それぞれの道、だからこそ… ◆r39666tJr2
森の中に響くのは小さな音。言葉になれなかったなり損ない。
意味のないそれが、ぽろぽろと金糸雀の口からこぼれ出す。
意味のないそれが、ぽろぽろと金糸雀の口からこぼれ出す。
「ぁ……ぅ…」
金糸雀は気がつかない。
姉妹たちの名前で、思考を止めてしまった金糸雀は気がつかない。
ネギの名前が呼ばれたことに気がつかない。
ネギの名前が呼ばれたことに気がつかない。
「…ぁ……」
酸素を求める魚のように、口が動く。小さく息が吐き出されるだけで、何かを生み出すことはなかった。
『…――これにて放送を終了する』
放送が終わったことにも気がつかない。
ただ、脳を埋め尽くすのは名前を呼ばれた姉妹たちのこと。
ただ、脳を埋め尽くすのは名前を呼ばれた姉妹たちのこと。
「……しん、く?すいせい、せき……?」
「イ、イエロー……」
……。
「イエ、ロ……」
……。
「しん…、く、がすいせ、い…せきが…、たいへ…」
……!
動かない。目を開けない。反応しない。
何度揺すっても、目を開けない。こっちを向いてくれない。
何度揺すっても、目を開けない。こっちを向いてくれない。
(し、死んじゃったのかしら……?)
これが、死?
真紅も翠星石も、動かない?
話してくれない?一緒にTVも見れない?
遊んでくれない?
真紅も翠星石も、動かない?
話してくれない?一緒にTVも見れない?
遊んでくれない?
もう、会えない?
みんな、死ぬのかしら?真紅も翠星石もイエローも……カナも、雛苺も蒼星石も。
(……イエロー…、)
先ほど、生を確認したばかりだと言うのに金糸雀は思い出せない。
頭が容量不足で、正常な思考を維持できない。
頭が容量不足で、正常な思考を維持できない。
殺し合いという極限状態。姉妹たちの死。
幼い精神は、それほどまでに疲労していた。
幼い精神は、それほどまでに疲労していた。
彼女が雛苺のように狂ってしまわないのは、なんの偶然か雛苺の存在だった。
雛苺は生きている。
名前を呼ばれていないし、何より先ほど姿を見た。
雛苺は生きている。
名前を呼ばれていないし、何より先ほど姿を見た。
イエローが死んだ今、金糸雀の頼れる人は限られている。
同じローゼンメイデンの姉妹たちだけだ。
同じローゼンメイデンの姉妹たちだけだ。
混乱する頭で、金糸雀は必死に考える。
(まだ、遠くには言ってないかしら?)
雛苺はお子様だ。
自分のように頭を使うことなど出来はしないだろう。今生きているのは、運が良かっただけに違いない。
自分のように頭を使うことなど出来はしないだろう。今生きているのは、運が良かっただけに違いない。
思考より行動が先の金糸雀である。
ぐちゃぐちゃの頭の中で思うのは、少し前にみた金髪の後ろ姿。ただそれだけ。
ぐちゃぐちゃの頭の中で思うのは、少し前にみた金髪の後ろ姿。ただそれだけ。
ベルフラウが顔を上げた時、そこに金糸雀の姿はなかった。
【Eー4東部/一日目/夜】
【金糸雀@ローゼンメイデン】
[状態]疲労(極大)全身打撲及び擦過傷(行動にやや支障あり)
右腕欠損。精神混乱。
[装備]コチョコチョ手袋(片方)@ドラえもん、スケルトンめがね@HUNTER×HUNTER
[道具]支給品一式。素昆布@銀魂、翠星石の如雨露@ローゼンメイデン、旅行用救急セット(消毒薬と針と糸)@デジモンアドベンチャー
[思考]雛苺……!
