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姫路に忍びあり
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姫路に忍びあり ◆h3Q.DfHKtQ
姫路瑞希は普通の女の子である。
無論彼女は、画期的実験校、文月学園において学力実質学園2位という秀才であり、
尚かつある種の小動物を思わせる可憐さを持った美少女で、
さらに無意識の殺人料理の使い手と、
些か「普通」と呼ぶのが躊躇われるような逸材ではある。
尚かつある種の小動物を思わせる可憐さを持った美少女で、
さらに無意識の殺人料理の使い手と、
些か「普通」と呼ぶのが躊躇われるような逸材ではある。
しかし、あらゆる意味おいて人外の怪物達が蠢くこの殺し合いの場においては、
彼女はあまりにも普通の少女であった。
彼女はあまりにも普通の少女であった。
ごく当たり前に、平和な日本で、少しばかり変わった、
しかし日常の領域を出ることの無い緩やかな生活を送る、
何処にでもいそうな少女であったのだ。
しかし日常の領域を出ることの無い緩やかな生活を送る、
何処にでもいそうな少女であったのだ。
で、ここで質問である。
Q:意味不明、見ず知らずの殺し合いの場で、何もない夜の草原を一人歩いていたら、
突然、すごい怖い顔をした猛禽類に襲われた場合、姫路瑞希はどうなる?
突然、すごい怖い顔をした猛禽類に襲われた場合、姫路瑞希はどうなる?
A:ビビる
凄くビビる
ムッチャビビる
むちゃんこビビる
凄くビビる
ムッチャビビる
むちゃんこビビる
何やら風切り音と、甲高い鳴き声が頭上から聞こえて来るかと思い、
おずおずと上空を見上げた、夜の草原を一人彷徨う瑞希であったが、
すると、本当に頭上ぎりぎりの所を、
一羽の鷹が凄いスピードで飛び去って行ったのである。
おずおずと上空を見上げた、夜の草原を一人彷徨う瑞希であったが、
すると、本当に頭上ぎりぎりの所を、
一羽の鷹が凄いスピードで飛び去って行ったのである。
「きゃっ」
と、可愛らしい声で思わず両手で頭を押さえながら、
彼女は思わず尻餅をついてしまう。
と、可愛らしい声で思わず両手で頭を押さえながら、
彼女は思わず尻餅をついてしまう。
見上げれば、鷹は自分のすぐ上空で、ぐるぐると宙を旋回している。
正直すごく怖い。
正直すごく怖い。
訳もわからず、この草原一人誰にも会うことなく彷徨っていたが、
最初に邂逅した存在は、よりにもよって一羽の猛禽類とは…
最初に邂逅した存在は、よりにもよって一羽の猛禽類とは…
彼女は涙目で暫く何故か自分の頭上でただ旋回を続ける猛禽を眺めていたが、
「娘っ子…」
突如背後から聞こえてきた声に、背筋が凍りついた。
上空に意識を取られていたのは認めよう。
しかし、こんな何も無い草原で自分に近づいて来るものがいれば、
ある程度の距離ならば夜でも音や気配で容易に接近に気がつける。
にも拘らず、その声はあまりにも唐突であった。
しかし、こんな何も無い草原で自分に近づいて来るものがいれば、
ある程度の距離ならば夜でも音や気配で容易に接近に気がつける。
にも拘らず、その声はあまりにも唐突であった。
それは確かに自分の背後から聞こえていた。
つい先ほどまで、周囲には人影一つ見えなかったと言うのに。
つい先ほどまで、周囲には人影一つ見えなかったと言うのに。
日常の場でも、暗闇で突然背後で見知らぬ人に立たれたら人は相当驚くだろう。
そして、ここは、自分以外に生き残ることが許されぬ殺し合いの場である。
そして、ここは、自分以外に生き残ることが許されぬ殺し合いの場である。
そんな場所で、突然背後に人に立たれた、姫路瑞希の心情は容易に想像がつくだろう。
聞こえてくる自身の心臓の動悸を聞きながら、
今にも恐怖心で泣き出してしまいそうな自分の心を無理やり押し殺して、
彼女は恐る恐る背後を振り返った。
聞こえてくる自身の心臓の動悸を聞きながら、
今にも恐怖心で泣き出してしまいそうな自分の心を無理やり押し殺して、
彼女は恐る恐る背後を振り返った。
さて、ここで第二の質問。
Q:ただでさえ、恐怖で心が破裂しそうな状況で、
いつの間にか赤の他人に背後に立たれていて、
しかもソイツが妙な格好をした、
顔面包帯グルグル巻きの不気味な男が奴だったらどうなる?
いつの間にか赤の他人に背後に立たれていて、
しかもソイツが妙な格好をした、
顔面包帯グルグル巻きの不気味な男が奴だったらどうなる?
