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  • ろりしょたばとるろわいある@ うぃき
  • それは狂的なまでに(前編)

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

それは狂的なまでに(前編)

最終更新:2007年04月23日 18:32

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だれでも歓迎! 編集

それは狂的なまでに ◆CFbj666Xrw


(まずはこの状況をどうにかしないと……)

10分が過ぎて勝が最初にした事は、危険物をランドセルにしまい込む事だった。
弾薬を使い果たした、それでも放置してはおけないメタルイーターMX。
その内に眠る凄まじい高熱を吐き出してみせたミニ八卦炉。
振るえば止まらぬ大きすぎ重すぎる鉄塊、ドラゴンころし。
この三つは当然ながらランドセルにしまい込んだ。
それからドラゴンころしを振るった少女の盾も没収して、
既に手に握っていたフランベルジュも纏めて全てをランドセルに放り込む。
ランドセルに入れた支給品は大きさも重さも関係無くなってしまう。
これからする事のためにはその機能が必要不可欠だ。
(これで両手が空いた。でも武器が取り出しにくいから、今襲われたらおしまいかな)
それでもこうしないといけない。
近くで耳にすれば気絶してしまう程の凄まじい轟音が鳴り響いたのだ。
急いでこの場を離れなければならない。
問題は一つ。
(この二人をどうするかだ)
それぞれミニ八卦炉とドラゴンころしを使いこなした二人の少女。
確か戦いの前に互いを……なのは、そしてヴィータと呼び合っただろうか。
特にドラゴンころしを振るった少女ヴィータは明らかに殺し合いに乗っていた。
誰かを襲うかも知れない人を放って行くわけには行かない。
そして二人の少女は勝の活躍により深い傷を負う事も無く気絶していた。
こんな殺し合いの直中で無力化したのだ。
誰かに襲われるかも知れない人を放って行くわけには行かない。
どうすれば良いかは言うまでもなかった。

「くう……流石に二人は、重いよね……」
勝は大地を踏みしめる足が地面に埋もれる錯覚を感じていた。
その両肩には二人の少女が担がれている。
幾ら十歳の女の子とはいえ、二人合わせた重量は普通持ち上げる事すら出来ないだろう。
しかしそれは、普通の子供ならという注釈が付けられる。
(…………ドラゴンころしよりは……少し軽い、かな…………)
勝には持ち上げる事が精一杯だったあの怖ろしい鉄塊に比べれば、
女の子二人とランドセル一つ分の重量はまだ運搬できる範囲だ。
ドラゴンころしを振るったヴィータは鍛えられていて重いだろうと思っていたが、
実際に担いでみると特別重いわけでないのは不思議だった。
(人形……じゃあないよね)
幾度も争った、一見すれば人と見分けの付かない人形達を思い出す。
正確には人間と違うという意味では当たらずとも遠からずだったと言える。
だが勝はそんな事を知る由も無く、大して気にもせず運搬を続ける。
「とにかく、あそこまで運ばないと」
この二人をどこに運ぶかはもう決めていた。
偶然にも目に止まった山小屋だ。
あそこに二人を隠す。それから周囲に危険が無いか様子を見る。
その後で改めて危険な道具を破壊する方法を捜せば良い。
(だけどどうしよう。もうメタルイーターMXの残弾は無いんだ。
 ドラゴンころしとミニ八卦炉を壊す方法なんて有るのかな。
 ドラゴンころしは……あの高熱すら耐えてしまった)
いっそ崖や湖にでも投げ捨ててしまうのが手っ取り早いかも知れない。
誰かが見つけてしまうという懸念は残るが、持ち続けるよりはマシだろう。
この二人を隠したら適当な場所を捜し回ってもいいかもしれない。
そうこう考えている内に山小屋に到着して。
その山小屋の中から聞こえてくる話し声に気が付いた。
(……誰か、居るのか?)

