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  • ろりしょたばとるろわいある@ うぃき
  • Fighting orchestra/戦奏(1)

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

Fighting orchestra/戦奏(1)

最終更新:2008年01月13日 20:06

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だれでも歓迎! 編集

Fighting orchestra/戦奏(1) ◆JZARTt62K2


夕暮れの森に黒々とした砲煙がたちこめている。
焦げた黒土や木炭と化した樹木が舞い上がり、1m先も見えない有様だ。
身体の一部を焼失させた森は、ぶすぶすと黒煙を吐き出し続ける。
そんな森の死骸を挟んで、向かい合う者達がいた。
気を張り詰め、緊張に縛られ、皆一様に立ち尽くしている。
まるで、舞台の開幕を待つ出演者のように。
役者の数は合わせて八。
各々の武器を勇壮に構え、戦いの火蓋が切られるのを待ち受けている。
星の後継者は蒼天に想いを託し。
怪盗の娘は疑心を胸に仕舞い込む。
破壊の女王は暴走への時を刻み。
気高き射手は四元素に決意を込め。
天の杯は杖を手に取り未来に祈る。
マナを識る者は復讐に燃え。
うつろな魂は鍵に気付かず。
森の母はただ戦う。
それぞれがそれぞれの意志を貫き、それ故に起こるすれ違い。
誤解の流れは加速し、やがて濁流となった。
もはや話し合いの道は断たれ、残ったのは実に単純な一本の道。
屍山血河を築く、修羅の道。
彼らは、どこで道を間違えたんだろう。
彼らは、どこかで道を間違えたんだろう。
もう、戻れない道。一回限りの、一本道。
今、灰色の緞帳が上がる。
愚かで哀しく、馬鹿馬鹿しく事事しい戦いが始まる。

「先鋒・明石薫! 突撃ぃいいいいいい!」
煙の壁を突き破り、真っ先に飛び出たのは赤毛の少女。
強力な力場を身体に纏い、ビーンボールのように突貫する。
だが、大声を上げて空を飛ぶ特攻少女は、絶好の的でしかない。
「風の刃よ、敵を切り裂け! エアスラスト!」
少女に向かって殺意の引き金を引いたのは青髪の魔術師。
ジーニアスの持つ長大な杖が魔力を帯び、風の精霊に干渉する。
無数の風刃が発生し、薫の柔肌を食い破ろうと群れ集まった。
運動エネルギーを前進のみに傾けているため、薫に回避の術はない。
レベル7の念動力者といえども、制限された状況下で真空の刃に襲われれば、流石に無傷ではいられないだろう。
それでも薫は前へ、前へと突撃する。
彼女“達”にとって、この程度は予測済みなのだから。

「リインちゃん、お願い!」
『はいです! 守護する楯、風を纏いて鋼と化せ! すべてを阻む祈りの壁、来たれ我が前に! ワイドエリアプロテクション!』

薫の背後から詠唱が響く。さくらとリインによる援護魔法だ。
魔を打ち払う守りの歌が障壁を発生させ、風の奔流を受け止めた。
風の軍勢は障壁を食い破ろうとのたうったが、光輝く魔法陣は風の刃を弾き、打ち消し、摩り減らしてゆく。
一瞬の攻防の後には、リインの障壁が暴風の大部分を消し飛ばしていた。
打ち砕かれた真空魔法は霧散し、威力は殆ど残らない。
「っしゃああああああああ!」
更に、切り込み隊長の薫が一睨みで残った微風を打ち払った。
魔法を撃ち込まれても全く物怖じしなかった薫は、そのまま敵の陣地に突っ込もうとした。
しかし、事はそうそううまく運ばない。
魔力の残り香を消し飛ばし終えた薫の眼前に、突如鉄槌が現れたのだ。
薫と同じく特攻してきていた、プレセアによる槌撃である。
流石に動きを止めた薫は、攻撃を防ぐためにバリアを発生させた。
リインの防御魔法と合わせて二重の結界。ただの打撃が通るはずがない。
だが、そんな予測はあっさりと覆される。

