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  • ろりしょたばとるろわいある@ うぃき
  • 手を取り合って/すくいきれないもの(前編)

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

手を取り合って/すくいきれないもの(前編)

最終更新:2008年06月22日 13:09

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だれでも歓迎! 編集

手を取り合って/すくいきれないもの(前編) ◆sUD0pkyYlo



御伽噺の中から出てきたような豪奢な城郭も、日が暮れれば表情を一変させる。
頑丈な石造りの柱は不気味な影を生み出し、緋色の絨毯も闇に溶けて血の色に転じる。
額縁の中の肖像画はその無表情が逆に怖いし、置物の甲冑は今にも動き出すのではという錯覚を与える。
昼間は心躍るファンタジーの舞台に見えたこの城も、今はゴシックホラーにこそお似合いの環境だ。

そんな不気味な沈黙に包まれた城の中、見るからに不審な動きで歩き回る小さな人影が1つ。
柱の影に隠れ、柱から柱へ小走りに駆けてはまた隠れ、キョロキョロと周囲を見回し、怯えたように振り返り。
その大袈裟な動きがかえって激しく目立っていることにも気付いていないらしい。
そうやって城の2階を素早く一周した黄色い服の少女――否、少女にしても小柄過ぎる人物は小さく呟く。

「……いないのかしら」

緑の髪を小さく揺らして肩を落とす彼女は、ローゼンメイデン第2ドール・金糸雀。
彼女が探しているのは、同じローゼンメイデンの第6ドール・雛苺である。
ただし、探すと言っても今の所は何の手掛かりもない状態で――
だから金糸雀は、とりあえず「近くて」「雛苺が行きそうな」場所から探すことにしたのだった。
それが、このお城。
雛苺とはぐれた森からはそう離れておらず、おまけに昼間に見た時には本当に綺麗で可愛らしい印象で。
「いかにも雛苺が好きそうな場所なのかしら」、と思ったものだ。
他にアテも無い金糸雀は、吸い込まれるように城に潜り込み……だが、歩き回ってみても人の気配が無い。
壊れた礼拝堂にお茶会の跡が残る食堂など、かつてここに人がいた証は数多く残されていたのだが。

「誰も、いないのかしら。みんな、死んじゃった……のかしら」

思わず呟いてみて、その想像にゾッとする。
真紅も死んだ。翠星石も死んだ。イエローも死んだ。
いや正確に言えばイエローはまだ生きているのだが、金糸雀はそのことに気付いていない。
第一回放送も途中から記憶が曖昧だが、それでも数十人単位の命が失われたことは分かっている。
激しい戦いがあちこちで繰り広げられ、いくつもの死体が作られていることも知っている。
断片的な情報。金糸雀の想像は悪い方向へと向かっていく。
この城で呑気にお茶を楽しんでいたらしい人々も、また同じ運命を辿ったのではないか?
臓物をぶち撒け脳漿を零し、無惨な骸と成り果てたのではないか?
口に出してみると、そんな想像がいやに現実的に思えてくる。
背筋が凍るような思い。金糸雀は、まるで周囲を冷たい霧に包まれているかのような錯覚を覚えて……

「……って、錯覚じゃないのかしらーー!?」

金糸雀はハッとして周囲を見回す。
……いつの間にか、足元に白い霧が漂ってきていた。
しかも何かおかしい。霧が何やらキラキラと光っている気がする。霧自体も動いている気がする。
というか……明らかに動いている。ちょうど人が歩くくらいのスピードで、巨大な霧の塊が動いている。
今、金糸雀の足元に漂っているのは、その霧の一部。氷山の一角。
明らかに普通でないそれは、金糸雀を飲み込むつもりなのか、どんどん迫ってくる。斜め下方から迫ってくる。
本能的な恐怖を覚えて、彼女は思わず後退る。

「な……なんかヤバいのかしら~~?! に、逃げるのかしらっ!!」

小さく叫ぶと、金糸雀はコミカルな仕草で廊下を駆け始める。
目指すは階段。霧は足元からじわじわと水かさを増すように上がってきている。
この霧に完全に飲み込まれたらヤバい。そんな直感から、必死に上を目指す。より高い場所を目指す。
階段に辿り着いた時には、ほぼ首まで届いていて。
数段駆け上がって霧から抜け出し、ホッとしたのも束の間。さらに霧はゆっくりとせり上がってくる。
終わらぬ恐怖。金糸雀はどんどん階段を昇り続け、霧はなおも彼女を追い続け、やがて……。