     * * *

勇者ニケは、割と真面目だった。
「……つまり吸血鬼は大地からも恵みを受けるもので…………」
たとえば、蘊蓄を聞きながら。。
「…………また棺桶の中を休息の場とするからこの木造の山小屋は……」
「えーっと、つまりどうすれば良いんだ?」
「つまり、さっきの工程で術式はおしまいだよ」
インデックスの指示に従い、土や水を使い吸血鬼を癒す魔術を行っていた。
インデックスは細かい理屈なども話していたが、その詳細は逆の耳から抜けている。
インデックスから『別に内容を理解している必要は無い』と言われた為である。
内容は全く理解できなかったが、とにかく言われた通りニケは山小屋を閉めきり、
部屋の外から持ち込んだ土をばらまき、その上にエヴァを寝かせたりといった事をしていた。
それから、ニケの血を飲ませた。
「つまり術者の血を飲ませる事により」云々だそうだがやっぱりよく判らなかった。
なにやら多少の疲労感がのしかかるのは感じたが、大して気になるものではない。
だから、たった一つだけ気になる事を聞いた。
「それじゃ、これでエヴァは助かるのか?」
エヴァは重傷を負い、なのははトイレに行ったきり帰ってこなかった。
状況は洒落にならない。
とてもシリアスで緊張感に満ちていてギャグを挟む余裕など、無かった。
「うん。この術式は封印されている吸血鬼の特性、特に再生能力を利用するもので――
 体力を消耗するという欠点は有るけど、傷はすぐに塞がるはずだよ。
 失敗すると術者であるあなたも危なかったんだけど……大丈夫、うまくいった」
「そ、そうか。…………お、ほんとだ、どんどん塞がってる。すげー」
余裕は無かった。そう、それは過去形で括られる。
確かにニケの仲間であるエヴァンジェリンは重傷を受けて倒れていた。
だがインデックスの手を借りて発動した治癒術式により、見た目は高速で再生していく。
エヴァンジェリンに付けられた無数の傷は見る見るうちに塞がっていき、流れる血も止まる。
腫れ上がった打撲痕は消え失せて、元の若々しく白い柔肌が甦っていく。
その光景はニケを安堵させるには十分なものだった。
更に言うならインデックスの言う『失敗した時の危険性』も苦痛などは無いものだった。
魔術の使用は下手をすると全身破裂の憂き目に遭うらしいが、今回は何事もなく発動できたのだ。
「体力は相当消耗して衰弱しちゃうから、しばらくは安静にしなきゃいけない。
 次からはあなたももっと危険だと思うし、この人も次は体力が持たない。
 だけど今回は大丈夫。峠は越えたよ」
「ありがとな。ほんとに助かったぜ」
エヴァの肉体が元通りの姿を取り戻すと共に、ニケも調子を取り戻していく。
心に余裕が出来たと言えば聞こえが良いが、それが何を意味するのかと言うと……
「……ところで、どうしてもインデックスに聞いておきたい事が有るんだ」
ニケは、まじめな顔をしてインデックスに向き直る。
その表情は深刻かつ真剣な話を予感させるものだった。
「なにかな?」
インデックスもまた真剣な表情でそれに答える。
同時に目の前の少年が知りたそうな質問を思い浮かべてみる。
(さっきの魔術についてかな? 魔術の使用が彼自身に掛ける負荷もまだ簡単に説明しただけだし。
 わたしについてかもしれない。まだ出会って間もないんだもん、互いに情報が少なすぎる。
 それとも……)
様々な真面目な問いを予想したインデックスをニケはじっと見つめる。
顔に視線を合わせ、そこからゆっくりと視点を降ろしていく。
舐めるようにじっくりと。
しっかりと目に焼きつけておく。
生まれたままの姿に申し訳程度の葉っぱをはりつけ透明な衣服を身に纏ったその姿を、
殴られても絶対に忘れないようにしっかりと目に焼きつけてから。
聞いた。
「……………………その格好は趣味なのか?」
「ちがうよ!!」
3ゲージ消費噛みつき攻撃がニケの頭蓋を直撃した。

「うあっ、いて、いてぇっ! やめろよインデックス!」
「誰も好きでこんな格好しないよ!
 安全ピンを没収したジェダのせいなんだよ!
 わたしだってこれでも女の子なんだからいつもの歩く教会とは言わないけど
 もっとちゃんとした服があればそれを着るわけで絶対に趣味なんかじゃないんだよ!!」