「破ァ!」
「っにぃ!?」

弧を描くように振り下ろされた鉄槌はリインの障壁を軽々と破壊し、更に薫のバリアすら打ち破った。
ガードブレイカー。
「マイトチャージ」状態での攻撃で敵の防御を必ず崩すことができるという、プレセアのEXスキルだ。
生命の危険を感じ取った薫は、咄嗟に衝撃波を鉄槌にぶつけた。
力と力がぶつかり合い、固く荒々しい音を立てる。
相手の「反撃」を受けたプレセアは、衝撃を殺すために後ろに飛ぶ。
その横に、ひとつの影が躍り出た。
思わず構えるプレセアの横を、その影はするりと通り抜ける。
銀の髪を伴った白い影――イリヤは、プレセアに見向きもしなかった。

「狙いは術士ですか!」
叫ぶプレセアは、イリヤを追おうと踵を返す。
しかし、その行為は無理矢理中断された。魔法ではない、不可視の衝撃によって。
「お前の相手はあたしだ! 念動鉄槌ッ!」
「邪魔です!」
額に青筋を浮かび上がらせた薫をプレセアが迎撃する。
二人が再びぶつかり合うのを尻目に、イリヤは駆けた。
落ち葉を踏み砕き倒木を乗り越え土塊を蹴飛ばして、舞い散る灰霧の中を真っ直ぐに進む。
向かう先は、ジーニアスがいるはずの場所。
煙で前がよく見えない状態だったが、魔力の流れを探知しておおよその位置を推測したのだ。
敵の魔術師がイリヤの接近に気付くかもしれないが、白銀の少女は構いもしない。

(最初に倒すべきはジーニアスって子。さっき魔術を使ったばっかだから、今は魔術を使えないはず!)
朝方の交戦で、ジーニアスが魔術を連続して使えないということはわかっていた。
つまり、魔術を使い終えた今が魔術師・ジーニアスを倒す絶好のチャンス。
イリヤはS2Uに魔力を込め、狙いを定めるために敵の影を探す。
標的は青い魔術師。獣人少女は後回し。
だが、イリヤの認識は少しばかり甘かった。
狙う相手は射撃の的ではなく人間で、ここは射的場ではなく戦場だ。
敵の進撃に反撃しない戦士はいない。そして、敵の攻撃手段は魔術だけではなかった。
イリヤが火種燻る砲撃跡を走り抜けた途端、無数の葉が襲い掛かる。

「ウツドン! 『はっぱカッター』!」
「そんなもの、効かない!」
『Accel Shooter』

ジーニアスの命令により、待機していたウツドンが更に葉刃を飛ばした。
だが、所詮は植物。回転しながらイリヤに向かう葉は、アクセルシューターによって次々と迎撃される。
S2Uから発射された光弾が、飛来する木の葉を正確確実に消し炭へと変えてゆく。
全ての葉を打ち落としても、イリヤは少し速度を落としただけ。はっぱカッターは足止めにしかならなかったのだ。
(自分の魔術を使わずにあんな使い魔を使うなんて、よっぽど余裕がないのね。これなら……)
「イリヤ! 上、危ないですわ!」
勝利を確信し始めていたイリヤに、ベルフラウの声が降りかかる。
「上? 一体何……えぇっ!?」 
慌てて上空を仰ぎ見ると、赤銅色の鱗を纏った竜が炎を吐き出す直前だった。
アルルゥが召喚した魔獣が、その役目を果たそうとしている。
(あれは、ベルが言ってたワイヴァーン!? いつの間に!)
もちろんイリヤは魔術師がもう一人いるのを警戒していた。ベルフラウから使用魔術の名前も聞いていた。
しかし、こんな事態は想定外だ。攻撃のタイミングが早すぎる。
敵に向かって召喚術を使った場合、ワイヴァーンが現れ炎弾を吐くまでにはかなりのタイムラグがあるはず。
なのに、上空のワイヴァーンは炎を吐き出す寸前。話が違う。
(まさか……私が、いえ、私達の中の誰かが突っ込んでくるのを予測して、事前に呼び出していた!?)
おそらく、ジーニアスが魔術を使ったのと同じタイミングで呼び出したのだろう。
敵を攻撃するためではなく、自分達を守るためだけに。
その証拠に、ワイヴァーンの射線はプレセアとジーニアス&アルルゥの『間の空間』を貫いている。
敵が術士を狙うことを前提とした攻撃。それほど術士を守りたいということだ。