第一行動方針:雛苺に会いたい。
第二行動方針:今は第一行動方針しか考えられない。
基本行動方針:(基本行動方針は未だに定まっていない)
[備考]イエローが死んだと思っています。
翠星石までしか放送を聞いていません。
(金糸雀がどこに向かったかは次の書き手にお任せします)
【金糸雀@ローゼンメイデン】
[状態]疲労(極大)全身打撲及び擦過傷(行動にやや支障あり)
右腕欠損。精神混乱。
[装備]コチョコチョ手袋(片方)@ドラえもん、スケルトンめがね@HUNTER×HUNTER
[道具]支給品一式。素昆布@銀魂、翠星石の如雨露@ローゼンメイデン、旅行用救急セット(消毒薬と針と糸)@デジモンアドベンチャー
[思考]雛苺……!
第一行動方針:雛苺に会いたい。
第二行動方針:今は第一行動方針しか考えられない。
基本行動方針:(基本行動方針は未だに定まっていない)
[備考]イエローが死んだと思っています。
翠星石までしか放送を聞いていません。
(金糸雀がどこに向かったかは次の書き手にお任せします)
「……何があったのかしら」
ベルフラウは金髪の少女の前に立っていた。
少女は深く気を失っているようで、ベルフラウに気がつく様子もない。
本来は二人組だった筈なのだか、その片方が見当たらない。
少女は深く気を失っているようで、ベルフラウに気がつく様子もない。
本来は二人組だった筈なのだか、その片方が見当たらない。
八神はやて、プレセア、ジーニアスたち。
知っている名前が呼ばれる。ジーニアスたちは、実際に死体を見ているのに……、動揺してしまった。
八神はやてだってそうだ。優秀な術師だったらしい彼女を失ったのは痛い。
知っている名前が呼ばれる。ジーニアスたちは、実際に死体を見ているのに……、動揺してしまった。
八神はやてだってそうだ。優秀な術師だったらしい彼女を失ったのは痛い。
感情と打算的な思考が、ベルフラウから周りの注意力を奪った。
その間、この二人になにかがあったらしい。
その間、この二人になにかがあったらしい。
罠か、と思ったが人形はいつまで立っても現れなくて、金髪の少女は本当に無防備に気絶している。少女は囮という訳でもなさそうだ。
状況だけ見れば、人形が少女を見捨てたという事になる。
でも、それは怪我をしている少女を運んだ人形の姿とは重ならない。見捨てる気なら、ここまで運んでこないだろう。
でも、それは怪我をしている少女を運んだ人形の姿とは重ならない。見捨てる気なら、ここまで運んでこないだろう。
薬等を探しに行ったのか?こんな無防備な仲間を置いて?
それほど爆発した場所から、離れていないのに?
それほど爆発した場所から、離れていないのに?
この僅かな時間で、動かなければならない事態が生じたのか。
放送で、知り合いが呼ばれた?
……これも推測でしかない。
放送で、知り合いが呼ばれた?
……これも推測でしかない。
プレセアは死んだ。あの不気味な人形に殺されたのか、怪我の回復が間に合わなかったのか、彼女らに殺されたのか。
その場にいなかったベルフラウは、分からない。
そして、少女の前に立っているベルフラウはこれからどうするべきか、分からない。
そして、少女の前に立っているベルフラウはこれからどうするべきか、分からない。
既に全体の三割程度の参加者が、命を落としている。多すぎる。
これは、ゲームに乗っている参加者が少なからず存在するという事だ。
これは、ゲームに乗っている参加者が少なからず存在するという事だ。
自分の身、仲間の命を守るために危険な人は倒さなければいけない。
だが、ベルフラウに力はない。召喚術がなければ、身体能力はそれほどでもないベルフラウは、無力な存在だ。
だが、ベルフラウに力はない。召喚術がなければ、身体能力はそれほどでもないベルフラウは、無力な存在だ。
先ほどの、文字通りの死闘を見てしまってからそれを強く自覚する。
あの場の誰にも、ベルフラウは勝てる気がしなかったのだ。
あの場の誰にも、ベルフラウは勝てる気がしなかったのだ。
(先生……、)
もう一度会いたい。もっと話したい。
教えてもらいたいことだって、たくさんある。
伝えたいことだって…!
