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  • ろりしょたばとるろわいある@ うぃき
  • これが僕なりの戦い方――泉光子郎の場合

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

これが僕なりの戦い方――泉光子郎の場合

最終更新:2007年10月27日 22:42

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これが僕なりの戦い方――泉光子郎の場合 ◆o.lVkW7N.A



「そういうわけで、僕達は特に誰とも会っていないんです」

洗面所の流水で髪に付いた血を洗い流し、濡れ髪のイヴが戻って来ると、4人はまず情報の交換を始めることにした。
工場の床へ直にぺたんと膝を折り、車座になって座ると、まず光子郎が先陣を切って話し始める。
とはいえ、開始直後にフェイトと出会ってからは、ほぼずっとこの工場内を調査していた彼に、さほど話せる内容は無い。
すぐに大方の説明をし終えてしまい、仕方なく自分の右隣に腰を下ろしていたフェイトへと話を振った。
だが、光子郎に話せることが少ないのなら、彼と常に一緒にいたフェイトにだってそれは同様に決まっている。
結局フェイトも、光子郎の話した事柄に二、三の点を付け加えただけで終わった。

「それで……、イヴさん達の話ももう一度詳しく聞かせてもらえませんか」
「光子郎さん!」

先ほど二人は半興奮状態にあったため、廃病院での事件について系統立った話を聞くことは出来なかった。
精々聞き取れたことと言えば、ピンクの髪の女の子に襲われたことと、その子を返り討ちにして殺してしまったことの二つくらいだ。
だが、それが全て事実だとは限らない。彼女達の言葉が、嘘やハッタリ、誇張で塗り固められている可能性は大いに在る。
そのため光子郎は、より踏み込んだ詳細を聞きたがった。
病院での一件に付いての全容を彼女らに語ってもらうことで、そこに何らかの矛盾が無いか見極めようと考えたのだ。
訊きにくい質問にも躊躇せず、ズバリと切り込んだ光子郎に、しかし隣のフェイトは批判の声を上げる。
少々非難交じりの目つきを光子郎へと向けると、自身の首を横へ振りながら彼女は告げた。

「やめませんか? ……イヴさんもブルーちゃんも、あんまり思い出したくないでしょうし」

フェイトさんは優しい人だな、と光子郎は思う。彼女が二人を全く疑っていないのは見て分かるとおりで、それが、光子郎には少し羨ましかった。
自分はきっと、彼女のようにはなれないだろう。彼女や、或いはこの場にいる自分の親友達――太一さんや丈さん、ミミさんのようには。
光子郎は、自分が他の小学四年生と比べれば異常なまでに慎重で用心深い、まったくもって可愛げの無い子供であることを理解している。
それが悪いことだとは思っていない。それも含めて自分という人間の個性なのだと、今ではそう割り切って考えられる。
けれどやっぱり、眩しいのだ。彼女達のように、無条件で人を信じることの出来る相手が。
ろくに知らない自分をサッカー部へ引きずり込んだ太一や、出会ったばかりの少女達を全面的に信頼しているフェイトのような人が、眩しくて仕方ない。
彼らの持つ光は、恐らく自分には生涯かかっても獲得することが不可能なのだろう。――それが分かっているから、本当はちょっと恨めしい。
とはいえ光子郎は、そのことについて悲観したりなんてしない。彼は自分の限界を知り、そしてだからこそ思うのだ。

自分がどう足掻いても持てないものなら、僕はせめて『それ』の持ち主を守ってみせよう、と。

「辛い記憶を話せと言っているのは、分かっています。ですが――」
「いいわ。二人にも、ちゃんと聞いておいてもらいたいもの」

光子郎の頼みを予想以上にすんなりと聞き入れ、ブルーは自身の身に起こったことをもう一度話し出した。

学校で、一休と言う坊主に『痛くてひどいこと』をされ、恐怖から必死で逃げ出したこと。
右も左も分からずに森の中をさ迷い歩き、偶然発見した病院らしき建物に縋るような思いで駆け込んだこと。
そこでイヴとビュティに出会い優しくされ、漸く安心できたと思ったこと。
そして、――それなのに何の前触れも無しに、突然悲劇が訪れてしまったこと。

「ビュティさんはきっと、本当は悪い人だったのよ」
「それなんですが……、何かきっかけに繋がるような出来事はなかったのですか?」
「分からないの。でも、私達ちょっと口喧嘩みたいになって、そうしたら急にビュティさんが……」

その光景を思い出し、再び恐怖に襲われたのか、ブルーはひっくひっくと喉をしゃくり上げ始める。
目尻にぷっくりと涙が溜まっていくのを目にし、流石の光子郎も「もう、それ以上はいいですよ」と優しく告げた。
彼は相当に冷静な現実主義者でこそあったが、決して冷徹な人非人というわけではない。
泣きかけている少女にこれ以上辛い記憶を思い返させることなど、到底出来なかった。