しかし本来、ワイヴァーンなど呼び出していたらすぐに気付かれるはずである。
それなのにイリヤは気付かなかった。いや、気付けなかった。
ウツドンのはっぱカッターを打ち落とすことに集中していたからだ。
ウツドンの攻撃は足止めだけでなく、イリヤの注意を逸らすことにも成功していた。
(しまっ……)
戦慄するイリヤの真上で、ワイヴァーンがゆっくりと翼を翻した。攻撃の前兆である。
巨大な力の顕現に空気が震え、温度が上がり、圧力までもが高騰してゆく。
そのプレッシャーにもかかわらず、イリヤは杖を天に翳した。
(一回くらい、防げる!)
イリヤは諦めなかった。
いくら竜が召喚されようとも、竜自身が突っ込んでくるわけではない。
発射されるのはただの炎弾。英霊の一撃でも宝具でもない熱の塊だ。
防御魔術で防ぎきれない道理はない。

「S2U、壁を!」
『Circle Protection』

イリヤの足元に輝く魔法陣が現れ、半球状のバリアを形作る。
バリアブレイクすら防ぎきるほどの強度を誇る術だが、リインと違ってミッドチルダ式の魔術に慣れていないイリヤのそれはひどく不安定だ。
冷や汗を流しながら魔力を集中させるイリヤの頭上で、溜めに溜められた炎弾が無情にも吐き出される。
イリヤのバリアに襲い掛かったのは、破壊の化身たる烈火の巨球。
S2Uが作り出した結界は、真正面からそれを受け止めた。

「く、うぅぅっ!」
魔の障壁が軋み、声なき悲鳴を上げた。
S2Uを持つイリヤの手が震え、半球状のドームにひびが入る。
炎弾の圧力は結界を押し潰そうとし、紫電を走らせながら抗う魔法陣が徐々に消えてゆく。
イリヤは更に魔力を集中させた。しかし、バリアの崩壊は止まらない。
震え、歪み、光を氾濫させたバリアは、きっかり三秒後、終に砕け散った。
――炎弾とともに。
イリヤの防御魔術は、確かに一発の炎弾を防ぎきったのだ。

「やっ、た……」
「だめぇえええええええええッッッ!」
炎弾を退けた安堵で一時的に意識を手放していたイリヤは、さくらの叫び声で我に返った。
そして見る。目の前の光景を。絶望的な光景を。

防いだはずの炎弾が、更に三発迫っていた。

「なん、で……?」
「ワイヴァーンの『ガトリングフレア』は数発の炎弾が発射されるんです! 出会ったときの技は『ブラストフレア』ですわ!」
ベルフラウが焦燥に塗れた声を出すが、イリヤは動かない。動けない。
『ワイヴァーン』の技はふたつ。
炎弾を一発吐き出す『ブラストフレア』と、炎弾を“数発”撃ち出す『ガトリングフレア』。
だが、その事実を知っているのはベルフラウのみ。成り行きでチームを組んだのが原因で、情報が完全には行き渡っていなかったのだ。
ワイヴァーンの見た目が全く変わらないため、イリヤは思い込んでしまった。
『あの竜は炎弾を一発吐き出して消える』と。

「あ……」
呆然とするイリヤの目前に火炎弾が迫る。
イリヤの真っ白な肌が高熱で乾燥し、チリチリと不吉な音を立てた。
炎弾が彼女に直撃すれば、それこそ炭も残らないだろう。
しかし、その結果が訪れることはない。
彼女は一人ではないのだから。