教えてもらいたいことだって、たくさんある。
伝えたいことだって…!
(どうしたらいいのでしょう、先生)
ベルフラウの記憶に残る先生は、いつも笑っている。
先生なら、最善の答えを導き出せるに違いないのに!
あの島で、ベルフラウを導いてくれたように。
先生なら、最善の答えを導き出せるに違いないのに!
あの島で、ベルフラウを導いてくれたように。
この少女が危険な人物だったら、何らかの対処をしなければならない。
―――本当にこの少女は危険?
―――本当にこの少女は危険?
ベルフラウに与えられた唯一の力を使えば、少女はすぐに死ぬだろう。
だが、握られたクロウカードが、力を発揮することはない。
だが、握られたクロウカードが、力を発揮することはない。
ベルフラウは、誤解の虚しさを悲しさを知っている。
生み出された悲劇も。
生み出された悲劇も。
考えて、考えて、
あ、とベルフラウは何かを思いついたように声を上げた。
あ、とベルフラウは何かを思いついたように声を上げた。
(ちょうど良いものがありますわ)
その人の生き様を映す鏡。イリアに本来は与えられるべきものだったそれは、ベルフラウの手にあった。
これを使えば、少女がどんな人物か判断できる。
レミリアに持たされた、不思議な鏡。
レミリアに持たされた、不思議な鏡。
(ごめんなさい。少しだけ、使わせてもらいますわ)
ここにはいない吸血鬼へ謝罪の言葉を述べる。
少女はいつ目覚めるか分からないのだから、急がなければならない。
後でレミリアに謝ろう、と心の中での謝罪は最低限に、ベルフラウは鏡を取り出して、少女へと向けた。
少女はいつ目覚めるか分からないのだから、急がなければならない。
後でレミリアに謝ろう、と心の中での謝罪は最低限に、ベルフラウは鏡を取り出して、少女へと向けた。
(鬼が住むか蛇が住むか、ですわね)
鏡は、真実を映し出す―――
+++
「いつまで寝ているつもりですの?」
声が聞こえる。金糸雀の声?いや、違う。金糸雀よりきつめな感じだ。
誰?
その声の主は答えない。
誰?
その声の主は答えない。
「これ以上は待てませんわ。引きずって行きますわよ」
え?
「……その前に、その小汚い格好をどうにかすべきですわね」
格好って……えええ!?
突然、誰かの手が体に触れる。どうやって脱がせればいいんですの?と言う声まで聞こえた。
これは夢だ。幻聴だ。
しかし、イエローの願いは叶わない。
わかりましたわ、という呟きとともに服が引っ張られたからだ。
身の危険を感じたイエローは、一気に眠りから覚醒した。
突然、誰かの手が体に触れる。どうやって脱がせればいいんですの?と言う声まで聞こえた。
これは夢だ。幻聴だ。
しかし、イエローの願いは叶わない。
わかりましたわ、という呟きとともに服が引っ張られたからだ。
身の危険を感じたイエローは、一気に眠りから覚醒した。
「う、わ!?い、一体何!」
目を開けると同時に、酷い頭痛が襲う。
だが、構ってはいられなかった。多分、僕はいまなにかしらの危機に直面しているのだから!
だが、構ってはいられなかった。多分、僕はいまなにかしらの危機に直面しているのだから!