――結局のところ、光子郎にだって十分に、彼が言うところの『光』は存在するのだ。
単純に、彼が認識していないだけで。



     *     *     *

今にも泣き喚きそうだったブルーを、何とか宥め落ち着かせると、四人は情報交換を再開し始めた。
特に誰が提案したと言うわけでもなかったが、話の流れは自然、それぞれの持つ支給品についてとなる。
仮にこのまま協力関係を続けるのならば、互いの所持品が何であるかを、皆が知っておかねばならない。
誰が何を持っているのか、それがどんな役割を果たすものなのか。
そういった共通認識がしっかりしていなければ、共闘する上で、まともな連携が取れないからだ。
しかし光子郎は、まだ眼前の二人に対し、百パーセントの信頼を抱いているわけではなかった。
そのため彼は、自分の支給品について、完全にその機能を紹介しようとはしなかった。




「僕の支給品は、このマフラーと人形だけです」

光子郎は首に巻いた『風の剣』に片手を添え、もう一方の手でジャスタウェイを軽く掲げた。
その手の中にある二品を見たブルーが、半信半疑と言った感じで唇を尖らせ、光子郎にずいと詰め寄る。
さっきまで半泣きだったのが嘘のように、活き活きとした表情だ。

「本当にそれだけ? だって、それじゃ光子郎、誰かに襲われても戦えないじゃない」
「ははっ、そうですね。どうやら僕は大外れを引いたみたいです」

おどけるような笑顔を作り、些か強引に話を打ち切ると、光子郎は首を真横に捻ってフェイトへ視線をやった。
支給品の正体を知っているフェイトは、光子郎に対して呆れるような表情を浮かべていたが、深くは気にかけないでおく。
光子郎は話題の焦点を無理やり彼女へと移すかのように、少々唐突に、フェイトへと話を振った。

「でもそれを言うなら、フェイトさんだってそう変わりませんよね?」
「そんな……! それは、確かに、変なものも入ってましたけど……」

顔を赤くして光子郎に食って掛かるフェイトに、ブルーが興味深げに顔を寄せた。
少女の瞳は好奇心旺盛にくるくるとよく動き、眼前の光景を何一つ見逃さないぞとでも言いたげだ。
立ち上がり、ぴょんぴょんと兎のようにその場を跳び上がって、フェイトのランドセルを覗こうとする。

「変なものって何? フェイトのランドセルには何が入ってたの?」
「私の支給品は、このツルハシと、魔力が回復するらしい蝶の入った籠、それから……」
「それから?」

催促するブルーの言葉に、フェイトの色白の頬がますます朱に染まる。
別に彼女が恥ずかしがる必要は無いと思うのだが、それでもやっぱり、笑われることを恐れているのだろうか。

「……これ、です」
「…………さとうきび?」
「はい……、さとうきび、です」

気まずい沈黙が、波のようにその場へ押し寄せる。何せ、モノはさとうきびだ。誰だって反応に困る。
勢い込んでいたブルーですら、フェイトの握ったさとうきびに目をやりながら、くしゃみでも我慢しているような表情をしている。
あまりに珍妙な支給品に吹き出しそうになるのを耐えているのか、口元を掌で覆いながら笑声交じりに尋ねる。

「これ、何に使うの?」
「さあ……おやつ、とか」
「おっ、おやつってフェイトさん……まさか、それを齧る気ですか」

フェイトのぼけた返答に、思わず光子郎も堪えていた笑い声を盛大に上げてしまう。
からかうようなその言葉に羞恥心を煽られ再び眦を赤くすると、もう自分の番は終わったとばかりにフェイトはぷいと横を向いた。
右隣のブルーと丁度目が合ったのをこれ幸いと、少し上擦り気味の高い声で話しかける。

「ブルーちゃんの支給品は、このカードとお面?」

少女の手に握られていた二品を見てそう尋ねたフェイトに、しかしブルーは左右に首を振って否定の意を示した。

「ううん、これはイヴさんとビュティさんに交換で貰ったの」
「支給品を交換したの?」
「ええ。最初に二人に会ったとき、イヴさんがスタンガンとカードを交換しないかって聞いてきたの。
 私がやだって言ったら、ビュティさんのお面もくれるから、それならどうって」

その答えにフェイトが納得して相槌を打つのにやや遅れ、光子郎も気になっていた点を質問する。

「他にも色々あるようですが、こっちの品々は一体?」

彼の目に留まったのは、ブルーのランドセルから覗いている大小様々な物品の数々だった。
ごちゃごちゃと雑多に収納されたそれらを、ブルーは宝物のように恭しく取り出してみせる。
チョークが山ほど詰め込まれた薬箱、少女が着るにはかなり大きすぎるサイズのナース服。
中でも一段目を引いたのは、赤と青に彩色されたカラフルな薬剤入りのガラス瓶だった。
大粒のそれは、見ていると吸い込まれそうな半透明をしていて、一見飴玉のようにも思える。

「これは、学校にあったの。それからこっちは、全部病院で見つけて、役に立つかと思って持って来たのよ」
「この瓶に入っているのは、何の薬ですか?」
「分からない。……だって、キャンディみたいで綺麗だったから」

そう返され、光子郎は小さく吐息する。手にとってよくよく見ても、瓶にはラベルなどが貼られておらず薬効は記されていない。
これでは、万が一誰かが怪我や病気に見舞われたとしても、安易な投与は出来ない。何せ、最悪、毒薬の可能性すらあるのだから。
光子郎は正体不明の薬瓶を二、三度上下に振ってみたものの、乾いた音がカチカチ静寂の中で鳴り響いただけだった。
両腕を伸ばして返却を迫るブルーにガラス瓶を手渡すと、光子郎はここまで殆ど会話に加わらなかったイヴへと瞳を向けた。
にっこりと笑みを作って視線を合わせると、異様に存在感の希薄な彼女へ言葉をかける。