A:死ぬほどビビる
背後に立っていたのは、妙な黒いシミのついた包帯の様な物で、
顔の上半分を目まで覆った、スプラッター映画の殺人鬼の様な格好の、
背の高いあまりにも不気味な男であった。
しかも左手に、黒く大きい『ナニカ』を下げている
こんな奴、たとえ殺し合いの場でなくとも、夜道でばったり出くわせば普通ビビる。
ましてやここは、常軌を逸する悪趣味な殺人遊戯の会場だ。
顔の上半分を目まで覆った、スプラッター映画の殺人鬼の様な格好の、
背の高いあまりにも不気味な男であった。
しかも左手に、黒く大きい『ナニカ』を下げている
こんな奴、たとえ殺し合いの場でなくとも、夜道でばったり出くわせば普通ビビる。
ましてやここは、常軌を逸する悪趣味な殺人遊戯の会場だ。
人間と言う生き物は、本気で恐怖を感じてしまった場合、
叫ぶことすらままならないらしい。
叫ぶことすらままならないらしい。
「…!」
気を失った姫路瑞希は、叫び声すら上げることなく、
静かにコテンっと地面に倒れ臥した。
静かにコテンっと地面に倒れ臥した。
■
ざざーっ、ざざーっと何処からか、寄せては返す波の様な音が、
何処からともなく耳に響く。
何処からともなく耳に響く。
鼻をくすぐるこの匂いはなんだろう?
ああ、波の音が聞こえるんだから、きっと潮の匂いに違いない。
ああ、波の音が聞こえるんだから、きっと潮の匂いに違いない。
頭に冷たい感触を感じる。
恐らく、濡れた手拭いか何かだろう。
風邪を引いて熱が出た時の様に、おでこの冷たさは心地よかった。
恐らく、濡れた手拭いか何かだろう。
風邪を引いて熱が出た時の様に、おでこの冷たさは心地よかった。
一つ不満があるとすれば、この手拭い、ひどく磯臭い。
波の音から判断するに、海水で濡らして来たのだろうか?
波の音から判断するに、海水で濡らして来たのだろうか?
そんな事を漫然と考えていて、
ふとある思考に行きつく。
ふとある思考に行きつく。
『誰』が自分のおでこに濡れ手拭いを乗せてくれたのだろう?
いや、そもそも何で自分は寝ているんだっけ?
いや、そもそも何で自分は寝ているんだっけ?
確か、目眩がしたかと思えば、
気が付くと変な所にいて、狐のお面を被った変な人に殺し合いをしろと言われて、
また気が付くと夜の誰もいない草原の真ん中にいて、
鷹に襲われて、怖い人に…
気が付くと変な所にいて、狐のお面を被った変な人に殺し合いをしろと言われて、
また気が付くと夜の誰もいない草原の真ん中にいて、
鷹に襲われて、怖い人に…
思考がここに至った時、姫路瑞希は覚醒した。
ガバっと、目を白黒させながら跳ね起きた。
おでこから、ボトッと海水に濡れた濃紺色の布切れが、
瑞希のスカートの上に落ちた。
ガバっと、目を白黒させながら跳ね起きた。
おでこから、ボトッと海水に濡れた濃紺色の布切れが、
瑞希のスカートの上に落ちた。
「気が付きなされたか」
自分のすぐ隣から聞こえてきた声に、
瑞希は恐る恐る目を自分の右側に向けた。
瑞希は恐る恐る目を自分の右側に向けた。
やはりと言うべきか、
瑞希のすぐ隣で、例の包帯男が胡坐をかいている。
その右肩には、最初に襲いかかってきた鷹がとまり、
その鋭い目で瑞希の事を見ていた。
瑞希のすぐ隣で、例の包帯男が胡坐をかいている。
その右肩には、最初に襲いかかってきた鷹がとまり、
その鋭い目で瑞希の事を見ていた。
思わず叫び出しそうになる瑞希だったが、
それをゴクリと無理やり喉の奥にのみ込んだ。
男の次の言葉を聞いたからだ。
それをゴクリと無理やり喉の奥にのみ込んだ。
男の次の言葉を聞いたからだ。
「驚かせてしもうたようで・・・申し訳ござらん」
明らかに自分を心配している口調だった。
瑞希は叫びをのみ込むと、改めて目の前の男を見た。
明らかに自分を心配している口調だった。
瑞希は叫びをのみ込むと、改めて目の前の男を見た。
前述の通り、顔の鼻と口もとを除く全てを白い布でぐるぐる巻きにしているが、
よくよく見ればただの包帯のようだし、黒い染みは恐らく乾いた血液だ。
顔に怪我をしたのだろうか、何となく酷い怪我である事が察せられた。
よくよく見ればただの包帯のようだし、黒い染みは恐らく乾いた血液だ。
顔に怪我をしたのだろうか、何となく酷い怪我である事が察せられた。
右肩には、一羽の鷹がとまっていたが、
先ほど襲い掛かって来た事が嘘のように、静かにこちらを見ている。