目に入ったのは、赤い布を持って僕に襲いかかろうとしている少女だった。
+++
「なかなか似合いますわね」
「あ、ありがとう。ベルフラウさん」
「ベルフラウでいいですわ。イエロー」
「え……あ、うん」
「あ、ありがとう。ベルフラウさん」
「ベルフラウでいいですわ。イエロー」
「え……あ、うん」
頭をぶつけたせいか、未だに状況を理解できないイエローはベルフラウに流されっぱなしだった。
話は少し前に遡る。
突然目の前に現れた少女に、逃げ場はないと直感したイエローは咄嗟に両手で頭を庇った。
ダイレクは使えない。また、手加減ができないかもしれないからだ。
衝撃を覚悟していたイエローを襲ったのは、怒号だった。
ダイレクは使えない。また、手加減ができないかもしれないからだ。
衝撃を覚悟していたイエローを襲ったのは、怒号だった。
「ちょっと!それじゃあ、服が着替えられないでしょう!」
「ふ、服……?」
「ふ、服……?」
イエローは自分の状況を確認してみる。
よく知る自分の服だ。だが、記憶より薄汚い…ような気がする。
少女を見る。確かに少女は赤い服を持っていた。
よく知る自分の服だ。だが、記憶より薄汚い…ような気がする。
少女を見る。確かに少女は赤い服を持っていた。
(着替えさせようとしてくれてたの、かな?)
イエローの肩の力が一気に抜けた、のも束の間。
突然、イエローの視界が真っ暗になる。
べし、と何かが顔に当たる。
顔を覆ったのは、湿った布。水を含んでいるせいか、少し重い。
突然、イエローの視界が真っ暗になる。
べし、と何かが顔に当たる。
顔を覆ったのは、湿った布。水を含んでいるせいか、少し重い。
「背中なんて泥だらけですわよ。不衛生ですわ。ばい菌か゛入ってしまったら厄介ですし、服を貸しますから早く着替えた方が良いと思いますわ」
イエローは再び自分の服を確認する。
よく見ると、それは酷い有り様だった。所々泥だらけ。草やら土がこびり付き、破れている場所まである。
どうしてこんな事に?
よく見ると、それは酷い有り様だった。所々泥だらけ。草やら土がこびり付き、破れている場所まである。
どうしてこんな事に?
実は金糸雀が、イエローを運ぶときについたものである。
金糸雀が、自身の何倍もあるイエローを、抱えて運ぶなんてできるはずがない。だから、引きずって運ぶしかないのである。
非力な金糸雀が、どのようにこの場所までたどり着いたのか……、イエローは知る由もない。
金糸雀が、自身の何倍もあるイエローを、抱えて運ぶなんてできるはずがない。だから、引きずって運ぶしかないのである。
非力な金糸雀が、どのようにこの場所までたどり着いたのか……、イエローは知る由もない。
投げられた服を手に取りながら、イエローは少女を見据えた。
左瞼を切ってしまったせいで、視界が悪い。少女の金髪が薄暗い中でも、その存在を主張していた。
少女はイエローが着替えるのを待っている。
左瞼を切ってしまったせいで、視界が悪い。少女の金髪が薄暗い中でも、その存在を主張していた。
少女はイエローが着替えるのを待っている。
(悪い人じゃ、ないよね?)