           *    *    *

それは、見事なまでの入れ違いだった。
金糸雀を追い詰めるこの霧、それはもちろんチャフの武装練金『アリス・イン・ワンダーランド』。
展開しているのは鈴木みか。もちろん彼女は、金糸雀の存在になど気付いていない。

もう少し金糸雀の到着が早ければ、城に至る橋の近くででも、駆け出してきたみかと出会っていただろう。
いや、みか本人を確認できずとも、みかが周囲に展開していた霧を目撃していたはずだ。
怪しい霧を纏った謎の人物。そんなものを目撃して、果たして金糸雀が城に向かう気になったかどうか。

またもう少し金糸雀の到着が遅ければ、今度はみかが城に戻ってくる所に遭遇していたはずだ。
その場合でも、やはり素直に城に入っていたとは考えづらい。というより、明らかに避けていただろう。
そして……城から出て行く時も戻ってきた時も、それが覆っていた範囲は結構なもの。
そもそも、みかの移動距離も大したことはない。ほとんど城と森を往復しただけだ。

つまり。
霧の存在に気付かず、何気なく城に入ってしまえるような時間帯は、存外に狭いのだ。
その僅かな隙間に何気なく嵌ってしまった金糸雀は、さて運が良いのか、悪いのか――

           *    *    *

コツ……コツ……。

城の階段を、小さな足音が昇っていく。

コツ……コツ……。

小さな足音に伴って、白い霧が膨らんでいく。

コツ……コツ……。

その中心に居るのは、全てに絶望しつくした1人の女性。赤い覆面で表情を隠した、小柄な女性。

コツ……コツ……。

足音が階段を昇っていく。蠢く霧を纏った彼女は、より高い所を目指して階段を昇っていく。

コツ……コツ……コツ……ピタッ。

やがて、足音が止まる。
そこは城のてっぺん。
城から生えた最も高い塔、その頂点近くに作られたちょっとした広さのテラス。

そこに、先客が居た。
赤い覆面の彼女が予想もしていなかった、先客がいた。
テラスの片隅、もうこれ以上逃げ場もない場所でガタガタと震える、黄色い服を着た隻腕の人形――!

           *    *    *

昼なお暗い鬱蒼とした森は、日が暮れればさらに深い闇に包まれる。
太い木々はそのうねる枝の形のままに不気味な陰を作り出し、足元で咲く小さな花々も闇の中に溶ける。
昼間の激闘の余波で倒れた大木のシルエットは、まるで巨人の骸のよう。
日のあるうちは数多の戦いの舞台となったこの場も、今はその本来の静けさを取り戻していた。

そんな森の中を進む人影が3つ。
……いや、まともな人影は、棒のようなものを引き摺る少女の影1つきり。
もう1つは子供にしてもなお小さすぎ、最後の1体はどう考えても身体と頭のバランスが取れていない。
3体のうち先頭を歩いていた1人が、ふと足を止めると大きく欠伸をする。

「ふぁぁあぁぁぁ……。そういえば、ちょっと眠いの」
「…………」

幼く無邪気にも聞こえる声に、しかし同行者たちは答えない。
赤黒く汚れ、バットを引き摺る少女の瞳には意志の光が宿っておらず。
鎌を手に音も無く従う南瓜頭のお化けは、元来言葉を話せない。
そして表情を見る限り、桃色の服の少女人形も、はなから彼女たちの回答を期待してないようでもあった。

ミーディアム・木之本桜と、懸糸傀儡ジャック・オー・ランタンを従えたローゼンメイデン第六ドール、雛苺。
「こちら側」の常識の通じぬ世界の住人となった彼女も、しかしこれだけ暴れれば疲れも覚える。
元々が幼く、飽きっぽく、熱しやすく冷めやすい性格なのだ。
遊びが大好きとはいえ、いやだからこそ、ちょっとでも疲労を覚えればすぐにお昼寝。そんな生活だったのだ。
あれだけ昼間に大暴れした雛苺が眠気を訴えるのも、当然と言えるだろう。
今ここですぐに寝てしまわないのも、睡眠中に襲われる危険を恐れて、というわけではない。
単に、見回した限りでは心地よい寝床がなさそうだから、というだけのこと。
それに……。