「リインちゃんッ!」
『わ、ワイドエリアプロテクション!』
イリヤが炎に呑まれる寸前、リインの広域防御魔法がイリヤと炎弾の間に形成される。
間一髪、命を拾い上げたイリヤの前で火球と障壁が激突した。
再び轟音。夕暮れの森に場違いな光が溢れかえる。

『ダメです! このままじゃ破られちゃいますよう!』
リインが悲鳴を上げる。
A+ランクのリインといえども、制限された条件下で竜砲三発は防ぎきれない。
障壁は三重の衝撃を受け、今にも崩壊しそうなほどたわんでいた。
高飛車な声が響いたのは、ちょうどその時。

「出番ですわよ、『地』!」
言葉とともに、ベルフラウが一枚のカードを取り出す。
取り出されたカードを見たさくらは、驚きに目を見開いた。
細やかな装飾に彩られたカードの名は『地』。クロウカードの中でも上級に位置する、四大元素カードの一枚である。
ベルフラウがカードを翳した途端、イリヤの足元の土が盛り上がり、炎弾に立ちはだかった。
同時に土の波がイリヤを持ち上げ、後方――さくらとベルフラウがいる場所まで運ぶ。
直後、リインの障壁が破られ、数瞬前までイリヤがいた場所に火炎弾が殺到した。
しかし、火炎の波濤は土の壁に阻まれ、イリヤまでは届かない。
結果的に、イリヤはかすり傷ひとつ負わなかった。
「イリヤちゃん、大丈夫!?」
『怪我はないですか!?』
「まったく、一人で突っ走るからこんなことになるのですわ! 敵の召喚魔法が届く場所に近づかないのは定石でしょう!」
「あ、ありがとう……」
やや腰が抜けているイリヤにさくら達が群がり、木々の影へと引きずり込む。
敵の視界から逃れた少女達は、仲間の無事を喜んだ。
さくらとリインは純粋な善意で。ベルフラウは少しの打算を込めて。
その様子を見ながら、イリヤは仮初めの仲間達に感謝した。
もし彼女達がいなければ、今頃自分は消し炭になっていただろう。
(ちょっと焦りすぎちゃったかな)
イリヤは自己の暴走を反省する。
いくらジーニアスを殺さなければいけないからといって、単独特攻は短慮に過ぎた。
相手はチームなのだ。一人で立ち向かったって勝てるわけがない。
――最小の被害で最大の戦果をあげる。この目的の為には仲間を頼らなければいけない、と少女は思い知る。
同時に、痛感する。やっぱりこれは戦争なんだ、と。
礼を言いながら立ち上がったイリヤは、隠れている木から頭を突き出し、大きく抉れた地面の向こうを見やる。
煙と陽炎で歪む視界の中で、ジーニアスがもう呪文を詠唱していた。

「あいつら、詠唱の隙を互いに補い合ってる……。これじゃ、近づけないじゃない!」
ジーニアスとアルルゥは、互い違いに魔法を使っていた。
ジーニアスが詠唱しているときはアルルゥが敵の接近を防ぎ、ジーニアスが攻撃している間にアルルゥが召喚獣を呼び直す。
敵陣に攻め入ることはできないが、守りの陣としてはなかなか強固だ。
両者が共に大威力の魔法を使うということも、イリヤ達にとっては厄介な問題だった。
そんな状況の中、大木を背に4枚のカードを整理していたベルフラウが呟く。
「一応“手は打ってある”とはいえ、そちらのほうも微妙に不安ですし……」
「……あのね、ベルちゃん」
「ん? 何ですの、さ」
くら、とベルフラウが言い終わらないうちに、人間砲弾が飛んできた。
砲弾はさくらとベルフラウの間の地面にめり込み、土津波を撒き散らす。
明石薫だった。