ベルカナの言葉を思い出すが、服までくれる人なのだ。信用はできる、と思う。
そんな視線を向けていると、イエローの疑問に答えるように、ベルフラウは口を開いた。
「自己紹介がまだでしたわね。私は、ベルフラウ。ゲームには乗っていませんわ」
そして、現在に至る。
日は暮れて、互いの表情はよく見えない。そろそろ本格的な夜の時間になるだろう。
だが、イエローにとっては都合が良かった。
そして、現在に至る。
日は暮れて、互いの表情はよく見えない。そろそろ本格的な夜の時間になるだろう。
だが、イエローにとっては都合が良かった。
ベルフラウの普段着だという、赤いワンピース(?)と帽子。
裸同然の状態や泥だらけの服で動き回ったりするよりは、格段に良いと思うのだけど、スカートに慣れていないイエローにはこっちの方が気恥ずかしいのだ。
ベルフラウには似合う、と言われたけれど、やはり違和感が拭えない。
スカートなんて、随分はいていない。男だと偽って旅をすることに、慣れてしまっていたから。
裸同然の状態や泥だらけの服で動き回ったりするよりは、格段に良いと思うのだけど、スカートに慣れていないイエローにはこっちの方が気恥ずかしいのだ。
ベルフラウには似合う、と言われたけれど、やはり違和感が拭えない。
スカートなんて、随分はいていない。男だと偽って旅をすることに、慣れてしまっていたから。
帽子は髪が邪魔で被れないと思ったが、上手くポニーテールを収納してくれた。麦わら帽子となんら変わりなく。
結果的に、スカートが履き慣れないだけで、他はなかなかの着心地だった。
結果的に、スカートが履き慣れないだけで、他はなかなかの着心地だった。
「さあ、早くここから移動を―――」
「そ、そうだ!金糸雀はどこ?」
「そ、そうだ!金糸雀はどこ?」
ベルフラウの言葉を、イエローは遮った。むっとして非難するように、ベルフラウはイエローを見据えるがその真剣な表情に圧倒される。
状況に流されて失念していた。
さっきから、金糸雀の姿がどこにも見えない。気絶している間に、何があったのか。
気絶した前後の記憶が曖昧で、イエローは他人に頼るしかない。
状況に流されて失念していた。
さっきから、金糸雀の姿がどこにも見えない。気絶している間に、何があったのか。
気絶した前後の記憶が曖昧で、イエローは他人に頼るしかない。
「分かりませんわ。私が来た時には、あなた一人でしたから」
ベルフラウは嘘をついた。
「でも、その金糸雀の友達…雛苺、という名前でしたっけ。そいつに、私と仲間たちは襲われましたわ」
嘘はひとつ。あとはすべて真実。紛れ込んだ嘘は真実と区別がつかないように、溶けていく。
「―――っ!?」
イエローは息を呑む。
見間違いではなかった、と。
見間違いではなかった、と。
「あれは、死神ですわ」
ベルフラウは、雛苺に襲われた時のことを思い出す。首に鎌を突きつけられたのは、記憶に新しい。そう、死神。
生首を持ち歩き、鎌を振るう人形に相応しい呼び名に思えた。
ベルフラウを傷つけるのに、まったく躊躇のない瞳。あの時『契約』というものに同意していたら、どうなっていただろう。
ベルフラウは、雛苺に襲われた時のことを思い出す。首に鎌を突きつけられたのは、記憶に新しい。そう、死神。
生首を持ち歩き、鎌を振るう人形に相応しい呼び名に思えた。
ベルフラウを傷つけるのに、まったく躊躇のない瞳。あの時『契約』というものに同意していたら、どうなっていただろう。
ベルフラウの声色に、イエローは、雛苺を見たときに感じた違和感を思い出した。その時感じた恐怖も。
他人の心により敏感なイエローは、雛苺の狂気を他の人間より強く感じていたのだ。
他人の心により敏感なイエローは、雛苺の狂気を他の人間より強く感じていたのだ。
ベルフラウは、雛苺はもちろん金糸雀も危険人物だと思っていた。