文字通りの鷹の眼は、鋭く、ただ見ているだけで睨みつけてくるようで怖いが、
別に何かをしてくるでもない。
ひょっとすると、襲われたと思ったのは自分の勘違いで、
ただ単に、人影を見つけたからと、自分に近づいてきただけなのではないか。
先ほど襲い掛かって来た事が嘘のように、静かにこちらを見ている。
文字通りの鷹の眼は、鋭く、ただ見ているだけで睨みつけてくるようで怖いが、
別に何かをしてくるでもない。
ひょっとすると、襲われたと思ったのは自分の勘違いで、
ただ単に、人影を見つけたからと、自分に近づいてきただけなのではないか。
二人の周りには他に人影は見えない。
自分と、目の前の包帯男だけだ。
だとすれば、突然倒れた自分を介抱してくれたのは誰なのか。
自分と、目の前の包帯男だけだ。
だとすれば、突然倒れた自分を介抱してくれたのは誰なのか。
その事を考えると、瑞希は恥ずかしくなって、
顔を赤らめながら俯いた。
顔を赤らめながら俯いた。
ひょっとすると自分はすごく失礼な事をしてしまったのではないか。
確かに目の前の男は少し不気味だが、何の事はない、
要は顔に包帯を巻いているだけだ。
確かに目の前の男は少し不気味だが、何の事はない、
要は顔に包帯を巻いているだけだ。
しかも、勝手に気絶した自分を介抱して、
こうして隣で起きるまで待っていてくれたようではないか。
こうして隣で起きるまで待っていてくれたようではないか。
そんな親切な相手に、人の顔を見るなり気絶してしまうなど、
失礼にもほどがあるだろう。
失礼にもほどがあるだろう。
「あの…」
瑞希はおずおずと包帯男に話しかける。
「これは…その…」
スカートの上に落ちていた布切れを拾い上げる。
瑞希はおずおずと包帯男に話しかける。
「これは…その…」
スカートの上に落ちていた布切れを拾い上げる。
「ああ、辺りに水場が海しかなかった故…申し訳ござらん」
男は、何を思ったか、そんな事を言いながらペコリと頭を下げた。
男は、何を思ったか、そんな事を言いながらペコリと頭を下げた。
「え!?いえっ、むしろ謝るのはこちらの方でっ…その…わざわざ介抱して頂いて…」
「いや、不用意に貴方様を驚かせてしもうた俺が悪う御座います…
しかし、あなた様の様なやんごとなきお方が何故この様な所をお一人で…」
(え?…やんごとなき?)
「いや、不用意に貴方様を驚かせてしもうた俺が悪う御座います…
しかし、あなた様の様なやんごとなきお方が何故この様な所をお一人で…」
(え?…やんごとなき?)
【止ん事無い(やんごと―な・い)】
[形][文]やんごとな・し『ク』
≪「止む事無し」が一語化したもの≫
1:家柄や身分がひじょうに高い。高貴である。
2:そのまま捨てておけない。なおざりにできない。のっぴきならない。
3:なみなみでない。特別である。
4:貴重である。
出典『大辞泉』
[形][文]やんごとな・し『ク』
≪「止む事無し」が一語化したもの≫
1:家柄や身分がひじょうに高い。高貴である。
2:そのまま捨てておけない。なおざりにできない。のっぴきならない。
3:なみなみでない。特別である。
4:貴重である。
出典『大辞泉』
「いえ!あの別に…私…!?」
「いえ、皆まで言う必要は御座らん。あなた様の様なお方が、
かような所を一人でいるのは何か抜き差しならぬ…」
「 あ の っ ! 」
「!?」
「いえ、皆まで言う必要は御座らん。あなた様の様なお方が、
かような所を一人でいるのは何か抜き差しならぬ…」
「 あ の っ ! 」
「!?」
このままだと話が妙な方向へ行ってしまいそうで、
瑞希は無理やり話しに割り込むと、
瑞希は無理やり話しに割り込むと、
「あの…私は姫路瑞希と言います!その…貴方のお名前は?」
「…」
「…」
包帯男はしばし黙っていたが、
■
筑摩小四郎が姫路瑞希を介抱した理由は、
一言で言ってしまうと勘違いである。
一言で言ってしまうと勘違いである。
最初に『足音』を聞いた時は、その『うるささ』に、
直ぐに甲賀者でも、天膳でもないと知れたが、
ではこんな所に、いったい一人で何をしているのだろうと、
接触を図ったがいいが、いきなり気絶されてしまって、
非常に焦ったのは筑摩小四郎である。
直ぐに甲賀者でも、天膳でもないと知れたが、
ではこんな所に、いったい一人で何をしているのだろうと、