「それに……よく見たら、さくら、きちゃないの。ばっちぃの。
 どうせだから、ベッドのついでにお風呂探して、入ってくるの」
「…………おふ……ろ……」

雛苺は自らに付き従う少女を見上げて、眉をひそめる。
確かにさくらは、全身汚れ切っている。血と脳漿と肉片と、その他もろもろの体液がこびりついている。
固まりかけ、変色しかけたそれら「人体の一部だったモノ」は、言いようのない悪臭を放ち始めて。
どう見ても風呂に入るべき状況……ではあるが、しかし本来、その元凶たる雛苺が言えるセリフでもない。
「ばっちぃの、臭いの」と鼻をつまみながら言う無責任な「主人」に、さくらはしかし、一言も言い返さない。
それこそ、風呂にでも入ってすっきりすれば、彼女の思考もはっきり覚醒するのかもしれないが……。

……と。
あまり明確な方向も定めずに彷徨っていた彼女たちの目の前で、急に森の木々が途切れる。
揺れる水面、開ける視界。そして、水面の向こうに建っていた城は……

「え…………!?」

雛苺は、思わずポカンと口を開く。
そんなはずはない。だって、あの霧は。
城を覆いつくす、あの霧は。
小さな手が、その小さな胸に当てられる。何かを探るような手つき。そして、安堵の表情。

(真紅は……今はちゃんとここにいるの。真紅のローザミスティカは、ちゃんとここにあるの)

城を覆ったあの霧は、どう見ても真紅が使っていた技と同じものだ。そして、真紅は既に死んでいる。
いや、今の雛苺の認識の中で「死」がどう捉えられているかは分からないが、ともかく真紅はもういない。
真紅が持っていたローザミスティカは雛苺の中にあり、そうである以上、真紅が蘇る道理はない。

(そういえば……あの技、ヒナには使えないみたいなの。ここに来るまで、真紅が使ったこともなかったの。
 もしかして、あれは真紅の力じゃなかったの? 何かの力を借りてたの?)

雛苺はふと思い返し、懸糸傀儡ジャック・オー・ランタンの方を振り返る。
あの霧が「雛苺の知らなかった、しかし真紅固有の能力」なら、ローザミスティカと共に継承されているはず。
逆に、ジャコのように「支給品」を利用していたなら、それが雛苺に受け継がれていないのも納得できる。
雛苺が見逃してしまったアイテムを誰かが拾ったか、それとも、同じアイテムが複数存在していたか……。
もちろん幼い雛苺はそこまで論理的に考えたわけではなかったが、それでも大筋は理解する。
理解したところで、少しだけ悩む。

(あのお城の中には、ぜったい誰かがいるの。できれば一緒に「遊び」たいの。
 でも……あの霧はめんどくさいの。すごく疲れるの)

雛苺が万全のコンディションだったなら、喜び勇んで霧の城に飛び込んでいたかもしれない。
けれど、疲労を覚え、休憩も検討し始めていた今。
雛苺の頭に浮かんだのは、「面倒くさい」という素直な感想だった。

あの霧とは、昼間のうちに2度ほど遭遇している。
逃げようとしても逃げられず、戦おうとしても距離感を狂わされる。そんな迷いの霧。
……勝てない、とは思わない。
真紅すらも倒せたのだ。あれからジャコやさくらも加わったし、その気になればこの霧の主にも勝てるだろう。
そう考えながらも、同時に雛苺は苦戦を予想する。相当疲れるであろう展開を予想する。
だから、「面倒くさい」。
ちょうど休憩を考え始めた所で相手するには、「面倒くさい」敵。
それに、遊園地のようにも見えるあの城、マトモな休憩が取れる部屋があるかどうかも怪しいものだ。
汚れたさくらをひん剥いて放り込んでやろうと思ってる風呂も、果たしてちゃんとあるかどうか。

かといって城を避けるとなると、このあたりで休息を取れそうな場所は限られてくる。
北東の街まで行くか、西の学校に足を向けるか、東の平原に点在する民家に向かうか。
迂回して遠回りしてまで建物を探すのは、これもまた、別の意味で「面倒くさい」。

さてどうしようか、と何気なく城のほうを見上げた雛苺は、そして、1つの影に気付く。
雛苺たちからそう離れていないあたりから真っ直ぐ飛んでいく、異形の剣……。
その上には、確かに1つの人影が乗っていたのだ。

           *    *    *

実のところ、気配を隠そうという発想すらない雛苺一行を先に発見したのは、当然の成り行きだった。
城へと続く橋の近く。地図の上では平原になっている場所。
そこに生い茂っていた腰の高さほどの藪の中、2人の少女は囁きを交わす。