イエローの行動を通して見た金糸雀の行動は、怪しすぎる。イエローも、それは分かって行動を共にしているようだった。
だから、イエローの言葉にベルフラウは驚いた。
イエローの行動を通して見た金糸雀の行動は、怪しすぎる。イエローも、それは分かって行動を共にしているようだった。
だから、イエローの言葉にベルフラウは驚いた。
「金糸雀を探さないと!」
「なにを言っていますの?」
「雛苺は……、分からないけど、少なくとも金糸雀は悪い子じゃないよ。
もし一人でどこかに行ってるなら、危険すぎる。武器だって持っていないのに。早く追いかけないと!」
「なにを言っていますの?」
「雛苺は……、分からないけど、少なくとも金糸雀は悪い子じゃないよ。
もし一人でどこかに行ってるなら、危険すぎる。武器だって持っていないのに。早く追いかけないと!」
イエローが立ち上がる。
「待ちなさい!どこに行くつもり?」
「金糸雀の所だ!」
「金糸雀の所だ!」
イエローにとって、金糸雀は庇護対象でもあった。か弱くて、迂闊で、このゲームに巻き込まれた被害者。
なによりイエローは、金糸雀を見捨てられない。
なによりイエローは、金糸雀を見捨てられない。
質問に答え、動きだそうとするイエローをベルフラウは再び、言葉で止めた。
「どこにいるか分かりますの?」
「それは……でも、金糸雀が!」
「落ち着きなさい!」
「それは……でも、金糸雀が!」
「落ち着きなさい!」
ベルフラウは、声を張り上げていた。出来の悪い生徒を叱るように。
イエローが、ベルフラウの迫力に動きを止めた。ベルフラウは、息をつく間もなく言葉を紡ぐ。
イエローが、ベルフラウの迫力に動きを止めた。ベルフラウは、息をつく間もなく言葉を紡ぐ。
「今から追っても無駄ですわ。私があなたを見つけてから、随分と時間が経っていますもの。
それにその怪我で、満足に動けるとでも思いました?それじゃあ、格好の的ですわよ!」
「……っ」
それにその怪我で、満足に動けるとでも思いました?それじゃあ、格好の的ですわよ!」
「……っ」
正論を言われて、イエローは黙るしかない。だが、目の光は衰えてなどいない。
もう一押し、とベルフラウは鏡で覗いたイエローの行動を振り返る。
もう一押し、とベルフラウは鏡で覗いたイエローの行動を振り返る。
「イエロー、あなたにはしなければならないことがあるのでしょう?ここであなたが無茶をすれば、あなたを命懸けで守ってくれた人たちの気持ちはどうなるんですの?」
「あ……」
「あ……」
イエローは虚を突かれたように目を見開く。
丈、ベルカナ、殺してしまった少女、レッド、帽子を被った少年。
イエローが、この島で関わった人たち。……死なせてしまった、殺してしまった人たち。
イエローが、この島で関わった人たち。……死なせてしまった、殺してしまった人たち。
「……ごめん、ベルフラウ」
思考が急速に冷えていく。丈の想いが、ベルカナの言葉がイエローを引きとめる。
自分が死んだら、丈さんの伝言はどうなる?
イエローの命は、たくさんの命の上になりたっているものなのだ。
自分だけのものでは、ない。
自分だけのものでは、ない。
俯いて、落ち着いた様子のイエローに、ベルフラウは気がつかれないようにため息をついた。
説得は成功。
金糸雀を探しに行くなんて、冗談ではない。そう戦力のない自分たちは、イエローにもいった通り格好の的だ。
金糸雀を探しに行くなんて、冗談ではない。そう戦力のない自分たちは、イエローにもいった通り格好の的だ。
それに、ベルフラウは鏡を通して見た。金糸雀がレミリアを、桜たちを吹き飛ばすのを。
あんな、死ぬような規模のものをレミリアたちに向けたのだ。信用できる筈がない。
あんな、死ぬような規模のものをレミリアたちに向けたのだ。信用できる筈がない。
「城に向かいましょう。あそこには、仲間がいるはずですわ。それに傷の手当てもしないと……、城なら薬ぐらいは置いてあると思いますから」