「イヴさんは、何を支給されたんですか?」

あれだけ無口ならばすぐには応えてくれないかもしれないとも思ったのだが、その予測は徒労だった。
イヴは依然光の失われた双眸でこそあったものの、光子郎の問いに対して即座に口を開いた。
だがその言葉尻は、やはり重苦しくゆっくりゆっくりとして、さながら亡者が墓場で紡いでいるかのようだった。

「……私の元の支給品は、サングラスとこのカードでした。
 でも、サングラスはすぐにビュティさんの持っていたアタッシュケースと取り替えてしまって」
「それが、今持っているそのケースですか?」
「………はい」
「その傘は? それも支給品のアイテムだと思っていたのですが」

鬱々とした声音で返答するイヴにかなり辟易としながら、光子郎は質問を続けた。
開けたランドセルの隙間から長い傘の柄が一部分飛び出ているのを、彼は目敏く見つけていた。

「これは……ビュティさんに支給されたものです。置いて、いけなかったので……。
 本当は、交換したサングラスも一緒に持ってきたつもりだったんもですが、どこかに落としてしまったようで」
「なるほど、分かりました」

その言葉を取り敢えずの合図として、所持品についての情報交換の場は一旦終了を遂げた。
だが、当の光子郎は思考停止を良しとせず、ブルーとイヴの話を頭の中で噛み砕いていた。
時系列を中心として、冷静に事実を考察してみる。
開始直後、ビュティに出会ったイヴは、彼女と協力体制をとることを決め、アタッシュケースとサングラスを取り替え合った。
その後、彼女らの元にブルーが姿を見せたことで二度目の物品交換が行われ、結果、ブルーは二枚のカードとお面を、イヴはスタンガンを手に入れた。
彼女達が行ったこの一連の行動の中で、光子郎が引っ掛かりを憶えたのは、ビュティとイヴが最初の支給品交換を行った理由であった。
道端に落ちている何の変哲も無い石ころを、わざわざ他人と交換する阿呆はいない。
まあ、よほどの幼い子供ならばありえるかもしれないが、それだって当人にとっては、可愛い形や綺麗な色といった価値が存在している筈だ。
交換される品には何らかの価値がなければならない。無価値なもの、不必要なものは、交換の俎上には絶対に上がることがないのだ。
これを前提として一歩推論を推し進めると、高確率で確信できる事実が幾つか浮かび上がる。

まず初めに、アタッシュケースとサングラスには何らかの付加価値が確実に存在している。
何の用途も無いただのアタッシュケースとサングラスなど、誰もすすんで交換を交わしはしない。
自分に支給されたマフラーそっくりの剣のように、何か特殊な能力を持った道具だと考えるべきだろう。
そして、そうだとすればイヴがビュティを殺害した凶器に関しても、一応だが推測が出来る。
彼女がビュティを殺したときの所持品のうちで凶器になりそうなものは、一見スタンガンだけのように思える。
だが、おかしなことに先ほどイヴは血塗れであった。スタンガンでは、どうやっても頭から血を被るような殺し方は出来ない。
それを考慮すれば恐らく、真の凶器は彼女が大事そうに抱え込んでいるあのアタッシュケースの中だ。
多分ではあるが、ケースの中には何か鋭利な刃物が仕舞い込まれているのだろう。
『付加価値がある』のが確定的なサングラスも、見当たらないと言うのは嘘で、その中に隠匿されているのかもしれない。

光子郎はアタッシュケースの中に入っている武器の存在を九割方確信した。
ちょっとした思い付きでも告げるかのように軽い調子で、左横のイヴへと頼んでみる。

「イヴさん、そのアタッシュケース、調べさせてもらえませんか」

鎌をかけるつもりもあった。自分の推論が完全に正しいとまでは、彼も思っていなかったから。
だがその発案に対するイヴの反応は予想以上であり、言葉は無くとも『何かある』ことを如実に表していた。

「い、嫌です……。触らせたくありません」

さて、光子郎には当然知りえないが、イヴが彼の申し出に反対するのはある意味で当たり前のことだった。
彼女は先刻この扱い辛い道具により、自分の意思に反してビュティを傷付けてしまったのだ。
いつもスヴェンの側でウェポン・ケースの使用法を見ていた筈の自分ですら、何処にどの武器が収納されているか明確には把握できていない。
全く知識の無い素人が考え無しに触れれば、それこそ一瞬で命を奪われてしまう。
イヴは、これ以上誰かを犠牲になどしたくは無かった。
自分を『許し』てくれたブルーは勿論のこと、血塗れの己を受け入れてくれた光子郎とフェイトも例外ではない。
彼ら三人をむざむざ危険な目に合わせる可能性のある選択など、出来ようはずも無かった。
だから彼女は、自分勝手と言えるほど意固地になって、光子郎の提案に反抗する。

彼女は己の腕の中にあるアタッシュケースをきつく抱き留めると、首を激しく左右に振って声を荒げた。
焦りから汗が首筋を線になって流れ落ち、ぽたりぽたりと衣服の襟に薄い染みを作る。