あまりにいたたまれないので中略。

バーバラパッパパー♪ 【ニケの称号『すけべ大魔神』のレベルがあがりました】

そしてそのまま5分が経過した。
何とも言いようのない時間に真っ先に耐えかねたのはニケでもインデックスでもなかった。
怒っている当人のインデックスはもちろん、こういう事に慣れがあるニケにとっても大した事ではない。
むしろ傍観している真面目な者の方が耐えかねた。
『その辺にしておけ。あまり気を抜いていられる状況でもあるまい』
「……そうだね」
あっさり過ぎるほどにあっさりとインデックスは引き下がる。
5分も有れば鬱憤晴らしには十分すぎたのだ。
「いってー。ヒドイ目に遭ったぜ」
『自業自得だ』
「…………あれ?」
再び聞こえた声にニケが首を傾げる。
前を見る。
インデックスとは別の声だった。
横を見る。
エヴァはまだ気絶している。
上を見る。
別に天井にバカと書いてあったりはしなかった。
「……解説吹き出しか、もしかして設定無視したオヤジじゃねーだろうな」
『なんだそれは』
メタな連想が二つも出てくる辺り、ニケが居た世界での苦労が忍ばれる。
『我は“天壌の劫火”アラストール。
 インデックスの身につけている黒いペンダントが有るだろう?
 それがコキュートス。我が意志を顕現させている神器だ。
 戦いに治療と口を挟む余裕も無かった為、話しかけずにいた』
「へー。喋るペンダントか」
『コキュートスが我ではない。我が本体はシャナの内に在る。
 我が意志のみがこのコキュートスに顕現しているのだ』
「つまりアラストールはここに連れてこられている別の女の子の内に居るんだよ。
 でも見たり話したりはこのペンダントを通じて行っているって事」
「おお、そういう事か!」
『理解したか』
「おう」
うんうんとニケが頷く。
(つまり女の子の中からお風呂でもなんでも覗き放題って事だな。
 しかもペンダントという事は胸は常に覗き放題! なんてうらやましい)
(…………本当に理解しているのだろうな?)
口には出されないがその軽薄な様子に妙な不安を感じるアラストールだった。
ちなみに実際はシャナが羞恥心に目覚めて以降、着替えなどの時はコキュートスを服に包まれて目隠しされる。
それ以前は見放題だった事には変わりなく、今も胸を幾らでも覗ける事は否定できないのだが。
幾らお父さん的立場といえど実に羨ましいものである。
もちろん生真面目なアラストール自身はやましい事を考えたりしないのだが、だがしかしそれでもやっぱり良い御身分である。
閑話休題。

ボケとツッコミにエロい想像。
これらはニケにとって心の緊張を解す良い薬となった。
これだけ揃えば怖い物無しだ。
おかげでニケはすっかり心を落ち着けて、言った。
「それじゃオレはちょっと行ってくるから、エヴァの事は頼んだ」
「え? ちょっと待って、どこに行くの?」
唐突に出ていこうとするニケをインデックスが引き止める。
「周囲を彷徨くのは控えた方が良いと思うよ」
「でもなのはが……えーっと、仲間が帰って来ないんだよ。だから捜しに行かないとな」
「捜すってどこに行ったの?」
「たぶん……谷だと思う」
「え…………!」
『それはあの轟音がした……』
インデックスもアラストールも聞いている。
戦いの最中に凄まじい轟音を響かせた場所。
山頂からは見えなかったが、おそらくそこでも戦いが有ったのだろう。
それも凄まじい力が振るわれた戦いが。
「だからちょっと様子を見てこようかなって思ってさ」
あの音が聞こえてから戦いが終わるまでの数分。
急いで近くの山小屋にエヴァを担ぎ込む数分。
エヴァの治療の為に費やした数十分。
ついでにその後に気を落ち着けるために必要だった数分間。
もし戦いが有ったとするならば、とっくに戦いは終わっている。
それなのにニケの仲間が帰って来ないのは、帰って来れないからとしか考えられない。
もちろん、死んだとは限らない。
しかしその可能性はあまりに高く、生き残っていたとしても無傷である可能性は更に低い。
普通に考えれば諦めた方が利口ですらある。
だがニケはそれを認める気にはなれなかった。
幾つもの、仮にも命がけの戦いを潜り抜けてきたけれど、これまでだってなんとかなった。
目の前でエヴァが殺されかけた今でも、ちゃんとなんとかなった。
だからきっと、今回も大丈夫。
……そう思うのに、募る不安は収まらない。

「だいじょうぶ、ちょっと様子見てくるだけだからさ。
 きっとなのはだって上手く逃げてるよ」
「待って」
不安を振り払って捜しに行こうとするニケを、インデックスは改めて止めた。
しっかりと腕を掴んで引き止める。
「……なんだよ、行くなとか言うんじゃないだろうな」
そして、一抹の不安を消しきれないニケに言った。
「行く前に、なのはって人のことを教えて」
「え?」
「人相。服装。そういう事柄。だって行き違いになったらいけないでしょ?」
インデックスもまた、なのはが生きている事を前提にした問い掛けを行った。
運良く彼女が生きている、それを前提に問い掛けた。
『だがインデックスよ。今の状況は判っているのか?
 吹き飛ばしたリリスは依然この周辺を彷徨いているかもしれない。
 あの轟音が起きるほどの力を持った、危険である可能性が高い人物も近くにいるだろう。
 そしてあの轟音には殺し合いに乗った人物を引き寄せる危険性がある。
 それでもそやつを行かせるのだな?』
そんなインデックスとニケに、アラストールは敢えて苦言を呈す。
慎重に行動するべきではないか? と、まるで確認をするように問い掛ける。
だけどインデックスは微笑みすら浮かべて答えた。
「でも、生きているかもしれない。生きているか死んでいるかはまだ判らない。
 それなら見捨てちゃいけない。
 もっと絶望的な状況になっていたとしても、それでも諦めちゃダメだよ。
 だってそこで終わってしまうんだもの」
「インデックス……」
「大丈夫。本当にやれるだけの事をやるのなら、神様の加護はあなたに味方するよ。
 なのはさんはきっと大丈夫」
「……ああ、そうだな!」
ニケは顔に笑みを取り戻し、答えた。
――瞬間だった。