ベルフラウは提案する。イエローに反論する理由などなかった。
「そうだね。そういえば、体のあちこちが痛いかも」
「今更気づきましたの?」
「今更気づきましたの?」
ベルフラウの声に、イエローは苦笑いを浮かべる。いっぱいいっぱいで、自分の体のことなど忘れていた。
『あなたにはしなければならないことがあるのでしょう?ここであなたが無茶をすれば、あなたを命懸けで守ってくれた人たちの気持ちはどうなるんですの?』
ベルフラウの言葉だ。絶対忘れないようにしよう、とイエローは思う。
考え事をしていたせいか、さらに歩く速度が落ちる。
考え事をしていたせいか、さらに歩く速度が落ちる。
先を進んでいたベルフラウが、見かねてイエローの元に戻ってきた。やはり、歩くスピードに差が出てしまうのだ。
「ごめ、」
「掴まりなさい。肩を貸してあげますわ」
「掴まりなさい。肩を貸してあげますわ」
すたすたと歩いてきたベルフラウは、イエローの体を支える。
それだけで、イエローは随分楽になった。
それだけで、イエローは随分楽になった。
「ありがとう、ベルフラウ」
精一杯の感謝を込めて、ベルフラウに告げる。
「べ、別にこれぐらい当然ですわ!喋ってる暇があったら急ぎますわよ」
少女たちは、夜の闇に溶けていく―――
【Eー4東部/一日目/夜】
【ベルフラウ=マルティーニ@サモンナイト3】
[状態]:疲労(中)魔力消費(中)精神的疲労、墜落による軽い打撲傷。
[服]:『ザ・チルドレン』の制服姿。(野上葵の物)
[装備]:クロウカード『火』『地』
[道具]:支給品二人分(食料-1)浄玻璃の鏡@東方project(残り1回)
思いきりハサミ@ドラえもん、クロウカード1枚(スイート『甘』)カートリッジ×10@魔法少女リリカルなのはA's
[思考]:城で、はやく休みたいですわ。
1、城に向かう。イエローと行動する。
2、召喚術師と交渉し、仲間になってもらいたい。
出来ればメイトルパの少女(アルルゥ)とも交渉したい。アルルゥにはやや同情的。
3、みかの安否が心配。早く戻って合流したいが、危険には巻き込みたくない。
4、殺し合いに乗らず、仲間を探して対主催の策を練る。
基本:先生の元に帰りたい。
[備考]:浄玻璃の鏡でイエローの行動すべてを見ました。イエローをかなり信用しました。
イエローの出会った人々を認識しました(どう思ったかは不明)
ベルフラウは、ロワの舞台がリィンバウムのどこかだと思っています。
ロワの舞台について、「名もなき島」とほぼ同じ仕組みになっていると考えています(実際は違うのですが、まだベルフラウはそのことに気づいていません)
ベルフラウは、レックスが名乗るのを聞いていません(気絶していました)
【ベルフラウ=マルティーニ@サモンナイト3】
[状態]:疲労(中)魔力消費(中)精神的疲労、墜落による軽い打撲傷。
[服]:『ザ・チルドレン』の制服姿。(野上葵の物)
[装備]:クロウカード『火』『地』
[道具]:支給品二人分(食料-1)浄玻璃の鏡@東方project(残り1回)
思いきりハサミ@ドラえもん、クロウカード1枚(スイート『甘』)カートリッジ×10@魔法少女リリカルなのはA's
[思考]:城で、はやく休みたいですわ。
1、城に向かう。イエローと行動する。
2、召喚術師と交渉し、仲間になってもらいたい。
出来ればメイトルパの少女(アルルゥ)とも交渉したい。アルルゥにはやや同情的。
3、みかの安否が心配。早く戻って合流したいが、危険には巻き込みたくない。
4、殺し合いに乗らず、仲間を探して対主催の策を練る。
基本:先生の元に帰りたい。
[備考]:浄玻璃の鏡でイエローの行動すべてを見ました。イエローをかなり信用しました。
イエローの出会った人々を認識しました(どう思ったかは不明)
ベルフラウは、ロワの舞台がリィンバウムのどこかだと思っています。
