグの心を今も掻き乱している、ケン達との戦いの際に、心の中に湧いて出て来たあの暖かさを。
彼女が――もう一人の母が関係しているのか、とギーグは考えもした。実際のところ、ギーグには良く解らない。
だからこそ、ひょっとしたら聖杯ではなく、髪の色も肌の色も体格も違うが、同じ『母』である野原みさえが、この戦争の中で自分の疑問に何らかの形で答えてくれるかもしれない。
ギーグの心を今も掻き乱している、ケン達との戦いの際に、心の中に湧いて出て来たあの暖かさを。
人間の女性を育ての親とする宇宙人は、心の謎の解明の為、聖杯戦争へと今臨まんとしていた。
【クラス】
キャスター
【真名】
ギーグ@MOTHER
【パラメーター】
筋力E 耐久D 敏捷C 魔力E 幸運D 宝具EX
【属性】
混沌・善
【クラススキル】
陣地作成:-
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。キャスターは宝具によりこのスキルが消滅している。
と言うよりキャスターは、そもそも魔術師ですらない。
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。キャスターは宝具によりこのスキルが消滅している。
と言うよりキャスターは、そもそも魔術師ですらない。
道具作成:‐
魔術的な道具を作成する技能。上記の通りキャスターは魔術師でもない上に、普通の科学的な道具を作る事にも長けていない。
魔術的な道具を作成する技能。上記の通りキャスターは魔術師でもない上に、普通の科学的な道具を作る事にも長けていない。
【保有スキル】
宇宙人:EX
地球外の惑星の文明で育った者。ランクEXは完全な宇宙人、太陽系の外の惑星の住人である。
地球外の惑星の文明で育った者。ランクEXは完全な宇宙人、太陽系の外の惑星の住人である。
宇宙人の精神:B
地球外の文明で育ち、培われた精神。同ランクまでの精神干渉を無効化し、かつ他人の痛みも感じない、精神的なスーパーアーマー能力。
しかし人間の女性に育てられた時期があるキャスターは、本来のランクからダウンしている。
地球外の文明で育ち、培われた精神。同ランクまでの精神干渉を無効化し、かつ他人の痛みも感じない、精神的なスーパーアーマー能力。
しかし人間の女性に育てられた時期があるキャスターは、本来のランクからダウンしている。
PSI:EX
魔術とはその起源を異にする超能力。神秘を必要としない特異現象。
テレパシーやテレポーテーション、次元スリップによる仕切り直し。
身体能力の向上や身体の治癒に毒や麻痺などの状態異常の発生、対魔力で軽減出来ない各種属性による攻撃など、使用法は多種多様。
キャスターは本来惑星規模で影響を与えるPSIの力を持っているが、聖杯戦争に際し制約を負っている。
魔術とはその起源を異にする超能力。神秘を必要としない特異現象。
テレパシーやテレポーテーション、次元スリップによる仕切り直し。
身体能力の向上や身体の治癒に毒や麻痺などの状態異常の発生、対魔力で軽減出来ない各種属性による攻撃など、使用法は多種多様。
キャスターは本来惑星規模で影響を与えるPSIの力を持っているが、聖杯戦争に際し制約を負っている。
【宝具】
『地球のむしけらには知覚出来ない攻撃(攻撃の正体が掴めない)』
ランク:B 種別:対人~対城宝具 レンジ:1~100 最大補足:1~100
キャスターの発揮するPSIの特殊な運用方法。キャスターの野望を阻止しようと現れた、PSIを操る少年達ですらどのような攻撃をされたのか解らなかったエピソードの具現。
常時発動型の宝具で、キャスターの意思次第で自由に解除は可能。
コレの発動した状態でPSIを発揮すると、機械的な唸り声を空間が上げ始める。
この時相手は、『攻撃に直撃するまで、キャスターがどのようなPSIを発動したのか、そしてその発動したPSIを如何なる感覚を以ても知覚出来ない』。
最低でもAランク相当の千里眼がなければ攻撃は目視出来ず、それがなかった場合には、相手は直感で回避か防御をするしかない。
ランク:B 種別:対人~対城宝具 レンジ:1~100 最大補足:1~100
キャスターの発揮するPSIの特殊な運用方法。キャスターの野望を阻止しようと現れた、PSIを操る少年達ですらどのような攻撃をされたのか解らなかったエピソードの具現。
常時発動型の宝具で、キャスターの意思次第で自由に解除は可能。
コレの発動した状態でPSIを発揮すると、機械的な唸り声を空間が上げ始める。