「その高町なのはって、この子の事かな?」
山小屋の扉を開いて現れた見ず知らずの少年は、高町なのはを担いでいた。

「……へー、神の加護ってやっぱりすっげーんだな」
「これはわたしも出来過ぎだと思うかな……」

神の加護、即ち幸運は行動を起こそうとした矢先に降ってきた。

    * * *

「大丈夫、二人とも大した怪我はしていないはずだよ」
勝はそう言うと、二人をそっと山小屋の床に寝かせた。
それから近くにあった椅子に座る為にランドセルを降ろし、前で抱える。
息は乱れていない。
「ありがと。えーっと、オレは……」
「ニケ君にインデックスさんにアラストールさん、それからエヴァさんだよね。
 ごめん、少し立ち聞きしていたんだ」
息を整える事が出来るくらいの間、山小屋の前に居たからだ。
二人もの意識不明な女の子を連れている為、勝はかなり慎重に行動していた。

「でも、怪我をしてないならどうして意識が無いんだ?」
「魔術によるものでもないみたいだね」
ニケとインデックスは二人して首を傾げる。
「それにこっちのなのはは仲間だけど、そっちの赤い髪の子は知らないぞ。誰なんだ?」
二人の疑問が勝へと向けられる。
(……さあ、どうする)
勝は自問する。
答えず知らずを通して別れる事も出来る。
二人の内の一人は仲間が、それも割と穏便な者が居たようだ。
そもそも、あのなのはという女の子は最初に「戦いをやめて」と言った。
単にすれ違って戦いになっただけなら、このまま任せておいても良いかもしれない。
だけどヴィータという少女は問答無用で襲い掛かってきた。
知り合いらしきなのはという少女の制止すら無視して。
彼女をこのまま放っておくわけにはいかない。
しかし話すとなれば戦いの経緯、そしてあの三つの武器の事まで話す事になる。
その事に惑う内に。
「それは……わたしが説明するよ……」
高町なのはが目覚めた事で、話すほかになくなった。

「わたしが気絶しちゃったのは……多分、すごい音がしたせい。えーっと……」
「才賀勝。勝だよ」
「勝君、だね。……勝君が物凄く大きな銃を持っていたから、それを使ったのかな」
その言葉に勝は内心で少し弱った。
出来ればあの武器の事は隠しておきたかったのだ。
「まだ耳が馬鹿になってるみたい。
 にはは……聞き逃しちゃう事も有るかもしれないから、その時はもう一度言ってね」
なのはは苦笑して、それから勝に言った。
「……勝君、ほんとうにありがとう。誰も殺さないでくれて。
 それからごめんね。
 ディバインシューター撃っちゃったけど、当たった所は大丈夫?」
「え……だ、大丈夫だよ、あのくらいへっちゃらさ!」
まさかそこまで素直に謝られるとは思いもせず、戸惑いながらも笑顔を作ってみせる。
その笑顔になのはもほっと安堵の笑顔を浮かべた。
「よかった。それじゃ……ヴィータちゃんについて、お話するね」
それから、ヴィータの事を話しはじめた。