ロワの舞台について、「名もなき島」とほぼ同じ仕組みになっていると考えています(実際は違うのですが、まだベルフラウはそのことに気づいていません)
ベルフラウは、レックスが名乗るのを聞いていません(気絶していました)
【イエロー・デ・トキワグローブ@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:全身に擦り傷と打撲(行動にやや支障)左瞼に大きく切り傷、疲労(中)精神不安定、深い悲しみ、頭部に打撲(生命に危険なし)
[服]:ベルフラウの私服姿。帽子にポニーテールが隠されている。
[装備]:魔剣ダイレク@ヴァンパイヤセイヴァー、レッドのグローブ、おみやげのコイン@mother2
[道具]:基本支給品、スケッチブック、城戸丈の首輪、イエローの服(泥だらけ)
[思考]:ベルフラウは良い人だなぁ。
1、ベルフラウと行動する。城に向かう。
2、消えたリルル、金糸雀のことが心配。
3、グリーンやブルーと合流し、このゲームを破る方法を考える。
4、丈の友人と合流し伝言を伝え、協力を仰ぐ。
5、丈の首輪を調べる。または調べることの出来る人間を探す。
基本:絶対にゲームに乗らない。生きてマサラに帰る。
[備考]:魔剣ダイレクのソードエレメンタル系は、魔力を必要とするため使用不可。
トリエラのことを「積極的なマーダー」だと認識しました。
ネスからレッドの仇が「白い女の子」だと聞かされました。
レッドの仇に対し、どういう態度を取るべきなのか、まだ考えが定まっていません。
まだ混乱しているので、第一放送を聞き逃したことに気がついていません。
混乱(ry)ので、ベルフラウが何故イエローの事情を知っているのか、深く考えてはいません。
[状態]:全身に擦り傷と打撲(行動にやや支障)左瞼に大きく切り傷、疲労(中)精神不安定、深い悲しみ、頭部に打撲(生命に危険なし)
[服]:ベルフラウの私服姿。帽子にポニーテールが隠されている。
[装備]:魔剣ダイレク@ヴァンパイヤセイヴァー、レッドのグローブ、おみやげのコイン@mother2
[道具]:基本支給品、スケッチブック、城戸丈の首輪、イエローの服(泥だらけ)
[思考]:ベルフラウは良い人だなぁ。
1、ベルフラウと行動する。城に向かう。
2、消えたリルル、金糸雀のことが心配。
3、グリーンやブルーと合流し、このゲームを破る方法を考える。
4、丈の友人と合流し伝言を伝え、協力を仰ぐ。
5、丈の首輪を調べる。または調べることの出来る人間を探す。
基本:絶対にゲームに乗らない。生きてマサラに帰る。
[備考]:魔剣ダイレクのソードエレメンタル系は、魔力を必要とするため使用不可。
トリエラのことを「積極的なマーダー」だと認識しました。
ネスからレッドの仇が「白い女の子」だと聞かされました。
レッドの仇に対し、どういう態度を取るべきなのか、まだ考えが定まっていません。
まだ混乱しているので、第一放送を聞き逃したことに気がついていません。
混乱(ry)ので、ベルフラウが何故イエローの事情を知っているのか、深く考えてはいません。
[備考]:E-4のどこかに、空のランドセルが1つ、忘れられ放置されました。
≪191:遥かなるワイミーズハウス(前編) | 時系列順に読む | 193:カモフラージュ≫ |
≪191:遥かなるワイミーズハウス(前編) | 投下順に読む | 193:カモフラージュ≫ |
≪157:全世界ナイトメア ≪175:第一回定時放送 |
金糸雀の登場SSを読む | 210:手を取り合って/すくいきれないもの(前編)≫ |
≪157:全世界ナイトメア ≪175:第一回定時放送 |
ベルフラウの登場SSを読む | 206:天国『不思議の国の霧のしろ』≫ |
≪157:全世界ナイトメア ≪175:第一回定時放送 |
イエローの登場SSを読む | 206:天国『不思議の国の霧のしろ』≫ |