接触を図ったがいいが、いきなり気絶されてしまって、
非常に焦ったのは筑摩小四郎である。
柔らかく、芳香のする絹糸の様な髪、
穢れを知らぬ柔らかい指に肌、
触ったことも無い感触の、柔らかな衣服、
生産性の低かった江戸初期という時代の出身者の筑摩小四郎の常識では、
かような条件を備えた女人と言えば、相当高貴な家格の姫君か、奥方か、
たとえそうでなくとも、そういった人々のお付きの女中に違いあるまい。
穢れを知らぬ柔らかい指に肌、
触ったことも無い感触の、柔らかな衣服、
生産性の低かった江戸初期という時代の出身者の筑摩小四郎の常識では、
かような条件を備えた女人と言えば、相当高貴な家格の姫君か、奥方か、
たとえそうでなくとも、そういった人々のお付きの女中に違いあるまい。
故に、気絶してしまった姫路瑞希の周りで一通りうろたえた後、
小四郎は彼女を背負って急いで海に向かったのだ。
小四郎は彼女を背負って急いで海に向かったのだ。
装束の右袖を、ビィッーと千切り、手拭いを作ると、
急いで海水に浸して、草原の上に寝かせた瑞希のおでこにのせる。
急いで海水に浸して、草原の上に寝かせた瑞希のおでこにのせる。
本当は淡水の方が良かったが、辺りに他の水場も見当たらないので仕様があるまい。
(本当は黒鞄の中に水の入ったペットボトルがあったのだが、
盲目の小四郎にそれを知る術はない)
(本当は黒鞄の中に水の入ったペットボトルがあったのだが、
盲目の小四郎にそれを知る術はない)
息はしているようだし、暫くすれば目覚めるだろう、と、
瑞希の傍らに腰を下ろした小四郎は、周囲を警戒しつつも、
彼女が起き上がるのを唯待っていた。
瑞希の傍らに腰を下ろした小四郎は、周囲を警戒しつつも、
彼女が起き上がるのを唯待っていた。
そして今に至る訳である。
■
「・・・ィングトン・シュルツ。これで全部ですね」
「・・・」
「?小四郎さん、どうかしました?」
「いや・・・なんでも御座らん。所で瑞希どの、そなたの見知った方は、
吉田明久なるご仁一人なのか?」
「はい…でも何で…」
「・・・」
「?小四郎さん、どうかしました?」
「いや・・・なんでも御座らん。所で瑞希どの、そなたの見知った方は、
吉田明久なるご仁一人なのか?」
「はい…でも何で…」
「よりよって…」と小さく呟く瑞希の顔は、心なしか少し青ざめている。
思い人の名前を、この忌まわしき選手名簿見つけた事は、
瑞希にとって少しばかり心強くもあったが、それよりも不安感が今は勝っていた。
思い人の名前を、この忌まわしき選手名簿見つけた事は、
瑞希にとって少しばかり心強くもあったが、それよりも不安感が今は勝っていた。
当初、情報交換をしていた二人だったが、
どうにもこうにも話がかみ合わず、また、双方ともに、
この奇怪な状況について考えを巡らすための材料を持っていない事に気づき、
取り敢えず、目の見えない小四郎の支給品の確認と、
名簿の確認をする事になったのである。
どうにもこうにも話がかみ合わず、また、双方ともに、
この奇怪な状況について考えを巡らすための材料を持っていない事に気づき、
取り敢えず、目の見えない小四郎の支給品の確認と、
名簿の確認をする事になったのである。
名簿に名前があったのは50名。
さらに、名簿に記されざる10人がいるらしい。
さらに、名簿に記されざる10人がいるらしい。
この選手名簿の中で、姫路瑞希の見知った名前は一つ。
吉田明久、彼女の心優しい思い人の名前であった。
吉田明久、彼女の心優しい思い人の名前であった。
「小四郎さんは誰か知ってる人はいましたか?」
「…」
小四郎は何故か少しの間黙っていたが、
「朧さまと、薬師寺天膳さま…」
「はい」
瑞希が名簿に眼を落せば、確かにその名前がある。
「どちらも俺の主でござる」
「あるじ?」
そう言えば、筑摩小四郎は自分の事を「用人」と言っていた。
「用人」とは使用人の事だろう。
やたら自分に対して腰が低いのもそのせいなのだろうか?
「…」
小四郎は何故か少しの間黙っていたが、
「朧さまと、薬師寺天膳さま…」
「はい」
瑞希が名簿に眼を落せば、確かにその名前がある。
「どちらも俺の主でござる」
「あるじ?」
そう言えば、筑摩小四郎は自分の事を「用人」と言っていた。
「用人」とは使用人の事だろう。
やたら自分に対して腰が低いのもそのせいなのだろうか?