「……これは私の物ですから。あなた達には渡しません!」
「どうしてですか? 何か、僕達に見せられない理由があるんですか」

イヴへ詰め寄った光子郎が不審そうに眉根を顰め、重ねてそう問い掛ける。
だがイヴに、その理由を正直に答えられはしなかった。
アタッシュケースを渡せない理由は簡単だ。それが危険だから。容易に人間の命を刈取れるだけの道具が山と詰まっているから。
だが、そのことを説明するには、恐らくビュティとの一件を話す必要がある。
よく知っている筈の自分でさえ、『間違えた』のだと。だから、他者に触れさせるのは薄氷を踏ませるようなものなのだと。
アタッシュケースがどれほどの力を秘めているのか、その威力を教示するのに、そのエピソードは申し分ない。
それを告げれば、きっと光子郎も納得して、欲求の矛先を収めてくれるだろう。
けれどイヴにとってそれは地獄への分厚い扉であり、簡単に俎上へ載せられるものではない。
暗く重い闇の中のような記憶は思い出すのすら苦痛で、まともに言葉にすることなど到底不可能だった。
そのためイヴは、光子郎の追求にも口を濁すしかなく、しどろもどろになりながら困り顔で答えた。

「そんなものは、ありません。ですが……」
「だったら、なぜ嫌がるんです」
「それ、は……」

その煮え切らない態度に僅かな苛立ちを感じた光子郎が、彼らしくなく声を荒げる。
一方のイヴは迷いから唇を噛み締めたまま、目を伏せてタイル張りの床をじっと見つめている。
真実を言いたい。言わなきゃ。……けれどやっぱり、どうしても言えない。
相反する二つの想いがイヴの全身をチクチクと苛み、心までも真二つに引き裂かんとする。
血と同色をした涙を流してじくじくと痛む胸中が、純粋なイヴの精神に不可視の傷痕を付けていく。
鋭い痛みはイヴから思考を、理性を強引に奪い、同時に幾つもの言葉を盗み取った。
今のイヴに正常な判断力は存在せず、まっとうな弁解も可能な状態ではない。
おろおろとするばかりの彼女を救ったのは、隣に座っていた少女の一声だった。

「――――イヴさんをいじめないで!!」
「ブルーさん……」

唐突に割り入ってきたブルーの甲高い懇願に、イヴは吃驚した表情で面を上げた。
ブルーは湯気でも立ちそうな勢いで顔を赤くすると、怒り心頭といった面持ちで光子郎に突っかかる。
立ち上がり、小さな身体をいっぱいに背伸びさせて、彼女は涙混じりに叫んだ。

「イヴさん、悪い人じゃないよ。どうして光子郎はイヴさんをいじめるの!?」

泣き顔の幼子に敵う人間はいない。光子郎もその例に漏れず、突然のブルーの責めに思わず追及の手を止めた。
いささか渋々とではあるものの、イヴに対する言葉を一旦収めると、未だ半泣きのブルーに向き直る。

「いじめているわけではないんですよ。ただ、気になることがあっただけで」
「でも光子郎は、おっきな声を出して怒ってたよ? イヴさん、怖がってたもの」
「ですから、それは……」
「光子郎さん。……もう、それくらいにしておきませんか?」

ブルーの言葉に反論しようとした光子郎を嗜めたのは、少し躊躇いがちなフェイトの一言だった。
もうこれ以上諍い合う三人を見たくないと言いた気な表情で、彼女は縋るように続ける。
その顔には精神的な疲弊が色濃く見られ、彼女がこの状況に消耗していることがありありと分かった。

「ブルーさんの言うとおりですよ。さっきの光子郎さんは、その……ちょっと怖かったです」
「フェイトさん、それは……」

フェイトが口にしたその台詞に少なくはない衝撃を憶えながら、光子郎は瞬間的に反駁しかける。
自分が、決して何の根拠も無しにイヴを問い質したわけではないと、少なくともフェイトには理解して貰いたかった。
光子郎は彼女に向けて口を開きかけ、――しかし後一歩のところまで出し掛けた声を、喉の奥で無理やり飲み込んだ。
視線の先にあった、驚くほど青褪め疲れ切った彼女の表情が、対した光子郎からそれ以上の議論の意志を奪う。

「……そう、ですね。すみません、僕が言い過ぎました」

光子郎が仕方なく諦念してフェイトにそう告げると、彼女は安心したように顔を綻ばせて微笑した。
その笑みは未だどこか痛々しかったが、争いの芽を摘むことが出来た自身への微かな誇りのようなものが感じられる。

「そうですよ。光子郎さんは、ちょっと考えすぎなところがあります」
「ははっ、かもしれませんね」

光子郎は、フェイトの笑顔を横目にそう冗談めかして告げると、イヴとブルーへ順に頭を下げた。

「お二人とも、気を悪くさせてしまって失礼しました。責めるつもりは無かったのですが、少し感情的になってしまって」
「光子郎、もうイヴさんに怒らない?」

ブルーが、まだ少し先ほどの怯えを引きずった様子で、心配そうにおずおずと尋ねてくる。
光子郎は精一杯の笑顔を作ってみせると、彼女の顔を覗き込んで返答した。

「ええ、勿論。イヴさんにもブルーさんにも、もう怒りませんよ」
「だったら良かったわ。イヴさんも、これでもう仲直りでいいよね?」
「……はい」

細い声でそう答えるイヴに駆け寄ると、ブルーは心底嬉しそうに「よかった!」と叫んで彼女へ抱き付いた。
唐突なその行為に少々躊躇いながらも、イヴはブルーを両腕でそっと抱きかかえる。
その姿を横目で眺めながら、光子郎はこの場の誰にも気取られぬよう、極めて静かに息を吐いた。