「ここは、ボクが時間を稼ぐ。ボクが彼女たちの気を引く。だから、ベルフラウは先に行って!」
「で、でもっ……!」

みかの後を追い、城に向かおうとしていたベルフラウとイエローの2人。
今まさに橋を渡ろうとしていた所に、聞こえてきたのが雛苺の大きな欠伸。
慌てて手近な藪の陰に伏せ、浮いている魔剣ダイレクも地面に押し付け、息を殺していたのだ。

こうして見ていると、イエローの目にもよく分かる。
雛苺の様子は、明らかにおかしい。
金糸雀と共に戦闘に介入した時にも違和感を覚えたが、もはや疑いようがない。
血まみれで静かに従う少女の存在も普通ではないし、カボチャのお化けの首にかかった生首も不気味だ。

彼女たちの姿が見えてすぐ、ベルフラウは手短に経緯を語った。
日没の前、あの雛苺と2回遭遇したこと。1回目の時には怪しげな契約を迫られたこと。
2回目はイエローたちが乱入を図ったあの戦いで、その攻撃には明らかな殺意があったこと。
ここで、雛苺と行動を共にしているのが木之本桜だと分かっていれば、また何かが違っていたかもしれない。
だが、自身も重傷を負っていたベルフラウは、そこまで気付く余裕はなかった。
赤黒く汚れ、着衣の色も髪の色も判別し難い少女を、見分けることが出来なかった。
彼女の正体に気付かず、だが、ベルフラウが断った「あの契約」を結んだ「誰か」だろう、と推測して。
その「少女」の異様な姿も、その「契約」の影響だと推測した。

一方、イエローには金糸雀が嘘をついていたとも思えない。
金糸雀から見て、雛苺が「いい子」で「大切な友達」だった、という話は疑う余地もない。
だから、雛苺が「こうなってしまった」のはこの島に来てからということなのだろう。
非情な殺し合いの続くこの島で、何か辛い出来事に遭遇して、「そうなってしまった」のだろう。
イエロー自身、何度も危機に直面し、自分の存在の根底から揺るがされそうな目に会ってきたのだから。

(ボクは運が良かったのか、イイ人たちに会えてきた。
 悲しいことも多かったけど、悪い人ばかりじゃなかった。
 でも、もしもそういう出会いが無かったら、ボクだってどうなってたか分からない。
 ひょっとしたら、あの雛苺のように……!)

城戸丈。ベルカナ。リディア。リルル。ネス。金糸雀。そして、ベルフラウ。
中には名前を聞くことすら出来なかった者もいる。イエロー自身が命を奪ってしまった相手もいる。
けれど、それらの出会いが折れそうなイエローの心を支えてくれた。
先ほど「襲撃してきた敵」に反射的にダイレクをけしかけた時も、ベルフラウが止めてくれた。
もしも彼らとの出会いが無ければ、今頃イエローも同じような表情を浮かべていたかもしれない。
同じような虚ろな笑みを浮かべ、ダイレクを使って殺戮を繰り広げていたかもしれない。そう思うとゾッとする。

ともあれ――。
今のイエローたちに、時間はない。
刻一刻とベルフラウの命は零れていき、みかは城の奥に消えていく。
そして、タイミング悪く横から来た新たな危機、雛苺たち。

説得は……難しいだろう。出来たとしても時間がかかる。そしてその時間こそが惜しい。
戦闘は……相手を殺す気でかかってもかなうかどうか。ましてや、今のイエローには激しい迷いがある。
隠れて城に向かうのは……地形が邪魔をする。どうやっても遮蔽物のない橋の上は目立ってしまう。
隠れたままやり過ごす……には、ベルフラウの体力が持たない。彼女たちが去る前に絶命してしまう。
そうなると、取れる手段はかなり限られてくるわけで。

「大丈夫、ボクも無理する気はないから。ただ向こうの注意をボクに惹き付けて足止めするだけさ。
 ベルフラウはその隙に、ダイレクに乗ってみかさんの所に向かって。ボクもすぐに追うから」

自力で歩くことすら困難な今のベルフラウにとって、ダイレクは貴重な移動手段だ。
そしてそれを使うのが1人だけなら、空を飛んでいくことも出来る。より速い速度で移動することも出来る。
だがそれだけでは足りない。ジャック・オー・ランタンの飛行能力を考えると、もう1手必要だ。
イエローはそのために、自ら囮を買って出る。
夜の闇に隠れ、物音を立て、気を惹くように逃げ回れば、多少の時間を稼ぐことくらい出来るはずだ。

