夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

忌夢-Nightmare-

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匿名ユーザー

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 万能の願望器、聖杯。
 英国神話にその名を残す、奇跡の力を宿した聖遺物。
 その所有者として選ばれた者は、あらゆる願いを叶えられる、全能の力を得られるという。

 いかなる願いも叶えられると聞いた時、真っ先に雅緋の名前が浮かんだ。
 彼女のもとに聖杯を持ち帰り、蛇女再興と妖魔討滅のため、使ってもらおうと考えた。
 でもそれは最初の一瞬だけだ。
 すぐにそれだけではダメだと、ボクは思い直すことになった。

 ボクが本当に望むことは、雅緋に強くなってもらうことじゃない。
 強くなったその先で、幸せになってもらうことだ。
 ならば今、彼女が不幸なのは何故だ?
 抜身の細い刃のように、鋭くも危うい闘志を振りまき、戦いに臨んでいるのは何故だ?
 それはボクが彼女の母を、死に追いやってしまったからだ。
 ボクが雅緋を連れ出したばかりに、ボクらは妖魔に出くわしてしまった。
 ボクが雅緋を守れなかったばかりに、彼女の母が代わりに命を落とした。
 全てボクの軽率さと、ボクの弱さが招いた悲劇だ。
 あの日のボクの失態が、雅緋を狂わせてしまったんだ。

 やり直したいことがある。
 全ての始まりとなったあの日を、もう一度やり直したいと思う。
 そしてもう1人の悲劇――妹の紫とのことも、やり直したいとボクは思う。
 ボクが弱かったばかりに、紫は己の全てを閉ざし、家に引きこもってしまった。
 今でこそ強引に連れ出してはいるけど、根本的な解決でないことは確かだ。
 ボクが紫に負けていなければ、そもそも起こりえなかった悲劇なんだ。
 それも全てをひっくるめて、ボクは過去をやり直したい。
 ボクに力がなかったばかりに、多くを失ってしまった人達を、聖杯の力で救いたい。