この時相手は、『攻撃に直撃するまで、キャスターがどのようなPSIを発動したのか、そしてその発動したPSIを如何なる感覚を以ても知覚出来ない』。
最低でもAランク相当の千里眼がなければ攻撃は目視出来ず、それがなかった場合には、相手は直感で回避か防御をするしかない。
『我が母星が生み出した鋼鉄の船(マザーシップ)』
ランク:EX 種別:対星宝具 レンジ:1~1000以上 最大補足:1~1000以上
キャスターの母星の文明が作り上げた、極めて巨大な宇宙船。ランクEXと言うのは、外宇宙の技術であるが故のランクEX(規格外)であるから。
キャスターは自らの極めて低い陣地作成スキルを、この宝具で補っている。
この宝具を発動させると、それまでキャスターには扱えなかった使い魔召喚(作成)を行う事が可能である。
嘗ての地球侵略の尖兵であるスターマン一族や、自らの文明が生み出したロボットや生物兵器などを無限に召喚させる事が出来る。
破壊しようにも、地球外の進んだ文明の産物であるマザーシップの破壊は尋常の事ではなく、Aランククラスの対城宝具をぶつけたとしても持ち堪える程。
強力な陣地であるのだが、本来的には聖杯戦争の範囲を超えたこの宝具の発動には、令呪二区画の消費が必要不可欠。
加えて一度発動してしまうと、その余りにも巨大な姿の為に目立ってしまうと言う欠点が不可避であり、場合によっては他参加者からの的にもなってしまう。
この宝具を使う事で消費される魔力は、幸いにも最初の発動時のみ。発動してしまったのならば、早急に全参加者を始末する必要がある。
ランク:EX 種別:対星宝具 レンジ:1~1000以上 最大補足:1~1000以上
キャスターの母星の文明が作り上げた、極めて巨大な宇宙船。ランクEXと言うのは、外宇宙の技術であるが故のランクEX(規格外)であるから。
キャスターは自らの極めて低い陣地作成スキルを、この宝具で補っている。
この宝具を発動させると、それまでキャスターには扱えなかった使い魔召喚(作成)を行う事が可能である。
嘗ての地球侵略の尖兵であるスターマン一族や、自らの文明が生み出したロボットや生物兵器などを無限に召喚させる事が出来る。
破壊しようにも、地球外の進んだ文明の産物であるマザーシップの破壊は尋常の事ではなく、Aランククラスの対城宝具をぶつけたとしても持ち堪える程。
強力な陣地であるのだが、本来的には聖杯戦争の範囲を超えたこの宝具の発動には、令呪二区画の消費が必要不可欠。
加えて一度発動してしまうと、その余りにも巨大な姿の為に目立ってしまうと言う欠点が不可避であり、場合によっては他参加者からの的にもなってしまう。
この宝具を使う事で消費される魔力は、幸いにも最初の発動時のみ。発動してしまったのならば、早急に全参加者を始末する必要がある。
【weapon】
【人物背景】
西暦1998年、地球を征服せんと来襲した宇宙人。高い文明水準の星からやって来たようである。
正体不明の超能力攻撃を駆使する生物で、その規模は地球規模で、様々な場所で、ポルターガイスト現象、正体不明の錯乱現象、死者のゾンビ化、行方不明などを引き起こさせる程。
ホーリーローリーマウンテンの山頂付近の洞窟にマザーシップを停泊させ、地球支配の機会を虎視眈々と狙っていた。
が、ギーグの前に現れたケン、ロイド、アナの三人の子供が、彼の野望を挫く。彼を打ち倒したのはバットやナイフなどの暴力でもなければ、PSIなどの超常的な力でもない。
誰にでも歌えるような、何の変哲もない歌だった。歌に心を惑わされたギーグは、自らの敗北を認め、逃げるように地球を去っていった。
彼の正体はニ十世紀の初頭、地球から拉致した人間のカップル、ケンの曽祖父にあたるジョージとその妻マリアが育てた宇宙人の子供が成長した姿。
ギーグの母性の一族はこの二人に子守り役を命じ、育てる事になったのだが、拉致から二年経過してから、ジョージだけが地球に戻される。
戻ったジョージはPSIを初めとした奇怪な研究にのめり込むようになる。母星に永遠に帰る事がなくなった、妻のマリアを地球へと戻す為に。
ギーグが心を乱された曲の正体は、嘗てマリアが幼いギーグに歌って見せた子守唄である。
正体不明の超能力攻撃を駆使する生物で、その規模は地球規模で、様々な場所で、ポルターガイスト現象、正体不明の錯乱現象、死者のゾンビ化、行方不明などを引き起こさせる程。
ホーリーローリーマウンテンの山頂付近の洞窟にマザーシップを停泊させ、地球支配の機会を虎視眈々と狙っていた。