「っのやろー! 何が『しこうめつりゅうせん』だ! 無駄にカッコイイ技名つけやがってコンチクショー!」
二秒で復活する薫。念動力のバリアは健在のようだ。
それはつまり、『念動力のバリアを使っても吹っ飛ばされた』ということなのだが。
薫の視線の先では、鉄槌を持った少女が傍らの木に寄り掛かっていた。
あちらも薫の攻撃を受けたのだろう。呼吸は乱れ、わずかにふらついているように見える。
そんなプレセアを睨みつけながら、薫は高らかに宣言した。
「よくもあたしをギャグマンガみたいにぶっ飛ばしやがったな……。お前は絶対ぶっ潰してやる!」
『あ、あの……薫さん?』
猛る薫に、リインが恐る恐る声をかけた。

薫は首をぐるんと回転させると、鬼のような表情でリインを見る。
完全無欠に八つ当たりだった。
「なんだ妖精!」
『えとですね。あの人の持ってるハンマー、何か喋りました?』
「緑色の救急車で病院行って来い!」
『ひ、ひどいです!』
「とにかく邪魔すんなよ! あいつはあたしが倒す!」
もはや当初の目的を完璧に忘れ去ってしまったらしい。
薫は身体についた土を振り払うと、真っ直ぐプレセアに突貫していった。
プレセアも鉄槌を振り上げ、薫の念動力に備える。
二人はすぐにぶつかり合い、槌撃と念撃の火花を散らした。
木はなぎ倒され、葉は打ち破られ、土はぶち撒けられる。
このまま放っておいたら、森は間違いなく砂漠と化すだろう。
ちなみに、薫が地面に突っ込んだ際、さくら達3人は泥だらけになっていた。

「明石薫……この借りはいつか返させてもらいますわ……」
「ええ、そうね……」
『やっぱり杖違いだったですか……』
「ベルちゃんもイリヤちゃんもそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!? リインちゃんもそんなに落ち込まないで!」
「そうですわ!」
我に返ったベルフラウが敵陣を覗き見ると、ジーニアスの詠唱は既に終了していた。
ただ、すぐに魔術を撃ってくる雰囲気はない。アルルゥも同様である。
おそらく、ベルフラウ達の正確な居場所を掴めていないのだろう。しきりに周囲を警戒している。
ただ、近づく者を警戒するだけで、ベルフラウ達を探しに近づいて来るようなことはなかった。

「完全に守りに入りましたわね……」
ベルフラウは舌打ちした。この膠着状態を崩すことが難しいとわかっているからだ。
どちらの攻撃も届かないギリギリの範囲で待機し、相手が近づいてきたところを狙い撃つ。
島の戦いにおいて、帝国軍や無色の派閥がよく使っていた戦法である。
無論、よく使われるセオリーには攻略法も存在する。
弓や銃などで遠距離攻撃したりMDFが高い仲間に囮になってもらえば、そこから乱戦に持ち込むことが出来るはずだ。
しかし現在、弓や銃などは手元にない。
誰かを囮にすることも憚られた。なにせ、回復手段がほとんどないのだ。大怪我を負ってしまったら治しようがない。
バリアを張りながら強引に突撃する方法も考えたが、どうしても躊躇いが生じてしまう。
障壁を張れるのはさくらとイリヤだけ。四大元素のカードは防御に使えないことはないが、確実性には欠ける。
(うまく使えば相手の術を無効化できるかもしれませんが……)
先程のように敵が風で攻撃してきた場合に『風』のカードを使えば、相手の術を操れるかもしれない。
水を発射してきたなら『水』を。火で焼き殺そうとしてきたら『火』を。地面を操ってきたら『地』を。
そうやって敵の魔術に干渉すれば、意表を突けることだろう。だが。
(私は、このカードをそこまで上手に扱えるかしら?)
ベルフラウは、魔力を使うことがあまり得意ではない。得手としていたのは弓による射撃。彼女はあくまでスナイパーなのだ。
そんな自分が、このカードを自在に操れるだろうか? ……不安すぎる。
二人の防御魔法だけに頼って突っ込んだ場合、最悪、防御を破られて全滅することも有り得る。
まさに八方塞りだ。