――――真実を突き止めなければ。

光子郎にとって、今なお彼女達二人は疑惑に満ちた存在だった。フェイトの手前一旦は引いたものの、この程度で諦めるつもりなど毛頭無い。
二人に対しての疑念は、先刻よりも増大しており、脳裏を過ぎる違和感はどうあろうとも拭い切れなかった。
中でもイヴは、引っ掛かる点が多すぎる。今の口論も、彼女が頑なにアタッシュケースを渡そうとしなかったのが最大の原因だ。
あのアタッシュケースに何かが仕込まれているのは最早自明の理だが、その正体が判明しないうちは迂闊に手を出しにくい。
或いはさっきの対応がそれを狙ってのブラフであり、あの中には本当に何も入っていないと言う可能性も考えられるが――。
光子郎は脳裏に掛かる霞を追い払うように頭を左右へ振って吐息し、天を仰いだ。
青空でも見えればもう少し気が晴れたのかもしれない。だが彼の頭上にあるのは、無骨な骨組みを露にした工場の天井だけだった。

     *     *     *

先ほどの衝突から、約半時間が経過していた。
淡々と流れる時間は全く楽しいものではなく、彼らの間には隠し切れない陰鬱さが滲み出ていた。
会話が全く無いわけではない。特にフェイトは、必死に四人の中を取り持とうと、色々な話題をひっきりなしに提供している。
彼女の親友、高町なのはの人となりや、経験してきたいくつもの事件の顛末など、その内容は様々でどれも面白おかしい。
だが残念なことに、彼女の話に乗ってくれる相手は一人しかいなかった。
光子郎はまたもや何か思うところがあるのか上の空だし、イヴも精々が相槌を打つ程度で自分から喋ろうとはしない。
そのためフェイトの話に興味を抱いてくれたのは、ブルーだけだった。
彼女は好奇心満々と言った顔でフェイトにあれこれ尋ね、特に彼女らの使用する魔法に関しての詳細に目を輝かせていた。

「すごいわ、フェイトさんは魔法使いなのね」
「うん、一応ね。でも、今は殆ど使えないから、普通の人とあまり変わらないんだけれど」

少し不安そうに答えるフェイトに「そんなことないわ」と返して、ブルーはにこにこと笑う。
その笑顔と「もっと、もっと」と先を促す言葉につれられて、フェイトは更に多くの事柄をブルーへ話して聞かせた。
その話題も流石につきかけるころ、自分の世界に閉じ篭っていた光子郎が、ふいにイヴへと話しかけた。

「イヴさん。その服、随分汚れてしまっていますし、着替えたほうがいいんじゃないでしょうか」
「ですが、ここには着替えられる服が……」
「ブルーさんの荷物の中に、病院から持ってきたナース服があったでしょう。あれを借りたらどうですか」

光子郎の提案に対し、イヴはしばし逡巡の色を見せた。ナース服を着ることへの気恥ずかしさがあったのかもしれない。
しかし、これ以上血だらけの服を着ているのも不快だと判断したのか、彼女は了承したようにこっくりと頷いた。
ブルーの許可を貰いナース服を手にしたイヴが、着替えのために洗面所へと立ち、その姿が長い廊下の向こうへと消える。
彼女が十分に離れたのを確認すると、光子郎はそれまでになく真剣な面持ちをブルーへ向けた。

「ブルーさん、病院であったことをもう一度教えてもらえますか」
「……どうして? 光子郎は、私のこと疑ってるの?」

イヴの姿が見えなくなったことで、孤独を感じて不安になっているのだろうか。
俯いた瞳に明らかな怯えを覗かせてそう尋ね返すブルーに、光子郎は頭を横へ振る。
膝を折って目線の高さを合わせ、彼女の小さな双肩を両腕で優しく包み込んだ。

「いえ、そうではありません。ただ、少し気になることがあるんです」

ブルーへ向けてそう告げた光子郎の双眸には、彼の持つ人並みはずれた知識欲が激しく揺らめいていた。
真実を知りたい。その欲求が、自身でも止められぬ衝動となって光子郎を突き動かす。
情報を集め、統合し、解析し、分析することで、そこから導き出される真実への鍵を手に入れる。
光子郎にとって、それら一連の作業は非常に心躍る行為であると同時に、この殺し合いの中で自分に許された数少ない戦い方でもあった。
自分には身を守れるだけの腕力が無い。フェイトのように人知を超えた特殊な能力も無い。
あるのはこの頭だけで、出来るのは考えることだけだ。
情報の集積と取捨選択。一見関わり無いように見える事柄同士を結び付けることで、秘められた解答を見出す推理力。
この殺戮の舞台を生き残るうえで彼が縋れる力は、それ以外に存在しなかった。