「ヴィータちゃんはわたしのお友達。
 そしてわたしのお友達の八神はやてちゃんの守護騎士、ヴォルケンリッターなの」
「どちらも名簿にあった名前だね」
インデックスは明確な記憶からその名を拾い上げ、はっきりとした声を届ける。
「そう、はやてちゃんもこの島の何処かに連れてこられてる。
 何処にいるかは判らないけど、少なくとも死んではいないみたい」
「どうして判るんだ?」
「……ごめんなさい、もう一回言って欲しいかな。聞こえにくくて……」
「どうして、その事がはっきりと判るんだ?」
なのはは頷き、その事についての説明を始める。
「それはヴィータちゃんが生きているから。
 ヴィータちゃん達……といっても他の人達は連れてこられていないけれど、
 ヴォルケンリッターは最後の夜天の主であるはやてちゃんと共に生きる存在なの。
 ヴィータちゃんは、はやてちゃんの魔力供給が途絶えたら消えてしまう。
 だからはやてちゃんもまだ何処かで生きているはずだよ」
そこまで言ってから、不十分な事に気づいて付け加える。
「でも勘違いしないで。
 はやてちゃんはヴィータちゃんの主だけれど、同時に家族でもあるの。
 だからヴィータちゃんは必死になってはやてちゃんを護る。
 ただ……その為に……」
「……その為に殺し合いに乗ってしまったんだな、ヴィータは」
勝が次いだ言葉に動揺が走る。
今は静かに眠るヴィータの姿が不吉な意味を持ち始める。
「そ、それじゃそいつはどうすんだよ? 起きたらまた暴れるんじゃ……」
『どうするのだ、高町なのは』
遠雷の用に響くアラストールの強い声は確かに聞き取れた。
なのはは少し黙り、そして……
「待って。その前にあなたの事も聞かせて、才賀勝」
インデックスの言葉が場を遮った。
「おい、今はこいつがどんな奴かなんて……」
「大事な事なんだよ、ニケ。
 ヴィータの事も大事だけれど、これもとても大事な事なんだから。だって……」
インデックスは才賀勝を見つめて、聞いた。
「どうしてあなたとなのはは戦いになってしまったの?」

「へ? 戦ったのってそこのヴィータって奴とだろ?」
「違うよ、ニケ。なのはは勝を攻撃したんだから。
 その時は何か、すれ違い争いの火種になってしまうような事が有ったんだ」
「それは……」
勝は言葉を濁す。
あの時、三つ巴の戦いになってしまったのは勝となのはが協力出来なかったためだ。
そしてそれは、あの三つの強すぎる武器のせいだ。
勝はそれについて、話したくない。
だがそれを話さなければ危険人物と警戒されてしまう、かもしれない。
高町なのはは話が良く聞き取れなかったらしく困惑しているし、
そもそも彼女はあの三つの武器について特別危険と考えてはいない。
勝はなのはに口添えしてもらう事も出来ないと思い、考え込んだ。
重い沈黙の時間が訪れる。

それを強引に進めたのは、ニケだ。
「あ、ところでさっき凄くでかい、銃とかいう物を持っていたってなのはが言ってたよな」
「っ!」
強張る勝にニケの好奇心の虫が動いた。
「なあ、見せてくれよ」
「だ、だめだ! 見せられない!」
勝はランドセルを強く抱えてそれを拒否する
「…………ちぇっ、ケチー」
ニケはあっさりと引き下がった。
そして勝がほっと気を抜いた瞬間に。
(見るなと言われるともっと見たくなるんだよな)
勝の抱えていたランドセルをひっくり返した。
禁断の三つは再び山小屋の床に散らばった

     * * *

(また戦いになるのか!?)
勝は身構える。
武器の散らばった場所と、それぞれの居る場所、それぞれの動きに警戒する。
「え……?」
だが、今回は誰も戦う意志を見せてはいなかった。
ランドセルをぶちまけたニケさえもだ。
「うわ、でかいな」
ただ唖然となっているだけで、敵意の欠片も見えてこない。
他の二人と一ペンダントもニケに対して呆れた様子を見せているだけだ。
「ニケ君、だめだよそんな事しちゃ」
「ワリィ、どうしても気になってさ」
まるで悪びれた様子もなくニケが謝るのを見て、勝はなんとなく理解した。
なんの事はない、目の前の少年は……
『おまえは手癖が悪いようだな』
「へへ、これでも盗賊で勇者だからな」
『誉めてはいないぞ』
(ただの……イタズラ小僧……?)
危険な武器を警戒し緊張していた事が急に馬鹿馬鹿しくなってしまった。
そこまで警戒する必要など無く思えてきたのだった。
「良いよ、話すよ」
だから素直に話すことにした。