「ボクは……ボクは力が欲しい! 過去をやり直せる力を……悲劇を覆せる力が欲しいっ!」

「――その願い、確かに聞き届けた」

 願いを口にしたその時、黒い囁きが聞こえた気がした。
 次の瞬間、ボクの意識は、黒い闇に塗り潰されていた。


「――がぁあああああああああっ!」
 吹き荒れる風の音の中に、血を吐くような悲鳴が混ざる。
 無明の室内に蠢く影が、漆黒の烈風を振りまきながら、苦悶と共にのたうっている。
「ぐぁっ! ああああっ……!」
 大柄な影から聞こえてくるのは、若い女の悲鳴だった。
 黒い四肢が動くたび、がちゃりと響く金属音が、身の軋む音のように聞こえていた。
「……令呪を、もって命ずる……ボクの許可なしに、まとわりつくなッ!」
 絞り出すような叫びだった。
 締め上げられた喉元から、必死に吐き出したかのような、文字通り必死の絶叫だった。
 一瞬光が走ったのち、風は瞬く間に立ち消える。
 渦巻く闇から解放されて、散らかった部屋に現れたのは、成人して間もなくといった様子の女性だ。
 広い額と、肌着だけを纏った肌には、珠のような汗が浮かんでいる。
 女はぜいぜいと息を吐きながら、ふらふらと壁にもたれかかり、豊かな胸を上下させていた。
「はぁ……はぁっ……!」
 秘立蛇女子学園が3年――忌夢(いむ)。
 かつて選抜メンバーに身を置き、4年の休学期間を経て、再びその座へ返り咲かんとする、現代に生きる忍の女だ。
 数多の忍学生達の、五指に数えられたその忌夢が、ひどく憔悴しきっている。
 遂には立っていることすら困難になり、滑り落ちるようにして床に座る。
「マスター、今一度命令しろ。俺を纏って戦うのだ」
 その原因を作ったのが、その傍らに立つ影だ。
 いいや、影と表現するには、その姿はあまりにも仰々しく、そしてあまりにも禍々しかった。
 闇よりもなお黒き体は、光沢を放つ金属の鎧だ。
 2メートルはあらんかという巨躯は、随所に刺々しい意匠が施され、攻撃的な気配に満ち溢れていた。
 何より異彩を放っているのは、その顔面を覆うマスクだ。
 狼の頭部を象ったそれは、さながら神話のフェンリルか――あるいは地獄の番犬(ケルベロス)か。
 バーサーカーのサーヴァント。名を、暗黒魔戒騎士・呀(キバ)。
 強力なサーヴァントではあるようだが、忌夢に割り当てられたそれは、とんでもない厄介者だった。
(このサーヴァントは、主を喰う)
 直感的に感じたことだ。
 驚くべきことにこのバーサーカーは、人間でもましてや魔物でもない。
 漆黒の人狼鎧そのものが、サーヴァントの宝具であると同時に、意志を持つ一個のサーヴァントなのだ。
 そしてこのサーヴァントは、マスターを己が装着者としようとする。
 その絶大な力と引き換えに、内に渦巻く狂気へと、忌夢の意識を堕とそうとする。
(恐ろしかった)
 鎧の内側に見たものは、圧倒的な破壊衝動。
 力を渇望する凄まじい執念と、最強たらんとする己を倒した、何者かへの苛烈な憎悪だ。
 倒さねばならない者がいる。
 乗り越えなければならない壁がある。
 全てを打ち倒し取り込んで、最強の高みへと上り詰めてみせる。
 渦巻く妄執と激情が、忌夢の理性を飲み込んで、黒く塗り潰そうとしていた。
 それに飲み込まれることに、微かな高揚感を感じていた自分自身が、何よりも恐ろしく思えた。
(みんな、こんな風に感じていたのか)
 深淵血塊を使った雅緋も、禍根の力を放った紫も。
 荒れ狂う親友と妹は、こんなおぞましい感情と共に、戦っていたというのか。
 知らぬままのうのうとしていた自分が、あまりにも情けなく感じられた。
「立て。もう一度俺を纏え」
 鎧の声が煩わしい。
 無責任に要求する呀を、忌夢はきっと睨みつける。
「焦るな……今はまだその時じゃない」
「約束が違う。マスターは俺と戦うと言ったはずだ」
「時をわきまえろと言っているんだ。
 必要な時にはそうさせてやるさ……ただ四六時中あのままじゃ、勝てる戦いも勝てなくなる」
 バーサーカーの力は強い。
 だが理性を保てなくなるというのは、あまりにも大きすぎるリスクだ。
 あのまま出歩いたところで、とても他のマスターを探すことはできまい。
 ただ野放図に暴れ回って、魔力とやらを使い果たし、自滅して倒れるのがオチだ。それは避けなければならなかった。
「臆病者め」
「何とでも言え。ボクは忍だ」
 地道に立ち回ってこそが本分なんだと、忌夢は呀へと言い返した。
 そう言って再び立ち上がると、覚束ない足取りで自室を歩き、窓の方へと向かっていく。
「安心しろ。お前の力が必要になれば、その時は存分に使ってやる」
 言いながら窓の鍵を開けると、がらがらと窓を開いて外に出た。
 アパートのベランダから見えるのは、住み慣れた土地とは違う街だ。
 その上には深夜の宵闇の中で、月の白光が浮かんでいた。
(そうさ……この身なんて惜しくはないんだ)
 聖杯を手に入れるかわりに、呀にこの身体を捧げる。
 そのことそのものに迷いはない。
 どうせ大切な人を悲しませた、不甲斐ない人間の命なのだ。
 それをドブに捨てた程度で、彼女らが笑顔を取り戻せるのなら、喜んで捨ててやると断言できた。
 まずは忍の技を駆使し、街に潜んだライバルを見つける。
 そしてそれらの敵と対峙し、確実に葬り去っていく。
(その中で必要だというのなら)
 そうしなければならないのなら、この身は再び鎧を纏い、暗黒騎士となるだろう。
 そうしてでも手に入れなければならない。それが聖杯というものなのだ。
(待っていて)
 大切な想い人達の姿を、月の向こうに描きながら。
 愛する者と妹を想い、忌夢は死地へと赴く決意を固めた。