「まずいですわね……。このまま膠着状態が続けば“彼女”も動けませんし……」
「あの、ベルちゃん」
歯軋りをするベルフラウにさくらが声をかけた。
思いつめたようなさくらの声色に、ベルフラウは数分前のことを思い出す。
「ああ、そういえば先程も何か言いかけてましたわね。何か作戦でも?」
「ベルちゃん、『水』とか『風』のカードって持ってる?」
「……なぜ、カードの名前を知ってますの?」
「さっきベルちゃんが使っていた『地』は、元々私のカードなの。それで、ベルちゃん4枚カード持ってたでしょ?」
「ああ、成る程。それなら納得ですわ」

『地』は元々さくらのカードである。そして、四大元素カードの一枚でもある。
ベルフラウが4枚のカードを持っているのを見て、『水』や『風』のカードもあるのではないかと推測したのだ。

さくらは言葉を続ける。
「ベルちゃん、お願い。私にカードを使わせて!」
「う、理屈はわかりますけど……。しかし、私にはこのカードしかないのですわ。
 他の武器が手に入ればカードを返還することも吝かではありませんが……」
「わかってる。でも、私だけ何もできないのは嫌なの」
『そんなことないです! さくらちゃんはリインを』
「リインちゃんに魔力を渡しているだけ。私自身は何もしてないよ……」
レックスから逃げたときも、ジーニアスを追いかけていたときも、実際に魔法を使っていたのはさくらではない。リインだ。
さくらがいなければリインは動けないが、さくら本人は全く戦っていない。リインを連れて走り、指示を出すくらいである。
他の皆が身を削って戦っているのに、手を出せないことが歯痒かったのだろう。常に一線で戦ってきたさくらにとっては尚更だ。
決意の目で見つめられたベルフラウは一瞬戸惑ったが、ふと『ある事』を思いついた。

「……つまり、さくらは一人で二つの魔法を使えるということですわね?」
「そう……なるかな。私とリインちゃんが同時に魔法を使うってことだよね」
『ダメです! 魔力の消費量が高くなって倒れちゃいますよう!』
「リインちゃん、お願い」
『うー、……』
「それなら、いけるかもしれませんわ。手が一つ増えれば、この膠着状態を崩すことができるかも……。
 とはいえ4枚とも渡してしまうわけにもいきませんし……。とりあえず、半分だけ」
ベルフラウは呟くと、『風』と『水』のカードをさくらに放った。
投げられたカードを両手で受け止めたさくらは、二枚のカードに向かって愛おしげに話しかける。
「ウインディ、ウォーティ……。また、力を貸してね」
「で、作戦会議は終わったの?」
さくらがカードを受け取ったのを見て、それまでずっと黙っていたイリヤが声を上げた。
大木を背にS2Uを握り締める姿は、まるで突撃命令を待つ軍人のようだ。
今すぐにでも仕掛けたくて仕方がないのだろう。
攻撃するのを待ちきれないイリヤに対して、ベルフラウが頷く。
「ええ、そろそろ仕掛けましょう。“彼女”がタイミングを合わせてくれれば案外早くカタがつくかもしれませんわ。それに……」
ベルフラウは、先程から轟音が響いている方向を見やる。すると。

「絶対可憐・バスタァアアアアァアアアアアッッッ!」
「双月、爆連舞ッ!」

少女のものとは思えないほどの咆哮が、木々の破砕音に混じって聞こえてきた。
二体の森林破壊マシーンは依然として森をボロボロにしているようだ。
もはや緑地回復は望めないほどに壊滅した森林が、あちらこちらで無惨な姿を晒していた。
そんな惨状を見て、ベルフラウは苦笑しながら言葉を続ける。
「このままじっとしていたら、あの二人の戦闘に巻き込まれてしまうかもしれません」

その言葉に、残りの二人も苦笑した。
時は黄昏。戦いの調べはまだまだ止みそうにない。


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