「瑞希どの」
小四郎が少しかすれた声で、見えぬ眼をこちらに向けながら問うてくる。
「そなたはいかがなされまする?」
小四郎が少しかすれた声で、見えぬ眼をこちらに向けながら問うてくる。
「そなたはいかがなされまする?」
「いかがなされまする」とは些か唐突な問いだが、
瑞希には小四郎の言わんとする事がすぐに解った。
瑞希には小四郎の言わんとする事がすぐに解った。
「私は…吉井君を探します」
「左様か」
「左様か」
兎にも角にも、まず為さねばならぬ事はそれだろう。
正直、こんな意味のわからない所に突然一人放り込まれ、
不安と恐怖で胸がいっぱいだったが、彼と一緒ならば…
正直、こんな意味のわからない所に突然一人放り込まれ、
不安と恐怖で胸がいっぱいだったが、彼と一緒ならば…
如何なる困難も、そのひたむきさで乗り越える、
吉井明久への姫路瑞希の信頼は絶対的だった。
吉井明久への姫路瑞希の信頼は絶対的だった。
「瑞希どの…」
小四郎が再びかすれた声で言う。
小四郎が再びかすれた声で言う。
「俺が助太刀し申す」
「えっ!?」
「吉井殿を探すのに、俺が助太刀し申す」
「でも…」
悪くはないか、それに貴方は目が…と瑞希が言う間もなく、
「その代わり…俺に御助力くだされ」
と、言うや否や、小四郎は頭を下げた。
「朧さま、天膳さまを探すのを手伝ってくだされ」
と。
「えっ!?」
「吉井殿を探すのに、俺が助太刀し申す」
「でも…」
悪くはないか、それに貴方は目が…と瑞希が言う間もなく、
「その代わり…俺に御助力くだされ」
と、言うや否や、小四郎は頭を下げた。
「朧さま、天膳さまを探すのを手伝ってくだされ」
と。
■
人気の無い夜の草原を、二つの人影が歩く。
可憐な少女と、盲目の伊賀者という奇妙な組み合わせは、
二人連れ沿うように夜を行く。
互いの探し人を協力して探す為に、二人は歩く。
現状を理解するために、情報を集めるべく、二人は歩く。
可憐な少女と、盲目の伊賀者という奇妙な組み合わせは、
二人連れ沿うように夜を行く。
互いの探し人を協力して探す為に、二人は歩く。
現状を理解するために、情報を集めるべく、二人は歩く。
筑摩小四郎は、黒いデイパックを背負い、
右肩に鷹を乗せ、左手には一本の棒を握っている。
右肩に鷹を乗せ、左手には一本の棒を握っている。
姫路瑞希の支給品は、奇しくも小四郎と同じ伊賀組十人衆が一人、
棒術の達人、蓑念鬼愛用の樫の棒であった。
小四郎は別に棒術に通じているわけではないが、武器としては十分だろう。
棒術の達人、蓑念鬼愛用の樫の棒であった。
小四郎は別に棒術に通じているわけではないが、武器としては十分だろう。
一方小四郎の支給品は何の変哲もないフライパンであり、
それは瑞希の手の中に納まっている。
それは瑞希の手の中に納まっている。
昔、「フライパン殺人」なるカルト映画があったが、
一見外れの様に見えるフライパンだが、鈍器としては中々優秀で、
コイツで相手の頭をカーンと叩けば、結構なダメージになるだろう。
一見外れの様に見えるフライパンだが、鈍器としては中々優秀で、
コイツで相手の頭をカーンと叩けば、結構なダメージになるだろう。
取り敢えず北上し、市街地に入るべく、
二人は黙々と歩く。
忍びである小四郎は一日二十里を走る健脚であり、
一人で走ればもっと早く着く事が出来るのだろうが、
あまり体力の無い瑞希に合わせて、小四郎の歩調はゆっくりだ。
二人は黙々と歩く。
忍びである小四郎は一日二十里を走る健脚であり、
一人で走ればもっと早く着く事が出来るのだろうが、
あまり体力の無い瑞希に合わせて、小四郎の歩調はゆっくりだ。
小四郎が自分と同行したい理由は、自分は目が見えず先導役が必要だから、であるが、
「…」
何の危なげさも無く夜道を歩く小四郎を横目に見ながら、
瑞希はついつい「本当にこの人目が見えてないんだろうか?」などと思ってしまう。
本人曰く「ある程度は心眼で見える」との事だが、そういうものでもないと思うのだが。
瑞希はついつい「本当にこの人目が見えてないんだろうか?」などと思ってしまう。
本人曰く「ある程度は心眼で見える」との事だが、そういうものでもないと思うのだが。