イエローには、ここで死ぬ気はない。イエロー自身にも生きてやらねばならないことが沢山ある。
丈の願いを叶えなければならないし、レッドの仇のことも考えねばならないし、ベルカナとも合流したい。
間違っても死ぬわけにいかない状況下、あの雛苺を前にダイレクを手放すのは危険に違いない。
それでも今取れる手段の中では、きっとこれが最善の手段。
ベルフラウの残り少ない命で最期の願いを叶えるための、ほぼ唯一の手段。
……ベルフラウもその覚悟が理解できたのか、僅かな逡巡の後、背負っていたランドセルを地に滑り落とす。

「それ、では……せめて、私の、荷物を、置いていきます、わね……。
 イエローさんが、使えるかどうか、分かりませんが……」
「分かった。ダイレク、ここからはボクじゃなくて、ベルフラウの言うことをちゃんと聞くんだよ」

イエローは、ベルフラウに「魔剣ダイレクのコントロール権」、すなわち「所有権」を譲渡する。
ベルフラウは、持ち物全てをランドセルごとイエローに手渡す。『火』と『地』のカードまで渡す。
多くの言葉は要らない。多くの言葉を交わす時間もない。
ただ、そこには互いへの信頼があった。

「じゃあ、みかさんによろしく。ちゃんと、みかさんに手当てしてもらうんだよ。 ……ダイレク、行って!」
「イエローさんも……決して、無理なさらないで下さいねっ!!」

魔剣ダイレクに乗ったベルフラウが、一直線に霧の中心に向かう。
こうして雛苺たちを窺っていた間にも、霧はさらに広がり上に登り、動きを止めていた。
ここから見た限り、その中心は城の真ん中、最も高い塔のてっぺん。そこにみかが居るのだ。
ベルフラウは撃ち出された矢のように、霧へと飛び込んでいく。
それを見送りながら、イエローは素早く渡されたランドセルを漁る。

「魔法のカード、ってのもボクには使えなさそうだし……武器になりそうなものと言ったら、これくらいか」

ベルフラウの荷物から出てきたのは、小さな鋏が1つ。
魔法使いではない彼女にはクロウカードは扱えないし、参加者の過去が見れる鏡も役に立たない。
頼りない鋏を握り締めたイエローは、そして、飛んでいくベルフラウに気付いたらしい雛苺たちをそっと窺う。

「ベルフラウを追いかけられちゃいけない……こっちに注意を向けないと……!」

それには、何よりまず音を立てることだ。遠ざかる人影よりも、正体不明の物音の方が警戒されるはず。
そう思って手近な藪の枝を揺らそうとして、イエローはふと気がついた。
自分の手の中にある、ちょっとした道具。これを使えば、よりはっきりした音が出せるんじゃないか?
イエローはそして、何も無い虚空を切るように、はさみを大きく広げて――

  チョキン、という軽い音が、闇の中に響き渡った。


【Fー4/道路脇の草原・茂みの中/一日目/夜中】

【イエロー・デ・トキワグローブ@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:全身に擦り傷と打撲(行動にやや支障)、左瞼に大きく切り傷、疲労(中)、頭部に打撲(生命に危険なし)
[服装]:ベルフラウの私服姿。帽子にポニーテールが隠されている。
[装備]:レッドのグローブ、おみやげのコイン@mother2、思いきりハサミ@ドラえもん、
[道具]:共通支給品×3(食料-1)、浄玻璃の鏡@東方project(残り1回)、クロウカード×3(『甘』『火』『地』)、
   カートリッジ×10@魔法少女リリカルなのはA's、スケッチブック、城戸丈の首輪、イエローの服(泥だらけ)
[思考]:ボクがここで時間を稼がないと……!
第一行動方針:雛苺たちが城に行かないように立ち回る。安全が確信できたらベルフラウを追って城へ行く。
第二行動方針:消えたリルル、金糸雀のことが心配。
第三行動方針:グリーンやブルーと合流し、このゲームを破る方法を考える。
第四行動方針:丈の友人と合流し伝言を伝え、協力を仰ぐ。
第五行動方針:丈の首輪を調べる。または調べることの出来る人間を探す。
基本行動方針:絶対にゲームに乗らない。生きてマサラに帰る。
[備考]:
トリエラのことを「積極的なマーダー」だと認識しました。
ネスからレッドの仇が「白い女の子」だと聞かされました。
レッドの仇に対しどういう態度を取るべきか、まだ考えが定まっていません。
ベルフラウの言葉と今の状況から、雛苺一行を危険な存在だと見なしています。
「おもいきりハサミ」の機能を理解していません。