「……その三つ、とてつもなく大きな剣と銃、それからその八角形のミニ八卦炉。
 ぼくはそれらを破壊、あるいはどこかに封印するつもりなんだ。
 なのはさんと戦いになったのは、こっちの……ヴィータって子と三竦みになって、
 三つの武器を取り合う形になってしまったからだよ」
「えっと……うん、そうだよ。
 ヴィータちゃんを止めようと思って、三竦みで喧嘩になってしまったの」
聞き取りづらそうにしながらも、なのはがそれをフォローする。
「破壊? なんでそんな事するんだ?」
「危険だからだよ。どれもこれも手加減がまるで効かない。
 身を護る為に使っても当たれば相手を殺してしまう。
 この殺し合いの中でも尚、この三つは危険すぎるんだ」
「……そうかな」
疑問の声は、インデックスから上がった。
「わたしは科学側の武器、その大きな銃は判らないけれど、他の二つはそうでもなく思えるな。
 ……その大きな剣は、魔を断つ特性を持つ大剣だよね」
「この大きさだけでも、まともに使える者でさえ振り出したら止める事が出来ない凶器じゃないか」
「でもそれは、規模が少し違うだけで斧などの延長でしかないでしょう?」
「………………それは」
勝は何かを見落としていた事に気づいた。
だけど、何を見落としていた?
「魔を断つって事はこれって聖剣とかそーゆー物なのか?
 よし、なら勇者であるオレが持てば軽くなったりするはずだ!
 …………ぐあーっ、重い! 持てるかこんなもん!!」
背景で騒いでいるニケは割とどうでもいい。
「君は、その……ミニ八卦炉の機能も判るのかい?」
「うん、多分判るよ。ちょっと見せてね」
インデックスはそっとミニ八卦炉を拾い上げた。
それをくるくると回し見て、すぐに得心した様子で頷く。
「これは西遊記における八卦炉を小型化したような物だね。
 使われている材質は緋々色金。
 金剛石よりも硬く強靱で、なにより常温でのとてつもない熱伝導を誇る金属だよ。
 八卦炉を再現するのには最適の素材と言って良いかもしれない。
 でも現存はしていないとされているし、わたしも実物を見るのは始めてかな。
 このミニ八卦炉自体の機能は高熱の発露。
 この世界でどこまで威力を出せるかは判らないけれど、山一つ焼き払えるんじゃないかな。
 これほど強力な霊装はそう滅多には見られないな」
そこまでは勝にとって驚く事ではなかった。
材質は知らなかったが、それもさしたる事ではない。だが。
「出力を絞れば暖房や調理にも使えるね。この一角から吹く風は冷房用かな?
 少しだけど魔除けや開運の効果も有るみたい。
 あ、空気も綺麗にできるよ。こんなに多機能とは思わなかった」
「ちょ、ちょっと待って。なんでそんな機能まで付いてるのさ?」
武器という前提を覆す数々の機能に思わず困惑してしまう。
冷房は撃った時の高熱から身を護る為、にしてはあまりに弱すぎる。
魔除けや開運は武器と言えなくもないとして、空気を綺麗にするのは何なのか?
「確証は無いけれど、多分日用品まで兼ねているんだと思う。
 日常生活の空調と武器としての機能を一つの霊装に集約するなんて珍しい発想だよね」
「ちょっと待って。インデックスちゃん、だよね」
なのはが横から口を挟む。
「出力を絞ればって言ったよね。その子……ミニ八卦炉はそこまで応用が効くの?
 咄嗟に使っただけだけど、付いていた呪文はどれも相当威力が高いものみたいだったの」
「出来るよ」
インデックスはあっさりと答えた。
「そもそもそれが不思議だったんだ。
 わたしの見たところ、このミニ八卦炉は確かに強力な霊装ではあるけれど、
 手加減の出来ないとかそういう物じゃないはずなんだよ。
 もちろん性質は限定されているけど、その範囲内での応用力は高いはずなんだ」
勝はようやく見落としていた事に気づいた。

引き金を引けば、一発掠っただけで吹き飛ぶほどの魔弾を十二連射する怪物銃器。
勝はそのような武器を使って、なのはとヴィータの戦いを止める事が出来た。
ヴィータはドラゴンころしを盾に使いミニ八卦炉の劫火を防いで見せた。
そしてミニ八卦炉もまた、とてつもない威力を抑え手加減する事が出来るという。
(ぼくは、なにを恐れていたんだ?)
恐怖の根源となっていたのはジェダの言葉だ。
『君は当たりを引いた。存分に殺し合いたまえ』
その言葉から勝は三つの武器を一塊に考え、危険だと思った。
だがドラゴンころしは端的に言えば剣の延長線でしかないし、
ミニ八卦炉も“親切にもジェダが付けていた呪文のメモ”以外にも使えうる事に気づくべきだった。

「大出力で使う為の術式だけが用意されていたならそれも納得かな。
 八卦炉についてよく知らない術者は用意された術式を使うしかない。
 その術式が強力な物しかないのなら、手加減出来ない武器にもなりえる」
「……そうか」
(結局、ぼくは踊らされていたんだな)
ジェダのメモに逆らいこれらを封じようとする事は、全くの間違いでは無いはずだ。
少なくとも殺し合いを加速する事は阻止できる。
だがそれはジェダの用意した欺瞞を見抜いた事にはならない。
強力な武器を手加減の効かない危険すぎる武器だと誤解させられていた事は変わらないのだ。
(危険人物の手に渡ったら危ない事は変わらない。
 だけどこの差は大きいよ。
 ジェダを倒すため、制御できる強い力が必要な事は間違いないんだから。
 だからぼくは…………道を、変えよう)