が、ギーグの前に現れたケン、ロイド、アナの三人の子供が、彼の野望を挫く。彼を打ち倒したのはバットやナイフなどの暴力でもなければ、PSIなどの超常的な力でもない。
誰にでも歌えるような、何の変哲もない歌だった。歌に心を惑わされたギーグは、自らの敗北を認め、逃げるように地球を去っていった。
彼の正体はニ十世紀の初頭、地球から拉致した人間のカップル、ケンの曽祖父にあたるジョージとその妻マリアが育てた宇宙人の子供が成長した姿。
ギーグの母性の一族はこの二人に子守り役を命じ、育てる事になったのだが、拉致から二年経過してから、ジョージだけが地球に戻される。
戻ったジョージはPSIを初めとした奇怪な研究にのめり込むようになる。母星に永遠に帰る事がなくなった、妻のマリアを地球へと戻す為に。
ギーグが心を乱された曲の正体は、嘗てマリアが幼いギーグに歌って見せた子守唄である。
【サーヴァントとしての願い】
ケン達との戦いで自らの心に湧いて出た感情の正体の究明。
【基本戦術、方針、運用法】
対魔力に左右されずに威力を発揮出来るPSIと、攻撃の正体を隠し通す『地球のむしけらには知覚出来ない攻撃』の運用がキモとなるサーヴァント。
PSIで発揮出来る特異現象の数は種類に富み、状況次第によっては三騎士だって苦戦させうる強さをキャスターは持つ。
最大の欠点は、キャスターとしては落第点どころか、何故キャスターとしてのクラスが割り当てられたのか疑問に思う程の、魔力ステータスを筆頭とした全ステータスの低さ。
更に陣地作成と道具作成スキルをそもそも保持しないと言う点は致命的で、キャスターの強みの大部分が殺されている。
切り札と言える宝具、『我が母星が生み出した鋼鉄の船』はおいそれと発動出来る代物ではなく、序盤で発動しようものなら的以外のなにものでもなくなる。
このチームが優勝を狙うには、他の参加者と同盟を組み、三騎士に類するサーヴァントが減った時に、『我が母星が生み出した鋼鉄の船』を発動する機会を『待つ』と言う、キャスターの最も基本的な戦い方が求められる。
PSIで発揮出来る特異現象の数は種類に富み、状況次第によっては三騎士だって苦戦させうる強さをキャスターは持つ。
最大の欠点は、キャスターとしては落第点どころか、何故キャスターとしてのクラスが割り当てられたのか疑問に思う程の、魔力ステータスを筆頭とした全ステータスの低さ。
更に陣地作成と道具作成スキルをそもそも保持しないと言う点は致命的で、キャスターの強みの大部分が殺されている。
切り札と言える宝具、『我が母星が生み出した鋼鉄の船』はおいそれと発動出来る代物ではなく、序盤で発動しようものなら的以外のなにものでもなくなる。
このチームが優勝を狙うには、他の参加者と同盟を組み、三騎士に類するサーヴァントが減った時に、『我が母星が生み出した鋼鉄の船』を発動する機会を『待つ』と言う、キャスターの最も基本的な戦い方が求められる。
【マスター】
野原みさえ@クレヨンしんちゃん
【マスターとしての願い】
子供達の養育費が欲しい。しかし、人を殺してまでそんな願いを叶えたくない
【weapon】
【能力・技能】
ゲンコツ、グリグリ、尻叩き:
対しんのすけ、ひろし用のお仕置き。
対しんのすけ、ひろし用のお仕置き。
身体能力:
幼稚園バスに乗り遅れたしんのすけを、気合で自転車を漕いで送り届けたり、何人もの男性を投げ飛ばす程度には強い。
幼稚園バスに乗り遅れたしんのすけを、気合で自転車を漕いで送り届けたり、何人もの男性を投げ飛ばす程度には強い。
【人物背景】
埼玉県春日部市に住まう最強の主婦。野原家の母。熊本県の生まれであり、三人姉妹の次女。夫に野原ひろし、子供に野原しんのすけ、野原ひまわりを持つ。
自由気ままな五歳児、しんのすけのいたずらに常に振り回される、短気でケチで見栄っ張りなケツでか小じわペチャパイおばさん。
しかし本当は誰よりも家庭を愛する、母性的な女性であり、今回の聖杯戦争に関しても全く乗り気ではない。
自由気ままな五歳児、しんのすけのいたずらに常に振り回される、短気でケチで見栄っ張りなケツでか小じわペチャパイおばさん。
しかし本当は誰よりも家庭を愛する、母性的な女性であり、今回の聖杯戦争に関しても全く乗り気ではない。
【方針】
人だけは絶対殺したくない。ギーグには、可能な限りサーヴァントだけを相手にさせるよう立ち回らせる。
人だけは絶対殺したくない。ギーグには、可能な限りサーヴァントだけを相手にさせるよう立ち回らせる。