しかし、姫路瑞希は確かに見たのだ、あの白布の下の凄まじい傷跡を。
デイパックに応急救急キットがある事に気が付いた瑞希が、
明らかに衛生的によろしくなさそうな小四郎な染みだらけの包帯を取換えようとしたのだ。
デイパックに応急救急キットがある事に気が付いた瑞希が、
明らかに衛生的によろしくなさそうな小四郎な染みだらけの包帯を取換えようとしたのだ。
当初、拒んでいた小四郎だったが、
瑞希にうまく言いくるめられて、結局取り換える事となった。
瑞希にうまく言いくるめられて、結局取り換える事となった。
当然の事ながら、瑞希はその過程で白布の下にあった小四郎の素顔を見たわけだが、
それを見た時は、思わず叫びそうになるのをこらえなければならなかった。
それを見た時は、思わず叫びそうになるのをこらえなければならなかった。
一体全体、何がどうなればあれほど酷い怪我になるのか。
小四郎の顔面に刻まれた傷痕は、
小四郎が以降の生涯を死ぬまで光なき世界の住人であらしめるのに
十分すぎる物だったのだ。
小四郎の顔面に刻まれた傷痕は、
小四郎が以降の生涯を死ぬまで光なき世界の住人であらしめるのに
十分すぎる物だったのだ。
あの傷跡を思い出すと、瑞希は思わず顔面に痛みを感じてしまう。
しかし…
しかし…
(あんな怪我なのに…)
自身も怪我人であるにも関わらず、
わざわざ自分を介抱してくれた小四郎はきっと優しい人なのだろう。
ふと、彼女は、誰よりも優しい思い人の姿を、脳裏に描く。
自身も怪我人であるにも関わらず、
わざわざ自分を介抱してくれた小四郎はきっと優しい人なのだろう。
ふと、彼女は、誰よりも優しい思い人の姿を、脳裏に描く。
正直に言えば、彼女は小四郎の同行の申し出に、内心ほっとしていた。
目の見えない小四郎を一人でこんな所に置いて行くのは心苦しく、
何より、この得体の知れない場所を一人で歩くのは心細かったのだ。
ただ隣にいると言うだけで、心が落ち着き、ありがたかった。
目の見えない小四郎を一人でこんな所に置いて行くのは心苦しく、
何より、この得体の知れない場所を一人で歩くのは心細かったのだ。
ただ隣にいると言うだけで、心が落ち着き、ありがたかった。
(吉井君…待ってて、すぐに行くから!)
彼女は賢く、それ故に、あの「人類最悪」の言った内容が、
「殺し合い」を意味する事をたちどころに理解していた。
彼女は賢く、それ故に、あの「人類最悪」の言った内容が、
「殺し合い」を意味する事をたちどころに理解していた。
しかし、小四郎と会うまで誰にも会わず、
最初に遭遇した小四郎が「穏健」だった事もあり、
その事実に実感を持てないでいた。
最初に遭遇した小四郎が「穏健」だった事もあり、
その事実に実感を持てないでいた。
だからこそ、彼女は楽観していた。
きっとスグに吉井君に会える、
彼とならきっと、何とか出来る、と。
きっとスグに吉井君に会える、
彼とならきっと、何とか出来る、と。
彼女はまだ楽観していられた。
今はまだ…
今はまだ…
■
筑摩小四郎は、見えぬ眼を隣を歩く可憐な少女に向け、
再び進行方向へと視線を戻す。
再び進行方向へと視線を戻す。
目が見えないにも関わらず、そうしてしまうのは、見えていた時のなごりか。
筑摩小四郎が彼女との同行を望んだのには、主に3つの理由があった。
1つ目は、やはり彼が盲目であり、先導役が必要だと思ったからだ。
本当の事を言えば、彼は必ずしも先導役が必要な訳ではない。
彼の「忍法」は、視覚が無くとも、相手の大まかな位置さえ補足できれば、
十分にその恐るべき効力を発揮する。
伊賀者としての優れた聴覚と、「レーダー」である「お幻の鷹」があれば、
彼は十分に単独行動が可能だったのだ。
本当の事を言えば、彼は必ずしも先導役が必要な訳ではない。
彼の「忍法」は、視覚が無くとも、相手の大まかな位置さえ補足できれば、
十分にその恐るべき効力を発揮する。
伊賀者としての優れた聴覚と、「レーダー」である「お幻の鷹」があれば、
彼は十分に単独行動が可能だったのだ。
ただし、それは「徐々に狭まって行く」この会場でなければの話である。
盲目故に、地図を見ることのできない小四郎には、これは余りにも不利に働く要素だった。