「光子郎さん、もうその話はやめませんか?」
「すみません、フェイトさん。……でも、僕はやっぱり気になるんです。……ブルーさん、教えていただけませんか?」

また先ほどのような争いが起こるのを懸念したフェイトが、制止の声を挟む。
だが光子郎は、今度こそ引く気は微塵も無かった。ブルーを刺激しすぎないよう温和な態度を意識して、彼女に頼み込む。
その姿に、怒られる心配はなさそうだと思ったからか、ブルーはこくんと頷いて光子郎の頼みを了承した。
廃病院の中で起こった出来事を細大漏らさずに、彼女はもう一度頭から説明し直す。
光子郎は、それを一言たりとも聞き落とさぬよう注意して、彼女の話に頭を集中させた。

「……それで、私が階段を下りて追い付いたときには、もうビュティさんは倒れていて、その側にイヴさんが――」
「ちょっと待ってください」

少女の話は、幼児とは思えないほど整理されており、聞き手の二人がわざわざ色々と尋ねる必要は無かった。
そのため光子郎は、殆ど口を挟むこと無しに彼女の語る内容を静聴していたのだが、これには思わず声が飛出た。

「つまりあなたは、二人の間にどんな諍いが起こったかは見ていないんですね」
「うん……。いけなかったのかな」
「いや、そんなことはありませんよ。……それでその後は?」

恐々と光子郎を見上げるブルーに対し笑顔で首を横に振って、彼は続きを促した。
早く先が聞きたかった。知りたかった。分かりたかった。
ピースが足りない。真実という名のパズルを組み立てるためのピースが、まだ不足している。
どくんどくんと光子郎の心臓が音を成し、鼓動を打つスピードを早めていく。
答えに近づいている、という確信があった。後もう少しだ。もう少しで、伸ばした指先が真実へ届く。

「えっと、近くで誰かの声が聞こえた気がして、それで、慌てて逃げようっていうことになったのよ」
「そのとき、イヴさんはどうしていました?」
「……ビュティさんの荷物と傘を拾って、すぐに自分のランドセルに入れたわ。それから私を抱えて、走って病院から出たの」

ブルーの話は、それで終わりだった。
語り終えた彼女は、喋り疲れた、とでも言うようにペットボトルに手を伸ばし、ぐびと水を飲んでいる。
一方の光子郎は、ブルーが今しがた口にした内容が妙に気になり、眉間に皺を寄せて頭を捻らせていた。
ブルーの言葉を信じるなら、イヴはビュティの死後、人の気配を感じるや否やすぐさま退散したと言う。
だが、仮にも最前まで『仲間』であったはずの相手を殺めておいて、人間、何の手向けも無しに逃亡するだろうか?
何せ、彼らの話を全て本当だと認めるなら、それは決して憎しみ合っての殺戮ではなかった筈なのだ。
一旦は信頼しパートナーとなった相手と不運にも仲違いし、勢い余って殺してしまった。――二人はそう証言した。
だというのに、その亡骸に手を合わせることすらせず、逃げるようにその場を離れたというのか。
無残にも奪ってしまった命に対し墓を作ってやることも、祈ることもせずに、ただ荷物だけを奪って?
――尤も、理性的な思考で見れば彼女の行動そのものに間違いは無いだろう。
いくら正当防衛だったとしても、人一人を殺した現場を他者に見られれば、どう足掻こうとも殺人者のレッテルを貼られてしまう。
誤解を避けたければ、すぐにもその場から去るのが一番の対処法だ。理屈は分かる。
しかしそれは、あまりにも人としての感情から離れた選択だと言わざるを得ない。
少女を殺害してしまったことでパニックに陥り、突然の声に驚いて即座に逃げ出したと言う可能性はある。
だがそれならば、忘れずにビュティの荷物を持って行けるほど冷静沈着な心理ではないであろうし……。

ブルーの話を聞いているうちに再び浮かびあがった不審点を、光子郎は脳内で分析する。
何かが、頭の隅にこびり付いて離れない。それを思い出すため、何度も何度も彼女の言葉をリフレインさせた。
イヴの行動に対して抱く蟠りの正体を探るため、彼は己の推論を推し進め――――。
――――気付いた。自分が引っ掛かってていたものが何であったか。その台詞に。

『最初に二人に会ったとき、イヴさんがスタンガンとカードを交換しないかって聞いてきたの。
 私がやだって言ったら、ビュティさんのお面もくれるから、それならどうって』


――――何だこれは。この行為は明らかにおかしくないか?
スタンガンを手に入れたイヴと、カードを手に入れたブルー。この二人だけならば、分かる。
彼女達は互いの所持品を交換しただけであり、程度の差こそあれ損失と呼べるほどのマイナスは無い。
だが、ビュティという少女はどうだ。彼女は単に自身の品を提供しただけで、何一つ見返りを得ていないではないか。
確かにあのお面は単なる気味の悪い装飾品の域を出ていない。所有しているからといって、これといった利点は無いだろう。