この瞬間、才賀勝の目的の一つは変化した。
ドラゴンころしとミニ八卦炉を壊すのではなく、封印するのでもなく、
使いこなす力を持ち、そしてジェダを倒す決意を持った者に委ねる事。
それが才賀勝の新たな目的であり、この殺し合いを打破する手段の一つとなった。

「ありがとう。色々と参考になったよ」
「うん、どういたしま」『いかんよけろ!』「え!?」
アラストールの叫びが響いた次の瞬間、インデックスの場所に豪速の椅子が炸裂した。

怪力で投げられた木の椅子は炸裂するやバラバラに砕け散る。
ミニ八卦炉がインデックスの手からこぼれ落ち、転がっていった。
インデックスに反応する余裕は、無かった。

「あ、あぶね~……」
間一髪でニケが助け出していなければ、今頃インデックスはただで済んでいなかっただろう。
文字通り危機一髪でニケはインデックスを助けていた。
そして。
インデックスが、ニケが、なのはが勝が視線を一点に集中させる。
「ヴィータちゃん、やめて!」
なのはの悲痛な叫びが響きわたる。
視線の先には赤毛の少女が立ち上がっていた。

      * * *

「今度こそ、負けねえ」
ヴィータは新たな武器をその腕に掴んでいた。
……メタルイーターMX。
三つの武器が散らばった後、ドラゴンころしとミニ八卦炉に意識が向く中で忘れられた武器だ。
といっても流石にヴィータの近くに転がっていたわけではない。
だが最初に椅子を投げて作った隙は、油断されていた武器まで辿り着くには十分だった。
(本当はあの大きな剣を使いたかったんだけどな。だけどこれでも戦える!)
メタルイーターMXの残弾は既に一発も残っていない。
だがメタルイーターMXは全長184cmもある長大な銃器だ。
当然ながらその重量はそれだけで凶器と変わる。
振り回す事など想定していない重心は扱いにくいが、それでも使えないわけではない!

(しまった、時間を掛けすぎた!)
勝はほぞをかんだ。
さっきの三竦みと同じだ。
ヴィータが危険な事は誰もが理解していたのに、勝へ注がれた警戒の分だけ彼女に対し油断した。
勝もまた、彼女達を心底信頼せず眠っているヴィータへの警戒を割いてしまった。
なのはが目覚めた事は同じく彼女も目覚める事を予兆していたというのに。
(だけど……それはさっきまでだ!)
勝はまず、ランドセルからフランベルジュを抜き出した。

(なのはとの戦いがすれ違いだった事が判った時点で話を切り上げておくんだったよ!)
インデックスは失敗を悟る。
初撃を避けられた、守られたのは単に運が良かったからだ。
「ありがとう、ニケ、アラストール。助かったよ」
「おう、このくらい任せとけって」
『すまぬ。あと少し早く気づいていれば……』
しかしアラストールは浮かない言葉を漏らす。
ミニ八卦炉は咄嗟の事で手放してしまい、転がり遠ざかってしまった。
「……だけど、大丈夫だよ」

(ミニ八卦炉は……遠いね)
なのははまず状況を把握する。
ミニ八卦炉はインデックスの手からこぼれて遠くに転がってしまった。
少し遠くに寝かしてあるエヴァの方だ。
だけどエヴァが起きる様子は無い。
そっちに向かおうとすればヴィータの前を横切らないといけないし、
なにより眠っているエヴァの前にヴィータを引き寄せてしまう事にもなる。
取りに行く事は出来ない。でも……その必要すら、無い。
なのはは声を張り上げた。

「ヴィータちゃんやめて! 話を聞いて!!」
「うっせえ高町なのは! あたしが退けるとでも思ってんのか!!」
返る罵声は大きくて、今のなのはでもはっきりと聞き取れた。
その事が悲しかった。
「ダメだよ。そんな事をしたらはやてちゃんだって悲しむ!」
「はやてには知らせねえし関係ねえ! これはあたしが勝手にやってる事だ!」
叫びは悲痛なまでに頑なだ。
「あたしははやてを守るんだ。
 一刻でも、一分一秒でも早くはやての元に駆け付ける。
 その為なら手段は選ばねえ! 悪魔に魂だって売ってやる!」
その言葉でようやくヴィータの正確な目的が汲み取れた。
ヴィータは三人を殺す事でもらえる“ご褒美”ではやての居場所を捜すつもりなのだ。