盲目故に、地図を見ることのできない小四郎には、これは余りにも不利に働く要素だった。
だからこそ、行動の迅速さが失われる事を知りつつも、
彼は誰か先導役と同行せざるを得ないのだ。
彼は誰か先導役と同行せざるを得ないのだ。
二つ目は、小四郎が姫路瑞希を、
今だ何処ぞの大名、公家の子女、あるいはその関係者だと思いこんでいたからである。
本人は否定したが、彼女の気品は、
土臭さと田舎臭さが漂う小四郎の纏う空気とは余りにも隔絶した物であり、
ひょっとすると、お忍びか何かで、身分を隠しているのではと小四郎は推測していた。
また、無意識のうちに、瑞希と自分の主たる朧を重ね合わせていた小四郎は、
彼女を置いて行く事に心苦しさを感じていた。
故に、この様な貴人の娘を手助けする事は、伊賀鍔隠れ衆にとってプラスにこそなれ、
マイナスにはなるまいと、彼はそう理屈付けて自分を正当化していた。
今だ何処ぞの大名、公家の子女、あるいはその関係者だと思いこんでいたからである。
本人は否定したが、彼女の気品は、
土臭さと田舎臭さが漂う小四郎の纏う空気とは余りにも隔絶した物であり、
ひょっとすると、お忍びか何かで、身分を隠しているのではと小四郎は推測していた。
また、無意識のうちに、瑞希と自分の主たる朧を重ね合わせていた小四郎は、
彼女を置いて行く事に心苦しさを感じていた。
故に、この様な貴人の娘を手助けする事は、伊賀鍔隠れ衆にとってプラスにこそなれ、
マイナスにはなるまいと、彼はそう理屈付けて自分を正当化していた。
そして三つ目、それは名簿に記されていた彼の知る人々の名前が、
朧、薬師寺天膳、そして甲賀弦之介であったからだった。
彼らの存在が、ともすれば無謀ですらある小四郎の闘争心を抑え、
普段なら目が見えずとも一人でも突っ込んでいくであろう彼の行動力を自制させていた。
朧、薬師寺天膳、そして甲賀弦之介であったからだった。
彼らの存在が、ともすれば無謀ですらある小四郎の闘争心を抑え、
普段なら目が見えずとも一人でも突っ込んでいくであろう彼の行動力を自制させていた。
もし仮に名簿に記されていた名前が、朧、あるいは天膳のどちらか一方だけであったなら、
彼は速やかに他の参加者を皆殺しにし、一刻も早く朧、天膳を生還させようとしただろう。
彼は速やかに他の参加者を皆殺しにし、一刻も早く朧、天膳を生還させようとしただろう。
しかし、名簿に記されていたのは両方の名前であった。
朧、天膳は筑摩小四郎にとって両方共に命に代えても守らねばならぬ主である。
しかしこの殺し合いの場より生き延びられるのは一人のみ。
どちらか一方を選ぶなど小四郎には出来るわけがない。
彼の行動は慎重に成らざるを得なかった。
朧、天膳は筑摩小四郎にとって両方共に命に代えても守らねばならぬ主である。
しかしこの殺し合いの場より生き延びられるのは一人のみ。
どちらか一方を選ぶなど小四郎には出来るわけがない。
彼の行動は慎重に成らざるを得なかった。
そして、甲賀弦之介の存在。
筑摩小四郎が姫路瑞希にこの男の事を知っているのを告げ無かったのは、
忍法勝負の事を余人に洩らすのをよしとしなかったからであるが、
弦之介の存在は鍔隠れ衆随一の闘争心の持ち主である小四郎が、
慎重になっている最大の原因であった。
筑摩小四郎の顔面を破壊してのは他ならぬ甲賀弦之介であったのだ。
筑摩小四郎が姫路瑞希にこの男の事を知っているのを告げ無かったのは、
忍法勝負の事を余人に洩らすのをよしとしなかったからであるが、
弦之介の存在は鍔隠れ衆随一の闘争心の持ち主である小四郎が、
慎重になっている最大の原因であった。
筑摩小四郎の顔面を破壊してのは他ならぬ甲賀弦之介であったのだ。
(あの時…おれは奴から眼を離せなんだ…)
小四郎は、光を失う直前に見た、甲賀弦之介の黄金の魔眼を思い出していた。
(俺は、あの眼に負けていた…)
自分の忍法に絶対の自信を持つ筑摩小四郎であったが、
あの魔眼を前にしては彼の忍法ですら…
(人か…魔か…)
小四郎は背骨に氷水を流し込まれたような悪寒を覚える。
小四郎は、光を失う直前に見た、甲賀弦之介の黄金の魔眼を思い出していた。
(俺は、あの眼に負けていた…)