【クラス】バーサーカー
【真名】呀(キバ)
【出典】牙狼-GARO-
【性別】男性
【属性】混沌・狂

【パラメーター】
筋力:B+ 耐久:A 敏捷:C 魔力:B 幸運:C 宝具:A

【クラススキル】
狂化:E
 クラス特性による後付けのスキルではなく、呀自身が保有していたスキル。
 理性を持たない存在であるため、複雑な思考を行うことができない。

【保有スキル】
精神汚染:A+
 精神干渉系魔術を完全にシャットアウトする。
 そもそも怨念のみが凝り固まった存在であるため、干渉すべき精神が存在しない。

対魔力:A
 A以下の魔術は全てキャンセル。
 事実上、現代の魔術師では呀に傷をつけられない。

単独行動:C
 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
 ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。

【宝具】
『暗黒騎士・呀(キバのよろい)』
ランク:A 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:1人
 黒き闇に堕ちた心。
 その心に輝きはなかったのか。その心に希望はなかったのか。
 それを知りたい者は行くがよい。黒く深い闇の中へと……
 ――古より人を襲ってきた、魔界の怪物・ホラー。
 それと戦う力を身につけた、魔戒騎士の鎧であり、呀という英霊そのものである。
 暗黒魔戒騎士である呀の鎧は、心滅獣身という暴走状態を超えた先に発現する、闇に堕ちた姿である。
 ソウルメタルはデスメタルと呼ばれる、漆黒の金属へと変質しており、装着の制限時間も消失している。

 本来は所有権を認められた魔戒騎士にしか装着できないが、
 元所有者・バラゴの遺志が宿った呀は、自ら所有者を選び、自身を装着させることができる。
 これにより装着者の理性と技術を得た呀は、その力をより効果的に発揮できるようになるが、
 呀自身の持つ狂化のスキルが伝染し、装着者の思考力を蝕んでいくようになる。
 何よりも恐ろしいのは、前述した単独行動のスキルがあることにより、マスターの死後も新たな贄を求めることである。

【weapon】
黒炎剣
 ソウルメタルの剣・魔戒剣が、呀の力によって変化したもの。漆黒の長剣である。
 魔戒騎士としての修行を経た者は、これを自在に操ることができるが、そうでない者には持ち上げることすらできない。
 より強い魔力を込めることによって、身の丈を凌ぐ大剣・閻魔斬光剣へと変化させることもできる。

暗黒斬
 長柄の斧。ホラーを喰うために用いていた武装であり、倒した相手の魂を、呀の鎧に取り込むことができる。

【人物背景】
最強の力をひたすらに欲し、暗黒魔戒騎士へと堕ちた男・バラゴ。
その力への執念が、死後鎧へと宿され、意志を持った姿である。
バラゴの超人的な戦闘技術を失ったため、バラゴが纏っていた時よりも弱体化しているが、
それでも鎧自体の力と、宿された凄まじい妄執によって、高い戦闘能力を発揮している。
前述する武器の他、イバラを纏って盾とする防御技「薔陣薇幹」を使うことができる。

なお、バラゴ本人の魂は、死後に師の魂と再会し、己の罪を悔い改めている。

【サーヴァントとしての願い】
完全な復活を果たし、再び力を求める。

【基本戦術、方針、運用法】
生物でない鎧のサーヴァント。
怨念のみで構成されたバーサーカーは、我武者羅に攻撃することしか知らないため、
その力を最大限に発揮するには、マスターが纏って戦う必要がある。
しかしマスター自身が狂化するというリスクは、決して無視できるものではない。
自律行動させて共に戦うか、その身に纏って戦うか、状況に応じた判断が必要となる。

【マスター】忌夢(いむ)
【出典】閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-
【性別】女性

【マスターとしての願い】
雅緋と紫にまつわる過去をやり直したい

【weapon】
如意棒
 長さ・太さを自在に変化させられる棒。

秘伝忍法書
 必殺技・秘伝忍法の力を引き出すための巻物。

【能力・技能】

 日本に古来から存在する、諜報や暗殺を主任務とした工作員。
 蛇女子学園の元選抜メンバーとして、ひと通りの忍術をマスターしている。
 忌夢は得意技として、電撃を操ることができる。