しかし、胸元に入れておけば防弾の役目くらいは果たすだろうし、いざとなったら鈍器として振り下ろすこともできる。
少なくとも普通の人間なら、何の換わりも無しに手放すなどという無意味な行為は、まずしようとしないだろう。
それなのに何故、ビュティはこんな行動をとったのだろう? いや、もしかして『とらされた』?
先ほどから感じていた幾つかの不審点が、光子郎の脳内でカチリカチリと歯車を噛み合わせ、ある仮説を組み立てていく。
それは恐ろしい仮説ではあったものの、全く信じられないという類のものでもなかった。
むしろ、高確率で真実を射抜いている可能性のある考えだ。

彼女――イヴは、周囲の人間を騙して利用し、無価値になったところで殺害している。

そう考えると、思考の中で生まれた蟠りが消え、それぞれにつじつまが合う。
恐らくイヴは元々、ビュティを仲間だなどとは微塵も思っていなかったのだろう。
イヴが一時的とはいえビュティと組んでいたのは、思うに彼女の持つアタッシュケースを所望したからだ。
ビュティに支給されたアタッシュケースには、何らかの特殊な能力が付与されていると考えて間違いは無い。
うまく相手を言いくるめてアタッシュケースを手にし、その後は虎視眈々と用済みの彼女を始末する機会を狙う。
予期しなかったブルーの出現により、殺害のチャンスは一旦遠のき、僅かに予定は遅れる。
しかし幼女の間隙を窺うなど容易く、一人になった瞬間を狙って、イヴは悠々とビュティを亡き者にした。
後は、自分を信じきっているブルーに『向こうが先に襲ってきた。正当防衛だ』と尤もらしいことを吹き込めば完璧だ。
言葉どおり、命を掛けて自分を庇護してくれたイヴにブルーは心酔し、最早一時たりとも離れられなくなる。

イヴがビュティを軽視していた証拠は、よくよく思い返せば、話の至る所に散見できる。
ブルーとイヴ、ビュティの三人が互いの支給品を交換しあった際など、特に大きくそれが表れているではないか。
ブルーの言葉に間違いが無いのなら、ビュティという少女は自身に何の利益も無いのを分かっていながら交換に応じたらしい。
勿論、彼女が底なしにお人よしであるとか、そういった考え方も出来なくは無いだろう。
しかし、そもそもこの交換において、ビュティの意思が端から無視されていたと推測してみると、どうだろう?
反論するビュティを無理やり押し切って彼女のお面を差し出させ、その結果、イヴがスタンガンを手に入れたとしたら?
ブルーくらいの幼い子供は、単純な質よりも量と見た目で物の価値を決めたがる性質がある。
千円札一枚よりも、キラキラした100円玉が5枚あるほうが嬉しい、というあれだ。
いかにも玩具然としたカードとお面を目の前に提示されれば、無粋な鉄の塊と交換したくなっても無理は無い。

そう。恐らくすべては計算の上なのだ。
自分が必要なものを手に入れるため、己以外の何もかもを掌の上に乗せて、彼女はそれらを利用している。

彼女がブルーを側に置いているのも、根本的には同じ理由からなのだろう。
幼い少女は、容易に周囲の庇護欲を誘うことができる。
デジタルワールドでの冒険でも、ヒカリやタケルは常に皆から気に掛けられていた。
小さな子供を目の前にすれば、大概の人間は自分が守ってあげなければという想いを切実に憶える。
同時に、純真な子供に慕われているのを見せることで、イヴ自身にも善良な人間であるイメージを抱く。
ブルーの存在は、非情な殺人者の素顔を秘匿するための、実に有用な目くらましとなるのだ。
彼女さえ連れていれば、他の集団に潜り込むことも、そこで誰か強い他者に守ってもらうことも簡単だろう。
実際自分達も、ブルーの怯えた泣声を耳にしたために、二人が工場内へ侵入するのを許したではないか。
先刻もしイヴが一人であったならば、きっと光子郎も彼女を招き入れるのを良しとしなかっただろうに。

「……フェイトさん、ちょっといいですか」

恐怖と興奮が混在し跳ね上る心音を必死に抑制し、普段どおりの冷静さを保とうと努力する。
真綿でゆるゆると頸部を絞められているような圧迫感を全身に感じ、気道が苦しさを訴えた。
光子郎は、押し殺した小声でフェイトの耳元へと囁きかけ、彼女を呼び寄せようとした。
こちらへ振り向いたフェイトを、大きな決意を宿した真剣な眼差しで射抜くと、彼はごくんと空気の塊を飲み込んだ。
緊張でからからに乾燥している喉を振り絞り、己の仮説を彼女へと話して聞かせようとする。

だが、光子郎の決意は僅かに遅く――――。

「何ですか、光子郎さん?」

そう尋ねるフェイトの声に重なるようにして、金属の擦れる不快な音が響き渡った。
それが洗面所へと続く鉄扉を開閉する音であると判断する間もない内に、赤紫の瞳をした少女が、視線の奥に姿を現す。
光子郎は知らず歯軋りをし顔を苦々しく歪めたが、その表情に気付いた者は、誰一人としていなかった。

     *     *     *

彼らの目標となる旗に、未だ辿り着いた者はいない。
特化した『知略』は考えすぎるゆえの誤解を作り出し、特化した『想い』は優しさから油断を招いた。
『仲間』と『道具』で挑むもう一人は、果たして何を生み出すのだろう。
――――臨む旗への道程は、依然険しく、遥か遠い。