           *    *    *

「――お城に行くのは、やめにするの。やっぱりめんどくさいの」

雛苺が悩んでいたのは、実際のところ大した時間ではなかった。
あっさりと、あまりにあっさりと決断を下し、その身を翻す。
霧の中に突っ込んでいった人影に対する興味も、すっかり失せてしまった様子。

思い切りハサミ――人の悩みを断ち切る、未来のひみつ道具。
イエローが期せずして鳴らしたその道具が、雛苺の悩みを綺麗に「切って」いた。
城には行かない。城に向かったあの人影も無視する。ここを離れて休憩できる他の場所を探す。
すっぱりと思い切った雛苺は、そしてふと気付いて小首を傾げる。

「ところで……今の音、何? だれかいるの?」

こちらの疑問、その音にどう対処するのかという悩みは、まだ心に浮かんだばかり。
まだ、「断ち切られて」はいない。
そして雛苺は音の源を探し、キョロキョロと周囲を見回し始めた。

【F-4/路上/1日目/夜中】

【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:真紅と翠星石のローザミスティカ継承。精神崩壊。見るものの不安を掻き立てる壊れた笑顔。
   桜をミーディアムにしたことにより消耗回復&自動回復付加。「思い切りはさみ」の影響下。
[服装]:普段通りのベビードール風の衣装。トレードマークの頭の大きなリボンが一部破けている。
[装備]:ジャック・オー・ランタン@からくりサーカス(繰り手もなしに動ける状態)
    ※ジャコの首には真紅と翠星石の生首が髪の毛で括り着けてあります。
[道具]:基本支給品一式、ぼうし@ちびまる子ちゃん ツーカー錠x5@ドラえもん
    光子朗のノートパソコン@デジモンアドベンチャー、ジュジュのコンパス
[思考]:いまの音、何?
第一行動方針:今の「ハサミのような音」にちょっと興味。
第ニ行動方針:遊び(殺戮)をこの先続けるためにも、快適に休息を取れる場所を探す。(桜の)風呂も希望。
         ただし、お城は「面倒くさい相手」がいる気がするので候補から除外。
         (注:この行動方針はこの先30分間、「思い切りハサミ」の影響下にあります)
第三行動方針:桜をミーディアムとして、戦う。 彼女の負担なんて知ったことではない。
第四行動方針:「新ルールのアリスゲーム」(=殺し合いのゲーム)に乗って、優勝を目指す。
基本行動方針:優勝して「永遠に孤独とは無縁な世界」を作り、真紅を含めた「みんな」と暮らす。
[備考]:
雛苺は真紅と翠星石のローザミスティカを獲得したため、それぞれの能力を使用できます。
自分の支給品をマトモに確認していません。
『ジャック・オー・ランタン』は、真紅の持っていた「人形に命を吹き込む力」によって一時的に動ける状態です。
雛苺の『力』を借りて動いているので、この状態は維持するだけでも雛苺の『力』を消耗しますが、現在負担は桜へといきます。
城に誰か強敵(まともに戦うとメンドクサイ相手)がいると思っています。今すぐ戦う気はありません。

【木之本桜@カードキャプターさくら】
[状態]:血と脳漿まみれ、左腕に矢傷(処置済)、魔力消費(極大) 、疲労(大)
   かなり精神不安定、雛苺のミーディアム
[装備]:マジカントバット@MOTHER2、パワフルグラブ@ゼルダの伝説、クロウカード『水』『風』
   リインフォースII@魔法少女リリカルなのはA's
[道具]:基本支給品
[服装]:梨々の普段着
[思考]:右足を出して、左足を出して。右足を出して、左足を出して
基本行動方針:雛苺の命令に従う。
※魔力があるため、雛苺が戦闘しない限りは持ちこたえられます。
 ただ回復していく分の魔力はほとんど雛苺に持っていかれます。
[リインフォースIIの思考・状態]:
※永沢、レックスを危険人物と認識。梨々の知り合いの情報を聞いている
※魔力不足により、現在使用不能

[備考]:
 この時点で、城の方にいる面々(ベルフラウ・雛苺・みか)には「思い切りハサミ」の音は届きませんでした。
 イエローとさくらも聞いたはずですが、その影響は現在不明です。
 他に「思い切りハサミ」の音が聞こえた人がいるかどうかは不明です。

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