公共圏
(事典見出し=「公共性,Öffentlichkeit」)17・18世紀のヨーロッパで成立した,政治的世論を形成する社会関係のこと。封建的支配から解放され,新しい政治秩序のあり方に関心を持つようになった市民は「公衆」を形成し,世論(公論)の力によって公権力と対決し,そこに自らの意思を反映させようとした。その世論形成を媒介したのがサロンやコーヒー・ハウス,それに新聞や雑誌を舞台に展開された自立的な市民達の公開の討論であり,そこで得られた合意こそ,正義正論として政治秩序の基礎に据えられるべきであるとされた。Habermas, Jürgenはその著『公共性の構造転換』(1962)の中で,民主的な政治秩序の組織原理としての公共性は,現在では大衆民主主義とマスコミの発達の下で大きく変質してしまったことを指摘している。
20060421 Toshio,O. / L'espace, p.10