忍転身
 現代の忍の戦闘形態。上述した秘伝忍法書の力を引き出すための姿。
 この術を発動した忌夢は、ドイツ軍服風の装束を纏う。

忍結界
 忍同士の決闘時に発動される結界術。自身と対戦相手を一定空間内に閉じ込めることができる。
 本聖杯戦争では弱体化しており、バスケットコート程度の範囲にしか展開できない。

命駆
 命懸けの覚悟で臨む、決死の戦闘形態。
 防御力が半分以下になるが、追い詰められたことで潜在能力が解放され、攻撃力が大幅に向上する。
 なおこの状態になった瞬間、忌夢の衣服は全て弾け飛び、下着姿になる。

禍根の力
 忌夢の一族に伝わる、特殊体質由来の力。
 怒りや憎しみといった感情によって引き起こされる「拒絶の力」であり、身体能力を数十倍に高めることができる。
 最大限に発揮した際には、漆黒のオーラとして具現化するほどになるが、
 上述したような激情によって引き出される力であるため、それほどの力を発揮した際には、必然正常な思考力が損なわれてしまう。
 忌夢はこの力を扱う才能に乏しく、未だ発動させたことがない。

深淵の血
 禁術・深淵血塊によって暴走した雅緋の血を、同じく禁術である血塊反転によって取り込んだもの。
 通常は効果を発揮することはないが、前述した禍根の力に目覚めた場合、
 芋づる式に引き出され、忌夢を雅緋同様の暴走状態へと導いてしまう。
 仮にこの状態で『暗黒騎士・呀(キバのよろい)』 を纏った場合、
 呀の幸運以外のステータスが、全て1ランク上昇する。

【人物背景】
非合法な任務であろうと遂行する忍・悪忍を養成する機関である、秘立蛇女子学園の生徒。
21歳の3年生で、スリーサイズはB88・W60・H82。悪人の名家の出身であり、現筆頭・雅緋の幼馴染でもある。
かつて雅緋が妖魔と戦い、暴走・廃人化したことを受けて蛇女を休学。
雅緋の療養に付き添い尽くしていたが、彼女が復活したことにより、自身も蛇女へと舞い戻る。
雅緋が母親を喪ったこと、妹の紫が引きこもってしまったことの原因を作っており、強い負い目を感じている。

一人称が「ボク」で、口調も男性的なもの。
委員長気質な性格であり、問題児揃いの蛇女選抜メンバー候補の中では、ツッコミ役として苦労が耐えない。
もとより雅緋を強く慕っており、彼女に付き従い支えることを自らの存在意義としていたが、
療養中にややこじらせてしまったようであり、半ば同性愛じみた感情へとハッテンしている。

忍法の性質を表す秘伝動物は狐。
忍装束こそドイツ風だが、戦闘スタイルは中華風の棒術であり、俊敏な身のこなしで敵を翻弄する。
必殺の秘伝忍法は、超高速で駆け抜け敵を圧倒する「デッドフォックス」、
電撃を纏った如意棒を、回転させながら投擲する「ローリングサンダー」。
また現時点では未習得だが、自らの大切な何かを自覚した時には、更なる奥義である絶・秘伝忍法を発現することができる。
忌夢の絶・秘伝忍法は、如意棒から無数の管狐を召喚し攻撃させる「サンダーフォックス」。
この絶・秘伝忍法は、一般には「善と悪の力がぶつかった時に発現する」と言われており、善なる者との戦いが、発現の引き金となる可能性が高い。

蛇女ルート第3章終了後より参戦。再び選抜メンバーとして認可されるべく、抜忍の焔達を追っている。
当初は自分と雅緋以外の仲間など要らないと言っていたものの、現在は他のメンバーにも、仲間意識を芽生えさせている。

【方針】
優勝狙い。
呀に身を捧げることに迷いはないが、理性的な行動が取れないのはまずい。
普段は取り込まれないように立ち回る。

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