「やーやー、つまりそれって悪役って事だよな」
「……それがどーした」
ニケのどこか緩んだ言葉にヴィータは青筋を立てる。
ニケはビシッと指を突きつけて言った。
「なら、おまえはオレ達には勝てない!」
「な、なんだと!」
色めきだつヴィータに続けざまに言い放つ。
「なぜなら悪役というのは勇者様御一行の絆の力に負けるものだからだ!」
『「「「「絆の、力……?」」」」』
疑問系の言葉がハモった。
……そういうものを幾らか信じそうな奴らまで疑問系なのは泣ける場面かもしれない。
「そう、絆の力! 正義の味方の必殺の武器! びば正義!」
ニケは正に絶頂とばかりにかっこつけて叫んだ。

「それすなわち、数!!」
「身も蓋もないよ!」

インデックスは思わず突っ込んでしまったが、ニケの言葉は間違っていない。
確かにミニ八卦炉は転がってしまい取りに向かうのは無理だろう。
だがヴィータは今、4人もの敵と相対している。
ディバインシューターとラウンドシールドならデバイス無しでも使用できるなのは。
格闘戦が得意なわけではないが水の羽衣を纏い逆刃刀・真打を構えるインデックス。
光魔法キラキラにより武器を作り出す事が出来るニケ。
そして一対一でもヴィータと渡り合える、フランベルジュを構えた才賀勝。
それに対してヴィータが持つのは単に重く巨大なだけで重心も不安定な鉄塊だ。
その上、この武器には狭い山小屋の中では振り回しづらいという欠点が有った。
「…………チッ」
思わずヴィータから舌打ちが漏れる。
(やっぱ最初ので一人仕留められなかったのがキツイな)
一人仕留めればその容態を見るためにもう一人は抜けたはずだ。
そうすれば二対一。
その間にドラゴンころしまで辿り着く事が出来れば勝機は有っただろう。
しかし今となっては欠片の勝機も残っていない。
(ここは逃げるしかねーか)
幸いにも扉は後ろで、なのは達は右前方にいる。
慎重に後ずさればこの数相手でも逃げれる公算は低くない。
「待って、ヴィータちゃん! はやてちゃんを捜すなら一緒に捜そうよ!
 ジェダの“ご褒美”になんか頼らなくたって、みんなで捜せばきっと見つかる!」
「………………」
なのはは依然、ヴィータに向けて懸命に訴え続ける。
想いを言葉に篭めて送り続ける。
「はやてちゃんの為に他の誰かを……殺して。誰かを犠牲にはやてちゃんを護って。
 それで本当に良いの!?」
「悪くてもいーんだよ」
それでもヴィータの心には届かない。
閉ざされた心を開く鍵が無い。

「ヴォルケンリッターは元から汚れ役で、悪だった。
 ……そうじゃなくなったのははやてが主になってからだ」
「それじゃ尚更、悪い事なんてしちゃダメじゃない!」
そうだ、それが正しい理屈だ。
ヴォルケンリッターは八神はやての慈愛によって救われた。
再びその身を汚す事は主への裏切りとさえ言える。
たとえはやてを護り抜いても、はやての道を血で汚しておいてどう顔向け出来るというのか。
ヴィータの選んだ道は致命的なまでに間違いに満ちている。
……そんな事は、とっくに判りきっている。
「間違っててもいい。幸せになれなくたって、未来に欺瞞を塗りたくったっていいんだ!」
視界が滲む。軽く首を振って涙を振り落とした。
熱い涙が冷たい雫に変わった事を皮膚で感じた。
「たとえ万分の一でもはやてが生き延びやすくできればそれでいい!
 あたしはそれだけの為に、悪に戻ってやる!
 それがあたしの、鉄槌の騎士ヴィータの生き様だ!!」
その叫びは場を制した。
なのはも、インデックスも、ニケも、勝も、その激情に一瞬だけ怯んだ。
それはヴィータが逃げ切るには十分すぎる時間。
――そうはなりえなかった。

ビクンと、ヴィータは体を震わせた。

「そうか。おまえの悪はなかなか悪くないな。
 自らの欲望や理想の為に他者を犠牲にするその意志は私の好みだよ」
「あ…………?」
唐突に声が聞こえた。
ヴィータはゆっくりと、その視線を自らへと向けた。
「だがおまえは私の敵となった」
一筋の閃光がヴィータに突き立っていた。
貫き貫通する細い細い光が、ヴィータが立ち続ける力を奪い去る。

「おまえはここでおしまいだよ。鉄槌の騎士、ヴィータ」

「そん……な…………!」
「ヴィータちゃん!!」

ヴィータの体はゆっくりと、山小屋の床に倒れ伏した。
人の体が木の床に叩きつけられる音が、二度響いた。

     * * *

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