自分の忍法に絶対の自信を持つ筑摩小四郎であったが、
あの魔眼を前にしては彼の忍法ですら…
(人か…魔か…)
小四郎は背骨に氷水を流し込まれたような悪寒を覚える。
両眼を失ってもなお、小四郎が忍法勝負の前線に留まり続けたのは、
彼の生来の高い闘争心と、甲賀に対する深い復讐欲があったからだが、
その火の玉の様な彼の心ですら焼き尽くす事が出来ぬ恐怖心を、
弦之介の「瞳術」は小四郎の心に刻みつけていた。
彼の生来の高い闘争心と、甲賀に対する深い復讐欲があったからだが、
その火の玉の様な彼の心ですら焼き尽くす事が出来ぬ恐怖心を、
弦之介の「瞳術」は小四郎の心に刻みつけていた。
「小四郎さん?どうかしましたか?」
小四郎の様子がおかしい事に気が付いた瑞希が、
心配そうに彼に眼を向ける。
小四郎の様子がおかしい事に気が付いた瑞希が、
心配そうに彼に眼を向ける。
「な、何でも御座らん、瑞希どの。心配は無用」
肌で、視線を感じ、小四郎は無理やり弦之介の幻影を脳裏から追いやる。
この血気盛んな若い伊賀者は、年相応の普通の青年と同じように、
この可憐な少女の前で醜態をさらす事を良しとしなかった。
肌で、視線を感じ、小四郎は無理やり弦之介の幻影を脳裏から追いやる。
この血気盛んな若い伊賀者は、年相応の普通の青年と同じように、
この可憐な少女の前で醜態をさらす事を良しとしなかった。
伊賀者とは奇妙な人種で、
主、使命の為には自分の命すら平然と捨てる絶対的忠誠心と、
「天正伊賀の乱」の時の如く、時の最高権力者にすら命がけで反逆する反骨心を、
心の中に同時に兼ね備えるのだが、
今の筑摩小四郎の場合、反骨心の方が勝っているようだ。
主、使命の為には自分の命すら平然と捨てる絶対的忠誠心と、
「天正伊賀の乱」の時の如く、時の最高権力者にすら命がけで反逆する反骨心を、
心の中に同時に兼ね備えるのだが、
今の筑摩小四郎の場合、反骨心の方が勝っているようだ。
(ふざけおって…伊賀者を舐めるとどういう目に逢うか…見せてくれる)
見えずとも解る可憐な少女が隣にいる故か、小四郎の闘志はより一層燃え上がった。
見えずとも解る可憐な少女が隣にいる故か、小四郎の闘志はより一層燃え上がった。
■
姫路瑞希と筑摩小四郎。
本来ならば決して出会うはずもない二人が夜を歩く。
彼らの行く末に幸いあれ。
本来ならば決して出会うはずもない二人が夜を歩く。
彼らの行く末に幸いあれ。
【F-4/草原の北端近く/一日目 深夜(黎明近く)】
【姫路瑞希@バカとテストと召喚獣】
[状態]:健康
[装備]:フライパン@現実
[道具]:デイパック、支給品一式
[思考・状況]
基本:吉井明久、朧、薬師寺天膳を探し、脱出する。
1:情報収集しつつ、吉井君と小四郎の主人二人を探す。
2:小四郎と一緒に行動する。
[状態]:健康
[装備]:フライパン@現実
[道具]:デイパック、支給品一式
[思考・状況]
基本:吉井明久、朧、薬師寺天膳を探し、脱出する。
1:情報収集しつつ、吉井君と小四郎の主人二人を探す。
2:小四郎と一緒に行動する。
【筑摩小四郎@甲賀忍法帖】
[状態]:健康、盲目
[装備]:蓑念鬼の棒@甲賀忍法帖、お幻の鷹@甲賀忍法帖
[道具]:デイパック、支給品一式
[思考・状況]
基本:吉井明久、朧、薬師寺天膳を探し、脱出する。
1:情報収集しつつ、主二人と、吉井殿を探す。
2:瑞希殿と一緒に行動する。
3:とりあえず今は瑞希さんを守る。
4:甲賀弦之介は殺してやりたいが、今は後廻し
[備考]
※姫路瑞希を、高貴な家柄の子女、あるいはその関係者だと思い込んでいます。
[状態]:健康、盲目
[装備]:蓑念鬼の棒@甲賀忍法帖、お幻の鷹@甲賀忍法帖
[道具]:デイパック、支給品一式
[思考・状況]
基本:吉井明久、朧、薬師寺天膳を探し、脱出する。
1:情報収集しつつ、主二人と、吉井殿を探す。
2:瑞希殿と一緒に行動する。
3:とりあえず今は瑞希さんを守る。
4:甲賀弦之介は殺してやりたいが、今は後廻し
[備考]
※姫路瑞希を、高貴な家柄の子女、あるいはその関係者だと思い込んでいます。
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