【A-3/工場(ファクトリアルタウン)内/1日目/真昼】

【泉光子郎@デジモンアドベンチャー】
[状態]:健康、イブを疑っている
[装備]:風の剣@魔法陣グルグル
[道具]:支給品一式(食料少し減)、ジャスタウェイ@銀魂
[思考・状況]
思考:どうにかしてフェイトさんにこのことを伝えないと……!
第一行動方針:イヴへの疑心をフェイトに伝える。
第二行動方針:フェイトとブルーをイヴから守る。いざとなったら三人で逃げる
第三行動方針:とりあえず今後の動向について考える
第四行動方針:友人との合流
[備考]:光子郎は工場について以下の仮定を立てました。
1:この工場はなんらかのエネルギーが作動してるかどうかを確認している。
2:そのなんらかのエネルギーはここじゃない場所にある
3:そこは普通にしてたらわからないが、決して見つからないような場所ではない
尚1~3は誰にも話しておりません

【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:健康、やや不安、なのは達を心配
[装備]:バトルピック@テイルズオブシンフォニア
[道具]:支給品一式、マジックバタフライ@MOTHER2、さとうきびセイバー@ボボボーボ・ボーボボ
[思考・状況]
思考:光子郎さん、どうしたんだろう?
第一行動方針:光子郎の呼びかけが気になる
第二行動方針:光子郎とブルー達を仲良くさせる
第三行動方針:皆と同行
第四行動方針:友人の捜索及び合流


【ブルー@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:健康、落ち着き、4歳モード、光子郎を要注意人物だと判断
[服装]:白衣
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、チョークぎっしりの薬箱、年齢詐称薬(赤×4、青×3)、G・Iカード2枚(『聖水』、『同行』)@H×H、Lのお面@DEATH NOTE
[思考]:どうしてさっきから私の話ばかり聞きたがるのかしら?
第一行動方針:光子郎の思考を探る。そのうえで、自分の不利益になるようならば殺害も考える
第二行動方針:生き残るためには手段を選ばない。自分の手も要所要所で汚す覚悟
第三行動方針:4歳児の外見を生かし、イヴを利用する。自分の身を守ってもらう。
なお、使える戦闘要員なら増やしてもいいが、足手まといが増えるのは困る。
第四行動方針:イヴには、自分の正体がバレないようにする(=年齢詐称薬の秘匿、説明書の効果時間に基づいた12時間ごとの薬の摂取)
第五行動方針:レッドやグリーン、イエローのことが(第二行動方針に矛盾しない程度に)心配
基本行動方針:バトルロワイアルからの脱出、元の世界への帰還(手段は問わない)
[備考]:ブルーは、ビュティが持っている傘に銃が仕込まれていることを知りました。また、イヴが持っているアタッシュケースが仕込み武器である可能性を強く疑っています。ブルーは、双葉を始末したであろうと思っています。
フェイトの知人(なのは達)と、リリカルなのは世界の魔法についての知識を得ました。

【イヴ@BLACK CAT】
[状態]:左腹部に銃創(応急処置済み)、全身に中程度の打撲、落ち着き、精神中消費、疲労感中、自分を許してくれたブルーに恩義以上のものを感じている。
[服装]:ナース服
[装備]:スタンガン@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、アタッシュ・ウェポン・ケース@BLACK CAT、G・Iカード1枚(『左遷』)@H×H、ビュティの基本支給品一式、神楽の傘(弾切れ)@銀魂、コンマ@ボボボーボ・ボーボボ、血塗れの服
[思考]:ちょっと恥ずかしいけど、着替えてよかった……
第一行動方針:ブルーに服従し、命がけで守る
第二行動方針:危険回避のため、他人にはアタッシュケースを触らせないようにする
第二行動方針:一休を見つけたら、懲らしめる
基本行動方針:この殺し合いを止め、脱出する
[備考]:アタッシュ・ウェポン・ケースの『捕獲用ネット』を使おうとして、間違えて『マシンガン』の引き金を引きました。今後、『マシンガン』のスイッチを間違えることはまず無いと思われます。
イヴとビュティ、二つランドセルを持っています。コンマは、ビュティのランドセル内の無限の空間?のどこかにまだ隠れているのですが、イヴはそれを知らず、どこかに落としたと思っています。。
コンマはランドセルを逆さまにすれば放り出せるはずですが、現時点ではイヴはその方法に気付いてません。


≪118: 迷走 時系列順に読む 121:オイシイとこだけツマミ食い≫
≪119: 混沌の学び舎にて(5) 投下順に読む 121:オイシイとこだけツマミ食い≫
≪116: 誰にだって勝つ権利はある/難しいのはその行程 泉光子郎の登場SSを読む 130:世界は皮肉に満ちていた(前編)≫
≪116: 誰にだって勝つ権利はある/難しいのはその行程 フェイトの登場SSを読む 130:世界は皮肉に満ちていた(前編)≫
≪116: 誰にだって勝つ権利はある/難しいのはその行程 ブルーの登場SSを読む 130:世界は皮肉に満ちていた(前編)≫
≪116: 誰にだって勝つ権利はある/難しいのはその行程 イヴの登場SSを読む 130:世界は皮肉に満ちていた(前編)≫

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